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日本版
2016シチズンシップ・リポート 2016
現在、そして未来の人々によりよい暮らしを
P&Gグループ 〒651-0088 神戸市中央区小野柄通7-1-18
Copyright © 2017 P&G. All Rights reserved. 写真・記事の無断転用を禁じます
目次
CEOメッセージ
良き企業市民としてのP&Gの取り組み
5.環境サステナビリティ
2020年中期目標と進捗状況
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
企業理念
コーポレートガバナンス
3
4
18
19
※シチズンシップ・リポート2016(日本版)では、良き企業市民としてP&Gが取り組んでいる活動
と実績を紹介しています。P&Gグループの世界規模での活動と、国内での活動の両方について、2015/16年度(2015年7月~2016年6月期)の具体的事例やデータを中心に掲載しています。
国内での取り組み 21
海外事例 24
1.企業倫理と責任
2.社会貢献
国内での活動
海外での活動
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
6
7
10
・・・・・・・・・・・・・・・・
3.ダイバーシティ&インクルージョン(多様性の受容と活用)
12・・・・・・・・・・・・・
4.性別による差別の排除 16
【補足資料】
・・・・・・・・・・・・・・・・ 26
・・・・・・・・・・・・・・・・ 27
5
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
P&Gグループの世界での活動について、詳細は米国本社発行のリポート(英文)をご覧ください。http://us.pg.com/sustainability/at-a-glance/sustainability-reports
CEOメッセージ
P&Gは、良き企業市民として、常に正しいことを行います。(2016 シチズンシップ・リポート 米国本社オリジナル版より抜粋)
長年にわたり、サステナビリティ・リポートとして、環境サステナビリティと社会貢献活動
を中心に当社の活動を報告してまいりましたが、今年から「シチズンシップ・リポート」と
名前も新たに、企業倫理と責任、ダイバーシティ&インクルージョン(多様性の受容と
活用)、性別による差別の排除にも視野を広げました。2016年8月に発表した、新し
い枠組みによる良き企業市民として果たすべき5つの活動課題のもと、国連が掲げる
持続可能な開発目標の多くとも合致した当社の取り組みを、より広い側面からご報告
してまいります。
当社は、強い責任感をもって企業統治を行い、高い倫理観のもと行動してまいりまし
た。ビジネス取引においては高い透明性を保ち、よりよい社会づくりや環境保全に貢
献し、社員がいきいきと活躍できる魅力的な職場を提供するなど、事業の様々な場面
でそれは発揮されています。
P&Gが良き企業市民であること、そしてそれを広く皆様に知っていただくことは、私た
ちの事業にとって大変重要です。と申しますのも、消費者の皆さまの関心の対象は変
化しており、慣れ親しみ、信頼して使ってきた製品だけではなく、それを提供している私
たち企業に関してもより深く知りたい、企業としての活動や価値観が信頼に値するもの
か確かめたいと思う人々が増えているためです。
私たちは良き企業市民としての取り組みを、先にもあげた5つの重点分野にわたって行っています。まず全ての基盤として「企業倫理と責
任」があり、その上に「社会貢献」「ダイバーシティ&インクルージョン(多様性の受容と活用)」「性別による差別の排除」「環境サステナビリ
ティ」があります。それぞれの分野において、明確な目標を掲げ、着実に達成するために、経営陣が責任者となって推進しています。
私はこれまで数々の職務を経験する中で、P&Gは企業として世界にもっと大きな貢献ができるはずだと考えるようになりました。当社が関
わること全てにおいて、よりよい世界の実現に貢献できるチャンスがあります。社外パートナーとも協力し、よりよい世界に向けて、善き影響
力を与えることができます。例えば、製品やサービスを通してお客様の暮らしをよりよいものにするとき、ビジネスを誠実かつ公正に進めて
いくとき、雇用を創出し経済発展に貢献するとき、私たちの発信するメッセージによって社会で有意義な議論を促すとき、私たちが住み、働
くコミュニティをよりよいものにするために、製品提供や寄付、社員ボランティアの力を提供するとき、製品や事業活動による環境負荷を減ら
したとき、その善き力が発揮されるのです。
コーポレート・シチズンシップとして掲げた5つの分野において、これまで成し遂げてきた成果を誇りに思いつつ、これからもよりよい世界へ
と前進するために善き力を発揮し、より大きな成果に向けて励んでまいります。
3
良き企業市民としてのP&Gの取り組み
P&Gグループは、企業理念に「現在、そして未来の人々によりよい暮らしを提供する」と掲げている通り、持続可能な社会の実現を目指
し、「環境保全」と「社会貢献」を柱としたサステナビリティ活動のもと、社員一人ひとりがそれぞれの業務の中で、日々取り組んでまいりまし
た。2016年8月、この枠組みをさらに拡大し、「コーポレート・シチズンシップ(良き企業市民)」として行うべき、5つの重点エリアを新たに定
め、発表しました。
企業倫理と責任 Ethics & Corporate Responsibility
社会貢献 Community Impact
ダイバーシティ&インクルージョン(多様性の受容と活用) Diversity & Inclusion
性別による差別の排除 Gender Equality
環境サステナビリティ Environmental Sustainability
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P5
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P6
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P16
・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P18
・・・P12
4
企業倫理と責任
P&Gは世界50億人近くの人々に向けて製品とサービスをお届けしている日用消費財
メーカーです。70カ国近くに事業拠点を構え、お客様に信頼いただける品質の高い製
品で、市場をリードしてまいりました。世界中のお客様に長く愛され続けるためには、良
き企業市民として「正しいことを行う」姿勢が不可欠です。事業の透明性を保ち、社外の
皆様との協力関係を深め、人材を尊重し、社会的にも環境面でも責任ある調達を行う
― 私たちが長年にわたって、こつこつと築き上げてきた取り組みが、今、皆さまからの
信頼につながっていると確信しています。
P&Gグループ全社員の行動の根幹となり、共通の指針となるものが、企業理念(PVP=Purpose, Values, Principles)です。"お客様の暮らし
を、毎日少しずつであっても、より有意義なものにしていこう"という、社員が共有する目標であり、企業としての成長戦略でもあります。
P&Gグループでは、どの国で働く社員もまた組織も、各国の法律と法の精神にのっとり、高い倫理基準のもとで事業を行っています。私た
ちは、優れたコーポレートガバナンスは、優れた株主価値を生み出すと信じています。そして経営説明責任を果たすガバナンス原則・方針・
実践を維持してまいりました。企業理念に基づいたこのコミットメントが、株主の皆様にも、われわれP&Gにも利益を与えるものと考えてい
ます。
・企業理念(PVP)について・・・・・・・・・・P26
・コーポレートガバナンスについて・・・・P27
・安全・安心な製品づくりについてhttp://jp.pg.com/sustainability/safety.jsp
【関連資料】
5
社会貢献
180年近くにわたり、P&Gは製品やサービスを提供し、私たちが住み、働くコミュニテ
ィをよりよいものにしようと、努力を続けてきました。企業として、製品を通じて、また社
員の力をもって、世界の人々がより健康で安心した暮らしがおくれるよう、P&Gならで
はの取り組みを行っています。メキシコのご家族には安全な飲み水を、ウガンダの赤ち
ゃんが元気にお母さんと遊べるように、中国の地方部にすむ少女が学校に通えるよう
に―P&Gは助けを必要としている世界の人々の暮らしをお手伝いしています。
国内での活動
「女性支援・子ども支援」、「防災・災害・復興支援」、
「地域支援」の3つのエリアを中心に、P&Gの製品や事
業で培った知見、社員のスキルなどを生かした貢献を
しています。
海外での活動
世界的に活動する社会貢献団体ともパートナーシップを組
み、災害被災地や開発途上国などで支援を必要としている
方へ、深く広くアプローチしています。
P7 P10
"暮らし"によりそう P&Gならではの社会貢献活動
6
(上)セーブ・ザ・チルドレンによる、熊本地震緊急復興支
援(こどもひろば)
※写真提供:セーブ・ザ・チルドレン
(下)2016年4月に行ったチャリティーバザー
社会貢献
国内での活動
P&Gでは、製品・サービスや、事業の中で培ってきた知識、社員が持つスキルを生かして、「防災・災害・復興支援」「女性支援・子ども
支援」「地域支援」を中心に社会貢献活動を続けています。
・「パンパース」紙おむつとおしりふき、「ウィスパー」パンティーライナー
・神戸市が市営住宅を応急仮設住宅として提供している活動に対して、入
居時に洗剤などの日用品セット
・公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンによる、被災地の子ども支
援を中心とした熊本支援活動に支援金を提供。
・2016年4月に神戸本社で近隣の皆さまをお招きしてチャリティバザーを開
催。バザーで集めた募金と社員からの募金合計に、P&Gから同額をマッチ
ングして、日本赤十字社に寄付。
防災・災害・復興支援
毎日の暮らしをサポートする日用消費財を提供している企業として、P&Gでは大きな災害が起きた際には、被害にあわれた方々が少しで
も早く日常を取り戻せるよう、迅速かつニーズに合った支援を行っています。災害が起きる前の備えや防災に関しても、P&Gならではの
活動を行っています。
7
【支援物資】
【寄付金・支援金】
6,400万円相当の支援を行いました。支援にあたっては、被災地の皆さまに支
援物資をお届けするために、関西広域連合ならびに地方自治代の窓口、業
界団体、NGOと連携を取りながら活動を進めました。
熊本地震の被災地支援
災害時の備蓄品を提供―関西広域連合
災害時の備蓄品を提供―大災害の後は交通が制限され、企業だけの力で
は緊急物資を被災者の方々へ 関西広域連合届けることが難しいため、関
西広域連合と2013年2月に協定を結び、自治体の災害用備蓄に協力してい
ます。これまで救援物資の受け入れ拠点27か所に、累計で紙おむつ「パン
パース」約39万5千枚、「ウィスパー」の生理用ナプキン約5万5千枚、パン
ティライナー約22万枚を寄贈しています。これらは必需品であるとともに、お
風呂や洗濯に水が使えないときに便利な製品です。災害時に弱い立場とな
りがちな女性やお子さんを、製品提供を通じて支援しています。
ウェブサイトにPDFを掲載しています。
ダウンロードはこちら
http://jp.pg.com/bousai.jsp
抗がん剤治療による脱毛は、特に女性の患者さんにとって深刻な悩みのひ
とつです。“美しい髪を通じて、すべての女性がもっと輝く手助けをするこ
と”を目指すP&Gのヘアケアブランド「パンテーン」は、2008年よりNPO法
人キャンサーリボンズと協働し、がん治療中の女性に医療向けウィッグをお
贈りする活動を続けています。
看護学生さんに協力を呼び掛け、パンテーンで手入れしながら約半年間か
けて伸ばした髪をこれまで597名から提供いただき、ウィッグの一部に使っ
ています。これまでにウィッグをお贈りすることができた患者さんは356名
(2016年12月末時点)。患者さんからは“前向きな気持ちになれた”、“元気
になったらおしゃれを楽しみたい”など喜びの声をいただいています。看護
学生さんからも“ヘアケアする時間が患者さんのことを考える時間になりま
した”、”自分の髪が患者さんの笑顔のきっかけになると思うととても嬉し
い”などの声をいただいています。
「パンテーン キレイの力」について
詳しくはこちら http://www.ribbonz.jp/kireinochikara/
がん治療中の女性にウィッグを提供 パンテーン「キレイの力」プロジェクト
小さなお子さんのいるご家庭向け防災マニュアルを発行
2016年、防災教育のエキスパートであるNPO法人プラス・アーツ監修のもと、小さ
なお子さんのいるご家庭に向けた防災マニュアル「もしもの時も暮らしはつづく」手
帳を発行しました。当社が阪神・淡路大震災で被災したときの経験や、東北など
の災害支援を通じて得た学びをいかしつつ、災害に遭われた経験のある、小さな
お子さんの保護者の方々にもお話をうかがい、具体的なアドバイスをまとめまし
た。防災グッズや備蓄から、家族との連絡方法や心のケアといったソフト面での備
えまで、イラストを用いてわかりやすく紹介しています。
神戸まちづくり六甲アイランド基金
P&Gは積水ハウスと共同出資し、復興と未来への街づくりを目的とした非営利活
動を支援する「公益信託神戸まちづくり六甲アイランド基金」を設立しました。設立
から20年以上が経つ現在も、この基金を利用して、地域交流や街づくりに関する
様々な活動が行われています。
社員寄付基金
社員有志が運営する「P&G社員寄付基金」では、社員から集めた募金を東北被災地の復興支援活動などに寄付してきました。今
後も防災・災害・復興支援に役立てる計画です。
8
パンパース:8~9か月健診で赤ちゃんの育ちに関する教材配布
さまざまな子育て情報があふれる中、赤ちゃんを持つママにとって、信頼できる情報
は貴重です。P&Gの紙おむつブランド「パンパース」は、公益社団法人母子保健推
進会議と協力し、8~9か月健診の際に配っていただけるよう、その時期の赤ちゃん
の発育の特徴や留意点を解説したリーフレットと紙おむつの教材セットを、希望のあ
った自治体に無償で提供しています。
児童養護施設に製品を提供
2006年から、神戸市児童養護施設連盟に加盟している児童養護施設と、近畿地区の一部の乳児院に、紙おむつ、洗剤、シャンプーな
ど、P&Gがつくっている生活必需品をお贈りしています。子どもたちの健やかな成長を願い、製品の提供を通じて、気持ちよく安心して
暮らせる環境づくりのお手伝いをしています。
【滋賀工場】地域振興イベント「オクトーバーフェスト」に協力
滋賀県野洲市では2016年9月、市や商工会議所、工業会などが中心となって、地元
の魅力を全国に発信するイベント「オクトーバーフェスト&ジャズフェス in 野洲
2016」を開きました。野洲市に拠点をおくP&G滋賀工場も、昨年に引き続いてイベ
ントを協賛。コミュニティの一員として地域活性化に貢献するとともに、スキンケアブ
ランド「SK-II」を作っている工場として、地元の皆様にもっと身近に感じていただけ
るようアピールしました。ボランティアスタッフとして、滋賀工場の社員も参加。主に
飲食ブースを担当し、地元の皆様との交流を深めつつ、来場者に楽しんでいただけ
るよう、陰からイベントを盛り上げました。
【高崎工場】地元の高校で、社員が"世界の水問題"を出張授業
P&G高崎工場(群馬県高崎市)では、2016年12月、社員ボランティアが地元の群
馬県立桐生高等学校を訪れ、“世界の水問題”をテーマに特別授業を行いました。
桐生高校は、国際的に活躍する科学技術系の人材育成を目指す「スーパーサイエ
ンスハイスクール(SSH)」の指定校で、今回、理数科1年生の皆さんが授業を受け
ました。高崎工場では洗剤や柔軟剤を生産しているため、仕事で培った化学や水に
関する知識を生かした授業内容となりました。モンゴルやシンガポール出身の社員
も参加し、授業やグループ発表は英語で行われましたが、生徒さんは積極的に討
議や発表に取り組み、ユニークなアイデアもたくさん飛び出しました。
9
「安全な飲み水を 世界中の子どもへ」活動は、P&Gが2004年からグローバルに展開
しているフィランソロピー活動です。
世界には、安全な飲み水を手に入れることが困難な人々が10億人近くいます。不衛生
な飲み水が原因でコレラや赤痢などの下痢疾患にかかり、毎日約1000人の子どもが
命を落としています。また、毎日何キロも歩いて家族のために水を汲みにいく女性や
子どもたちも多くいます。
P&Gは、米国疾病対策センターと共同開発した「P&G簡易浄水剤」を、安全な飲み
水が恒常的に手に入らない開発途上地域や、災害や紛争時の緊急支援物資として提
供してきました。浄水剤1包で10リットルの水を家庭でも簡単に浄水できるため、水そ
のものを運ぶより軽くてかさばらず、物資の輸送が難しい地域でも効率的に配布でき
ます。社会貢献団体など150以上の社外パートナーと協力し、85カ国で活動を行って
きました。
この活動の目標は、2020年までに、累計150億リットルの水をご提供すること。2016年5
月には、水に換算して100億リットル目となる浄水剤を、メキシコのご家族にお届けする
ことができました。
災害が起きた後、生活必需品が手に入らず、不便な暮らしを強いられることが多々あ
ります。ヘアケア製品の「ヘッド&ショルダーズ」や「パンテーン」、電動歯ブラシ「オーラ
ルB」、紙おむつ「パンパース」などのブランドは、製品やサービスの提供を通じて、少
しでも快適な暮らしと復興をお手伝いしています。2016年度は世界26カ所の被災地
で、支援団体と協力をしながら、安らげる暮らしを取り戻すお手伝いをしました。
「安全な飲み水を 世界中の子どもへ」活動
災害支援
安心して暮らせる「ホーム」を提供
ハビタット・フォー・ヒューマニティは、スラムなどに暮らす人々に、安心して暮らせる住
宅を自立支援の仕組みとともに提供している国際NGOです。P&Gが同NGOと協働
を始めて10年以上となりました。2016年度、ブラジル、カナダ、アメリカ、ハンガリーな
どで、何百人もの社員ボランティアが、住宅の建設や補修、清掃を手伝いました。
・ブラジル=所得が低い12家族に対し、家の基本的な補修法の指導などを通じて、生
活向上をお手伝いしました。
・カナダ=トロントのイーストエンドで9件の住宅建設をお手伝いしました。
・シンガポール= 高齢者や障がいのある方のお宅を清掃しました。
社会貢献
海外での活動
10
教育は、子どもたちの将来の人生を形づくる、大切なものです。P&G中国は1996年、
発展途上地域に住む、経済的に恵まれない子どもたちのために、基本的な教育施設
を改善しようと、「Hope(希望)」プロジェクトをスタートしました。20年間で、200校以上の
改修をお手伝いすることで、30万人以上の子どもたちがよりよい教育を受けることが
できるようになりました。施設の修復からスタートしたこのプロジェクトは、芸術、スポー
ツ、音楽、演劇も含めた包括的な教育の提供にまで、活動のエリアを広げています。
中国の発展途上地域の子どもたちに
よりよい教育環境を
11
ダイバーシティ&インクルージョン
(多様性の受容と活用)
性別、国籍、年齢や、経験、価値観などの目に見えない違いも含め、人間は一人ひと
り異なります。P&Gは社員が持つ多様性を、貴重な財産と考え、個々の違いを互いに
認めて活かしあう「ダイバーシティ&インクルージョン(多様性の受容と活用)」を、1990
年代前半から推進してきました。
多様な才能とアイデアが集まることで、思いもよらないイノベーションが生まれます。多
様なお客様のニーズを深く理解でき、よりよい製品とサービスを提供することができま
す。社員一人ひとりが持てる力を最大限に発揮し、ビジネスにメリットをもたらす重要な
経営戦略の一つとして、ダイバーシティ&インクルージョンを推進しています。
P&Gが目指すダイバーシティ&インクルージョンの形
多様な人材が組織の中にいる状態(ダイバーシティ)だけでは、十分なメリットは得られません。一人ひとりの違いをお互いが受け入
れ、積極的に活かし合うこと(インクルージョン)で初めてメリットが得られます。
お客様、企業、社員にもたらすメリット
P&Gにとって、ダイバーシティ&インクルージョンの推進は、重要な経営戦略の一つです。お客様にも、私たち企業にも、社員にも大き
なメリットがあると考えているからです。
メリット例
・多様なアイデアが集まることで、より多くのイノベーションが生まれ、今までにない製品やサービスを提供することができる。
・お客様自体が多様性にとんでいるため、社内に多様性を持つことでニーズを深く理解できる。
・社員一人ひとりが充実感をもって働くことで、持てる能力を最大限に発揮でき、生産性が向上する。
・より広い母集団から、優秀な人材を確保することができる。
・グローバルに活躍する人材を育てるための土壌となる。
12
3つの推進の柱
P&Gでは、「企業文化」「制度」「スキル」の三本柱が整い、その相乗効果がうまれることによって、多様な個々人の「能力」と「成果」の
両方が最大化されると考えています。
国内での主な取り組み事例
通じて、改めてダイバーシティ&インクルージョンのビジネスへの重要性を学び、自ら
行動することを促す機会を提供。一人ひとりの最高のパフォーマンスを互いに引き出し
あう企業文化の醸成を目指しています。
ダイバーシティ&インクルージョン ウィーク
柔軟な働き方をサポートする制度
在宅勤務、フレックス・ワーク・アワーなど、社員が自分の仕事スタイルや、家庭環境も
含めて、自分に合った働き方を柔軟に選べるように制度を拡充してきました。2012年に
は「フレックス@ワーク」という考え方を導入し、これらの制度を、自身の生産性を向上
し、最大の成果を出すために、計画的・積極的に活用することを推奨しています。
制度例
ロケーション・フリー・デー: 特別な事由なく月に最大5日、会社や自宅以外の場所でも
勤務できる、いわば“在宅勤務の進化形” (育児や介護など特別な事由がある場合は
最大10日)
コンバインド・ワーク: 会社と自宅での勤務時間を合計して、フルタイム勤務ができ
る“時短勤務と在宅勤務の進化形”。育児・介護などの事由がある場合、最大週5日取
得が可能。
フレックス・ワーク・アワー: 勤務時間を月単位で調整し、毎日の始業・終業時間をフレ
キシブルに決められる制度。
13
25年をかけて培ってきたダイバーシティ&インクルージョンに関する知見
を、広く社外でも役立てていただこうと、2016年3月に社外啓発組織「ダイバ
ーシティ&インクルージョン啓発プロジェクト」を立ち上げました。セミナーや
アンケート調査などを通じて、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する
意義を発信するとともに、社内研修をベースに開発した独自の管理職向け
のインクルージョンスキル研修の無償提供などを行っています。
内閣府「平成27年度 子供と家族・若者応援団表彰」 子育て・家族支援部門 内閣府特命担当大臣表彰
厚生労働省「イクボスアワード2016」グランプリ
日本の人事部「HRアワード2016」(後援:厚生労働省) 企業人事部門 特別賞
Forbes JAPAN 「JAPAN WOMEN AWARD 2016」 企業部門「活躍推進部門」グランプリ、個人部門「革新をもたらすリーダー
賞」を含む3 部門で受賞
東京都「平成28年度 東京都女性活躍推進大賞」 産業分野 大賞
スキル研修
社員が日頃から職場でダイバーシティ&インクルージョンを実践するためには、その
方法(スキル)を身につけることが重要です。新入社員を対象としたダイバーシティ&
インクルージョンの重要性を学ぶ研修、管理職を対象とした部下をインクルージョンす
るための研修、経営陣を対象にしたインクルーシブな組織と文化醸成のための研修
など、それぞれの立場で必要なスキルを身につける研修を行っています。
P&Gダイバーシティ&インクルージョン啓発プロジェクト
ダイバーシティ&インクルージョンに関する最近の主な受賞
国内のダイバーシティ&インクルージョン推進体制
14
海外での主な取り組み事例すべての社員がお互いの価値を認め、活かしあい、最高のパフォーマンスを引き出す
社内表彰で学びを分かち合い、モチベーション向上
P&Gグループでは、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する「企業文化」を育てるために、毎年社内表彰を行っています。201
6年度は200以上のノミネートがあり、イノベーション、生産性、インクルージョン、リーダーシップの4部門で9チームを表彰しました。表
彰されたチーム・社員はダイバーシティ&インクルージョンによって、お客様を深く理解した製品・サービスの提供、チームの生産性の
向上、マイノリティの社員のインクルージョンの促進、世界各国で多様かつ優秀な人材の獲得などを行いました。
P&Gアメリカ:アフリカ系の社員の活躍促進
北米のP&Gでは人種や国籍など関係なく、全ての社員を尊重し、能力を十分に発揮できるよう多様性を活かしています。アフリカ系
のルーツを持つ社員がよりいっそう活躍できるように、改善できる余地がないか取り組みを続けています。例えば委員会をおき、専門
家の意見を取り入れて、アフリカ系アメリカ人の人材確保と維持の向上、幹部としての育成に役立てています。この考えは製品ブラン
ドによる活動にも及んでいます。10年続けてきた「My Black is Beautiful」はアフリカ系の女性の美しさを再認識し、女性自身が美の基
準を再定義するよう積極的に活動して、一人ひとりがもつ美しさや多様性を大切にするきっかけをつくるものです。
多様性なビジネスパートナーと取引
P&Gでは、多様なサプライヤーと取引することを重要なビジネス戦略と考え、40年以上にわたって取り組んできました。マイノリ
ティ、女性、退役軍人、LGBTの方が経営している企業とのネットワークによって、当社のイノベーションを強化しています。多様性を
尊重しているサプライヤーと年間10億ドル以上の取引がある企業のフォーラム「ビリオン・ダラー・ラウンドテーブル」のメンバーで
す。P&Gは9年連続で20億ドル以上の取引を行いました。
15
女性の約半数は、思春期に自信が低下するという調査結果があります。北米などで販
売している生理用品「オールウェイズ」は30年以上にわたって、こういった偏見を変え、
女性に自信を持ってもらえるよう活動を行ってきました。女性が初潮を迎えた後に自信
を失ってしまう、今まで見えてこなかった理由のひとつが、Like a girl(女の子みたいに)
という言葉が、相手を馬鹿にするような文脈で使われていることです。そこで、Girlに対
する偏見を覆し、Like a girlが素敵な言葉になるよう意識改革に取り組みました。
#LikeAGirlキャンペーンの動画は5億5千万ビューを超えました。調査によると、Like a
Girlという言葉を良いこととして受け取った人は、キャンペーン開始前の2013年には
19%だったのに対し、現在76%がポジティブに受け取っています。
昨年は少女を表す絵文字に注目し、ピンクの服、ネイルアート、髪をセットしているとい
った表現が、ステレオタイプであると指摘。女性たちからGirlを表す新しい絵文字を募
集し、グーグル、フェイスブック、ユニコードで採用されました。
性別による差別の排除
広く社会を見わたすと、性別による偏見や差別が、意識的であれ、無意識であれ、残
っていることがあります。P&Gは、性別に関わらず、全ての人が平等に尊重され、意
見を述べることができる社会づくりに貢献していきたいと考えています。
女性が使う製品やサービスを多く持つP&Gでは、それらの開発過程において、女性
の暮らしをつぶさに観察し、抱えている課題や、こうしたい・こうありたいという願いにつ
いて、理解を深めてきました。家庭、職場、学校をはじめ、あらゆる場で、女性が自由
に活躍し、持てる力を十分に発揮できる社会となるよう、製品やサービス、社員の活動
を通じてお手伝いしたいと考えています。誰の目にも明らかな不公平だけではなく、私
たちが無意識に抱いている偏見にもスポットをあて、偏見に気づき、変革するための
行動と対話を促しています。
生理用品「オールウェイズ(Always)」 #LikeAGirlキャンペーン
"女の子みたいに"という言葉をポジティブに意識改革
P&Gインドでは12年以上にわたり、ヒンディー語で教育を意味する「シクシャ」という活
動を行い、貧しい子どもたちに教育を受ける機会を提供してきました。これまでに100
万人以上の子どもたちを支援し、現在は社会から取り残されている女の子への支援
活動を拡大しています。政府やNGOと協力し、多くの女の子が学校に通えない原因で
ある、女性差別をなくす活動を行っています。女子生徒、教師、学校関係者、保護者と
協働することで、学習環境を改善し、より質の高い教育をサポートしています。
女子児童・生徒に教育の機会を
P&Gインド
16
生理用品「オールウェイズ」は、思春期教育を続けています。月経や思春期の身体の
変化に関する知識の乏しさや、生理用品が手に入らないことが原因で、月経時に学校
を欠席せざるを得ず、欠席が積み重なった結果、学校を退学してしまう女子児童・生
徒も少なくありません。オールウェイズは約10年間にわたる「Keeping Girls in School」
プログラムを通じて、のべ10万人に、350万枚の生理用品を提供するとともに、小学校
の女子児童に思春期と衛生に関する教育を提供しました。
生理用品「オールウェイズ」
17
当社の工場の動力源を
100%再生可能なエネルギー
にする。
すべての製品および包装に
100%再生可能材料、または
リサイクル材料を使用する。
消費者を満足させると同時
に、資源保存を最大化す
る製品設計を採用する。
埋め立て処理となる消費
後の廃棄物、製造における
廃棄物をなくす。
環境サステナビリティ
すべての社員が包括的に環境負荷を低減
P&Gは世界最大の日用消費財メーカーです。たとえ一つひとつの製品が環境に与え
る影響は小さくても、世界各地のご家庭で毎日製品が使われていることを考えると、事
業規模と比例して当社の環境保全への責任は大きく、果たしうる貢献も大きいと考えてい
ます。
また、地球環境に配慮した製品やサービスを提供することは、ビジネス成長の機会でもあ
ります。お客様に喜んでいただける優れた製品づくりを目指すと同時に、資源を大切
に使い、環境への負荷を最小限にする努力をしています。
長期ビジョン
P&Gは環境保全に関して、今後、何十年もかけて取り組むべき重点課題として、
4項目からなる長期ビジョンを掲げています。
18
P19 P21
2020年中期目標と
進捗状況 国内での取り組み P24海外事例
2020年までに当社施設によるエネルギー消費量を生産
単位あたり20%削減する2010年度比で20%削減
生産単位あたりのトラック輸送距離(km)を20%削減す
る2010年度比で25%以上削減
2020年までに、温室効果ガスの絶対排出量を30%削減
する2010年度比で10%削減
当社工場での再生可能エネルギー使用を30%に引き上
げる利用率9.6%達成
消費者による洗濯回数合計の70%を、お湯を使わない
洗濯にする2010年度の38%から61%に増加
パーム油に関するコミットメントの実行
トレーサビリティとサプライチェーン全体での初
期取り組み目標を達成。小規模農家に対する
取り組みで大きな進捗
2015年までに、紙製品および吸収性のある衛生製品に
使用するバージン木材繊維のすべてを第三者認証を得
たものにする
達成済み
2020年までにコストと規模が許す限りにおいて、主な石
油由来の原材料を、再生可能材料に置き換える技術を
確立する
石油由来のプラスチック樹脂と洗浄剤の代替
材料を可能にした
水効率のよい製品を10億人の消費者に提供する2015/16年度に4億5000万人へのリーチを達
成
生産施設における生産単位あたりの水使用量を20%削
減。特に水不足地域における水の保全を中心に展開2010年度比で24%以上削減
※2016年6月30日現在/2010年を基準年とする
環境サステナビリティ
2020年中期目標と進捗状況
19
生産活動で出る廃棄物の埋め立て処理ゼロを目指して
取り組みを強化する
P&Gの生産施設の55%で、生産活動から出
る埋め立て廃棄物をゼロにした
2020年までにすべての紙容器・包装に、リサイクル紙ま
たは第三者認証紙を使用する調査した原料の98%が条件をクリア
消費者1回使用あたりの容器・包装量を20%削減する 2010年比で約12.5%削減
製品の容器・包装の90%をリサイクル可能にするか、リ
サイクル可能とするためのプログラムを用意する2015/16年度、86%がリサイクル可能
プラスチック容器・包装におけるリサイクル樹脂使用を2
倍にする2010年度比で30%増加
固形廃棄物の埋め立て処理・単純廃棄を削減する方法
を検討するために、先進市場と開発途上市場の両方で
試験的研究を行う
フィリピンにおける「廃棄物を資源に」活動をさ
らに進展させ、クローズド・ループド・ファンドに
積極的に参加
2010年(基準年)からの進捗状況
中期目標の基準年となる2010年度以降、P&Gは生産量を伸ばす一方で、温室効果ガス、エネルギー消費量、廃棄物、水使用量
を絶対値においても削減することができました。
20
環境負荷の低減に向けて、国内に3拠点ある生産現場を筆頭に、原材料調達、輸送、間接業務などすべての事業活動において、全ての
社員が取り組んでいます。また取引先やサプライヤーとも協力体制を強め、サプライチェーン全体での環境保全を推進しています。
生産
気候
省エネルギー、CO 排出量削減に継続的に努力
紙おむつを生産している明石工場(兵庫県明石市)では、生産に使用するエネルギーは全て電力です。2020年にグリーンファクトリーにな
ることを目指して、近年は環境保全活動の中でも、節電に重点的に取り組んでおり、2015/2016年度は、工場全体で前年比約30%削減(生
産量当たり)を達成することができました。
特に効果をあげた施策は、2015年6月に行った、製造棟の屋根の遮熱塗装です。真夏でも24度以下に保たなければならない施設があるな
ど、空調に使用する電力は大きく、また、空調設備の多くは屋根裏部分に設置されているため、屋根からの熱の影響を大きく受けていまし
た。遮熱塗装によって、当該施設の2015/16年度の電力消費量を、前年比で約20%削減できました。
また同工場の設立当初(1982年)から使用してきた建屋や付帯設備を中心に、2014/15年度から4カ年計画で、エネルギー効率の高いもの
に順次置き換えています。2015/2016年度は、バキューム、ファン、空調などを刷新し、同設備の電力消費量を生産量当たり約10%削減で
きる見込みです。
高崎工場では、ジェルボール型洗剤の生産工程において、温度・湿度、作業者の衛生について厳しく管理しており、製造室には空調システ
ムを、生産設備には集塵設備を導入しています。2015年4月から2016年9月にかけて、これらの運転の最適化を行い、風量を約10%削減す
ることができました。2016年7-12月期を前年同期と比較すると、ジェルボール型洗剤の生産設備全体の使用電力を約2%削減できました。
廃棄物
廃棄物削減と有効活用をさらに進める取り組み
2
滋賀工場(滋賀県野洲市)は、SK‐IIなどの化粧品・スキンケア製品を製造しているた
め、製造用タンクや配管を高温の蒸気や純水で定期的に洗浄・滅菌しています。数年
前から同工程で使用するガス・水の効率利用に取り組んでおり、2015/2016年度は、
蒸気を生成する設備について、ボイラーの配管を保温材でカバーして放熱を防ぐ改
良を行いました。その結果、エネルギー効率が向上し、年間約500トンのCO 2排出量
の削減に貢献する見込みです。
環境サステナビリティ
国内での取り組み
P&Gグループでは、生産拠点から出る固形廃棄物の単純埋め立てをゼロにすること
を目指し、世界中の生産拠点で活動しています。日本国内にある3つの工場では、す
でに2014年に廃棄物の埋め立て処理ゼロ化を完了していますが、廃棄物を有効活用
するべく、さらに継続して取り組みをすすめています。
高崎工場では、部署横断的なメンバーからなる「ウェイスト バスター チーム(waste=廃
棄物)」を発足。廃棄物の排出量の削減や、さらに積極的にリサイクル・リユースできる
機会はないか、工場内の個々のフローを見直しました。たとえば、製造タンクの運用効
率の見直しによる廃棄物・廃水の削減、設備改良により生産工程での品質管理をさら
に厳格化することで最終製品の検査数量を最適化、ジェルボール型洗剤のフィルムの
端材や紙管を分別する装置を社員が考案、前年に続きファブリーズの廃液を粉塵・臭
気除去剤の原料として売却しリサイクルするなど、創意工夫を積み重ねることで、同工
場の製造工程から出る廃棄物を重量ベースで12%削減することができました。21
化粧品を生産している滋賀工場では、生産品質を厳格に管理するために、製品や、製
造装置の洗浄に大量の純水を使用しています。純水を生成する装置は、生成した純
水と、その残りの濃縮水のタンクを定期的にすべて排水することで、生成水と装置の
清浄度を保っていますが、品質が十分に保たれていることを確認しつつ、排水頻度を
見直しました。洗浄のインターバルを1時間から4時間に変更し、同工程の水使用量を
年間7500トン削減できる見込みです。
P&Gでは輸送から出るCO の削減に、継続的に取り組んできました。例えば、トラッ
クの積載率を向上するために、製品輸送用のダンボール箱の形状を、輸送パレット上
に効率よく積み上げられるよう改良するなどの取り組みを続けています。2015/16年度
は特に紙おむつや洗剤カテゴリーで活動しました。また、製品そのものの容器につい
ても、容器の設計を見直す際は、輸送効率にも配慮しています。倉庫を経由しない取
引先への直接配送も引き続き推進し、タイムリーかつ経済面でのメリットに加えて、輸
送距離を短縮し環境保全にも貢献しています。
洗剤などを生産する高崎工場(群馬県高崎市)、紙おむつを生産する明石工場(兵庫
県明石市)で生産した最終製品の一部について、2015年春から試験的に、2015年秋
から定期便として鉄道輸送に振り替えています。高崎工場からの西日本向けの輸送
と、明石工場から東日本向けの輸送に鉄道を利用。トラックの手配が困難な輸送繁忙
期でも安定した物流が確保できるとともに、輸送エネルギーとCO 排出削減に貢献し
ています。現在、P&Gが持つ国内工場と倉庫間の輸送量全体の約2%(重量ベース)
に、鉄道輸送を利用しています。
水
品質を保ちながら使用量を削減
輸送
トラックの積載効率向上、鉄道輸送などCO 排出量削減に努力
オフィス
2
2
2
P&G日本本社(兵庫県神戸市)は、2016年夏に神戸市三宮地区にオフィスを移転しま
した。2015/16年度はその準備の一環として、神戸本社を中心に、紙で保存していた資
料のデジタル化、業務プロセスのペーパーレス化を進めました。そのため一時的に多
くの廃棄物が出ましたが、長期的な省資源、廃棄物削減に大きく貢献すると期待して
います。このほか、2015/16年度は、組織や人員変更に柔軟に対応したオフィスの効
率的利用や、夜間の自動消灯など、省電力への取り組みも継続して行いました。
新たにオフィスを移転した建物は、神戸市建築物総合環境評価制度(CASBEE神戸)
で最高のSランクを取得しており、2016/17年度には更なる省エネルギー効果が見込
まれます。また、社員が固定のデスクを持たないフリーアドレス制を採用するなど、オ
フィスの利用効率をさらに向上することで、社員一人あたりのエネルギー消費量の削
減を図っています。環境側面だけではなく、充実したITインフラや、社員間の交流を促
進するオープンなオフィス設計など、社員の生産性を向上し、快適に働ける環境を整
備しました。
ペーパーレス化をさらに推進
環境に配慮したCASBEE神戸Sランクのビルに移転
22
容器や包装の省資源化は、資源の保全に貢献するだけでなく、お客様が製品をご使
用になった後の廃棄物削減にもつながる重要な活動です。P&Gは1989年、国内初の
洗濯用洗剤の詰め替えパウチを発売し、その後も詰め替え容器の利用拡大をすすめ
てまいりました。その他、容器の薄肉化に取り組みプラスチック量の削減、リサイクル
原料や再生可能原料の採用など、容器による環境負荷の低減へ多角的に取り組んで
います。
製品・容器
容器・包装プラスチック削減で長期的な取り組み
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洗濯用洗剤「タイド ピュアクリーン」
再生可能原料を活用
環境に配慮した製品を開発しながら、製品の性能を高く保つことは容易ではありま
せん。北米で販売している洗濯用液体洗剤「タイド ピュアクリーン」の開発において
は、洗浄力を維持しつつ、成分の約65%に植物などの再生可能原料を用いること
ができました。もちろん既存製品と同様、常温の水で(注:北米ではお湯で洗濯する
ことが一般的)きれいに洗い上げることができ、洗濯時の省エネルギーにも貢献して
います。またこの製品を製造している工場は、風力発電でつくられた電気を用いて
おり、単純埋め立て廃棄物ゼロを達成しています。
トイレットペーパー「シャーミン」
森林保護の第三者認証を製品に表示
北米などで販売しているトイレットペーパー「シャーミン」のパッケージに、FSC(森林
管理協議会)認証とレインフォレスト・アライアンス認証ラベルを表示しています。こう
いった第三者認証を受けて製品に表示することで、お客さまに安心して森林保護に
配慮した製品を選んでいただくことができます。シャーミンには、管理された森林か
ら調達した材料を使っており、例えば木を一本使うたびに、新しい木を一本育ててい
ます。
廃棄物に新たな価値を与える
廃棄物をそのまま処分するのではなく、他の製品の原材料として再利用するなど、新たな価値を見出す活動を続けています。例えば電動
歯ブラシ「オーラルB」の生産工程で出る廃棄物は建材に、ヘアケア製品「ヘッド&ショルダーズ」の場合は中国で肥料に、生理用品「オール
ウェイズ」はインドで安価な靴底に有効利用されています。9年間の取り組みで、数百万トンの廃棄物を再活用し、それにより16億ドルの費
用を削減しました。
サプライチェーンを通じた森林保護への取り組み
パーム油は様々な産業で広い用途に使われています。P&Gでは主にその副産物であ
るパーム核油を、ファブリック&ホームケア製品やビ.ューティケア製品の一部に使っていま
す。2020年までにサプライチェーンにおける森林破壊をゼロにするという目標に向け
て、3つのアプローチ― サプライヤー管理、小規模農家との協働、業界スタンダードの
構築― を柱に努力しています。
環境サステナビリティ
海外事例
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4年前倒しでエネルギー削減目標を達成
2020年度までに、P&Gの施設におけるエネルギー消費量を、2010年度比で生産
量あたり20%削減する目標を掲げてきましたが、4年前倒しで2016年度に達成する
ことができました。効果をあげた取り組みの一つが、省エネルギー社内キャンペー
ン"パワー・オブ5"で、社員が自ら目標を掲げ、毎日の業務の中で取り組んできた積み
重ねが大きな成果となりました。
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・私たちは、すべての個人を尊重します。
・会社とその個人の利害は分かち難いものです。
・私たちは、戦略的に重要な仕事を重点的に行います。
・革新は、私たちの成功の礎です。
・私たちは、社外の状況を重視します。
・私たちは、個人の専門能力に価値をおきます。
・私たちは最高を目指します。
・相互協力を信条とします。
世界の人々の、よりよい暮らしのために
P&G社員のすべての活動の原点になるものが「企業理念」です。社員一人ひとりが誠実であること、すべての個人を尊重すること、そし
て、常に正しいことを行うという当社の伝統は、175年以上続くP&Gの長い歴史を通じて脈々と受け継がれてきました。世界中のP&G
社員が、世界中のお客様の信頼に応えて、より優れた品質と価値をもつ製品とサービスを提供するため、日々、最善を尽くしています。
企業目的/Our Purpose
私たちは、現在そして未来の、世界の消費者の生活を向上させる、優れた品質と価値をもつP&Gブランドの製品とサービスを提供しま
す。その結果、消費者は私たちにトップクラスの売上と利益、価値の創造をもたらし、ひいては社員、株主、そして私たちがそこに住み働
いている地域社会も繁栄することを可能にします。
補足資料①
共有する価値観/Our Values
P&Gは、社員とその生き方を導く価値観(バリュー)とから成ります。 私たちは、世界中で
最も優秀な人材を引きつけ、採用します。 私たちは、組織の構築を内部からの昇進によっ
て行い、個々人の業績のみに基づき社員を昇進させ、報奨します。 私たちは、社員が常に
会社にとって最も重要な資産であるという信念に基づき、行動します。
行動原則/Our Principles
以下は、企業目的および共有する価値観から派生する、社員の行動原則です。
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企業理念
ワールドワイド・ビジネス・コンダクト・マニュアルに定めた項目例
製品安全性の確保、公正な取引と公正な競争、利害の衝突の開示、プライバシー保護、正確
な帳簿や記録の保持、賄賂・不正行為の防止、環境保護、職場における互いの尊重、公正な
雇用慣行、職場の安全と衛生の確保、上記に対する違反の報告
“Do the right thing (正しいことを行う)”という信念のもと、P&Gは早くから強固なコーポレート・ガバナンス体制を整え、法規制を遵守
し、高い倫理基準に則った公正で透明な経営を続けてきました。経営陣が自らの利益にとらわれず、会社を長期的かつ健全に成長さ
せることに専念するようにシステムを整えています。
内部統制
明文化したポリシーと業務手順、職務の分離(セグリゲーション)、社員の慎重な採用と教育により、厳格な内部統制を行っています。
P&Gの取締役会は社外取締役が大半を占めており、経営陣から独立性をもってガバナンスを実現するという自らの役割を深く理解し
て行動しています。
取引はすべて公認された方法で行い、財務記録については十分な信頼性を保つため、米国で一般的に認められた会計原則に則って
合理的な保証ができるシステムを構築しています。また、公開すべき情報を適切かつタイムリーに報告するシステムを整えています。
監査
内部統制が正しく機能しているかは、社内外の監査によって継続的に確認しています。P&Gの監査部門は米国本社を中心とするグ
ローバル組織で、通常業務から独立性を保ちながら、社内のあらゆる部署を監査する権限を持っています。監査は統一された厳格な
基準のもと、国や地域ごとに行い、結果は米国本社のCFO(チーフ・ファイナンシャル・オフィサー)と、経営や財務に関する知識が豊富
な社外監査役からなる取締役会監査委員会に直接報告されます。さらに、社外の会計監査法人が、内部統制の有効性を評価してい
ます。
コンプライアンス誠実で透明性のある経営を実践するのは社員であり、その基礎をなすのは企業理念です。P&Gではこの企業理念を、行動規範
「ワールドワイド・ビジネス・コンダクト・マニュアル」として、社員が日々の業務の中で取るべき具体的な行動に落とし込んでいます。業
務上の意思決定をすべて行動規範に基づいて行うよう、社員自らが定期的に自己診断する制度を設けています。万が一、法律や行
動規範に対する違反を発見した場合に、社員がそれを匿名で会社に報告できるシステム「ヘルプライン」を導入しています。
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補足資料①
コーポレート・ガバナンス(企業統治)