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1/24 2015-12-04_SatelliteOperation.ppt T. Mizuno et al. 人工衛星を用いた天体観測の現場 2015124日本航空宇宙学会西部支部講演会@広島大学 水野恒史(広島大学 宇宙科学センター)

2015-12-04 SatelliteOperation v3 - Hiroshima …mizuno/GLAST/...2015/12/04  · T. Mizuno et al. 2015-12-04_SatelliteOperation.ppt 1/24 人工衛星を用いた天体観測の現場

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人工衛星を用いた天体観測の現場

2015年12月4日日本航空宇宙学会西部支部講演会@広島大学

水野恒史(広島大学 宇宙科学センター)

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Self Introduction

• 所属は広島大学宇宙科学センター X線ガンマ線部門

• 大学院時代から一貫して「飛翔体(人工衛星など)を用い

た高エネルギー光子による宇宙観測と装置開発」をしています

• センターの運営委員を務めていただいている遠藤先生から「衛星と天体観測」について講演依頼をいただきました

– 衛星の具体的な運用の仕方(いつ、どちらに向けるかをどう決めるか)や国際協働作業、どのような年齢層の人が運用している

か等についてお話し風に聞かせてもらえるとよいのでは、との説明を受けました

• 衛星の運用は、地道で人間臭いところがあります。それを伝えて、親しみを持ってもらえたらと思います。

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Contents

• 人工衛星、ロケットについて

• X線衛星「すざく」について

– プロポーザルシステムと運用の概略

• 観測提案者からみた運用について

• 運用の現場から

– 運用当番中に体験したエピソード

– 即時観測のための奮闘例

• まとめ

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Why Satellites?

• 可視光と電波という2つの窓以外では、宇宙からの電磁波は大気により吸収または散乱され、地上に届かない

• 大気の「2つの窓」以外の電磁波で宇宙を観測するには気球、ロケット、人工衛星など飛翔体を用い、大気圏外に出る必要がある

大気分子の振動

電波 赤外線 紫外線光 X線 ガンマ線

高度

50 km

100 km

原子中の電子による光電吸収大気分子

(水、CO2など)の回転と振動

電子のコンプトン散乱

電磁波に対する大気の透明さ

修理も取り換えもできない。従って衛星はとても大事。観測時間は大事

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X-ray/Gamma-ray Satellites

• これまで携わってきた人工衛星

X線衛星「すざく」2005 Jul. -- 2015 Aug.運用&データ解析

ガンマ線衛星Fermi2008 Jun. -- Present

気球実験(動作実証)運用&データ解析

X線衛星「あすか」1993-2000

運用&データ解析(博士号取得)

X線衛星「ASTRO-H」2016-(次期国際X線天文台)

装置開発

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Suzaku vs. Fermi

• X線衛星とガンマ線衛星の違い

– 「すざく」の視野は~0.5 deg x 0.5 deg (<=0.1 msr), ポインティング観測

– 「Fermi」の視野は~2.4 sr, 全天サーベイ

• ガンマ線衛星のデータは即時公開なのに対し、X線衛星は観測提案に従って観測され、提案者が一定の権利を有するという違いがあります

• ガンマ線衛星も、色々な「運用当番」があり、国際競争・協調にまつわる話がありますが、ここではX線衛星の運用について主に紹介していきます

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Japanese X-ray Satellites

• X線

はくちょう (1979) てんま (1983)

ぎんが (1987)あすか (1993)

回転すだれコリメータでX線バーストの研究、100 kg

蛍光比例計数管で宇宙高温プラズマの研究、200 kg

大面積比例計数管で遠方のクエーサーなど、400 kg

X線反射鏡+CCDカメラ/蛍光比例計数管による、4 keV以上で初の撮像分光、400kg

改良された反射鏡+CCDカメラ, マイクロカロリメータ、硬X線検出器, 1700kg

すざく (2005)

装置の高性能化に伴い重量が増えている

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M-rockets and Satellites

イプシロンL-4S M-4S M-3C M-3H M-3S M-3SII M-5

おおすみ

ぎんがようこうあすか

はやぶさ「すざく」あかりひので

1970年代

80年代前半 80年代

後半~90年代前半

衛星

3段目

2段目

1段目2013~

1996~

2006

はくちょう てんま

• ロケットの性能向上がより重く高性能な衛星を実現してきた

(A-HはHII-Aで打上げ)

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Suzaku Launch @ Uchioura

• 日本のX線分野は特に「自前で検出器を開発し、自分たちで運用する」という伝統が強い

2005/7/10打ち上げ成功

エレクトロニクスの試験1ユニットの試験センサーの製作

組み上げ、振動試験、環境試験、、、

硬X線検出器 開発チーム/2004.6

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Suzaku Orbits

135

• 高度約550 kmの低周回円軌道:100分で地球を一週(一日15週)• 鹿児島の内之浦(USC)上空を一日5回通過し、約10分間交信可能。そ

の間に「全コマンドを衛星に送り、全データを地上に降ろす」

• ブラジル上空の南大西洋地磁気異常帯(SAA)では地磁気にトラップされた荷電粒子が多いため観測を行わない。

• 一日5回の運用時間は約40分/day早くなる(時間帯によってはつらい)

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Call for Proposal

• 視野が狭く(~0.5 deg x 0.5 deg)観測天体は限られるため「プロポーザル」を通し観測時間を勝ち取る必要がある。(外国の衛星も同様)– 通常は観測の諸元+4ページの「提案書」を提出(日本語or英語)。長時間

のプロジェクト観測は8ページ(英語)• 地没, SAA, TOO(突発現象)観測, 衛星のキャリブレーションなどのた

め公募観測に充てられる時間は40%弱(0.4 x 360d x 86 ks ~ 12 Ms)これを世界中の研究者と競争する(倍率3-5倍)

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Observation Planning and Operation (1)

• 観測提案は複数の審査員により評価され採択か否かが決まる。採択課題は三段階に優先順位付けされ、pri-A, pri-Bは観測が保証される。pri-Cは計画の隙間にうまく入る物を拾い上げて観測

• 採択された提案リストに従い、いつ、どのターゲットを見るかという「観測計画」を宇宙科学研究所の研究者が行う

– ターゲットのviewing, 太陽角などの制限のなかで「できるだけ多くの観測を行う」ように計画

• 衛星に送るコマンド(姿勢や観測モード)を作成するのは各研究機関の研究者・大学院生が宇宙研で行う。(途中から一部外部に委託)

• 実際の運用(コマンド送信、データのダウンロード、装置の健全性の確認)は各研究機関の研究者・大学院生が内之浦で行う

– 水野や広大のスタッフはほぼ年一回、内之浦で運用に従事。大学院生とペアで10日~2週間の滞在

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Observation Planning and Operation (2)

• 以下の4つのプロセスで「観測」に到る

– 審査員による「プロポーザルの評価」 - - - - - - - - -– 宇宙研研究者による「観測計画」

– 研究者/大学院生@宇宙研による「コマンド作成」

– 研究者/大学院生@内之浦による「衛星運用」

http://www.isas.jaxa.jp/j/about/center/index.shtml

(中堅~シニア)

(若手~中堅)

貴重な衛星の観測時間を有効活用するため• よい提案を選び(何を見るか)• 効率的な観測計画を立て(いつみるか)• 適切なコマンドを作成し(具体的な姿勢

とモード)• 確実に運用する(コマンド/データの送受

信、健全性確認)

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A story of some proposal(提案者からみた小話) (1)

• 採択提案は三段階に優先順位付けされる。pri-A, pri-Bは観測が保証される。pri-Cは計画の隙間にうまく入る物を拾い上げて観測

• 水野提案のGeVガンマ線超過Cygnus cocoonはpri-Cで採択され2012年5月に長期計画に入ったが、TOO(突発現象観測)のためキャンセル。pri-Cなため「振り出しに戻る」

• 2012年11月に再び計画に入り3箇所観測いただいた

• 残り1箇所も2013年11月に観測された(再度観測提案をし、採択いただいた)

• 研究室の学生の修士学位論文としてまとめ、その後を引き継ぎ論文化(Mizuno+15, ApJ 803, 74)

(pri-Cが観測されるのは20%程度なので運がよかったです)

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A story of some proposal(提案者からみた小話) (2)

• 採択提案は三段階に優先順位付けされる。pri-A, pri-Bは観測が保証される。pri-Cは計画の隙間にうまく入る物を拾い上げて観測

• 水野提案のTeVガンマ線源VER J2019は2014年5月に観測計画され、座標や装置のモードなどを宇宙研担当者とやりとりし決定・確認

• 観測直前で「すざく」がsafe hold(自身の安全のため太陽電池パドルを太陽に向け回転)に入るという事象が起きてキャンセル。振り出しに戻る。「priority Cのターゲットから再観測の予定はありません」とのダメ押しの連絡

• 2014年11月に再びスケジュールにのり今度は無事観測。再度の幸運。

• 論文化に向け、鋭意解析中

P2, 2-10 keV P3, 2-10 keV

(この幸運は成果で返さねばなりません)

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Operation at Uchinoura (1)

• メーカーさん(衛星、アンテナ)と研究者+院生の共同作業

• 後者は若手~中堅スタッフ(またはシニアな院生)と大学院生との2人体制。上位ビット/下位ビットと呼ぶ。10日~2週間交代

• 運用は一日5パス(約7時間)+事前準備、事後データ解析で約12時間

• 山の上の施設に寝泊まりして運用。賄いさんが食事を作りにきてくれる。

• 週1日は休みで麓の町に降りて散策、食事。これが楽しみ(海産物が美味しい)

コマンド運用

上位ビット(衛星状態監視) 局運用管制(通信)アンテナ管制

下位ビット(別室でQL監視)

http://www.isas.jaxa.jp/j/special/2008/suzaku/02.shtml

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Operation at Uchinoura (2)

• メーカーさん(衛星、アンテナ)と研究者+院生の共同作業

• 後者は大学院生と若手スタッフの2人体制。10日~2週間交代

• 運用は一日5パス(約7時間)+事前準備、事後データ解析で約12h時間

• 山の上の施設に寝泊まりして運用。夜の34mアンテナは美しい。

• 週1日は休みで麓の町に降りて散策、食事。これが楽しみ。季節によっては伊勢海老が手頃な価格で食べられる。

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Various Things Happened (1)

• (かなり昔なので記憶があいまい)• 1999年5月(当時D3)に上位ビット(現場責任者)として「あすか」の運

用にあたる。時節柄、運用合間&休みの日に学振PDの申請書書き。

• ある日下位ビットより「事後データ解析で得られた画像が真っ白」との報告。解析手順に問題はなさそう。翌日に備え就寝を指示し、夜中に色々調査

– 装置の問題なら報告・対処が必要。解析ソフトの問題なら修正が必要

• 色々調べたところ巨大な縞が生じていることが分かった(=検出器の問題)。真夜中に宇宙研の担当者に電話して報告・相談

• その後の運用中に調査を進めるが、結局該当チップを使わないことで対処

http://www.astro.isas.ac.jp/~dotani/sisCal/defect.html

(この時書いた学振PD申請は採択いただき、翌2000年4月より広島大学でPD。米国に長期滞在させてもらいFermi衛星の開発などをさせてもらいました)

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Various Things Happened (2)

• 2005年12月に広大に着任し初めて「すざく」運用にあたる

• 出発日に大雪で飛行機が欠航。最終便で内之浦到着。その日現場はsafe holdからの復旧で大わらわだった

– 「遅れてすいません」「お客様大変申し訳ありません」

– 「大雪で大変です。遅れます」「大変なのはこっちですよ」

• 現地で再び大雪(12月としては記録的)。水道が断水し賄いさんも昼まで来れない。

– ポットのお湯+カルピスが頼り

• 大風のため1パスキャンセル

• 大晦日まで運用(開始は12/30夜)下位ビットが素晴らしい効率と正確さで事後解析を終わらせ帰路につく

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Various Things Happened (3)

• 2013年9月の運用はイプシロンによる惑星観測衛星「ひさき」の打上げとかぶる。

• 「打上げ」と「延期」に備えて2倍のコマンド作成(宇宙研)とクロスチェック(内之浦)を行う。打上げ後はパス(通信可能時間帯)を優先的に配分。

– お互いさまなので皆喜んで協力。私は大学時代の同期が関わった衛星なのでなおさら

• 打上げを生で見ることができ感無量(Fermi衛星に次いで2機目)

http://www.isas.jaxa.jp/j/topics/topics/2013/0914.shtml

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GRB afterglow by Suzaku (1)

• (田代氏の天文月報2007年6月号の記事より)• ガンマ線バースト(GRB): 極超新星爆発 or 中性子連星の合体による

宇宙最大の爆発現象。相対論的ジェット(物質の噴流)で強い指向性を持ち輝くとされる

• Swift衛星により早期からX線残光が観測。複雑な振る舞い

「すざく」により、減光に伴うスペクトルの変化と鉄輝線の探査を行うのが目的

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GRB afterglow by Suzaku (2)

• ガンマ線バースト(GRB): 極超新星爆発 or 中性子連星の合体による宇宙最大の爆発現象。相対論的ジェット(物質の噴流)で輝く

• Swift衛星により早期からX線残光が観測。複雑な振る舞い

• 「すざく」による詳細観測を行いたいが通常は一日かけてコマンド作成、運用を行う。特別な体制・コマンド作成・運用が必要

• 2016年1月5日15:50にSwiftによるGRB060105の報告(交信可能時間帯の1h17m前)

• 16:21 青山学院大学からコマンド作成担当が自転車で宇宙研に

• 17:00 コマンド作成開始• 17:56 TOO提案。18:35に承認• 20:37 この日第三番目の受信時間帯にコマンド送信。20:50に姿勢変更

• 22:09 最初のデータ取得

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GRB afterglow by Suzaku (3)

• ガンマ線バースト(GRB): 極超新星爆発 or 中性子連星の合体による宇宙最大の爆発現象。相対論的ジェット(物質の噴流)で輝く

• Swift衛星により早期からX線残光が観測。複雑な振る舞い

• 「すざく」による詳細観測を行いたいが通常は一日かけてコマンド作成、運用を行う。特別な体制・コマンド作成・運用が必要

汎用天文台として最速観測を記録鉄輝線に強い制限事前の予想よりも暗い=>早い(最速)のジェットブレーク

• 2016年1月5日15:50にSwiftによるGRB060105の報告(交信可能時間帯の1h17m前)

• 16:21 青山学院大学からコマンド作成担当が宇宙研に

• 17:00 コマンド作成開始• 17:56 TOO提案。18:35に承認• 20:37 この日第三番目の受信時間帯にコマンド送信。20:50に姿勢変更

• 22:09 最初のデータ取得

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Summary

• X線ガンマ線による高エネルギー天体観測にはロケットによる人工衛星の打上げが必要

• 衛星は大事、観測時間も大事

• 特にX線衛星(おもに「すざく」)に焦点をあて

「観測提案」「観測計画」「コマンド作成」「運用」の流れとエピソードを紹介

Thank you for your Attention

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Appendix(Fermi衛星の運用:

日本チーム向けの資料から)

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GLAST/LATの特徴

100 sec

1 orbit

1 day

•GLAST=LAT+GBMLAT(20 MeV-300 GeV, 2.5sr): γ線宇宙を「広く、深く」見る。GBM(10 keV-30 MeV, 9sr): WAMに匹敵する視野。LATまでつながるエネルギー範囲

•γ線宇宙を常時モニタすることができ

るため、突発現象の研究とともに、「通知」を行なうことが期待されている。

•当番が必要!HXDよりはWAM当番に近い(多分)達

成さ

れる

感度

(10-

6cm

-2s-

1 )

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Three Types of “Shift”

•Burst Advocator … GRB当番。•Flare Advocator … AGNフレアなどの当番。•Duty Scientist … データプロセス、検出器のモニタ当番。

•BA/FAは各々のサイエンスグループが担当。DSは各機関で担当し、最初の2月はSLAC (ISOC; Instrument Science Support Center)で、その後は日米欧の3局体制で行なう。DSとBA/FAは、

協力して突発現象のモニタにあたる。なお、衛星とコマンドのやり取りをするのは、GSFCのMOC (Mission Operation Center)が担当。ISOCと協力して衛星運用にあたることになる。

•以下、各当番の仕事の説明。運用は生き物なので、仔細は異なるかもしれないが、雰囲気をつかんでください。

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Flow of BA Task

•軌道上もしくは地上での自動解析により、アラートが通知される•BAによる解析(反応がないときは、DSが別途人をアサイン)•EVO(オンライン会議)召集。LATのモードの確認など•GCNに投稿

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Flow of FA Task

•地上での自動解析により、アラートが通知される•FAによる解析•EVOを召集し、TOO観測や、多波長観測を行なう。

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What is DS Supposed to Do?

•検出器や衛星のモニタ、データプロセスのモニタ要は健康診断。問題があれば、shift coordinatorやサブシステムのexpertに連絡

•BA/FAともやりとり要は突発現象のサイエンス。GCN/TOO/他

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いつ・どこで運用するのか?

•SLAC bldg. 84にあるMSR (Mission Support Room)で行なう。

端末が4台+α?Webベースで、検出器情報、HK情報、プロセッシング状況をモニタ

•三局モニタ時には、各機関でモニタNetworkにつながる端末があればよいオンライン会議(EVO)システムも必要

•L+60(打ち上げ後60日)までが「初期運用」検出器立ち上げ、キャリブレーションpointing/survey観測も試験的に行なう。Burst/Flareにももちろん対応する

サイエンスもできる(せねばならない!)

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Web Interface for Operation (1)

Burst/Flareのアラート

Processingの確認

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Web Interface for Operation (2)

検出器モニタ (trigger rate, hit map)は、Web上の項目をクリックすることで行なう

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Reference

•運用のリファレンスはいっぱいあるが、Wikiにまとめておいたので参照してください。

•運用手順はどんどん変わるはず!情報共有のため、Wikiを活用しましょう。