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血圧について真剣に考える 2014/7/8 慈恵ICU勉強会 藤井 智子

2014/7/8" CVは必須ではない(" 過剰輸液の兆候:頚静脈 怒張,( ラ音,SpO2 の低下(" SBPの目安:Baseline(SBP から10%以内の低下で低 還流の所見がなければ、

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血圧について真剣に考える

2014/7/8  慈恵ICU勉強会  藤井 智子

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目次 •  臓器還流のAutoregula5on  •  輸液で血圧を上げるということ  •  血管収縮薬(ノルアドレナリン)で血圧を上げるということ  

•  血圧をどこまで上げるか  •  血圧を上げないという選択肢  •  雑感  

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MAP  60mmHgが人の脳還流圧のAutoregula5onの下限

犬の腎臓、動静脈、尿管にカニュレーションして圧と流量を測定 Am  J  Physiol  1971;  220:  1621-­‐26

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腎静脈圧/尿管圧が上がると腎動脈圧が維持されていても、腎還流量は低下する

Pv=2mmHg

Pv=10mmHg

Pv=20mmHg

還流圧  PA-­‐PV

Am  J  Physiol  1971;  220:  1621-­‐26

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高血圧患者の脳循環  Autoregula5onの下限は  

120mmHgくらい BMJ  1973;  1:  507-­‐510

高血圧患者の上腕動脈、内頚静脈にカニューラ留置  投薬(angiotensin  amide,  trimetaphan  camsylate)によって  血圧を人為的に上げたり下げたりする  脳循環の酸素消費率を測定  

120 70

高血圧患者

健常人

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髄膜炎ラットでは脳循環のautoregula5onは破綻している

•  正常ラットに肺炎球菌を髄注した髄膜炎モデルを作成  •  24時間後にCPPとCBFを測定  •  A:  正常ラット B:髄膜炎ラット

J.  Appl  Physiol  2007;  102:  72-­‐78

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敗血症では脳循環のautoregula5onは正常には機能していない!?

ICM  2001;  27:  1231-­‐1234 神経ICUの敗血症患者 8名  PaCO2の変化に対するCBFの変化率(NCR)、Hb濃度を測定(TCD,  NIRS)  敗血症ではない時と比較 血圧は”autoregula5on”の範囲内に保てているのにNCRは低下、各種Hb濃度も低下

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Newtonian  Fluidの復習と臓器の血流 •  血流は血管壁との摩擦によってエネルギーを失い、血管内には血流のエネルギーの層ができる(Viscosity)  

•  エネルギーの喪失によって血流の上流と下流で圧力差が生じる(Resistance)  

•  R∝l/r4  (Poiseuille’s  law  of  resistance)  •  なので、Resistanceに一番大きな影響力を持つのは血管径(r)である  

•  各臓器の血管床は血管径を変化させることで必要なflowに合わせてResistanceを変えている  

•  血流量が最大となるのは、血管床のもつ断面積が最大となるとき  

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血圧の変化に対して最も鋭敏に  還流量が変化するのは腎臓

•  犬にニトロプルシドを投与してめいっぱい血管を拡張させ(autoregula5onを効かなくした状態を模倣)血圧と還流量の関係をプロット  

•  単位組織(g)あたりの血管床面積が最も大きいのは腎臓  

心臓 腎臓

J  App  Physiol  1986;  61:  409-­‐416

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敗血症では正常のautoregula5onを基準にしてはいけないのではなかろうか?

それでも人々はMAPを見ることにした。  他に血圧以上に組織還流を調節するもので、簡単に測れるものもないから!?

組織還流をコントロールすること  =血圧をコントロールすること?

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ICM  2012;  38:  422-­‐428

輸液負荷で10%以上CIが上昇することと、MAPの上昇には相関がなかった

輸液は何をしているのか…?  Vasomotor  Toneに影響…?

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ProCESS再考

全体像は2014.5.13  慎二郎先生勉強会を参照ください

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Methods n  US  31施設 救急部 ランダム化比較試験  n  2008.  3~  2013.  5  

【患者】  •  18歳以上  •  敗血症の疑われる患者  •  SIRS  ≥2項目  •  fluid  challengeでもSBP  90  

mmHg>  or  血管収縮薬使用                          or    乳酸 >4mmol  /L    

【ランダム化割り付け】  •  Web-­‐based  program    •  3つのグループに割り付け  protocol-­‐based  EGDT  群  

vs.  protocol-­‐based  standard  

therapy  群  vs.  

usual  care  群

2014.5.13  慎二郎先生勉強会より

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Ø  Oximetric  port付のCVを使用  Ø  CVPをターゲットに輸液のボーラス投与を行う  

Ø  MAPをターゲットに血管作動薬を投与(MAP>90のときは血管拡張薬を投与)  

Ø  ScvO2をターゲットに、輸血(Ht  ≥30%)  ,  強心薬を投与  

Ø  15-­‐30分おきに評価を繰り返す  

Ø  ScvO2がターゲットに達しなければ酸素消費を減らす目的で鎮静、鎮痛を行う。

2014.5.13  慎二郎先生勉強会より

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Ø  CVは必須ではない  Ø  過剰輸液の兆候:頚静脈怒張,    ラ音,  SpO2  の低下  

Ø  SBPの目安:Baseline  SBPから10%以内の低下で低還流の所見がなければ、SBP>100と同様とみなす  

Ø  A-­‐line  は必須ではない  Ø  低還流の定義:MAP<65,  

lactate  >4mmol/L,  斑状皮膚,  乏尿,  意識の変容  

Ø  輸血 Hb  <7.5  

2014.5.13  慎二郎先生勉強会より

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Results(1次評価項目と死亡率)

P値はprotocol-­‐based  vs.  usual  care

1次評価項目である60日死亡率を含む、死亡率に有意な差は認められなかった。

2014.5.13  慎二郎先生勉強会より

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Results

0-­‐72hr  Ø  standard  protocol群で輸液量が多かった

Ø 6時間経過した時点で  MAP  >65  mmHgに到達した患者数はstandard  protocol群で多かった。(それぞれ、83.1%,  84.1%,  77.2%、P=0.02)  

2014.5.13  慎二郎先生勉強会より

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Results(2次評価項目)

•  新規のRRTを必要とした患者がprotocol-­‐based  standard  therapy群で有意に多かった。  

•  新規の昇圧薬使用、人工呼吸器使用には有意な違いはなかった。  

2014.5.13  慎二郎先生勉強会より

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Standard  therapy群を考える •  多くの輸液(fluid  overloadになるまで)  •  早めのMAP上昇  •  血管収縮薬投与量は同じ  •  RRTは増えた  

•  輸液によるMAP上昇は何だった?  •  COを上げるつもりが腎還流圧を下げる弊害が出てしまった?

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MAP  65mmHg  蘇生の妥当な指標かも。

•  9床のmixed  ICU  3年間  •  Sep5c  shock  111例  •  retrospec5ve  •  蘇生に用いられている指標と30日死亡率との関連を調べた  

ICM  2005;  31:  1066-­‐1071

30日死亡率と最も関連があったのは  MAPだった。    特に 「MAP  65  mmHgを下回る時間が長い」  ことが60,70,75mmHgと比べても  30日死亡率と関連が強かった。  

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血管収縮薬は何をしているのか?

•  敗血症患者にNEを投与して血圧を段階的に上げた(前向き観察研究)  

•  CIの上昇、尿量の増加、DO2の上昇が見られた  

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NEを投与すると  MAPとSVRが上昇し、  

敗血症ではCreが低下した

CHEST  2004;  126:  534-­‐539

Sep5c  shock

Head  Trauma

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CVP/GEDV,  Pmsf,  Rv∝NE  doses •  Decreasing  NE  in  sep5c  shock  pa5ents  – Decreases  Pmsf  and  Rv  – Decreases  cardiac  preload  (CVP/  GEDV)  

 •  NE=α1-­‐adrenergic  s5mula5on  increases  the  stress  against  the  vessel  walls  –  Increases  intravascular  pressure  –  Increases  stressed  blood  volume  and  decreases  unstressed  blood  volume

Guytonian  approach    in  controlling  cardiac  output  

2013.3.5  勉強会

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Bayliss  WM,  Starling  EH.  Observa5ons  on  venous  pressures  and  their  rela5onship  to    capilary  pressures.  J  Physiol    1894;  16:  159-­‐318

Venous  Return

PRA:  downstream

Pms:  upstream

Guyton’s  explana5on  on  CO

At  steady  state,  CO=VR

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Adapted  from:  Funk,  D.  J.,  Jacobsohn,  E.,  &  Kumar,  A.  (2013).  The  role  of  venous  return  in  cri5cal  illness  and  shock-­‐part  I:  physiology.  Cri5cal  care  medicine,  41(1),  255–62.  

Stressed  volume

Unstressed  volume

What  makes  up  Pms?

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Persichini  R  et  al.  Effects  of  norepinephrine  on  mean  systemic  pressure  and    venous  return  in  human  sep5c  shock.  Crit  Care  Med 2009;  37:3  912

Effects  of  norepinephrine  and  VR  curve

Methods:16  sep5c  shock  pa5ents  – Respiratory  hold  maneuver  (Insp.  &  Exp.)  – CO:  PiCCO2  – Pcv:  right  internal  jugular  vein  – Reference:  anterior  axillary  line  and  5cm  below  the  sternal  angle  

– Pvent:  proximal  of  endotracheal  tube  

Clinical  U5lity  of  the  VR  curve  (2)

敗血症性ショックの患者でノルアドレナリンを増減し、  吸気呼気ポーズの間の循環の指標を収集

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Methods  to  determine  Pmsf

•  Mechanical  Ven5la5on:  A/C  VCV  •  Baseline  Measurements:      mAP,  CVP,  CI,  GEDV,    •  Con5nuous  Measurements:    mAP,  CVP,  Paw,  SV,  CI    •  Pvent  plateau:  5,  30cmH2O  (Insp  &  Exp)  

BEFORE  and  AFTER  norepinephrine  decreases

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1/Slope=Rv High  dose  NE:  6.2  (4.4-­‐8.0)    Low  dose  NE:  5.0  (3.6-­‐6.5)           p=0.01

Pmsf

ノルアドレナリンは静脈還流の抵抗を増やすが、静脈還流量も増やす

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どんどんノルアドで  血圧を上げたら  よいではないか?  高く高く…

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2012.8.21勉強会  敗血症の血圧  

Pro/Con

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SEPSISPAM再考

全体像は2014.5.13  慎二郎先生勉強会を参照ください

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Methods 【研究デザイン】  •  フランス29施設、無作為非盲検化比較試験  •  期間:2010年3月~2011年12月  •  中央割り付け  •  慢性高血圧(過去に高血圧を指摘、あるいは降圧薬の内服をしたことがあるか)の有無で層別化  

【患者】  •  18歳以上  •  敗血症性ショック  

–  輸液に不応性のショック    •  30ml/kgの輸液 or  right-­‐heart  catheteriza5on,  pulse-­‐pressure  measurement,  stroke-­‐volume  

measurement,  or  echocardiography    

–  血管収縮薬(ノルアドorアドレナリン)使用  –  血管収縮薬使用から6時間以内  

2014.5.13  慎二郎先生勉強会より

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Methods 【治療プロトコール】  •  Low  MAP  group  – ターゲットのMAPは65-­‐70  mmHg。MAPが>70  mmHgに達したら0.05  μg/Kg/minずつ、>75  mmHgの時は0.1μg/Kg/minずつ血管収縮薬を下げる。最低1時間ごとに評価。  

•  High  MAP  group  – ターゲットのMAPは80-­‐85  mmHg。MAPが>85  mmHgに達したら0.05  μg/Kg/minずつ、>95  mmHgの時は0.1μg/Kg/minずつ血管収縮薬を下げる。最低1時間ごとに評価。  

 血管収縮薬は1施設のみアドレナリンで、その他の施設ではノルアドレナリンを使用

最長で5日間継続。その後は医師の判断。

2014.5.13  慎二郎先生勉強会より

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Results 【治療期間である5日間のMAPの推移】

•  Low-­‐target  groupのMAPは明らかにHigh-­‐target  groupより低い.  •  Low-­‐target  groupのMAPはターゲット(65-­‐70)よりかなり高い。  

2014.5.13  慎二郎先生勉強会より

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【血管収縮薬使用と体液バランス】

•  両群で総輸液量、尿量、総体液バランスに有意差ない。  •  ノルアド投与速度はHigh-­‐target  groupで有意に高い。  •  Day1でノルアド投与速度の中央値はLow-­‐Target  groupで0.45μg/kg/min  •  High,  Low-­‐target  groupでターゲットに到達できなかった患者はそれぞれ  

 64人(16.5%)、40人(10.3%)  

2014.5.13  慎二郎先生勉強会より

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【1次評価項目と2次評価項目】

•  1次評価項目である28日死亡率に両群で有意差を認めなかった。                                          34%  vs.  36.6%,  HR  1.07  (95%CI  0.89-­‐1.29),  P=0.57  •  2次評価項目である慢性高血圧を持つ患者のRRT施行率は、High-­‐Target  

Groupで有意に低かった。 (サブグループ間のinterac5onは有意。P=0.04)  

                                                 42.2%  vs.  31.7%,  OR  0.64  (95%CI  0.41-­‐0.99),  P=0.46  

2014.5.13  慎二郎先生勉強会より

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Adverse  eventの詳細

•  Afは全体ではHigh-­‐target群で多いが、慢性高血圧患者で層別化すると差なし。  

•  出血の合併症は全体では差がないが、慢性高血圧のない患者ではlow-­‐target群で多い。  

2014.5.13  慎二郎先生勉強会より

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SEPSISPAM •  結局、65mmHgという指標が適切かどうかはプロトコールが遵守されず、わからなかった  

•  高ければ高いほどよいわけではない、ということはわかった(Afは増えた)  

•  慢性高血圧の患者では80mmHgよりも高いMAPを維持することで腎還流量を維持できたのかもしれない(Autoregula5onのズレ)  

•  臨床のゴールとしてRRTが減るというのは有意義  

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敗血症以外で  血圧を上げない、という選択  

について参照すると

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第一次世界大戦中に生まれた、permissive  hypotension

•  “Injec5on  of  a  fluid  that  will  increase  blood  pressure  has  dangers  in  itself.”  

•  “If  the  pressure  is  raised  before  the  surgeon  is  ready  to  check  any  bleeding  that  may  take  place,  blood  that  is  sorely  needed  may  be  lost.”

JAMA  1918;  70:  618-­‐21 THE  PREVENTIVE  TREATMENT  OF  WOUND  SHOCK

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体幹の穿通創によるショックに対して  早期に輸液をして  血圧を上げると  死亡率が高かった!?

NEJM  1994;  331:  1105-­‐9

早 遅

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•  たくさんのlimita5onのある研究ではあったけれども(ランダム化の方法、手術前に死亡した患者が多いetc…)  

•  パラメディックによる病院前輸液の是非はいくつか研究が行われるようになった  

•  しかし、血圧上昇を目的とした補液を行った患者群で生存率の改善はみられなかった  

•  ただし、患者数が少ない、ランダム化が適切に行われていない、プロトコールの遵守率が低い、など質の高いRCTは行われていない  

Dunham  CM  et  al.  Resuscita5on  1991;  21:  207  Turner  J  et  al.  Health  Technology  Assessment  2000;  4:1  Dula  DJ  et  al.  Emergency  Care  2002;  6:417  Duuon  RP  et  al.  J  Trauma  2002;  52:  1141

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雑感:PとV •  循環管理の目標は、組織にエネルギーを供給し、排泄物を除去する適切な量の血流を送ること(組織還流)  

•  血圧は「圧」であって「流量」ではない  •  でも、圧と流量の間には「抵抗」が存在する  •  抵抗が変化し、調節されているときに、流量を圧だけで考えるのは限界があろう  

•  それでも、臨床では利便性から血圧は血流の代用として用いられる  

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敗血症の血圧 •  血圧が臓器還流量をどのくらい反映できているかはわからない  

•  腎臓は血管床を考えれば鋭敏な指標となるはず  •  「血圧が(65mmHgくらい)維持できている状態」は疫学的には大切そう  

•  数字として目に見える「血圧」を維持するために何かを行おうとするとき、「血圧」以外への効果(害)を考えなければいけない  

•  「補液して血圧が上がる」ときに何が起きているのかはよくわからない  

•  補液の害は示されるようになってきた  •  一般論としての至適血圧はやっぱりよくわからない