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呼吸に対する
作業療法
伊丹恒生脳神経外科病院
笹沼里味呼吸ケア指導士メディカルタッチカウンセラー
COPD患者さんに対する 作業療法の役割
☆安全に, 楽に日常生活を送れるようにする
☆理学療法で身に付けた呼吸法や基本動作を 日常生活にうまく反映させられるようにする
☆日常生活の活動を通して,病気への理解を深め, 自己管理ができるようにサポートする
☆心理的サポートを行う
「COPDの基本的な病態は呼気の気流制限」
【慢性閉塞性肺疾患(COPD)の病態】
・気道病変・肺胞病変
呼気の流量制限
本人,主治医,看護師,家族からの情報やカルテから ①現病歴:いつ頃発症しその後どのような経過を辿っている のか.基礎データ. ②現状の生活の自立度,活動性:FIM+P-ADLなど ③合併症:肺高血圧症,糖尿病,高血圧,心不全など ④薬物の投与の有無・量:気管支拡張剤やステロイドなど ⑤家族の状況,家屋環境 ⑥食事量,食事方法,栄養状態 ⑦排痰の自立度,痰の量,色などを把握する ⑧認知機能 ⑨心理面:うつ
【COPDの評価】
<情報収集>
横隔膜位置の低下と水平化
肺野の透過性亢進と拡大 血管陰影の低下
滴状心
肺門部の血管陰影の拡大
<胸部レントゲン・CT>
嚢胞(ブラ)
●視診・触診 呼吸数,呼吸パターン 頻呼吸?胸式優位?腹式優位?呼気延長? 呼吸筋・呼吸補助筋 胸鎖乳突筋、斜角筋などの呼吸補助筋の肥大? 胸郭の柔軟性 肺胞病変の拡大により胸郭の柔軟性が低下
●打診 横隔膜の位置
●聴診 呼吸音の減弱?ラ音あり?
僧帽筋 (上部)
胸鎖乳突筋
斜角筋
<視診・触診・打診・聴診>
【食事動作】
【整容動作】
<ADL評価>
実際のADL評価では各ADLの動作前,中,後に以下のことを評価する.
①SpO2(酸素投与量も) ②心拍数 ③息切れ感(Borg Scale) ④呼吸数
⑤回復時間⑥呼吸パターンの変化⑦動作方法
●深呼吸 深呼吸ができることをはじめの目標とする. 深呼吸が獲得できていない症例に,腹式呼吸などの練習を 行っても習得することは非常に難しい.
【呼吸法・呼吸介助】
●呼吸介助
●口すぼめ呼吸 口をすぼめて呼気を行い,口腔 内圧を高め,気道内圧を陽圧に 保ち,気道の虚脱を防ぐ.
・胸郭を他動的に圧迫し呼気を介助,深呼吸を行わせる ・換気量増加,酸素摂取量および二酸化炭素の呼出促進 ・気道内分泌物の移動,喀出促進
1.動作時の息切れや,SpO2の低下を防ぐ動作方法の指導
2.息切れやSpO2の低下が生じる原因の分析,改善方法の
選択及び評価
3.指導内容を繰り返し練習,定着させる
4.生活背景,精神・高次脳機能障害をふまえた配慮も必要
5.自覚症状に乏しいケースや精神・高次脳機能障害のある
ケースに対してはパ ンフレットを作成する,家族の援
助や社会資源の利用などの工夫も必要
6.院内だけでなく,在宅や地域でケースに関わる医療・介
護スタッフとの連携が重要
【ADL指導の基本的な考え方】
1.呼吸に合わせてゆっくり動作を行う
2.SpO2の低下が起こる動作,力む動作は呼気に合わせて行う
3.動作の間に休憩を入れる
4.動作終了後に休憩する
5.SpO2の低下を起こす原因と考えられる動作をさける
6.動作を簡略化する
7.環境整備を行う
8.社会資源(介護サービス)を利用する
SpO2の低下や息切れを防ぐために・・・
【ADL指導の基本的な方法】
【改善方法と症例紹介】
1.整容動作の改善方法と症例
2.入浴動作の改善方法と症例
3.更衣動作の改善方法と症例
4.排泄動作の改善方法
5.食事動作の改善方法
6.家事動作の改善方法と症例
7.在宅での指導例(退院前自宅訪問・訪問リハビリ)
8.外来リハビリ
9.自覚症状が低く,急性増悪を繰り返した症例への介入例
10.うつ状態を併発した症例への介入例
・麻痺側の呼吸筋麻痺
・呼吸中枢の障害
・嚥下障害
・発症時の嘔吐による
誤嚥性肺炎
・術後などの安静
COPD隠れCOPD
脳卒中・脳外傷
+
脳血管疾患の呼吸への介入
離床時の呼吸管理
ギャッジアップ・端座位の前に…
・呼吸評価・体位ドレナージ・呼吸介助 , 吸引
呼吸に合わせて上肢練習やADL練習を行う