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~ 1 ~ 2 0 1 2 (平成2 4 年度) 大分県立日田三隈高等学校 商業部 活動報告書 ◇生徒氏名 (3年) 池田和香奈 矢羽田美奈 宇野由希子 原嶋 里沙 田中 遥菜 (2年) 三笘美菜子 石井 悠舞 (1年) 江藤 成美 江田 梅野亜緒衣 加藤 光子 中野郁奈江 佐之瀬ありな 松成かんな 松野 桃子 矢野 千夏 ◇指導教諭名 山下 智史(報告者)

2012(平成24年度) 大分県立日田三隈高等学校 商業部 活動報告書kou.oita-ed.jp/hitamikuma/三隈マーケット活動報告書(2012).pdf · 美容系の専門学校などに進学していく生徒が多

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~ 1 ~

2 0 1 2 (平成2 4 年度) 大分県立日田三隈高等学校 商業部 活動報告書

◇生徒氏名

(3年)

池田和香奈 矢羽田美奈 宇野由希子 原嶋 里沙

田中 遥菜 (2年)

三笘美菜子 石井 悠舞 (1年)

江藤 成美 江田 葵 梅野亜緒衣 加藤 光子

中野郁奈江 佐之瀬ありな 松成かんな 松野 桃子

矢野 千夏

◇指導教諭名

山下 智史(報告者)

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1.はじめに

本校は総合学科高校であり、人文社会系列、

自然科学系列、情報ビジネス系列、会計ビジネ

ス系列、生活科学系列の5つの系列があり、生

徒はその系列に属して学習を進めていく。卒業

後は経済系の大学、看護系や調理系の短期大学、

美容系の専門学校などに進学していく生徒が多

く、地元企業に就職していく生徒は尐ない。

本校における生徒の現状を見ると、授業にお

いて多くの知識や技術はある程度身に付けてい

るものの、その力を活かし、実践的な活動を通

して自身の「本物の力」にできていない生徒が

多い。国語や数学などで学習した基礎学力、簿

記やマーケティングなどの商業科目などで学習した会計帳簿の作成や商品流通などの知識などを実体験を通

して深化させていける場が必要であると考えた。平成21年6月から、日頃の学習で身に付けてきた知識や技

術を活かしながら自らの力を深化させる場を検討することになった。県内ではそうした取り組みを実践してい

る高等学校はなく、参考例がないため他県の例を探すこととなった。他県では先進的に校外にて様々な実践活

動を行っている学校が多く、授業において商品開発をしたり、文化祭などでの模擬店出店やクラスごとでの店

舗出店、地元商店街と協力して空き店舗に出店をするなどのケースが多かった。そのような例を参考にしなが

ら関係職員と意見交換を重ねた結果、本校で実践できる活動として「商店街の空き店舗を活用した店舗運営」

を実践することに決定した。

他県の例での活動報告を見ると、「商店街の空き店舗を活用した店舗運営」は学校のみで運営できるもので

はなく、県や市町村、商店街などの外部団体からのサポートが必要不可欠であるということが分かり、本校で

も大分県、日田市、日田市中央商店街などに活動における協力依頼を行った。その結果、日田市から資金面、

日田市中央商店街から活動面の指導とサポートをいただけることになった。その後、空き店舗の家主との交渉

をして賃貸契約を結び、店舗設計を行った。取り扱う商品については生徒がインターネットなどで調査した他

校生徒が開発した商品や地元の特産品を多く集め販売することとなった。

様々な準備に約1年という時間をかけ、平成22年7月10日(土)午前10時、日田市中央商店街の空き

店舗を活用した本校商業部生徒による空き店舗経営「三隈マーケット」の営業をスタートした。日田市や商店

街にサポートを依頼する過程で、「高校生の力で是非、地域を盛り上げてほしい」という強い要請があった。

当初は「学習の場」としての位置づけであったが、市や商店街からの強い意向もあり、活動のメインテーマを

「地域活性」として活動していくこととなった。「三隈マーケット」における店舗運営も本年度で3年目の取

り組みとなり、日頃の学校生活において、体験することのできない貴重な体験を積むことができている。

2.取り組みの概要

活動内容は、商店街の空き店舗における店舗営業、商品開発、イベント出店などが中心である。さらに、本

年度から5年先を見越した活動計画の作成、企業への商品アイデアの提案、他校との合同出店など新しい取り

組みも実践している。

Ⅰ.活動計画

昨年度までの活動を基にビジネスプラン、行動計画、資金計画を策定し、活動のビジョンを設定した。

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~ 3 ~

大分県立日田三隈高等学校 三隈マーケット ビジネスプラン 事業名 日田三隈高等学校商業部運営店舗「三隈マーケット」中央商店街出店プロジェクト

事業主

名称 三隈マーケット 代表者 池田和香奈

所在地 大分県日田市中央1丁目6-22(店舗)

TEL 0973-23-3130(学校) URL kou.oita-ed.jp/hitamikuma/

FAX 0973-23-3131(学校)

業種 オリジナル商品、高校生企画商品、地域特産品販売

売上目標 150万円

従業員数 8名(平成24年3月現在) 決算日 3月31日

事業期間 平成22年4月(平成23年度)~平成28年3月(平成27年度)までの5年間

事業概要

事業の目的 地域活性化に役立つ店づくり

テーマ:「商店街に人を戻そう! 中央商店街活性化プロジェクト」

理由 日田市の高校生として、今まで学習してきたことを活かし、地域の人々に恩返しをしたい。

日田三隈高校をもっと身近に感じてもらい、地域社会との連携を図りたい。

事業内容

・中央商店街の空き店舗にて、安価で珍しい高校生企画商品や県内外の特産品、オリジナ

ル商品などを販売する。

・日田市主催の催し物や文化祭(三隈祭)にも出店する。

・オリジナル商品の企画、開発を企業と協力しながら実践する。

市場のニーズ

・高校生運営の店舗に関する注目度が高まってきている。

・来店者へのアンケートや来店者数調査でも40代以上の女性の関心は高い。

・「高校生が運営している」という店舗があれば来店してみたいという消費者はいる。

・高校生企画商品の関心が強い。

競合性 ・中央商店街には制服販売店、美容室など実用的な店舗が多い。

・空き店舗が半数近くを占め、週末に営業している店舗も少ない。

→日田三隈高校運営店舗「三隈マーケット」に対する期待、需要の見込みも高い!

強み・新規性 ・「高校生の店」に目新しさ、若い感覚への期待がある。

・労務費(従業員の給料など)がかからない分、安く販売することができる。

ターゲット

「メインターゲット」:4 0 代以上の女性(商店街の主要客)

・高校生の店舗への関心、珍しい商品やセールなどへの関心が高い。

・買い物に出せるお金は¥1,000~¥2,000 程度であり、まとめ買いなども期待でき

る。

「サブターゲット」:女子高生~2 0 代女性

・商店街であまり買い物をしないが、新しいものには関心がある。

・買い物に出せるお金は¥1,000 未満であり、商品に対する目は厳しい。

組織体制

総務部 ・企画運営 ・経営戦略会議 ・外部への協力依頼 ・各種セールなどの企画運営

・広告宣伝活動 ・ポスター/HP作成

仕入部 ・仕入商品選定 ・仕入計画 ・仕入先選定 ・仕入活動 ・プライス作成

経理部 ・帳簿作成(商品別売上明細表、現金出納帳など)

商品開発部 ・商品企画考案 ・企画書作成 ・パッケージデザイン ・製造受入企業との交渉

資金計画 売上目標:\1,500,000 売上原価:\1,150,000 消耗品費等:\285,000 → 予想収益\65,000

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大分県立日田三隈高等学校 三隈マーケット 行動計画① (平成2 4 年度)

日程 店舗営業 学校や地域のイベント 商品開発 授業での活用

4月 ・土日と祭日営業

・仕入業務と経理業務

・経営戦略会議

・「川開き観光祭」への

出店依頼と準備

・商品開発会議

・製造委託企業訪問

5月 ・土日と祭日営業

・仕入業務と経理業務

・広告宣伝活動

・「川開き観光祭」への

出店

・ネーミングとパッケ

ージデザインの製作

・原価計算と売価設定

6月 ・土日と祭日営業

・仕入業務と経理業務

・経営戦略会議

・「中央商店街夜市」へ

の出店依頼と準備

7月 ・土日と祭日営業

・仕入業務と経理業務

・広告宣伝活動

・「中央商店街夜市」へ

の出店

・「子どもフェスティバ

ル」の出店依頼と準

・オリジナル商品完成、

販売開始

・オリジナル商品販売

後の分析調査

・商業系科目にて「三

隈マーケット」の活

動説明と協力依頼

8月 ・土日と祭日営業

・仕入業務と経理業務

・経営戦略会議

・「子どもフェスティバ

ル」への出店

9月 ・土日と祭日営業

・仕入業務と経理業務

・広告宣伝活動

・「ふるさと大屋台村」

への出店依頼と準備

・商品開発会議

・製造委託企業訪問

・「マーケティング」

→新商品開発会議

10月 ・土日と祭日営業

・仕入業務と経理業務

・経営戦略会議

・「ふるさと大屋台村」

への出店

・「天領まつり」への出

店依頼と準備

・ネーミングとパッケ

ージデザインの製作

・原価計算と売価設定

・「文書デザイン」

→チラシ作成

11月 ・土日と祭日営業

・仕入業務と経理業務

・広告宣伝活動

・「天領まつり」への出

・オリジナル商品完成、

販売開始

・オリジナル商品販売

後の分析調査

12月 ・土日と祭日営業

・仕入業務と経理業務

・経営戦略会議

・「マルチメディア」

→H P 作成

1月 ・土日と祭日営業

・仕入業務と経理業務

・広告宣伝活動

2月 ・土日と祭日営業

・仕入業務と経理業務

・経営戦略会議

・「子どもフェスティバ

ル」の出店依頼と準

3月 ・土日と祭日営業

・仕入業務と経理業務

・広告宣伝活動

・決算処理

・「子どもフェスティバ

ル」への出店

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大分県立日田三隈高等学校 三隈マーケット 行動計画② (平成2 5 年度~平成2 7 年度)

日程 店舗営業 学校や地域のイベント 商品開発 授業での活用

H25

・土日と祭日営業

・仕入業務と経理業務

・経営戦略会議

・広告宣伝活動

・商店街との連携

・日田市主催のイベン

トや市外、県外のイ

ベントにも参加

・オリジナル商品の開

・「三隈マーケット」に

おける実習(インタ

ーンシップ)

H26

・土日と祭日営業

・仕入業務と経理業務

・経営戦略会議

・広告宣伝活動

・商店街との連携

・他校と合同出店

・日田市主催のイベン

トや市外、県外のイ

ベントにも参加

・高校生ショップ合同出

店イベントの企画と

運営

・オリジナル商品の開

・「三隈マーケット」を

活用した起業家教育

の実施(マーケット

スタッフによる授業

展開)

H27

・土日と祭日営業

・仕入業務と経理業務

・経営戦略会議

・広告宣伝活動

・商店街との連携

・他校と合同出店

・日田市主催のイベン

トや市外、県外のイ

ベントにも参加

・高校生ショップ合同

出店イベントの企画

と運営

・オリジナル商品の開

・「三隈マーケット」を

活用した学校設定科

目による授業の実施

(授業科目の設立)

教育活動への位置づけ

*マーケティング 週4単位(4時間) 年間160時間 うち実習 1 0 時間

*文書デザイン 週2単位(2時間) 年間 70時間 うち実習 5 時間

*マルチメディア 週2単位(2時間) 年間 70時間 うち実習 5 時間

実習合計 2 0 時間

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大分県立日田三隈高等学校 三隈マーケット 資金計画①

1 .資本金

大分県立日田三隈高等学校商業部運営店舗「三隈マーケット」では、地域活性化を目指して商店街に

多くの人を呼び、商店街に以前の活気を取り戻そうと高校生による店舗経営を実践している。そうした

活動の趣旨から店舗運営の出資金として、日田市や商店街連合会などから補助していただき、地域と一

丸となって商店街に活気を取り戻す活動を実践していきたいと考えた。私たちの取り組みを申請し、こ

れまで出資金として補助していただいた内容は次の通りである。

年 度 年間費用計 事業名 支援団体 金 額

平成22年度 \527,064

商店街活性化支援事業商店街

チャレンジショップ事業 日田市 \263,532

日田三隈高等学校PTA 日田三隈高等学校 \263,532

平成23年度 \508,016

まちづくり活動事業 日田市 \304,810

日田三隈高等学校PTA 日田三隈高等学校 \203,206

平成24年度 未 定

まちづくり活動事業 日田市 未 定

日田三隈高等学校PTA 日田三隈高等学校 未 定

2 .収入

アンケート調査や来店者数調査、メインターゲット一人当たりが来店時に買い物に費やす金額などを

参考に売上目標を設定する。

土日と祭日のみの営業であり、土日の店舗への来店者数を1 8 人と設定し、そのうち1 4 人(来店者

の8割)が購入、その客単価を\1,000 と仮定する。つまり、週\14,000 の4週、1ヶ月間\56,000 の

売上目標になる。また、日田市主催のイベントや文化祭などにも出店するので、過去の販売実績などを

参考に次のように売上目標を決定する。

売上目標 金 額 内 訳(平成23年度分実績分による)

商 店 街 店 舗 \672,000 1ヶ月\56,000 ×12ヶ月

日 田 市 主 催 イ ベ ン ト \420,000 臨時出店分

文 化 祭 \ 52,000 模擬店舗出店分

合 計 \1,144,000

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大分県立日田三隈高等学校 三隈マーケット 資金計画②

3 .支出項目

支出項目には、開業時に必要な費用(開業資金)と開業後にも必要な費用(運転資金)がある。商品

の購入費や開業を知らせる広告宣伝費は開業時に必要な費用だが、店内広告のための費用や消耗品、水

道光熱費は開業後にも必要な費用である。仕入費用の大半は開業時に必要だが、仕入れを随時に行えば

開業後にも必要な費用となる。三隈マーケットでは商品開発も実践しており、新商品開発のための研究

費も必要となる。過去の営業実績を参考に次のような支出項目を設定する。

支出項目①(内訳) *日田市もしくはPTAより補助

店 舗 家 賃 \300,000 (\25,000 ×12ヶ月分)

合 計 \300,000

支出項目②(内訳) *店舗家賃を除く営業に必要な費用

仕 入 費 用 \1,000,000 (平成23年度仕入金額計\1,150,668)

物 品 購 入 費 \0

広 告 宣 伝 費 \0

消 耗 品 費 \62,000 (平成23年度消耗品費計\90,043)

水 道 光 熱 費 \37,000 (平成23年度水道光熱費計\36,034)

商品開発研究費 \39,000 (平成23年度商品開発研究費計\37,237)

合 計 \1,138,000

4 .いかに費用を削るか、いかに収入を増やすか

この売上目標と支出では、利益が\6,000 しか見込めない。そこで、いかに支出項目を減らすかを考

える。消耗品などはできる限り節約しながら使用したり、水や電気なども節水、節電を心がけるなどの

工夫が必要である。また、以下に収入を増やすかという視点で売上高を伸ばすために、新たな商品開発

にも取り組みたい。そして売上以外の収入項目を考えるということも必要である。業者から仕入れる商

品以外に、不用品を生徒の各家庭から無償で集めてフリーマーケットなどを開催し、収益を運転資金に

あてることなども考えなければならない。

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Ⅱ.店舗営業におけるデータ分析

3年間の店舗営業を振り返ってデータの分析を行った。これまで収集してきた各種データは、下記のと

おりである。データは商店街の店舗営業、地域におけるイベント出店などを総計したデータである。

①売上商品調査(月別) ②来店者数調査(月別) ③現金出納帳(月別) ④損益計算書(月別)

⑤来店者アンケート(初年度)

当期純利益の推移(図1)を見ると純利益をあげることができている月もあるが、大きな損失をあげて

いる月もある。毎月土日と祝日のみの営業であり、営業日の推移(図2)を見ても、月8日程度の営業日

であり、平均的に当期純利益をあげていくのも現実的に厳しいことが分かってきた。高額な利益をあげて

いる月は地域のイベントに出店しており、イベント出店による利益である。商店街の店舗のみで平均的な

利益をあげることは現状の活動を維持するだけでは難しいということである。

(図1)

(図2)

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このような厳しい分析結果もあるが、来店者の推移(図3)を見ると営業を重ねるごとに来店者が増え

ており、地域への認知度も向上してきている。平成24年度は4月から9月までの半年間で平成23年度

1年間の来店者を上回っており、平成24年10月には来店者が累計で3,000人を超えた。

(図3)

Ⅲ.苦戦した商品開発

平成23年度から取り組んできた商品開発であるが、平成24年7月に販売可能な商品として完成し、出店

2周年を迎える目玉商品とすることができた。

1.オリジナル商品第2弾「うめきゅん」

オリジナル商品「三隈マドレーヌ」に続く商品開発

をするために考案した商品であり、日田大山産の梅と

豊後水道のちりめんを調味料であえた「ご飯のお供」

である。

当初は日田市大山の「ひびきの郷」に依頼をしてい

た。数回の商品企画会議を経て、商品化にたどり着き

そうな状況であったが、商品企画の甘さ、資金的な面

などの問題が発生し、「ひびきの郷」に製造依頼は不可

能となってしまった。自分たちの力のなさ、認識の甘

さを痛感したが、ここまで努力してきた企画を貫き、

商品化したいという強い気持ちがあった。また、商品

化をしていかなければ店舗営業において来店者を呼び

込むことができず、利益もあげれず、店舗営業にも大

きな影響があることは間違いなかった。「ひびきの郷」にもそうした点を相談し、最終的に「ひびきの郷」か

ら佐伯市の「しおさいの里」を紹介していただき、企画を提案することになった。

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商 品 名 日田三隈高校オリジナル商品 「うめきゅん」

商 品 の コ ン セ プ ト 日田市の特産品を使用し、地産地消を目指す商品。また、店舗運営におい

て売上高の上位を占める商品。

開 発 の 背 景

・店舗運営の大きな危機に直面し、その解決策として新商品の開発という

方法を模索した。

・地域の食材を活用して、地域との連携を重要視されていた商品づくりを

されている「しおさいの里」に商品開発を指導を受け、地域活性をテー

マに取り組んでいる本校との共通点も多く、新商品の開発を依頼するこ

ととなった。

販 売 タ ー ゲ ッ ト

店舗の営業も2年が過ぎ、多くの課題や問題も発生している。その1つに、

来店者数の減尐があげられる。開店当時のような賑わいを取り戻すため、

年代を問わずに幅広い年代をターゲットにした新商品を開発したいと考え

た。

商 品 企 画

①全国的に缶詰や瓶に入ったご飯のおかずの人気が高まっている。このニ

ーズの高まりに注目し、貴社の「梅」を使用した手軽に食べることがで

きる「ご飯のおかず」とできる商品とする。

②県産の「ちりめん」と混ぜ合わせる。

③ある程度の保存期間が保てるように、瓶や缶に詰める。

販 売 価 格 販売価格については、消費者が購入しやすいような値段で販売したい。発

生するコストや利幅を考え、350円(60g)で販売する。

流 通 経 路 商品管理方法、賞味期限など流通を考えるよう注意する点が多数あるため、

貴社にご指導いただいて決定する。

販 売 促 進

新聞やテレビなどのメディアを可能な限り使用してPRする。また、店舗

の土日の営業日に私たちが作成するチラシを配布し、来店されたお客様に

PRする。

平成24年7月の出店2周年にあわせて三隈マーケットにて販売を開始した。また、地域のイベントや他校

の文化祭などにおいても販売を行ってきた。ご飯の上にのせて食べたり、豆腐の上にのせて食べたりと食べ方

の提案をしたり、試食なども積極的に行いながら販売活動を実践している。

(図4)

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オリジナル商品「うめきゅん」売上数の推移(図4)からも分かるように、これまでの販売活動の結果、マ

ーケットの営業日には順調な販売数を推移をしており、イベント出店時にはかなり大量の数を販売することが

できている。しかし、12月以降は売上数が激減しており、今後の対策を検していくべきである。

2.オリジナル商品第3弾「梅ぇばい」

オリジナル商品「うめきゅん」については、

1年3ヶ月という期間をかけながら委託企業

と何度も企画の提案や試作を繰り返した結果、

完成した商品である。その苦戦した期間に「も

しかすると商品化できないかもしれない」と

いう不安もあり、「うめきゅん」に代わるオリ

ジナル商品を開発することが店舗運営を継続

していく過程で必要であるという結論に至っ

た。「うめきゅん」の商品化をスターとしてい

たため、新たな商品を考案する時にも「うめ

きゅん」の商品開発の内容を参考にすること

にした。「日田の大山産の梅を使用した商品」

というコンセプトを基本にしながら商品企画の考案をスタートした。

企画案を検討している時、夕飯に出ていたパスタを食べながら「このパスタに梅をトッピングしたらどうだ

ろう」という発想が生徒から生まれ、「日田特産の“梅”を使用したパスタを開発する」というアイデアを検

討していくこととなった。企画を検討していきながら、近年の「食」に関する消費者の意識も「手軽に、体に

よいものを」という意識が強いのではないか。という発想にたどりついた。そうしたコンセプトを受け入れて

いただける企業を探し、協力依頼をした。協力企業が見つからない中、ある会社から福岡県の「鳥越製粉株式

会社」を紹介していただき、商品開発の協力要請をした結果、快く協力を承諾していただいた。

商 品 名 日田三隈高校オリジナル商品 「梅ぇばい」

商 品 の コ ン セ プ ト 大分県日田市特産の「梅」を使用し、高校生らしさをPRし、多くの人に

食べてもらえるような商品にする。

開 発 の 背 景 オリジナル商品第2弾を開発していたが、商品開発がうまくいかず、新た

な商品アイデアが生まれ、商品化を実践することとなった。

販 売 タ ー ゲ ッ ト 幅広い世代をターゲットにするが、メインは10代~30代の若い世代

商 品 企 画

① 商品の保存や販売方法を考えると、乾燥麺を使用し、手軽に調理できる

ような状態で売り出す方法が望ましい。

② パスタの麺を湯切りしてから、ひびきの郷の「梅ドレシング」と混ぜ合

わせる。麺はノンフライ麺とし、ストレート麺としたい。

販 売 価 格 販売価格については、消費者が購入しやすいような値段で販売したい。発

生するコストや利幅を考え、800円(3食)で販売する。

流 通 経 路 商品管理方法、賞味期限など流通を考えるよう注意する点が多数あるため、

貴社にご指導いただいて決定する。

販 売 促 進

新聞やテレビなどのメディアを可能な限り使用してPRする。また、店舗

の土日の営業日に私たちが作成するチラシを配布し、来店されたお客様に

PRする。

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「うめきゅん」と同じく、平成24年7月の出店2周年にあわせて三隈マーケットにて販売を開始した。発

売当初、3食入りで800円という販売価格にお客様は抵抗感を持っており、なかなか購入には至らなかった。

試食販売を繰り返しながら販売活動を継続中であるが、なかなか販売数が伸びていかない。しかし、イベント

出店時などには、商品価値が浸透し始めて販売数も伸びている。

オリジナル商品「梅ぇばい」売上数の推移(図5)からも分かるように、これまでの販売活動の結果、マー

ケットの営業日には順調な売上数を推移しており、イベント出店時にはかなり大量の数を販売することができ

ている。しかし、12月以降の売上数が激減しており、今後の対策を検していくべきである。

(図5)

3.商品開発から学んだこと

平成22年度に店舗経営の一環で、オリジナル商品第1弾「三隈マドレーヌ」を開発した。三隈マドレーヌ

の開発では、委託企業の全面的協力が強かった。高校生のチャレンジをサポートしていただきながら商品化が

進んでいった。商品パッケージ、製造ラベル、原価計算などは委託企業からの全面的な指導があり、その内容

に基づいて作成をした。

オリジナル商品第2弾「うめきゅん」、オリジナル商品第3弾「梅ぇばい」を開発するに当たり、開発のプ

ロセスも重視するため、商品パッケージ、製造ラベル、原価計算なども主体的に取り組んでいくことにした。

生徒たちの手で商品開発のすべての過程を担当し、市場に浸透していくことができる商品に仕上げていくとい

うことは難しい。しかし、その過程の中で商品企画のみではなく、苦労しながらいくつかの分野を生徒が試行

錯誤しながら担当していく事も必要である。通常、高校生が商品開発をする場合、「開発してしまえば終わり」

という発想が強く、開発後は学校外の小売店や文化祭などの学校行事で販売をするというケースが多い。商品

流通の本来の流れからすると、「商品開発」と「販売活動」が繋がり、開発後は自ら販売活動に携わっていく

ことが必要である。

こうした点を踏まえ、今回の商品開発において開発に要するすべての作業を可能な限り、生徒に経験させて

いこうと考えた。商品委託企業から指導をいただきながら、見た目にこだわったパッケージデザイン(図6)、

卸価格も考慮しながら利幅を意識した原価計算、製造責任を配慮した商品詳細のシール作成(図7)など様々

な内容を体験し、完成していくことができた。

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(図6)

(図7)

商品企画に深く携わっていくことが、自分たちが開発した商品を販売する際にも高い意識の要因となり、よ

りよい店舗運営につながっていくことは間違いなかった。また、お客様に商品説明をする際にも自分たちが積

極的に関わっている商品としてPRもできる。これまで順調な売上数を示しているのは、商品自体の要素や多

くの方々のサポートなども考えられるが、生徒自身が自信を持ち商品説明をお客様にPRできているという点

も考えられる。

私たちは日田市中央商店街の空き店舗で、高校

生ショップ「三隈マーケット」を運営し、地元へ

の貢献を行うため、授業で学んだ様々な知識や技

術を活かし、地元商店街の活性化を図っていま

す。

毎月の土日・祝日のみの営業ですが、これまで

多くのお客様に来店していただいています。ま

た、県内外の高校生が企画をした商品、全国の特

産品などを中心に取り扱っています。平成22年

11月には、日田特産の「ゆず」を使用したオリ

ジナル商品「三隈マドレーヌ」を開発し、三隈マ

ーケットの定番商品となっています。

和風パスタ「梅ぇばい」は、地域活性と地域貢

献をテーマにした地元の食材を使用したオリジ

ナル商品です。日田市のひびきの郷様、福岡県う

きは市の栗木商店様に私たちの思いをお伝えし、

商品企画を提案しながら開発を実践しました。日

田市特産の「梅」を使用したドレッシングをパス

タソースにして、細めの麺とあえて食べる和風パ

スタです。「梅ドレッシング」と「パスタ」の相

性も良く、さっぱりとした味が特徴です。私たち

の思いの詰まった和風パスタ「梅ぇばい」を是非、

ご賞味ください。

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~ 14 ~

Ⅳ.コンビニチェーンへ商品企画提案

平成24年6月、株式会社ローソンからベーカリー企画の募集があり、日頃の経験を活かしながら、日田市

の食材を使用することにより地域活性、地域貢献ができると考えた。アイデアを考案する過程で、日田市名物

のパリパリ食感の「日田焼きそば」と日田市発祥の大分から揚げの「塩から揚げ」をコラボレーションさせた

「焼きそばパン」の企画を下記の内容で提案することになった。

市 場 調 査

最初に取り組んだのは商品企画を行う上で、最も重要となる消費者ニーズや市

場の動向を調べる市場調査だった。株式会社ジーコム生活行動研究所が調査し

た「コンビニの利用に関する調査結果報告書」を参考に、コンビニエンススト

アにおける来店者数を調べた。注目した結果は、30代男性の利用者が多いこ

と、弁当やパンなどの商品がよく売れているなどの調査結果であり、それを実

証するために日田市内のローソン各店舗に依頼をして、利用者数調査を実施し

た。結果はやはり同じで30代男性やそれ以上の男性の利用者が多かった。

タ ー ゲ ッ ト

市場調査の結果を受け、私たちは商品販売のメインターゲットを30代男性と

することに決めた。また、高校生が企画する商品であるので、若い世代の女性

にも購入を進めていきたいと考え、サブターゲットを若い女性と設定した。

コ ン セ プ ト

「商品開発の経験を活かし、日田市のPRをする」というテーマを設定し、以

下の特徴にこだわった。

(1)パンの大きさは手軽に食べられる尐し小さ目のパンにする。ソースやバ

ターなどはぬらずに、食材の味を際立たせる。

(2)日田名物である「日田焼そば」のパリパリ食感を重視する。焼きそばの

量は70g程度とし、多すぎて食べこぼしを防止するようにもしたい。

(3)試食をしていく過程で、日田焼そばと塩から揚げの相性は抜群によいと

確信し、大分から揚げの「塩から揚げ」を小さくカットしてトッピング

することとした。

(4)若い女性でも購入しやすいような商品にする。焼きそばとから揚げの組

み合わせにより、濃厚な味になるが、若い女性にも食べてもらいたいの

でレタスや紅生姜等をトッピングする。

(5)冷めてもレンジでチンしておいしく食べられる。商品購入時にご希望の

お客様には、レンジで温めて提供する。

(6)パッケージやラベルはできる限りシンプルにし、中身が見えるような状

態にする。購買意欲の刺激と食欲の増加につなげたい。

原 価 計 算

自分たちのイメージに合うように、また「売れる商品」を作るために、何度も

試作を重ねた。自分たちの思いを優先して企画したため、1個189円(詳細

は下記参照)と尐し割高になってしまった。

(1)パン → 市販されている小さ目のロールパンで1個20円

(2)焼きそば → パンにはさむ量を多くしすぎずに70gで100円

(3)から揚げ → 1つを約半分にカットして1個当たり64円

(4)レタス・紅生姜 → 見た目にアクセントをつけるくらいの量で5円

販 売 価 格

原価計算を受け、販売価格を設定するためにアンケートを実施した。ローソン

に来店されるお客様に「焼きそばとから揚げが入った焼きそばパンを購入する

としたらいくらであれば購入しますか?」という質問をしてデータを収集した。

30代男性を中心に約50人の方に質問した結果、200円~250円という

意見が多かった。このデータをもとに、高校生の意見なども参考して販売価格

を230円と設定することにした。

以上の商品企画を株式会社ローソンに企画書として提案した。焼きそばの包み方にこだわったため、2種類

の企画(図8・図9)となった。

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~ 15 ~

(図8)「日田出身なんです」企画書

商品名 高校名 担当教諭名(連絡先) チーム代表者(生徒)

日田出身なんです。 ~日田焼そば&塩からあげ in Bread~

大分県立日田三隈高等学校 山下 智史

(0973-23-3130) 三笘 美菜子

1.販売する季節・月

秋(10月~12月) (理由)行楽シーズンを迎え、行楽時や海や山で手軽に食べられ、食欲増進も図れ

るため。

2.商品を食べる場面(例:朝食時 おやつ時)

朝食時、昼食時、通勤時、行楽時など (理由)コンビニエンスストアの利用者の中で、未婚の30代男性の利用率が一番多

いことから、短時間で簡単に食事を済ませたい場面を設定

3.商品をどういった年齢層の方に買ってもらいたいか?

(メインターゲット) 30代男性

(サブターゲット) 女子高生や20代女性 (理由)コンビニエンスストアの利用率が高い年代は30代であり、その中でも特に独

身男性の利用頻度が高い。また、「高校生企画商品というセールスポイント」

や「手軽に食べられる」といった点から、若い世代にも購入を勧めたい。

4.この商品を企画した理由

・商品開発の経験があったから

・日田のことをPRするため (理由)地元の特産品を使用したオリジナル商品を開発した経験があり、その過程

で地元の特産品をPRすることができ、地域活性化や社会貢献ができるか

ら。

5.使用する原材料の特徴

・パンの中には、カリカリに焼いためんと、シャキシャキ感が

残るモヤシの異なる食感が、口の中で絶妙なハーモニーを

奏でる日田名物の「日田焼そば」をサンド

・日田焼きそばの上には、日田発祥大分からあげの創業以

来一番人気メニューでもある「塩からあげ」を小さくカットして

トッピング

6.商品の特徴・ポイント

・県内産の食材や日田の食材を使って地産地消

・日田独自の食材、県内の特産品を積極的に活用しPR

・パンは手軽に食べれるように、小さ目の細長いロールパン

を使用

・「日田焼きそば」と「塩からあげ」との抜群のコラボレーション

・濃厚な味になり過ぎないようにレタスや紅生姜をトッピング

・冷めてもおいしく食べられ、レンジで温めなおしても、さらに

美味しく食べられる

・具材が見えるので、購買意欲や食欲もアップ

・パッケージもシンプルで素材や味を重視

商品開発企画書 Ⅰ

パンの中には日田焼きそばをはさみ、塩からあげを小さくカットしてトッピング。

~市販されているような「焼そばパンタイプ」~

上記の4つの点を考慮して、販売価格を¥100~¥200に設定したい。よって、製造原

価を具材の量、トッピング方法などを調整しながら、できる限り安くできる形状にしてい

きたい。

(商品ラベル)

商品開発企画書 Ⅱ

商品の見た目 パッケージ

商品の見た目のイメージを良く

するため、レタスをサンドする。

塩からあげは、小さくカットして

2個~3個程度トッピングする。

日田焼そばは、ボリュームある

量をサンドする。

紅ショウガはあくまでも、ちょっ

としたアクセントとしての役目。

商品を入れる袋は透明

にして、中身のパンが見

えるようにする。

商品ラベル

商品ラベルを張る位置。ラベルは

下記参照。あまりシールなどは貼

らずにシンプルにする。

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~ 16 ~

(図9)「日田ポケット」企画書

商品名 高校名 担当教諭名(連絡先) チーム代表者(生徒)

日田ポケット ~日田焼そば&塩からあげ in Bread~

大分県立日田三隈高等学校 山下 智史

(0973-23-3130) 三笘 美菜子

1.販売する季節・月

秋(10月~12月) (理由)行楽シーズンを迎え、行楽時や海や山で手軽に食べられ、食欲増進も図れ

るため。

2.商品を食べる場面(例:朝食時 おやつ時)

朝食時、昼食時、通勤時、行楽時など (理由)コンビニエンスストアの利用者の中で、未婚の30代男性の利用率が一番多

いことから、短時間で簡単に食事を済ませたい場面を設定

3.商品をどういった年齢層の方に買ってもらいたいか?

(メインターゲット) 30代男性

(サブターゲット) 女子高生や20代女性 (理由)コンビニエンスストアの利用率が高い年代は30代であり、その中でも特に独

身男性の利用頻度が高い。また、「高校生企画商品というセールスポイント」

や「手軽に食べられる」といった点から、若い世代にも購入を勧めたい。

4.この商品を企画した理由

・商品開発の経験があったから

・日田のことをPRするため (理由)地元の特産品を使用したオリジナル商品を開発した経験があり、その過程

で地元の特産品をPRすることができ、地域活性化や社会貢献ができるか

ら。

5.使用する原材料の特徴

・パンの中には、カリカリに焼いためんと、シャキシャキ感が

残るモヤシの異なる食感が、口の中で絶妙なハーモニーを

奏でる日田名物の「日田焼そば」をサンド

・日田焼きそばの上には、日田発祥大分からあげの創業以

来一番人気メニューでもある「塩からあげ」を小さくカットして

トッピング

6.商品の特徴・ポイント

・県内産の食材や日田の食材を使って地産地消

・日田独自の食材、県内の特産品を積極的に活用しPR

・パンは食べやすいように、焼きそばとからあげを包み込める

袋状のパンを使用

・「日田焼きそば」と「塩からあげ」との抜群のコラボレーション

・濃厚な味になり過ぎないようにレタスや紅生姜をトッピング

・冷めてもおいしく食べられ、レンジで温めなおしても、さらに

美味しく食べられる

・具材が見えるので、購買意欲や食欲もアップ

・パッケージもシンプルで素材や味を重視

商品開発企画書 Ⅰ

パンの中には日田焼きそばをはさみ、塩からあげを小さくカットしてトッピング。

~ポケットのようなイメージで焼きそばとからあげを「包み込むパンタイプ」~

上記の4つの点を考慮して、販売価格を¥100~¥200に設定したい。よって、製造原

価を具材の量、トッピング方法などを調整しながら、できる限り安くできる形状にしてい

きたい。

(商品ラベル)

商品開発企画書 Ⅱ

商品の見た目 パッケージ

商品の見た目のイメージを良く

するため、レタスをサンドする。

塩からあげは、小さくカットして

トッピングする。

紅ショウガはあ

くまでも、ちょっ

としたアクセント

としての役目。 パンは焼きそばやからあげを

包み込めるような形状にする。

商品ラベル

商品ラベルを張る位置。ラベルは

下記参照。あまりシールなどは貼

らずにシンプルにする。

商品を入れる袋は透明

にして、中身のパンが見

えるようにする。

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~ 17 ~

平成24年5月に一次審査を突破し、平成24

年6月20日に大分県別府市にて株式会社ローソ

ン九州ローソン支社九州商品部の方々に対してプ

レゼンテーションを行った。大分県内から6校が

参加しており、県産カボス、豊後大野市特産のさ

つまいもなどを活用した独創的なアイデアの提案

が各校からなされた。審査の結果、焼きそばパン

の企画は採用されなかった。大手コンビニチェー

ンに対してのプレゼンなど初めての経験であり、

よい経験となった。

Ⅴ.授業との連携

本年度から新たに開始した「活動計画の立案」にて行動計画を設定した。「大分県立日田三隈高等学校三隈

マーケット行動計画①」にあるように、本校における商業科の授業において、三隈マーケットの活動内容を教

材などに活用させることになった。本年度は、マーケティングの授業において「商品開発」、文書デザインに

おいて「チラシの作成」を実践している。

1.マーケティングにおける実践

教科書第4章「製品計画」の分野において新商品開発を実践した。教科書には商品開発の内容を主眼におい

た内容は尐なく、商品開発の流れ、商品アイデア、商品要素などが中心に記載されている。この教材と、大分

県商業部会商品開発検討委員会が作成した「商品開発へのアプローチ」を使用しながら授業を展開することに

した。商品開発を授業で実践していくことは他校でもあまり実戦もなく、本校においても手探りの状態であっ

た。商品を開発するという最終地点まで行くことが目標ではあるが、新しい取り組みということも考慮し、可

能なところまで実践していくこととなった。

「商品を作る」といっても、どの分野商品とするのか?実際販売するのか?本当に自分たちで作れるのか?

という大きな不安が生徒たちにはあった。その不安を解消するために、身近な食品の分野で、三隈マーケット

にて販売し、企画を考案して商品の製造は地元企業に依頼をするという3点を生徒に徹底した。それが、「自

分たちで商品は開発できない」という思いから「商品を開発できるかもしれない」という期待につながり、授

業に対する意識も高くなった。

(1)商品開発分野

生徒の発想力、モチベーションを維持させていくために、より身近な商品分野を設定する必要があっ

た。「何を作る?」という問いかけではなく、ある程度商品分野を限定して「〇〇を作るからアイデア

を考えよう!」という働きかけが必要であった。

生徒と話をする中で、中学まで楽しみにしながら食べていた給食についての話題があった。その中で、

現在は給食のメニューからは消えている「かぼすゼリー」という美味しいデザートがあることを知り、

商品分野を「ゼリー」とすることとなった。

(2)商品開発協力企業調査

商品開発をすると簡単に言うが、なかなか高校生が実践するとなるとプロの力を借りなければ限界が

ある。三隈マーケットの取引先企業の中から協力依頼をしたところ、柚子や梨の加工品を製造販売して

いる「株式会社つえエーピー」が快く協力をしていただけることとなった。

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~ 18 ~

(3)商品開発の流れ

三隈マーケットのオリジナル商品の開発までの流れを生徒に確認をさせながら、大まかな開発の流れ

を確認することで商品開発のイメージをつかませた。授業にて使用した資料(図10)は「商品開発へ

のアプローチ」を参考に作成した。

「商品を開発する手順を確認しよう」

(手順1)

保有技術の評価

【検討内容1】自分たちには何(どんな商品であれば開発)ができるのか?

〔競合他社よりも優れている点はないが、高校生らしい発想の商品ができる 〕

(手順2)

市場ニーズの把握

【検討内容2】「自分たちの強み(技術、人材、資金など)で何ができるか」?

〔プラス面→アイデアの発想力がある マイナス面→開発の経験、費用、技術がない 〕

【検討事項3】「このような機能あるいは便益を求めている人々がいるが、それに応える方

法はないだろうか」?

〔高校生開発商品に対するニーズは以外に高い。開発すればヒットするチャンスはある 〕

(手順3)

商品コンセプトの

創造

【検討事項4】コンセプト(顧客がどんな欲求を満たそうとしているかを受け、商品の方向

性を簡潔な言葉で表現すること)を考え、実現可能な商品の大枠を決定

〔〇〇〇だから△△△のような商品にする 〕

(手順4)

計画の立案

【検討事項5】コンセプトを具現化(必要となるデザイン・スタイル・品質・機能・コスト

等を具現化)する。

〔一番こだわりたいのはデザインなのか、品質なのか、機能なのか、価格なのか? 〕

【検討事項6】セールスポイント(商品のポイントを明確にし、他社商品と差別化(区別)

を図る)の確認

〔高校生が開発した商品なのか、地元の特産品を使用している商品なのか 〕

(手順5)

組織の編成と運営 【検討事項7】組織編成(計画を実行していくためのプロジェクト・チーム)を編成する。

(手順6)

実 行

【検討事項8】プロセスの実行(「技術開発→設計→試作→実験」)

(手順7)

市場への投入

【検討事項9】発売準備(広告キャンペーン、物流計画、市場テストなどを準備)

PR活動(広告やパブリシティ活動で商品新規性や利便性をPR)

(図10)

(4)アイデアの収集

生徒を3人~5人のグループに分け、グループごとにアイデアを考案させた。開発商品名(ネーミン

グ)、商品開発に至るまでの経緯(流れ)、機能、品質、デザイン・包装(パッケージ)、サイズ、消費

動向の分析(消費者の分析など)、ターゲット設定(顧客の分析など)、市場の価格帯(販売価格の設定)、

競合商品の分析と対策(他の商品の分析と対策)、販売戦略の分析と対策(製品販売段階における分析)

などの項目をできる限り詳しく考えさせた。その際に使用したワークシート(図11)は「商品開発へ

のアプローチ」を参考に作成した。専門的な用語や内容が多数出てくることもあり、説明をしながら話

し合いをさせていくというサイクルを繰り返した。

5時間程度、グループ別にアイデアを考案する時間を設定し、一般企業でも実施されている「ブレー

ンストーミング」の手法を用いて発表会を実施して、アイデアを決定していった。

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~ 19 ~

(図11)

(5)パッケージデザイン

イラストテータなどの専用ソフトを使用してデザインをさせたかったが、本校のPC教室の状況、授

業時数などを考慮すると不可能であった。生徒に手書きでデザイン(図12)を考えさせ、ペイントソ

フトを使用して処理(図13)させ、委託企業に提案をするという方法をとった。

製造ラベルについては、生徒の学習のためにも製造責任なども学習させた上で作成させたかったが、

製造委託企業から全面的な協力をする旨の連絡があり、委託企業が作成していただけることとなった。

(図12) (図13)

マーケティング 授業プリント8 2012.11.06

1.商品の企画 エ.商品企画の検討3

(① 実生活と関連づけながらアイデアなどを考察する。)

(② アイデア収集に主体的に取り組み、その意義や方法を理解する。)

(③ 効果的なプレゼンテーションの方法を理解する。)

商品企画の詳細(プレゼンテーション用)

開発商品名

(ネーミング)

①商品開発に至るまでの経緯(流れ)

②機能

③品質

④デザイン・包装(パッケージ)

⑤サイズ

⑥消費動向の分析

(消費者の分析など)

開発商品をどのような消費者が購入するのか? 商品に求めるものは何か?

⑦ターゲット設定

(顧客の分析など)

販売を促進しながら商品をヒットさせていくためのターゲットは?

⑧市場の価格帯

(販売価格の設定)

いくらであれば消費者は購入しやすいのか?

⑨競合商品の分析と対策

(他の商品の分析と対策)

同じような商品はないか?あればその対策は?

⑩販売戦略の分析と対策

(製品販売段階における分析)

販売初期(導入期)、販売中期(成長期)、販売後期(成熟期)、販売中止期(衰

退期)の4段階でどんな販売方法や戦略をとるのか?

販売初期

(導入期)

販売中期

(成長期)

販売後期

(成熟期)

販売中止期

(衰退期)

( )月( )日( )曜日( )限 本時の感想・質問など

クラス( ) 番号( )

氏 名( )

◆自己評価◆(該当項目の番号に○を記入しなさい)

1.授業に積極的に取り組むことができた。

5 4 3 2 1

2.授業内容を理解することができた。

5 4 3 2 1

3.ワークシートを完成させることができた。

5 4 3 2 1

コメント 検 印

学習のポイント

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~ 20 ~

(6)企画書の作成

商品についての様々な考案を行い、その内容を企画書にまとめる作業も実践した。三隈マーケットオ

リジナル商品を開発する際にも活用した企画書の書式を使用してまとめた企画書(図14)を「株式会

社つえエーピー」にご提案した。

企 画 書

平成24年11月15日

株式会社つえエーピー 殿

提案者

大分県立日田三隈高等学校 (商品名) 県内特産を使用したゼリー

(商品のコンセプト) 大分県産の素材を使用することで大分県のPRができる

商品を考案したい。その観点から全国的にも有名な「かぼす」を使用した商品作りをすることになった。また、商品作りと同時に授業で学んだ知識や技術を活かし、商品開発に取り組んでいきたい。

(企画の背景) マーケティングの授業において企業が実践しているマー

ケティング活動の基礎を学んでいる。その分野の1つに「製品計画」という章があり、実際の商品が市場で販売されるまでの内容を学習した。その経験を活かし、自分たちで商品開発をしたいという気持ちが強くなり、実践に移すことになった。

(ターゲット) 大分県産の素材を使った商品作りをしたいという思いが

強かったので、多くの消費者に購入してもらえる商品としたい。「かぼす」を使用することで、30代~40代の消費者をメインターゲットとし、「かぼす」をあまり食べ食べたことがないと予測される小学生をサブターゲットとして、「かぼす」のPRをしていきたい。

(商品仕様) 商品仕様については、以下のとおりである。 《提案1》商品の機能(はたらき) 大分県産の「かぼす」を使用することで大分県のPRを図る。また、「かぼす」を使用することで体によいビタ

ミンなどを豊富に摂取できるなど、健康志向にもつなげていきたい。 《提案2》品質 県内で採れた「かぼす」の使用を考えているが、傷ものなども積極的に活用していきたい。また、果汁も10

0%に近い割合とし、安心安全な商品であることをPRしたい。 ①かぼすパンチ 大分県特産の「かぼす」と「サイダー」を合わせたゼリー ②なしパンチ 大分県日田市特産の「なし」と「サイダー」を合わせたゼリー ③かぼしパンチ

大分県特産の「かぼす」と大分県日田市特産の「なし」と「サイダー」を合わせたゼリー 《提案3》デザイン・パーッケージ・サイズ ①棒状の包装とし、その中に商品を梱包 ②包装の素材はビニールで、空けやすい状態 ③長さは15cm程度 ④当たりくじや占いなども採用 ⑤なしパンチ、かぼしパンチも同様なタイプ 《提案4》価格設定 可能であれば、1本50円前後で販売を希望

(流通ルート) 商品管理など、流通を考える際に注意する点が多数

あるため、御社にご指導いただいて決定する。

(広告・販売促進) 新聞やテレビなどのメディアを可能な限り使用してPR

する。また、本校運営店舗「三隈マーケット」での販売や県内の「道の駅」などにも販売依頼を行いながら販売の範囲を広げていきたい。

(図14)

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~ 21 ~

数日後、私たちの提案した企画書に対して、つえエーピーから回答があり、「とても面白い企画ではあるが、

炭酸を使用すること、袋タイプのパッケージは技術的にも難しく、コストがかかりすぎるので不可能」という

内容であった。その結果を受け、ゼリーに関する企画を検討しながら企画書(図15)を作成しなおし、平成

24年11月21日、つえエーピーに商品企画の再提案を実施した。

決定した結果は当初、私たちが考えていた企画とは大きく変化してしまった。しかし、商品を開発するとい

うことがどれほど大変で難しいのかということが理解できたことも事実である。

(図15)

企 画 書

平成24年11月21日

株式会社つえエーピー 殿

提案者

大分県立日田三隈高等学校

(商品名)

「県産かぼす」と「日田梨」を使用したゼリー

(商品のコンセプト)

①大分県産の素材を使用することで大分県のPRが

できる商品を考案したい。

②大分県産のかぼすと日田特産の梨を使用し、多くの

方々に美味しく食べていただける商品にしたい。

(企画の背景)

マーケティングの授業において企業が実践してい

るマーケティング活動の基礎を学んでいる。その分野

の1つに「製品計画」という章があり、実際の商品が

市場で販売されるまでの内容を学習した。その経験を

活かし、自分たちで商品開発をしたいという気持ちが

強くなり、実践に移すことになった。

(ターゲット)

大分県産の素材を使った商品作りをしたいという

思いが強かったので、多くの消費者に購入してもらえ

る商品としたい。「かぼす」と「梨」を使用すること

で、30代~40代をメインターゲットと設定する。

また、小学生や中学生をサブターゲットとして、「県

産かぼす」と「日田特産の梨」のPRをしていきたい。

(商品仕様)

商品仕様については、以下のとおりである。

《提案1》商品の機能(はたらき)

大分県産の「かぼす」と日田特産の「梨」を使用することで地域の特産品のPRを図る。健康志

向にもつながるようなPRも心がけていきたい。

《提案2》品質・形状

①県産の「かぼす」と日田市特産の「梨」をブレンドしたゼリーとしたい。

②食感を重視するため、ゼリーの中に「かぼす」、もしくは「梨」の果肉を入れる。

③果汁も100%に近い割合とし、安心安全な商

品であることをPRしたい。

④内容量は65g程度とし、気軽に食べられる量

にする。

⑤容器の形状は底が平らなものを使用し、商品陳

列時や食べる時などにも配慮した形としたい。

《提案3》パッケージデザイン(*別紙参照)

別紙の中で御社に選んでいただき、そのデザイン

を御社の指導の下、加工・修正を行って決定して

いきたい。完成したデザインは右記のとおり。

《提案4》価格設定

御社の商品を参考にさせていただき、1個200

円前後で販売を希望する。

(流通ルート)

商品管理など、流通を考える際に注意する点が多数

あるため、御社にご指導いただいて決定する。

(広告・販売促進)

新聞やテレビなどのメディアを可能な限り使用し

てPRする。また、本校運営店舗「三隈マーケット」

での販売や県内の「道の駅」などにも販売依頼を行い

ながら販売の範囲を広げていきたい。

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(図15)

(商品仕様)

《提案3》パッケージデザイン(別紙1)

(デザイン1) (デザイン2)

(デザイン3) (デザイン4)

(デザイン5) (デザイン6)

(デザイン7) (デザイン8)

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~ 23 ~

(図15)

2.文書デザインにおける実践

マイクロソフト社の「ワード」を使用した授業を実践している「文書デザイン」という授業において、三隈

マーケットのチラシを作成するという実践を行っている。画像の挿入や加工、ワードアートなどの効果的な活

用などを最大限用いて、消費者が目を引く、来店したくなるようなチラシを作成している。

本年度は、実際にお客様にチラシとして配布することはできなかった。次年度以降、授業で完成したチラシ

を審査(コンクールなど)を行い、完成度の高いチラシについては実際にお客様に配布するような実践も行っ

ていきたい。

(商品仕様)

《提案3》パッケージデザイン(別紙2)

(デザイン9) (デザイン10)

(デザイン11) (デザイン12)

(デザイン13) (デザイン14)

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Ⅵ.他校との合同出店

本校の活動が日田市においては様々な広がりを見せるようになってきた。地域のイベントへの出店依頼が

年々増加してきていること、県内外の高校における文化祭においてのオリジナル商品の販売など様々である。

本年度は更なる活動の広がりを目指し、県内の高校へ合同出店の依頼を行い、活動のPRを図っていくことに

した。

1.大分県臼杵市(臼杵市中央通り商店街)における合同出店

平成23年度に大分県立臼杵商業高等学校と合同

出店を実践した。その経験を活かし、平成24年8

月18日(土)に県内県立高校5校(県立臼杵商業

高校、県立海洋科学高校、県立津久見高校、県立三

重総合高校、本校)にて合同出店を実践した。

本校以外の学校の中には、開店数分間で商品が完

売するという店舗もあり、取扱商品の質、価格、知

名度などの商品力のレベルアップが必要であること

を感じた。

2.大分県津久見市(つくみん公園)における合同出店

大分県臼杵市における合同出店が起点となり、平成24年10月27日(土)に大分県津久見市にて県内高

校5校(大分商業高校、別府商業高校、津久見高校、臼杵商業高校、本校)と合同出店を実施した。地元のイ

ベントへの合同出店ということもあり、他校の商品陳列や接客など多くの学習の機会となった。

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3.大分県日田市(月隈公園周辺)における合同出店

8月と10月の合同出店を受け、本校が中心となって大分県日田市にて合同出店を実施することができた。

11月10日(土)に日田市で実施をされる「天領まつり」において、県内高校6校(津久見高校、三重総合

高校、臼杵商業高校、昭和学園高校、本校)と合同出店を行った。開店前の打ち合わせなども本校生徒がすべ

て行い、よい経験となった。

Ⅶ.おわりに

3年間の取り組みを振り返ると苦労しながら努力して活動してきたことが本年度、やっと実を結び、来店者

の増加、利益の増加などに現れてきている。「衰退している商店街を活性化させる」という当初の目標は、実

現できているとは言えないが、活動している生徒たちの成長を見ると活動の意義は大きいと言える。活動を始

めた平成22年度には、順調な活動が実践できており、生徒たちも積極的な活動を実践できていた。

しかし、平成23年度になると注目度も無くなり、土日の営業日に全くお客さんが来ないという状況が続き、

1ヶ月間(約8日程度営業)で10人程度のお客さんしか来店しない店舗となってしまった。そうした状況を

深刻に受け止め、1人でも多くのお客さんが来店される店舗とし、自分たちらしい積極的な活動を実践するた

めの努力が必要とされた。商店街の方々への相談、店舗経営のプロの方からの研修、他校での実践例を参考に

自分たちの活動分析と活動計画の作成、ビジネスプランや資金計画の作成など様々な視点から活動の見直しと

実践を行った。

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そして本年度は、新たに9名の1年生を迎え、合計16人での活動となり、3年間で最も多いスタッフで活

動ができる体制となった。初心に戻り、チラシの配布や報道機関への取材依頼などを積極的に行いながら、オ

リジナル商品の開発、地域のイベントへの積極的な参加、他校との合同出店など昨年度以上に活動範囲を広げ

ながら店舗経営を実践してきた。その結果、平成24年10月には、累計で来店者が3,000人を超え、売

上高、利益額なども昨年を上回ることができた。

こうした本年度の活動を振り返り、実際に活動を実践していた生徒が記入した「活動を通しての感想」には

次のような内容である。

【3年】

(1)日頃の授業では体験できない地域の方々との交流、日田市や商店街の方への自分たちの活動の提案や

説明、マーケット営業日におけるお客様との対応など本当に勉強になった。

(2)高校3年間で「一生懸命頑張ったこと」がマーケットでの活動となり、自分も頑張れば結果が残せる

ことを実体験することから学んだ。

(3)マーケットでの活動は、常に先を読んで計画をし、実践していきながら活動の反省をして改善をして

いかなければならなかった。その過程で将来のことを見据えながら計画していくことがとても重要で

あることを学んだ。

(4)日田市長、オリジナル商品の製造委託会社の社長や商品開発担当の方、報道関係の記者の方、他校の

先生方など社会人の方との交流を通じて、コミュニケーション能力はもちろん、名刺交換や挨拶、礼

儀作法など多くのことを学ぶことができた。

(5)社会人となる前にマーケットの活動を通じて様々な活動から多くのことを学ぶことができ、大きな自

信を持つことができた。

(6)地域に出て活動してきたが、入学してから3年間頑張ってきたことでやっと「三隈マーケット」が認

知されるようになってきた。何事も地道に我慢しながら頑張っていけば必ずよい結果を残すことがで

きることを学んだ。

【2年】

(1)マーケットの活動を通じて、様々な方との交流があった。その中には、厳しい指摘を受けることもあ

り、自分自身の未熟さを感じた。しかし、その反省をしながら自分自身に足りない点を振り返り、改

善していこうと努力できるようになった。

(2)マーケットの活動を通じて、将来の就きたい仕事を深く考えられるようになった。

(3)「昨年は震災の復興支援活動を実践したから今年もやろう」というように、1年次の経験がもとにな

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り、先の活動を考えられるようになった。

(4)現金出納帳など日頃の授業で学んでいる帳簿処理が、マーケットで経験でき、日頃学んできる学習の

深化が図れている。

(5)「3年生に代わり、自分たちが三隈マーケットを引き継ぎ、日田市や商店街に必要とされる店舗にし

ていかなければならない」という強い思いがある。

【1年】

(1)何も分からない状態で活動をしながら、すべてが新鮮で勉強になった。お客様に対して「いらっしゃ

いませ」と声もかけれるようになり、商品説明なども入学時に比べればできるようになってきた。店

舗経営を甘く見ており、その難しさを強く感じた。

(2)日頃の授業で学んだ売買取引の流れや現金出納帳などの帳簿処理が、マーケットでの活動から体験で

き、身につけた知識や技術の確認ができた。

(3)接客態度や様々な活動において、先輩たちに迷惑をかけてしまい、三隈マーケットの印象を悪くして

しまったこともあった。店舗を経営するということは甘いものではなく、様々な事を総合的に考えな

がら活動しなければいけないことを学んだ。

以上の感想からも分かるように、活動に携わる時間が経ては経つほど様々な事を身につけながら成長してい

っていることが分かる。他者とのコミュニケーション力が身につき、各種発表会などで大勢の観衆を前に立派

な発表をできたりするようになったのは、日々の経験が力につながっている証拠でもある。また、店舗経営を

実践する中で将来を見越して仕入や販売戦略を立てるが、その活動から先を見越して行動できる計画性も身に

ついてきた。情報発信をフェイスブックなどの即効性のある発信方法を活用していくことや、福祉施設などへ

の訪問販売などを実践していくことなど、今後の三隈マーケットの新たな活動を積極的に考え、行動できるよ

うになってきた。

これまでの活動を通じて大きな障害となっているのが「資金面の問題」である。店舗を運営していくために

は、高額の資金が必要となり、それこそが「店舗経営の難しさ」であると感じることが多かった。現在は、日

田市や本校PTAから活動資金を援助してもらったりしながら何とか活動が継続できている。今後も積極的な

活動を継続しながら、商品開発、授業との連携、イベント出店、他校との連携などにも取り組んでいきたい。

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Ⅷ.活動資料

(新聞記事 平成24年4月~)

西日本新聞(2012.04.04)

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大分合同新聞(2012.07.11)

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西日本新聞(2012.07.12)

西日本新聞(2012.08.19)

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大分合同新聞(2012.08.19)

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大分合同新聞(2012.08.20)

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西日本新聞(2012.10.23)

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大分合同新聞(2012.10.23)

朝日新聞(2012.10.21)

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朝日新聞(2012.11.07)

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大分合同新聞(2013.01.26)

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朝日新聞(2013.01.26)

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読売新聞(2013.01.29)

西日本新聞(2013.01.31)

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毎日新聞(2013.02.17)

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読売新聞(2013.02.17)

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西日本新聞(2013.02.21)

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朝日新聞(2013.02.25)

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大分合同新聞(2013.03.02)