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2011年度 プログラム近況報告 (2010年10月1日~2011年9月30日) ルワンダ共和国 キラムルジ地域開発プログラム (RWA-187343) プロジェクト平和再構築ーキャンプやグループ活動によって若者の心が開かれ、人と人との絆を生み出していますー プロジェクト教育ー住民自身が、より貧しく厳しい環境の子どもたちへ教育の機会を与えることに焦点をあてていますー プロジェクトHIV/エイズ対策・保健衛生ーキッチンガーデンの普及により子どもたちの栄養状態が改善していますー プロジェクト食糧増産ー協同組合が立ち上がりましたー 元気いっぱいな 地域の子どもたち 人々の心のケアや地域の絆を取り戻すため 活動を継続しています ルワンダの子どもたちと 一緒に写る大江スタッフ (右上) ルワンダは「千の丘の国」と呼ばれるように、草木 の混ざったやさしい緑色の丘が視界に広がる美しい 国です。首都からバナナの木が生い茂る丘の隙間を 縫うように車で走ること1 時間半、絵に描いたように きれいな湖を越えたところでキラムルジ地域開発プロ グラム( 以下 ADP)の支援地域にたどり着きます。自 然の美しさが光る反面、支援地域においては、人々は 貧困や1994 年に起こったジェノサイド(大量虐殺) によって負った心の傷とたたかっています。隣人同士 でさえやむを得ず殺し合わなければならないことさえ あったような虐殺の歴史は、地域に根強い不安感を 残しており、人々の心のケアや地域の絆を取り戻すこ とも地域の課題です。 支援地域を訪問した際に多くの子どもたちとの出会 いがありました。「ムズング~(外国人を意味する言 葉)」と元気に叫んで笑顔とともにかけ寄って来る子ど も、見たことのない外国人に泣き出してしまう子ども、 好奇心いっぱいで友達とじゃれ合いながら見つめる子 どもなど、反応は様々で自由で一生懸命な子どもたちに 元気をもらうことができました。こうした地域の希望と なる子どもたちを支えていくことはADPの大きな役割と なっています。 プログラム担当者:大江 景

2011年度 プログラム近況報告 ルワンダ共和国 キラムルジ地 …2011年度 プログラム近況報告 (2010年10月1日~2011年9月30日) ルワンダ共和国

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2011年度 プログラム近況報告 (2010年10月1日~2011年9月30日)ルワンダ共和国 キラムルジ地域開発プログラム(RWA-187343)

プロジェクト❶平和再構築ーキャンプやグループ活動によって若者の心が開かれ、人と人との絆を生み出していますープロジェクト❷教育ー住民自身が、より貧しく厳しい環境の子どもたちへ教育の機会を与えることに焦点をあてていますープロジェクト❸HIV/エイズ対策・保健衛生ーキッチンガーデンの普及により子どもたちの栄養状態が改善していますープロジェクト❹食糧増産ー協同組合が立ち上がりましたー

元気いっぱいな地域の子どもたち

人々の心のケアや地域の絆を取り戻すため活動を継続しています

ルワンダの子どもたちと一緒に写る大江スタッフ(右上)

 ルワンダは「千の丘の国」と呼ばれるように、草木の混ざったやさしい緑色の丘が視界に広がる美しい国です。首都からバナナの木が生い茂る丘の隙間を縫うように車で走ること1時間半、絵に描いたようにきれいな湖を越えたところでキラムルジ地域開発プログラム(以下ADP)の支援地域にたどり着きます。自然の美しさが光る反面、支援地域においては、人々は貧困や1994年に起こったジェノサイド(大量虐殺)によって負った心の傷とたたかっています。隣人同士でさえやむを得ず殺し合わなければならないことさえあったような虐殺の歴史は、地域に根強い不安感を

残しており、人々の心のケアや地域の絆を取り戻すことも地域の課題です。 支援地域を訪問した際に多くの子どもたちとの出会いがありました。「ムズング~(外国人を意味する言葉)」と元気に叫んで笑顔とともにかけ寄って来る子ども、見たことのない外国人に泣き出してしまう子ども、好奇心いっぱいで友達とじゃれ合いながら見つめる子どもなど、反応は様々で自由で一生懸命な子どもたちに元気をもらうことができました。こうした地域の希望となる子どもたちを支えていくことはADPの大きな役割となっています。           

プログラム担当者:大江 景

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プロジェクト報告2008 2011

 ADPでは、地域の仲間同士が悲しい歴史によって心に傷を負った人々を励まし、お互い助け合い、支え合う社会を目指して、様々な地域の組織を巻き込みながらキャンプや集会を開いています。今年度は、次世代を担う若者たちが同じ年齢の仲間たちと歌い、踊り、意見交換する機会を提供し、参加者個々人の心の解放と同時にグループ内の人間関係を深めることができました。多くの参加者がこういった活動を機に、地域グループに参加して農業や牧畜を営んだり、同じ地域内のより貧しい人々に手を差し伸べたりするようになりました。

プロジェクト   教育住民自身が、より貧しく厳しい環境の子どもたちへ教育の機会を与えることに焦点をあてています

 今年度は、特に貧しさのために、学校に通うことができない子どもたちや、両親がいない子どもたち、HIV/エイズによって苦しい立場におかれている子どもたち668人に対して支援を行いました。彼ら自身で用意することが難しい教材を提供すると同時に、小学校、中学校、職業訓練校で活動する56のPTAをトレーニングすることにより、学校関係者がより貧しい子どもたちへの教育に注意を向けられるよう、支援する環境を作りました。また、ジェノサイド後の混乱期に蔓延したHIV/エイズが原因で両親がいない子ども世帯に対しては、裁縫や木工、左官工のトレーニングを行うことによって、彼ら自身が自立して収入を得ることができるようになりました。

プロジェクト   平和再構築  キャンプやグループ活動によって若者の心が開かれ、人と人との絆を生み出しています

1

2

スポンサーシップ・マネジメント・プロジェクトスポンサーとチャイルドの絆を結ぶ活動

「スポンサーシップ・マネジメント・プロジェクト」では、地域の人々が、ADPの目指す「子どもを中心とした開発」や、それぞれの役割を理解し、活動を担っていけるよう支援し、各プロジェクトを一つにつなげる働きをしています。また活動を通じて、チャイルドの成長を定期的にモニタリングし、支援事業がチャイルドとその家族、さらに地域の人々の生活にどのような変化をもたらしているかの確認を行います。その変化を成長報告や手紙などを通してスポンサーの皆さまにお伝えすることで、皆さまとチャイルドとの交流を支えています。これらの働きのために、このプロジェクトでは、スポンサーの手紙をチャイルドに届けるボランティアの研修などを行っています。

  

スタッフやボランティアは定期的にチャイルドを訪問し、必要な支援を行います。スポンサーからの手紙も1通1通手渡しします。スポンサーシップ・マネジメント・プロジェクトはチャイルドの成長を支えるために、ADPや家族が何をすべきか調整する大切なプロジェクトです

歌や踊りを通して、心の交流とグループの絆を深めました

職業訓練校でトレーニングの合間に集まってくれた若者たち

新しく建てられた学校 

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2023

会計報告収支計算書 支援分野別内訳(RWA-187343)

プロジェクト   HIV/エイズ対策・保健衛生キッチンガーデンの普及により子どもたちの栄養状態が改善しています

 キラムルジ地区では栄養状態のよくない子どもも多く、病気にならない強い体にするために少しでも栄養価の高い食事をとることが大切です。ADPでは昨年に続いて、家の周囲の小さなスペースを使って作物を育てる「キッチンガーデン」を地域の貧困家庭に広めました。栄養価の高い作物の栽培方法をトレーニングし、キッチンガーデンを実践した家庭がさらに周囲の家庭に広めるという住民同士の協力の成果により、2,000世帯に広まりました。その結果、地域全体の栄養不良の人口割合が19.4%から16.5%に減少しました。 これからも、子どもたちが健康で病気にかからない身体を作れるよう支援を続けていきます。

3

キッチンガーデンでの作物栽培を手伝う子ども。子どもたちは、以前より病気にかかりにくくなりました

プロジェクト   食糧増産協同組合が立ち上がりました

 地域住民からなる協同組合を立ち上げました。共同でメンバーが毎週少額の貯金をしていきます。お金の管理方法や貯蓄の用途については、グループ内で話しあわれ、メンバー全員が合意の上決められますが、今年度はグループが共同で運営する農場の農機具や肥料のために自分たちで貯めた資金を利用しました。地域での人と人との繋がりが極めて弱かったこの場所において、隣人たちと協力し合って生活していくことは住民にとって大きな前進です。 また、ADPでは特に貧しい家庭に対して牛を提供し畜産のトレーニングを行っています。彼らはミルクを売ることで収入を継続的に得ることができるようになり、より栄養価の高い食事や学校の教育のために使っています。

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牛を提供した家庭では、子どもたちも家族のために牛の世話を手伝っています

ルワンダ共和国 キラムルジ地域開発プログラム(RWA-187343)

親の農作業を手伝う子どもたち。親たちは協同組合として貯めたお金を、農機具や肥料のために活用しました

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チャイルドストーリー

多くの被災者を出した東日本大震災。ワールド・ビジョン・ジャパンも地震発生直後から、皆さまからご支援を得て、現地で継続的な活動を行っています。( http://www.worldvision.jp/)また、ニュースを聞いたルワンダのチャイルドたちから、日本の人たちを心配し、そして日本の復興を祈るメッセージを届けてくれました。

チャイルドたちが日本を応援しています!

 エマニュエル君は、ルワンダ東部のガコニ地区に住んでいます。父親は大量虐殺にかかわる容疑で、ルワンダの地方裁判所から15年服役の刑を課せられました。「夫が服役中の生活は楽ではありませんでした。家に1人で暮らしている私を、地域の人々は違った眼で見ていました。また、夫を諦めて離れてゆくように忠告する人々もいましたが、私はそうしませんでした。」とエマニュエル君の母親のレオンシアさんは話してくれました。 レオンシアさんは1人で家族を養う力はありませんでしたが、孤独感が、子どもが欲しいという気持ちにさせました。受刑者達には、面会日に妻たちと過ごす時間が与えられていました。彼女は妊娠し、ジーン・ポール君が生まれ、次にエマニュエル君が生まれ、そして双子が生まれました。「すぐに生活は困窮しました。定期的に刑務所の夫と面会することすら大変なのに、子どもたちの世話もしなければなりませんでした。」レオンシアさんは、ドアも窓もない草葺屋根の小さな家に暮らしていました。「時には、石鹸や塩などの生活必需品を買うお金さえも手に入れることができませんでした。もちろん新しい服など買うお金が無かったので、子どもたちは使い古した服を着ていました。私は、4人の子どもたちと刑務所にいる夫を抱えてなす術もなくなりました。」と回想します。 2010年にワールド・ビジョンは地域住民と協力して、レオンシアさんの家族を支援しました。住人たちは、「ウムガンダ

(Umuganda)」コミュニティワークを通してレオンシアさんと子どもたちの家を作るという、コミュニティ連合ワークを行いました。ワールド・ビジョンはキラムルジ地域開発プログラムを通して、トタン板、釘、扉、窓を彼女の家のために用意しました。「家が壊れる心配が過去の事になったので、私と家族はほっとしました。しっかりとした屋根、扉と窓のある家で、私たちはぐっすり眠れます。」と彼女は言います。 また、ワールド・ビジョンはレオンシアさんの家族の栄養状況が向上するように支援しています。栄養バランスの取れた食事の知識や調理方法をレオンシアさんの家族は学び、体調が改善され、小さなキッチンガーデン(家庭菜園)の支援も受け、今では日々の食事に野菜を加えられるようになりました。このような支援により、エマニュエル君と兄弟たちの健康状態が向上しました。「エマニュエルは約2年の発育阻害がありましたが、ワールド・ビジョンを通して神様は彼の健康を救ってくださいました。」レオンシアさんによると、エマニュエル君は低蛋白性

栄養失調症が治り、今は元気に学校に通っています。 加えて、ワールド・ビジョンから就学年齢の子どもたちは、ペン、本、制服、靴の支援も受けました。レオンシアさんはワールド・ビジョンの継続的な支援に感謝しています。15年の囚役から夫が戻って来た現在は幸せです。そして将来さらに生活が良くなることを願っています。

日本の皆さまのことを心配するルワンダの子どもたち

ルワンダの子どもが描いた絵。「日本に祝福がありますように」というメッセージとともに

1994年のルワンダ大量虐殺を生き抜いて エマニュエル君(7歳)

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エマニュエル君(中央)と両親

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2011年度 プログラム近況報告 (2010年10月1日~2011年9月30日)ルワンダ共和国 グウィザ地域開発プログラム(RWA-190768)

プロジェクト❶平和再構築ー住民が心の平穏を取り戻すためのケアを続けていますープロジェクト❷教育ー教育環境が改善し、子どもたちの勉強意欲が向上していますープロジェクト❸保健衛生・HIV/エイズ対策ー衛生環境の改善方法やHIV/エイズ予防知識が普及しはじめていますー

 ルワンダは豊富な降雨量と温暖な気候に恵まれ、木々の緑と土の赤茶のコントラストが、どこまでも続く丘に沿って映えているとても美しい国です。その一方、ゴミがなく整然とした首都の街並みや親切で温和な人々からは想像できない悲しい過去を持つ国でもあります。 1994年にルワンダで起こったジェノサイドは、およそ100日という短期間に80万人以上ともいわれる多くの人が残虐な方法で命を奪われたことから、近代史上最大(最悪)のジェノサイド(集団殺戮)と言われました。グウィザ地

域開発プログラム(以下ADP)の支援地域は最も深刻な被害を受けた地域の一つで、今でも心の奥にトラウマを抱えている人々や、ジェノサイド後の混乱期に蔓延したHIV/エイズによって両親を亡くした子ども世帯も見受けられます。ADPは子どもたちを含む地域の人々の心の奥深くに残った傷を癒しながら、幸せと平和に満ちた生活を目指し、手を取り合って地域の問題を解決していきます。           プログラム担当者: 大江 景

悲しみの過去を乗り越え、地域の融和を目指します

子どもたちは地域に希望を与え、融和をもたらす鍵となります

心の奥深くに残った傷を癒しながら、平和で幸せに満ちた生活を目指す住民たち

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プロジェクト報告2009 2011

 ADPでは住民同士の信頼関係構築・強化による地域全体の融和を目指し、住民組織の強化や心に傷を持つ住民のケアを行いました。住民間の憎悪やわだかまりを和らげ、和平をもたらすために、46名の地域のリーダーに対する和平促進のトレーニングや、虐殺によって両親を失った子どもたちへの精神的なケア、若者グループの歌や踊り、演劇による交流を通じた相互理解促進などを行いました。その結果、他人との繋がりを避けていた住民自身が、ジェノサイド後の混乱期に蔓延したHIV/エイズにより親が亡くなってしまった子ども世帯やトラウマを抱えている人など、地域の中でより立場の弱い人々に対して手を差し伸べるようになりました。また、家族が虐殺の被害にあったり、隣人に殺されかけたりといった悲しい過去から心に傷を負っている人のケアのため、専門家によるカウンセリングも提供しています。 ジェノサイドから17年を経て、当時の加害者たちが刑期を終えて刑務所から出所し、もとの地域に戻って暮らしています。これは被害者にとっては家族や親しい人を惨殺した人間と同じ地域で共存することを意味し、長年の時が過ぎたとはいえ、決して容易に受け入れられることではありません。ADPは地域の人々とともにこの大きな試練を乗り越えられるよう、今後も様々な課題に取り組んでいきます。

プロジェクト   平和再構築  住民が心の平穏を取り戻すためのケアを続けています

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スポンサーシップ・マネジメント・プロジェクトスポンサーとチャイルドの絆を結ぶ活動

「スポンサーシップ・マネジメント・プロジェクト」では、地域の人々が、ADPの目指す「子どもを中心とした開発」や、それぞれの役割を理解し、活動を担っていけるよう支援し、各プロジェクトを一つにつなげる働きをしています。また活動を通じて、チャイルドの成長を定期的にモニタリングし、支援事業がチャイルドとその家族、さらに地域の人々の生活にどのような変化をもたらしているかの確認を行います。その変化を成長報告や手紙などを通してスポンサーの皆さまにお伝えすることで、皆さまとチャイルドとの交流を支えています。これらの働きのために、このプロジェクトでは、スポンサーの手紙をチャイルドに届けるボランティアの研修などを行っています。

  

スタッフやボランティアは定期的にチャイルドを訪問し、必要な支援を行います。スポンサーからの手紙も1通1通手渡しします。スポンサーシップ・マネジメント・プロジェクトはチャイルドの成長を支えるために、ADPや家族が何をすべきか調整する大切なプロジェクトです

ADPの提供した材料を使い、地域住民や若者のグループが助け合って貧しい家庭の屋根や窓を取り付けました

政府の方針で、草やシートで屋根を覆っているみすぼらしい家は取り壊されることになってしまいました。そこでADPと地域の人々が協力して、国から解体の勧告を受けながらも、貧しさのため自分で改築することができずにいた人々の家の改築支援をしました

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2023

プロジェクト   教育教育環境が改善し、子どもたちの勉強意欲が向上しています

 ADPでは地域内の小学校において3教室、2つのトイレの建設に加え、机、いす、本棚等の学校用家具類や教科書を提供しました。今まで小さな石を教室に持ち込んで椅子替わりにしていた生徒や床に座っていた生徒がいましたが、新しい学校用家具の導入で、皆が机に向かって勉強できる環境が整い、子どもたちは勉強への強い意欲をみせています。これに加えて、ADPでは増築された教室や支給された学校用家具や教材の維持管理を強化するため、学校委員会への研修も行っています。

会計報告

2

収支計算書 支援分野別内訳(RWA-190768)

増築した教室。生徒たちの勉強意欲が大きく高まりました。

増築前に子どもたちが授業を受けていた教室。椅子代わりには小さな石が使われていましたが、雨が降ると地面はどろどろになりました。

プロジェクト   保健衛生・HIV/エイズ対策衛生環境の改善方法やHIV/エイズ予防知識が普及しはじめています

 地域では、不衛生な水に起因する病気にかかる子どもたちが多いため、ADPでは、住民が水を衛生的な環境で使えるようサポートしています。今年度、ADPは水衛生に関する啓発活動と並行して、1,500世帯に毛布、水汲み用ポリタンク、洗面器を配布しました。各家庭で汲んできた水を沸かして使うことを実践するようになりつつあり、病気になる子どもの減少が期待されています。また、HIV/エイズの予防キャンペーンに1,200人以上が参加し、多くの住民が感染に関する正しい知識を得ています。

3

ADPが実施したトレーニングによって、母親たちが子どもたちのために栄養価の高い食事を用意できるようになりました

衛生状態に気を付けて、子どもに安全な食事を提供するようになった母親たち

ルワンダ共和国 グウィザ地域開発プログラム(RWA-190768)

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チャイルドストーリー

多くの被災者を出した東日本大震災。ワールド・ビジョン・ジャパンも地震発生直後から、皆さまからご支援を得て、現地で継続的な活動を行っています。( http://www.worldvision.jp/)また、ニュースを聞いたルワンダのチャイルドたちから、日本の人たちを心配し、そして日本の復興を祈るメッセージを届けてくれました。

チャイルドたちが日本を応援しています!

 メディアトリスさんはシングル・マザーで、息子2人(フレッド君と彼の兄)と3人で暮らしています。フレッド君は7歳ですが、体つきは5歳位に見えます。フレッド君は生まれつきの障害児です。2歳になっても、フレッド君は立ち上がることも歩くこともできませんでした。また、握力が弱くコップをつかむこともできませんでした。「私はいつもこの子の健康を心配していました。地域にある比較的診療費の安いすべての医院に相談しましたが、医師たちは何が問題なのか分かりませんでした」とメディアトリスさんは言います。フレッド君を連れて行った病院の医師たちは、フレッド君は単に怠けているだけだと疑い、すぐに歩けるようになるだろうと言いました。フレッド君のすべての骨は正常でしたが何をするにも虚弱すぎるように見えました。「私はこの子が立ち上がるのを何カ月も待ちましたが、すべては無駄でした」メディアトリスさんは当時を振り返ります。しかし、フレッド君をより良い病院に連れて行くには、彼女はあまりにも貧しかったため、適切な治療を受けさせてあげることができませんでした。 フレッド君の将来についての希望が持てるようになったのは、ワールド・ビジョンによる支援が開始されてからです。ワールド・ビジョンはフレッド君を近代的な公営病院のひとつである、ガヒニ病院に連れて行き、そこで彼は充分な治療を受けることができました。今では、フレッド君の母親は彼が完治するという希望を持っています。「フレッドは立つことができるようになりましたし、歩こうと懸命に努力

しています。またコップを持てるだけの握力もつきました。近い将来、彼を学校に通わせたいと思っています。」と嬉しそうにメディアトリスさんは語ります。 フレッド君の夢は医師になることです。その理由を聞かれると、「ぼくはいつかおかあさんに素敵な車と靴とサングラスを買ってあげたいんだ」と誇りをもって話してくれました。

日本の皆さまのことを心配する子どもたち

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失った希望を取り戻す活動フレッド君(7歳)

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歩けるようになるため、嬉しそうにトレーニング器具で足を鍛えるフレッド君(写真中央。左は母親、右は兄)