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2004年7月27日 · Web view2004年7月27日(火 ) ~7月31日(日 ) (概要報告書) 民主党米国訪問団 日 程 2004年7月27日(火)~31日(土) 目 的

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民主党米国訪問団民主党米国訪問団20042004 年7月27日(火年7月27日(火))~7月31日(日~7月31日(日))

((概要報告書概要報告書))

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民主党米国訪問団

1. 日 程2004 年7月27日(火)~31日(土)

2. 目 的 ○ 大量破壊兵器の拡散問題や、国際テロ問題、イラク政策、朝鮮半島

政策、国際経済の安定的発展など、世界は現在、諸重要問題に直面している。これらの問題について、米政府や有識者との意見交換を行うこと。(今後の政策形成に極めて有効であるとともに必要なことでもあるとの認識のもと、参議院選挙勝利後速やかに訪米団を派遣すること。)

○ 本年5月、新代表に選ばれたことを受け、民主党の外交安保政策及び岡田代表の描く外交安保のビジョンを伝えること。また、日米関係のさらなる発展のために一層の友好・協力関係を深めること。

○ ボストンで開催中の民主党大会に参加し、国民の政治への参画や党大会のあり方の参考とすること。同時にボストン市内で開催されていた民主党大会関連の各種コンベンション(様々な政策テーマについてのシンポジウム)にも参加し、米国、とくに民主党の内外の政策について知見を広めてくること。

3. 構成団 長: 岡田克也  代表・衆議院議員事務局長: 藤田幸久  国際局長・衆議院議員団 員: 大塚耕平  役員室次長・参議院議員

長島昭久  「次の内閣」防衛総括副大臣・衆議院議員

事務局: 橘川こずえ  国際局副部長内田優香   政策調査会副主査

警 護: 宮永 重   代表警護官

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4.日程詳細

 月  日(曜) 時 間 行  動 備 考

7 月 27 日(火)

成田→ボストン 11:4509:05

10:4814:06

17:00

18:30

21:00~

23:00

24:30

成田発(JL010)

シカゴ着

シカゴ発(JL5400)

ボストン着

ジョセフ・ナイ・ハーバード大学教授

( 於 : The Harvard University Kennedy School)

エズラ・ヴォーゲル・ハーバード大学教

授 主 催 夕 食 会 ( 於 : The Harvard University Faculty Club)

民主党大会:フリートセンター

(ケリー候補夫人、 ・ (元大統領ロン レーガン子息)、 ・ (ケニア出身上院議バラック オバマ員候補)演説等)

内政懇談会(滞在ホテル)

<Home Suites Inn 泊>

7 月 28 日(水) 10:00~

10:30

10:45~

11:10

11:30~

13:30

14:30~

NDI:外交 出席フォーラム (於:Charles Hotel)

・ (元国務長官)、マドレーン オルブライト ラン・ 、 ・ (元国連ド ビアーズ リチャード ホルブルック

大使)、 ・ (元国防長官)、ウィリアム ペリー(元上院議員)、 ・ゲリー・ハート ローラ タイソン

(元国家経済会議議長)等出席

フランチェスコ・ルテリ・マルガリー

タ(政党)代表(イタリア)

外交問題評議会主催昼食会出席(フォー

リー元駐日 大使同席、 於 : Harvard

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ボストン→

ワシントン

15:10

18:00~

20:00

21:5523:25

University Faculty Club)

ウォルター・モンデール元副大統領との

会談(於:Charles Hotel)

民 主 党 大 会 Major Reception 出席(於:Kennedy Library)

ボストン発(AA4606)

ワシントン着

<Mandarin Oriental Washington DC泊>

7 月 29 日(木) 07:45

09:00~

09:45

10:00~

10:40

11:00~

11:40

12:15~

14:00

15:50~

16:30

16:50~

17:30

17:35~

18:10

加藤良三大使主催朝食会(於:代表団滞在ホテル)ブレント・スコウクロフト元大統領補佐

官(於: 事務所)スコウクロフトデービッド・リプトン元財務次官

(於:Moore Capital)

グリーンスパン米連邦準備制度理事会

(FRB)議長(於:FRB)

・ 、リー・ハミルトンウッドロー ウィルソンセンター所長主催昼食講演会 (於: Woodrow Wilson Center)

リチャード・アーミテージ国務副長官

(於:国務省)

スティーブン・ハドレー国家安全保障会

議(NSC)大統領次席補佐官(マイケ

ル・グリーン氏同席、於: 西ウホワイトハウスィング)

マイケル・グリーン NSCアジア担当上

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18:30~

19:00

19:30

級部長(於:ホワイトハウス・オールドエクゼクティブビ)ル記者会見( ・ナショナル プレス・センター 13F)

ジョン・ハムレCSIS所長主催夕食会

(於:Metropolitan Club)

<Mandarin Oriental Washington DC泊>

7 月 30 日(金)

ワシントン→日本 12:20 ワシントン発 NH001便(帰国)

7 月 31 日(土) 15:20 成田着

○ 上記日程での主な会談先ボストン 

ハーバード大学のジョセフ・ナイ教授、エズラ・ボーゲル教授(同席:トム・バーガー・ボストン大学教授、ビル・グリムス・ボストン大学教授、スティーブ・シュライカー元国務省中国課ヘッド、ジム・ショフ日本研究員、ジェフ・ウィリアムス元台北ハーバード・クラブ会長)ウォルター・モンデール元副大統領・駐日大使、トーマス・フォーリー元駐日大使、フランチェスコ・ルテリ・マルガリータ(政党)代表(イタリア)など。

ワシントン グリーンスパン連邦準備理事会(FRB)議長、アーミテージ国務副長官、リー・ハミルトン 9・11独立調査委員会副議長(元議会下院外交委員長)、ハドレー国家安全保障会議(NSC)大統領次席補佐官、マイケル・グリーン国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長、ハムレ戦略国際問題研究所(CSIS)所長、スコウクロフト元大統領補佐官、リプトン元財務次官、ブリアーCSIS日本部長、ハザウェイ・ウッドロー・ウィルソン・センター理事、マイク・モチヅキ・ジョージ・ワシントン大学教授、デミング元駐日首席公使、加藤良三駐米大使など。

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5.成果

(1)米国の反応:○ 米国政府側は、野党の代表というよりも、日本の次の指導者として、また

民主党を二大政党の一翼として明確に認知した対応をとった。民主主義を重んじる米国は、日本の本格的な責任政党の登場を歓迎している。参議院選挙後、速やかに訪米したことも米国の積極的な反応を引き出したと思われる。

○ その結果、政治家とはほとんど会わないグリーンスパン連邦準備制度理事会(FRB)議長と会見できた他、中東を訪問中のパウエル国務長官に代わりアーミテージ国務副長官が、ブッシュ大統領の選挙遊説に同行していたライス大統領首席補佐官に代わってハドレー次席補佐官が代行として迎えてくれた。

○ 仮にケリー政権が誕生した場合には、ケリー政権を担う外交安保・経済関係の責任者たちとのパイプを構築することができた。

(2)本年5月、岡田代表が新代表に選ばれて初めての訪米で、「マニフェスト」や岡田代表の目指す外交安保の方向性、諸課題などを各種会談や講演会で説明し、理解を得られた。英文の「マニフェスト」も、多くの関心を誘った。

(3)アメリカ民主党大会を直接視察することができ、政治家と国民との近くて対等な関係、政策立案に多くの専門家を巻き込む透明なプロセス、国民に感動と希望を与える政治家と政党、党員の共同作業などを、3万人の参加者でごった返す、ボストンのフリートセンター及び市内で体験することができた。政治を国民の手に取り戻すことが必要であることを団一行、改めて感じるとともに、それが可能であることを米国で実感できた。

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6. 会談概要

2004年7月27日(火)

17:10~18:00

ジョセフ・ナイ教授(ハーバード大学ケネディ・スクール)

The Harvard University Kennedy School 3階 Fainsod Room

○ 岡田代表は、ナイ教授が、「世界の現状を3次元チェスに例え、3次元の国を超え

るようなテロ、AIDSのような問題は、一国では対応できず、やがて破綻する」

と指摘していることも踏まえ、米国の単独行動主義について懸念を示した。また、

日本の憲法に照らして自衛隊のイラク駐留に反対していると、述べた。ナイ教授の

「先制攻撃をドクトリン化すべきではない」との発言に対しては、何らかの条件を

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つけないと恣意的に先制攻撃が行使される危険性があると、指摘した。

○ ナイ教授は、①ブッシュ大統領は、9.11前の就任当初から同盟国や国際機関に

米国の外交が縛られてはいけないという認識をもち、京都議定書や CTBT の批准問

題など、すでに単独行動主義の傾向が現れていた。②国家は、時に武力行使に踏み

切らないといけないときがある。しかし、ブッシュ大統領は、これをドクトリンに

してしまった。1991年の湾岸戦争の時は、ブッシュ大統領の父は幅広い連合を

構築したが、2003年、ブッシュ大統領はこれをつくるのに失敗した。③イラク

問題の解決は難しい。泥沼の状況に陥っており、イラクを放置することは出来ない。

米国民に聞けば、イラク戦争で反省したというだろうが、イラク戦争から兵を引き

上げたいか、と聞くと数字はずいぶん変わる。ケリー候補も、イラクからの軍の撤

退を主張していない。どちらが勝っても、他国に協力を求めるだろう。自衛隊の駐

留を求め続けるだろう、と応えた。

(岡田代表の「先制攻撃に何らかの条件をつけないと、恣意的になる危険性につい

て」は)世界は大量破壊兵器(WMD)の切迫した脅威に直面している。脅威が発展

するのを待っていられない。ただ、この問題は広範囲(国際的)に扱っていくべき

だと、述べるにとどめた。

○ 岡田代表は、ナイ・アーミテ-ジ・レポートの中に書かれている日本の集団的自衛

権の真意について、「国連安保理決議がある場合だけではなく、米国が単独で行動

した場合も日本が一緒に行動することを期待しているのか?」と、質した。

○ ナイ教授は、上記質問を評価し、①いずれの国も自衛権、集団的自衛権が認められ

ている。②国連安保理決議があればよいが、国連が行動を起こせないような状況が

発生した場合が問題である。コソボでは、安保理でロシアが拒否権を行使し国連の

対応に至らなかったために、NATO軍の傘の下で対処したが、東アジアでは、NATOのようなものがないので、より難しいケース(harder case)となる。北朝鮮が韓

国を脅かすようなときは、日本も集団的自衛権を行使すべきであると、発言した。

○ 岡田代表は、集団的自衛権について、「今の憲法解釈では行使できないものの、後

方支援は可能であるとともに、北朝鮮のように日本の安全に関係がある地域での不

測の事態と関係ない地域でのそれとでは、日本に対する影響が異なる」との認識を

示した。

○ ナイ教授は、日本が直接の脅威を受けていない場合は、日本の対応が限定的な行動

となるとの見解を示すとともに、「困難なケースは、例えば、北朝鮮とパナマのよ

うに、明らかに日本の脅威となりえるケースと、明らかになりえないものという、

両極端の間にあるケースであり、今の(イラクやインド洋での)日本の兵站に限定

した役割(後方支援)は、集団的自衛権の延長でもあり、適当なものである」との

立場を示した。(ナイ教授が、北朝鮮の核開発が日本の核武装論につながると発言

していることを岡田代表が、質したのに対し)ナイ教授は、「個人的には日本が核

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武装することはないが、軍国主義を完全に排除することもできない。北朝鮮が核武

装を進めれば、日本が核武装に追い込まれる可能性はなくはない」と、答えた。ま

た、北朝鮮のミサイル能力について、「北朝鮮がミサイルの能力を持つかどうかと

同時に、北朝鮮がミサイル技術を輸出していることが問題であり、これに対して、

日、中、韓国にロシアも含めて共同の対応をとっていくことが、必要不可欠であ

る」、と強調した。

○ 藤田議員は、中東においても米国のソフト・パワーを使うことの意義と、米国が同

地域で支持を得るための方策について見解を求めた。

○ (藤田議員の質問に対し)ナイ教授は、中東では、①和平プロセスに対して、より

強い立場で望むべきであり、クリントン前大統領には交渉力があったが、ブッシュ

政権は言葉では勇ましいだけで、何もしていない。②政治的解決をイラクで見いだ

さなければならない。イラク戦争は間違っていたが、米国のクレディビリティーに

もかかわっており、イラクを破綻国家にしてはならない。③思想、理念を効果的に

提示していく必要がある。中東の民主化を強制させるようなやり方は効果を生まな

い。教育支援、市民社会の構築のために、よりよい学校の建設や、中産階級の育成

などに取り組んでいくべきであるとの見解を述べた。

18:30~20:30

エズラ・ボーゲル教授

The Harvard University Faculty Club(同教授主催夕食会)

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○ ボーゲル教授をはじめ先方出席者から、日米の国内政治情勢、とくに参議院選挙の

結果に関する関心が寄せられた。イラク問題、日米同盟、対中関係、国連下の安全

保障と集団的自衛権の問題などに関する活発な意見交換が行われた。

(外交問題評議会主催昼食会。中央:フォーリー大使、右:ジュディス・キッパー氏)

2004 年 7 月 29 日

14:30~15:10

モンデール元駐日米大使(元副大統領)

Charles Hotel

○ 岡田代表は、「民主党が次の総選挙では十分政権交代が可能であり、日本の政治が

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自民党と民主党の二大政党に集約されつつある。参議院選挙の大きな争点は3つで 、

①年金改革、②小泉改革が前進しているかどうか、③イラク問題、多国籍軍参加の

是非であったと説明した。

○ モンデール元大使は、①今度の大統領選挙では、これまで以上に外交安保の問題が

争点となっており、イラク問題がどのように展開するか、ビン・ラーディンを見つ

けることが出来るか、また、破壊的な(テロ)攻撃が米本土にあるか、が選挙の行

方に影響を与える。②イラク問題は、国際協調を図るか、単独行動をとるかが、問

題となってくる。国連中心に解決策を模索すべきであり、国連査察を継続すべきと

の立場から、戦争に反対したが、現在、イラクから撤退するということは基本的に

出来ない。③米国は、国連の重要性を十分認識していないと感じるが、国連は加盟

国の行動に正統性を与えることを認識すべきだ。国連を活用すべきであり、結局は

米国も国連を必要とすると、述べた。

○ 岡田代表は、日米が率直に協議できる関係に現在あることに対する、アーミテージ

国務副長官の貢献が大きいとした上で、①国民感情と政府の姿勢にズレがあり、米

国に対して警戒感を持つ日本人が増えている。米国のイラク戦争や、その目的であ

った大量破壊兵器がまだ発見されていないことも影響している。②アーミテージ国

務副長官に日本が依存し過ぎている状況は、日米関係の今後を不安にもさせる。個

人に頼らざるを得ないというのではなく、組織的な関係を深めるべきである、との

見方を示した。

○ モンデール元大使は、ケリー上院議員が大統領に当選し、民主党政権になっても、

ハーバードの民主党関係者は、日本と深いつながりがある。ライシャワー大使以来

の脈々と続く日本研究の豊富で深いコネクションがあると、指摘した。また、クリ

ントン前大統領は、前日の民主党大会でのスピーチの中で、「強さと叡智は、とも

に手を携える」と述べたが、人間の叡智が大切であると、述べた。アメリカには第

二次世界大戦からの伝統がある。それは、国際協調主義、国連志向の外交政策であ

る。国連は完璧ではないが、そういう思想から離れていくことに懸念を感じる。完

全であることはないが、それでも機能させなければならない。「力と叡智」の両方

が必要なのだ。これが今回の選挙の大きなテーマであると、語った。

○ 岡田代表は、「力の強い米国だからこそ『寛容と謙虚さ』が必要であり、米国が国

連から離れていくと、日本は米国をとるか、国連憲章をとるかのジレンマに陥るが、

米国が国連を尊重すれば、ジレンマはないと」強調した。

○ モンデ-ル元大使は、「国連が重要であり、そこでの日本の力を使うべきであり、

米国は長年強く日本の安保理入りを支持してきたと」と述べた。

2004年7月29日

9:00~9:45

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スコウクロフト元将軍(ブッシュ父政権の国家安全保障補佐官)

スコウクロフト・グループ事務所

○ 岡田代表は、スコウクロフト将軍との再会を喜ぶとともに、参議院選挙の勝利に責

任を感じていること、そして3年以内の総選挙、参議院選挙で勝利することへの意

欲を示した。また、民主党はアジア太平洋の平和と安定のために日米同盟がなくて

はならない存在であるがゆえに、対等かつより深い関係にし、国民的理解と共感を

得ることが大事であると、述べた。

○ スコウクロフト元将軍は、日米関係がかつてないぐらい重要な時期にあり、より理

解を深め対等な関係になることで、激しい変化の時期に取り組まなければならず、

アジア地域の問題、とくに北朝鮮問題に対応しなければならないと、答えた。

○ 岡田代表は、北朝鮮問題について、①核兵器が、現時点で日本の最大の脅威であり、

核と拉致問題を解決することが必要である。②拉致問題については、米国にも色々

な意味で助けてもらい有り難く思っている。③拉致・核問題の解決に取り組む中で、

国交正常化交渉を行う。国交正常化の後に経済援助を行うべき。④6カ国協議が行

われているが、日米韓の協力が重要と、説明した。

○ 長島議員は、岡田代表の発言は、「経済援助をもたらす国交正常化が、金正日政権

が誠意をもって核や拉致事件に対応すれば、可能となることを意味するものだ」と

付言した。

○ 岡田代表は、米国における先制攻撃論について、「米国を同盟国として信頼はして

いるが、世界の平和と安定の観点からはこうした姿勢に憂慮している」と述べると

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ともに、世界で抜きん出た超大国の米国に「寛容さと謙虚さ」を求めた。

○ スコウクロフト元将軍は、①先制攻撃が、過度に使われると大げさに捉えられてい

るが、イラク戦争の結果、より慎重になった。しかし、核兵器の脅威は存続してい

るのも確かである。留意すべきは、先制攻撃論の理論の裏にあるのは、優れた情報

(インテリジェンス)という前提であり、自分はイラク攻撃を支持しなかったが、

このインテリジェンスがなかったことが分かった。このイラク戦争は大きな出来事

で、この結果慎重になった。実際に行動に移すことは、理論より難しいということ

である。②イラク政策では、日本に違いがあることを承知している。しかし、米国

はイラク政権を倒し、イラクを実効支配している状況であり、米国のみならず、国

際社会にとってイラクの安定をはかるべきである、との見解を述べた。

○ 岡田代表は、イラク政府が求めるのであれば、治安を回復する責任が米軍にあると

の見方を示した上で、国連を巻き込んだ取り組みにしていくべきであり、(来年1

月までに実施予定の)イラクの選挙が順調に行われて、成功裡に持っていくことが

重要である。民主党は積極的な復興支援が必要と認識しているが、日本国憲法の制

約がある、との立場を説明した。

○ スコウクロフト元将軍は、(アナン国連事務総長のもと設置された国連改革のハ

イ・レベル委員会についての質問に対し)国連憲章は、国連に世界の平和と安定を

促進するよう求めているが、問題は、国連が担う範囲がどの程度かということであ

る。イラク問題をめぐるような状況はもう二度と起こしたくないという意識を持っ

ている。他にも、国連は、貧困、HIV など感染症の問題、南北問題など、様々な問

題に取り組んでいて課題は多い。年内には報告をまとめる予定だが、どのような報

告になるかをいうのは、時期早尚である、説明した。

○ スコウクロフト元将軍は、(藤田議員の、国連側には、米国が一貫した政策をもっ

ていないという思いがあるやに聞くが、との問いかけに対して)事務総長は、米国

にハイ・レベル・パネルへの委員を要請したのではなく、私個人に依頼したのであ

り、パネルの結果について、米政府がどうしろという立場にはないと、答えた。

○ スコウクロフト元将軍は、(今後のブッシュ政権の外交政策について)ネオコンの

影響力はほぼ消滅し、新しい政権は軌道修正する。大統領は、ネオコンに影響され

たが、彼自身はネオコンではない、との考えを示した。

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2004年7月29日

10:00~10:40

リプトン元財務次官

Moore Capital(リプトン氏の個人事務所)

○ 代表は、参議院選挙での勝利を受け、政権交代の責任を強く感じており、今後、人

材の強化や、米国との関係に取り組んでいく旨表明した。

○ リプトン元財務次官は、①世界経済も日米関係も、今、発展(evolution)している

中、日米の協力は、米外交の錨(アンカー)である。アジア金融危機を通じて、日

本だけではなく他のアジアの国々も重要になってきており、注意が必要だ。二国間

関係を多国間関係に広げていく時期にあることを認識している。②中国の台頭につ

いて日米間で協議が不十分であると思う。日米間で協議を積み重ねていくことは、

重層的な財産になる。③米国経済は、現在も健全(ヘルシー)である。中国は、成

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長しているが、まだ他国に追いつこうとしている段階。カナダ、EU、日本はダイナ

ミズムが見られない。日本の経済のためには、中国経済の成長が望ましいが、あま

り急激に成長されても危険であり、中国政治の安定がもっとも重要である。④日本

の政治について、競争が重要であり、権力の代替があることは極めて重要である。

⑤選挙キャンペーンでは、あまり細かな政策にまで目が行き渡らないが、ケリーと

ブッシュの間には、大きな差がある。共和党と民主党のビジョンは違い、共和党は、

政府が関与せず低い税金を提唱し、社会問題を省みず、国際的にもレッセー・フェ

-ルで、G7 などでもリーダーシップを発揮せず、国際経済を調整していない。民主

党は、財政政策を健全化し、国際競争力を高め、二国関係の強化に努める。⑥日本

は、ブッシュ政権をより好む傾向があることを危惧する。ブッシュ政権の外交は、

注意を払い過ぎるか、注意を払わな過ぎるかの両極端で、注意を払い過ぎるのも良

し悪しがある、との見解を述べた。

○ 岡田代表は、「民主党は市場に価値を置いており、現在の日本政府の関与は大き過

ぎる。市場に任せるところは任せ、独禁法の強化などによる市場機能の強化が必要

である。一方、市場が機能しない部分、変化が大き過ぎるところは、社会保障、社

会的公正に取り組まないといけない」と、主張した。また、(リプトン元財務次官

が、米国経済が健全と言ったことに対し、)双子の赤字、とくに財政赤字の拡大を

危惧していないのか、またケリー政権になったら、財政赤字問題に取り組むのか?

と質した。

○ リプトン元財務次官は、この問題意識は共有しているが、日本にとっては、米国の

成長が減退することをもっと気にするべきで、現在の収支をドル安で調整するべき

ではない。それよりも次の3つの点を乗り越えることが必要だ。それは、①財政赤

字への対応。他国からお金を借りずに済むようにしなければならない。②他国が米

国産の製品を必要とすること。③他国に負担がかからないようにすること。とくに、

ドルにペッグしている中国、韓国や台湾に柔軟に対応できるようにすること。安定

的な形で成長すること、であると述べた。

○ (大塚参議院議員が、日本や欧州に負担をかけない、とくに中国が世界経済の牽引

役であることを考えると、中国に負担をかけて経済を減退させてはいけないという

ことか。また、他の国の成長率を上げることに取り組んでいくということか、と問

うたのに対し、)リプトン元財務次官は、多くのアメリカ人は、為替の問題を簡単

に捉え過ぎて、元を切り上げればいいと思っているが、中国の成長への評価が低過

ぎる。中国が安定的に成長することが大事で、アジアの成長は、向こう30-40

年間続くと考えられるが、バブルの発生と崩壊(ブーム&バスト)を見るかもしれ

ないとの見解を示した。米国は、中国や日本と協議し、私たちが直面するチャレン

ジをお互い認識することが大事であると、応えた。

○ (大塚参議院議員が、日米の財政赤字の制御、及び、長期金利の動向について質し

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たのに対して)リプトン元財務次官は、この問題を適切に管理しないと、ハイリス

クな経済構造を抱えてしまう。また、現在の金利があまりに低すぎるために、結果

として、経済的に負担が大きくなっていると、の見解を述べた。

2004年7月29日

11:00~11:40

グリーンスパンFRB議長

FRB

(オフレコ)

2004年7月29日

12:15~14:00

Wilson Center(ハミルトン所長・前下院外交委員会委員長主催、昼食講演会)

岡田代表は、用意していた講演を行った(講演内容:別添テキスト)。その後、質疑が行

われた。質疑での岡田代表の発言概要は以下の通り。

○ 憲法問題について、日本の平和主義を3つに分類。① 護憲主義者の考えで、武力

行使は駄目というもの。② 普通の国になるべきで、武力行使も出来る、集団的自

衛権もできるというもの。③ その中間で、やはり60年前の経験を忘れず、海外

での武力行使は、濫用されないように、自己規律すべきで、それが国連の安保理決

議がある場合に限って、武力行使を認めるべきというもの。

○ 北朝鮮問題への対応については、自民党と小泉総理の考えも同じでなく、自民党内

で一年以内の日朝国交回復には慎重な人々もおり、自民党と民主党の基本的な姿勢

はあまり変わらない。ミサイルは、日本に対する直接的な脅威だが、世界にとって

より重要なのはミサイル技術の拡散の問題。また、日本にとって核は、ミサイルに

搭載可能になれば脅威である。生物、化学兵器も脅威であり、核の開発、ミサイル

の拡散問題について六カ国で話し合うことが大事。

○ 台湾問題は、中国をとるか、台湾をとるかという性質の話ではなくて、中台関係安

定のためにいかに協力していけるかである。小泉総理を見ていて思うのは、靖国参

拝の問題が障害になっているということ。日中韓の信頼関係を築くことが必要。

○ (日本経済における外国企業の役割や、製造業の生産拠点が、中国に移っているこ

とについての質問に対して)米国企業が、日本の市場にもっと進出し、競争を喚起

することが望ましい。米国の日本に対する投資はまだまだ低いと思う。米国企業が

不良債権を買ってくれるのは、日本政府・企業が出来ないことであり、望ましいこ

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と。中国に生産拠点が移っているが、安い労働が必要と思われる部分が中国に移り、

企業秘密の保持が必要な部分は、国内生産に回帰傾向が見られ、役割分担が進んで

いる。海外に行かないとやっていけないから中国に行くという状況に対しては、企

業の過重な負担を減らすなどの対策が必要。また、日本政府が ASEAN でやってい

ることも小さ過ぎ、遅過ぎる。FTA の交渉を進めるべき。

○ (ケリー候補が当選して、岡田総理に自衛隊にもっと出てきてくれと要請した場合

の対応をどうするかとの質問に対して)今の憲法ではできない。イラクの治安が改

善されれば、PKO のような形で自衛隊を出すことも可能。

○ (沖縄の問題について)困難な問題であるが、明らかに基地の占める割合が大き過

ぎる。国民に支持されなければ日米関係が強化されない、ということも考慮すべき。

2004年7月29日

15:50~16:30

アーミテージ国務副長官(同席:エバンズ・リビアー国務首席次官補代理、ステファン・

ウィックマン日本部日本担当官、ノーマン・へースティング日本部日本担当官、カレン・

ライダー国務副長官付特別補佐官、クリス・カストロ国務副長官付特別補佐官、ラメル・

ロス国務副長官付特別補佐官)

国務省

○ 岡田代表は、アーミテージ国務副長官が、日米関係に尽力されていることに謝意を

述べるとともに、世界に抜きん出た力を持つ米国だからこそ、「寛容さと謙虚さ」

をもってほしいと要望し、ウィルソン・センターでの講演内容のテキストを手渡し

た。また、集団的自衛権と日本の国連安保理常任理事国入りがリンクしていると国

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務副長官が発言されたと日本のメディアが報じている点について確認した。

○ アーミテージ国務副長官は、(集団的自衛権と国連安保理常任理事国入りは)何ら

リンクするものではない。①9条にかかわる改正は、全て日本自身が決めること。

②米国は、日本の常任理事国入りを支持する。9条の問題如何にかかわらず支持す

る姿勢に変わりはない。世界のどこに国連軍を送るかは、安保理が決めること。③

ナイ・アーミテージ・レポートでは、「抑制」という言葉を使い、9条が抑制とな

っていると書いたが、日本のユニークな民主主義というものは理解している。安保

条約の5条と6条で、日本の領土の防衛と、施設・基地の(米軍の)使用が明記さ

れている。

(集団的自衛権の定義について)サンフランシスコ講和条約や国連憲章の定義を好む、

と応えた。

○ 岡田代表は、日本で集団的自衛権という言葉を使うとき武力行使を意味し、後方支

援のみ行う場合は、集団的自衛権の行使にならないが、集団的自衛権は、国連の集

団安全保障が発動されるまでの措置として限定的に使われている。このような国連

の集団的安全保障を前提としない場合の集団的自衛権の行使には慎重な態度をとる

べきだとの見解を述べた。また、一般論でいうと日米の軍事面での協力は必要なと

ころもあるが、完全に一体化することもない。それぞれの軍隊は、国益に基づいて

行動するものであるが、一致するように事前に協議をすることが大事であると、強

調した。

○ アーミテージ副長官は、(国益について)二国間で、完全に同じであったことはな

く、そうである必要はない。充分共通する点があり、必ず全てが一致するというこ

とではない。自衛隊と米軍は、完全に同一になる必要はない。日本は、特徴的な文

化をもっているし、防衛のあり方についても同様で、日本にとっての最大の責任は、

日本国民である。(トランスフォメーションについて)機敏、機動、致死的の3点

を 4 つ のCと 1 つ のISR( C4ISR:Command, Control, Communications, Computers, Intelligence, Serveillance, Reconnaissance -指揮・統制・通信・コ

ンピューター・情報・監視・偵察)で追及している。別の言葉で言いかえると、軍

隊はより展開しやすく、足跡を小さくするということ。軍の装備ばかりに関心がい

き過ぎているが、トランスフォメーションで重要なのは、ドクトリンが変わるとい

うことで、日米は、ドクトリンを共有するとともに、インターオペラビリティ-

(互換性)を持つようにしていくべきであると、説明した。

○ 岡田代表は、(トランスフォメーションについて)日本の報道を読むと色々な機能

が日本に集約されるのではとの印象を受ける。むしろこの機会を捉えて沖縄の負担

を減らす方向で、率直な意見交換を韓国も含めて行うべきで、その中で、日、米、

韓の関係を強化させたい、同盟の再定義を行うべきだと、主張した。

○ アーミテージ国務副長官は、沖縄の負担を軽減することに賛成であり、西銘(にし

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め)知事の時代に自ら取り組み、昔に比べて軍も兵士も減っている。普天間を返還

するつもりであり、負担を軽減しようとしている。米国は米国の判断で何でもして

いいと思っているというようなことを聞くが、我々は日本政府や国民の同意なしで

は何もできないし、ありえないことだ、と返答した。

○ 岡田代表が、拉致の問題について、家族の会と出発前に会談し、米政府の協力に対

して横田さん夫妻が感謝していた。同時にジェンキンスさんの問題が解決すれば、

拉致問題が終わってしまうことを心配していたことを伝え、安否不明者及び特定失

踪者問題についても、引き続き米国が協力してほしいと、要請した。

○ アーミテージ国務副長官は、横田さん夫妻と会談したことがあると言及するととも

に、拉致事件は、(米国にとって)日本の問題ではなく、人道上の問題であり、人

類のメンバーとして無関心ではいられない。北朝鮮は、全ての問題を片付けるべき

で、米国としても支援していくとの見解を述べた。

○ アーミテ-ジ国務副長官は、①サマワに自衛隊を派遣するという日本政府の決断に

感謝している。他方、民主党の異なる意見も尊重している。②日米関係は5人から

10人の人々に依存すべき問題ではなく、もっと輪を広げるべきであると、述べた。

2004年7月29日

16:50~17:30

ハドレー-国家安全保障会議(NSC)大統領次席補佐官(グリーン NSC上級部長同席)

ホワイト・ハウス西ウィング

(オフレコ)

2004年7月29日

17:35~18:10

グリーンNSC上級部長同席

ホワイト・ハウス(オールド・エクゼクティブ・ビルディング)

(オフレコ)

2004年7月29日

19:30~21:30

ジョン・ハムレCSIS所長(元国防副長官)主催夕食会(先方同席者:パトリック・ク

ローニンCSIS上級副所長、ウィリアム・ブリアーCSIS日本部長、ウィリアム・バ

ートン上級顧問、渡部恒雄CSIS上級研究員、ジェームス・ギャノン米国法人JCIE

事務局長)

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Metropolitan Club

(オフレコ)

以  上

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