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1.共通機器調査 機種(X 線回折装置)
昨年度からの経緯:最新の単結晶 X 線構造解析装置が導入された。
現状分析と問題点
単結晶型は、昨年度 NBARD に導入された新装置を将来にわたって有効活用する
ためサポートの継続が望まれる。
粉末型は、東広島,霞地区それぞれに共通で使用できる装置を確保することが望
ましい。東広島地区では NBARD の高機能装置をサポートしつつ,霞地区の老朽
化した装置を更新する必要がある。
霞地区への対応も含めて、依頼分析の形の要望があるが,それには人員の充当が
ないと困難。当面,粉末については各地区の共通装置を確保し共通利用すること
が現実的。
【今後の円滑な運用と支援のあり方への提案】
1) 単結晶 X 線回折装置
平成 21 年度、自然科学研究支援開発センター(N-BARD)に最新鋭の装置(Bruker APEX
‐II)No.1054 が高温・低温測定用として計 2 台導入されたため、当面は新規装置の導入の
必要はない。ただし、今後、使用申し込みが多く現有の機器の処理能力で賄いきれない状
況が生じた場合は、追加機種が必要になる可能性もあるため、状況を調査しながら随時判
断していく必要がある。
2) 粉末 X 線回折装置
本装置は、固体試料の汎用分析装置の1つとして必須であり、日常的に使用できる環境
にあることが重要である。学内の各装置とも維持費の捻出に苦慮しており、運転の停止が
危惧されるため、継続的な維持費の配分が必要である。今年度、補正予算により、N-BARD
低温・機器分析部門に設置されている共同利用および準共同利用機器である 2 台の粉末 X
線回折装置のソフトや検出器の更新による復活再生が実現した。当面は、それらの稼働状
況を観察し、今後の機種拡充の検討を継続する必要がある。
一方、霞地区唯一の粉末 X 線装置 No.353-2(歯学部 A 棟 5F 中央研究室:島津 X 線回折
装置 DX-D1)は、装置の老朽化が進み、コンピュータシステムも旧式なため、十分なデー
タを得ることが困難である。要望と需要を調査して、霞地区の共同利用装置として新規装
置を導入の検討が必要である。たとえば,医療系の学生・研修者など初心者が多く使用す
ることから操作性やコンパクト性を考慮して,機種候補としてデスクトップ型の装置 Mini
Flex II((株)リガク,約 650 万円)などの要望がある。
3) 蛍光 X 線分析装置
汎用性が高い元素分析機器であるにもかかわらず、学内に所有されている機器数が限ら
れている。共用装置を整備する方向での検討が望まれる。現有の理学研究科の装置 No.89
については、稼働率が高く、維持費用のサポートの要望がある。最近の実績から,この装
置の恒常的維持費は年間 30 万円程度と,高額消耗品である X 線管球の価格(350 万円,メ
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ーカー保障 1 年,平均寿命 5 年)や将来の更新も含めたサポート体制が整えば、安定運用
が実現し共用性の高い装置として有効活用できる。
4) 単結晶 X 線ラウエ装置
本装置は、物性測定のための結晶の評価や方位決定に使用され、日常的に使用可能な状
況を維持する必要のある装置である。学内の各部局が現有しているため部局管理とするこ
とを推奨する。
【学内共同利用機器の状況】
単結晶 X 線回折装置
N-BARD(西条)
1 No 1054-1: 極微小結晶用 X 線回折装置高温吹付装置付(Bruker APEXII Ultra: 平
成 22 年 2 月 21 年度 教育研究設備費で購入)
2 No 1054-2: 極微小結晶用 X 線回折装置低温吹付装置付(Bruker APEXII Ultra: 平
成 22 年 2 月 21 年度 教育研究設備費で購入)この装置はセンター所属であるが,理
学研究科 A 棟に設置されている.
3 No 41: 単結晶 X 線回折装置低温吹付装置付(Bruker APEX : 平成 12 年 3 月 寄付
井上研所有)
粉末 X 線回折装置
東広島地区
N-BARD(西条) (2台 )
1 No 20: 構造特性評価用 X 線解析装置 (強力 X 線解析装置一式・薄膜測定アタッチ
メント一式・試料高温加熱装置一式・ : 平成 11 年 1 月) 平成 21 年度にソフトと検出
器の更新が行われた.稼働状況は良好で,稼働率は週 100 時間程度である.主として先
進機能物質研究センター内の教員学生が使用している。
2 No 477: 極低温 X 線回折装置 ( 理学電機(株)製 平成 7 年 3 月) 平成 21 年度に
ソフトと検出器の更新が行われた.学内共同利用であるが、利用グループが少ないため、
学内に装置の存在を周知し、極低温に限らず、室温測定にも利用できることをアピール
すると良いと思われる。
霞地区
No.353-2(歯学部 A 棟 5F 中央研究室:島津 X 線回折装置 DX-D1)は、装置の老朽化が
進み、コンピュータシステムも旧式なため、最新の研究データを得ることが困難である。
蛍光 X 線分析装置
汎用性が高い元素分析機器であるにもかかわらず、学内に所有されている機器数が限ら
れており,広く学内共同利用されている装置はない。共用装置を整備する方向での検討が
望まれる。
単結晶 X 線ラウエ装置
学内共同利用されている装置はない。
【その他,いくつかの研究室単位あるいは 1 つの研究室で維持されている主な X 線装置の
平成 22 年4月現在の状況】
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単結晶 X 線回折装置
理学研究科の各研究室 (3 台 )
1 No 55: デスクトップ単結晶 X 線構造解析装置 (Rigaku SCXmini : 平成 19 年 3 月) 比較
的新しく,稼働状況も良好で稼働率も高い.数研究グループで共有して使用している.
2 No 615: 蛋白質 X 線構造解析システム 理学電機(株)製 RAXIS7 平成 16 年 2 月)
比較的新しく,稼働状況も良好で稼働率も高い.使用と保守管理は,主に1つの研究室
で行われている.
3 No 83: 高速高分解能単結晶 自動 X 線発生装置 (RU-200: 昭和 54 年 2 月) 購入後2
0年以上経過しており,老朽化が著しい.限られた用途に使用されているのみである.
工学研究科の各研究室 (3台 )
現有の 3 機種が,主力機器として働いている.サブ拠点として整備し,維持していく費
用をサポートすることが望ましい.
1 No 264: IP 単結晶自動 X 線構造解析装置(理学製 R-AXIS Rapid SHU, 平成 13 年 10
月) 稼働状況も良好で稼働率も高い.
2 No 247: イメージングプレート X 線構造解析装置(理学製 R-AXIS Rapid, 平成 13
年 5 月) 稼働状況も良好で稼働率も高い.
3 No 202: 単結晶自動 X 線回折装置 (理学電機㈱製 AFC-7Rm, 平成 10 年 2 月) 稼働
状況も良好.
その他の研究科の各研究室 (1台 )
1 No 1002: 高分解能二次元迅速 X 線回折装置 (㈱マックサイエンス製 DIP-2030 平成 9 年 3 月)
総合科学研究科に理学研究科から移設されたこの装置は,装置の保守サポートが困難な
状況にあり,限られた用途にのみかろうじて使われている.
粉末 X 線回折装置
理学研究科
1 No 40: SSDX 線回折装置 (理学電機製 : 昭和 62 年 3 月) 測定システムに汎用性が
なく、時勢に遅れている。また、測定制御システムが非常に古い(MS-DOS ベース)
ため、大容量データを扱う近年の研究に耐えられない。費用を投じて復活再生をするよ
りも、新規装置の購入が望ましい。
2 No 103: 粉末 X線回析装置 (昭和 55年9月) 旧式の機種で現状では使用できない.
工学研究科
1 No. 215: 化学工学専攻内で共用されている。稼働率は高い。
2 No. 236 研究室内使用。稼働率は極めて高い。
蛍光 X 線分析装置
1 No. 89 については、稼働率が高く、維持費用のサポートの要望がある。最近の実績か
ら,この装置の恒常的維持費は年間 30 万円程度と,高額消耗品である X 線管球の価格
(350 万円,メーカー保障 1 年,平均寿命 5 年)や将来の更新も含めたサポート体制が
整えば、安定運用が実現し共用性の高い装置として有効活用できる。
2 No. 233 工学研究科として汎用分析装置としての蛍光 X 線はこれのみである。研究室
内使用で稼働率は高い。X 線管球の交換のサポートの希望がある。
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3. No. 593 学術室所属の装置がナノデバイスセンターに設置されている。
単結晶 X 線ラウエ装置
1 No 21: 高分解能イメージングプレート解析装置 (リガク製イメージングプレート読取装置
R-AXIS DS3/HR 平成 8 年 10 月) 総合科学研究科産学連携センターに設置されており,部
局内での使用に供されている.
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2.共通機器調査 機種(質量分析装置; MS)
昨年度からの経緯:東広島の N-BARD の機器分析センターに新たな高性能ハイブリッ
ド型質量分析システムも導入された。
現状と問題点:
この種の機器は、対象物質や分析法によって様々な機種がある。
東広島では、N-BARD の機器分析センターにあるものは人員サポートもあり、稼
働率が高く、こうした機器を、新規導入機器も含めて積極的に支援すべきである。
霞地区では、人的サポートはほとんどないが、今回の先端共用機器利用として学
外利用が行われるようになった。
霞地区では、GC-MS(No.355、No.372)、Q-TOF(No.489)、MALDI-TOF(No.348、
No,367、No381、No691、No,1020)の機器を絞って、人的サポートも考えて支援
する体制が必要。
今回 N-BARD(東広島)に高性能ハイブリッド型質量分析システム(LTQ Orbitrap
XL)NO.1052 が導入され、また、DNA/RNA 解析用 MALDI-TOF MS 一式が導
入された。後者は研究者利用であるが、前者に関しては有効な利用が期待される。
【今後の円滑な運用と支援のあり方への提案】
1) 今後は老朽化への更新の優先度や、開かれた運営度を見ながら、支援の重みを付けて行
くべき。
今回充実された東広島キャンパスに対し、霞地区の MALDI-TOF は、原医研にある
TOF-TOF(No381)が最も高性能で充実しており、これは共同利用・共同研究拠点の共通
機器として、(すでに全国共同利用施設として学内外に公開されている利用手続きについ
ては、原医研のホームページに記載)、当面はこれに保守費を担保することで有効利用す
べきである。その他の二つの MALDI-TOF 機(No.348、No,367)は古く、しかしユーザー
がまだついているので、最低限の維持に留め、大きな修理の場合は、廃棄も視野に置か
ざるを得ないと考える。その為にも高性能機の更新か、原医研の TOF-TOF(No.381)
の開かれた利用促進が急がれる。またユーザー層の違う溶液用の Q-Star XL(No.489)も
既に古くなりつつあり、学外利用プロジェクトが進められているとはいえ、今回東広島
地区に配備されたようなハイブリッド MS レベルの機器への更新を急がなくては、魅力
ある機器とは思われない。特に霞キャンパスは産業界や他大学からのアクセスが良く、
この学外利用や地域大学間共同利用を推進するには、必須なものと考えられる。
2) 東広島地区では、理学系研究への対応が充実した今、今後は生物圏科学研究科(生生と
総科)の研究者ニーズに対応した ICP-MS などの環境科学・食品科学へのインフラ整備
が次の吃緊の整備となる。また,現在導入されている種々の質量分析装置については,
定期的な講習会が必要である。特に学生など若い構成員たちが、その装置の特性を生か
して何ができるかを考える機会を持てるようにすべきである。質量分析器に限らず、こ
のような若手の育成なくして開かれた機器とは呼べないと考える。
【学内共同利用機器および各研究室での利用状況】
MALDI TOF-MS(タンパク質などの質量分析)
東広島地区
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1 No 501(N-BARD (西条): 島津 AXIMA-CFRPLUS: 平成 15 年 11 月, 2,783 万円,
学内予算で購入)学内共同利用機器として、使用者 200 人、件数 2500 件程度。
2 No 139(先端研:具体的な名前は不明:現物寄付:平成 14 年 3 月)この装置は先端
研にあるが稼働していない。
3 No 1066(N-BARD (西条)ライフサイエンス研究支援組換え DNA実験実施区域)(平
成 16 年 9 月,4,452 万円頃,振興調整費購入)島津 AXIMA-QIT: 蛋白質・ペプチドの
MALDI での MS/MS による構造決定の専用機として学内利用(実績:生物生産学部,先端
研,理学研究科,総合科学部)されている。平成 21年度の年間使用者数 49名、利用件
数 406件。
霞地区
4 No 348(Bruker Bio-FLEX:2,434 万円, 平成 14 年 3 月)歯学、学内共同利用? 稼
働率は高くない。
5 No 367(パーセプティブ Voyager:この機種の金額は 3,300 万円程度, 8,847 万円は
システムの金額;平成 9 年 3 月)薬学、部局内利用? 稼働率は高くない。
6 No 381(Bruker Ultra-FLEX:7,000 万円, 平成 14 年 8 月)原医研。学内共同利用
機器ではあるが、年間使用者 26 人、件数 58 件程度(2007 年実績)なので稼働率が高
いとは言えない。
7 No 1020(機種名不明:3,100 万円, 平成 21 年 8 月)医臨床研究棟。CREST により導
入されたリース機器。部局内利用が主であるが、今後の対応を検討すべき。
8 No.691(Comet 社 Macromizer 2100 万円:平成 17 年 3 月)医療分子探索施設。製造
中止でパーツとソフトが入手不可となり、平成 21 年度廃棄。
Q-TOF-MS(タンパク質などの質量分析)
霞地区
1 No 489(N-BARD (霞): Applied Biosystems Q STAR-XL: 平成 15 年 10 月, 4,791 万
円, 学内予算で購入)学内共同利用機器として、年間利用件数 450 件程度。
ハイブリッド型-MS(低分子などの高分解能質量分析)
東広島地区
1 No 1052(N-BARD (西条): サーモフィッシャーLTQ Orbitrap XL: 平成 22 年 3 月,
5,733 万円, 学内予算で購入)学内共同利用機器として、これまでの高分解能二重収束
MS(No. 487)の更新機種として導入。まだ、利用実績はでていないが、これまでの
No. 487 の年間利用件数 2000 件程度は確実に凌駕すると思える。
二重収束型-MS(低分子などの高分解能質量分析)
東広島地区
1 No 487(N-BARD (西条): 日本電子 SX-102A: 平成 6 年 3 月, 6,118 万円, 学内予算
で購入:平成 21 年度で廃棄)学内共同利用機器の低分子用高分解能質量分析機種とし
て、これまでの主力機種であった(年間利用件数 2,124 件)。が、古い機種であったた
め故障が多く、維持費がかさんでいた。そのため学内予算(化学分野 1 位)で代替機種
(上記ハイブリッド型)を導入した。学内移転を検討したが、引き取り手がなく、廃棄
とした。
2 No 1065:(日本電子 SX-102A: 詳細不明)工学研究科が上記の日本電子 SX-102A(同
じ型番の機種)を保有していることが判明。稼働率は 20%程度らしい。
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ICP-MS(元素の定量分析など)
東広島地区
1 No 56(Agilent 7500a:1,498 万円, 平成 19 年 11 月, 科研費で購入) 理学。研究室
内使用。稼働状況は良好。
2 No 79(エレメンタル VGPQ:2,575 万円, 平成 8 年 3 月)理学。研究室内使用。稼働
状況は不良。
3 No 99(セイコー電子 SPQ 9000:2,100 万円, 平成 8 年 2 月)理学。研究室内使用。稼
働状況は良好。平成 20 年度に復活再生(122 万円)。
4 No 304(機種名不明:3,039 万円, 平成 6 年 3 月)生物圏。学内共同利用(学外利用も
あり)。古くて性能劣化。年間 50〜70 日程度稼働。
GC-MS および LC-MS(ガスクロマトグラフまたは液体クロマトグラフにより分離と分析)
東広島地区
1 No 60(LC-MS:日本ウォーターズ ALLIANCE 2690/ZQ2000:2,907 万円, 平成 14
年 7 月) 理学/N-BARD 西条。学内共同利用。稼働状況は不良。
2 No 272(GC-MS:機種名不明:1,249 万円, 平成 11 年 11 月) 工学。研究室内利用。
稼働状況は良好。
3 No 309(GC-MS, LC-MS:機種名不明:3,990 万円, 平成 10 年 3 月) 生物圏。部局
内利用。故障が多く、稼働状況は良くない(月当たり 5 件、20 時間程度の稼働)。
霞地区
4 No 336(GC-MS:Agilent 5973:1,248 万円, 平成 14 年 7 月) 医学。研究室内利用。
稼働状況は良好。
5 No 337(LC-MS:Agilent 5973:1,400 万円, 平成 14 年 7 月) 医学。研究室内利用。
稼働状況は良好。
6 No 355(GC-MS:機種名不明:5,850 万円, 平成 6 年 3 月) 歯学。学内共同利用。
稼働状況は良好(1 日 2 件程度)。
7 No 372(GC-MS:機種名不明:1,738 万円, 平成 4 年 9 月) 薬学。部局内共同利用。
稼働状況は不良(週 1 時間程度)。
安定同位体 MS(ガスクロマトグラフまたは液体クロマトグラフにより分離と分析)
東広島地区
1 No 61(Delta plus-H: 1,701 万円, 平成 14 年 9 月) 理学。研究室内利用。稼働状況
は不良。14N と 15N の安定同位体比の検出。
2 No.75 (Delta C: 2,884 万円, 平成 7 年 3 月) 理学。稼働していない。
3 No.310 (Finnigan MAT 252+Finnigan DELTA plus: 6,093 万円, 平成 10 年 3 月)
生物圏。部局内共同利用。稼働状況は Mat252 が年間 100 時間、Delta Plus が 580 時
間程度。
二次イオン MS
東広島地区
1 No 88(SHRIMP-II: 2,0468 万円, 平成 8 年 6 月) 理学。研究室内利用。惑星物質の
年代測定用。年間使用人数 120 人、利用件数 180 件。
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3.共通機器調査 機種(電子顕微鏡)
昨年からの経緯:特に変化無し(平成 22 年度概算に提出予定であったが、バイオネッ
トワークでの中国四国地区の合意にいたらず断念した)。
現状と問題点
電子顕微鏡は単に強拡大するだけでなく、元素分析などの有用な機能を併せ持
っている。したがって、目的によっては絶大な機能を発揮するため根強い利用
があり、今後とも使用できる環境を維持することが必要である。
東広島地区では、N-BARD に非常勤の専門職員がついて稼働しているものがあり、
運用状況を把握して効率の良い運用が必要。
東広島地区の生命系では 生物系でバラバラにある機器を集中管理することで効
率の良い運用が期待される。そのためには、試料作成やオペレーターとしての人
的サポートが必須である。生命系では、N-BARD に試料作成可能な技術員(非常
勤)がいるため、実際には多くの試料作成がここに依存している。
霞地区では同型のものが 4 台存在し、専門職員がいないことなどから運用が効率
的でない。支援すべき機器を選定し、東広島と同様に人的支援を行う必要がある。
電子顕微鏡に熟達した技術職員が不在なため、利用の要望があってもその受け
皿となりきれていない。
霞地区で走査型は特殊なものをのぞき部局管理で主に運用すべき。
【今後の円滑な運用と支援のあり方への提案】
1) 技術員の必要性
現在の測定機器は、電子顕微鏡に限らず、性能が高度で使用には経験と使用上の注
意や経験が必要である。もはや、装置さえあれば少し習って使える時代ではない。良
い計測データが得られるかどうかは、むしろ機器本体よりも、試料の準備と計測技術
に大きく依存する。しかし、その技術を修得するには長い時間が必要であり、一部の
データを得るために、研究者自身が様々な技術をいくつも修得することは無駄が多く、
現実的ではない。従って単に装置を充実させるだけでは不十分で、試料作製と計測を
支援する技術員が是非とも必須である。
技術職員の配置が見直される方向で検討されていることは、良い方向だと考えられ
る。
2) 装置について
走査型電子顕微鏡は、霞キャンパスに共同利用の装置が無い。使い易い中級の機種
を導入することが望ましい。
透過型電子顕微鏡については、東広島キャンパスと霞キャンパスのどちらにも、似
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た装置がいくつかあり、それぞれに稼働率が不良な装置がある。このような現状は非
効率的である。各学科に設置され、“共同利用が可”となっていても、現状はその学科の
みの使用実態となっている事が大部分である。背景には、共同利用の不便さ、共同利用
の場合に多数の人が使用することによる機器の機能低下や故障があると思われるが、
このような問題は、共同研究施設を充実させ、支援すべき機種を限定し、技術員が常
駐することによって解決できると思われる。従って基本的には、各学科に設置されて
いる装置の維持管理は、その部局が行うべきである。
ただし、現在の装置は高額で進歩も速い。何台も同じような装置を購入するのでは
なく、機能が高いもの、機能はそれほど高性能ではなくても使いやすいものなど、目
的を絞った 2、3 台を共同利用とし、集中的に予算を投じて整備と継続的な機能更新
を図るべきであり、生命系が利用する透過型については、霞キャンパスでは歯学部の
共同研究施設と総合研究棟の 2 箇所を、東広島では N-BARD の遺伝子実験施設にあ
る機器を、重点的に整備するのが良いと思われる。
【学内共同利用機器の状況】
東広島地区
物質系では、
1)No.140:N-BARD 機器分析室J103 に設置されている装置(超高分解能透過型電子顕
微鏡:日本電子製 JEM-2010、電界放出型走査電子顕微鏡:日立ハイテクノロジーズ製
S-5200)
整備して共通利用を促進すべきである。
2)No.219:工学研究科の JEM-2000ES 透過型電子顕微鏡(昭和 63 年科学研究費補助金
で導入)
機械システムの材料物理学研究室が管理運用している。導入後、20 年以上経過してい
るが,メインテナンス状態がよく高圧電源タンクも SF6 使用に変換済みである。照射損
傷の実験に使われていたので,科学研究費で試作して導入したガンダメージ除去システ
ムを持ち,LaB6 フィラメントからのイオンダメージは皆無である。2000ES となってい
るが、2000EX と同等である。液体ヘリウムホルダー(約 15K、He 回収不可能なので昨
今の状況に適さない)から 800K 程度までの温度をカバーし、コールドトランスファー
ホルダーもあるので、広い温度領域の観察に加え、生物試料の観察も可能である。従っ
て、分解能 0.5nm 程度で、±60 度の高角度傾斜を要求する、広範な実験を全学から引
き受けることは可能である。問題点は、対応できる職員が 2 名に限られ、付属の分析装
置がないことである。
3)No.220:HF-2000 高分解能透過型電子顕微鏡
機械システムの材料物理学研究室が管理運用している現在電子線トモグラフィーは行
っていない。導入後 15 年以上が経過している。平成 19 年度末に大掛かりなオーバーホ
ールを行ったので,十分に使える状態ではあるが,電源回路中のパワートランジスター
などに製造中止となったものなどがあり、不安は否めない。しかし、0.1nm 程度の分解
能を有し、100K 程度から 1000K 程度の高分解能観察、1800K 程度までのその場観察、
EDS マッピング、EELS 測定(最新のものに比べると分解能はかなり劣るが、2nmφの
領域が測定可能)など、目的を絞った実験の要望があれば、全学から引き受けることは
可能である。
問題点は、対応できる職員が 2 名に限られ,低温の電界放出銃ではあるが,連続観察
時間が 4 時間(実質 3 時間)以上は不可能な点である。
10
4)No.1059:JEM-2000FX
嶋本教授(昨年度退職が)2007年度に京都大学からもってこられたTEMで、理学研究科D107にて
稼働している。稼働率は良好であり学内利用を検討すべきである。
5)No.112 :集束イオンビーム薄膜作製装置.セイコー電子工業 小型走査イオン顕微鏡 SMI192000
透過電子顕微鏡の試料作製には是非とも必要なものである。現在では,試料に与え
るダメージもさらに低減されているものあるようなので、出来れば新規の購入が望まし
い。
生命系では、
1) No.67:理学研究科生物科学専攻の電子顕微鏡 JEM-1010
専攻で管理しており、数年前に機能を更新させたて稼動しているが、専用オペレーター
はおらず使用者(学生が中心)が毎年変わるので、きちんとした管理を毎年実施していく
のが難しい。N-BARDの方でサンプル作製/観察を御願いする場合もある。
2)No.473:遺伝子実験施設(N-BARD)の電子顕微鏡
非常勤技術員が試料作成を行っているので稼働はしているが、非常に古い機器(1988年導
入)であり、不具合箇所だましながら使用しているのが実情。B-BARDの電顕観察サービス
のメインの機器であるため、サービスの継続のためには、更新もしくは遊休あるいは稼動
の低い機器を移設する必要がある。なお、周辺機器としてウルトラミクロトーム、急速凍
結装置、カーボン蒸着装置、紫外線重合装置、ガラスナイフメーカーなど、必要なものは
かなり揃っている。
霞地区
透過型電子顕微鏡
1)No.497:総合研究棟(N-BRAD)の H-7100
平成 6 年に旧第 2 解剖学に設置された共同機器であり、16 年経過している。納入時
にはX線解析装置が付属していた。旧基礎棟の改修の際に、総合研究棟に移転した。移
転後はX線解析装置が不調で、現在は使用できない。移転時と平成 21 年頃にオーバー
ホールしており、電子顕微鏡そのものとしての状態は良い。利用数は少ないが、毎月安
定した利用者がいる。
一応、試料作製用の試薬類、ガラスナイフ作製装置、ウルトラミクロトーム(凍結超
薄切装置付き)と暗室も揃っているが、更に使用しやすいように整備する必要がある。
残念ながら、現在は試料作製や装置の保守に慣れた技術職員がいない。
2)No.349:歯学部中央研究室 JSM-1230
平成 14 年頃納入で、8 年経過している。フィルム送りは正常だが、現在 CCD カメラ
が故障し修理中である。適正に管理維持すれば、今後 15 年以上は使用可能と考えられ
る。歯学部中央研究室には、他に JEM-100S もあるが、故障して使用不可であり、修
理の予定はない。
3)No.368:口腔細胞生物学研究室 H-300
通算して 26 年経過しているが、日常的に使用し、3、4 万倍の写真も撮影している。
他に、ウルトラミクロトーム(凍結超薄切装置付き)もある。
4)No. 345:生体構造学研究室 JEM-1200EX
平成元年に当時の原医研に設置され、平成 8 年に保健学科棟に移転された。平成 21
11
年に一部オーバーホールした。週に 1、2 度の頻度で定期的に使用している。冷却水の
量が不足気味で、時に自動停止するが、まだ数年は十分使用できると考えられる。
なお、ライヘルトのウルトラミクロトームと日本電子のカーボン蒸着装置があり、暗
室が完備している。
参考)走査型電子顕微鏡
1)No. 356:歯学部中央研究室 JSM-6300
20 年以上も前に設置された。電子銃が通常のフィラメント型のため、性能は中程度。
現在も使用されている。
2)No. 1060:歯学部口腔健康科学講座 キーエンス VE-8800
2007年に納入され、口腔健康科学科の教員・大学院生・卒業研究生を中心に、共同
研究先の研究室が最低週3日使用している。低真空の走査電子顕微鏡で、試料作製がほ
とんど必要ない点が使いやすい。通常の走査型電子顕微鏡に比べると画質は差がある。
3)口腔細胞生物学研究室
No. 1061:山梨大学に納入され、広島大学に移転された。通算して 30 年経過している。
【分析担当者からの意見】
より高度になっていく教育・研究水準に対応する為には、「電子顕微鏡支援室(仮称)」
を設け、重点整備する。東広島地区では自然科学研究支援開発センターの機器分析部門(物
質物性系)、遺伝子実験部門(生命系)の強化、霞地区では、自然科学研究支援開発センタ
ー機器分析室と歯学部中央研究室の 2 箇所が候補となる。そこで、電子顕微鏡に関する装
置を集約し、人員を配置できれば、より良い支援形態を構築できると思われる。その場合、
透過型電子顕微鏡としては、JEM-2010 よりも高機能を有する電界放出型のものを
(JEM-2200FS など)、そして走査型電子顕微鏡としては S-5200 よりも簡易に操作でき、
より大きな試料(少なくとも通常のスライドガラス大)を観察できる装置(JSM-6701F な
ど)を導入する必要がある。更に、透過型電子顕微鏡を用いた研究においては、観察試料
の出来の良し悪しが研究結果に大きな影響を与えるので、冷却機能付の精密イオンポリッ
シングシステム(日本電子社製 PIPS691 など)や集束イオン装置(日本電子社製 JEM-9320
など)、ウルトラミクロトーム(日本電子社製 EMUC7 など)を導入する事で、より高水準
の教育と研究に対応出来る。そして、設置装置の高い性能を維持する為には、業者による
定期的な保守と、専門教員・職員による日常の管理と利用者への教育が不可欠となる。そ
れには、業者との保守契約、及びある程度の数の専門教員・職員の増員が必要になると思
われる。
電子顕微鏡観察で使用者が最も困難を感じるのは、試料作製の難しさと、得られた画像の
読み取りと思われる。とくに試料作製は、経験に左右される部分が大きく、同じ電子顕微鏡
でありながら、透過型電子顕微鏡と走査型電子顕微鏡でもかなり異なっており、よいデータ
(写真)を得るにはそれぞれ相当の経験を必要とする。しかし、霞キャンパスには、電子顕
微鏡に熟達した技術職員が不在であり、東広島地区には非常勤職員1名で対応しているため、
利用の要望があってもその受け皿となりきれていない。
今後の運営の在り方は、技術職員が配置されるかどうか、配置される場合は総合研究棟か
歯学部中央研究室かによって、大きく分かれる。自然科学研究支援開発センターと歯学部中
央研究室が、一元的に管理されていないことも、問題を複雑にしている。技術職員が配置さ
れない場合や、霞キャンパスで 1箇所だけ整備する場合は、自然科学研究支援開発センター
よりも、電子顕微鏡を管理できる教員と利用者が近くにいる歯学部中央研究室が適している
と思われる。自然科学研究支援開発センターの場合は、電子顕微鏡の利用を活発にするには、
技術職員の配置が必須と思われる。
12
4.共通機器調査 機種(DNA シーケンサー)
昨年からの経緯:N-BARD の遺伝子実験施設に新たなマルチキャピラリーのシークエ
ンサーが導入された。原医研には次世代シークエンサーが導入された。
現状と問題点
ゲル型、310 のようなシングルキャピラリーは全学支援ではなく、廃棄または研究
室管理とする。
マルチキャピラリーのものを対象に東広島・霞共に依頼分析を中心に支援。
次世代シークエンサーの導入が決定しているが、その運用形態が未定。
【円滑な運用と支援のあり方への提案】
DNA シーケンサーについては、ゲル板型はすでに後継機種がなく、復活再生も意味がな
い。部局保有の現有機器については、学内共同利用に移すことは考えず、キャピラリー型
の後継機を必要とする場合、部局内あるいは研究室単位で対応するべきである。
学内共同利用に関しては、N-BARD の受託サービスに集中させるのが効率的と考えられ
る。そのためには、霞地区では専任の技術員を雇用し、故障も考えて 2 台以上のマルチキ
ャピラリー型シーケンサーによって受託サービスを行う方が好ましい(現在は1台。雇用
人数は受託数によるが、年間 5000 サンプルを越えるようであれば、迅速に対応するために
2 人以上にする必要がある)。東広島地区でも 5000 サンプルを超えており、マルチキャピ
ラリー型シーケンサー1 台が新規導入され 2 台体制となり、機器のパフォーマンスとしては
現状では十分といえる。しかし、専任の技術員が 1 名であり、今後技術員を 1 名追加する
必要がある。
一時的に一方での受託数がキャパシティーを越えた場合は、他方に余裕があれば一部を
他方に依頼するような互助的なシステムも検討する。技術員は大学による雇用とする。
【学内共同利用機器の状況】
東広島地区
1)N-BARD(東広島) 遺伝子実験部門
マルチキャピラリー型シーケンサー(全て学内共同利用であり、基本的には依頼分析用
である。管理は彦坂研究支援推進員である。)
1)-1 No.484:ABI PRISM3100 平成 15 年購入(平成 18 年に 3130XL にアップグレ
ード)生物多様性解析ソフト GeneMapper を搭載し、依頼者自身で泳動するセルフラン解
析にも使用している。利用は増加している模様。
1)-2 No.1038:ABI PRIZM3130XL 平成 21 年購入
依頼分析専用として使用している。
現状の依頼分析およびセルフランを平成 22 年度以降も引き続きおこなう。
2) N-BARD(東広島)所属であるが、部局サテライト等に設置されている 1,000 万円に満
たない学内共同利用機器が 3 台ある。
2)-1 ABI PRIZM310 (N-BARD RI 総合)平成 18 年購入
13
2)-2 No.1062:ABI PRIZM310 (総合科学部)平成 15 年購入
2)-3 ABI PRIZM310 (生物生産学部)平成 15 年購入
各設置場所にてそれぞれ自主的に管理されているため、特にフォローの必要はないと思
われる。
【その他,主にいくつかの研究室単位、あるいは主に1つの研究室で維持されている
DNA シーケンサーの平成 22 年 2 月現在の状況】
3)理学研究科(付属両生類研究所)
3)-1 No.1011:ABI PRIZM3130XL 平成 21 年購入 プロジェクト
生物多様性解析用 DNA シーケンサーとして当面は施設内共同利用
3)-2 その他として施設共同利用の 373A(ABI)(No.106)、LIC-4200(LI-COR)(No.110)
などがあるが、ゲル板タイプである。
4) 先端物質科学研究科 分子生命機能科学専攻
4)-1 No.119:LI-COR LIC-4200 平成 11 年購入
ゲル板タイプのシーケンサー。部局ない共同利用
4)-2 No.149:Beckman CEQ2000 平成 14 年購入
6 本キャピラリーのシーケンサー。研究室専用。
5)生物圏科学研究科
5)-1 No.289:ABI ジェネティックアナライザ 平成 13 年購入
16 本キャピラリー。研究室専用であるが空いているときは部局内利用可。
5)-2 その他 ゲル板のシーケンサー
No.284, 285:機種不明 平成 12 年購入(医学部より移管)。部局内共同利用(主とし
て研究室利用)。
No.302:ABI 377 平成 12 年購入 部局内共同利用
霞地区
1)N-BARD(霞) 生命科学機器分析部
No.490: ABI PRISM3130xl
(平成 15 年購入(ABI PRISM3100-Avant)、平成 19 年 ABI PRISM3130xl にバージョン
アップ)
マルチキャピラリー型シーケンサー( 16 本キャピラリー) 。学内共同利用であり、依
頼分析用である。年間 10,000 サンプルを超える依頼がある。
2)原医研 遺伝子実験系
2)-1 No.344: ABI PRISM3100 (平成 14 年購入)
マルチキャピラリー型シーケンサー( 16 本キャピラリー)。共同利用・共同研究拠点の
共通機器として、学内外に公開されている(利用手続きについては、原医研のホームペ
ージに記載)。
2)-2 1,000万円に満たない学外・学内共同利用機器が 3台ある。3台ともABI PRIZM310
であり、シングルキャピラリーである。セルフランにて使用。
2)-3 No.1022:Illumina 社 Genome AnalyzerⅡx (平成 21 年購入)
次世代シーケンサー。学外・学内共同利用機器であり、受託による運営。
14
共同利用・共同研究拠点の共通機器として、学内外に公開されている(利用手続きにつ
いては、原医研のホームページに記載)。現在の体制では、今後次世代シーケンサーの維
持管理をしていくことが困難になることが予測されるため、何らかの支援策が必要であ
る。
3)歯学部中央研究室
No.347: ABI PRISM3130xl
(平成 14年購入(ABI PRISM3100)、平成 21 年(?)ABI PRISM3130xl にバージョンアップ)
マルチキャピラリー型シーケンサー( 16 本キャピラリー)。セルフランにて使用。学内
共同利用とされているが、広く公開はされておらず、ほとんどが部局内で利用している
模様。
4)医療分子探索施設 (医歯薬)
4)-1 No.685: ABI PRISM310 (平成 9 年購入)
4)-2 No.686: ABI PRISM310 (平成 14 年購入)
シングルキャピラリー。セルフランにて使用。学内共同利用とされているが、ほとんど
が部局内で利用している模様。また、購入から年数がたっているが、2 台とも現在までに
ファイナルバージョンへのアップグレードが行われている様子(アップグレードが行わ
れた年は不明)。
5)その他
研究室保有とされているものがいくつかある。
5)-1 原医研
No.341: ABI PRISM3100 (平成 13 年購入)
マルチキャピラリー型シーケンサー(16 本キャピラリー)。利用状況等の詳細は把握で
きず。
5)-2 医歯薬
NO.347, NO.1064:マルチキャピラリー型シーケンサー(16 本キャピラリー)ABI
PRISM3130xl を保有している研究室がある。シングルキャピラリー型シーケンサーを
保有している研究室もいくつかある様子。
15
5.共通機器調査 機種(共焦点レーザー顕微鏡)
昨年からの経緯:霞地区に生細胞観察用の共焦点レーザー顕微鏡が導入された。
現状と問題点
全学的に不足しているため、部局を越えた使用が好ましい。
東広島でも最近導入された機器があり、全学使用と位置づけて支援をおこなうべ
き。
霞地区では新規導入されたことから、学内の配置を考慮し支援をすべき機器を選
定すべき。
技術支援(人的サポート)も必要である。
【今後の円滑な運用と支援のあり方への提案】
現有の機器の多くはかなり古くなっており、更新が必要なものがある。本機器は占有時
間が長いため、学内共同利用機器としては複数必要であり、場所は分散してある程度エリ
アを決めて使用してはどうか(例えば、霞ではセンター、医学部、歯学部、原医研など、
東広島では北(理学研、先端研)、中央(理学研、先端研、生物研)、南(生物研、総合科
学研)など)。これらは N-BARD 管理とし、専任の技術員を雇用し維持管理する(霞およ
び東広島で 1 名ずつ?)。大学が保守費・維持費を支出するが、学内共同利用であるにもか
かわらず使用研究室が幾分限られているため、一部を受益者負担とする(例えば、技術員
の雇用分など)。
なお、東広島の今後の運用としては、現在理学研究科設置の全学共同利用の機器(オリ
ンパス)については、導入時の経緯の中で、毎年 100 万円を大学に返済することとなって
おり、今後 3 年間は継続される予定なので、それが終了もしくは中断になるまで N-BARD
への移管は見合わせた方がよい。また、霞・生命科学実験部門には、今年度新規に全学共
同利用機器(オリンパス)が導入された。補正予算が1台分であったため、今回霞地区に
配置され、さらに上記の理学研究科の機器については同時にレーザーを追加して同程度の
機能を有した機器とすることができた。霞に現有の Zeiss 社製 Pascal を東広島地区に移管
することでバランスをとることも必要である。
今後、目的別あるいは円滑な利用のために、ある程度棲み分けと利用形態について全学
的に検討する必要がある。
【学内共同利用機器の平成 22 年 2 月現在の状況と平成 22 年度の状況予定】
1) 理学研究科
No.57:オリンパス(平成 20 年購入、平成 21 年 FRET 用レーザー追加)
学内共同利用。利用者による委員会あり。管理は主として理学研究科。
東広島の北エリアの機器として位置づけ。
毎年 100 万円を大学に返済することとなっており、今後 3 年間は継続される予定。こ
の返済についての検討を行う必要がある。返済の問題が解決されれば、N-BARD 管理
にし、予約システムに組み入れることが可能となる。
16
2)N-BARD(東広島) 遺伝子実験部門
No.474:Leica TCS40(平成 8 年購入)
学内共同利用機器。管理は施設教員。
東広島の中央エリアの機器として位置づけ。
システム操作はパソコン、データはワークステーションに保存する形式で、非常に使
いにくい。システム自体も陳腐化している。機器の更新が必要である。霞・生命科学
実験部門の Zeiss を更新機器とする形で進めてもらいたい。
3) 総合科学研究科
No.16:Bio-Rad MRC-600UV(平成 6 年購入)
学内共同利用機器。
東広島の南エリアとして位置づける(?)。
完全に陳腐化。古い。更新が必要であるが、時間がかかりそうである。
【その他,主にいくつかの研究室単位あるいは主に1つの研究室で維持されている共焦
点レーザー顕微鏡の平成 22 年 2 月現在の状況】
4)総合科学研究科 No.13:ニコン C1SiReady(平成 19 年購入)
研究室専用。学内共同利用は難しいのか?
5)理学研究科
5)-1
No.102:ニコン(平成 19 年購入)
研究室専用。リース。リース代、維持費を負担すれば研究室以外でも使用可。どのよ
うに負担するかは当事者間での話し合いが必要。
5)-2
No.68:Zeiss LSM410(平成 6 年購入)
部局内共同利用。
古く、完全に陳腐化。この更新機種として学内共同利用のオリンパスを購入。
6) 先端物質科学研究科
6)-1
No.178:オリンパス(平成 11 年購入)
研究室専用。職員、学生が維持。
6)-2
No.188:アプライド・プレシジョン(平成 8 年購入)
部局内共同利用。ノンレーザー共焦点顕微鏡である。
今後、目的別あるいは円滑な利用のためにある程度棲み分けと利用形態について検討す
る必要がある。
霞地区
1)N-BARD(霞) 生命科学機器分析部
1)-1
No.486: カールツァイス社製 LSM5 Pascal(平成 17 年購入)
学内共同利用であり、広く利用されている。利用頻度は頻繁で、予約も取りにくいほど
17
込み合うこともある。また、東広島キャンパスから利用に来られることもあり、東広島
キャンパスでの共焦点レーザー顕微鏡の整備が望まれる。
1)-2
No.1044: オリンパス社製 FV1000D (平成 21 年購入)
学内共同利用。平成 22 年 5 月より利用開始を予定。上記 LSM5 Pascal では行うことが
できない FRET 実験や培養を伴う画像取得を行う際に利用すること、および LSM5
Pascal の利用が込み合っている状況より利用を分散させる目的で購入した。
2)原医研 遺伝子実験系
No.393: カールツァイス社製 LSM510(平成 11 年購入)
共同利用・共同研究拠点の共通機器として、学内外に公開されている(利用手続きにつ
いては、全て原医研のホームページに記載)。本年 4 月までレーザー破損のため使用不能
であったが、現在修理を完了し共通機器として使用するための最終調整中である。
3)歯学部中央研究室
No.359: カールツァイス社製 LSM310(平成 6 年購入)
学内共同利用とされているが、広く公開はされておらず、また、装置が古いこともあり、
ほとんど利用されていない様子。
4)医療分子探索施設 (医歯薬)
No.331: ライカ社製 TCS NT(平成 9 年購入)
学内共同利用とされているが、広く公開はされておらず、また装置が古いこともあり、
ほとんど利用されていない様子。
5)医歯薬学総合研究科
No.343: カールツァイス社製 LSM510(平成 11 年購入)
学内共同利用とされているが、広く公開はされておらず、特定の研究室内で利用されて
いる様子。
18
6. 共通機器調査 機種(フローサイトメーター)
昨年からの経緯:霞地区に UV 搭載のセルソーターが導入された。
現状と問題点
必要な細胞分画の比率などの解析のみの機能のあるアナライザーは、全学支援で
はなく、部局、研究室管理とする
必要な細胞分画を分離採取するソーティング機能のものは高価であり、技術的も
必要なため、全学支援とする。
【今後の円滑な運用と支援のあり方への提案】
・ ほとんどの機種が、1,000~2,000 万円で購入できる解析機器である(しかも古いアナロ
グ機種)。新世代のデジタル機種が学内になかったが、本年度に新規に 1 台、さらに補正
予算でバージョンアップして、2 台可能となり、解析は受託解析を中心に支援体制を整え
る方向で検討すべき。
・ 再生医療や幹細胞研究(iPS 細胞、ES 細胞、造血幹細胞、臓器特異的幹細胞、など)を
行うにしては、幹細胞の機能としてよく使われている Side Population (SP 分画)を解析
するための UV レーザー搭載機器も可能となり、広島大学として「再生医療」「組織再生」
の研究を行うための研究基盤が整ってきた。
・ ソーティングに対して、技術支援を行うための体制を検討しており、人員も含めて全学
支援体制がのぞまれる。
「運用」としては、高価な機器でもあり、本当は、保守点検契約をするべきである。適正
に点検されていない機器を使っての研究データに信頼性があるとは思えない。できればオ
ペレータをつけるべき。
【学内共同利用機器の状況】
セルソーター
霞地区
1)N-BARD(霞) 生命科学機器分析部
1)-1
No.488(No.1042):日本ベクトン・ディッキンソン社製 FACSAriaⅡ
(平成 15 年購入(FACSAria)、平成 21 年に FACSAriaⅡにバージョンアップ)
405nm, 488nm, 633nm レーザー装備。学外・学内共同利用であり、広く利用されている。
1)-2
No.1041:日本ベクトン・ディッキンソン社製 SORP Aria
(平成 15 年購入(FACSAria)、平成 21 年に FACSAriaⅡにバージョンアップ)
355nm(UV レーザー), 488nm, 532nm, 633nm レーザー装備。学外・学内共同利用であ
り、広く利用されている。
2)医歯薬学総合研究科
No.697: 日本ベクトン・ディッキンソン社製 FACSVantage SE (平成 12 年購入)
19
UV レーザー, 488nm, 633nm レーザー装備。部局内利用とされており、特定の研究室内
で利用されている様子。装置が古いこともあり、利用は少ない様子。
東広島地区
セルソーターとして利用できる装置がなく、現在、利用者は霞地区へ依頼あるいは移動し
ている。早急に対応を検討すべき機器である。
セルアナライザー
霞地区
1)No.493:N-BARD(霞) 生命科学機器分析部
日本ベクトン・ディッキンソン社製 FACSCalibur(平成 12 年購入)
488nm, 633nm レーザー装備のアナライザーである。学内共同利用であり、広く利用さ
れている。
2) No.360:歯学部中央研究室
日本ベクトン・ディッキンソン社製 FACSCalibur(平成 11 年購入)
488nm, 633nm レーザー装備のアナライザーである。学内共同利用とされているが、広
く公開はされておらず、歯学部内での利用がほとんどである様子。
3)医歯薬学総合研究科
3)-1 No.329:日本ベクトン・ディッキンソン社製 FACSCalibur(平成 10 年購入)
488nm, 633nm レーザー装備のアナライザーである。研究室内での利用。
3)-2 No.339:LUMINEX 社 蛍光マイクロビーズ アレイシステム(平成 19 年購入)
フローサイトメトリー原理に基づいたプレート測定型の装置。イムノアッセイ、ジェノ
タイピング、遺伝子発現解析等が可能とあるが、装置の詳細は不明。研究室内での利用。
その他、医歯薬学総合研究科には、調査票の提出されていない研究室内で使用されてい
るフローサイトメーターが複数台ある。
4)原医研 遺伝子実験系
4)-1 No.1021:日本ベクトン・ディッキンソン社製 FACSCantⅡ(平成 21 年購入)
405nm,488nm, 633nm レーザー装備のアナライザーである。
4)-2 No.1063:日本ベクトン・ディッキンソン社製 FACSCalibur
488nm, 633nm レーザー装備のアナライザーである。
両機器とも学外・学内共同利用機器。また、部局外のものが利用する場合には、原医研
所属の常勤研究員の承諾が必要であると定められており、実質は部局内での利用がほと
んどである様子。
東広島地区
1)N-BARD(東広島)遺伝子実験部門
1)-1 No.641-01:ベクトン・ディッキンソン社製 FACSCalibur(平成 8 年購入)
学内共同利用機器。簡単なソーティングはできるが、基本的にはアナライザー。レーザ
ー故障、流路のフローセルの不具合、パソコンおよびソフトの陳腐化により現在不稼動
である。レーザー交換、パソコン・ソフトウエア類アップグレード、フローセル交換
により復活再生可。
1)-2 No.641-2:ベクトン・ディッキンソン社製FACSCalibur (平成8年購入)、一度パ
20
ソコン・ソフトウエア類アップグレード済。
学内共同利用機器。アナライザーである。使用頻度は良好。
2)先端物質科学研究科
2)-1 No.132:ベクトン・ディッキンソン社製 FACSCalibur(平成 12 年購入)
研究室専用。稼働状況は良好。
2)-2 No.178:コールター社製 Epics Elite(平成 7 年購入、DNA・タンパク質分離解析シ
ステムとして他の機器とまとめて購入されたものの一つ)、平成 20 年にオーバーホールおよ
びパソコンをアップグレード。
部局共同利用。現在、主としてオーバーホール費用を供出した研究室で使用。使用頻度
は高くない。
3)生物圏科学研究科
No.290:ベクトン・ディッキンソン社製 FACSCalibur(平成 12 年購入)
研究室専用。部局内でも使用可。ソーティング機能あり。使用は頻繁である。
21
7. 共通機器調査 機種(NMR)
平成 20 年度からの経緯:固体の NMR など、4 台の NMR が新規導入・更新された。
現状と問題点
東広島地区では,平成 21 年度終わりからかなり状況が変化。共同利用の効率化
などの成果を上げるために学内利用形態、予約システムの整備が必要。
タンパク質用の NMR の充実が必要。
平成 22 年 4 月現在の状況
溶液測定用 NMR は、溶液中の化合物の状態を知るために重要な装置であり、物質科
学分野、特に化学の分野では、日常的に使用する不可欠の装置である。また、固体測定
用 NMR は、特に最近固体材料やゾルゲルなどの半固体材料などの測定が不可欠になり
つつある現状において、大学として必須の機器になりつつある。
平成 22 年 4 月現在稼働中の機器は、東広島では N-BARD に 3 台、理学研究科に 5
台、工学研究科に 5 台,生物圏に 1 台の計 14 台、霞に 2 台である(大学としては 16
台)。平成 21 年度に政府補正予算および化学系研究設備ネットワーク(全国国立大学法
人のネットワーク:分子科学研究所が中心)により、4 台の NMR が新規導入・更新さ
れたので、平成 22 年度からかなり状況が変化した。以下に平成 22 年 4 月現在の状況
を整理した。(NMR は MHz の数字が大きいほど磁場強度が大きく高性能。現在
N-BARD 西条の 600MHz が溶液としては最も高性能である)
【学内および学外共同利用機器の平成 22 年 4 月現在の状況】
1) N-BARD(西条)(すべて学内共同利用であり、依頼測定も受け付けている。管理
は藤高技術職員で、プロとして状態の維持に貢献している。)
1)-1 600 MHz(日本電子 ECA 型:平成 15 年 12 月学内予算で購入:センター所
属、No502)(溶液)
1)-2 500 MHz(日本電子 lambda 型:平成 9 年 3 月最先端設備予算で購入、No472:
理学研究科化学専攻所属であるが N-BARD に設置)(溶液)
1)-3 new. 500 MHz(日本電子 ECA 型:平成 22 年 3 月化学系研究設備有効活用ネ
ットワーク予算により導入、No.1053:学外共同利用機器となる。分子研の全国
共通予約システムの使用が前提)(溶液+ゾルゲル)
(なお、1)-1 の装置のアタッチメントとして、No.550(先進センター小島教授所有の
固体プローブ:平成 20 年 2 月外部資金で購入あり))
2) 工学研究科共通機器室(N-BARD サブ拠点にする予定)(西条)
2)-1 400 MHz(日本電子 lambda 型:平成 8 年 3 月研究基盤重点設備費で購入:
No208)(溶液)
2)-2 400 MHz(BrukerAMX-400Wb:平成 4 年 3 月大学院最先端設備費で購入:
No207)(固体)
2)-3 new. 600 MHz(バリアン 600PS:平成 22 年 3 月大学から申請した補正予算
で購入:1016(固体)
22
2)-4 new. 500 MHz(バリアン system500:平成 22 年 3 月大学から申請した補正
予算で購入:(溶液+ゾルゲル)
2)-5 new. 400 MHz(バリアン 400MR:平成 21 年 12 月大学から申請した補正予
算で購入:No.1014(溶液)
【その他,主にいくつかの研究室単位あるいは主に1つの研究室で維持されている
NMR の平成 22 年 4 月現在の状況】
3) 理学研究科各研究室(5 台(溶液 4 台+たんぱく質 1 台))
理学研究科の溶液用の 4 台(400MHz が 2 台(平成 3 年 3 月、No50 と平成 12 年 10 月
購入、No65)、300MHz が 2 台(平成 7 年 10 月、No52 と平成 10 年 8 月購入、No62))
は,分光計の更新やプローブの修理を適宜研究室の費用で行ってきており、稼働率も
非常に高い状況が維持できている。研究室内利用が主であるが、数%程度他の研究グ
ループ、あるいは他の研究科の測定も受け付けている。機器によって少しずつオプシ
ョンの装着具合が異なるため、例えばフッ素の NMR を測定しようとすると、依頼に
行くという状況になっている。状況的には全学の共同利用にすることは可能ではある
が、依頼測定を受け付けるのは人員的にとても無理で、測定に来ていただく人に教え
ることはできる状況といえる。
もうひとつ今後重要な NMR として、たんぱく質用の NMR があげられる。
たんぱく質測定用 NMR としては、理学研究科に 1 台(600MHz、平成 8 年 1 月取
得、No.70)あるが、JST のプロジェクト予算購入であったため、プロジェクト占有
契約となっており、今までは学内共同利用が不可能であったが、今年度から共同利用
ができる状況になっている。非常に高性能で付属装置もよく整っており、たんぱく質
用の NMR として学内共同利用の需要は高いと想定される。この装置を学内共同利用
として予約システムに乗せてみて、実際の学内需要についての調査を兼ねて運用して
みるのが良いと思われる。運用責任者である楯教授も大筋で了解していただいている。
中国地域の大学としては、600MHz が最高の NMR という状況は少し寂しいといえる
(下記議論参照)。
4) 生物圏研究科研究室(1 台(溶液))
1 台は 400MHz(1994 年 3 月購入、No297)で、研究室共同利用であり稼働率も高
いようなので、学内共同利用設備化するかどうかの検討(全学予約システムに移行し
て稼働率調査が出来る体制にして欲しい)が必要かもしれない。もうひとつの NMR
は退職される小島教授の NMR(No.19)であったが、愛媛大学に移管した。工学研究科
の NMR の充実が著しいので、N-BARD はサブ拠点として、生物圏の研究者の利用に
便宜を図るのが一法であると思われる。利用者と議論する必要があると思われる。
5) 薬学研究科研究室(1 台(溶液))
500MHz が 1 台(平成 8 年 2 月購入、No370)で、これも 3~4 研究室が利用してい
るが、研究室利用に近い利用になっていて、稼働率が高い状況である。
6) 医療分子探索施設(霞)(1 台(溶液))
400 MHz(平成 15 年 2 月購入:医療分子探索施設所属(調査中)、No335)こ
れも 3~4 研究室が利用しているが、研究室利用に近い利用になっていて、稼働率が
高い状況であるようである(学内共同利用とするかどうかについてはさらに詳しい調
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査が必要である)。
【分析担当者からの意見】
上記のように平成 21 年度は、大型 NMR が溶液と固体・半固体(ゾルゲル)と一気
に 4 台処置されたため、今後の研究の発展につながることは間違いないと思われる。
これらの NMR は、当然学内共同利用および学外共同利用に資する。現在学内の予約
システムは西条の N-BARD を中心に整備されてはいるが、学内共同利用全体について
はまだまだ未整備である。
学外共同利用 NMR については、分子研の全国共通予約システムの利用が必須である
ことから、学内共同利用機器はこの分子研の予約システムか N-BARD の予約システム
を使うことを義務化するべきである。特に分子研の予約システムでは,稼働状況だけで
なく、使用者の研究科・研究室の広がりなどがほぼリアルタイムでわかる上、事務処理
も容易であることから、学内共同利用機器の利用状況も非常に明瞭になる。
もう一つの重要な課題は、上記にも記したが、600MHz が最高機種という状態であ
り、これは中国地域の拠点大学としては貧弱といえる。現在、主な大学は 800MHz を
すでに有している。しかし、800MHz NMR は 1~2 億の費用が必要である上、大きい
ために建物の改修が必要であるなど、導入にはコスト面からの問題が非常に大きかった
といえる。しかし、最近理研がたんぱく質 3000 計画で導入した 800MHz NMR を地域
に移管する計画があるらしく、移設費 1,000 万円+建物改修費用等で導入できる可能性
が出てきた。また、三菱化学生命研の 700MHz NMR も理研の 800MHz より新しく、
ランニングコストもかなり安いので、中古ではあるが、高性能の 800MHz または
700MHz NMR を安価に導入するチャンスであると言える。学内の有志を募って移設費
用を集める努力が必要であると思われるが、ぜひ大学にもそのようなチャンスを生かせ
るようなシステムを作っていただきたい(もちろん受益者がランニングコストなどの応
分の負担をするのは当然だが、移設費や建物改造費などに便宜を図っていただきたいな
ど)。