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平成23年2月 1.工業用アルコールについて 2.工業用アルコールの制度について

1.工業用アルコールについて 2.工業用アルコー …...・工業用アルコール市場は過去10年の間に約3割拡大。平成22年度は、21年度の新型インフ

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Page 1: 1.工業用アルコールについて 2.工業用アルコー …...・工業用アルコール市場は過去10年の間に約3割拡大。平成22年度は、21年度の新型インフ

平成23年2月

1.工業用アルコールについて 2.工業用アルコールの制度について

Page 2: 1.工業用アルコールについて 2.工業用アルコー …...・工業用アルコール市場は過去10年の間に約3割拡大。平成22年度は、21年度の新型インフ

製法別 合成アルコール 発酵アルコール

エチレンを原料として化学合成反応によって作られたアルコール

でんぷん質原料(トウモロコシ等)や糖質原料(サトウキビ等)を発酵させて作ったアルコール (現在、国内主要メーカーは、海外から粗留アルコールを輸入し、精製を行っている。)

使用用途別 主として化学用

(化粧品・洗剤・医薬品等) 主として食品用

(食品防腐用・香料・試薬等) 飲用(お酒)

規制法別 アルコール事業法(許可制) 90度以上のアルコールが対象

(工業用アルコール) 酒税法(免許制)

1 工業用アルコールについて

・炭化水素の水素原子(H)を水酸基(OH)で置換した化合物の総称。

・飲用できるのはエチルアルコールのみ。

(2)アルコールの性質

・多くの物質と反応する ・多くの物質を溶解する ・殺菌・消毒効果がある ・芳香性を有する ・揮発性を有する ・燃焼性を有する ・飲用でき、致酔性がある

・工業用アルコールとして利用されているのはエチルアルコール:C2H5OH

(1)アルコールとは

・食品防腐剤 ・みそ ・しょうゆ ・食酢 ・調味料 ・香料 ・化粧品 ・洗剤 ・医薬品 ・試薬 ・洗浄剤 ・化学製剤 ・消毒剤 等

(3)アルコールの主な用途

(1)アルコールの概要

1

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1 工業用アルコールについて

【流通スキーム】

我が国の工業用アルコールは、食品(防腐用)に多く使用することから、海外からの 粗留アルコールを日本で精製(再蒸留)し不純物を除去 商社が粗留アルコール(原料)を輸入し、J.alcoや酒造メーカー等の製造事業者が精製、 販売事業者を経て全国の味噌、醤油などの製造メーカーが製品に添加。

インドネシア 【さとうきび】

中国 【コーン・タピオカ】

ブラジル 【さとうきび】

輸 入

【製造事業者(J.alco等)】 【海外生産国】 【販売事業者】 【使用者】

アルコール アルコール 販 売 使 用 精 製 粗留アルコール

(2)工業用アルコールのビジネスモデル

2

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○世界のエタノール生産量は平成22年で10,395万kl(21年より154%増加) ○日本のエタノールの輸入はブラジルからの割合が近年増加(22年度は9割超) ○世界のエタノール消費の8割が燃料用(22年)

出典: F. O. Licht,

【エタノール生産量と輸出量】 【日本のエタノール輸入量及び輸入先】

(出典:貿易統計)

関税番号2207.10.120(工業用原料)、2207.10.130(酒類用原料、2002年までは2207.10.110) 2207.10.190、2207.10.290 の4つの各国輸入量を輸入量合計で除したもの

(KL) (千KL)

200,000

250,000

300,000

350,000

400,000

450,000

500,000

550,000

600,000

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21

H22

ブラジル

パキスタン

インドネシア

中国

タイ

アメリカ

その他

合計数量

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

輸入量

輸出量

生産量

3

(3)我が国の国別輸入割合と輸入価格

1 工業用アルコールについて

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0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

90.0

平成

16年

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11

12月

成17

年1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10

11月

12

平成

18年

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11

12月

成19

年1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10

11月

12

平成

20年

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11

12月

成21

年1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10

11月

12

平成

22年

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11

12月

1月

2月

3月

エタノール(通関価格) ナフサ(通関価格) ESALQ

(円/L)

リーマンショック 原油価格高騰 穀物価格高騰

ブラジルにおける深刻な干ばつ

○エタノールは農産物であり、砂糖、穀物価格に影響を受ける。価格影響力の強いブラジルのESALQ(工場 出荷価格)は、新収穫期(4月~)に下落し徐々に上昇するという周期的動き有り。 ○近年、バイオ燃料の世界的需要に伴い、原油価格とも連動し高騰 ○今年はESALQが平成18年以降で最高価格に到達

4

1 工業用アルコールについて (4)原料価格の推移

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0 50,000

100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 350,000 400,000 450,000

平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度

(5)工業用アルコール市場を取り巻く現状

・工業用アルコール市場は過去10年の間に約3割拡大。平成22年度は、21年度の新型インフルエンザによるアルコール消毒剤の需要増の反動もあり、約6%の減となった。 ・平成18年の市場自由化の結果、離島や遠隔地への供給不安は発生していないものの、新規 事業者の参入、バイオ燃料への使用拡大、製品アルコールの輸入増加などの新たな動きあり ・当省としては、国民生活及び産業活動にとって重要な基礎物質であるアルコールの安定供給に 支障のないように適切な流通管理を行う必要がある

工業用アルコール市場の推移

自由化以降の新たな動き

○新規許可事業者数の増加 特に輸入事業者は平成13年度の26事業者が平成22年度に46事業者に拡大。 ○バイオ燃料の使用拡大 国産バイオ燃料の生産拡大等により、エタノールの燃料用使用が拡大。 ○製品アルコール輸入の増大 自由化を機に関税を段階的に削減した結果、製品アルコールの輸入が増加してきており、品質事故等の発生に注意が必要。

出典:化学工業統計

(KL)

1 工業用アルコールについて

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(6)工業用アルコールの使用用途別実績の推移 1 工業用アルコールについて

(出典:アルコール協会)

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・工業用アルコールの使用実績は、アルコール事業法施行の平成13年度と比べ約7割拡大。 ・用途別では、化学品が平成21年度と比べ約5割増加。 増加分の約6割は、バイオ燃料の一種であるETBE(エチル・ターシャリ・ブチルエーテル) の原料として使用。 ・生活用途関係は、平成21年度の新型インフルエンザによる除菌用ウェットティッシュや 手指用除菌アルコールなどの需要増の反動により減少

43,001

47,032

48,327

45,483

55,145

56,473

63,080

65,699

93,639

138,720

80,298

83,149

84,758

90,437

87,047

90,820

94,340

111,901

111,982

112,610

67,256

72,014

75,273

75,774

80,571

85,988

85,941

84,553

87,446

89,761

71,457

77,447

82,545

84,580

97,856

96,418

93,265

92,517

114,461

98,120

1,688

2,014

2,531

2,952

3,271

3,536

3,864

3,831

4,163

5,416

0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 350,000 400,000 450,000 500,000

H13年度

H14年度

H15年度

H16年度

H17年度

H18年度

H19年度

H20年度

H21年度

H22年度

化学品

飲食料品

飲食料品関係

生活用途関係

その他の物品

(KL)

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2 工業用アルコールの制度について

アルコール事業法の制定 【平成13年4月施行/平成18年4月改正】

酒類と物質的に同一 国民生活・産業活動に不可欠

アルコールの特性 酒類の原料への不正な使用の防止 アルコールの安定的かつ円滑な供給

流通管理の必要性

90度以上のエチルアルコールについて厳格な流通管理を実施

○ 製造事業者、輸入事業者、販売事業者、使用者の許可制 ○ 許可事業者は扱ったアルコールの数量等について帳簿記載、年1回の定期報告

○ 定期報告による不正使用のチェック ○ 許可事業者への立入検査によるチェック

※ 暫定措置期間(5年間を目途)はNEDOによる一手購入・販売制度、大臣認可価格制度、特定アルコール販売を実施。 平成18年3月末をもって終了。

アルコール事業法の概要

許可制

事後チェック

特定アルコール ○ 流通管理になじまない特別な用途向けに、酒税相当額を加算した特定アルコール(自由流通) の販売制度を措置。(加算額は事業者により国庫納付)

(1)アルコール事業法について

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2 工業用アルコールの制度について (2)アルコール事業法の概要

○製造の許可(法第三条第一項) ・アルコールの製造を業として行おうとする者は、

経済産業大臣の許可を受けなければならない。

○輸入の許可(法第十六条第一項) ・アルコールの輸入を業として行おうとする者は、

経済産業大臣の許可を受けなければならない。

○販売の許可(法第二十一条第一項) ・アルコールの販売を業として行おうとする者は、

経済産業大臣の許可を受けなければならない。 ただし、製造事業者又は輸入事業者が、その製造し、 又は輸入したアルコールを販売する場合は、 この限りではない。

○使用の許可(法第二十六条第一項) ・アルコールを工業用に使用しようとする者は、

経済産業大臣の許可を受けなければならない。

○目的 酒類原料への不正使用防止のための流通管理 アルコールは国民生活に密接な関係をもつ様々な生活物資にも使用されており、アルコールの安定的かつ円滑な供給確保のため、国で統一的に厳格に管理することが必要。 工業用アルコールは、成分的には酒類と同じであるが、酒類のみに高額の酒税がかかることから、工業用アルコールが不正に飲用に使用されるインセンティブが働くため、これを抑制しアルコールが工業用途に安定的に供給されることを確保するための一定の流通管理が不可欠である。 すなわち、工業用アルコールの製造、輸入、販売、使用等を行う者について、用途の確認、実績の把握を的確に行うための方策として許可制を採用するとともに、報告徴収等を通じた事後的なチェックを実施する。

経済産業省

許可+事後チェック 帳簿作成・報告徴収

立入検査

【製造事業者】

【販売事業者】

【使用者】

販売

使用

精製

アルコール

【輸入事業者】

粗留アルコール

アルコール

輸入

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輸入事業者 アルコール

一手購入・販売部門

廃止

(許可)

大臣認可価格 (許可)

製造事業者

アルコール製造部門

使 用

(許可) (許可)

医薬品・化粧品用途

食品用途(味噌、醤油)

化学工業品用途

廃止

輸入事業者 (許可)

(許可)

製造事業者

使

(許可) (許可)

医薬品・化粧品用途

食品用途(味噌、醤油)

化学工業品用途

日本アルコール産業㈱ (みなし製造許可)

〈平成18年3月31日まで〉

〈平成18年4月1日から〉 民間開放

特定アルコール

一般アルコール

一般アルコール

一般アルコール

一般アルコール

自由流通

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 特定アルコール 独占販売

2 工業用アルコールの制度について

自由流通

日本アルコール産業株式会社法

改正アルコール事業法

(3)工業用アルコールの流通スキーム

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