2
お客さまご導入事例集( クラウドブート ) 国立大学法人一橋大学 パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社 課題 期待効果は 国立大学法人一橋大学(以下、一橋大学)では、図書館とPC教室を管理するネットブートPCシステムの基盤として、回線速 度の向上を機にクラウドの利用を検討。「SINET5や「リンクサーバ」を活用し、「持たないIT」と「高速起動」の両立を実現されま した。ネットブートPCシステムには、パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社(以下、パナソニックIS)の「OSV」が採用さ れています。 157 国立大学法人一橋大学 クラウドブート クラウドへ移行しても、PCの起動時間は最重要事項。学内にサーバを置くのと同程度の速度をキープしたい。 サーバを手放し、メンテナンス対応からの解放など「持たないIT」のメリットを享受したい。 新たなアーキテクチャとしてクラウドを取り入れたい。 PCの高速起動は維持したい。 一橋大学は、森有礼が渋沢栄一の協力を得て1875年(明治8 年)に開いた商法講習所を源流とする、日本で最も伝統のある社 会科学系研究大学です。ゼミナールを核とする少数精鋭教育を通し、 卓越した人材を世界に輩出しています。 国立大学法人一橋大学 情報化統括本部 情報基盤センター 助手 松村 芳樹 クラウドブートの検討を開始 186-8601 東京都国立市中2-1 https://www.hit-u.ac.jp/ 「次はクラウドへ移行したいと考えていました。クラウドなら法定停電の 際にわざわざ立ち会う必要がありませんし、今後仮にシステムを他キャ ンパスへ展開することになっても、本拠地の状況に左右されることなく 運用できます」。 前回更新時はまだ起動時間に支障があり、授業などでは使えないと いう判断でしたが、国立情報学研究所(NII)が提供する学術ネッ トワーク「SINET5」の登場により回線速度が飛躍的に向上し、潮目 が大きく変化しました。松村氏は早速、当時から利用していたネット ブートPCシステム「 OSV」の提供元であるパナソニックIS に相談。 一橋大学の図書館と PC 教室を管理する ネットブートPCシステムは、常に最新のネット ワーク技術が投入されています。2011年に は当時まだ高価であったSSDをいち早くロー カルディスクに採用し、2015年には完全仮 想化を実現。その後2019年のリプレースま での間も、新たなアーキテクチャを模索してい たと情報化統括本部 情報基盤センター 助手の松村芳樹氏は語ります。 「リンクサーバ」とSSDがあれば速度に支障はないと判断 SINET5のクラウド接続サービスを活用した「クラウドブート」の検討を 開始しました。 検証を重ねた結果、学内にサーバを置くのと同程度の起動時間を 実現できるようになりました。その際に利用したのが、OSVのアプライ アンス製品である「リンクサーバ」でした。 「学内にリンクサーバを置き、そのキャッシュを利用することで遠隔地 間でも問題なく起動ができるようになっており、また検証中にさらなる 高速版がリリースされたため、これとSSDのローカルキャッシュがあれ ば、大元のシステムが学内になくても速度に支障が出ることはまずな いと判断しました。検証時のパナソニックISの対応も確かな技術力に 裏打ちされたもので、新しいことを精力的に試していくための心強い パートナーだと感じました」(松村氏)。 SINET5 リンクサーバ クラウド 一橋大学 ※ SINET5:日本全国の大学、研究機関等の学術情報基盤として、国立情報学研究所(NII)が構築、運用している情報通信ネットワーク。

157 クラウドブートお客さまご導入事例集(クラウドブート) 国立大学法人一橋大学様 パナソニックインフォメーションシステムズ株式会社

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 157 クラウドブートお客さまご導入事例集(クラウドブート) 国立大学法人一橋大学様 パナソニックインフォメーションシステムズ株式会社

お客さまご導入事例集( クラウドブート )国立大学法人一橋大学 様

パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社

課題

期待効果は

国立大学法人一橋大学(以下、一橋大学)では、図書館とPC教室を管理するネットブートPCシステムの基盤として、回線速度の向上を機にクラウドの利用を検討。「SINET5」※や「リンクサーバ」を活用し、「持たないIT」と「高速起動」の両立を実現されました。ネットブートPCシステムには、パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社(以下、パナソニックIS)の「OSV」が採用されています。

157 国立大学法人一橋大学 様クラウドブート

クラウドへ移行しても、PCの起動時間は最重要事項。学内にサーバを置くのと同程度の速度をキープしたい。2

サーバを手放し、メンテナンス対応からの解放など「持たないIT」のメリットを享受したい。新たなアーキテクチャとしてクラウドを取り入れたい。

PCの高速起動は維持したい。

一橋大学は、森有礼が渋沢栄一の協力を得て1875年(明治8年)に開いた商法講習所を源流とする、日本で最も伝統のある社会科学系研究大学です。ゼミナールを核とする少数精鋭教育を通し、卓越した人材を世界に輩出しています。

国立大学法人一橋大学情報化統括本部 情報基盤センター 助手

松村 芳樹 氏

クラウドブートの検討を開始

〒186-8601東京都国立市中2-1https://www.hit-u.ac.jp/

「次はクラウドへ移行したいと考えていました。クラウドなら法定停電の際にわざわざ立ち会う必要がありませんし、今後仮にシステムを他キャンパスへ展開することになっても、本拠地の状況に左右されることなく運用できます」。前回更新時はまだ起動時間に支障があり、授業などでは使えないという判断でしたが、国立情報学研究所(NII)が提供する学術ネットワーク「SINET5」の登場により回線速度が飛躍的に向上し、潮目が大きく変化しました。松村氏は早速、当時から利用していたネットブートPCシステム「OSV」の提供元であるパナソニックISに相談。

一橋大学の図書館とPC教室を管理するネットブートPCシステムは、常に最新のネットワーク技術が投入されています。2011年には当時まだ高価であったSSDをいち早くローカルディスクに採用し、2015年には完全仮想化を実現。その後2019年のリプレースまでの間も、新たなアーキテクチャを模索していたと情報化統括本部 情報基盤センター助手の松村芳樹氏は語ります。

「リンクサーバ」とSSDがあれば速度に支障はないと判断

SINET5のクラウド接続サービスを活用した「クラウドブート」の検討を開始しました。

検証を重ねた結果、学内にサーバを置くのと同程度の起動時間を実現できるようになりました。その際に利用したのが、OSVのアプライアンス製品である「リンクサーバ」でした。「学内にリンクサーバを置き、そのキャッシュを利用することで遠隔地間でも問題なく起動ができるようになっており、また検証中にさらなる高速版がリリースされたため、これとSSDのローカルキャッシュがあれば、大元のシステムが学内になくても速度に支障が出ることはまずないと判断しました。検証時のパナソニックISの対応も確かな技術力に裏打ちされたもので、新しいことを精力的に試していくための心強いパートナーだと感じました」(松村氏)。

SINET5

リンクサーバ

クラウド一橋大学

※ SINET5:日本全国の大学、研究機関等の学術情報基盤として、国立情報学研究所(NII)が構築、運用している情報通信ネットワーク。

Page 2: 157 クラウドブートお客さまご導入事例集(クラウドブート) 国立大学法人一橋大学様 パナソニックインフォメーションシステムズ株式会社

●お求め、ご相談は ・・・

157

効 果

国立大学法人一橋大学 様クラウドブート

YYB00162【商品の情報やお問い合わせは】 https://is-c.panasonic.co.jp/

Copyright(C) 2020 Panasonic Information Systems Co.,Ltd. All rights reserved.

本 社

東 京 支 社

東日本ソリューション営業部

中 部 営 業 所

西日本ソリューション営業部

九 州 営 業 所

TEL(06)6906-2801

TEL(03)5715-5470

TEL(03)5715-5477

TEL(052)561-3120

TEL(06)6377-0050

TEL(092)523-9730

大阪市北区茶屋町19-19

東京都品川区東品川2-3-14

東京都品川区東品川2-3-14

名古屋市中村区名駅南2-7-55

大阪市北区茶屋町19-19

福岡市中央区薬院3-1-24

〒530-0013

〒140-0002

〒140-0002

〒450-8611

〒530-0013

〒810-8530

※本パンフレットに記載された社名および商品名などは、それぞれ各社の商標または登録商標です。※本パンフレットの記載内容は2020年7月現在のものです。内容および対象商品については、予告なく変更する場合があります。

(取材は2020年7月3日)

エンタープライズソリューション事業部 インフラソリューション部今井 規善

一橋大学様は以前から新しい技術に対し積極的にチャレンジされており、技術動向を大変深く調査・研究していらっしゃいました。今回の導入に際しても新たな挑戦が多く、技術的なハードルがありましたが、松村様をはじめとする教職員の方々、また関係会社の皆様の多大なるご協力のおかげで無事サービスインを迎えることができました。学生さんがいかに便利に利用できるかを熟考した案件で、私自身、技術面やユーザを意識した姿勢という意味で多くを学ばせていただきました。今後もさらなるお役立ちができればと考えております。

担当SEからひとこと

今後の展望

次期更新を待たずして、早くもさらなるユーザビリティ向上に意欲的な松村氏。今着目しているのは起動方法だといいます。「普段はリンクサーバから高速起動させ、不具合発生時はクラウド側から直接起動させるというのを自動で行えるようにしたいです。システム更新は一度終えると4,5年先までそのままというケースが多いですが、その間にユーザーの需要も変わってきます。パナソニックISは普段からちょっとした相談ができ、その都度信頼できる回答が返ってくるので、今後も期待しています」(松村氏)。

起動方法を自動選択させたい

クラウドと学内のリンクサーバをSINET5で接続し、さらに既存のメールサービスなどとシームレスに連携。法定停電の立ち会いが年間1日で済むなど、運用負荷の軽減を実感!

クラウド移行で運用負荷を軽減できた!

クラウドでも高速化を実現!

システムがクラウドへ移っても、リンクサーバのおかげで起動速度はオンプレミスの頃よりも高速に!

ディスクイメージ効率化のために言語設定で一工夫国内でも先駆的なクラウドブートの導入。ネットブートサーバをクラウドに、キャッシュ用のリンクサーバを一橋大学にそれぞれ配置し、両者をSINET5でつなぐという構成を取りました。またネットブートPCシステムには、ディスクイメージを効率化するためのある工夫を施しました。ログイン前に言語を選択させ、それによってOSのデフォルト言語設定を入れ替えることで、1つのディスクイメージで日本語/英語の両方に対応できるようになっています。「普通だと日本語と英語でディスクイメージを2つ作ることになりますが、ディスクイメージを切り替えるとキャッシュを入れ替えてしまうので、せっかくの高速起動を十分に活かせない。このしくみなら1つのディスクイメージで済み、サーバリソースも軽量化できます」(松村氏)。

シングルサインオンで、既存のクラウドサービスも快適利用ユーザープロファイル※は環境復元を重視し固定プロファイルを採用しています。プロファイルの保存場所を一橋大学が契約しているクラウドサービス上に置くことで構築の負担を大幅に減らすことができました。環境復元が適用されているとブックマークなど各ユーザーのデータがPCに残りませんが、一橋大学ではクラウドサービスのメールや個人領域フォルダを最大限に活用しているため大きな問題はないといいます。今回はさらにシングルサインオンのしくみを加え、PCにログインすれば自分のアカウントをすぐ利用できるようにしました。「構築中にクラウドサービス側の仕様変更が何度かあったものの、パ

ナソニックISは根気強く取り組んでくれました。ユーザーからは見えませんが、『これがあるから快適に使えている』という処理が今回のシステムには多く詰め込まれています」(松村氏)。

オンプレミスの頃よりも高速化こうして、2019年3月にクラウドブートが稼働。システムがクラウドへ移っても、起動速度はオンプレミスの頃と同等、むしろリンクサーバのおかげで高速化していると松村氏は語ります。「SINET5との親和性が非常に良かったですね。2019年は電源設備の入れ替えが多く、例年になく停電がありましたが、我々が立ち会ったのは1日だけで済みました。学内に設置しているリンクサーバだけは電源が落ちますが、あくまでキャッシュ用なので稼働には問題なく、運用面の負担がありませんでした」。

1つのディスクイメージで日本語/英語の両方に対応できるよう工夫したブート画面

※ ユーザープロファイル:ログインユーザー向けの環境個別設定のこと。