14
1 雪媛 中国のスマートフォン市場の現状と課題 1、 調査背景 1.1 調査概要 今回の調査は、中国のスマートフォン市場の現状。こうした調査の背景は、中国が世界 において最大なスマートフォン市場になっており、特に 2017 年の中国スマートフォンメー カーである Huawei の世界スマートフォン市場シェア 2 位に占めているからである。2017 年の中国のスマートフォン出荷台数は 4.68 億台と鈍化し、出荷額は前年比 1%減少したが、 販売店での売り上げは 5%上昇。2017 年第 4 四半期は市場が前年比 5%減となる中、前四 半期比で 5%の売り上増を記録している 1 中国のスマートフォン市場においては Huawei に次ぐ 3 大ブランドである, OPPOVivoXiaomi も成長しており、この中国の 4 大ブランのシェアは 67%も占めている 2 。すなわち、 中国国内スマートフォンメーカーは中国のスマートフォン市場の大半を占めており、極め て重要な位置づけになっている。 Huawei 2017 年第 4 四半期に前年同期比 8%成長し、2017 年通年でも前年比 19%の 伸びを達成した。 2017 年の中国市場で過去最高となる市場シェア 19%を獲得し、中国市場 の首位の座を守っている。Huawei は中国では特に「Honor」ブランドが強く、出荷の 6 を担った 3 。なお 2 位は OPPO 18 パーセントと迫っている。このような背景として、中 国のスマートフォン市場に、特に Huawei の発展に関する研究は極めて重要になってくる。 また、 Huawei の取り巻く競争環境を明らかにするために,中国で注目が集められているス マートフォンメーカーであるアップル、サムスン、 Huawei シェアに関する現地調査をする 必要がある。 今回の現地調査を行う前には、事前調査としてスマートフォンに関する文献を調べ、イ ンターネットから中国におけるスマートフォンの現状などに関する資料を収集した。 1.2 調査内容と方法 今回の現地調査は、サムソンに次ぐ世界スマートフォンメーカーの 2 位である Huawei を対象にする。 1 IT メディアサイト URLwww.itmedia.co.jp 閲覧日:2018 11 20 日。 2 IT メディアサイト URLwww.itmedia.co.jp 閲覧日:2018 11 20 日。 3 IT メディアサイト URLwww.itmedia.co.jp 閲覧日:2018 11 20 日。

1、1 鄭 雪媛 中国のスマートフォン市場の現状と課題 1、 調査背景 1.1調査概要 今回の調査は、中国のスマートフォン市場の現状。こうした調査の背景は、中国が世界

  • Upload
    others

  • View
    1

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 1、1 鄭 雪媛 中国のスマートフォン市場の現状と課題 1、 調査背景 1.1調査概要 今回の調査は、中国のスマートフォン市場の現状。こうした調査の背景は、中国が世界

1

鄭 雪媛 中国のスマートフォン市場の現状と課題

1、 調査背景 1.1 調査概要

今回の調査は、中国のスマートフォン市場の現状。こうした調査の背景は、中国が世界

において最大なスマートフォン市場になっており、特に 2017 年の中国スマートフォンメー

カーである Huawei の世界スマートフォン市場シェア 2 位に占めているからである。2017

年の中国のスマートフォン出荷台数は4.68億台と鈍化し、出荷額は前年比1%減少したが、

販売店での売り上げは 5%上昇。2017 年第 4 四半期は市場が前年比 5%減となる中、前四

半期比で 5%の売り上増を記録している 1。

中国のスマートフォン市場においては Huawei に次ぐ 3 大ブランドである,OPPO、Vivo、

Xiaomi も成長しており、この中国の 4 大ブランのシェアは 67%も占めている 2。すなわち、

中国国内スマートフォンメーカーは中国のスマートフォン市場の大半を占めており、極め

て重要な位置づけになっている。

Huawei は 2017 年第 4 四半期に前年同期比 8%成長し、2017 年通年でも前年比 19%の

伸びを達成した。2017 年の中国市場で過去最高となる市場シェア 19%を獲得し、中国市場

の首位の座を守っている。Huawei は中国では特に「Honor」ブランドが強く、出荷の 6 割

を担った 3。なお 2 位は OPPO が 18 パーセントと迫っている。このような背景として、中

国のスマートフォン市場に、特に Huawei の発展に関する研究は極めて重要になってくる。

また、Huawei の取り巻く競争環境を明らかにするために,中国で注目が集められているス

マートフォンメーカーであるアップル、サムスン、Huawei シェアに関する現地調査をする

必要がある。

今回の現地調査を行う前には、事前調査としてスマートフォンに関する文献を調べ、イ

ンターネットから中国におけるスマートフォンの現状などに関する資料を収集した。

1.2 調査内容と方法

今回の現地調査は、サムソンに次ぐ世界スマートフォンメーカーの 2 位である Huaweiを対象にする。

1 ITメディアサイト URL:www.itmedia.co.jp 閲覧日:2018年 11月 20日。 2 ITメディアサイト URL:www.itmedia.co.jp 閲覧日:2018年 11月 20日。 3 ITメディアサイト URL:www.itmedia.co.jp 閲覧日:2018年 11月 20日。

Page 2: 1、1 鄭 雪媛 中国のスマートフォン市場の現状と課題 1、 調査背景 1.1調査概要 今回の調査は、中国のスマートフォン市場の現状。こうした調査の背景は、中国が世界

2

中国のスマートフォン市場は世界最大のスマートフォン市場であるが、2015 年には飽和

状態になりつつあると言われている。それに伴い、中国における各スマートフォンメーカ

ー間の競争がより一層激しくなってきている。中国におけるスマートフォン市場の現状に

ついて調査することが必要不可欠であると言えよう。 今回の調査地域は、中国の国際大都市上海と「一帯一路」の経済構想の起点として西安

にする。なぜなら、国際大都市の上海はスマートフォンの専門販売店の利用率、顧客の満

足度を調査することは,中国のスマートフォンの現状を明らかにすることに大きな役割を

果たすと考えられる。また、発展中「一帯一路」の起点として西安におけるは中国におけ

る成長率が高い市場であり、スマートフォンの発展も期待できる都市である。 2.スマートフォン発展の現状 2.1 世界におけるスマートフォンの普及 世界の最初の電話は、1876 年に米国のアレクサンダーベルによる発明された。その後、

ヘルツは、実験中で電磁波の存在を実証し、「有線通信」から「無線通信」へ転換させたこ

とにより、全体の移動通信が開始された。1973 年に、モトローラ会社の技術者による最初

の携帯電話が発明され、1979 年に、日本による世界における最初のモバイルデータ通信が

開放された。1982 年に、ヨーロッパは GSM(モバイル通信特別チーム)を創立し、その翌年

に、第一台目のビジネス用の携帯電話が誕生した 4。しかし、携帯電話の最初の端末は、重

さが 3 キログラムで、開発周期は 10 年もかかるとのことである。さらに、開発費用が 10

億ドル(約 1015 億円)もかかり、充電の必要な時間は 10 時間であるものの、通話の時間

は 30分しかないという 5。しかし、現在の携帯電話は外観と機能も著しく変化している。

1990 年代に入り、携帯電話は中国に進出し始めたのである。初めて中国市場に登場した

携帯電話は 1993 年に発売されたモトローラ 3200 である。中国の最初の GSM システムの携

帯電話は、1995年に発売されたエリクソン GH337である。1990 年代の後半、1999年に入る

と、初めての中国語システムの携帯電話はモトローラによる設計されたとともに、中国に

おける携帯電話の普及も始まった。

2000年に入ると、エリクソンによる設計し生産するエリクソン R380scは、世界の初めて

のスマートフォンとして誕生された。しかし、スマートフォンを世界に普及させたのは、

2007 年にアップルによる開発された iPhone である。iPhone の開発は携帯電話にとって画

期的な設計革命であった 6と評価されている。

米国マサチューセッツ工科大学が発表した雑誌「科技創業(MIT Technology Review)」

の調査によれば、スマートフォンは今まで発展が最も早い技術であると評価されている。

初めての電話が発明されてから、市場の飽和になるまで 100 年近くかかったが、携帯電話

4ネットサイト:http://fenlei.baike.com。 5謝海平(2011)「移動手机的発展軌跡和電脳化趨勢」『硅谷』p18。 6ネットサイト:http://mobile.163.com。

Page 3: 1、1 鄭 雪媛 中国のスマートフォン市場の現状と課題 1、 調査背景 1.1調査概要 今回の調査は、中国のスマートフォン市場の現状。こうした調査の背景は、中国が世界

3

は約 20年で市場を飽和させた。さらに、スマートフォンとタブレットの普及は携帯電話よ

りも速いのである 7とみられる。

それでは、スマートフォンはこのように早く普及する要因と何かについてみてみよう。

スマートフォンは、個人のパソコンのように、独立している OS がある携帯電話である。

さらに、消費者は自分でソフトウェアをダウンロードすることにより、携帯電話の機能が

拡充されることができる。つまり、スマートフォンとは、移動通信のネットワークを通じ

て、インターネットと接続することを実現できた携帯電話の総称である 8。

従来の携帯電話は通話やメールができ、インターネットにつなげることもできた。スマ

ートフォンは、従来の携帯電話に i モードに代表されるインターネット機能が搭載され、

アプリをインストールする機能を加え、自由にカスタマイズすることができるようになっ

たのである。その後もカメラ、GPS、ワンセグ、おサイフケータイ、SNS など、様々な機能

が次々に付加されたものである。

スマートフォンの普及により、人々の生活は大きく変わったのである。その例としては、

今まで、留学生のような海外で生活する人達は、自国の知人や友人と連絡するには、高額

な通話料金が発生する国際電話でしかなかった。スマートフォンの普及した後、インター

ネットと接続する SNS のアプリを利用すれば、ただで世界中のどこにもビデオ電話で通話

することができるようになった。また、スマートフォンは持ち歩くパソコンのように、消

費者はどこでも、いつでも世界のニュースを知ることができる。一方、企業にとっては、

商品を宣伝する効率的なルートであり、常に口コミで消費者の声を確かめることもできる。

さらに、スマートフォンは従来のデジタルカメラに劣らないカメラ機能が付加されており、

どこまでも道案内ができるような GPS機能もついている。

中国ではアリババの発展とともに、ネット通販も盛んになってきた。そこで、スマート

フォンのおサイフケータイ機能は、アリペイのマックがついているホテルやタクシーなど

で利用できるようになり、人々の消費習慣までに大きな影響を与えた。

スマートフォンは、このように人々の生活と大きく関わっており、従来の通信手段から

生活支援ツールへと大きく進化したと言えよう。現在は、スマートフォンのアプリが次々

と増え続けており、我々の生活の需要を満たしてくれている。

こうして、1983 年に開発されたビジネス用の携帯電話の登場から現在まで、わずか 33年

の時間で、携帯電話は外観のみならず、機能も目覚ましく変化してきた。最初の簡単な通

話とメールぐらいから、スマートフォンが可能にした無料ビデオ電話、音声メールなどま

でに大きく変化してきた。最初の単純なビジネス用から、現在の娯楽、マルチメディア、

執務、モバイルコマースなどまでに変化してきた。スマートフォンは、すでに、現代の生

活に必要不可欠な生活支援ツールになってきている。それゆえ、各スマートフォンメーカ

ー間における競争も激化になった。特に、中国におけるスマートフォンメーカーの間の競

7南瑄祐(2013)「苹果与三星電子在韓国智能手机市場競争力比較研究」黒龍江大学。 8ネットサイト:http://zhidao.baidu.com。

Page 4: 1、1 鄭 雪媛 中国のスマートフォン市場の現状と課題 1、 調査背景 1.1調査概要 今回の調査は、中国のスマートフォン市場の現状。こうした調査の背景は、中国が世界

4

争が激しい。

2.2 中国のスマートフォンの発展と現状 中国は改革開放とともに、著しい経済発展を遂げてきた。現在、中国は「世界の工場」

から「世界の市場」へと変遷してきた。それに伴い、中国における携帯電話メーカーは、

ハードウェアを組み立てる工場から、ソフトウェアを自主的に研究開発する会社へと変化

した。2007 年に、米アップル会社の CEO スティーブジョブズは初めての本格的なタッチス

クリーンの携帯電話の誕生を発表した。全世界のモバイルネットーワークが高速的な発展

を遂げることに伴い、わずか数年間で、スマートフォンの市場シェアは大幅に上回ってい

る。特に、中国のスマートフォン市場が巨大である。2008 年に、中国政府による 3Gの免許

が発布した後、中国は 3Gのモバイルインフラ設備のメーカー、スマートフォンメーカーと

半導体のサプライチェーンの巨大な市場になった。このように、中国は 3G 時代に突入し、

多様化かつ個性化する移動体通信市場になってきたと言えよう 9。 スマートフォンが僅か 7年間で、出荷台数が 2011 年の 1.2億台から 2017年の 4.68億台

に急増した。(図表 1-1)

図表 1-1 2011 年から 2017 年の中国スマートフォンの出荷台数(億台)

年数 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年

出荷台数

(億台)

1.2

2.8

4

4.207

4.341

4.59

4.68

出所:中商産業研究院に基づき、筆者が作成。

9ITメディアサイト:http://wk.baidu.com閲覧日:2018年 11月 20日。

1.2 2.8

4 4.207 4.341 4.59 4.68

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年

出荷台数(億台) 出荷台数(億台)

Page 5: 1、1 鄭 雪媛 中国のスマートフォン市場の現状と課題 1、 調査背景 1.1調査概要 今回の調査は、中国のスマートフォン市場の現状。こうした調査の背景は、中国が世界

5

この図表 1-1によれば、2015 年には中国のスマートフォン市場における新規需要が飽和

状態になりつつある傾向が示されている。一方で、2015 年の中国のスマートフォン市場で

は買い替えの需要が高まっている。スマートフォンの買い替えする際に、消費者はスマー

トフォンに対してより高い機能を求めるようになる。それにより、ミドルハイエンドのス

マートフォンの市場シェア率が高くなってきた。そして、また 2016年から、スマートフォ

ンの需求が高くなっている。それにより、Alipay(支付宝)と WeChat ペイメント微信支付

→WeChatの決済フラットフォームを進んでいると関係である 10。

2.3中国におけるスマートフォンメーカーの競争

中国は、世界の最大のスマートフォン市場になるとともに、中国の国産スマートフォン

メーカーも多く発展を遂げてきた。これらの新興メーカーが現れるとともに、中国市場に

おけるスマートフォンメーカーの間の競争が非常に激しくなってきた。海外の大手企業、

米アップル、韓国サムスンなど以外、小米、華為、OPPO、vivo などの中国の国産メーカー

も中国の市場シェアを奪い合っている。2015 年に、ランキングの前 5 位の中には、アップ

ルの出荷量のシェア率が 11.3%で 3位を占めており、唯一の海外メーカーであった 11。

図表 1 中国スマートフォン市場(上位 5社)のシェアの推移

2015 年 2016 年 2017 年

1 位 Xiaomi Oppo Huawei

2 位 Huawei Huawei Oppo

3 位 Apple Vivo Vivo

4 位 Oppo Apple Apple

5 位 Vivo Xiaomi Xiaomi

それでは、中国の国産スマートフォンメーカーの発展についてみておこう。その発展の

主役は、既にグローバルブランドから中国国産ブランドに移り変わった。華為、ZTEなどの

大手国産ブランドのみに限らず、中堅以下のメーカーも大きく成長してきた。図表 1-2の

ように、中国スマートフォン市場における各グループに属する国産メーカーである 12。

10Baiduサイト:http://wk.baidu.com 閲覧日:2018年 11月 22日。 11トレント pressサイト:cte.trendexpress.jp/blog/閲覧日:2018年 11月 22日。 12富士キメラ総研「中国におけるスマートフォン市場の概要」P.4

Page 6: 1、1 鄭 雪媛 中国のスマートフォン市場の現状と課題 1、 調査背景 1.1調査概要 今回の調査は、中国のスマートフォン市場の現状。こうした調査の背景は、中国が世界

6

図表 2グループによって分ける国産メーカー

グループ 1

グループ 2

グループ 3 フィーチャーフ

ォンからの転換

スマートフォンで

の新規参入

総合家電メ

ーカー

グローバル市

場を含め数千

万台を超える

規模での大手

国産ブランド

フィーチャーフ

ォンの成功をベ

ースにスマート

フォンへ移行

Android の登場後

にスマートフォン

から新規参入した

メーカー

従来の事業

展開をスマ

ートフォン

から改めて

の仕切り直

グループ 1と 2以外の

その他のメーカー

(小規模ブランドや山

寨機などを含む)設計

技術や製造は IDH/ODM

の存在に支えられてい

る 華為、ZTE、レ

ノボ、CoolPad

oppo、BBK、

Gionee、K-touch 小米、Meizu

TCL、

Hisense、

Haier、

Konka、

Changhong

次は、中国スマートフォン市場における各メーカー間の競争についてみていく。

中国は、世界の最大のスマートフォン市場になるとともに、中国の国産スマートフォン

メーカーも多く発展を遂げてきた。これらの新興メーカーが現れるとともに、中国市場に

おけるスマートフォンメーカーの間の競争が非常に激しくなってきた。海外の大手企業、

米アップル、韓国サムスンなど以外、小米、華為、oppo、vivo などの中国の国産メーカー

も中国の市場シェアを奪い合っている。2015 年に、ランキングの前 5 位の中には、アップ

ルの出荷量のシェア率が 11.3%で 3 位を占めており、唯一の海外メーカーであった。それ

以外は小米のシェア率が 15.4%であり、首位を占めた。次は、2位の華為が 14.2%であり、

4位の vivo が 8.4%であり、5位の oppo が 7.6%である。(図表 1-3参照)

図表 1-3 2015 年の中国市場におけるスマートフォンの出荷量の状況

出所:中商産業研究院により

小米, 15.40%

華為, 14.20%

アップル, 11.30%

vivo, 8.40% oppo, 7.60%

その他, 43.10%

Page 7: 1、1 鄭 雪媛 中国のスマートフォン市場の現状と課題 1、 調査背景 1.1調査概要 今回の調査は、中国のスマートフォン市場の現状。こうした調査の背景は、中国が世界

7

図表 3 中国スマートフォン市場(上位 5社)のシェアの推移

Xiaomi の順位を時系列でみていくと、2015 年には一位であったものの、翌年の 2016 年

に 5 位に転落し、足元のデータである 2017 年でも 5 位に留まっている 13。

また、シェア 1 位のメーカーを時系列でみると 2015 年が Xiaomi、2016 年は Oppo、2017年は Huawei と、毎年メーカーが入れ替わっていることがわかっている。2018 年にも

Huawei が一位に守っている 14。 3.Huawei の発展

Huaweiは、1987 年に携帯電話のインフラ整備に必要な通信機器を開発するベンダーとし

て中国・深圳に設立された、世界有数の ICTソリューション・プロバイダー。最近は、SIM

フリースマートフォンなど、端末を手がけるまでに急成長を遂げた 15。

起業当初の Huawei の顧客は中国電信、中国移動、中国網通、中国聯通などの中国企業が

中心であったが、1997年に香港のハチソン・ワンポアと初の海外契約を得たのを皮切りに、

2000 年代以降はブリティッシュ・テレコム、ドイツテレコム、テレフォニカ、テリア・ソ

ネラ、アドバンスト・インフォ・サービス、シンガポール・テレコムなどのヨーロッパ・

アジア・アフリカ・南米の大企業向け事業も大きく伸長し、2012 年に売上高でエリクソン

を超えて世界最大の通信機器ベンダーとなっている(モバイル・ブロードバンド製品、モ

バイル・ソフトスイッチ、パケットコア製品、光ネットワーク製品では世界シェア 1 位)。

現在 Huaweiは 300近い通信事業者に製品・ソリューションを提供しており、世界トップ 50

13トレント pressサイト:cte.trendexpress.jp/blog/ 閲覧日:2018年 11月 22日。 14BaiduHP:http://wk.baidu.com 閲覧日:2018年 11月 22日。 15董小英・晏夢玲(2018)『Huawei啓示録』:pp1~4

4

1

2

5

3 3

1

2

3

4

5

2015年 2016年 2017年

xiaomihuaweiappleoppovivo

Page 8: 1、1 鄭 雪媛 中国のスマートフォン市場の現状と課題 1、 調査背景 1.1調査概要 今回の調査は、中国のスマートフォン市場の現状。こうした調査の背景は、中国が世界

8

事業者のうち 45 社が Huawei の製品・ソリューションを使用している。スマートフォンに

おいては、出荷台数・シェアともに世界 3 位であり、2017 年は世界シェアでアップルを抜

いて世界 2位になったこともあった。16

毎年、売上高の 10%以上を継続して研究開発に投資するなど、先端技術開発への投資が旺

盛な企業として知られている。2015年時点で、全従業員数の 45%にあたる約 79,000人の従

業員が R&D に従事しており、2015 年の R&D への投資額は合計 596 億 700 万人民元(約 1 兆

1,057億 985 万円)にのぼった。これは、売上高全体の 15.1%にあたり、過去 10年間の R&D

への投資額は、累計で 2,400 億人民元(約 4 兆 4,520 億円)を超えている。2008 年に初め

て国際特許出願件数世界 1 位になると、その後は 5 位以内をキープし続けている。2015 年

12月 31日現在の特許申請数は中国で 52,550件、中国国外で 30,613件となり、特許取得数

はのべ 50,377件にのぼる 17。

Huawei の発展は新たな段階に入ってとして、技術面やビジネス面で進行中のイノベーシ

ョンを通じて、当社は、お客様や社会全体のためにより大きな価値を創出するための力を

手に入れた。この新たな発展段階は、瞬く間に技術の変化が起こる激動の世界の産物であ

る。人間が使う何十億ものデバイスからユビキタスな産業用センサーまで、あらゆるモノ

が感覚と認知力を持つようになれば、物理世界とデジタル世界の境界は消え、大量のデー

タが絶え間なく生成されることになるだろう。人をつなぐことからすべてをつなぐことへ

のこうした移行によって、大規模なデータの解析や応用に新たな可能性が生まれる。世界

中にクラウドデータセンターが広がり、エッジコンピューティングが普及すれば、環境知

能によってデータから新たな商機がもたらされている。これによりあらゆる業界の応用技

術においてイノベーションが後押しされ、企業は潜在能力を余すところなく発揮できるよ

うになる。新たに生まれた技術が世界を前進させ、コンシューマーの好みやビジネスのニ

ーズを変え続けていく。新しい体験やビジネスモデルが身の回りに現れ、それとともに商

機や課題も続々と浮かび上がってくる。

5G は商用展開の段階に入っている。IoT、動画、クラウドなどの革新的な技術は広く採

用され、すべての業界を変えている。まもなく、すべてがつながったインテリジェントな

世界が始まる。世界中の通信事業者が、強みをさらに強化し、絶えず投資構造を最適化し

ながら、新しい事業分野を切り開くことで、デジタル化の波を推進しています。Huaweiはパートナーと協力し、通信事業者が能力、接続、事業、体験、パートナーシップの分野

で従来の限界を超え、事業を成功に導き、すべての産業のデジタル化を実現できるよう支

16wikipediaHP:ja.m.wikipedia.org./wiki/フェーウェイ 閲覧日:2018 年 11月 20日。 17Baidu百科:http://wk.baidu.com閲覧日:2018年 11月 24日。

Page 9: 1、1 鄭 雪媛 中国のスマートフォン市場の現状と課題 1、 調査背景 1.1調査概要 今回の調査は、中国のスマートフォン市場の現状。こうした調査の背景は、中国が世界

9

援することで、ともによりよい未来を創造する。 ■ より多くのネットワーク接続:5G の商用展開を先導する Huawei は、オールクラウド

ネットワークを構築し、クラウドネットワークによるシナジーの強みを活かして、ユビキ

タスで高速、信頼性が高くインテリジェントでアジャイルな接続を人、家庭、組織に提供

する。 ■ より良いビジネスの成長:Huawei は、動画、ホームブロードバンド、個人通信、IoTといった典型的なビジネスシナリオに注力し、効果的なビジネスソリューションで通信事

業者の ROI と収益の向上に貢献する。 ■ より優れたユーザー体験:Huawei のデジタル O&M ソリューションは、アジャイルな

ビジネスとインテリジェントで効率的な業務を可能にします。これにより、通信事業者は

ROADS(Real-time:リアルタイム、On-demand:オンデマンド、All-online:すべてがオンラ

イン、DIY: Do it Yourself、Social:ソーシャル)なユーザー体験を提供できるようになる。 2017 年の通信事業者向けネットワーク事業の売上高は、前年比 2.5%増の 2,978 億 3,800

万人民元(約 5 兆 1,496 億円※)でした。通信事業者の投資サイクルが変動する中、当社

はパートナーやお客様と協力し、投資主導型から価値指導型へとネットワーク構築モデル

を移行し続け、通信事業者の新たな成長を支援している 18。

■ 5G:世界で 30 社を超える主要通信事業者とともに、10以上の都市で 5Gのプレ商用化

トライアルを行いました。 Huawei のネットワークの性能は、国際電気通信連合

(International Telecommunication Union、ITU)が設定した要件を大幅に上回るものだ。

また、ワイヤレス X ラボではグローバルパートナーとともに、個人、家庭、垂直産業を対

象とした将来の典型的な適用シナリオを検討した。当社は業界全体と連携し、5G の開発を

先導し、まもなく始まる 5Gのエンドツーエンドの商用展開に向けて引き続き準備を進んで

いる。

また、Huawei は新しい事業に力を入れている。具体的には、こうした変化の中心となっ

ているのが、シンプルな垂直産業から社会全体を支える幅広いイネーブリングプラットフ

ォームへと成長を遂げた、ICT の革新である。業界のデジタル変革とイ ンテリジェント変

革を推進する最大の力である ICTは、新たな産業革命の促進剤となっている。ICTはいずれ、

すべてがつながったインテリジェントな世界への扉を開くことになる。Huawei は、変化に

対応するだけでなく、 自ら積極的に革新を推し進めることで、その 扉の先へと人々を導

いていく。そして、世界のデジタル化に貢献し、インテリジェント化 に寄与する。同時に、

その過程を通じて新 たな商機をつかんでいく。Huawei は、変化に対応するだけでなく、 自

ら積極的に革新を推し進めることで、その扉の先へと人々を導いていく。そして、世界の

18 HuaweiHP:https://www.huawei.com/jp/press-events 閲覧日:2018年 11月 24日。

Page 10: 1、1 鄭 雪媛 中国のスマートフォン市場の現状と課題 1、 調査背景 1.1調査概要 今回の調査は、中国のスマートフォン市場の現状。こうした調査の背景は、中国が世界

10

デジタル化に貢献し、インテリジェント化 に寄与する。同時に、その過程を通じて新 た

な商機をつかんでいく。成長と変革という新たな挑戦に乗り出す Huawei には、明確なビジ

ョンとミッションがある。それは、あらゆる人、家庭、組織にデジタル化の価値を提供し、

すべてが つながったインテリジェントな世界を実現することである。その実現に向け、お

客様にとってより大きな価値を創出し、パートナーのためによりよいプラットフォームを

構築する。さらに、社員により多くの機会を提供し、世界中のコミュニティでバランスの

とれた成長を促進していく。イノベーションの成果をあらゆる人、家庭、組織に届けられ

るよう、Huawei は努力を続けている。持続可能であると同時に包括的な 経済的成長を促進

するための役割を果たし、社会により実質的な価値をもたらしている。

4 上海と西安における Huawei の現地調査の内容 前述したように、中国の上海は中国の最大市場と最大人口を持っている大都市である。

中国のスマートフォン市場の現状を明らかにするため、上海におけるスマートフォン市場

を調査することが最適である。まず上海の南京路に中心の街で Huawei の本店に調査を行

った。南京路は中国で最大の繁華街である。また、世界で最も賑やかな商店街の一つであ

る。南京路は世界最長のショッピングモールでありおおよび 6KM にも至る。一日に 100万人もの人が訪れるという。また、アップル、サムスン、華為科技の専門販売店と百貨店

の中にある量販店の現地調査を行い、上海におけるスマートフォン市場の現状を把握する

ことができた。

写真 1.上海の南京路にある Huawei 店

出所:2018 年 10月 31日。 筆者が撮影

Page 11: 1、1 鄭 雪媛 中国のスマートフォン市場の現状と課題 1、 調査背景 1.1調査概要 今回の調査は、中国のスマートフォン市場の現状。こうした調査の背景は、中国が世界

11

写真 2.上海の Huawei 店内の様子

出所:2018 年 10月 31日。 筆者が撮影

写真 3.上海南京路の Huawei の広告電子版

出所:2018 年 10月 31日。 筆者が撮影

Page 12: 1、1 鄭 雪媛 中国のスマートフォン市場の現状と課題 1、 調査背景 1.1調査概要 今回の調査は、中国のスマートフォン市場の現状。こうした調査の背景は、中国が世界

12

近年は、西安は中国が国家戦略として進める「一帯一路」(シルクロード経済帯と 21 世

紀海上シルクロード)構想におけるシルクロード経済帯の起点として注目されるなか、2017年 4 月には上海市、広東省、天津市、福建省に続く自由貿易試験区が設置された。政府機

能の転換、外資利用のさらなる向上、金融サービス機能の強化、「一帯一路」沿線国との経

済協力の拡大、人的交流の新モデル構築といった機能を発揮することが期待されている。

西安における Huawei の本店について調査を行った。また、Huawei と立ち並ぶ他のスマー

トフォンメーカーとの競争が激しくなっているとみられる。西安の中心街で中国のスマー

トフォンのメーカー店がいっぱい並んでいる。アップル、サムスンの店もある。だが、ど

ちらの店でもそんなに客様が混んでない。競争が激しいと考える。

写真 4.西安の中心街 Huawei 店と Vivo 店

出所:2018 年 11月 2日。 筆者が撮影

写真 5.西安における量販店の様子

出所:2018 年 11月 3日。 筆者が撮影

Page 13: 1、1 鄭 雪媛 中国のスマートフォン市場の現状と課題 1、 調査背景 1.1調査概要 今回の調査は、中国のスマートフォン市場の現状。こうした調査の背景は、中国が世界

13

写真 6.西安中心街における立ち並びスマートフォンメーカー

出所:2018 年 11月 3日。 筆者が撮影

4.結論

中国の新興メーカーとしての Huawei のシェアを伸ばしている。中国の一位。世界の 2

位。Huawei は低価格で高品質を実現したことで消費者層を広げている。Huawei は売り上

げの過半を国外で稼ぐというグローバル化した企業という中国の海外展開をリードする企

業である。特に、通信設備ではエリクソンやシーメンスを抜いて世界最大である。Huawei

は海外ではブランド力が高く、価格を抑えるとともに、限定販売を行うことで認知度を高

めようとしている。中国の国内でも、人気があり、また、海外もフェンを増やすことであ

る。しかし、現代では、中国でも、世界でも、スマートフォンの競争が激しくなっている。

Huawei は商品展開をすることでブランド力を高め、もっと頑張らないといけないと考えで

ある。

Page 14: 1、1 鄭 雪媛 中国のスマートフォン市場の現状と課題 1、 調査背景 1.1調査概要 今回の調査は、中国のスマートフォン市場の現状。こうした調査の背景は、中国が世界

14

参考文献:

黄志偉(2013)『Huawei 人的資源管理』

陳昱(2018)『Huawei 方法論』

蒋朝安(2018)『Huawei 管理哲学』

董小英・晏夢玲(2018)『Huawei 啓示録』

謝海平(2011)「移動手机的発展軌跡和電脳化趨勢」『硅谷』p18。

南瑄祐(2013)「苹果与三星電子在韓国智能手机市場競争力比較研究」黒龍江大学。

富士キメラ総研「中国におけるスマートフォン市場の概要」