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- 27 - 国別データシート

03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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国別データシート

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国別データシート目次

1. アジア

日本 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

中国(香港を含む) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

韓国 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37

台湾 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41

タイ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 44

マレーシア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 47

インド ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 49

フィリピン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 52

ベトナム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54

オーストラリア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 57

シンガポール ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 59

インドネシア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 61

2. 欧州・中東・アフリカ

欧州(西欧及び東欧 トルコを除く) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 64

中東(トルコを含む) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 66

アフリカ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 70

3. CIS

CIS ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 73

4. 北米・中南米

米国 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 77

カナダ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 87

メキシコ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 89

ブラジル ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 91

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国・地域名:日 本

1. 概況

2016 年の日本経済は、雇用や所得環境の改善が見られる中で、企業の業況感も改善を見

せ、緩やかな回復基調が続いた。しかし、企業の設備投資や個人消費への波及は未だ十分でな

く、物価についても横ばいの状況が続いている。そのような状況下で、GDP 成長率は前年の

0.3%から 1.2%に上昇した。

このような経済状況の中、日本の石油化学産業は、自動車産業における海外生産移転の進

展等の影響を受け内需は低調に推移しているが、設備稼働率の向上、アジアにおける好調な誘

導品需要を背景に、企業業績は好調に推移した。

2016 年のエチレン国内生産量は、前年の 688.3 万トンから 627.9 万トンへ▲8.8%、プロピレ

ンの国内生産量は前年の 572.3 万トンから 522.3 万トンへ▲8.7%、それぞれ減少した。また国

内エチレンプラントの稼働率は、前年に引き続き 97%の高率を記録した。

2. 現状

(1) 需給総括表 (2016年)

(単位:万トン、%)

※エチレン能力は、経済産業省素材産業課による設備能力調査をもとに(定修実施年+定修スキップ年)/

2で算出。

※プロピレン能力は、経済産業省素材産業課による設備能力調査をもとに推計。

※内需は四捨五入等の関係から数式と合致しないことがある。

(2) 石化産業の 近の動き

2016 年の日本の石油化学産業は、プラントの停止があったことや、アジアにおける誘導品需要

が好調であったこと、ナフサとエチレンの価格差が拡大していること等から、エチレンプラントの稼

働率は 97%とフル稼働近くまで上がった。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 649 628 14 70 572 2% 11% 56 97% 三井化学 他LD 223 172 29 28 173 17% 16% ▲ 1 77% 日本ポリエチレン 他HD 114 83 13 15 81 16% 18% 2 72% 日本ポリエチレン 他SM 195 195 0 54 141 0% 28% 54 100% 旭化成EG 82 63 1 27 37 3% 43% 26 77% 三菱ケミカル 他

PVC 193 165 0 58 107 0% 35% 58 86% 太洋塩ビ 他その他 142 101 4 13 92 4% 13% 9 71%

計AS C2 687 537 43 106 474 9% 20% 63 78%プロピ 596 522 11 94 439 3% 18% 83 88% 三菱ケミカル 他PP 287 247 22 16 253 9% 6% ▲ 6 86% 日本ポリプロ 他AN 50 42 3 1 44 7% 2% ▲ 2 85% 旭化成

その他 170 140 11 17 134 8% 12% 6 82%  計AS C3 520 439 26 18 448 6% 4% ▲ 8 84%ベンゼン 567 407 6 89 324 2% 22% 83 72% JXTGエネルギートルエン 261 199 1 60 140 1% 30% 59 76% JXTGエネルギーキシレン 849 669 0 200 469 0% 30% 200 79% JXTGエネルギーPX 368 329 5 301 33 15% 92% 296 89% JXTGエネルギー

PTA 65 49 13 4 58 22% 8% ▲ 9 75% 三井化学

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内需は、エチレン換算需要はほぼ横ばい、プロピレン換算需要では 3%増となったが、長期的に

は減少トレンドにある。

・ ポリエチレンは、2012 年以降生産能力の減少が続いているが、生産量は 260 万トン前後で

推移している。

・ PP の国内需要は、2011 年以降着実に増加しており、2015 年に 250 万トンを超えた。輸入

に関しては、円高の影響で 2012 年に 30.8 万トンに達した後、2013 年 25 万トン、2014 年

26.7 万トン、2015 年 19.8 万トンと減少しており、円安の影響で国産レジンとの価格差が縮

小した影響と考えられる。一方、輸出については 2012 年以降 20 万トン弱の水準で推移して

おり、海外市況が低調で円安環境下でも輸出で採算が取れる状況ではないため、今後も数

万トン規模での輸入超過の状況が続くと見られる。

3. 将来見通し

需給総括表 (2022年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 0.9%)

主な新増設、停止計画と検討状況

エチレン : 住友化学(千葉) 40 万トン停止(2015 年 5 月)

エチレン : 旭化成(水島) 47.4 万トン停止(2016 年 2 月)

ポリエチレン : 日本ポリエチレン(鹿島) 9 万トン停止(2015 年 3 月)

ポリプロピレン: 日本ポリプロピレン(千葉) 11.6 万トン停止(2017 年 3 月)

ポリプロピレン: 日本ポリプロピレン(千葉) 15 万トン新設(2019 年 10 月)

スチレン : 住友化学(千葉) 41.2 万トン停止(2015 年 5 月)

スチレン : 旭化成(水島) 32 万トン停止(2016 年 3 月)

PVC : 新第一塩ビ(千葉) 8 万トン停止(2015 年 9 月)

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 650 618 13 58 573 2% 9% 45 95% 三井化学 他LD 223 167 35 23 179 20% 14% ▲ 12 75% 日本ポリエチレン 他HD 114 81 22 13 90 24% 16% ▲ 9 71% 日本ポリエチレン 他SM 195 184 0 35 149 0% 19% 35 94% 旭化成EG 82 59 1 26 34 3% 44% 25 72% 三菱ケミカル 他

PVC 193 166 0 65 101 0% 39% 65 86% 太洋塩ビ 他その他 142 109 7 23 93 8% 21% 16 77%

計AS C2 687 533 58 96 495 12% 18% 38 78%プロピ 578 526 10 60 476 2% 11% 50 91% 三菱ケミカル 他PP 291 258 36 13 281 13% 5% ▲ 23 89% 日本ポリプロ 他AN 50 45 2 3 44 5% 7% 1 91% 旭化成

その他 170 161 8 20 149 5% 12% 12 95%  計AS C3 524 476 39 17 498 8% 4% ▲ 23 91%ベンゼン 567 440 15 80 375 4% 18% 65 78% JXTGエネルギートルエン 261 210 1 65 146 1% 31% 64 81% JXTGエネルギーキシレン 849 680 0 190 490 0% 28% 190 80% JXTGエネルギーPX 368 337 5 311 31 16% 92% 306 92% JXTGエネルギー

PTA 65 49 6 1 54 11% 2% ▲ 5 75% 三井化学

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PTA : 水島アロマ(水島) 25 万トン停止(2015 年 3 月)

芳香族 : 新増設計画は予定されていない

需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

・ LDPE は、2016 年以降、国内景気回復により、総内需は堅調に推移すること予想される。

・ HDPE は、2018 年以降は海外でのシェールガス由来や石炭由来の石化製品の生産増に伴

い、輸出量の減少が続くと予想される。

・ PS は、需要に関して、それまでの減少傾向から反転し、微増傾向にある。乳酸菌飲料

向けの需要が好調であること、近年、外食が減り、弁当などを買って家で食べること

により弁当容器などの食品包装用途向けが伸びていることが要因。しかし、長期的に

は住宅着工件数の減少を背景とした建材向け用途の減少や他の素材との競争により、

需要は緩やかに減少すると予想される。

・ PVC は、需要が公共工事及び住宅着工との相関が高いこともあり、実質 GDP 成長率の伸

びと同程度の需要を想定する。輸出については、インド、ベトナム、マレーシア向けを中心に

増加し、今後も同水準の輸出が期待される。生産能力の新増設は予定されていない。生産

については、今後ほぼ横ばいで推移すると思われる。

・ AN は、国内需要は 2015 年度には回復したものの、その後は減少傾向が続くと見込まれる。

今後、生産量は微増が図られると予測される。

・ 芳香族の生産設備については、新増設の予定はなく、現状の生産能力、稼働率が継続され

る予定である。輸出については、BTX ともに 2018 年以降も 2017 年レベル(B:80 万トン、

T:65 万トン、X:190 万トン)の水準で推移する見込みである。

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国・地域名:中 国(香港を含む)

1. 概況

中国経済は、リーマンショック後の景気対策を背景に 2010 年に実質 GDP 成長率が前年比

10.6%と高い伸びを記録した後、緩やかな減速が続くが、2015 年以降は、中国政府が経済成

長の「質」を重視し、消費主導型の経済成長への転換を目指す中で、成長率は 6%台後半で安

定して推移している。

2016 年の成長率は前年比 6.7%と、2015 年の同 6.9%から伸びは低下したものの、政府の

経済成長目標率である同 6.5~7.0%を達成した。

経済成長の「質」を見ると、名目 GDP に占める 終消費支出の割合は、2010 年の 48.5%か

ら 2016 年は 53.6%まで上昇した。産業別実質 GDP 成長率を見ても、第一次産業は前年比

3.3%(2015 年同 3.9%)、第二次産業は同 6.3%(同 6.2%)、第三次産業は同 7.7%(同 8.2%)

と第三次産業は第二次産業を上回る高い成長率が続いている。その結果、名目 GDP の規模は

11.2 兆ドルと 2010 年の 2 倍弱の規模まで拡大した。

なお、2017 年の成長率は前年比 6.9%となり、安定成長が継続している。

このように、第三次産業に支えられた消費主導型へ中国経済の構造転換が緩やかに進む中

で、石化産業も安定した成長を続けている。

2.現状

(1)需給総括表(2016年)

(単位:万トン、%)

(2)石化産業の 近の動き

中国の 2016 年のエチレン生産量は 2,129 万トン(2015 年 1,935 万トン)、前年比 10.3%と

増加した。生産能力の増加率は 4.5%(2015 年 7.5%)であった。更にエチレンの輸入は 166 万

トン、前年比 8.9%と増加した。

ポリエチレン生産量は 1564 万トン(2015 年 1416 万トン)で前年比 10.5%と増加した。樹脂

別では HDPE が 629 万トン(2015 年 590 万トン)、前年比 6.6%と増加、LDPE(LLDPE 含む)

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 2,269 2,129 166 1 2,294 7% 0% ▲ 165 94% SINOPEC、PETROCHINA他LD 987 935 488 33 1,390 35% 4% ▲ 455 95% SINOPEC、PETROCHINA他HD 720 629 550 37 1,142 48% 6% ▲ 513 87% SINOPEC、PETROCHINA他SM 747 593 367 0 960 38% 0% ▲ 367 79% SINOPEC、PETROCHINA他EG 785 590 762 0 1,352 56% 0% ▲ 762 75% SINOPEC、PETROCHINA他

PVC 2,864 1,645 93 116 1,622 6% 7% 23 57% SHANGHAI CHLORO-ALKALI他その他 141 120 0 0 120 0% 0% 0 85%

計AS C2 2,827 2,294 1,707 129 3,872 44% 6% ▲ 1,578 81% SINOPEC、PETROCHINA他プロピ 2,871 2,558 290 0 2,849 10% 0% ▲ 290 89% SINOPEC、PETROCHINA他PP 2,112 2,090 473 29 2,534 19% 1% ▲ 444 99% SINOPEC、PETROCHINA他AN 191 180 31 0 210 15% 0% ▲ 30 94% SINOPEC、PETROCHINA他

その他 625 500 0 0 500 0% 0% 0 80% SINOPEC、PETROCHINA他計AS C3 3,008 2,849 520 30 3,339 16% 1% ▲ 490 95%ベンゼン 1,638 1,079 157 5 1,231 13% 1% ▲ 152 66% SINOPEC、PETROCHINA他トルエン 1,518 637 77 1 713 11% 0% ▲ 76 42% SINOPEC、PETROCHINA他キシレン 2,198 1,129 40 0 1,169 3% 0% ▲ 40 51% SINOPEC、PETROCHINA他PX 1,171 969 1,236 5 2,200 56% 1% ▲ 1,231 83% SINOPEC、PETROCHINA他

PTA 3,756 3,236 50 68 3,218 2% 2% 18 86% SINOPEC、PETROCHINA他

Page 8: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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が 935 万トン(2015 年 826 万トン)前年比 13.2%と大幅に増加した。

PP の生産量は 2090 万トン(2015 年 1811 万トン)と前年比 15.4%と大幅に増加、PVC は

1645 万トン(2015 年 1607 万トン)前年比 2.4%と微増であった。

ポリエチレンの輸入量は 1,038 万トン、前年比 0.7%と増加した。樹脂別輸入量では、HDPE

が 550 万トン、前年比 2.7%と増加した。LDPE(LLDPE 含む)は 488 万トン、同▲1.5%と微減で

あった。一方、PP の輸入は 473 万トン、同▲5.9%と減少した。

PS の輸入は 76 万トン、同▲11.7%、ABS は 224 万トン、同 1.5%であった。その他 PVC の

輸入は 93 万トン、同▲1.8%と僅かながら減少した。中国では PVC の輸入は毎年減少傾向、一

方輸出は 2014 年 122 万トン(24 万トンの出超)、2015 年 87 万トン(8 万トンの入超)、2016 年

116 万トン(93 万トンの出超)となっている。

PVC は能力的には 2,864 万トン程度あり、内需は約 1,600 万トン程度、生産も約 1,600 万ト

ンレベルで、国内需要を満たすレベルとなっており、年々輸出量が増加する傾向にある。

全般的に内製化が進む商品については輸入の減少が著しくなっている。特にこの 2~3 年に

国内の設備が急激に進行した商品、カプロラクタム、フェノール、PTA 等はその典型である。

一方、構造的な問題では、ベンゼン、パラキシレン等は引き続き輸入の拡大が続いている。中

国の場合、消費者が自ら原料の自己調達をするために石化分野に進出するケースが当り前の

ように多い。PTA の新増設はその多くは繊維メーカーが石化に進出しており、その原料は国内又

は輸入に依存するということである。これが過剰設備を産み出した要因の一つともなっている。た

だ、全般的に中国の石化産業は様々な点で転機を迎えていると言える。

中 国 で は 、 CTP(Coal to Propylene) 、 MTP(Methanol to Propylene) 、 PDH(Propane

Dehydrogenation)等プロピレンを目的に製造する新設備が急増しており、殆どの設備では誘導

品として PP の併設が行われている。

また、CTO(Coal to olefin)、CTP は石炭の産地に近いところで建設されるが、生産物はエチレ

ン、プロピレンのみであり、他の原料が生産されない為、誘導品として PE 及び PP に集中してい

る。その為 PP の生産が引き上げられ、自給率が上がっている。原油は下がったが石炭系の経

済性は十分あり比較的高い。また、これとは別に石炭からオレフィンを経由せず DMO(シュウ酸

ジメチル:Dimethyl oxalate)から MEG(モノエチレングリコール:MONO Ethylene Glycol)を生

産するプロセスがあり MEG の能力の約 25%を占めている。

既に設備過剰状態となった PTA は需要の鈍化もあり、中国だけであるが輸入量は 50 万トン、

前年比▲33.2%と 2015 年に続き大幅減少となった。内製化は既に完了しており、輸出ポジショ

ンになっており、2016 年で 68 万トン、18 万トンの出超となっている。生産量は 3,236 万トン、前

年比 5.8%の増加であった。一方、不足している原料 PX の輸入量は 1,236 万トン、前年比 6.1%

と増勢が続いている。

Page 9: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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3.将来見通し

(1)需給総括表(2022年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 6.5%)

(2)エチレン及びプロピレンの主な新増設計画と検討状況

原油価格の値下がりにより、中国の石炭系プロジェクトにも影響が見られている。原油高値時

においてナフサ等石油系原料の計画については大幅に後退しており、既に建設段階に入ってい

るプロジェクトを除いては新たな計画は進行しておらず、石炭系プロジェクトに重点が置かれてい

た。しかし、原油価格の暴落により、石炭系エチレンの優位性が大幅に低下、更に様々な環境問

題も誘発し、大幅な見直しを余儀なくされた。

第 13 次 5 ヵ年計画(135 計画)でも石炭化学は推進項目の一つではあるが、環境問題(特に

大気、水)に十分配慮することが義務付けされている。その為、投資額が多大となり中小企業の

小規模設備は実質的に不可能であり、場所も限定されている。具体的には寧東エネルギー化工

基地を初め、内モンゴル自治区、陜西省、新彊ウィグル自治区等、4 大重点石炭化学基地が指

定・推進されている。

一方、これまで凍結状態であったナフサ分解設備は、135 計画で次期統合型エチレンコンビナ

ートとして 2020 年を目途に湾岸地区、北は大連から南は恵州まで7つの地域に集約、原料の多

様化、環境問題、エネルギー循環型も含めた、新規エチレンプラントの構想が打ち出されている。

これら地域には、大連、古雷のような新たな石油化学基地と、上海、寧波、恵州等の既存基地

の拡充等も含まれている。また、これら基地には既存 100 以上の化学品工業団地を集約するこ

とにより、生産効率を上げ、コスト削減を計ることも含まれている。

プロパン脱水素によるプロピレンの計画(PDH)が積極的に進められている。原油価格の値下

がりとシェールガスを含む天然ガスの開発が進む中、LPG の需給も緩み、市況も弱含み推移が

予想され、中国国内の製品市況は原料の値下がりに比べ小幅に留まっていることから、PDH の

採算性に問題がないという判断で、急速にプロジェクトが進行している。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 3,190 2,970 150 0 3,120 5% 0% ▲ 150 93% SINOPEC、PETROCHINA他LD 1,222 1,211 782 20 1,973 40% 2% ▲ 762 99% SINOPEC、PETROCHINA他HD 947 903 734 21 1,616 45% 2% ▲ 713 95% SINOPEC、PETROCHINA他SM 1,263 891 461 0 1,352 34% 0% ▲ 461 71% SINOPEC、PETROCHINA他EG 1,067 847 1,102 0 1,949 57% 0% ▲ 1,102 79% SINOPEC、PETROCHINA他

PVC 3,042 2,362 80 361 2,082 4% 15% 281 78% SHANGHAI CHLORO-ALKALI他その他 176 150 0 0 150 0% 0% 0 85%

計AS C2 3,663 3,088 2,431 222 5,297 46% 7% ▲ 2,209 84% SINOPEC、PETROCHINA他プロピ 4,445 3,786 273 0 4,059 7% 0% ▲ 273 85% SINOPEC、PETROCHINA他PP 3,161 3,104 357 1 3,460 10% 0% ▲ 356 98% SINOPEC、PETROCHINA他AN 249 240 28 0 268 11% 0% ▲ 28 97% SINOPEC、PETROCHINA他

その他 750 600 0 0 600 0% 0% 0 80% SINOPEC、PETROCHINA他計AS C3 4,277 4,059 398 1 4,456 9% 0% ▲ 397 95%ベンゼン 2,499 1,571 274 0 1,845 15% 0% ▲ 274 63% SINOPEC、PETROCHINA他トルエン 2,288 815 274 0 1,089 25% 0% ▲ 274 36% SINOPEC、PETROCHINA他キシレン 3,906 1,420 82 0 1,502 5% 0% ▲ 82 36% SINOPEC、PETROCHINA他PX 2,553 1,277 1,550 0 2,826 55% 0% ▲ 1,550 50% SINOPEC、PETROCHINA他

PTA 5,646 4,218 0 50 4,168 0% 1% 50 75% SINOPEC、PETROCHINA他

Page 10: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

- 36 -

ナフサクラッカープロジェクト

CTO/MTO プロジェクト

(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

需給予測にあたっては政府系発表資料では石炭系の数量が加味されない為、ICIS 社発行

の数値を参照した。石炭からの EG プラントの増加はエチレン消費対象にならないため、推定生

産量見合いのエチレン相当量をエチレンの消費量から差し引いた結果を示した。

PVC については約 80%がアセチレン系でエチレンは消費しないという前提にしている。

Page 11: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

- 37 -

国・地域名:韓 国

1.概況

2016 年の韓国の実質 GDP 成長率は 2.8%となり、2 年連続で 3%割れを記録した。韓国は

GDP に占める輸出額の割合が高いが、輸出額は 2013、2014 年の 2 年連続で過去 高を更新

した後、2015 年は前年比▲8.0%と減少に転じ、2016 年は更に▲5.9%と減少して 4,954 億ドル

となった。2 年連続の輸出額減少は 1958 年以来のことである。中国への輸出(香港含む)が輸出

全体に占める割合は 31.7%あり、中国経済の好不況や産業構造、需給バランス等の影響を非常

に受けやすい体質である。

化学工業製品の輸出は輸出全体の 12.1%を占め、601 億ドル(前年比 0.5%)で微増だが、こ

のうち石油化学製品は 362 億ドル(同▲4.3%)と減少した。化学工業製品の輸入額も 449 億ドル

(同▲2.4%)と減少した。

2.現状

(1)需給総括表(2016年)

(単位:万トン、%)

(2)石化産業の 近の動き

【オレフィンと誘導品】

・エチレン :

2016 年は設備能力に変化は無かった。

生産は 852 万トン(前年比 2.9%)で、主に LDPE、SM、VCM 等の生産増加に伴い、内需

は 791 万トンと過去 高を更新した。アジアでの需給がタイト基調である中で、輸出は 76 万ト

ン(同 19.0%)と大幅に増加した。

誘導品のうち、SM の内需は 255 万トン(同 4.8%)と増加。これは ABS 樹脂の増設(LG 化

学 15 万トン)等の影響によると思われる。一方、EG は輸出が主要輸出先である中国向けが

減少したため、48 万トン(同▲18.1%)と大幅に減少した。

・プロピレン :

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 854 852 15 76 791 2% 9% 61 100% ロッテケミカル、ハンファトタル、LG化学LD 288 270 12 153 129 9% 57% 141 94% ハンファ石化、LG化学、ハンファトタルHD 239 213 5 111 107 5% 52% 106 89% ロッテケミカル、大韓油化、LG化学SM 331 304 81 130 255 32% 43% 49 92% ハンファトタル、ロッテSM、LG化学EG 161 122 27 48 101 27% 39% 21 76% ロッテケミカル、大韓油化、LG化学

PVC 151 155 14 57 112 13% 37% 43 102% LG化学、ハンファ石化その他 50 50 0 0 50 0% 0% 0 100%

計AS C2 857 783 65 363 485 13% 46% 298 91%プロピレン 825 802 26 169 659 4% 21% 143 97% ロッテケミカル、LG化学、麗川NCC

PP 429 409 3 255 157 2% 62% 252 95% ロッテケミカル、ハンファトタル、ポリミレイAN 85 68 13 24 57 23% 35% 11 80% 東西石化、泰光産業

その他 140 140 0 0 140 0% 0% 0 100%計AS C3 674 636 17 289 364 5% 45% 272 94%ベンゼン 649 609 9 210 408 2% 34% 201 94% ハンファトタル、SKグローバル、GSカルテックストルエン 281 172 56 53 175 32% 31% ▲ 3 61% SKグローバル、GSカルテックス、エスオイルキシレン 516 306 183 102 387 47% 33% ▲ 81 59% SKグローバル、GSカルテックス、現代ケミカルPX 994 948 4 643 309 1% 68% 639 95% ハンファトタル、GSカルテックス、エスオイル

PTA 506 445 0 178 267 0% 40% 178 88% ハンファ総合化学、三南石化、泰光産業

Page 12: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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2016 年は年初に SK アドバンス社の PDH 設備(60 万トン/年)が立ち上がった。

内需は PP や AN 向けに増加、中国向けを中心とした輸出が 169 万トン(前年比 34.1%)

と大幅に増加した。

AN は ABS 樹脂の増設による需要増、およびアクリル繊維の生産増に伴い、生産は 68 万

トン(同 5.1%)、輸入 13 万トン(同 23.8%)、内需 57 万トン(同 12.5%)と大きく増加した。

【合成樹脂】

・LDPE(LLDPE)/HDPE/PP/PS/PVC :

2016 年は設備能力に変化は無かった。

樹脂 5 種の生産は 1,155 万トン(前年比 1.3%)、輸出 626 万トン(同▲2.2%)および内需

567 万トン(同 7.4%)であった。内需は何れの樹脂も増加し、中でも建築用を中心として PVC

(同 14.1%)、PS(同 10.1%)の増加が目立った。

【合繊原料】

・PTA :

ロッテケミカルが 95 万トンのうち、30 万トンラインを PIA(高純度イソフタル酸)設備に転換

したため、生産能力は 506 万トンへ減少した。

中国、インドの内製化と世界的な供給過剰の影響で、引き続き苦戦、生産は 445 万トン(前

年比▲7.7%)、輸出も 231 万トンから 178 万トンへ(同▲22.9%)大幅に減少した。一方、内

需はポリエステル繊維の生産増に伴い、若干の増加となった。

【BTX ほか】

・BTX :

ベンゼンは 2016 年 10 月に現代ケミカルが 340 千トンを増設。SM やフェノール(30 万トン

増設)向けを主として内需が増加(前年比 18.3%)した。

キシレンは 2016 年 11 月に現代ケミカルの 120 万トンプラントが立ち上がり、生産は 306

万トン(同 13.7%)と増加した。内需は PX 向けを中心として大幅に増加し 387 万トン(同 8.6%)

であった。

・PX :

2016 年は設備能力に変化は無かった。

生産は 948 万トン(前年比 7.5%)へ増加。輸出は 643 万トン(同 8.9%)で、輸出比率は

67.8%に上る。

Page 13: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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3.将来見通し

(1)需給総括表(2022年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 2.5%)

(2)主な新増設計画と検討状況

(単位:万トン)

製品名 2017~2022 年 時期未発表計画

エチレン 197 108

PE 113 50

SM 50

VCM 10

EDC 10

プロピレン 117 90

PP 50

PX 20 100

その他:

① PS は LG 化学が 5.5 万トンを ABS 設備に転換予定。

② PTA はロッテケミカルが既存 65 万トンラインを 2019 年までに PIA 併産設備に転換予

定。PTA としての生産能力は残るが、実質生産されなくなる可能性が大きい。

(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

【オレフィン、ポリオレフィン】

エチレン、プロピレンともに増設があるが、現時点においてはその規模に見合うだけの

誘導品の新増設が発表されていないため、輸出ポジションの拡大が予想される。

ポリオレフィンも増設計画はあるものの、内需の今後の飛躍的な伸長はなさそうであり、

輸出ポジションが更に拡大すると思われる。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 1,051 1,000 10 110 900 1% 11% 100 95% ロッテケミカル、ハンファトタル、LG化学LD 361 330 5 187 148 3% 57% 182 91% ハンファ石化、LG化学、ハンファトタルHD 279 240 5 118 127 4% 49% 113 86% ロッテケミカル、大韓油化、LG化学SM 331 305 80 85 300 27% 28% 5 92% ハンファトタル、ロッテSM、LG化学EG 161 120 30 45 105 29% 38% 15 75% ロッテケミカル、大韓油化、LG化学

PVC 151 150 10 48 112 9% 32% 38 99% LG化学、ハンファ石化その他 100 90 0 20 70 0% 22% 20 90%

計AS C2 1,021 906 58 384 579 10% 42% 326 89%プロピ 959 900 10 210 700 1% 23% 200 94% ロッテケミカル、LG化学、麗川NCCPP 479 450 3 274 179 2% 61% 271 94% ロッテケミカル、ハンファトタル、ポリミレイAN 85 75 15 20 70 21% 27% 5 88% 東西石化、泰光産業

その他 165 140 0 0 140 0% 0% 0 85%計AS C3 751 685 19 304 401 5% 44% 285 91%ベンゼン 649 620 5 225 400 1% 36% 220 96% ハンファトタル、SKグローバル、GSカルテックストルエン 281 180 50 50 180 28% 28% 0 64% SKグローバル、GSカルテックス、エスオイルキシレン 516 450 100 150 400 25% 33% 50 87% SKグローバル、GSカルテックス、現代ケミカルPX 1,014 970 1 681 290 0% 70% 680 96% ハンファトタル、GSカルテックス、エスオイル

PTA 506 350 0 95 255 0% 27% 95 69% ハンファ総合化学、三南石化、泰光産業

Page 14: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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【合繊原料】

三大合成繊維の新増設計画はなく、 過年度における生産は年度によるばらつきはあるが、お

おむね横ばいに推移していると言える中で、合繊原料の内需の大幅な拡大は期待できない。

・PTA :

中国からの輸出増加にインドが加わり、その影響が一段と強まることが予想される。

・EG :

輸出のほぼすべてが中国向けであるが、インドの輸入も増えており、当面は堅調に推移す

ると思われる。

・AN :

合繊原料用途に加え、ABS 樹脂原料としての需要が伸長、また中国向け輸出増が見込ま

れる。

【BTX】

特にキシレンは PX の増設および PIA 向けメタキシレン需要により、内需は堅調に推移すると

思われる。

PX は増設とともに、輸出量は今後も増加すると予想するが、ほぼ中国向けであり、中国への

依存度が極めて高い。

Page 15: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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国・地域名:台 湾

1.概況

2016 年の実質 GDP 成長率は 1.5%であり、前年度の 0.7%からは持ち直したが依然低い水

準と言える。台湾は GDP に占める輸出の割合が 6 割以上と高いが、輸出額が前年度に続いて

減少したことも成長率鈍化の要因と見る。

輸出額は 2,803 億ドル(前年比▲1.8 %)、輸入は 2,306 億ドル(同▲2.8%)で、何れも減少

した。輸出のうち、中国向け(香港含む)が全体の 40.1%を占めており、中国に大きく依存している

体質と言える。化学品(化学工業品、プラスチック、ゴム)の輸出は 371 億ドル(同▲5.7%)で、輸

出全体に占める割合は 13.2%と、ほぼ前年同様であった。

2.現状

(1)需給総括表(2016年)

(単位:万トン、%)

(2)石化産業の 近の動き

【オレフィンと誘導品】

・エチレン :

2016 年は設備能力に変化は無かった。

生産は一部ナフサクラッカーでトラブルがあったことから、419 万トンと前年比で約 1%減少し

た。

一方、多くの誘導品では生産が微増したため、内需は 425 万トンと過去 高を更新、不足分

は輸入(30 万トン 前年比 42.7%)で補われた。誘導品では SM は堅調に推移したが、EG は中

国向け輸出が振るわず 134 万トン(同▲5.4%)と減少したものの、内需が 121 万トン(同 9.2%)

へ増加した。

・プロピレン :

生産は 342 万トンで過去 高を更新した。主に PP の生産増(122 万トン 前年比 7.9%)に伴

い、プロピレンの内需は 286 万トン(同 4.9%)と増加した。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 401 419 30 24 425 7% 6% ▲ 6 105% 台湾中油、台塑石化

LD 88 67 28 49 46 60% 73% 21 77% 台湾プラスチック、USIHD 67 60 7 34 33 21% 57% 27 89% 台湾プラスチック、USISM 203 212 29 52 189 15% 25% 23 104% 台湾化学繊維、国喬石化

EG 230 236 19 134 121 16% 57% 115 103% 南亜プラスチック、中国人造繊維

PVC 183 164 3 115 52 6% 70% 112 90% 台湾プラスチック、華夏プラスチック

その他 32 13 0 0 13 0% 0% 0 40%計AS C2 489 440 57 244 252 23% 56% 187 90%

プロピ 360 342 18 74 286 6% 22% 56 95% 台湾中油、台塑石化

PP 140 122 20 79 63 32% 65% 59 87% 台湾化学繊維、台湾プラスチック

AN 52 47 9 19 37 24% 40% 10 90% 台湾プラスチック、中国石化その他 122 113 0 0 113 0% 0% 0 92%

計AS C3 323 289 30 102 218 14% 35% 72 90%ベンゼン 198 170 79 0 249 32% 0% ▲ 79 86% 台湾中油、台湾化学繊維

トルエン 35 28 11 24 15 74% 86% 13 81% 台湾中油、台湾化学繊維

キシレン 276 194 122 145 171 72% 75% 23 70% 台湾中油、台湾化学繊維

PX 172 170 116 138 148 78% 81% 22 99% 台湾化学繊維

PTA 300 262 0 20 242 0% 8% 20 87% 台湾化学繊維、亜東石化

Page 16: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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【合成樹脂】

・LDPE(LLDPE)/HDPE/PP/PS/PVC :

合成樹脂の中では台湾化繊が 2016 年末にデボトル増強で PP の生産能力が 9 万トン増加し

た。その他樹脂の設備能力には変化は無かった。

5 樹脂の生産は 491 万トン(同 3.8%)、輸出は 349 万トン(同 3.5%)、内需 199 万トン(同

1.6%)と何れも増加した。

何れも輸出依存度が極めて高く、合計で 71.1%、個別の樹脂ごとにみると LDPE(LLDPE)が

72.8%、以下 HDPE が 57.0%、PP が 64.9%、PS が 94.1%、PVC が 70.1%となっている。

【合繊原料】

・PTA :

生産は 262 万トンで前年度とほぼ同じ。輸出は 20 万トンで若干増加したが、内需見合いの生

産基調に落着いている。

・AN:

生産、内需ともに前年とほぼ同じ水準であった。

【BTX】

何れも前年比で生産は減少となった。(ベンゼン 174 万トン→170 万トン、トルエン 34

万トン→28 万トン、キシレン 216 万トン→194 万トン)

ベンゼンは生産トラブルによる影響、トルエンは輸出減少、キシレンは PX の需要低迷

(169 万トン→148 万トン)に起因するものと思われる。

3.将来見通し

(1)需給総括表(2022年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 1.0%)

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 401 420 35 20 435 8% 5% ▲ 15 105% 台湾中油、台塑石化

LD 88 67 30 50 47 64% 75% 20 76% 台湾プラスチック、USIHD 67 60 10 35 35 29% 58% 25 90% 台湾プラスチック、USISM 203 200 45 50 195 23% 25% 5 99% 台湾化学繊維、国喬石化

EG 230 230 15 125 120 13% 54% 110 100% 南亜プラスチック、中国人造繊維

PVC 183 165 5 117 53 9% 71% 112 90% 台湾プラスチック、華夏プラスチック

その他 40 15 0 0 15 0% 0% 0 38%計AS C2 498 435 65 241 260 25% 55% 176 88%

プロピ 360 345 20 75 290 7% 22% 55 96% 台湾中油、台塑石化

PP 140 125 20 80 65 31% 64% 60 89% 台湾化学繊維、台湾プラスチック

AN 52 48 10 19 39 26% 40% 9 91% 台湾プラスチック、中国石化その他 122 110 0 0 110 0% 0% 0 90%

計AS C3 323 291 32 103 219 14% 35% 72 90%ベンゼン 198 175 75 5 245 31% 3% ▲ 70 88% 台湾中油、台湾化学繊維

トルエン 35 28 10 23 15 67% 82% 13 81% 台湾中油、台湾化学繊維

キシレン 276 200 100 130 170 59% 65% 30 72% 台湾中油、台湾化学繊維

PX 172 170 160 130 200 80% 76% ▲ 30 99% 台湾化学繊維

PTA 390 300 0 55 245 0% 18% 55 77% 台湾化学繊維、亜東石化

Page 17: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

- 43 -

(2)主な新増設計画と検討状況:

亜東石化の PTA 新設プラント 150 万トンが 2017 年 11 月末に立ち上がるとともに、既存 60

万トン設備が停止し、実質 90 万トンの能力増となる。

環境規制の厳格化や電力政策を主な背景として、川上に新増設計画はあっても計画段階か

らの進展がみられない。従って川下の誘導品も拡張できない状況。

また、内需の成長は今後もさほど期待出来ず、これらの要因は石化企業にとって台湾での事

業の拡大が困難であることを意味し、既に始まっている海外への進出が更に加速化するものと

思われる。

(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

【オレフィン、合成樹脂】

エチレン生産は 2014 年以降、公称能力を上回る量が生産されている。

ポリオレフィンおよび PS、PVC は輸出が内需を圧倒的に上回っており、なかでも中国向けの

比重が高い。内需は何れの樹脂も微増或いは頭打ちの傾向にあるとも言え、高い輸出依存度

を維持する必要がある。

【BTX】

ベンゼンは入超状態が続いており、この構造は今後も大きな変化はないと思われる。

トルエン、キシレンには大きな変化がない見込み。

PX は PTA の増設に伴い、輸入ポジションとなる可能性もある。

【合繊原料】

PTA は前述通り、亜東石化の新設によって 2017 年以降の生産能力は 90 万トン増加する。

台湾域内市場において PTA3 社間のシェア争いが熾烈化する事は必死である。

ポリエステル繊維は生産・内需ともに横ばいで推移しており増設の計画も無く、余剰 PTA は

輸出に回さざるを得なくなると考える。

Page 18: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

- 44 -

国・地域名:タイ

1.概況

2006 年以降、タイ経済は政治不安の長期化のなかで低迷し、2006 年~2015 年の実質 GDP

平均成長率は 3.4%で ASEAN10ヶ国の中で も低い。これはいずれの政権も短命であることに

影響を受けており、このような中で 2014 年の軍事クーデターで発足したプラユット暫定政権による

政治運営が続いている。民政移管のための新憲法は 2017 年 4 月に公布・施行されたが、これ基

づく総選挙は 2018 年 8 月以降になる見通しで、それまではプラユット暫定政権が政治運営を続

けて行くことになる。

2017 年の経済は前年の自然災害や国王崩御による落ち込みから回復し、実質 GDP 成長率

は 3.7%。タイの主要な貿易相手国である米国、欧州、日本、ASEAN の主要国経済が順調に伸

びていることもあり、世界経済の段階的回復に連動するようにタイの輸出も増加し、2017 年の通

年の輸出伸び率も過去 高を示す見通しとなっている。

また、低失業率、低位安定している物価上昇等、タイ経済のファンダメンタルズも安定しており、

タイ経済は緩やかに成長すると思われ、2018 年の成長率は 3.5%程度と予想されている。

一方で国の競争力という視点では、低出生率に起因する人口動態の変化への対応という課題

を抱えている。タイは高等教育をはじめとする人材育成面や技術面の評価が他国と比べて相対

的に低いことが指摘されており、今後も安定的な成長を続けるためには教育や研究開発への積

極的な投資が望まれる。

2.現状

(1)需給総括表(2016年)

(単位:万トン、%)

(注:AN はプロパン法のため、その分のプロピレンバランスが合わない)

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 451 403 9 2 410 2% 1% ▲ 7 89% PTT, ROC, MOCLD 217 150 23 81 92 25% 54% 58 69% IRPC, PTT, TPE, SIAMHD 191 181 15 113 83 18% 62% 98 95% IRPC, PTT, TPE, BPESM 58 44 9 1 52 17% 3% ▲ 8 76% IRPC, SIAM SMEG 42 37 14 2 49 28% 6% ▲ 12 89% TOC

PVC 85 76 15 31 60 25% 41% 16 89% TPC, VINYTHAIその他 0 0 0 0 0 - - 0 -

計AS C2 498 410 57 213 253 22% 52% 157 82%プロピ 286 242 0 21 221 0% 9% 21 84% IRPC, PTT, ROC, MOC, HMCPP 195 172 16 46 142 11% 27% 30 88% TPP,IRPC,HMCAN 20 18 3 5 16 17% 29% 3 92% PTT Asahi

その他 55 43 0 4 39 0% 10% 4 79% PTT PH, SCG/DOW計AS C3 278 241 19 53 207 9% 22% 34 87%ベンゼン 141 129 0 52 77 0% 40% 52 91% PTT, IRPC, ROC, MOCトルエン 114 107 0 26 81 0% 25% 26 94% PTT, IRPC, ROCキシレン 281 231 0 0 231 0% 0% ▲ 0 82% PTT, IRPC, ROCPX 237 192 5 51 147 4% 26% 45 81% PTT, TPX, Exxon

PTA 266 219 0 94 125 0% 43% 94 82% TPT, SMPC, Indorama

Page 19: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

- 45 -

(2)石化産業の 近の動き

① 新たな事業戦略

近年の中国政府の環境規制強化で同国製品の競争力が落ち、東南アジアでは 2016 年から製

鉄所や化学品工場の稼働率が高まっており、タイも例外ではない。これにより石化製品のマージ

ンが比較的良好に推移しており、ここ数年の石化企業の業績を支えている。

現地化学大手2社、PTTGC と SCG ケミカルズでは更なる石化事業の競争力と収益の底上げ

のため、粗原料であるエチレン、プロピレンの供給基盤の強化を計画・検討している。川下では

PO およびポリオール事業に乗り出すほか、芳香族を活用した誘導品を計画する等、日系企業や

欧米企業との合弁も積極的に進めている。

② 新規プラントの稼働状況

2016 年 S-SBR(5→10 万トン)増強 (BST/JSR)

バイオプラスチックス PBS(ポリブチレンサクシネート)2 万トン稼働予定 (PTT/三

菱化学)

LAB(リニアアルキルベンゼン)10 万トン稼働予定 (タイオイル/三井物産)

深度接触分解(DCC)新設 プロピレン 32 万トン (IRPC)

VCM(9 万トン)増強(TPC)

PX(11.5 万トン)増強(PTTGC)

2017 年 PP(16 万トン)新設(IRPC)…JPP 技術

エチレン(10 万トン)、プロピレン(5 万トン)増強(ROC)

3.将来見通し

(1)需給総括表(2022年)

(単位:万トン、%)

(注:AN はプロパン法のため、その分のプロピレンバランスが合わない)

(前提となる GDP 伸び率 3.3 %)

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 511 435 8 10 433 2% 2% 2 85% PTT, ROC, MOCLD 257 180 20 89 111 18% 49% 69 70% IRPC, PTT, TPE, SIAMHD 191 172 15 87 101 15% 50% 72 90% IRPC, PTT, TPE, BPESM 58 44 9 0 53 16% 0% ▲ 9 76% IRPC, SIAM SMEG 42 40 20 0 60 34% 0% ▲ 20 95% TOC

PVC 85 77 5 16 66 8% 21% 11 91% TPC, VINYTHAIその他 0 0 0 0 0 - - 0 -

計AS C2 538 433 54 185 302 18% 43% 131 81%プロピ 316 248 0 6 243 0% 2% 6 79% IRPC, PTT, ROC, MOC, HMCPP 211 190 13 40 162 8% 21% 27 90% TPP,IRPC,HMCAN 20 18 4 5 18 24% 27% 1 92% PTT Asahi

その他 55 47 3 11 40 9% 23% 7 86% PTT PH, SCG/DOW計AS C3 294 263 18 47 234 8% 18% 29 89%ベンゼン 141 129 0 55 74 0% 43% 55 91% PTT, IRPC, ROC, MOCトルエン 114 107 0 2 105 0% 2% 2 94% PTT, IRPC, ROCキシレン 281 237 0 0 237 0% 0% 0 84% PTT, IRPC, ROCPX 237 197 0 51 147 0% 26% 51 83% PTT, TPX, Exxon

PTA 266 219 0 65 154 0% 30% 65 82% TPT, SMPC, Indorama

Page 20: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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(2)主な新増設計画と検討状況

2018 年 LLDPE(40 万トン)、ヘキセン-1(3.4 万トン)新設(PTT)

2020 年 エチレン(50 万トン)増設(PTTGC)

2021 年 プロピレン(25 万トン)増設(PTTGC)

(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

2010 年の MOC(Dow/SIAM)でのクラッカー増設以来、輸出競争力を懸念して目立った増設

がなかったが、増強設備の稼働や新たな計画がみられるようになった。海外需要を取り込んで輸

出を増やせるかが注目される。

Page 21: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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国・地域名:マレーシア

1.概況

マレーシアの実質 GDP 成長率は、原油をはじめとしたコモディティ価格の下落を受けて、2015

年から減速し 2016 年に 4.2%となった。2016 年半ば以降は資源セクターの収益改善、設備投

資の緩やかな加速や、雇用、所得環境回復を背景とする個人消費の拡大により持ち直し、2017

年は 16 年を上回り 5.4%と高い成長率を示している。

マレーシアの一人当たりの GDP は既に 9,000 ドルを超えており、この水準になると低コスト生

産の強みを生かした工業製品輸出拡大は不可能になる。1980 年代半ば以降、マレーシアの輸

出は電気関連を中心とする工業製品の輸出増に主導され、その 大の品目である半導体の輸

出増加ペースは、今後は落ちる見通しとなっている。失業率が低水準で推移するなかで消費者物

価の上昇は比較的落ち着いており、今後も引き続き個人消費が景気の下支えをするとみられ、

2018 年の成長率は 4.8%程度と予想されている。

一方、今後のリスクとして家計債務の増大が挙げられ、中銀が融資規制を強めたことによる個

人消費拡大減速の可能性がある。

2.現状

(1)需給総括表(2016年)

(単位:万トン、%)

(2)石化産業の 近の動き

国 営 企 業 で あ る ペ ト ロ ナ ス が 計 画 し て い た 大 型 石 油 化 学 計 画 ( RAPID : Refinery and

Petrochemical Integrated Development)も、2014 年 4 月にようやく 終投資判断を下し、製油

所(日量 30 万バレル)、ナフサクラッカー(年産 110 万トン)、インフラ設備の EPC 契約等が発表

された。一時期資金調達が危ぶまれたが 2017 年 2 月にサウジアラムコの出資を受け入れると表

明し、製油所やナフサ分解炉運営会社の折半出資で折り合った。更に 2017 年 10 月には、石化

事業についてもアラムコが経営権を取得すると発表している。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 177 143 3 23 124 3% 16% 20 81% Lotte Chem., PetronasLD 59 46 45 26 65 69% 57% ▲ 19 79% Lotte Chem., PetronasHD 53 48 55 41 62 89% 86% ▲ 14 90% Lotte Chem., PetronasSM 24 11 18 5 23 76% 48% ▲ 12 45% Idemitsu SM MalaysiaEG 37 35 1 22 14 5% 62% 21 96% Petoronas

PVC 13 5 24 4 25 97% 86% ▲ 20 39% IRM, MECI, Kanekaその他 0 0 0 0 0 - - 0 -

計AS C2 150 124 119 86 156 76% 70% ▲ 32 82%プロピ 114 74 4 1 77 5% 1% ▲ 3 65% Petoronas, Lotte Chem., Shell PP 47 38 48 38 48 100% 100% ▲ 9 82% Lotte Chem.AN 0 0 10 0 10 100% - ▲ 10 -

その他 42 38 0 9 28 0% 25% 9 90% Petronas, BASF Petronas計AS C3 91 77 60 40 98 61% 51% ▲ 20 86%ベンゼン 32 32 8 22 18 47% 70% 14 99% Lotte Chem., Petronasトルエン 6 6 4 2 8 49% 29% ▲ 2 100% Lotte Chem.キシレン 4 4 5 0 9 59% 0% ▲ 5 93% Lotte Chem.PX 50 43 22 33 32 68% 76% 11 87% Petronas

PTA 60 49 9 8 50 19% 16% ▲ 2 81% Reliance

Page 22: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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3.将来見通し

(1)需給総括表(2022年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 4.9%)

(2)主な新増設計画と検討状況

2018 年 クラッカー(C2:9 万トン、C3:16 万トン)増強 (ロッテケミカル)

※接触分解

ペトロナスの RAPID の詳細は以下のとおり。2019 年半ば完工予定となっている。

・製油所 :

常圧蒸留(CDU)、重油脱硫装置(ARDS)、水素回収(HCDU)、ソーダ中和(CNU)、

残渣油接触分解装置(RFCC)、LPG 処理(LTU)、プロピレン回収(PRU)、

灯油脱硫(KHT)、軽油脱硫(DHT)、ナフサ脱硫(NHT)、分解ナフサ脱硫(CNHT)、

連続触媒再生改質(CCR)、アミン回収(ARU)、硫黄回収(SRU)

・石油化学 :

エチレン製造装置、分解ガソリン製造装置、ベンゼン抽出設備、

MTBE(メチル tert-ブチルエーテル:methyl tert-butyl ether)抽出設備、

ブタジエン抽出設備、エチレングリコール(年産 74 万トン)、

HDPE/LLDPE スイングプラント(年産 35 万トン)、PP(年産 90 万トン)

(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

2019 年の RAPID 計画の完工により、2020 年以降は大幅な輸出過多になる見込みのため、

輸出先の確保が求められる。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 312 251 3 25 229 1% 10% 22 81% Lotte Chem., PetronasLD 94 80 20 21 79 25% 27% 1 85% Lotte Chem., PetronasHD 88 78 24 20 82 29% 26% ▲ 4 89% Lotte Chem., PetronasSM 24 11 15 8 17 86% 78% ▲ 7 45% Idemitsu SM MalaysiaEG 111 96 1 83 14 7% 86% 82 87% Petoronas

PVC 13 5 28 0 33 85% 0% ▲ 28 39% IRM, MECI, Kanekaその他 0 0 0 0 0 - - 0 -

計AS C2 270 229 64 99 194 33% 43% 35 85%プロピ 225 186 1 17 170 1% 9% 16 83% Petoronas, Lotte Chem., Shell PP 157 128 0 65 64 0% 50% 65 82% Lotte Chem., PetronasAN 0 0 13 0 13 100% - ▲ 13 -

その他 42 38 0 0 38 0% 0% ▲ 0 90% Petronas, BASF Petronas計AS C3 204 170 14 67 118 12% 39% 52 84%ベンゼン 55 55 15 52 17 88% 96% 37 99% Lotte Chem., Petronasトルエン 6 6 8 6 8 95% 93% ▲ 2 100% Lotte Chem.キシレン 4 4 5 0 9 59% 0% ▲ 5 93% Lotte Chem.PX 50 43 22 33 32 68% 76% 11 87% Petronas

PTA 60 49 4 2 50 7% 4% ▲ 2 81% Reliance

Page 23: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

- 49 -

国・地域名:インド

1.概況

インド経済の 2016 年 GDP 成長率は 7.1%となった。

2016 年 11 月に実施された高額紙幣の廃止に伴う混乱や、GDP 統計の大幅改定等、一時的

要因により多少の減速はあったものの、2014 年より 3 年連続で 7%以上の高い成長率を維持し

ている。

2017 年に関しては、2016 年 7 月に導入された新税制(GST)により、2017 年の 2016 年比

GDP 成長率は鈍化する見込み。

しかし、規律ある金融政策の実施、若年層労働力の豊富さ、直接投資規制の緩和や、前出の

GST 導入による国内取引の活発化などにより、今後も引き続き高い成長率を維持していくと見ら

れる。

2.現状

(1)需給総括表(2016年)

(単位:万トン、%)

(2)石化産業の 近の動き

2016 年の石油化学製品の総需要量は約 3,800 万トンとなり、前年比 8%の成長であった。

2008 年のナフサ使用量 5,889 千トンから 2016 年は 10,323 千トン、石化産業向けの天然ガ

スについても、2008 年の 1,105 百万立米から 2016 年は 3,733 百万立米と生産能力、需要と

もに順調に伸長している。

世界的に見ても需要は旺盛であり、引き続きインドの石化産業も順調に伸長していくと見られ

る。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 424 374 2 0 376 1% 0% ▲ 2 88% Reliance, IOC, GAILLD 210 125 37 3 160 23% 2% ▲ 35 60% Reliance, IOC, GAILHD 227 152 81 12 221 37% 8% ▲ 69 67% Reliance, IOC, ONGCSM 60 60 1 0 61 1% 0% ▲ 1 100% IOCEG 265 116 104 0 220 47% 0% ▲ 104 44% Reliance

PVC 155 144 151 1 294 51% 1% ▲ 150 93% Reliance, Chemplastその他 14 14 0 0 14 0% 0% 0 100%

計AS C2 726 460 264 15 709 37% 3% ▲ 249 63%プロピ 473 446 0 1 445 0% 0% 1 94% Reliance, IOC, BPCLPP 511 428 70 73 425 16% 17% 3 84% Reliance, GAILAN 4 0 16 0 16 99% 0% ▲ 16 5% Reliance

その他 0 0 0 0 0 - - 0 -計AS C3 531 441 90 75 456 20% 17% ▲ 14 83%ベンゼン 221 133 0 92 41 0% 69% 92 60% IOC, Reliance, BPCLトルエン 27 12 34 1 45 76% 5% ▲ 34 43% Reliance, IOCキシレン 77 77 3 33 47 6% 42% 30 100% ReliancePX 388 327 83 88 321 26% 27% 5 84% Reliance, IOC

PTA 617 343 70 17 396 18% 5% ▲ 52 56% Reliance, IOC

Page 24: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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3.将来見通し

(1)需給総括表(2022年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 7.0%)

(2)主な新増設計画と検討状況

(品目) (能力:万トン) (立地) (稼働予定)

① Reliance

エチレン 1,500 ジャムナガール 計画

LDPE/HDPE 500 ジャムナガール 計画

プロピレン 200 ジャムナガール 計画

PP 200 ジャムナガール 計画

②OPAL

エチレン 1100 ダヘージ 2017

LDPE/HDPE 700 ダヘージ 2017

③IOC

エチレン 850 パラディップ 2018

プロピレン 680 パラディップ 2018

PP 700 パニパット

(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

インド国内において各産業分野で継続的な成長が予想されており、石油化学工業主要セグメ

ントについても、GDP と同等ないしはそれ以上の年率 6~8%で伸びていくと予想されている。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー

(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)(C/E) (D/B)

C2 751 700 10 10 700 1% 1% 0 93% Reliance, IOC, GAILLD 291 270 0 30 240 0% 11% 30 93% Reliance, IOC, GAILHD 287 240 30 0 270 11% 0% ▲ 30 84% Reliance, IOC, ONGCSM 60 60 100 0 160 63% 0% ▲ 100 100% IOCEG 265 230 100 0 330 30% 0% ▲ 100 87% Reliance

PVC 180 170 230 0 400 58% 0% ▲ 230 94% Reliance, Chemplastその他 14 14 0 0 14 0% 0% 0 100%

計AS C2 880 782 241 29 994 24% 4% ▲ 212 89%プロピ 611 600 0 20 580 0% 3% 20 98% Reliance, IOC, BPCLPP 641 610 0 90 520 0% 15% 90 95% Reliance, GAILAN 4 4 16 0 20 81% 0% ▲ 16 95% Reliance

その他 0 0 0 0 0 - - 0 -計AS C3 665 632 17 93 557 3% 15% 75 95%ベンゼン 309 280 0 120 160 0% 43% 120 91% IOC, Reliance, BPCLトルエン 27 14 41 0 55 75% 0% ▲ 41 52% Reliance, IOCキシレン 77 50 3 0 53 6% 0% ▲ 3 65% ReliancePX 572 550 0 30 520 0% 5% 30 96% Reliance, IOC

PTA 842 680 65 195 550 12% 29% 130 81% Reliance, IOC

Page 25: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

- 51 -

インドのメーカー各社は需要の伸びに対し、数量の大幅な拡大が期待される製品に関しては

設備の新設及び増設により対応していくものの、石化産業が集積しているインド西部は中東に面

していることから、一部製品は中東からの輸入が引き続き続くと見られる。

Page 26: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

- 52 -

国・地域名:フィリピン共和国

1.概況

2016 年の実質 GDP 成長率は 6.9%となり、2015 年の 5.8%から 1.1%伸長した。

安定した海外送金及び堅調な内需の伸びを背景に、当面の間は安定的に 6~7%レベルの

GDP 成長率が期待される。

貿易動向としては、輸出は前年比▲2%減の 575 億ドル、輸入は同 26%増の 841 億ドルとな

った。貿易収支は▲267 億ドルの赤字だったが、海外就労者(OFW)による本国送金が 297 億ド

ルと過去 高を更新し、経常収支は黒字となった。

GDP の約 6 割を占めるサービス業の成長に支えられ内需主導型経済が好調を維持。外国直

接投資は、投資環境の改善に加え、中国リスク回避の動きもあいまって、前年比 39%増の 79 億

ドルとなった。

一方、港湾・道路・空港等のインフラの未整備や電力料金の高さが依然投資環境上の課題と

して挙げられるが、2016 年 6 月に誕生したデュテルテ新政権公約の 大の目玉の一つがインフ

ラ整備であり、今後特に同セクターの成長が期待される。

2.現状

(1)需給総括表(2016年)

(単位:万トン、%)

(2)石化産業の 近の動き

フィリピンの石化産業は、JG Summit によるポリエチレン(製造能力・年 32 万トン)やポリプロピ

レン(同 18 万トン)等が一部あるものの、ほとんどの原料や製品を輸入に依存しており、プラスチッ

ク加工産業等の川下産業が中心である。

石化・川上における 近の動きとしては、Philippines Resins Industries, Inc. (東ソーが 80%

出資)が、塩ビ製造能力増強を決定し、現行の年 11 万トンの年間製造能力を 21 万トンへとほぼ

倍増する。2019 年 1 月の商業運転稼働を予定している。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 32 30 0 0 30 0% 0% 0 94%LD 29 12 190 0 202 94% 0% ▲ 190 41% JG Summit, NPCHD 29 8 102 0 110 93% 0% ▲ 102 28% JG Summit, NPCSM 0 0 2 0 2 100% - ▲ 2 -EG 0 0 2 0 2 100% - ▲ 2 -

PVC 12 10 60 0 70 86% 0% ▲ 60 83% Philippine Resine, General Chemicalその他 0 0 0 0 0 - - 0 -

計AS C2 65 25 324 0 349 93% 0% ▲ 324 39%プロピ 33 18 0 0 18 0% 0% 0 54%PP 53 8 92 0 100 92% 0% ▲ 92 15% Petrocorp, JG Summit, PhoenixAN 0 0 0 0 0 - - 0 -

その他 0 0 0 0 0 - - 0 -計AS C3 54 8 95 0 103 92% 0% ▲ 95 15%ベンゼン 2 2 0 0 2 0% 0% 0 100%トルエン 15 15 1 0 16 6% 0% ▲ 1 100%キシレン 22 22 0 0 22 0% 0% 0 100%PX 0 0 0 0 0 - - 0 -

PTA 0 0 0 0 0 - - 0 -

Page 27: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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JG Summit は、2021 年フル稼働をめざし、ブタジエン(年 7 万トン)、ラフィネート(同 8.9 万ト

ン)、及びベンゼン(同 12.6 万トン)・トルエン(同 4.6 万トン)・混合キシレン(同 1.8 万トン)の工場を

建設するほか、既存工場の増設により、2021 年をめどにエチレンを年 16 万トン増、プロピレンを

年 5.1 万トン増、C4 留分を年 2.6 万トン増とする計画である。

3.将来見通し

(1)需給総括表(2022年)

(単位:万トン、%)

(2)主な新増設計画と検討状況

(※前述「2-(2) 石化産業の 近の動き」を参照)

(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

経済成長及び人口増に伴い、いずれの石化製品においても今後の需要増は確実で、供給面

の不足分は当面の間、輸入増での対応になると予測される。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 48 48 0 0 48 0% 0% 0 100%LD 37 24 190 0 214 89% 0% ▲ 190 65% JG Summit, NPCHD 37 22 102 0 124 82% 0% ▲ 102 59% JG Summit, NPCSM 0 0 2 0 2 100% - ▲ 2 -EG 0 0 2 0 2 100% - ▲ 2 -

PVC 23 19 60 0 79 76% 0% ▲ 60 82% Philippine Resine, General Chemicalその他 0 0 0 0 0 - - 0 -

計AS C2 86 56 324 0 380 85% 0% ▲ 324 65%プロピ 38 25 0 0 25 0% 0% 0 66%PP 58 26 92 0 118 78% 0% ▲ 92 45% Petrocorp, JG Summit, PhoenixAN 0 0 0 0 0 - - 0 -

その他 0 0 0 0 0 - - 0 -計AS C3 59 27 95 0 122 78% 0% ▲ 95 45%ベンゼン 15 12 0 0 12 0% 0% 0 83% JG Summitトルエン 23 21 0 0 21 0% 0% 0 93% JG Summitキシレン 24 24 0 0 24 0% 0% 0 100% JG SummitPX 0 0 0 0 0 - - 0 -

PTA 0 0 0 0 0 - - 0 -

Page 28: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

- 54 -

国・地域名:ベトナム

1.概況

2016 年通年の GDP 成長率は 6.21%と見込まれ、政府によって下方修正されていた通年計画

の 6.3~6.5%を下回ったが、直近 5 年間の通年成長率では、2015 年の 6.7%に次いで 2 番目に

高い成長率となっており、第1四半期実績の前年同期比 5.48%増、第2四半期の同 5.78%増、第

3四半期の同 6.56%増と比較して、第4四半期は同 6.68%と年間で も伸びた。

通年計画からの下振れの主要因は農業及び鉱業の低迷によるもので、通年成長率の内訳を見

ると、干ばつ及び塩害の被害を受けた農林水産業が 1.36%と、過去 小の伸びに留まった。鉱工

業・建設業は 7.57%の伸びとなり、うち製造業は 11.9%と前年実績の 10.6%を上回っており、依然

として好調に推移した。一方、鉱業は前年実績 6.5%に対し、当期は▲4.0%と全体を押し下げた。

サービス業は 6.98%と直近 5 年間で 高を記録、特に不動産業は 4.0%と、同様に過去 5 年間で

高となった。小売・サービス売上高の実質成長率については、購買力に大きな変化が見られない

中で商品価格が上昇したため、7.8%の伸びとなり、前年の 8.5%を下回った。

ベトナム・日経 PMI(購買担当者指数)は、直近 18 ヶ月で 高となった 11 月実績の 54.0 から

52.4 に下落したものの、13 ヶ月連続で 50 以上を維持、ASEAN 平均の 49.1 を大幅に上回り、域

内で 2 番目に高い結果となった。新規受注の増加に伴い、生産量、及び雇用も増加した。

2.現状

(1)需給総括表(2016年)

(単位:万トン、%)

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 0 0 0 0 0 - - 0 -LD 0 0 32 0 32 100% - ▲ 32 -HD 0 0 32 0 32 100% - ▲ 32 -SM 0 0 7 0 7 100% - ▲ 7 -EG 0 0 10 0 10 100% - ▲ 10 -

PVC 35 35 25 0 60 42% 0% ▲ 25 100% TPC VINA,AGC Chemical(旧PHU MY PLASTIC)その他 0 0 0 0 0 - - 0 -

計AS C2 18 18 86 0 103 83% 0% ▲ 86 100%プロピ 15 15 0 0 15 0% 0% 0 100% BSRPP 15 15 32 0 47 68% 0% ▲ 32 100% BSRAN 0 0 0 0 0 - - 0 -

その他 0 0 0 0 0 - - 0 -計AS C3 15 15 33 0 48 68% 0% ▲ 33 100%ベンゼン 0 0 0 0 0 - - 0 -トルエン 0 0 25 0 25 100% - ▲ 25 -キシレン 0 0 0 0 0 - - 0 -PX 0 0 0 0 0 - - 0 -

PTA 0 0 20 0 20 100% - ▲ 20 -

Page 29: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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(2)石化産業の 近の動き

ベトナムでは石油製品や石化製品の大半を輸入に依存している。原油を産出はするが、石油

精製能力の絶対的な不足により、ガソリンや灯軽油、燃料油等の石油製品は 800 万トン以上輸

入している。石化製品も PVC、PS、PP 等は生産しているがその規模は極めて小さい。

現在、ベトナムの石油精製能力は 2009 年 2 月から稼働を始めたズンクアット製油所(中部ク

アンガイ省)の日量処理能力 14 万 8,000 バレルのみである。

動き出している案件としては、ギソン製油所(2018 年後半に商業運転開始予定、20 万バレ

ル/日)がある。他に計画中の案件としては、ブンロー製油所、ビクトリー製油所、ロンソン製油所、

ズンクワット製油所(拡張)等がある。

3.将来見通し

(1)需給総括表(2022年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 6.5%)

(2)主な新増設計画と検討状況

英国資本のテクノスター・マネジメントとロシアのテルオイルが進めるブンロー製油所計画では、

ベトナム中南部のフーイエン省で日量 16 万バレルの製油所と芳香族や PP 等の石化プラントを

建設する。石油製品や石化製品を合わせた総生産能力は年間 800 万トンとなる。

タイ国営石油会社(PTT)とサウジアラビア国営石油会社(サウジアラムコ)は、ベトナム中部ビ

ンディン省ニョンホイ工業団地に製油所・石化コンプレックスの建設を予定している。投資額は

220 億ドルで 2021 年稼働開始を見込む。同計画(ビクトリー製油所)では、日量 40 万バレルの

精製処理、石化製品として年間 500 万トンの芳香族やオレフィン系樹脂を生産する。出資比率

は PTT とサウジアラムコが各 40%、ベトナム政府が 20%である。

ズンクワット製油所について、ロシアの原油生産大手ガスプロムは、国営ベトナム石油ガスグ

ループ(ペトロベトナム)とズンクアット製油所(中部クアンガイ省)の株式 49%を買い入れることに

合意していたが、2016 年 1 月、ガスプロムが、株式譲渡の交渉中止を文書で求めた。これは、

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 120 120 0 0 120 0% 0% 0 100% RON SON REFINARYLD 50 50 0 0 50 0% 0% 0 100% RON SON REFINARYHD 45 45 0 0 45 0% 0% 0 100% RON SON REFINARYSM 0 0 10 0 10 100% - ▲ 10 -EG 0 0 13 0 13 100% - ▲ 13 -

PVC 35 35 33 0 68 49% 0% ▲ 33 100% TPC VINA,AGC Chemical(旧PHU MY PLASTIC)その他 0 0 0 0 0 - - 0 -

計AS C2 113 113 28 0 141 20% 0% ▲ 28 100%プロピ 97 97 0 0 97 0% 0% 0 100% BSR,NGHI ON REFINARY,VUNG RO REFINARYPP 97 97 11 0 108 10% 0% ▲ 11 100% BSR,NGHI ON REFINARY,VUNG RO REFINARYAN 0 0 0 0 0 - - 0 -

その他 0 0 0 0 0 - - 0 -計AS C3 100 100 11 0 111 10% 0% ▲ 11 100%ベンゼン 31 24 0 0 24 0% 0% 0 77% NGHI ON REFINARY,VUNG RO REFINARYトルエン 18 0 39 0 39 100% - ▲ 39 - VUNG RO REFINARYキシレン 0 0 10 0 10 100% - ▲ 10 -PX 70 70 0 0 70 0% 0% 0 100% NGHI ON REFINARY

PTA 0 0 30 0 30 100% - ▲ 30 -

Page 30: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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ガスプロムとしてベトナムの関係省庁に対し、ズンクワット製油所や拡張プロジェクトに参加する

ための優遇制度や条件を求めてきたが、商工業省が 2018 年以降、ズンクワット製油所に輸入

税の優遇を継続することはできないと回答したことを受けたものである。

ロンソン製油所については、タイのサイアムセメントグループ(SCG)とペトロベトナムグループ

(PVN)の合弁会社ロンソン・ペトロケミカルズ(Long Son Petrochemicals=LSP)が、37 億 7000

万 USD(約 4030 億円)を投資して実施する。将来的に投資額は 54 億 USD(約 5780 億円)に引

き上げられる見込み。稼働時期は 2022 年が予定されている。

ペトロベトナムは新たな石化計画として、天然ガスを出発原料として MTO(methanol to

olefins)技術を軸に各種誘導品を 2020 年~2025 年に生産開始する計画を発表した。製油所

が立地するズンクワットに建設する計画である。現時点で想定されている誘導品は、スチレンモノ

マー及びポリスチレン、アクリル酸及び同エステル、メタクリル酸メチル、エチレン酢酸ビニル共重

合樹脂、ポリプロピレン、2-エチルヘキサノール、硫酸等である。

(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

現在 4 つの石化プロジェクト(ギソン製油所、ブンロー製油所、ロンソン製油所、ビクトリー製油

所)が計画されているが、完工予定はギソン製油所が 2019 年、ブンロー製油所が 2018 年、ロ

ンソン製油所が 2022 年、ビクトリー製油所が 2021 年であり、引き続きベトナムは石油化学及び

基礎化学品の輸入国というポジションが続く見込みである。

Page 31: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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国・地域名:オーストラリア

1.概況

オーストラリア経済は引続き堅調な成長を維持しており、実質 GDP 成長率の 105 四半期連続

景気後退無し(1991 年第 1 四半期以降)という世界 長記録も更新中。

2017 年には自動車新車販売台数が過去 高を記録、2018 年初には株式市場も 10 年来の

高値を更新する等、今後も総じて安定した成長が見込まれている。

一方、2017 年の国内自動車生産終了の影響や、オーストラリア経済が大きく依存する住宅市

場や個人消費の停滞を懸念材料とする見方もあり、2018 年の経済成長率は 2.2~2.7%程度と

予想されている。

2.現状

(1)需給総括表(2016年)

(単位:万トン、%)

(2)石化産業の 近の動き

2012 年以降、国内製油所の 3 か所が閉鎖され、残る 4 か所での操業が続けられているが、

安定しているとはいえ規模が限定的なオーストラリア市場において、海外製油所との競争力を

勘案すると、中長期的には更なる縮小・閉鎖も想定し得る状況にある。

また、石化製品においては、2016 年に塩化ビニル樹脂、メタノールの国内生産拠点が閉鎖さ

れ、全量輸入品へ移行する等、アジアを中心とした競争力の高い輸入品との競合に引続き晒さ

れており、生産の縮小や中止を余儀なくされる製品が出てくる可能性も考えられる。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 50 41 0 0 41 0% 0% ▲ 0 81% QenosLD 20 17 8 0 25 31% 0% ▲ 8 85% QenosHD 21 21 14 0 34 40% 0% ▲ 14 100% QenosSM 0 0 1 0 1 100% - ▲ 1 -EG 1 1 3 0 3 85% 20% ▲ 3 100% Huntsman

PVC 1 1 19 0 20 94% 2% ▲ 19 100%その他 0 0 3 0 3 100% - ▲ 3 -

計AS C2 42 39 34 0 72 46% 0% ▲ 33 93%プロピ 18 13 0 0 13 0% 0% 0 69% Qenos、Viva EnergyPP 13 12 2 4 10 22% 35% 2 91% LyondellBassellAN 0 0 0 0 0 100% - ▲ 0 -

その他 0 0 2 0 2 100% - ▲ 2 -計AS C3 14 12 2 4 10 22% 35% 2 91%ベンゼン 3 0 0 0 0 - - 0 - Bluescopeトルエン 1 1 1 0 2 61% 0% ▲ 1 90%キシレン 0 0 0 0 0 100% - ▲ 0 -PX 0 0 0 0 0 - - 0 -

PTA 0 0 0 0 0 100% - ▲ 0 -

Page 32: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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3.将来見通し

(1)需給総括表(2022年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 2.3%)

(2)主な新増設計画と検討状況

限定的な内需と海外競合に相対的に劣るコスト競争力が見込まれる中、新規増設計画は検

討されていないものと思われる。

(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

世界経済・国内経済共に堅調な成長見込みを背景に、石化製品についても堅調な需要が見

込まれる。

一方、2017 年 10 月の国内自動車生産の中止等、国際競争力の低下している分野における

国内製造業の今後の動向によっては、石化製品の需給バランス・輸出入バランスが大きく変化す

る可能性も否定出来ない。

既に 2016 年に全量輸入品に切替わった塩化ビニル樹脂を除くと、輸出入バランスに大きな変

化は見られないが、2015 年以降輸出が急増しているポリプロピレン樹脂や、その他自動車関連

石化製品は、国内自動車生産中止の影響を受け、海外市場に活路を見出すか、或は生産を縮

小するのか等、今後大きな変化の局面を迎えるものと思われる。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 50 41 0 0 41 0% 0% 0 81% QenosLD 20 17 9 0 26 33% 0% ▲ 9 85% QenosHD 21 21 15 0 35 41% 0% ▲ 15 100% QenosSM 0 0 2 0 2 100% - ▲ 2 -EG 1 1 3 0 4 84% 0% ▲ 3 100% Huntsman

PVC 0 0 21 0 21 100% - ▲ 21 -その他 0 0 4 0 4 100% - ▲ 4 -

計AS C2 41 38 36 0 75 49% 0% ▲ 36 93%プロピ 18 13 0 0 13 0% 0% 0 69% Qenos、Viva EnergyPP 13 12 2 5 9 22% 42% 3 91% LyondellBassellAN 0 0 0 0 0 0% 0% 0 100%

その他 0 0 2 0 2 100% - ▲ 2 -計AS C3 14 12 2 5 9 22% 42% 3 91%ベンゼン 2 0 0 0 0 - - 0 - Bluescopeトルエン 1 1 2 0 3 69% 0% ▲ 2 90%キシレン 0 0 0 0 0 - - 0 -PX 0 0 0 0 0 - - 0 -

PTA 0 0 0 0 0 - - 0 -

Page 33: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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国・地域名:シンガポール

1.概況

2017 年の実質 GDP 成長率は、速報値で前年比 3.5%と、2016 年の 2.0%から改善した。

業種別では、製造業が前年比 10.5%、サービス業が前年比 2.5%の増加となり、それぞれ

2016 年の 3.6%、1.0%を上回った。一方、建設業は前年比▲8.1%となり、2016 年の 0.2%から

マイナスに転じた。直近の 2017 年 10~12 月期は、前期比 2.8%と、7~9 月の 9.4%から大幅な

減速となったが、これは製造業が 7~9 月期に大きく伸びたことに対する反動。

政府は 2018 年の成長率を 1.5%~3.5%と予測している。世界経済の成長は緩やかなものに

なるとみている。

2.現状

(1)需給総括表(2016年)

(単位:万トン、%)

(2)石化産業の 近の動き

2016 年は、一部のクラッカーが設備問題などによって低稼働であったが、2017 年は、大きな

設備問題もなく、順調な世界経済の拡大や良好なマージンに支えられ高稼働となった。

芳香族製造に関し、エクソンモービルアジアパシフィックが、ジュロン・アロマティックスの芳香族

プラントを取得した。

その他、プロジェクト関連のプラントスタートは一段落しているため、大きな動きはなかった。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 400 335 19 21 333 6% 6% 2 84% PCS/Exxon/ShellLD 238 202 65 260 7 920% 129% 195 85% TPC/Exxon/Prime EvolueHD 39 37 51 85 3 1555% 229% 34 95% CPSCSM 93 75 0 49 26 0% 66% 49 80% SCSLEG 87 46 2 46 2 75% 99% 44 53% EGS/Shell

PVC 0 0 4 0 4 109% - ▲ 4 -その他 82 59 2 50 11 17% 85% 48 71% Exxon/MELS

計AS C2 441 347 120 388 80 151% 112% 268 79%プロピ 253 190 23 1 213 11% 0% ▲ 23 75% PCS/Exxon/ShellPP 158 145 40 182 3 1383% 126% 142 92% TPC/ExxonAN 0 0 0 0 0 - - 0 -

その他 106 72 1 32 41 2% 44% 31 68% Shell/MPHS計AS C3 269 221 41 188 75 55% 85% 146 82%ベンゼン 174 113 29 51 91 32% 45% 22 65% PCS/Exxon/JACトルエン 29 25 4 29 0 - 116% 25 87% PCS/Exxonキシレン 37 16 0 4 12 1% 27% 4 42% Shell/JACPX 163 105 0 105 0 - 100% 105 64% Exxon/JAC

PTA 0 0 0 0 0 - - 0 -

Page 34: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

- 60 -

3.将来見通し

(1)需給総括表(2022年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 2.4%)

(2)主な新増設計画と検討状況

エチレンやプロピレン、ベンゼン等、基礎原料プラントの新増設は当面予定されていないが、幾

つかの誘導品プラントの建設が進行中である。

エクソンモービルが建設を進めていたブチルゴムプラント(生産能力 14 万トン/年)、水添石油

樹脂プラント(生産能力 9 万トン/年)は、2018 年 6 月に生産を開始したと発表。

また、エボニックが、メチオニン第 2 系列(生産能力 15 万トン/年、2019 年完成予定)に、旭化

成が、溶液重合法スチレンブタジエンゴムプラントの増強(生産能力 3 万トン/年、2019 年完成

予定)に着手している。

(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

内需の伸びは、2019 年以降、年率 2.4%と想定した。プラント稼働率はおおむね高稼働(95%

以上)と想定した。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 400 400 0 7 394 0% 2% 7 100% PCS/Exxon/ShellLD 238 226 65 283 8 796% 125% 218 95% TPC/Exxon/Prime EvolueHD 39 37 51 85 4 1315% 228% 33 95% CPSCSM 93 88 0 63 26 0% 71% 63 95% SCSLEG 87 83 2 82 2 68% 99% 81 95% EGS/Shell

PVC 0 0 4 0 4 108% - ▲ 4 -その他 82 69 2 59 12 15% 85% 57 84% Exxon/MELS

計AS C2 441 409 120 438 92 131% 107% 317 93%プロピ 253 246 5 0 251 2% 0% ▲ 5 97% PCS/Exxon/ShellPP 158 150 40 187 3 1215% 125% 147 95% TPC/ExxonAN 0 0 0 0 0 - - 0 -

その他 111 105 1 59 48 2% 56% 58 95% Shell/MPHS計AS C3 274 260 41 193 109 38% 74% 151 95%ベンゼン 174 157 0 37 119 0% 24% 37 90% PCS/Exxonトルエン 29 26 4 30 0 - 116% 26 90% PCS/Exxonキシレン 37 33 0 20 13 1% 60% 20 90% Shell/ExxonPX 163 147 0 147 0 - 100% 147 90% Exxon

PTA 0 0 0 0 0 - - 0 -

Page 35: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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国・地域名:インドネシア

1.概況

インドネシア経済は近年 5%前後の GDP 成長率を推移しており、主力輸出品の価格が安定し

ている事もあり、今後も堅調な成長率を維持できそうである。

一方、輸出が伸びたにもかかわらず、5%程度の成長率にとどまったのは経済政策やインフラ

投資が当初期待されたほど進まなかったからである。しかし、2016 年 5 月にゴルカル党がジョコ・

ウィトド政権の支持派に転向した事で、大統領支持派が国会議席数の過半数を上回る事となった。

これにより、課題となっている工業分野へのインフラ投資がスムーズになると思われる。

国会本会議で、2018 年度の経済成長率の目標値は 5.4%で設定され、これは 2017 年度の補

正予算の 5.2%を 0.2%ポイント上回ったかたちである。

歳入は 1,894 兆 7,000 億ルピア(約 16 兆円)。うち税収は、予算案よりも 8 兆 7,000 億ルピア

多い 1,618 兆 1,000 億ルピアに設定、税収の対 GDP 比率は 11.6%。

歳出は 2,220 兆 7,000 億ルピア、うち中央政府の歳出が予算案よりも 11 兆 2,000 億ルピア

拡大し、1,454 兆 5,000 億ルピアとなった。財政赤字は 325 兆 9,000 億ルピア、本年度予算の赤

字見通し(362 兆 9,000 億ルピア、対 GDP 比の 2.67%)よりも縮小するとみている。

為替については、米国が継続的に利上げし欧州が量的緩和に動く中、ルピアの変動も小さく、1

ドル=1 万 3900 ルピアと予測。

2.現状

(1)需給総括表(2016年)

(単位:万トン、%)

(2)石化産業の 近の動き

これまで消滅してきた数十件の製油所案件がジョコ新政権になってからは、阻害要因を徹底的

に取り除きながら戦略的に動いており、実現の可能性が高まってきている。

2014 年 12 月には国営 Pertamina が主要製油所 5 ヵ所の増強・近代化プロジェクトについて、

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 86 65 65 11 119 55% 17% ▲ 54 76% Chandra AsriLD 65 47 48 6 89 54% 13% ▲ 42 72% Chadra Asri, Lotte ChemicalHD 14 10 35 2 43 81% 20% ▲ 33 74% Chandra Asri, Lotte ChemicalSM 34 28 1 9 20 5% 32% 8 82% Styrindo Mono IndonesiaEG 22 20 26 2 44 59% 10% ▲ 24 90% Polychem Indonesia

PVC 99 84 8 21 71 11% 25% 13 85% PT Asahimas Subentra Chem, Sulfindo Adiusaha,Standard Toyo Polimerその他 0 0 0 0 0 - - 0 -

計AS C2 152 120 105 22 202 52% 19% ▲ 83 79%プロピ 109 93 18 1 110 16% 1% ▲ 17 85% Pertamina, Chandra AsriPP 91 80 70 1 149 47% 1% ▲ 69 88% Pertamina, Tripolyta Indonesia, PT, Polytama Propyndo, PTAN 0 0 0 0 0 - - 0 - N/A

その他 18 15 0 0 15 0% 0% 0 87%計AS C3 111 98 72 1 169 43% 1% ▲ 71 88%ベンゼン 58 30 22 1 51 43% 3% ▲ 21 51% Pertamina, TPPIトルエン 10 0 12 0 12 100% - ▲ 12 - TPPIキシレン 12 0 5 0 5 100% - ▲ 5 - TPPIPX 87 26 55 0 81 68% 0% ▲ 55 30% Pertamina, TPPI

PTA 184 151 8 6 153 5% 4% ▲ 2 82% Mitsubishi Chemical Indonesia, BP・PTA Indonesia, Indorama

Page 36: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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Saudi Aramco、JXTG エネルギー、中国石油化工股份有限公司(Sinopec)との間で、それぞれ

了解覚書(MOU)に調印した。

Saudi Aramco との MOU では、Cilacap 製油所(34.8 万 BPD)の増強・近代化計画で事業規

模 55 億ドル、竣工予定は 2021 年、合弁事業の出資比率は Pertamina が 55%程度を確保して

いる。

そのほか、Dumai 製油所(17 万 BPD)、Balongan 製油所(22 万 BPD)の改修プロジェクト推

進に向けて共同検討を進めるとの覚書を締結した。同製油所を 36 万 BPD に増強するとともに、

国際競争力のある製油所への近代化プロジェクトが実施される予定である。

Sinopec とは Plaju 製油所(13.4 万 BPD)の近代化・増強を検討していくことになる。

3.将来見通し

(1)需給総括表(2022年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 5.0 %)

(2)主な新増設計画と検討状況

インドネシア唯一の民間エチレンセンター会社である Chandra Asri は、2007 年 4 月に SM メ

ーカーの SMI を買収し、2008 年 6 月には PP メーカーの Tripolyta も買収、2011 年 1 月には同

社を吸収合併して Chandra Asri・petrochemical を発足させた後、遅れていたエチレンの増強を

果たした。

一方、国営 Pertamina とタイの PTT グローバルケミカル(PTTGC)はナフサクラッカー100 万ト

ン計画を構想。当初 2020 年にも稼働開始する方向で検討していたが、Pertamina がアラムコと

の提携に乗り換えたために宙に浮いている。

ロッテケミカル・タイタンも、西ジャワ州チレゴンに 100 万トンのエチレン、ポリエチレン 65 万トン、

PP60 万トン、MEG70 万トンなどの設備を 50 億ドルで 2017 年にも建設する計画だった。先に 40

万㎡の用地を確保し、クラカタウ・ポスコから 60 万㎡の用地も譲受していたが、ほぼ断念した。

(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

ASEAN 大の産油国だが、産油量の先細りと内需拡大に対応して行くため、資源の有効活用

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 186 150 20 0 170 12% 0% ▲ 20 81% Chandra AsriLD 145 120 10 20 110 9% 17% 10 83% Chadra Asri, Lotte ChemicalHD 43 38 15 5 48 31% 13% ▲ 10 88% Chandra Asri, Lotte ChemicalSM 34 30 5 10 25 20% 33% 5 88% Styrindo Mono IndonesiaEG 50 40 20 0 60 33% 0% ▲ 20 80% Polychem Indonesia

PVC 99 84 10 14 80 12% 17% 4 85% PT Asahimas Subentra Chem, Sulfindo Adiusaha,Standard Toyo Polimerその他 0 0 0 0 0 - - 0 -

計AS C2 279 234 45 35 245 18% 15% ▲ 10 84%プロピ 109 93 30 0 123 24% 0% ▲ 30 85% Pertamina, Chandra AsriPP 156 130 60 10 180 33% 8% ▲ 50 83% Pertamina, Tripolyta Indonesia, PT, Polytama Propyndo, PTAN 0 0 1 0 1 100% - ▲ 1 - N/A

その他 18 15 0 0 15 0% 0% 0 87%計AS C3 178 149 63 10 202 31% 7% ▲ 53 84%ベンゼン 75 50 0 0 50 0% 0% 0 66% Pertamina, TPPIトルエン 17 10 15 0 25 60% 0% ▲ 15 59% TPPIキシレン 12 0 10 0 10 100% - ▲ 10 - TPPIPX 104 65 40 0 105 38% 0% ▲ 40 63% Pertamina, TPPI

PTA 224 175 15 15 175 9% 9% 0 78% Mitsubishi Chemical Indonesia, BP・PTA Indonesia, Indorama

Page 37: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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と外貨獲得の拡大を図る狙いで石油代替エネルギーの開発や輸出用製油所新設による石油製

品輸出に比重を移している。ところが、経済的・政治的混乱後、大半のプロジェクトは進展出来て

いない。近年では、新たに複数の計画が浮上しており、外資との合弁で FS が進められている。

国内需給に関しては、エチレン換算で 120 万トン弱の需要量があるのに対して自給できるエチ

レンが 60 万トン程度の為、不足する分を輸入し、残りはエチレン系誘導品の形で輸入している。

同様にプロピレンは 110 万トン程度の需要に対して国産量が 90 万トン程度である為、20 万トン

弱を輸入、ベンゼンは 50 万トン程度の需要に対して国産量が 30 万トンなので、20 万トン輸入す

るなど、石化基礎原料は将来の増設計画によるが、今後も当面は不足ポジションが予想される。

Page 38: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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国・地域名:欧州(西欧及び東欧、トルコを除く)

1.概況

欧州経済は低インフレや雇用・所得の回復により家計購買力が向上、ECB による量的緩和政

策、緊縮財政の緩和といった政策も追い風となり、個人消費主導の緩やかな景気回復が続いて

いる。特に、2017 年の欧州新車登録台数(マルタを除く EU27 ヶ国、ACEA 発表)は 1,514 万台、

前年同期比 3.9%と 4 年連続の増加となるなど自動車販売は好調を持続。企業の景況感も良好

で、2018 年 1 月のユーロ圏総合 PMI(購買担当者景気指数)は 2006 年 6 月以降で 高を記

録している。

欧州委員会は 2 月 7 日に冬季経済見通しを発表、ユーロ圏の実質 GDP 成長率見通しを 2017

年前年比 2.4%、2018 年同 2.3%、2019 年同 2.0%と、昨年 11 月の前回予測から上方修正し、

緩やかな景気回復が続くと予想している。一方、英国の成長率見通しについては、2017 年同

1.8%、2018 年同 1.4%、2019 年同 1.1%まで低下すると予想。英国の EU 離脱交渉の行方、世

界的な保護主義の高まり、地政学リスクが懸念材料。

2.現状

(1)需給総括表(2016年)

(単位:万トン、%)

(2)石化産業の 近の動き

2017 年の欧州石化産業は、比較的安定した欧州マクロ経済動向とエネルギー価格の低位安

定を背景として誘導品が底堅い需要であった為、クラッカーは軒並み高稼働を続け、石化メーカ

ー各社の業績は好調を維持した。

しかる状況下、欧州市場は長期的には域内需要の高成長が期待出来ず、より原料コスト競争

力を有する北米や中東からのポリマー製品流入が欧州石化産業にとって脅威であることに変わ

りは無い。北米で 2018 年以降相次いで大型エタンクラッカーが立ち上がることからポリマーのみ

ならずモノマーの流入も脅威となりつつある。

また、フランス・英国がガソリン等の内燃機関車から電気自動車(EV)へのシフトを明確に打ち

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 2,452 2,195 29 93 2,131 1% 4% 64 90% Dow, ShellLD 956 774 275 251 798 34% 32% ▲ 24 81% Dow, ExxonHD 607 531 248 175 604 41% 33% ▲ 73 88% TotalSM 546 457 81 55 483 17% 12% ▲ 26 84% BASF, TotalEG 136 118 98 20 196 50% 17% ▲ 78 87% BASF, Ineos

PVC 694 552 89 159 482 18% 29% 70 79% Shin-Etsuその他 301 277 2 0 279 1% 0% ▲ 2 92%

計AS C2 2,464 2,075 660 537 2,198 30% 26% ▲ 123 84%プロピ 1,766 1,518 55 36 1,537 4% 2% ▲ 19 86% Dow, BASFPP 1,107 1,017 302 330 989 31% 32% 28 92% LyondellBasellAN 88 76 13 20 69 19% 26% 7 86% Ineos

その他 510 460 0 0 460 0% 0% 0 90%計AS C3 1,747 1,590 325 362 1,554 21% 23% 36 91%ベンゼン 1,010 709 150 66 793 19% 9% ▲ 84 70% Dowトルエン 304 218 39 62 195 20% 28% 23 72% Exxon, Shellキシレン 525 283 41 51 273 15% 18% 10 54% ExxonPX 253 161 15 44 132 11% 27% 29 64% Exxon

PTA 391 239 123 50 312 39% 21% ▲ 73 61% BP

Page 39: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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出したこともあり、各石化メーカーの分析は未だ道半ばではあるものの、中長期的に見ればリファ

イナリーの閉鎖・合理化、クラッカーの存続等の議論は不可避と考えられ、更なる付加価値分野

への事業シフトや事業再編等を通した生き残り策を講じていくことが予想される。

3.将来見通し

(1)需給総括表(2022年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 1.5%)

(2)主な新増設計画と検討状況

Ineos に続いて SABIC/英や Total 等がクラッカーのエタンフィード化を加速させた。益々激化す

るグローバル競争の中で生き残りを掛け、Ineos は北米からのエタン輸入を前提として英国とノル

ウェーで合計 90 万トンのクラッカー増強を発表した。

また、ライトフィード化で減産を余儀なくされ、且つ比較的安定的な需要増が見込まれるプロピ

レンをプロパン脱水素(PDH)製法で 2021 以降目的生産する発表が GrupaAzoty、Borealis、

Ineos と相次いだ。

(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

欧州マクロ経済が長期安定し、低位安定傾向にあるエネルギー価格が大きく変化しない場合、

各石化メーカーの採算向上が過剰状態にある設備能力削減のペースを一時的に鈍化させる可

能性はあるが、原料コストが競争優位性を大きく左右する製品については事業の統廃合や再編

が引き続き不可避と考えられる。

競争力のあるエタン、プロパン、ブタン等の原料確保の動きと誘導品展開の積極推進は一部

石化メーカーに見られるものの、北米や中東からの各種製品との競合は避けられない。また、長

期的に見れば域内全体の石化製品の生産量の減少が輸入製品に代替される可能性は充分に

考えられる。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 2,452 2,156 19 27 2,148 1% 1% 8 88% Dow, ShellLD 956 780 242 165 857 28% 21% ▲ 77 82% Dow, ExxonHD 634 545 261 146 660 40% 27% ▲ 115 86% TotalSM 546 434 83 44 473 18% 10% ▲ 39 80% BASF, TotalEG 136 111 117 20 208 56% 18% ▲ 97 81% BASF, Ineos

PVC 696 583 73 132 524 14% 23% 59 84% Shin-Etsuその他 311 251 3 1 253 1% 0% ▲ 2 81%

計AS C2 2,503 2,072 646 406 2,313 28% 20% ▲ 241 83%プロピ 1,776 1,519 57 29 1,547 4% 2% ▲ 28 86% Dow, BASFPP 1,121 996 324 242 1,078 30% 24% ▲ 82 89% LyondellBasellAN 88 78 1 2 77 1% 3% 1 89% Ineos

その他 510 460 0 0 460 0% 0% 0 90%計AS C3 1,761 1,570 335 251 1,654 20% 16% ▲ 83 89%ベンゼン 998 718 151 71 798 19% 10% ▲ 80 72% Dowトルエン 304 234 39 57 216 18% 24% 18 77% Exxon, Shellキシレン 525 291 32 43 280 11% 15% 11 56% ExxonPX 253 154 13 26 141 9% 17% 13 61% Exxon

PTA 391 339 124 127 336 37% 37% 3 87% BP

Page 40: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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国・地域名:中 東(トルコを含む)

1.概況

中東諸国の石油化学産業は、原油輸出の歳入に依存しない財政・社会の構造改革の下、産業

の川下展開による内需の拡大、グローバル化、製品の高付加価値化等といった方向へと向かわ

せる改革が加速している。

2016 年 11 月の OPEC 総会で、それ以前数年間継続した約 100 ドル/バレルの原油価格が供

給過多により急落し低迷していた市況を回復させるため、OPEC 及びロシアその他の一部産油国

は、協調減産の合意をした。減産量は合計日量 180 万バレルで 2017 年から 2 回の期間延長が

なされ、2018 年末まで実施される。合意各国は割り当てられた減産量を遵守、その結果、この協

調減産は奏功して原油価格は 70 ドル台/バレルまで上昇し、一定の成果を上げている。また、米

国シェールオイルの生産拡大の境遇下においてでも堅調な需要が貢献し世界の原油、石油製品

の在庫は減少傾向を辿ってきた。

しかし、原油収入に頼った国家運営をしてきた各国の財政悪化を回生させる価格レベルにまで

達するには至ってはいない。この協調減産の効果で歳入が改善したことは現状事実であるが、短

期的に原油価格が 100 ドル/バレルまで回復することは期待しにくく、原油輸出収入に依存しない

健全で自立した産業構造を目的とした諸政策を講じ、国家財政の収支改善を図っている。

中東各国で国情に差はあるが、主要政策としては資源の有効利用、増加する人口の雇用創出

を目的とした政府主導による非石油部門の産業育成、国民への福祉その他各種補助金の削減

等を行っている。

サウジアラビアではムハンマド・ビン・サルマン皇太子がリーダーシップを発揮して「ビジョン

2030」による社会・財政の構造改革が進んでいる。その枠組みで Saudi Aramco の IPO を巡っ

た一連の動きや国民への各種補助的支出のカット、石化原料の値上げなどの財政収入の拡大、

ファンド投資の活性化等の具体策が諸外国との外交的協調の下に実行されている。石油化学に

ついては、なお中東の 大生産国であり重要な産業であることに変わりはない。しかし原料エタン

の供給余力が少なくなり、既存路線では更なる拡大は困難な状況となっている。その状況を打破

する目的で、Saudi Aramco と SABIC が協力し原油から直接石油化学製品製造を行う事業に

着手し、石油化学産業でも新たなる試みを着実に推進している。

UAE は潤沢な原油輸出収入の蓄積があり、既に積極的な外資企業誘致、観光産業育成、金

融業の基盤整備といった多角化政策が安定した財政基盤の下で実現されてきている。加えて各

種補助金の削減も実施され、バランスの取れた健全な国家運営へと舵を切ってきた。石油化学産

業も堅実に形成され、研究開発にも注力し高付加価値化を進めている。また中期的に新規プロジ

ェクトの計画も進行している。

クウェートは財政余力を残し、石油化学産業のグローバル化を進めている。

カタールでは石油化学産業の拡大が一段落し、豊富な天然ガスの LNG 輸出にむしろ力を入れ

ている。

なお、今後の中東石油産業の生産拡大は、豊富な天然ガスを賦存するイランが中心となる可

能性が高い。一方、新増設が計画通りに進捗するかどうかは、核合意に基づいた制裁解除の実

効性が、国際情勢の環境変化や外交的なバランスといった要因によって不透明な状況にあると考

Page 41: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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えられる。

中東が世界の石油化学製品の世界的な供給基地としての位置づけは変わらないものの、過去

新増設プロジェクトが次々と打ち出されてきた中東地域のエチレン生産の拡大傾向は鈍化し、川

下産業の深化と人口増加による内需拡大、高付加価値産業へのシフトといった転換期を迎えて

いる。

2.現状

(1)需給総括表(2016年)

(単位:万トン、%)

(2)石化産業の 近の動き

コスト優位性があるエタンの供給量は、協調減産の影響も加わり既存のエチレン生産需要を満

たす程度に限られてきている。

サウジアラビアにおいては、エタンの価格を 2015 年末から急騰させ、供給は各プロジェクトへ政

策的に配分される状況となっている。その他の湾岸産油諸国もエタンは必ずしも余剰が充分にあ

るとは言えず、エチレンの増産は以前よりも減速していく見込みである。2022 年までに新設、稼働

されるプロジェクトは、制裁解除によるイランを除き限定的である。

また、中東でのエチレン誘導品の生産は従来、汎用ポリエチレン、EG が中心であったが、付加

価値のある誘導品の生産が計画・実施され、川下展開も加わり、中東での石油化学製品の裾野

は広がっている。

サウジアラビアでの石油化学事業は、従来 SABIC や Saudi Aramco が中心で、外資との合弁

も含め推進されてきたが、近年では民間企業が参画したプロジェクトが実行されている。

また、中東諸国の国営企業による中東域外への進出、グローバル化も進められている。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 3,432 2,704 0 19 2,685 0% 1% 19 79% JUPC、KAYAN、 SHARQ、BOROUGE、RAS LAFFAN OLEFINSLD 1,109 871 0 560 311 0% 64% 560 79% JUPC、KAYAN、 SHARQ、BOROUGE、RAS LAFFAN OLEFINSHD 941 878 0 609 269 0% 69% 609 93% SAUDI POLYMERS、YANSAB、BOROUGESM 305 241 0 174 67 0% 72% 174 79% SADAFEG 970 875 0 812 63 0% 93% 812 90% SHARQ、JUPC、YANPET、KUWAIT OLEFINS

PVC 146 122 44 0 166 27% 0% ▲ 44 83% PETROKEMYAその他 210 210 0 0 210 0% 0% 0 100%

計AS C2 3,077 2,685 22 1,769 938 2% 66% 1,747 87%プロピ 1,273 870 0 28 842 0% 3% 28 68% SABIC、RABIGH REFINING、BOROUGE、PP 941 878 0 345 533 0% 39% 345 93% IBN ZAHR、RABIGH、BOROUGEAN 10 9 29 0 38 76% 0% ▲ 29 90%

その他 30 30 0 0 30 0% 0% 0 100%計AS C3 1,010 944 32 355 620 5% 38% 324 93%ベンゼン 459 289 0 4 285 0% 1% 4 63% ARAMCO、SAUDI CHEVRON 、RABIGHトルエン 250 212 13 0 225 6% 0% ▲ 13 85% ARAMCO、SAUDI CHEVRON 、RABIGH、SASREFFキシレン 569 420 0 0 420 0% 0% 0 74% ARAMCO、SAUDI CHEVRON 、RABIGHPX 455 336 0 300 36 0% 89% 300 74% ARAMCO

PTA 151 55 136 0 191 71% 0% ▲ 136 36%

Page 42: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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3.将来見通し

(1)需給総括表(2022年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 概ね 3.0%)

(2)主な新増設計画と検討状況

中東で 2017 年以降に 2022 年までに計画されている主要なエチレン新増設計画は次の通りで

ある。

国・立地 企業・事業名 能力

(千トン) 稼働年 備考

オマーン ORPIC 880 2019

イラン Gachsaran 1,000 2021 # 8

Kevian 1,000 2017 #11

Ilam 458 2018 #13

Firouzabad PC 1,000 2022 #14

Boushehr 1,000 2021 #16

(※備考の記載は「世界の主要石油化学プラント」のイランの項目の符号に対応)

イランでは、制裁解除合意が継続する前提で上記のエチレンプロジェクトが進展する見込みであ

る。しかし、天然ガスの開発計画や制裁解除、インフラの整備の状況によっては稼働開始が遅延

する可能性が考えられる。

2030 年までを見据えると、上述したサウジアラビアでの原油から直接石油化学製品を生産す

るプロジェクトやナフサミックスベースでの UAE、オマーンでの新規大規模プロジェクトが計画され

ている。更に進捗に不透明な部分はあるがイランの新規プロジェクトの進展には注視していく必要

がある。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 4,004 3,265 0 33 3,232 0% 1% 33 82% JUPC、KAYAN、 SHARQ、BOROUGE、RAS LAFFAN OLEFINSLD 1,309 1,189 0 786 403 0% 66% 786 91% JUPC、KAYAN、 SHARQ、BOROUGE、RAS LAFFAN OLEFINSHD 1,153 1,001 0 658 343 0% 66% 658 87% SAUDI POLYMERS、YANSAB、BOROUGESM 305 243 0 161 82 0% 66% 161 80% SADAFEG 1,173 930 0 845 85 0% 91% 845 79% SHARQ、JUPC、YANPET、KUWAIT OLEFINS

PVC 155 144 65 0 209 31% 0% ▲ 65 93% PETROKEMYAその他 270 270 0 0 270 0% 0% 0 100%

計AS C2 3,691 3,232 33 2,059 1,206 3% 64% 2,026 88%プロピ 1,548 1,141 0 45 1,096 0% 4% 45 74% SABIC、RABIGH REFINING、BOROUGE、PP 1,153 1,001 0 415 586 0% 41% 415 87% IBN ZAHR、RABIGH、BOROUGEAN 10 9 33 0 42 79% 0% ▲ 33 90%

その他 60 60 0 0 60 0% 0% 0 100%計AS C3 1,258 1,101 36 427 709 5% 39% 391 87%ベンゼン 556 437 0 73 364 0% 17% 73 79% ARAMCO、SAUDI CHEVRON 、RABIGHトルエン 274 232 7 0 239 3% 0% ▲ 7 85% ARAMCO、SAUDI CHEVRON 、RABIGH、SASREFFキシレン 1,031 883 0 0 883 0% 0% 0 86% ARAMCO、SAUDI CHEVRON 、RABIGHPX 825 706 0 586 120 0% 83% 586 86% ARAMCO

PTA 261 181 129 0 310 42% 0% ▲ 129 69%

Page 43: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

中東域内の人口増加による雇用機会創出と多角的産業育成政策により、消費資材や工業用

途へ向けた高付加価値誘導品、加工品、さらにそのダウンストリームといった新規産業へ裾野を

拡大した域内需要拡大が見込まれる。

競争力のある中東地域の原油・天然ガスを原料とした化学産業は安定成長し、誘導品の輸出

は需要が拡大するアジア向けを中心に増加傾向を見込み、大規模な輸出地域として位置付けに

変化はない。

注) 中東各国では石化製品の生産量や輸出入等は統計として正式に発表されておらず、上

記生産量、需要量、輸出入量等は推定値である。

Page 44: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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国・地域名:アフリカ

1.概況

長期的な観点で、アフリカ全体を一つの経済圏としてとして捉えると、豊富な化石エネルギーや

鉱物資源を保有している大陸で、人口が急増していく国の集合体として発展が期待されると観る

ことができる。人口について国連は、2030 年 17 億人と世界人口の 20%、2050 年には 25 億人

を超え、25%以上を占めるとの予測をしている。

現在の一次資源輸出への依存が高い経済構造の中で資源価格の上昇、そして人口増に伴う

都市化の進展によって、各国により程度の差は存在するが、全般的に順調な経済の拡大を遂げ

ている。但し現状では C2、C3 の需要は世界の 2%程度に留まり、市場規模は小さい。

不安定な社会・経済構造や富の偏在という課題・個別の議論はあるものの、2030 年までを見

通すと、資源輸出による歳入増加や人口増と都市化が経済成長を牽引して、着実に石油化学製

品の 終需要は高まっていくことが予想される。

さらに、政府・民間直接投資も資源輸出に頼らない経済を目指し、持続的な成長の基盤となる

インフラストラクチャーに対し積極的に行われ、長期的には世界の石油化学の需給バランスに影

響を与える市場となり得、併せて若い安価な労働力を活かした供給拠点としても発展していくこと

が期待される。

但し、現時点ではアフリカ大陸を一つの経済圏として石油化学産業を捉えることには無理が有

り、偏在している資源保有国や各国の成長度速度の差、政情の安定度といったことを主要因に、

大陸全体としてではなく国別の状況を注視していくことが短中期的には現実的となる。

また、需要構造としては、繊維製品や合成樹脂製品が輸入され、拡大する人口の消費を賄っ

ているとの状況に変化は見られず、二次産業の発展といった産業基盤への進展にはまだ時間が

かかるものと考える。化石エネルギーも地場での石油化学産業の育成や投資へ進める検討はな

されているものの、本格的な外資の参入や技術導入が進む段階に至っていない。従い、一次エネ

ルギーの輸出に依存し、石化原料から誘導品、加工品、消費財へというバリューチェーンのインテ

グレーションにはまだ時間がかかるとの観測が一般的である。

長期的な観点での資源、需要を有した大陸としての石油化学産業発展の可能性はあり、政治

的安定、インフラストラクチャーや製造・加工産業基盤の整備、国や地域を跨いだ経済圏の確立

が今後長期的に観た石油化学産業成長のカギを握ると考えられる。

Page 45: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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2.現状

(1)需給総括表(2016年)

(単位:万トン、%)

(2)主な新増設計画と検討状況

2022 年までの石油化学プロジェクトは、エジプトでナフサを Feedstock とした TAHRIR

PETROCHEMICALS が第 1 期の稼働開始を計画している。

3.将来見通し

(1)需給総括表(2022年)

(単位:万トン、%)

(2)主な新増設計画と検討状況

エジプトの TAHRIR PETROCHEMICALS は建設を 2023 年も継続し、 終的にはエチレン能

力 1.5 百万トン、プロピレン能力 0.8 百万トンとなる計画である。

(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

北アフリカ、サブサハラの天然ガス産出国ではパイプライン、LNG での輸出が検討され、プロジ

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 221 134 0 0 134 0% 0% 0 61% SIDI KERIR、SASOL、INDORAMA ELEME、EthydcoLD 95 53 115 0 168 69% 0% ▲ 115 55% SIDI KERIR、SASOL、INDORAMA ELEME、EthydcoHD 82 59 123 0 182 67% 0% ▲ 123 73% SIDI KERIR、SASOL、INDORAMA ELEME、EthydcoSM 0 0 18 0 18 100% - ▲ 18 -EG 0 0 7 0 7 100% - ▲ 7 -

PVC 79 42 82 0 124 66% 0% ▲ 82 53% TCI SANMAR、EGYPTIAN PC、SASOLその他 0 0 0 0 0 - - 0 -

計AS C2 217 134 291 0 426 68% 0% ▲ 291 62%プロピ 176 126 0 0 126 0% 0% 0 72%PP 82 59 77 0 136 56% 0% ▲ 77 73% EGYPTIAN PROPYLENE AND POLYPROPYLENE、SASOLAN 0 0 5 0 5 100% - ▲ 5 - EGYPTIAN PROPYLENE AND POLYPROPYLENE、SASOL

その他 10 10 0 0 10 0% 0% 0 100%計AS C3 94 71 85 0 156 54% 0% ▲ 85 76%ベンゼン 42 12 0 7 5 0% 58% 7 29% SONATRACHトルエン 3 1 2 0 3 80% 0% ▲ 2 15%キシレン 30 26 0 0 26 0% 0% 0 85%PX 24 20 0 20 0 0% 98% 20 85% SONATRACH

PTA 0 0 11 0 11 100% - ▲ 11 -

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 269 208 0 0 208 0% 0% 0 77% SIDI KERIR、SASOL、INDORAMA ELEME、Ethydco、TAHRIRLD 118 75 160 0 235 68% 0% ▲ 160 64% SIDI KERIR、SASOL、INDORAMA ELEME、Ethydco、TAHRIRHD 104 96 167 0 263 64% 0% ▲ 167 92% SIDI KERIR、SASOL、INDORAMA ELEME、Ethydco、TAHRIRSM 0 0 23 0 23 100% - ▲ 23 -EG 0 0 24 0 24 100% - ▲ 24 -

PVC 79 69 105 0 174 60% 0% ▲ 105 87% TCI SANMAR、EGYPTIAN PC、SASOLその他 6 6 0 0 6 0% 0% 0 100%

計AS C2 269 214 405 0 619 65% 0% ▲ 405 79%プロピ 216 170 0 0 170 0% 0% 0 79%PP 104 96 111 0 207 54% 0% ▲ 111 92% EGYPTIAN PROPYLENE AND POLYPROPYLENE、SASOLAN 0 0 6 0 6 100% - ▲ 6 - EGYPTIAN PROPYLENE AND POLYPROPYLENE、SASOL

その他 10 10 0 0 10 0% 0% 0 100%計AS C3 117 109 121 0 230 53% 0% ▲ 121 93%ベンゼン 58 32 0 27 5 0% 83% 27 56% SONATRACHトルエン 3 1 2 0 3 80% 0% ▲ 2 15%キシレン 30 26 0 0 26 0% 0% 0 85%PX 24 20 0 20 0 0% 98% 20 85% SONATRACH

PTA 0 0 46 0 46 100% - ▲ 46 -

Page 46: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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ェクトの実現性も高くなってきている。ただし、併産されるエタンの化学産業への活路が開ける環

境が整備されるかどうかは見通せない。

冒頭の概要に記述したように 終消費財を生産するための製造業が構築されにくいため、当

面は 終製品としての輸入が支配的となり、エタンベースのコンプレックスが実現する可能性は

不透明との状況が続いている。

また需要についても、人口増加に伴う消費財だけではなく産業用途が育成されるかどうかがポ

イントとなる。

Page 47: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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国・地域名:CIS

1.概況

ロシア中央銀行によると、2017 年のロシアの実質 GDP 成長率は約 2%。ロシアの経済活動

は堅調な原油価格とローカライゼーション推進を反映し、年初予測(0.6%)よりも良好であった。

2018 年の実質 GDP 成長率(基本シナリオ)も同じく約 2%との予想。

また、2016 年末から原油価格が上昇基調に転じ、それを受けて通貨ルーブルも米ドルに対し

為替高の傾向となり、2017 年も回復トレンドを継続した。2017 年のインフレ率は約 2.5%となり、

この四半世紀で 低水準であると言われた 2016 年(5.4%)をさらに下回った。これに対し、2018

年のインフレ率(基本シナリオ)は約 4%との予想。

米国のトランプ政権発足当初、対ロ制裁方針の緩和が期待されたが、実際には両国の関係改

善は進んでいない。2017 年 8 月 2 日には追加制裁が発動され、セクター制裁には従来のエネル

ギー分野に加えて鉄道・金属・採掘分野も指定されたほか、制裁解除に関する米大統領権限が

縮小した。また、通貨ルーブルも、2018 年後半に入ると新興国通貨安の影響に加え、対ロ制裁

の警戒感から下落局面となり、対ドルでは2年ぶりの安値を記録した。

2017 年のロシア国内新車販売台数は前年比 11.9%増の 159 万 5,737 台で、2012 年以降

続いていた販売台数減少のトレンドが 5 年ぶりに増加へと転じた。

CIS 各国は総じてロシアへの貿易依存度が高いことから、ロシア経済の影響を受けやすい。

2017 年、ロシアは景気の底を脱するとの見方が強いことから、CIS 諸国も経済情勢は昨年より

安定すると考えられる。

2.現状

(1)需給総括表(2016年)

(単位:万トン、%)

(2)石化産業の 近の動き

ロシア国内での一人あたりの化学品(主にプラスチック)使用量は、先進国と比較して 3 分の 1

程度と言われており、長期的には使用量増加も含めた内需拡大が予想される。

また、政治問題に端を発する欧米の対ロ制裁の影響を受け、ロシアは輸入製品の自製化を強

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 424 355 0 0 355 0% 0% 0 84% Kazanorgsintez, Sibur-Kstovo, Gazpromneftkhim Salavat, etc.LD 116 96 54 25 125 44% 26% ▲ 29 83% Tomskneftkhim, Nizhnekamsk Neftekhim, Ufaorgsintez, etc.HD 167 151 38 16 174 22% 10% ▲ 22 91% Kazanorgsintez, Uz-Kor Gas Chemical, Stavrolen, etc.SM 77 68 0 24 44 0% 35% 24 89% Nizhnekamsk Neftekhim, Gazpromneftkhim Salavat, etc.EG 70 30 2 4 28 7% 13% 2 43% Sibur Neftekhim, Nizhnekamsk Neftekhim, etc.

PVC 102 79 45 9 115 39% 11% ▲ 36 77% Rusvinyl, Sayanskkhimplast, Bashkhir Soda Company, etc.その他 75 28 0 0 28 0% 0% 0 38%

計AS C2 481 358 117 55 420 28% 15% ▲ 62 75%プロピ 271 238 0 16 222 0% 7% 16 88% Sibur-Tobolsk, Nizhnekamsk Neftekhim, Lukoil-NNOS, etc.PP 165 156 33 32 157 21% 20% ▲ 2 94% Sibur-Tobolsk, Nizhnekamsk Neftekhim, Poliom, etc.AN 24 22 5 18 9 57% 83% 13 93% Saratovorgsintez

その他 55 40 0 0 40 0% 0% 0 73%計AS C3 250 224 40 52 212 19% 23% 13 90%ベンゼン 198 150 3 1 153 2% 0% ▲ 2 76% Gazpromnefkhim Salavat, Nizhnekamsk Neftkhim, etc.トルエン 38 30 0 2 28 0% 6% 2 81% Omsk Refinery, Slavneft-Yaroslavnefteorgsintez, etc.キシレン 90 63 0 3 61 0% 4% 3 71% Omsk Refinery, Ufaneftekhim, etc.PX 102 38 0 27 11 0% 71% 27 37% Omsk Refinery, Bashneft, etc.

PTA 26 26 21 4 43 48% 15% ▲ 17 101% Polief (Sibur)

Page 48: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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めており、ヨーロッパロシア地区を中心に新規の汎用化学品製造のプロジェクトが多数計画され

ている。極東ロシア地区においては、地理的な利点を生かしてアジア市場を見据えた石化/ガス

化学コンプレックス開発計画も進められている。これまでのところ、資源価格の低下と欧米の対ロ

制裁の影響により、プロジェクト開発における必要資金の手当てに問題があり、計画中のプロジェ

クトの大半は遅延や中止となっていたが、資源価格上昇及び制裁対象者をプロジェクトから除外

する等の対応でプロジェクトが始動している。

具体的には、2018 年にシブール社の ZapSibNeftekhim が稼働予定。さらにはロスネフチ社も

極東にて開発を進める FEPCO が 2022 年までの第 1 ステージ稼働を目指しており、中長期的に

大幅な供給増が見込まれる。

CIS 各国においては、この数年の間に肥料製造、汎用化学品製造(主にプラスチックの原料と

なる PP・PE 等)のプロジェクトが動き始めており、輸入代替の進展及び余剰分が輸出市場に回

ることが想定されるが、地理的にアジア・欧州へのアクセスが限られることから、CIS 地域内で販

売されるケースが多くみられることとなる。

3.将来見通し

(1)需給総括表(2022年)

(単位:万トン、%)

(前提となる GDP 伸び率 1.5%)

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 751 645 0 0 645 0% 0% 0 86% FEPCO, Kazanorgsintez, Sibur-Kstovo, etc.LD 196 154 25 39 140 18% 25% 14 79% ZapSibNeftekhim, Tomskneftkhim, Nizhnekamsk Neftekhim HD 490 374 19 198 195 10% 53% 179 76% FEPCO, ZapSibNeftekhim, Kazanorgsintez, etc.SM 77 75 0 25 50 0% 33% 25 98% Nizhnekamsk Neftekhim, Gazpromneftkhim Salavat, etc.EG 70 34 14 0 48 29% 0% ▲ 14 48% Sibur Neftekhim, Nizhnekamsk Neftekhim, etc.

PVC 112 127 22 20 129 17% 16% ▲ 2 114% Rusvinyl, Sayanskkhimplast, Bashkhir Soda Company, etc.その他 75 28 0 0 28 0% 0% 0 37%

計AS C2 900 676 65 261 479 13% 39% 197 75%プロピ 405 342 45 0 387 12% 0% ▲ 45 85% FEPCO, ZapSibNeftekhim, Sibur-Tobolsk, etc.PP 386 305 17 145 177 10% 48% 128 79% FEPCO, ZapSibNeftekhim, Sibur-Tobolsk, etc.AN 28 24 0 14 10 0% 59% 14 87% Saratovorgsintez

その他 55 40 5 0 45 11% 0% ▲ 5 73%計AS C3 482 380 18 165 233 8% 43% 147 79%ベンゼン 204 177 2 7 172 1% 4% 5 87% Gazpromnefkhim Salavat, Nizhnekamsk Neftkhim, etc.トルエン 38 26 0 0 26 0% 0% 0 69% Omsk Refinery, Slavneft-Yaroslavnefteorgsintez, etc.キシレン 90 66 2 0 68 3% 0% ▲ 2 74% Omsk Refinery, Ufaneftekhim, etc.PX 128 60 0 47 13 0% 79% 47 47% Omsk Refinery, Bashneft, etc.

PTA 47 46 48 0 94 51% 0% ▲ 48 97% SAFPET, Polief (Sibur)

Page 49: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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(2)主な新増設計画と検討状況

(千トン) (稼働時期)

エチレン

TURKMENGAZ 400 新設 2018 年

Angarsk Polymer Plant (Rosneft) 250 新設 2019 年

Novy Urengoy GCC 420 新設 2021 年

FEPCO 700 新設 2022 年

ZapSibNeftekhim (Sibur) 1,500 新設 2022 年

LDPE

Novy Urengoy GCC 400 新設 2020 年

ZapSibNeftekhim (Sibur) 400 新設 2022 年

HDPE

SOCAR Polymer 120 新設 2018 年

Turkmengaz (Turkmenistan) 390 新設 2018 年

Angarsk Polymer Plant (Rosneft) 345 新設 2019 年

UZBEKNEFTEGAS(Shurtan) 125→500 増設 2019 年

ZapSibNeftekhim (Sibur) 1100 新設 2022 年

FEPCO 900 新設 2022 年

PVC

NavoiyAzot (Uzbekistan) 100 新設 2018 年

プロピレン

ZapSibNeftekhim (Sibur) 500 新設 2018 年

SOCAR Ethylene-Propylene 60→190 増設 2018 年

Angarsk Polymer Plant (Rosneft) 100→210 増設 2019 年

FEPCO 600 新設 2022 年

PP

Turkmengaz (Turkmenistan) 80 新設 2018 年

SOCAR Polymer (Azerbaijan) 180 新設 2018 年

ZapSibNeftekhim (Sibur) 500 新設 2018 年

Angarsk Polymer Plant (Rosneft) 250 新設 2019 年

KPI Inc. (Kazakhstan, UCC) 500 新設 2020 年

FEPCO (Rosneft) 700 新設 2022 年

AN

Saravatorgsintez 40 増設 2018 年

パラキシレン

Bashneft (Rosneft) 165→265 増設 2018 年

Taneko (Nizhnekamsk) 160 新設 2019 年

Page 50: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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PTA

SAFPET 210 新設 2019 年

ベンゼン

Taneko (Tatneft) 64 新設 2019 年

(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

ロシア政府は汎用化学品の輸入代替策を急いでおり、石化大手各社を中心にポリオレフィン、

PVC 等の増産具体化に向け進展中である。

先述のシブール社/ZapSibNeftekhim、ロスネフチ社/FEPCO の稼働により、理論的には現

状の輸入分も国内生産で賄える水準のキャパシティとなるが、増産ペースに対して緩やかな輸出

減少、それに合った輸出増加を予想する。

カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、アゼルバイジャン等の各国でも、政府の産業

多角化の意向に支えられ、幾つかの汎用石化製品のプロジェクトの推進が想定されており、今後

緩やかな輸出ポジションへの移行が想定されている。

Page 51: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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国・地域名:米 国

1.概況

トランプ政権が 2 年目に入った米国は、新政権スタート後の株式市場でのトランプラリーに代

表されるように金融市場のセンチメントは概ね強く維持され、景気は回復基調に推移。 グローバ

ルに金融緩和が継続され、世界同時好況の様相を呈する中、2018 年初来、完全雇用状況の創

出、ダウ平均株価が市場 高値を更新するなどに加え、リーマンショックから9年が経過し、実体

経済での需給ギャップの縮小・解消が進み、景気循環的上昇局面も強さを増している。 トランプ

大統領が一般教書演説で主張する “New American Moment” の到来を想起させる。

一方、足元では長期金利の上昇がトリガーとなった金融資産のリスクオフ・リスクパリティー戦

略の方向性に加え、VIX 指数の上昇や市場の高速取引化が助長した形で、低金利と好景気が

併存する事が前提の適温相場(ゴルディロックス相場)が急変し、株式市場が乱高下し変動の激

しい荒天相場へと急変している。

また、世界各地に混在する地政学リスク、米国の保護主義的な方向性等に対する懸念がある

ものの、トランプ政権下での大型減税や大規模インフラ投資による経済の活性化による期待感か

ら、概ね経済は好調に推移しており、IMF WEO の 7 月改訂では、2018 年、2019 年の米国の経

済成長率(見通し)はそれぞれ 2.9%、2.7%に上方修正され、米国経済の成長が、世界経済の

成長を主導する状況となっている。

現時点での、米国の主要経済指標は以下の通り:

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

2014 2015 2016 2017

米国実質GDP成長率(季調値)(前年同期比%)

(出所:Bloomberg、米国経済分析局)

Page 52: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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4.0

4.5

5.0

5.5

6.0

6.5

7.0

2014/1 2015/1 2016/1 2017/1 2018/1

米国失業率(季調値)

(出所:Bloomberg、米国労働統計局)

(%)

800

900

1,000

1,100

1,200

1,300

1,400

2014/1 2015/1 2016/1 2017/1

住宅着工件数(季調値)

(出所:Bloomberg、米国国勢調査局)

(千件)

15.0

15.5

16.0

16.5

17.0

17.5

18.0

18.5

19.0

2014/1 2015/1 2016/1 2017/1 2018/1

米国自動車販売台数(季調値)(百万台)

(出所:Bloomberg、ワーズ・オートモーティブ・グループ)

Page 53: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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今後、変化の激しい世界情勢や米国の景気過熱リスク、財政赤字拡大等の懸念材料、予想さ

れる FRB の利上げによる影響等、今後の推移・成り行きに注視する事が肝要。

上述の好調な米国の経済環境を背景に、本年度から、いよいよシェール由来のメガコンプレッ

クスが稼働を開始し、グローバルな石化市場に与える影響が懸念される。

一方で、中長期的(2040~2050 年頃)に見ても、米国に豊富に存在する競争力ある石化原料

やグローバルなメガトレンドに沿い、継続的に増大する石化需要、さらにはトランプ減税による恩

恵を背景に、米国においてシェール由来の 2nd Wave-3rd Wave の新増設計画が進みそうな様

相となってきている。

本年度から 1st Wave で約 10 百万トンの新設プラントが稼働を開始するが、次期プロジェクト

として、さらに約 10 百万トンの新設計画が現実味を帯びてきている。

46

48

50

52

54

56

58

60

62

2014/1 2015/1 2016/1 2017/1 2018/1

米国PMI指数(ISM製造業指数)

(出所:Bloomberg、米供給管理協会)

Page 54: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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2.現状

(1)需給総括表(2016年)

(単位 :万トン、%)

(2)石化産業の 近の動き

2009 年以降実用化が進んだシェール革命は、まず第一に天然ガス及び原油の需給・市況に

多大の影響を与え、その後、世界 大のエネルギー製造国となった米国からの Light Tight Oil

(シェールオイル)、 Condensate((Lease Condensate(LC):井戸元で生産されるコンデンセー

ト、Plant Condensate(PC):製油所やコンデンセート・スプリッターから生産されるコンデンセート)、

LNG、NGL(エタン、プロパン、ブタン)輸出が常態化し、さらには、石化製造設備の新増設が活性

化されブームを呼んだ。

昨年 8 月にテキサス州沿岸部などに大規模な浸水・洪水被害等をもたらした大型ハリケーンに

よるダメージからの復旧後にメガコンプレックスがいよいよ稼働を開始し、1st Wave として 2020

年までに約 10 百万トンのエチレンコンプレックスが増強され、さらには 2nd Wave として 2025~

2026 年頃までに約 10 百万トンの増強が予定されている。その後もグローバルな需要の拡大に

沿い、さらなる増強の可能性も予想される。

同時に、石化原料用途のエタン、LPG の輸出も出荷設備の新増設により増大。米国内のみな

らず、米国産シェール由来原料(含むメタノール)をベースにした石化プラントが、欧州・インド・ブラ

ジル・中国でグローバルに展開され始めた。

これら新増設やシェール由来原料の利用が、グローバルな需給と均衡していればよいが、需給

バランスの変化次第では市況への影響が懸念されるところ。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 2,884 2,596 1 19 2,578 0% 1% 18 90% Equister, ExxonMobil, Dow, Chevron PhillipsLD 811 730 41 158 613 7% 22% 117 90% ExxonMobil, Dow, Westlake, Chevron PhillipsHD 785 737 125 235 627 20% 32% 110 94% Equister, Chevron Phillips, ExxonMobil, FPCSM 499 449 52 214 287 18% 48% 162 90% Ineos Styrolution, LyondellBasel, Cosmer, American StyrenicsEG 219 209 94 56 247 38% 27% ▲ 38 95% Huntsman, Shell, FPC, Indorama, DowDupont

PVC 802 721 24 276 469 5% 38% 252 90% Shintec, FPC, Oxyvinyl, Westlakeその他 490 460 10 250 220 5% 54% 240 94%

計AS C2 2,792 2,571 259 636 2,194 12% 25% 377 92%プロピ 1,947 1,452 54 43 1,463 4% 3% ▲ 11 75% Equister, Dow, ExxonMobil, Shell, EnterprisePP 806 726 31 103 654 5% 14% 72 90% LyondellBasell, Braskem, ExxonMobil, TotalAN 158 100 1 37 64 2% 37% 36 63% Ineos, Asend, Cornerstone

その他 667 600 10 250 360 3% 42% 240 90%計AS C3 1,668 1,456 33 146 1,343 2% 10% 113 87%ベンゼン 839 513 162 20 655 25% 4% ▲ 142 61% ExxonMobile, Marathon, Shell, FlintHillsトルエン 573 266 25 19 272 9% 7% ▲ 6 46% ExxonMobil, Marathon, Citgo, Phillips 66キシレン 770 461 13 30 444 3% 7% 17 60% ExxonMobil, Marathon, FlintHills, BPPX 369 303 52 118 237 22% 39% 66 82% BP, ExxonMobil, FlintHills

PTA 320 288 74 1 361 21% 0% ▲ 73 90% BP, Indorama, DAK

Page 56: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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3.将来見通し

(1)需給総括表(2022年)

(単位 :万トン、%)

(2)主な新増設計画と検討状況

新増設計画は現状では以下の通り:

いわゆるシェール由来の新増設メガコンプレックスのうち、昨年4Qに先陣を切って稼働開始し

た Dow Freeport 1.5 百万トン 以降、Chevron Phillips, Exxon Mobile と言った 1.5 百万トン

規模のメガコンプレックスが順次稼働を開始し、2022 年までの調査対象期間に、デボトル増設を

含めエチレン規模で約 15 百万トンが増大。

さらに、長期見通しの調査対象期間に現時点の状況を考慮し、2020~2025 年にさらに約 4.8

百万トン、 2025~2030 年に約 9~10 百万トンの能力増強が現実味を帯びてきている。

このようにエチレン及びエチレン誘導品の増強計画が旺盛であるが、プロピレン系の増設は限

定的であり、現状から 2022 年の対象期間で、約 2 百万トン、2020~2025 年、2025~2030 年

の長期見通しで、米国内需要の増加も想定し、それぞれの期間に PDH600~750 キトロン/年

規模が1基ずつ増加するという見込みで見通しを作成したが、これら計画は未だ未定。

また、芳香族系に関しては現状では増設が計画されておらず、今後の需要の伸びには輸入で

対応することが予想される。

2040 年までを俯瞰しても、豊富に存在する米国の競争力のある原油・天然ガスを背景に、ま

た、順調に拡大する石化需要を背景に米国での次期大増設が予想される。一方、以下、顕著な

方向性が見られる。即ち、エタンの優位性を基に、エチレン及びエチレン系の新増設は更なる拡

大が予想されるものの、芳香族系(含む SM/PS 系)及び C4 系の新増設は計画されておらず、ま

たプロピレン系の新増設も限定的と予想され、エタン優位原料立地の特徴が顕著に表れている。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 4,194 3,774 1 240 3,535 0% 6% 239 90% Equister, EM, CP, DowDupont, Shell, IneosLD 1,343 1,208 45 560 693 6% 46% 515 90% EM, DowDupont, Equister, WestlakeHD 1,132 1,019 130 450 699 19% 44% 320 90% CP, EM, DowDupont, Equister, FPCSM 499 449 50 180 319 16% 40% 130 90% Styrolution, LBI, Cosmar, ASEG 469 446 100 270 276 36% 61% 170 95% Huntsuman, Shell, FPC, LACC, MEG

PVC 901 811 25 300 536 5% 37% 275 90% Shintech, FPC, Oxyその他 490 460 10 100 370 3% 22% 90 94%

計AS C2 3,888 3,533 272 1,397 2,408 11% 40% 1,125 91%プロピ 2,087 1,565 100 0 1,665 6% 0% ▲ 100 75% Equister, DowDupont, EM, Shell, CP, EntPP 904 814 30 100 744 4% 12% 70 90% LBI, Braskem, EM, TotalAN 159 95 1 25 71 1% 26% 24 60% Ineos, Ascend

その他 667 600 10 100 510 2% 17% 90 90%計AS C3 1,771 1,542 32 130 1,444 2% 8% 98 87%ベンゼン 839 520 250 0 770 32% 0% ▲ 250 62% Conoco, Gulf, Citgo, Phillips 66トルエン 573 269 40 0 309 13% 0% ▲ 40 47% EM, Marathon, Flint Hills, Citgoキシレン 905 543 15 50 508 3% 9% 35 60% EM, Marathon, BP, CP, CitgoPX 369 313 55 100 268 21% 32% 45 85% BP, EM, Flint Hills, CP

PTA 450 405 80 80 405 20% 20% 0 90% BP, DAK, Eastoman, Indorama

Page 57: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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今般、2030 年までの長期見通しを考慮するにあたり、経済見通しは、経済産業省 2017 年版

「経済白書」に記載の、世界経済の潜在成長率、みずほ銀行産業調査部、みずほ綜合研究所発

行の内外経済の中期見通し、IMF WEO をベースに予想し、Oil&Gas 等の原料事情は、IEA/EIA

等のエネルギー機関の長期見通しを参照した。

対象期間の経済成長率見通しは以下の通り:

Project Location Capacity 2017 2018 2019 2020 2021 2022 Up to 2025 Upto 2030 Derivatives Remarks

① De-Bottleneck Expansion Various 875 Firm

② EM(Exxon mobil) Bay Town, TX 1,500 ○ HD 650/L-L 650

③ CP(ChevronPhllips) Cedar Bayou, TX 1,500 ○ HD 500/L-L 500

④ DowDupont Freeport, TX 1,500 ○ ○ Dow L-L 650/LD 375Oyster Creek → 2,000 EG (ME Global mid '19)

⑤ FPC(Formosa Plastic) USA Point Comfort, LA 1,250 ○ LD 625/HDPE 400 1Q 19EG 800

⑥ Shintech Plaquemine, LA 500 ○ EDC/VCM/PVC 3Q-4Q 18

⑦ Oxy/Mexichem JV Ingleside, TX 550 ○ VCM 1Q 17

⑧ Sasol Lake Charles, LA 1,550 ○ L-L 470/LD 420 GTL 2018 HD 470/EO 300/ZA M/T 96,000bbl/day

⑨ Lotte/Axiall (LACC LLC) Lake Charles, LA 1,000 ○ EOG/PE 2020 Start?

⑩ Indorama Ventures PCL Lake Charles, LA 420 ○

⑪ Croda Chemicals New Castle 24 ○

⑫ Total/Borealis/Nova J/V Port Aurther, TX 1,000 ○ ○ Borstar PE 625KT 2022 500 / 23 500

⑬ Shell Monaca 1,500 ○ ○ 2021 750 / 22 750

⑭ EM/Sabic San Patricio, TX 1,800 ○ 2022(Corpus Christi)

⑮ Other Projects Various : Not only 4,800 ○Braskem, PTTPC TX/LA but other

various location

NB② NB③ 2017~2025 2017~2030

Total Capacity Expansion 500 3,000 15,469 18,469

c.f. (Unit:1,000MT/YR)2020→2025 2025→2030

4,800 9,000Shell Monaca 1500 BraskemTotal P Aurther 1000 PTTGCEM/Sabic 1800 CP/Dow/EM/FPCetc

↓ ↓44,238 53,238

De-Bottleneck

875

New Bulding①

14,094

Firm with line‐upof Derivatives.

1st Wave

2nd Wave

3rd Wave

Together  withPossible 2nd Round Mega‐Complex by Majors.↓Another 10 Mil Ton?

Project Location Capacity Process 2015 2016 2017 2018 2019 2020 Beyond 2020 Derivatives Remarks

① Dow Freeport, TX 750 FCC ○

② Enterprise Mont Belvieu, TX 750 PDH ○

③ FPC Point Comfort, LA 600 Steam Cracker → → → ○ PP 2022

④ Indorama Ventures lake Charles 20 Steam Cracker ○

⑥ BASF Freeport 475 Catalytic Cracking ○ ?

⑦ Sunoco Logistics Marcus Hook 500 PDH ○ PP ?

3,095

NB-② NB-③

Total Capacity Expansion 600 975

New Building

1,520

<長期経済成長見通し:潜在成長率>

2020~2025 2025~2030

USA 1.8 1.8Brazil 3.1 3.1Mexico 2.3 2.3Canada 1.8 1.8Latin America 2.1 2.1

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<参考資料>

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(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

米国では好調な経済、トランプ減税等による製造業の米国回帰傾向など、将来的な内需は経

済成長率に沿った増大が期待されるものの、能力増強が年率 10%以上であり、且つ、2017 年度

で既に 500 万トンの輸出超過バランスとなっている。能力の新増設分による生産量の大半は輸

出されることとなり、現状で出荷ターミナルの新設や増強計画が進められているエチレンでの輸出

も模索中となっている。

一方でプロピレン系は将来的に不足バランスとなる可能性もあり、近隣のカナダ等からの輸入

が継続されるものと予想される。

また、芳香族系は製品需要がアジアにシフトしている面もあるが、現状でのベンゼンの輸入約

250 万トンを含め、今後も輸入で需要をまかなう構図が継続される見通し。

加えて、今後、米国の需給及びグローバルな需給に影響を与える可能性のある要因としては、

以下の二点についても動向を注視することが肝要と思われる。

①米中貿易摩擦及び NAFTA 再交渉の行方

②環境対応の一環としての廃棄プラスティックの処理やリサイクルの方向性

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国・地域名:カナダ

1.概況

2017 年末以降の原油価格の上昇、安定が好材料となり、カナダ経済は概ね堅調に推移して

いる。2017 年末時点の失業率も 5.7%と改善、製造業 PMI も 55.9 と好転。IMF WEO の 2018

年 7 月改訂(見通し)では、カナダ経済の成長率を 2017 年 3.0%、2018 年 2.1%と 2017 年発

表時から。2019 年の成長率は 2.0%と予測。WTI 原油価格との連動性の高いカナダドルも対米

ドル 1.3 前後に回復している。

また、2018 年 1 月、ダボス会議では TPP11 への署名合意を発表した。

懸念材料としては、米国との NAFTA 再交渉の動向が挙げられ、この交渉の行方について注

視が必要。

2.現状

(1)需給総括表(2016年)

(単位:万トン、%)

(2)石化産業の 近の動き

アルバータ州でのオイルサンド・在来ガス、ブリティッシュコロンビア州でのシェール等、資源大

国であり、大いに石化分野での潜在的な可能性を秘めているものの、寒冷地、インフラ整備、環

境保護、原住民との調整等が背景で新規計画の進捗は遅々としているが、米国新政権の影響も

あり、懸案のパイプライン計画(KeystoneXL/Trans Mountain)が進み始め、今後の石化分野へ

の好影響が期待される。

また、Interpipeline 社による PDH 及び PP 計画が 2017 年末に FID(final investment

dicision: 終的な投資計画の決定)となり、2021 年後半の完成、稼働を目指す状況。これに加

え、プロピレン誘導品の拡充計画も進められている。他には CKPC(Pembina 社と Kuwait 石油

公社の合弁)による同様の PDH/PP プロジェクトも進んでいる。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 535 444 48 0 492 10% 0% ▲ 48 83% Nova, DowLD 265 225 25 38 212 12% 17% 13 85% Nova, Dow, Imperial OilHD 163 139 33 136 36 91% 98% 103 85% Nova, Dow, Imperial OilSM 88 79 350 1 428 82% 1% ▲ 349 90% Shell, Ineos StyrolutionEG 153 135 1 136 0 - 101% 135 88% ME Global, Shell, Alberta & Orient Gly

PVC 26 25 44 17 52 84% 67% ▲ 27 96% Oxyvinylその他 4 3 4 4 3 117% 117% 0 90%

計AS C2 573 494 183 277 399 46% 56% 94 86%プロピ 76 61 1 24 38 3% 39% 23 80% Nova, Shell, Interpipeline, Imperial OilPP 0 0 27 3 24 113% - ▲ 24 - Interpipeline, CKPC/PembinaAN 0 0 1 1 0 - - 0 -

その他 44 40 0 0 40 0% 0% 0 90%計AS C3 44 40 29 4 65 45% 11% ▲ 25 90%ベンゼン 112 67 8 10 65 12% 15% 2 60% Shell, Novaトルエン 89 80 4 1 83 5% 1% ▲ 3 90% Shell, Petro-Canada, Suncorキシレン 61 54 17 1 70 24% 2% ▲ 16 90% Petro-Canada, Shell, SuncorPX 35 31 1 0 32 3% 0% ▲ 1 87% Parachem

PTA 65 55 1 0 56 2% 0% ▲ 1 85% Indorama

Page 62: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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3.将来見通し

(1)需給総括表(2022年)

(単位:万トン、%)

(2)主な新増設計画と検討状況

(※2.現状(2)石化産業の 近の動き と同様)

Interpipeline 社による PDH 及び PP 計画が 2017 年末に FID(final investment dicision:

終的な投資計画の決定)となり、2021 年後半の完成、稼働を目指す状況。これに加え、プロピレ

ン誘導品の拡充計画も進められている。他には CKPC(Pembina 社と Kuwait 石油公社の合弁)

による同様の PDH/PP プロジェクトも進んでいる。

(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

需要の伸びは限定的であり、輸出バランスが継続される。隣接する巨大米国市場に依存する

構造から、輸出先の多様化が求められる。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 575 489 20 0 509 4% 0% ▲ 20 85% Nova, DowLD 265 239 30 30 239 13% 13% 0 90% Nova, DowHD 163 139 40 135 44 92% 97% 95 85% Nova, DowSM 88 79 400 0 479 83% 0% ▲ 400 90% Shell, StyrolutionEG 153 135 1 136 0 - 101% 135 88% ME Global, Shell

PVC 26 25 45 15 55 82% 60% ▲ 30 96% Oxyvinylその他 4 3 0 0 3 0% 0% 0 89%

計AS C2 573 506 210 267 449 47% 53% 57 88%プロピ 181 145 1 106 40 3% 73% 105 80% Imperila Oil, Nova, ShellPP 105 0 30 0 30 100% - ▲ 30 - Interpipeline, PambinaAN 0 0 1 1 0 - - 0 -

その他 44 40 0 0 40 0% 0% 0 90%計AS C3 152 40 32 1 71 45% 3% ▲ 31 26%ベンゼン 112 67 10 2 75 13% 3% ▲ 8 60% Shell, Novaトルエン 89 80 15 0 95 16% 0% ▲ 15 90% Shell, Petro-Canadaキシレン 61 55 25 0 80 31% 0% ▲ 25 90% Petro-Canada, Suncor, ShellPX 35 31 5 0 36 14% 0% ▲ 5 87% Parachem

PTA 65 55 10 0 65 15% 0% ▲ 10 85% Indorama

Page 63: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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国・地域名:メキシコ

1.概況

メキシコ経済は 1994 年の NAFTA 発効後、対米輸出が牽引し、経済成長率が2~3%と低め

ながら底堅く成長を維持してきた。特に自動車部品関連の対米輸出が際立っている。

従って、輸出の 8 割を占める米国経済に依存する構図となっている。昨年のトランプ政権発足

後は、トランプショックとガソリン価格値上げによる影響が懸念されたが、個人消費が拡大し、現

状では大きな落ち込みは見られず、当面底堅く推移すると予想される。 IMF WEO の直近の見

通しでは、2018 年 2.3%、2019 年 2.7%となっている。

メキシコペソは 2017 年 1 月の対ドル 安値以降、通貨介入政策等で上昇に転じたものの、

2018 年 6 月には再度下げ局面に転じるなど、取引量、流動性からも変動率が激しい通貨であり

注意が必要。また、政策金利に関しては、中央政府はインフレ対策と米国 FRB の利上げに追随

する形で利上げを行い、現状 7.75%となっている。今後も追加利上げが必要となった場合には国

内経済を停滞させる要因となるため、これについても注意が必要。

今後の懸念は、カナダと同様に NAFTA 再交渉の行方、対米関係に加え、2018 年 7 月の大統

領選挙を受けた新興左派の新大統領の政策方針である。これまでのペニャニエト政権では、石油

セクター、通信セクターなどの効率化が潜在成長率の上昇に寄与してきており、新政権において

もこれが継続されるのかが注目される。

2.現状

(1)需給総括表(2016年)

(単位:万トン、%)

(2)石化産業の 近の動き

新規石化コンプレックスの Braskem-Idesa が 2016 年 4 月に稼働を開始し、エチレン系の誘

導品が輸出バランスとなった。当初、稼働が安定しない状況が続いたものの、現状では安定。

Braskme-Idesa の稼働開始により、エチレン系はようやく余剰バランスとなり輸出に貢献して

いるが、プロピレン系及び芳香族は引き続き不足バランスであり、輸入が必要である。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 243 195 1 1 195 1% 1% 0 80% Pemex, Braskem-Idesa, PMVLD 74 59 50 11 98 51% 19% ▲ 39 80% Pemex, Braskem-IdesaHD 79 40 77 21 96 80% 52% ▲ 56 51% Pemex, Braskem-IdesaSM 15 14 66 1 79 84% 7% ▲ 65 90% PemexEG 38 32 23 1 54 43% 3% ▲ 22 85% Idesa, Pemex

PVC 78 70 27 33 64 42% 47% 6 90% Mexichemその他 39 35 0 0 35 0% 0% 0 90%

計AS C2 262 195 177 50 322 55% 26% ▲ 127 74%プロピ 144 65 26 1 90 29% 2% ▲ 25 45% Indelpro, Pemex, Braskem-IdesaPP 59 52 53 4 101 52% 8% ▲ 49 88% IndelproAN 4 3 5 1 7 68% 29% ▲ 4 85% Unigel

その他 35 32 0 0 32 0% 0% 0 90%計AS C3 100 89 60 5 144 42% 6% ▲ 55 89%ベンゼン 16 8 1 0 9 11% 0% ▲ 1 50% Pemexトルエン 38 33 5 1 37 14% 3% ▲ 4 88% Pemexキシレン 48 34 1 1 34 3% 3% 0 71% PemexPX 0 0 94 0 94 100% - ▲ 94 -

PTA 153 138 1 58 81 1% 42% 57 90% Petrocel, Temex

Page 64: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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3.将来見通し

(1)需給総括表(2022年)

(単位:万トン、%)

(2)主な新増設計画と検討状況

Braskem 65%、Idesa 35%の合弁による新規エチレンコンプレックスの建設がベラクルス州

Nanchital で完成し、2016 年 1Q から生産開始している(エチレン 100 万トン、LDPE 30 万トン、

HDPE 75 万トン)。

(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

現在、メキシコの石化は品目により異なるものの基本的に不足バランスであり、米国からの輸

入に頼る状況。今後、内需の増加もあり、基本的な不足バランスが継続する見込みである。

中南米においては、特に豊富に資源を有する国々で、石化事業拡大の潜在性はあるものの、

政情の安定性の問題等から新規プロジェクト案件は遅々として進んでおらず、今後も米国品が中

間物から製品に至るまで、中南米の需要増を補う構図に大きな変化は見られない。今後につい

ては、まずは Oil&Gas 開発の流れに沿った石化分野の拡大に期待がかかる。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 225 180 70 0 250 28% 0% ▲ 70 80% Pemex, Braskem-Idesa, PMVLD 87 69 60 10 119 50% 14% ▲ 50 80% Pemex, Braskem-IdesaHD 98 83 90 60 113 79% 72% ▲ 30 85% Pemex, Braskem-IdesaSM 0 0 100 0 100 100% - ▲ 100 - PemexEG 38 32 35 0 67 52% 0% ▲ 35 85% Idesa, Pemex

PVC 78 71 30 30 71 43% 43% 0 90% Mexichemその他 39 35 0 0 35 0% 0% 0 90%

計AS C2 290 246 220 87 378 58% 35% ▲ 132 85%プロピ 144 65 30 0 95 32% 0% ▲ 30 45% Indelpro, PemexPP 69 59 60 0 119 51% 0% ▲ 60 85% IndelproAN 0 0 10 0 10 100% - ▲ 10 - Unigel

その他 35 32 0 0 32 0% 0% 0 91%計AS C3 106 92 73 0 165 44% 0% ▲ 73 87%ベンゼン 16 8 3 0 11 27% 0% ▲ 3 50% Pemexトルエン 38 32 10 0 42 24% 0% ▲ 10 85% Pemexキシレン 48 34 6 0 40 15% 0% ▲ 6 71% PemexPX 0 0 120 0 120 100% - ▲ 120 - Pemex

PTA 153 138 1 45 94 1% 33% 44 90% Petrocel, Temex

Page 65: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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国・地域名:ブラジル

1.概況

ブラジル経済は、13 年継続した左翼政権が、大統領弾劾・罷免による政権交代で転機を迎え、

財政健全化の方針、保護主義から自由化への路線転換が図られる見通しを背景に消費者、企

業のマインドの好転とともに、政策金利の利下げによる企業の設備投資の増加で緩やかな回復

が期待されたものの、10 月の大統領選挙を巡る状況は今後の不透明感を強くしている。

また、通貨レアルも一時期、回復基調を見せたが、対ドルで軟調が続いている。

IMF WEO の直近の見直しでは、2018 年 1.8%、2019 年 2.5%の成長見通しとなっている。

2.現状

(1)需給総括表(2016年)

(単位:万トン、%)

(2)石化産業の 近の動き

原油市況の低迷、Petorbras の汚職問題等により、新規プロジェクトである Comperj 計画

(Rio de Janeiro Petrochemical Complex)が遅々として進んでいない。リオデジャネイロ沖の

プレサル原油をベースとした大型石化プロジェクトは、主体が Petorbras から Braskem に移る等

の変化もあり、進展が見られない。経済が停滞する中、新規プロジェクトへの投資も滞り、当面は

石化での大きな変化は期待できない状況である。

2006 年以降、Petrobras が保有する Braskem の株式売却問題が決着しておらず、中国

CNPC, Saudi Aramco, Canada Brookfield Asset management の三社が買収の候補として名

前が挙がっている。

また、Comperj 計画は中国 CNPC との合弁を模索するなど事態が混沌としている。

さらには、Braskem の 大株主である、Odebrecht も Braskem 株の売却を検討するなど混

乱に拍車をかけていると報じられている。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 395 357 1 7 351 0% 2% 6 90% BraskemLD 173 148 25 64 109 23% 43% 39 86% BraskemHD 133 111 38 26 123 31% 23% ▲ 12 83% BraskemSM 54 46 13 1 58 23% 2% ▲ 12 85% Unigel, Videolar-InnovaEG 36 31 14 1 44 32% 3% ▲ 13 85% Oxiteno

PVC 102 102 29 13 118 25% 13% ▲ 16 100% Braskem, SolveyIndupaその他 10 10 0 0 10 0% 0% 0 100%

計AS C2 408 354 92 97 349 26% 27% 6 87%プロピ 279 232 1 9 224 0% 4% 8 83% Braskem, PetrobrasPP 185 159 19 36 142 13% 23% 17 86% BraskemAN 10 9 1 8 2 67% 94% 7 85% Acrinor

その他 57 51 0 0 51 0% 0% 0 90%計AS C3 258 224 21 46 199 10% 20% 25 87%ベンゼン 105 84 0 26 58 0% 31% 26 80% Braskem, Petrobrasトルエン 61 55 1 7 49 2% 13% 6 90% Braskem, Petrobrasキシレン 65 62 1 2 61 2% 3% 1 95% Beaskem, PetrobrasPX 21 18 13 4 27 48% 22% ▲ 9 89% Braskem

PTA 70 60 29 1 88 33% 2% ▲ 28 85% Petroquimica Suape

Page 66: 03 資料2 国別データシート...2016年の成長率は前年比6.7%と、2015年の同6.9%から伸びは低下したものの、政府の 経済成長目標率である同6.5~7.0%を達成した。

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3.将来見通し

(1)需給総括表(2022年)

(単位:万トン、%)

(2)主な新増設計画と検討状況

① Comperj 計画 (Rio de Janeiro Petrochemical Complex)(2021 年以降稼働予定)

エチレン 130 万トン、プロピレン 45 万トン、HDPE 35 万/LDPE 65 万トン、

EG 60 万トン、SM 50 万トン、ベンゼン 60 万トン、PX 70 万トン

② BASF Acrylic Acid/SAP プロジェクト(Camacari)(2015 年)

Petrobras:プロピレン 15 万トン、BASF:アクリル酸 16 万トン

③ Petroquimica Suape(2016 年)

Petrobras:PTA 70 万トン

また、中南米地域では、現時点でそのほか特段の新増設の計画がなく、2021 年までの大きな

変化は無いと予想される。

(3)需給バランス・輸出入バランス等に係るコメント

ベンゼン、プロピレン、ブタジエン、ポリオレフィンが輸出バランスとなり、米国中心に輸出されて

いる。

(4)その他

Comperj 計画に関しては、上記のように、予定通りの進捗が期待できない状況であり、昨年同

様、同プロジェクトによる増強は 2021 年までの設備増強から除いた。

能力 生産 輸入 輸出 内需 輸入 輸出 バランス 稼働率 主要メーカー(A) (B) (C) (D) E=B+C-D 比率 比率 (B-E) (B/A)

(C/E) (D/B)C2 395 336 0 0 336 0% 0% 0 85% BraskemLD 173 147 25 50 122 21% 34% 25 85% BraskemHD 133 113 40 20 133 30% 18% ▲ 20 85% BraskemSM 54 46 20 0 66 30% 0% ▲ 20 85% Unigel, VideolarEG 36 31 20 0 51 40% 0% ▲ 20 85% Oxiteno

PVC 102 71 65 0 136 48% 0% ▲ 65 70% Braskem, SolveyIndupaその他 11 9 0 0 9 0% 0% 0 77%

計AS C2 409 339 118 70 387 30% 21% ▲ 48 83%プロピ 279 223 0 0 223 0% 0% 0 80% Braskem, PetrobrasPP 185 157 20 20 157 13% 13% 0 85% BraskemAN 10 9 1 8 2 67% 94% 7 85% Acrinor

その他 57 51 0 0 51 0% 0% 0 89%計AS C3 258 222 22 29 215 10% 13% 8 86%ベンゼン 105 84 0 20 64 0% 24% 20 80% Braskem, Petrobrasトルエン 61 55 1 1 55 2% 2% 0 90% Braskem, Petrobrasキシレン 65 62 6 0 68 9% 0% ▲ 6 95% Braskem, PetrobrasPX 21 18 15 2 31 48% 11% ▲ 13 89% Braskem

PTA 70 60 40 0 100 40% 0% ▲ 40 85% Petroquimica Suape