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情報学特論 #01 2008-04-14 むらた けんた

情報学特論#01

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Page 1: 情報学特論#01

情報学特論#012008-04-14むらた けんた

Page 2: 情報学特論#01

おしながき•Shannon 情報量と Boltzmann エントロピー

•エントロピー•1分子気体の圧縮•演習問題

2

Page 3: 情報学特論#01

Shannon 情報量とBoltzmann エントロピー

Page 4: 情報学特論#01

エントロピーentropy

Page 5: 情報学特論#01

エントロピー

•熱力学のエントロピー•統計力学のエントロピー

5

Page 6: 情報学特論#01

熱力学のエントロピー•マクロな系への熱の移動を表す量

6

系がマクロ状態 A からマクロ状態 B へ状態遷移する可逆過程で獲得する熱量の軌跡 C に沿った線積分

S(B) =!

C

d!Q

T+ S(A)

A

CB

Page 7: 情報学特論#01

可逆過程

7

A

B

Page 8: 情報学特論#01

可逆過程

7

A

CB

Page 9: 情報学特論#01

可逆過程

7

A

CB

!

C

d!Q

T

Page 10: 情報学特論#01

可逆過程

7

A

CB

C’

!

C

d!Q

T

Page 11: 情報学特論#01

可逆過程

7

A

CB

C’

!

C

d!Q

T+

!

C!

d!Q

T

Page 12: 情報学特論#01

!

C

d!Q

T+

!

C!

d!Q

T=

"d!Q

T

可逆過程

7

A

CB

C’

Page 13: 情報学特論#01

!

C

d!Q

T+

!

C!

d!Q

T=

"d!Q

T= 0

可逆過程

7

A

CB

C’

Page 14: 情報学特論#01

!

C

d!Q

T+

!

C!

d!Q

T=

"d!Q

T= 0

可逆過程

7

A

CB

C’

状態遷移の過程(C, C’ の形)に依らず状態が同じならエントロピーは同じ値になる

Page 15: 情報学特論#01

!

C

d!Q

T+

!

C!

d!Q

T=

"d!Q

T= 0

可逆過程

7

A

CB

C’

状態遷移の過程(C, C’ の形)に依らず状態が同じならエントロピーは同じ値になる

エントロピーは熱力学系の状態量

Page 16: 情報学特論#01

エントロピーの計算

8

V1 V2

N 個の分子を含んでいる体積 V1 の気体に力 F を加えて体積を V2 に等温圧縮する

Page 17: 情報学特論#01

等温過程

9

問題の対象である系の全体を一定温度 T を持つ熱浴に浸し,系が常に同じ温度に保たれる状態における状態遷移の過程

Page 18: 情報学特論#01

等温過程

9

問題の対象である系の全体を一定温度 T を持つ熱浴に浸し,系が常に同じ温度に保たれる状態における状態遷移の過程

等温過程では温度は変化しない

Page 19: 情報学特論#01

10

(1) 気体を圧縮するために必要な仕事を求める

(2) Helmholtz エネルギーの変化を求める

(3) エントロピーの変化を求める

Page 20: 情報学特論#01

10

(1) 気体を圧縮するために必要な仕事を求める

(2) Helmholtz エネルギーの変化を求める

(3) エントロピーの変化を求める

Page 21: 情報学特論#01

気体の圧縮に必要な仕事

11

Page 22: 情報学特論#01

気体の圧縮に必要な仕事

11

力 F が小さな距離 dx だけ移動するときに成される仕事 dW は

Page 23: 情報学特論#01

気体の圧縮に必要な仕事

11

力 F が小さな距離 dx だけ移動するときに成される仕事 dW は dW = Fdx

Page 24: 情報学特論#01

気体の圧縮に必要な仕事

11

力 F が小さな距離 dx だけ移動するときに成される仕事 dW は

気体の圧力を p,ピストンの面積を A として F = pA を使い,気体の体積変化をdV = Adx と表せば

dW = Fdx

Page 25: 情報学特論#01

気体の圧縮に必要な仕事

11

力 F が小さな距離 dx だけ移動するときに成される仕事 dW は

気体の圧力を p,ピストンの面積を A として F = pA を使い,気体の体積変化をdV = Adx と表せば

dW = Fdx

dW = pdV

Page 26: 情報学特論#01

(Fdx = pAdx = pdV )

気体の圧縮に必要な仕事

11

力 F が小さな距離 dx だけ移動するときに成される仕事 dW は

気体の圧力を p,ピストンの面積を A として F = pA を使い,気体の体積変化をdV = Adx と表せば

dW = Fdx

dW = pdV

Page 27: 情報学特論#01

理想気体の状態方程式

12

Page 28: 情報学特論#01

理想気体の状態方程式

12

n モルの理想気体が圧力 p,体積 V,温度 T であるときに成立する関係式

Page 29: 情報学特論#01

pV = nRT

理想気体の状態方程式

12

n モルの理想気体が圧力 p,体積 V,温度 T であるときに成立する関係式

Page 30: 情報学特論#01

pV = nRT

理想気体の状態方程式

12

n モルの理想気体が圧力 p,体積 V,温度 T であるときに成立する関係式

Boltzmann 定数を kB,Avogadro 定数を NA と書くと R = kBNA だから

Page 31: 情報学特論#01

pV = nRT

理想気体の状態方程式

12

n モルの理想気体が圧力 p,体積 V,温度 T であるときに成立する関係式

Boltzmann 定数を kB,Avogadro 定数を NA と書くと R = kBNA だから

pV = kBnNAT

Page 32: 情報学特論#01

仕事を求める

13

Page 33: 情報学特論#01

仕事を求める

13

dW = pdV

Page 34: 情報学特論#01

仕事を求める

13

dW = pdV

Page 35: 情報学特論#01

仕事を求める

13

dW = pdV

Page 36: 情報学特論#01

仕事を求める

13

dW = pdV

Page 37: 情報学特論#01

(N = nNA)

仕事を求める

13

dW = pdV

Page 38: 情報学特論#01

(N = nNA)

仕事を求める

13

dW = pdV

Page 39: 情報学特論#01

(N = nNA)

仕事を求める

13

dW = pdV

Page 40: 情報学特論#01

(N = nNA)

W =! V2

V1

kBNT

VdV

仕事を求める

13

dW = pdV

Page 41: 情報学特論#01

(N = nNA)

W =! V2

V1

kBNT

VdV = kBNT log

V2

V1

仕事を求める

13

dW = pdV

Page 42: 情報学特論#01

14

(1) 気体を圧縮するために必要な仕事を求める

(2) Helmholtz エネルギーの変化を求める

(3) エントロピーの変化を求める

W =! V2

V1

kBNT

VdV = kBNT log

V2

V1

Page 43: 情報学特論#01

14

W =! V2

V1

kBNT

VdV = kBNT log

V2

V1

(1) 気体を圧縮するために必要な仕事を求める

(2) Helmholtz エネルギーの変化を求める

(3) エントロピーの変化を求める

Page 44: 情報学特論#01

Helmholtz エネルギー

15

Page 45: 情報学特論#01

Helmholtz エネルギー

15

系の内部エネルギーのうち,等温条件下で仕事として取り出せるもの(自由エネルギーとも呼ばれる)

Page 46: 情報学特論#01

Helmholtz エネルギー

15

系の内部エネルギーのうち,等温条件下で仕事として取り出せるもの(自由エネルギーとも呼ばれる)

系の内部エネルギーが U,温度が T,エントロピーが S であるとき,Helmholtz の自由エネルギー F は

Page 47: 情報学特論#01

F = U ! TS

Helmholtz エネルギー

15

系の内部エネルギーのうち,等温条件下で仕事として取り出せるもの(自由エネルギーとも呼ばれる)

系の内部エネルギーが U,温度が T,エントロピーが S であるとき,Helmholtz の自由エネルギー F は

Page 48: 情報学特論#01

F の等温微小変化

16

Page 49: 情報学特論#01

F の等温微小変化

16

気体が等温条件下でゆっくり圧縮される場合について考えると,状態量は微小変化になる

Page 50: 情報学特論#01

F の等温微小変化

16

気体が等温条件下でゆっくり圧縮される場合について考えると,状態量は微小変化になる

dF = dU ! TdS

Page 51: 情報学特論#01

F の等温微小変化

16

気体が等温条件下でゆっくり圧縮される場合について考えると,状態量は微小変化になる

dF = dU ! TdS

温度が一定なら気体の内部エネルギーは変化しないので dU = 0

Page 52: 情報学特論#01

dF = !TdS

F の等温微小変化

16

気体が等温条件下でゆっくり圧縮される場合について考えると,状態量は微小変化になる

dF = dU ! TdS

温度が一定なら気体の内部エネルギーは変化しないので dU = 0

Page 53: 情報学特論#01

F の変化量を求める

17

dF = !TdS

この dF は熱浴に奪われた熱エネルギー損失であり,いまの場合,気体に与えた仕事のエネルギーがすべて熱浴に奪われているため

と表わされる(微小変化ではないことに注意)

Page 54: 情報学特論#01

F の変化量を求める

17

dF = !TdS

この dF は熱浴に奪われた熱エネルギー損失であり,いまの場合,気体に与えた仕事のエネルギーがすべて熱浴に奪われているため

と表わされる(微小変化ではないことに注意)

!F = !kBTN logV2

V1

Page 55: 情報学特論#01

エントロピーの変化量

18

!F = !kBTN logV2

V1dF = !TdS

Page 56: 情報学特論#01

エントロピーの変化量

18

!F = !kBTN logV2

V1dF = !TdS

Page 57: 情報学特論#01

エントロピーの変化量

18

!S = kBN logV2

V1

!F = !kBTN logV2

V1dF = !TdS

Page 58: 情報学特論#01

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(1) 気体を圧縮するために必要な仕事を求める

(2) Helmholtz エネルギーの変化を求める

(3) エントロピーの変化を求める

W =! V2

V1

kBNT

VdV = kBNT log

V2

V1

!F = !kBTN logV2

V1

!S = kBN logV2

V1

Page 59: 情報学特論#01

エントロピー

•熱力学的なエントロピー•統計力学的なエントロピー

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Page 60: 情報学特論#01

熱力学と統計力学の関係

•熱力学は系(気体)のマクロな性質を扱う

•統計力学は系(気体)のミクロな性質を確率的に扱ってマクロな性質を導き出す

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Page 61: 情報学特論#01

統計力学のエントロピー

22

統計力学のエントロピーは,気体の「配位」(configuration)̶ N 個の構成分子の各々について位置と運動量の特定の配置 ̶ が発見される確率と関係がある

Page 62: 情報学特論#01

統計力学のエントロピー

22

統計力学のエントロピーは,気体の「配位」(configuration)̶ N 個の構成分子の各々について位置と運動量の特定の配置 ̶ が発見される確率と関係がある

すべての分子が同じ方向に動いている配位が発見される確率

Page 63: 情報学特論#01

統計力学のエントロピー

22

統計力学のエントロピーは,気体の「配位」(configuration)̶ N 個の構成分子の各々について位置と運動量の特定の配置 ̶ が発見される確率と関係がある

すべての分子が同じ方向に動いている配位が発見される確率

分子が至る所でバラバラに素早く動いている配位が発見される確率

Page 64: 情報学特論#01

統計力学のエントロピー

22

統計力学のエントロピーは,気体の「配位」(configuration)̶ N 個の構成分子の各々について位置と運動量の特定の配置 ̶ が発見される確率と関係がある

すべての分子が同じ方向に動いている配位が発見される確率

分子が至る所でバラバラに素早く動いている配位が発見される確率<

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エントロピーの統計力学による定義

23

気体のある特定の配位が発見される確率を W とすると

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エントロピーの統計力学による定義

23

気体のある特定の配位が発見される確率を W とすると

S ! kB log W

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エントロピーの意味

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すべての分子が同じ方向へ動いている気体の W は,より無秩序な構成の気体の W よりもずっと小さく,従って小さなエントロピーを持つ

気体の配位についての知識が少ないほど,気体はより多くの状態に存在可能で,全 W は大きくなり,エントロピーが大きくなる.

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演習問題

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V2 =12V1

1分子理想気体の等温圧縮

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V1 V2

ここで圧縮前後での気体のエントロピーと自由エネルギーの変化は?