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―  ― 45 東北大学大学院教育学研究科研究年報 第64集・第1号(2015年) 本研究の目的は,保育所,幼稚園など幼児が集団で生活する場における,幼児の社会性発達チェッ クリストを開発することであった。既存の発達検査,知能検査の項目から集団場面での子どもの社 会性発達に関する113項目を抽出し,子どもの発達に関する質問紙を作成した。項目は,〈集団活動〉 〈子ども同士の関係〉〈言語〉〈認識〉〈感情〉の5領域に分類された。1歳児~ 6歳児までの子ども 1667名の発達について,保育者にチェックを依頼した。得られた回答のうち,典型発達児1329名の データに基づき項目を抽出した。最終的に,各領域10項目,1歳~ 5歳までの各年齢段階10項目を 配置した社会性発達チェックリストを作成した。この社会性発達チェックリストは,「気になる」 子どもの発達をチェックするだけでなく,クラス集団全体の発達と特徴を理解するのに役立つと考 えられる。 キーワード:社会性発達チェックリスト,保育,「気になる」子ども Ⅰ.問題と目的 すべての子どもが教育を受ける基本的権利をもつと同時にそれぞれの多様な特性や特別なニーズ を考慮した教育の原則を示した「サマランカ宣言」が出されたのが1994年のことである。それを契 機として,世界的には「インテグレーション」から「インクルージョン」への理念の転換が進められ ることになった。日本においては,2003年 の「今後の特別支援教育の在り方について」(最終報告) によって,障害の程度等に応じ特別の場で指導を行う「特殊教育」から障害のある児童生徒一人一人 の教育的ニーズに応じて適切な教育的支援を行う「特別支援教育」への転換が図られた。また,2007 保育場面における幼児の社会性発達チェックリストの開発 本 郷 一 夫 *      飯 島 典 子 **     高 橋 千 枝 ***    小 泉 嘉 子 ****   平 川 久美子 *****  神 谷 哲 司 ****** 教育学研究科 教授 ** 聖和学園短期大学 准教授 *** 鳥取大学 准教授 **** 尚絅学院大学 准教授 ***** 石巻専修大学 助教 ****** 教育学研究科 准教授

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―  ―45

� 東北大学大学院教育学研究科研究年報 第64集・第1号(2015年)

 本研究の目的は,保育所,幼稚園など幼児が集団で生活する場における,幼児の社会性発達チェッ

クリストを開発することであった。既存の発達検査,知能検査の項目から集団場面での子どもの社

会性発達に関する113項目を抽出し,子どもの発達に関する質問紙を作成した。項目は,〈集団活動〉

〈子ども同士の関係〉〈言語〉〈認識〉〈感情〉の5領域に分類された。1歳児~ 6歳児までの子ども

1667名の発達について,保育者にチェックを依頼した。得られた回答のうち,典型発達児1329名の

データに基づき項目を抽出した。最終的に,各領域10項目,1歳~ 5歳までの各年齢段階10項目を

配置した社会性発達チェックリストを作成した。この社会性発達チェックリストは,「気になる」

子どもの発達をチェックするだけでなく,クラス集団全体の発達と特徴を理解するのに役立つと考

えられる。

キーワード:社会性発達チェックリスト,保育,「気になる」子ども

Ⅰ.問題と目的 すべての子どもが教育を受ける基本的権利をもつと同時にそれぞれの多様な特性や特別なニーズ

を考慮した教育の原則を示した「サマランカ宣言」が出されたのが1994年のことである。それを契

機として,世界的には「インテグレーション」から「インクルージョン」への理念の転換が進められ

ることになった。日本においては,2003年 の「今後の特別支援教育の在り方について」(最終報告)

によって,障害の程度等に応じ特別の場で指導を行う「特殊教育」から障害のある児童生徒一人一人

の教育的ニーズに応じて適切な教育的支援を行う「特別支援教育」への転換が図られた。また,2007

保育場面における幼児の社会性発達チェックリストの開発

本 郷 一 夫*     

飯 島 典 子**    

高 橋 千 枝***   

小 泉 嘉 子****  

平 川 久美子***** 

神 谷 哲 司******

     *教育学研究科 教授    **聖和学園短期大学 准教授   ***鳥取大学 准教授  ****尚絅学院大学 准教授 *****石巻専修大学 助教******教育学研究科 准教授

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保育場面における幼児の社会性発達チェックリストの開発

年には,「学校教育法の一部を改正する法律」施行によって,「特別支援教育」が学校教育法に位置

づけられ,すべての学校において,障害のある幼児児童生徒の支援をさらに充実していくこととなっ

た。

 現在では,教育現場においては「校内委員会の設置」「実態把握」「コーディネーターの配置」など

のいわゆる特別支援教育における形式的側面での整備は整いつつある。ちなみに,平成26年度の調

査では,小学校においては,「校内委員会の設置」(99.4%),「実態把握」(98.6%),「コーディネーター

の配置」(99.3%)という結果が示されており(文部科学省,2015),ほぼ全校において体制が整いつ

つあることがうかがわれる。一方,幼稚園では,「実態把握」(89.5%)は比較的なされているものの,

「校内委員会の設置」(58.2%),「コーディネーターの配置」(62.6%)は遅れている。さらに,「個別

の教育指導計画」(47.3%)や「個別の教育支援計画」(38.6%)の作成はあまり進んでいない。

 このような背景の一つとして,幼児期では,障害の確定診断がなされていない場合が多いこと,

保護者の認識が十分ではないことなどが挙げられるであろう。しかし,この点については, 「特別

支援教育を推進するための制度の在り方について(答申)」(文部科学省,2005)及び「障害児支援の

見直しに関する検討会報告書」(厚生労働省,2008)において,障害に関する医学的診断の確定にこ

だわらず,常に教育的ニーズを把握しそれに対応した指導等を行う必要があること,「気になる」と

いう段階から,親子をサポートできるような仕組みが必要であることが指摘されている。

 このような流れの中で,私たちは,保育所における「気になる」子どもの特徴を明らかにするため

に,調査を行った。その結果,「気になる」子どもの特徴として,⑴ 対人的トラブル,⑵ 落ち着きの

なさ,⑶ 状況への順応性の低さ,⑷ ルール違反,⑸ その他(衝動性)の5つの因子を見出した(本郷・

澤江・鈴木他,2003)。次に,それに基づき,⑴ 「気になる」子どもの行動チェックリストを作成する

とともに,⑵ クラス集団チェックリスト,⑶ 保育環境チェックリスト・「物的環境」整備計画票,⑷

保育体制チェックリスト,⑸ 保護者支援チェックリストを作成した(本郷・飯島・杉村他,2005)。

その後,チェックリストは改訂を重ねながら,「気になる」子どもの保育支援に用いてきた(本郷,

2006;本郷・杉村・飯島他,2006;本郷,2010)。さらに,「気になる」子どもの保育・教育支援の柱で

ある「支援の5つの柱」(①「気になる」子どもへの支援,②クラス集団への支援,③物的環境の整備,

④保育体制の整備,⑤保護者支援)に基づく保育コンサルテーションの効果を検証した(本郷・飯島・

平川・杉村,2007)。その結果,「気になる」子どもの保育コンサルテーションに当たっては,上述の

チェックリストを用いて,「気になる」子どもや子どもを取り巻く環境の理解に基づく支援が有効

であることが示された。

 しかし,チェックリストだけでは,「気になる」子どもの理解が十分ではない場合がある。一般に,

「気になる」子どもは,知的な側面については顕著な遅れがないことが多い。しかし,子どもによっ

ては,全体的に発達がゆっくりしている場合や領域間のアンバランスがあり,それが逸脱行動につ

ながっている場合もある。さらに,知的発達の側面だけではなく,日常保育場面における広い意味

での社会性の発達を捉えることが必要となる。

 「気になる」子どもの発達の理解に関しては,これまで,各研究者らが開発した独自のチェックリ

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� 東北大学大学院教育学研究科研究年報 第64集・第1号(2015年)

ストに加え,遠城寺式・乳幼児分析的発達検査法(大河内,2015),KIDS(本郷・飯島・平川,2010),

SDQ(玉井・堀江・寺脇・村松,2011;大神,2011)などが用いられてきた。また,幼児の社会性の発

達を捉える指標としては,CBCL(田中・清水・金光,2013),中台・金山(2002)の幼児の社会的ス

キル尺度(森下・阿部,2013;森・橋本,2012)などが用いられている。

 しかし,各尺度は,各々,作成されている年代や目的が違うため,「気になる」子どもの発達理解

にそのままの形で用いるのが難しい。その点で,「気になる」子どもの行動の背景を理解し,それに

基づく保育支援計画を立案するためには,次の要件を備えた尺度が必要となると考えられる。すな

わち,第1に,集団場面での子どもの発達を捉えることができること,第2に,幼児期全体をカバー

すること,第3に,適応/不適応ではなく,発達という観点から子どもの状態を把握できること,第

4に,保育者が簡単に実施できること,第5に,必要に応じて,クラス全体の子どもの発達特徴を知

るために利用できることである。

 表1には,社会性の発達に関する検査の特徴が示されている。上述の観点に照らして,各検査の

特徴を見ると,⑴ 集団場面では観察するのが難しく,家庭における観察が必要な項目が含まれてい

るもの(遠城寺式,KIDS),⑵ 作成されてからかなりの年月が経ち,現在の状況に合わない項目が

含まれているもの(遠城寺式,津守式,新版 S-M 社会生活能力検査),⑶ 幼児期の一部しかカバー

していないもの(DESC,STAR),⑷ 発達的観点というよりも適応/不適応に焦点が当てられてい

るもの(CBCL,SDQ),⑸項目が多く,クラス全体の子どもの状態把握には使いにくいもの

(Vineland-II),⑹発達障害,知的能力障害などを念頭においた構成になっているもの(新版 S-M 社

会生活能力検査,DESC),などの特徴があり,いずれもそのままの形では使用が難しいと考えられ

る。

 以上の点から,本研究は,保育所,幼稚園,認定子ども園など幼児が集団で生活する場における,

幼児の社会性発達検査を開発することを目的とした。

Ⅱ.方 法 1.  対象児: 宮城県,鳥取県の15か所の保育所の保育士にクラスの子ども一人一人について,

社会性発達チェックリストの全項目について,チェックするように求めた。その結果,1963件が回

収された。

 2. 調査期間: 調査は,2013年11月~ 2014年2月に行われた。

 3. 調査手続き: 各保育所に「子どもの社会性発達チェックリスト」を配布し,各クラスの担任

保育士1名に子どもの発達状況をチェックしてもらった。その際,子どもの年齢にかかわらず,す

べての項目について,「できる」(○),「できない」(×),「分からない」(△)の3段階でチェックす

るように求めた。なお,これまでに観察したことがない項目については,日常の保育の中で実際に

子どもに働きかけるなどして,可能な限り,直接確認するように求めた。また,日常生活で「気にな

る」特徴があると感じられる子どもについては〈「気になる」子どもの行動〉に関する14項目をチェッ

クしてもらった。これらの項目は「気になる」「やや気になる」「気にならない」の3段階でチェック

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保育場面における幼児の社会性発達チェックリストの開発

表1 社会性の発達に関する検査の特徴

検査

津守

式乳

幼児

精神

発達

診断

法(

1961

)(

1965

遠城

寺式

乳幼

児分

析的

発達

検査

法(

1976

KID

S乳

幼児

発達

スケ

ール

(19

89)

新版

S-M

社会

生活

能力

検査 (19

80)

SDQ

(St

reng

ths

and

Diffi

culti

es

Que

stio

nnai

re)

(19

97)

CBCL

(Ch

ild

Beha

vior

Ch

eckl

ist)

(19

99)

DES

C乳

幼児

社会

的認

知発

達チ

ェッ

クリ

スト

(20

11)

STA

RT

K式

こど

もの

社会

性発

達ス

ケー

ル(

2012

Vin

elan

d―II

応行

動尺

度(

2014

適 

用年

 齢

0歳~

7歳0か

月~

4歳7か

月1か

月~

6歳11

か月

乳幼

児~

中学

生2

~4歳

用4

~17

歳用

2~

4歳用

4~

18歳

用6か

月児

~3歳

5か月

3歳~

6歳0か

月~

92歳

11か

領 

0~

3歳用

は,

主に

家庭

生活

で示

す行

動に

着目

。3

~7歳

用は

,1.

運動

2.探

索3.

社会

4.生

活習

慣5.

言語

の5つ

の領

域か

ら構

成。

1.運

動(移

動運

動・

手の

運動

)2.

社会

性(基

本的

習慣

・対

人関

係)

3.言

語(発

語・

言語

理解

)3分

野,

6領域

から

構成

1.運

動,

2.操

作,

3.理

解言

語,

4.表

出言

語,

5.概

念,

6.対

子ど

も社

会性

,7.

対成

人社

会性

,8.

しつ

け,

9.食

事か

ら構

成。

精神

発達

遅滞

児の

社会

生活

能力

をと

らえ

る。

1.身

辺自

立2.

移動

3.作

業4.

意志

交換

5.集

団参

加6.

自己

統制

から

構成

「子

ども

の強

さと

困難

さア

ンケ

ート

」。行

動上

の問

題に

関す

るス

クリ

ーニ

ング

尺度

。1.

情緒

2.行

為3.

多動

・不

注意

4.仲

間関

係5.

向社

会性

から

構成

心理

社会

的な

適応

/不

適応

状態

を評

価す

る。

8つ

の下

位尺

度(

ひき

こも

り,

身体

的訴

え,

不安

抑う

つ,

社会

性の

問題

,思

考の

問題

,注

意の

問題

,攻

撃的

行動

と非

行的

行動

)と

2つの

上位

尺度(

内向

尺度

,外

向尺

度)

から

構成

LD

,A

DH

D,

ASD

の兆

候を

見出

し適

切な

育児

支援

をす

るた

めの

検査

1.お

もい

やる

2.こ

とば

3.運

動4.

かん

がえ

るの

4領域

から

構成

適応

行動

の発

達水

準を

幅広

くと

らえ

る。

1.コ

ミュ

ニケ

ーシ

ョン

2.日

常生

活ス

キル 3.

社会

性4.

運動

スキ

ル5.

不適

応行

動か

ら構

成。

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� 東北大学大学院教育学研究科研究年報 第64集・第1号(2015年)

された。

 4. チェックリストの構成: 項目は5領域113項目から構成された。すなわち,〈集団活動〉(21

項目),〈子ども同士の関係〉(20項目),〈言語〉(25項目),〈認識〉(26項目),〈感情〉(21項目)であ

る。

 これらの項目の選定に当たっては,遠城寺式・乳幼児分析的発達検査法,津守式乳幼児精神発達

診断検査,KIDS 乳幼児発達スケール,新版 S-M 社会生活能力検査,新版 K 式発達検査法2001,幼

児総合発達診断検査,WISC- Ⅲ,田中ビネー知能検査Ⅴ,勅使(1999)及び保育士からの聞き取りを

参考に項目を選定した。

Ⅲ.結果と考察1. 分析の進め方

 ⑴ 分析対象児: 回収された1963件のチェックリストのうち,チェックされていない項目が3

つ以上ある回答を除き,1667件の回答を分析対象とした。内訳は,1歳児84名,2歳児346名,3歳児

301名,4歳児314名,5歳児380名,6歳児242名である。この中には,障害児保育の対象児53名,「気

になる」子ども278名,典型発達児1336名が含まれていた。

 ⑵ 通過率の分析: 各項目について,「できる」(〇)と回答された子どもの割合を項目通過率と

した。典型発達児を対象として6か月ごとに通過率を求めた。典型発達児の月齢別の人数は,表2

に示す通りである。この際,1:0-1:5の子どもの人数が7名と少なかったため,以降の分析では,1:6

-1:11以降の典型発達児1329名を対象とした。

 ⑶ 項目の抽出基準: 社会性発達チェックリストを作成するに当たり,各領域1歳~ 5歳の5年

齢段階において各年齢段階2項目計10項目を抽出した。その際,以下の基準に基づいた。①通過率:

通過率が年齢とともに増加すること,②項目内容:項目内容が特定の活動に偏らないこと,③地域・

文化:特定の地域・文化に特有な項目を除くこと,④弁別力:「気になる」子ども・障害のある子ども

と典型発達児の通過率の差が比較的大きいこと。なお,項目の抽出に当たっては,可能な限り項目

通過率が最初に50%を超える年齢群が6か月単位で上昇するように選択することにした。

2. 各領域の通過率及び項目の抽出

 ⑴ 集団活動: 表3には,集団活動領域における年齢群ごとの項目通過率を示した。各項目に

表2 典型発達児の月齢別人数

月齢 1:0-1:5 1:6-1:11 2:0-2:5 2:6-2:11 3:0-3:5 3:6-3:11

人数 (7)* 67 155 140 107 129

月齢 4:0-4:5 4:6-4:11 5:0-5:5 5:6-5:11 6:0-6:5 6:6-6:11

人数 135 111 144 144 123 74*1:0-1:5の7名は最終的な分析から除外した。

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―  ―50

保育場面における幼児の社会性発達チェックリストの開発

おいて項目通過率が最初に50%を超える年齢群を調べたところ,1歳台で最初に50%を超えるのは

4項目,2歳台では3項目,3歳台では4項目,4歳台では6項目,5歳台では4項目,6歳台では0項目だっ

た。

 このうち,1歳から5歳まで各年齢2項目,計10項目となるよう項目を抽出した。集団活動領域の

項目は主に集団遊びに焦点を当てて構成しているため,ごっこ遊びとルール遊びに関する項目が多

くあった。そこで,通過率50%の年齢群においてごっこ遊び,ルール遊びに関する項目が複数ある

場合には通過率の高い方を採用した。また,10項目全体を通じて集団遊びの内容に偏らないように

するために「集中して15分程度先生の話を聞ける」といった遊び以外の項目も採用した。

表3 集団活動領域における年齢群ごとの項目通過率

項  目1:6~

1:11

2:0~2:5

2:6~

2:11

3:0~3:5

3:6~

3:11

4:0~4:5

4:6~

4:11

5:0~5:5

5:6~

5:11

6:0~6:5

6:6~

6:11

A1 朝の集まりなどで名前を呼ばれたら返事ができる 95.5 99.4 100.0 100.0 99.2 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0

A2 集団で簡単な手遊びができる 95.5 98.7 98.6 100.0 100.0 100.0 100.0 99.3 100.0 100.0 100.0

* A3 みんなと一緒に移動できる 91.0 96.1 98.6 100.0 100.0 99.3 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0

* A4 日常生活の動作を再現して遊ぶ(ごはんを食べる動作など) 67.2 88.4 94.3 100.0 99.2 99.3 100.0 99.3 100.0 100.0 100.0

A5 友だちとけんかをすると言いつけにくる 6.0 39.4 70.0 79.4 88.4 98.5 97.3 97.2 97.2 99.2 100.0

* A6 ロープなどがなくても列になって移動できる 6.0 24.5 57.9 95.3 95.3 98.5 99.1 100.0 100.0 100.0 100.0

* A7 友だちとすべり台などの遊具を順番に使える 7.5 23.9 55.0 77.6 95.3 98.5 100.0 100.0 100.0 99.2 100.0

* A8 他の子とかかわりながらごっこ遊びができる 1.5 23.9 47.9 86.9 89.9 97.0 99.1 96.5 100.0 100.0 100.0

A9 テレビや絵本などの登場人物をまねて友だちと遊ぶ 0.0 12.3 29.3 73.8 76.7 94.1 96.4 97.2 96.5 100.0 100.0

* A10 イスとりゲームなどの簡単なルール遊びができる 0.0 0.6 23.6 59.8 78.3 99.3 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0

A11 カードなどの手がかりがあるとフルーツバスケットができる 0.0 0.0 5.7 17.8 53.5 96.3 99.1 100.0 100.0 100.0 100.0

A12 簡単な役割分担をしてごっこ遊びができる 0.0 0.6 5.0 27.1 45.7 78.5 92.8 95.1 97.2 98.4 98.6

A13 カードなどの手がかりがなくてもフルーツバスケットができる 0.0 0.0 0.7 1.9 27.9 68.9 77.3 93.1 100.0 100.0 100.0

* A14 大人が終始見ていなくても,4 ~ 5人の子どもと協力して遊べる 0.0 0.0 3.6 10.3 26.4 59.3 79.3 95.1 95.8 97.6 100.0

* A15 集中して15分程度先生の話を聞ける 4.5 4.5 8.6 25.2 33.3 45.2 71.2 79.9 84.7 84.6 97.3

A16 ルールを守って色オニができる 0.0 0.0 1.4 7.5 17.1 38.5 53.2 81.9 91.0 98.4 98.6

A17 ルールを守って氷オニができる 0.0 0.0 0.7 0.0 8.5 28.9 60.4 86.8 93.1 100.0 100.0

A18 チームに分かれた助けオニ(「ケイドロ」など)ができる 0.0 0.0 0.7 0.0 5.4 17.0 45.0 77.8 88.9 99.2 98.6

* A19 自分たちで作ったお話でごっこ遊びをする 0.0 0.0 1.4 7.5 15.5 35.8 43.2 73.6 80.6 82.9 95.9

* A20 自分たちだけで集団でルール遊びができる 0.0 0.0 0.7 0.0 2.3 8.1 27.0 70.8 84.7 96.7 100.0

A21 自分たちで考えたルール遊びをする 0.0 0.0 0.7 1.9 8.5 8.1 32.4 63.9 81.9 92.7 98.6

□:項目通過率が50%を超える最も低い年齢群*:抽出した項目

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―  ―51

� 東北大学大学院教育学研究科研究年報 第64集・第1号(2015年)

 ⑵ 子ども同士の関係: 表4には,子ども同士の関係領域における年齢群ごとの項目通過率を

示した。各項目において項目通過率が最初に50%を超える年齢群を調べたところ,1歳台で最初に

50%を超えるのは3項目,2歳台では4項目,3歳台では3項目,4歳台では7項目,5歳台では3項目,

6歳台では0項目だった。

 このうち,1歳から5歳まで各年齢2項目,計10項目となるよう項目を抽出した。子ども同士の関

係領域では通過率50%の年齢群に該当する項目が複数ある場合には,基本的には先の抽出基準に従

いながら内容に偏りが生じないようにした。たとえば,「幼い子どもの世話をやく」(3:0 ~ 3:5)と「幼

い子どもの世話ができる」(4:0 ~ 4:5)のように同じ内容で程度の違う場合には通過率の高い方を採

用した。

表4 子ども同士の関係領域における年齢群ごとの項目通過率

項  目1:6~

1:11

2:0~2:5

2:6~

2:11

3:0~3:5

3:6~

3:11

4:0~4:5

4:6~

4:11

5:0~5:5

5:6~

5:11

6:0~6:5

6:6~

6:11

  B1 友だちと手をつなぐ 97.0 98.1 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0

* B2 友だちのまねをする 83.6 92.9 96.4 95.3 96.1 100.0 100.0 100.0 99.3 100.0 100.0

* B3 幼い子どもを見ると近づいていって触る 62.7 67.1 74.3 68.2 88.4 91.1 93.7 94.4 98.6 98.4 95.9

* B4 ひとりでままごとで役のつもりになって遊ぶ 9.0 41.3 68.6 75.7 86.8 96.3 96.4 95.1 99.3 98.4 98.6

  B5 特定の他児と同じ物で一緒に遊ぶ 17.9 45.8 62.9 81.3 96.1 97.8 99.1 100.0 100.0 100.0 100.0

* B6 他児の物を取ってから自分の物を渡す(強制的な交換) 11.9 41.3 62.9 58.9 72.1 93.3 94.6 96.5 99.3 96.7 93.2

  B7 自分や友だちが作ったものをお互いに見せ合う 1.5 22.6 58.6 68.2 96.9 99.3 100.0 99.3 100.0 100.0 100.0

* B8 ブランコなど自分から順番を待つ 1.5 11.6 35.0 72.0 83.7 92.6 99.1 100.0 99.3 100.0 98.6

  B9 幼い子どもの世話をやく 9.0 25.8 41.4 50.5 71.3 79.3 87.4 90.9 95.1 97.6 98.6

* B10 自発的に他児に謝ることができる 3.0 18.1 28.6 35.5 59.7 84.4 92.8 94.4 97.2 99.2 100.0

  B11 友だちに手助けを頼むことができる 1.5 3.9 5.7 7.5 47.3 72.6 87.4 93.1 90.3 93.5 98.6

  B12 日常生活の決まりを守らない子どもに注意する 0.0 3.9 9.3 10.3 36.4 64.4 82.9 91.0 89.6 92.7 94.6

B13 ジャンケンで勝負を決める 0.0 0.0 0.7 3.7 24.0 63.0 87.4 99.3 99.3 100.0 100.0

* B14 幼い子どもの世話ができる 0.0 4.5 5.0 8.4 36.4 54.8 70.3 88.9 91.0 91.1 97.3

  B15 友だちと話し合って遊びを決めることができる 0.0 0.0 0.7 5.6 14.7 48.9 74.8 89.6 92.4 97.6 100.0

* B16 友だちと相談したり,妥協したりしながら一緒に遊ぶ 0.0 0.0 2.1 6.5 17.8 47.4 73.0 87.5 92.4 95.1 95.9

  B17 他の子どもにゲームや遊びのルールを説明する 0.0 0.0 0.7 2.8 10.1 36.3 52.3 71.5 80.6 91.1 93.2

* B18 ジャンケンで順番を決める 0.0 0.0 0.7 0.0 7.0 14.8 49.5 81.9 91.7 99.2 100.0

  B19 「ばばぬき」などの簡単なトランプ遊びができる 0.0 0.0 0.7 0.9 1.6 11.9 32.7 58.0 78.5 96.7 95.9

* B20 「しちならべ」などのトランプ遊びができる 0.0 0.6 0.7 0.0 0.0 3.7 11.7 35.4 51.4 73.8 78.4

□:項目通過率が50%を超える最も低い年齢群*:抽出した項目

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保育場面における幼児の社会性発達チェックリストの開発

 ⑶ 言語: 表5には,言語領域における年齢群ごとの項目通過率を示した。各項目において項

目通過率が最初に50%を超える年齢群を調べたところ,1歳台で50%を超えるのは4項目,2歳台で

は2項目,3歳台では6項目,4歳台では7項目,5歳台では5項目,6歳台では1項目だった。

 このうち,1歳から5歳まで各年齢2項目,計10項目となるよう項目を抽出した。言語領域では,

最初に通過率が50%を超えた年齢において通過率が高いものを抽出した。特に,通過率がある年齢

区分で急に上昇したりするような特徴的な変化が見られる項目や,年齢とともに増加するような年

齢変化が見られる項目を抽出した。次に,今後の国際比較の可能性を考慮し,文化的に特異な表現

表5 言語領域の年齢ごとの項目通過率

項  目1:6~

1:11

2:0~2:5

2:6~

2:11

3:0~3:5

3:6~

3:11

4:0~4:5

4:6~

4:11

5:0~5:5

5:6~

5:11

6:0~6:5

6:6~

6:11C1 簡単な指示に従える(「おしぼりをもって

きて」など) 92.5 98.1 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0

* C2 絵本を見て知っているものを指させる 92.5 97.4 100.0 100.0 99.2 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0C3 1語文を話せる 82.1 96.8 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0

* C4 物の名前を3つ以上言える 55.2 91.0 98.6 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0* C5 2語文を話せる(「ママ ミルク」など) 44.8 86.5 97.9 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0* C6 「大きい」「小さい」の両方がわかる 16.4 37.4 75.0 96.3 99.2 100.0 99.1 96.5 97.2 100.0 100.0

C7 「書くものはどれ?」などの物の用途に関する質問に正しく答えられる 3.0 10.3 40.0 87.9 88.3 95.6 98.2 97.9 100.0 100.0 100.0

C8 姓,名があることがわかって自分の名前を言える 1.5 6.5 43.6 79.4 84.5 97.8 95.5 93.1 95.8 99.2 100.0

C9 「長い」「短い」の両方がわかる 6.0 19.4 35.0 78.3 86.8 95.5 99.1 92.4 95.1 100.0 100.0

*C10 「おなかがすいたらどうする?」という質問

に正しく答えられる(正答例:「ごはんを食べる」)

0.0 3.9 26.6 74.8 84.5 94.8 99.1 97.2 97.9 100.0 100.0

C11 テレビで見たことを友だちや保育者に話せる 0.0 5.2 17.9 59.8 75.2 97.8 98.2 98.6 99.3 100.0 100.0

* C12 「強い」「弱い」の両方がわかる 0.0 1.3 7.1 39.3 76.0 79.9 97.3 97.9 97.9 98.4 100.0* C13 昨日のことの話ができる 0.0 4.5 6.4 37.4 46.5 83.7 91.9 96.5 97.2 97.6 98.6

C14 「あなたの家が火事で燃えているのを見つけたらどうする?」という質問に正しく答えられる(正答例:「逃げる」「大人に教える」)

0.0 0.0 0.0 6.5 25.8 70.4 85.6 92.4 91.0 95.1 94.6

C15 親の姓名を言える 0.0 0.0 4.3 5.6 24.0 48.9 72.1 80.6 90.3 96.7 95.9C16 ひらがなをひろい読みできる 0.0 0.0 2.1 9.3 19.4 37.0 66.7 93.1 95.8 98.4 100.0C17 しりとりができる 0.0 0.0 1.4 0.9 6.2 20.7 64.0 91.0 93.8 100.0 98.6C18 自分のことを自分の名前ではなく,ボク,

ワタシと言える 0.0 1.9 6.4 17.8 32.6 45.9 58.6 68.8 71.5 82.1 74.3

* C19 3つぐらいの花の名前が言える 0.0 0.0 3.6 11.2 23.3 34.1 54.1 73.6 90.3 95.9 90.5* C20 なぞなぞ遊びができる 0.0 0.0 0.7 2.8 4.7 23.7 44.1 67.4 88.2 99.2 97.3

C21 「道に迷ったらどうする?」という質問に正しく答えられる(正答例:「人に尋ねる」) 0.0 0.0 0.7 0.9 14.7 34.1 48.6 66.7 71.5 87.0 81.1

C22 ひらがなをすべて読める 0.0 0.0 0.7 1.9 2.3 5.2 24.3 55.6 64.6 90.2 91.9* C23 金曜日の前の曜日が言える 0.0 0.0 0.7 1.9 3.1 3.7 23.4 45.1 63.2 79.7 71.6

C24 自分の誕生日(何月何日)が言える 0.0 0.0 0.7 0.9 1.6 3.7 16.2 47.6 54.2 90.2 90.5C25 カタカナをすべて読める 0.0 0.0 0.7 0.9 0.0 1.5 3.6 9.7 16.0 33.3 50.0

□:項目通過率が50%を超える最も低い年齢群*:抽出した項目

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―  ―53

� 東北大学大学院教育学研究科研究年報 第64集・第1号(2015年)

の項目は除いた。具体的には,「ひらがなをひろい読みできる」,「ひらがなをすべて読める」,「カ

タカナをすべて読める」の3項目が該当した。最後に,内容が重複する項目が複数ある場合は,「気

になる」子どもの通過率と比べ,通過率の差が大きいものを抽出した。

 ⑷ 認識: 表6には,認識領域における年齢群ごとの項目通過率を示した。各項目において項

目通過率が最初に50%を超える年齢群を調べたところ,1歳台で50%を超えるのは2項目,2歳台で

は6項目,3歳台では5項目,4歳台では6項目,5歳台では5項目,6歳台では1項目,いずれにも該当

せず50%を超えない項目が1項目となった。

 このうち,1歳から5歳まで各年齢2項目,計10項目となるよう項目を抽出した。認識領域では,

最初に通過率が50%を超えた年齢において通過率が高いものを抽出した。特に,通過率がある年齢

区分で急に上昇したりするような特徴的な変化が見られる項目や,年齢とともに増加するような変

表6 認識領域の年齢群ごとの項目通過率

項  目1:6~

1:11

2:0~2:5

2:6~

2:11

3:0~3:5

3:6~

3:11

4:0~4:5

4:6~

4:11

5:0~5:5

5:6~

5:11

6:0~6:5

6:6~

6:11* D1 目,鼻,口,耳がわかる 80.6 96.1 99.3 98.1 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0* D2 「冷たい」がわかる 58.2 72.3 94.3 98.1 96.1 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0

* D3 グルグルとらせん状に描いた円を真似て描ける 26.9 54.8 64.3 68.2 93.8 94.8 99.1 98.6 100.0 100.0 100.0

D4 横線を真似て描ける 0.0 21.9 66.4 94.4 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0D5 赤,青,黄,緑のうちの3つ以上が正しくわ

かる 4.5 26.0 58.6 86.9 93.8 94.8 100.0 99.3 99.3 100.0 100.0

D6 縦線を真似て描ける 0.0 16.8 57.1 89.7 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0* D7 3つの数を復唱できる(5,2,4など) 4.5 21.3 56.4 86.0 97.7 97.0 98.2 98.6 100.0 100.0 100.0

D8 「上」「下」がわかる 0.0 18.7 54.3 89.7 92.2 99.3 99.1 100.0 100.0 100.0 100.0D9 十字を真似て描ける 0.0 3.2 20.7 78.5 93.8 100.0 99.1 100.0 99.3 100.0 100.0D10 自分の性別がわかる 0.0 6.5 30.0 74.8 89.9 99.3 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0D11 「前」「後ろ」がわかる 1.5 13.5 46.4 66.4 87.6 99.3 99.1 100.0 100.0 100.0 100.0

* D12 10個の中から3個とれる 0.0 1.9 21.6 50.5 86.8 95.6 98.2 100.0 100.0 100.0 100.0* D13 「勝ち」「負け」がわかる 0.0 0.0 14.3 50.5 78.1 95.6 97.3 100.0 100.0 100.0 100.0

D14 10個の中から5個とれる 0.0 0.0 0.0 13.1 38.0 67.4 89.2 99.3 97.9 100.0 98.6* D15 正方形を真似て描ける 0.0 0.0 1.4 13.1 32.8 56.3 82.0 95.8 98.6 100.0 100.0

D16 三角形を真似て描ける 0.0 0.0 1.4 10.3 36.4 49.6 75.7 89.5 97.2 99.2 98.6D17 数えずに片手の指の数がわかる 0.0 0.0 0.7 6.5 20.9 41.0 67.6 89.6 92.4 96.7 95.9

* D18 自分の体の左右がわかる 0.0 0.0 1.4 8.4 17.1 34.8 64.0 69.4 84.0 92.7 79.7D19 昨日,今日,明日を理解できる 0.0 0.0 0.7 6.5 10.9 24.4 50.5 77.8 83.3 95.1 93.2D20 数えずに両手の指の数がわかる 0.0 0.0 0.0 0.9 10.9 13.4 43.2 77.8 83.3 93.5 94.6

* D21 5以下の足し算ができる(1+2など) 0.0 0.0 0.0 0.9 2.3 5.9 22.5 62.5 75.7 96.7 95.9D22 硬貨を見てその名前が言える(1円,10円,

50円,100円) 0.0 0.0 0.0 0.0 2.3 3.7 18.0 33.8 59.0 73.0 85.1

D23 今日は何月何日何曜日かがわかる 0.0 0.0 0.0 0.0 0.8 3.7 13.5 42.4 50.7 83.7 81.1* D24 10以下の足し算ができる(3+4など) 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 1.5 4.5 15.3 50.0 74.0 87.8

D25 他人の体の左右がわかる 0.0 0.0 0.0 0.0 3.1 3.0 17.1 38.2 49.3 59.3 58.1D26 時計の針を正しく読める 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.7 7.2 13.2 22.2 29.3 36.5

□:項目通過率が50%を超える最も低い年齢群*:抽出した項目

年報04本郷一夫氏他1C-三[47-60].indd 53 2015/12/04 9:57:01

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―  ―54

保育場面における幼児の社会性発達チェックリストの開発

化が見られる項目を抽出した。次に,内容が重複する項目が複数ある場合は,「気になる」子どもの

通過率と比べ,通過率の差が大きいものを抽出した。最後に,6歳時に通過率が50%を超えなかっ

た項目や通過率が低かった項目を除いた。

 ⑸ 感情: 表7には,感情領域における年齢群ごとの項目通過率を示した。各項目において項

目通過率が最初に50%を超える年齢群を調べたところ,1歳台で50%を超えるのは4項目,2歳台で

は5項目,3歳台では5項目,4歳台では5項目,5歳台では2項目,6歳台では0項目だった。

 このうち,1歳から5歳まで各年齢2項目,計10項目となるよう項目を抽出した。抽出に当たって,

第一に,項目通過率が50%を超える年齢群に偏りがないようにした。第二に,「気になる」子どもの

データと比較し,「気になる」子どもとの差が大きい項目を選んだ。

表7 感情領域の年齢群ごとの項目通過率

項  目1:6~

1:11

2:0~2:5

2:6~

2:11

3:0~3:5

3:6~

3:11

4:0~4:5

4:6~

4:11

5:0~5:5

5:6~

5:11

6:0~6:5

6:6~

6:11

E1 困難なことに出会うと保育者に助けを求める 76.1 79.4 91.4 88.8 93.8 97.8 98.2 98.6 97.9 100.0 98.6

E2 「怖い」がわかる 68.7 89.7 96.4 93.5 100.0 98.5 99.1 100.0 100.0 100.0 100.0

* E3 泣き,笑いの表情の絵がわかる 65.7 82.6 89.3 96.3 99.2 100.0 100.0 100.0 99.3 100.0 100.0

* E4 ほめると同じことを繰り返す 64.2 81.9 93.6 92.5 98.4 98.5 99.1 100.0 100.0 100.0 98.6

* E5 何でも自分でやろうとする 32.8 56.8 80.7 82.2 87.6 88.1 98.2 95.8 96.5 97.6 98.6

* E6 ほめるともっとほめられようとする 32.8 54.2 73.6 88.8 91.5 100.0 98.2 100.0 100.0 100.0 100.0

E7 おばけの話を聞くと怖がる 17.9 49.0 85.0 86.9 94.6 94.8 98.2 100.0 100.0 100.0 100.0

E8 自分が作ったものを見せたがる 22.4 48.4 80.0 90.7 95.3 100.0 98.2 97.9 99.3 100.0 100.0

E9 怒り,喜び,驚き,悲しみの表情の絵がわかる 19.4 36.1 62.9 83.2 90.7 97.8 100.0 97.9 98.6 100.0 100.0

E10 友だちが遊んでいるところに入れないと悲しそうにする 6.0 21.9 35.0 67.3 82.2 94.8 98.2 100.0 99.3 100.0 97.3

* E11 怒っているなど自分の感情を言葉で表せる 1.5 9.7 36.4 59.8 72.1 93.3 97.3 91.0 97.2 99.2 98.6

E12 自分が負けるとくやしがる 3.0 11.6 31.4 56.1 69.8 88.1 96.4 97.2 97.9 100.0 100.0

* E13 いやなことをされても気持ちを抑えて「やめて」と言える 0.0 6.5 14.3 24.3 56.6 70.4 84.7 85.4 91.0 87.8 85.1

E14 みんなの前でほめられると恥ずかしそうにする 9.0 16.1 25.7 39.3 52.7 84.4 95.5 93.8 97.2 97.6 98.6

E15 自分のできることを他の子に自慢する 0.0 3.2 6.4 16.8 48.8 74.8 81.1 91.0 86.8 95.1 93.2

E16 ちょっとしたけがをしても泣かない 4.5 6.5 7.9 16.8 31.8 57.0 63.1 78.5 89.6 91.1 93.2

E17 友だちとの約束が破られると怒る 0.0 0.0 5.0 13.1 34.1 56.3 69.1 89.6 91.7 91.9 89.2

* E18 かわいそうな話を聞くと悲しそうにする 4.5 12.9 8.6 21.5 33.3 51.9 71.2 89.6 88.9 89.4 93.2

* E19 自分の失敗を見られないようにする 0.0 0.0 7.9 12.1 21.7 43.7 73.9 81.3 79.9 92.7 93.2

* E20 鬼ごっこをしてわざとつかまりそうになってスリルを楽しむ 0.0 2.6 1.4 5.6 11.6 34.8 43.2 60.4 67.4 88.6 86.5

* E21 泣くのを人に見られないようにする 0.0 0.0 2.9 2.8 11.6 16.3 34.2 59.7 58.3 79.7 82.2

□:項目通過率が50%を超える最も低い年齢群*:抽出した項目

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―  ―55

� 東北大学大学院教育学研究科研究年報 第64集・第1号(2015年)

表8 社会性発達チェックリスト(幼児版)

社会性発達チェックリスト(幼児版)

東北大学本郷研究室発達臨床研究会

対象

児性

別ク

ラス

月 

齢記

入日

記入

者男  女

歳児

クラ

ス 

  

 歳

  

  

か月

  

 年

  

 月

  

 日

【記入方法】

 ①

子ど

もの

年齢

にか

かわ

らず

,す

べて

の項

目に

つい

てチ

ェッ

クし

てく

ださ

い。

 ②「

現在

でき

るも

の」お

よび

「過

去に

でき

てい

たも

の」に

○を

つけ

てく

ださ

い。

 ③「

でき

ない

もの

」には

×を

つけ

てく

ださ

い。

 ④「

わか

らな

いも

の」に

は△

をつ

けて

くだ

さい

。年

齢集

団活

動子

ども

同士

の関

係言

 語

認 

識感

 情

1歳

みん

なと

一緒

に移

動で

きる

友だ

ちの

まね

をす

る絵

本を

見て

知っ

てい

るも

のを

指さ

せる

目,

鼻,

口,

耳が

わか

る泣

き,

笑い

の表

情の

絵が

わか

日常

生活

の動

作を

再現

して

遊ぶ

(ご

はん

を食

べる

動作

など

)幼

い子

ども

を見

ると

近づ

いて

いっ

て触

る物

の名

前を

3つ以

上言

える

「冷

たい

」がわ

かる

ほめ

ると

同じ

こと

を繰

り返

2歳

役の

つも

りに

なっ

てひ

とり

でま

まご

と遊

びを

する

友だ

ちと

けん

かを

する

と言

いつ

けに

くる

2語文

を話

せる

(「マ

マ 

ミル

ク」な

ど)

グル

グル

とら

せん

状に

描い

た円

を真

似て

描け

る何

でも

自分

でや

ろう

とす

ロー

プな

どが

なく

ても

列に

なっ

て移

動で

きる

他児

の物

を取

って

から

自分

の物

を渡

す(

強制

的な

交換

)「

大き

い」「

小さ

い」の

両方

がわ

かる

3つの

数を

復唱

でき

る(

5,2,

4など

)自

分が

作っ

たも

のを

見せ

たが

3歳

他の

子と

かか

わり

なが

らご

っこ

遊び

がで

きる

ブラ

ンコ

など

自分

から

順番

を待

つ「

おな

かが

すい

たら

どう

する

?」

とい

う質

問に

正し

く答

えら

れる

(正

答例

:「ご

はん

を食

べる

」)10

個の

中か

ら3個

とれ

る怒

って

いる

など

自分

の感

情を

言葉

で表

せる

イス

とり

ゲー

ムな

どの

簡単

なル

ール

遊び

がで

きる

自発

的に

他児

に謝

るこ

とが

でき

る「

強い

」「弱

い」の

両方

がわ

かる

「勝

ち」「

負け

」がわ

かる

いや

なこ

とを

され

ても

気持

ちを

おさ

えて

「や

めて

」と言

える

4歳

大人

が終

始見

てい

なく

ても

,4

~5人

の子

ども

と協

力し

て遊

べる

幼い

子ど

もの

世話

がで

きる

昨日

のこ

との

話が

でき

る正

方形

を真

似て

描け

るか

わい

そう

な話

を聞

くと

悲し

そう

にす

集中

して

15分

程度

先生

の話

を聞

ける

友だ

ちと

相談

した

り,

妥協

した

りし

なが

ら一

緒に

遊ぶ

3つぐ

らい

の花

の名

前が

言え

る自

分の

体の

左右

がわ

かる

自分

の失

敗を

見ら

れな

いよ

うに

する

5歳

自分

たち

で作

った

お話

でご

っこ

遊び

をす

るジ

ャン

ケン

で順

番を

決め

るな

ぞな

ぞ遊

びが

でき

る5以

下の

足し

算が

でき

る(

1+

2など

)鬼

ごっ

こを

して

わざ

とつ

かま

りそ

うに

なっ

てス

リル

を楽

しむ

自分

たち

だけ

で集

団で

ルー

ル遊

びが

でき

る「

しち

なら

べ」な

どの

トラ

ンプ

遊び

がで

きる

金曜

日の

前の

曜日

が言

える

10以

下の

足し

算が

でき

る(

3+4な

ど)

泣く

のを

人に

見ら

れな

いよ

うに

する

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―  ―56

保育場面における幼児の社会性発達チェックリストの開発

3. 社会性発達チェックリストの作成

 社会性発達チェックリストの作成に当たっては,先の分析結果に基づき,各領域10項目を抽出し

た。次に,チェックリスト全体の項目を見渡し,項目内容の性質を検討した結果,領域間で1項目ず

つを入れ替えることにした。すなわち,「ひとりでままごとで役のつもりになって遊ぶ」を子ども同

士の関係領域から集団活動領域に移動し,集団活動領域にあった「友だちとけんかをすると言いつ

けにくる」を子ども同士の関係領域に移動した。なお,最終的に「ひとりでままごとで役のつもりに

なって遊ぶ」は意味を損なわないように配慮しながら,社会性発達チェックリストでは「役のつもり

になってひとりでままごと遊びをする」という表現に修正した。以上の結果に基づき,表8に示す社

会性発達チェックリスト(幼児版)を作成した。なお,保育場面で活用するためには,同じ基準で子

どもの行動をチェックする必要があることから,実施マニュアルを作成した。

 完成した「社会性発達チェックリスト(幼児版)」の大きな特長は,保育場面での幼児の行動に焦

点を当てていることである。従来の発達検査(間接検査)は,家庭での子どもの特徴を捉えて,そこ

から子どもの発達を理解しようとするものが中心であった。しかし,子どもによっては,家庭での

行動と保育所,幼稚園,認定こども園などの集団での行動が異なることがある。とりわけ,「気にな

る」子どもの場合,場面によって行動が違うことが知られている。この「社会性発達チェックリス

ト(幼児版)」は,知的な面では目立った遅れはないものの,他児とのトラブルが多かったり,落ち着

きがなかったり,不得意な課題に取り組もうとしなかったりするような特徴をもつ「気になる」子

どもの発達的特徴を理解するのに役立つと考えられる。また,このチェックリストは,それに加えて,

クラス全体の子どもの発達状態を捉え,保育指導計画を立案するのに活用することができると考え

られる。

【文献】遠城寺宗徳.(2009).遠城寺式.乳幼児分析的発達検査法(九州大学小児科改訂新装版).慶應義塾大学出版.

本郷一夫 編著.(2006).保育の場における「気になる」子どもの理解と対応―特別支援教育への接続―.ブレーン

出版.

本郷一夫 編著.(2010).「気になる」子どもの保育と保護者支援.建帛社.

本郷一夫・飯島典子・杉村僚子・高橋千枝・平川昌宏.(2005).保育の場における「気になる」子どもの保育支援に関

する研究.東北大学大学院教育学研究科教育ネットワーク研究室年報,5,15-32.

本郷一夫・飯島典子・平川久美子・杉村僚子.(2007).保育の場における「気になる」子どもの理解と対応に関するコ

ンサルテーションの効果.LD研究,16⑶,254-264.

本郷一夫・飯島典子・平川久美子.(2010).「気になる」幼児の発達の遅れと偏りに関する研究. 東北大学大学院教育

学研究科研究年報,58⑵,121-133.

本郷一夫・澤江幸則・鈴木智子・小泉嘉子・飯島典子.(2003).保育所における「気になる」子どもの行動特徴と保育

者の対応に関する調査研究.発達障害研究,25⑴,50-61.

本郷一夫・杉村僚子・飯島典子・平川昌宏・太田久美子・高橋千枝.(2006).保育の場における「気になる」子どもの

保育支援に関する研究2―「気になる」子どもの行動チェックリストと行動観察との関連―.東北大学大学院教

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―  ―57

� 東北大学大学院教育学研究科研究年報 第64集・第1号(2015年)

育学研究科教育ネットワーク研究室年報,6,35-44.

児童思春期精神保健研究会.(2003).子どもの行動調査表(2-3才用)Achenbach,T.M. による CBCL 日本版.ス

ペクトラム出版社.

厚生労働省.(2008).障害児支援の見直しに関する検討会報告書.

  http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/07/dl/s0722-5a.pdf

厚生労働省.(2015).Strengths and Difficulties Questionnaire.

  http://www.sdqinfo.com/py/sdqinfo/b0.py

三木安正監修.(1980).新版 S-M 社会生活能力検査.日本文化科学社.

三宅和夫監修.(1991).KIDS(キッズ)乳幼児幼児発達スケール〈手引き〉.発達科学研究教育センター.

文部科学省.(2005).特別支援教育を推進するための制度の在り方について(答申).

  http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/05120801/all.pdf

文部科学省.(2015).平成26年度特別支援教育体制整備状況調査 調査結果.http://www.mext.go.jp/component/

a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2015/03/27/1356212_2.pdf

森友里奈・橋本紀子.(2012).子育てをめぐる夫婦間のコミュニケーションのあり方と子どもの社会性の発達との関

連.女子栄養大学紀要,43,41-51.

森永良子・東 洋.(2011).DESC 乳幼児社会性認知発達チェックリスト.文教資料協会.

森下正康・阿部恭子.(2013).母親と父親のかかわりの特徴と幼児の社会性発達との相互連関.

  発達教育学研究:京都女子大学大学院発達教育学研究科博士後期課程研究紀要⑺,35-47.

中台佐喜子・金山元春.(2002).幼児の社会的スキルと孤独感.カウンセリング研究,35,237-245.

大神優子.(2011).「気になる子」に対する保育者と保護者の評価 ―SDQ(Strengths and Difficulties Questionnaire)

を利用して―.和洋女子大学紀要,51,179-188.

大河内修.(2015).保育所における対応困難児への支援 ―巡回相談会での検討事例の分析から―.中部大学現代教

育学部紀要,7,53-63.

新版 K 式発達検査研究会.(2008).新版 K 式発達検査法2001年版 標準化資料と実施法.ナカニシヤ出版.

Sparrow, S.S., Cicchetti, D.V., and Balla, D.A.(2014). Vineland-Ⅱ 適応行動尺度.日本文化科学社.

玉井ふみ・堀江真由美・寺脇 希・村松文美.(2011).就学前における「気になる子ども」の行動特性に関する検討.

県立広島大学保健福祉学部誌 人間と科学,11⑴,103-112.

田中教育研究所.(2004).田中ビネー知能検査Ⅴ 実施マニュアル.田研出版株式会社.

田中教育研究所.(2012).TK 式こどもの社会性発達スケール STAR.田研出版株式会社.

田中里奈・清水光弘・金光義弘.(2013).幼児期における他者視点取得能力の発達と社会性との関連.川崎医療福祉

学会誌,23⑴,59-67.

辰見敏夫・余語正一郎.(1998).改訂新版 幼児総合発達診断検査.千葉テストセンター.

勅使千鶴.(1999).子どもの発達とあそびの指導,ひとなる書房

津守真・稲毛教子.(1961).乳幼児精神発達診断法 0才~ 3才まで.大日本図書.

津守真・磯部景子.(1965).乳幼児精神発達診断法 3才~ 7才まで.大日本図書.

Wechsler, D.(日本版 WISC- Ⅲ刊行委員会 訳編)著.(1998).日本版 WISC- Ⅲ知能検査法 ②実施・採点編.日本

文化科学社.

年報04本郷一夫氏他1C-三[47-60].indd 57 2015/12/04 9:57:02

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保育場面における幼児の社会性発達チェックリストの開発

The purpose of the present study was to develop the social development checklist for young

children in the childcare situation. We selected 113 items from existing IQ tests and development

tests to make a questionnaire about social development for children. The items were classified in

5 domains of <group activity>, <peer relation>, <language>, <cognition>, and <emotion>.

Nursery teachers were asked to check the development of children of their class. The number of

children was 1,667 in total, and their age was from 1 year old to 6 years old. We extracted items

based on the analysis of 1,336 typically developing children. We developed the social development

checklist which was finally comprised of 50 items. In this checklist, it was placed ten items in

each domain and ten items for each age group. It is thought that this social development checklist

helps the grasp of the characteristic of the class as well as the understanding of the development

of children with special care needs.

Keywords: social development checklist, nursery school, kindergarten, children with special care

needs

Development of the Social Development Checklist

for Young Children in the Childcare Situation

Kazuo HONGO(Professor, Graduate School of Education, Tohoku University)

Noriko IIJIMA(Associate Professor, Seiwa Gakuen College)

Chie TAKAHASHI(Associate Professor, Tottori University)

Yoshiko KOIZUMI(Associate Professor, Shokei Gakuin University)

Kumiko HIRAKAWA(Assistant Professor, Ishinomaki Senshu University)

Tetsuji KAMIYA(Associate Professor, Graduate School of Education, Tohoku University)

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