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Ⅱ.設計・製造・施工基準 ウルトラパイル S 工法

Ⅱ.設計・製造・施工基準 ウルトラパイルS工法Ÿº-1 Ⅱ. 設計・製造・施工基準 1. 総則 1.1. 工法の概要 本工法は,切り欠きを施した鋼管に2枚の半円形鋼板の拡翼と掘削刃を溶接接合した特殊部と

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Ⅱ.設計・製造・施工基準

ウルトラパイル S 工法

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基-1

Ⅱ. 設計・製造・施工基準

1. 総則

1.1. 工法の概要

本工法は,切り欠きを施した鋼管に 2 枚の半円形鋼板の拡翼と掘削刃を溶接接合した特殊部と

称する部品を鋼管に溶接接合したものを、回転させることによって地盤中に貫入させ,これを杭として

利用する技術である。先端に拡大翼を有する回転貫入杭は、先端翼が地盤を切削しながら貫入す

るため、地盤や施工方法によっては、先端地盤を過度に乱して緩めることで支持力が低下する恐れが

ある。本技術は、打設した杭が所定の支持能力を有していることを確認するとともに、先端地盤の緩

みを低減することを目的として、杭打設後に杭先端部を打撃する施工管理試験(スライドウェイト試

験)を行うことで品質の安定と向上を図っている。また、独自形状の先端翼を設けることで、施工性の

向上を図っている。

1.2. 工法の基本用語と定義

設計支持地盤 :砂質地盤(礫質地盤を含む)で 6≦N値≦25 とする。

支持地盤の平均 N’値 :杭先端より上下にそれぞれ1Dwの範囲の平均N’値。ここで、Dwは先端

拡翼の直径。

拡翼 :杭先端に取り付ける2枚の半円形の鋼板で、先端支持力の増加と摩擦

力低減による施工性の向上を意図したもの。それぞれが水平軸に対して

15°の勾配をもつ。

試験杭 :杭の施工性、支持地盤の深さ、打ち止め管理値の設定などを把握する

目的で、本杭の施工に先立って施工する杭。試験杭は、基本的に地盤

調査地点近傍で施工し、本杭を兼ねるものとする。

施工管理装置 :杭回転貫入時の回転トルクT、圧入力P、貫入速度V、深度の計測表

示と指標値の演算表示および記録できる装置。

指標値 :施工管理装置で記録された回転トルクT、圧入力P、貫入速度Vから下

式で算出される値。T(1+P0.1)(1/V)0.1/100

スライドウェイト :杭先端打撃用の重錘の上部に取り付けた支持力計測装置。

1.3. 適用範囲

1.3.1 適用地盤

杭先端地盤は砂質地盤(礫質地盤含む)及び粘土質地盤とする。

周面抵抗を考慮する地盤は砂質地盤(礫質地盤含む)及び粘土質地盤とする。

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基-2

1.3.2 最大施工深さ

最大施工深さは基礎杭本体の杭径ごとに杭施工地盤面から 130D(D:軸部の杭径)以下

かつ 13.5m 以下とする。

1.3.3 適用する建築物

下記の①,②,③および④のすべての条件を満足する建築物

①地上 3 階以下

②建築物高さ 13m以下

③軒高さ 9m以下

④延べ床面積 500m2以下の建築物に適用する。

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基-3

2. 杭の設計基準

2.1. 地盤調査から施工までの概要

2.1.1 地盤調査

地盤調査は、スウェーデン式サウンディング試験を行い、あわせて敷地周辺の情報を収集し総合的に

判断する。

スウェーデン式サウンディング試験を行う際は、敷地内の 2 箇所以上を原則とし、状況に応じて調査箇

所数を追加し、地盤の状況や地層の変化をとらえる。

2.1.2 基礎構造の計画

ウルトラパイル S 工法を採用することとなった場合は、「2.杭の設計基準」に基づき杭の設計を行い、杭

の仕様を決定する。設計で定められた仕様に応じて「3.杭の製造基準」に基づき杭の製造を行い、「4.杭

の施工基準」に従い施工管理を行う。

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基-4

2.2. 設計方法

杭の設計フローを図 2.2.1 に示す。

図 2.2.1 杭の設計フロー

START

建物荷重の設定

杭配置の選定

杭頭荷重 P の算定

杭仕様の設定

地盤で決まる許容鉛直支持力 Ra の算定

杭本体の許容軸方向力 Ra’の算定

min(Ra,Ra’)≧P

END

No

Yes

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基-5

1)杭配置の仮定

建物荷重、基礎構造性能をもとに、杭を配置する。

2)杭頭荷重 P の算定

建物荷重と仮定した杭の割付本数から、各杭に作用する長期荷重を求める。

3)杭仕様の設定

杭サイズを表 2.2.1 より選定し、杭先端部の平均 'N ( 'N )と杭長 L を設定する。杭先端部の範囲は、

杭先端(杭先端:軸部先端)から上へ 1Dw(Dw:先端翼径)、下へ 1Dw とする。

表 2.2.1 杭の仕様

本体鋼管部 拡翼部 掘削刃

(mm)Dw/D

6≦N値≦10 10<N値≦20 20<N値≦25

鋼管径

(mm)

鋼管厚

tD1

(mm)

羽根径

Dw

(mm)

(mm)

(mm)

(mm)

特殊部

鋼管厚

tD2

(mm)

拡翼部

羽根厚

tw

(mm)

掘削刃

刃厚

(mm)

特殊部

鋼管厚

tD2

(mm)

拡翼部

羽根厚

tw

(mm)

掘削刃

刃厚

(mm)

特殊部

鋼管厚

tD2

(mm)

拡翼部

羽根厚

tw

(mm)

掘削刃

刃厚

(mm)

76.3 4.2 5.2

150 200

156208

75 100

80 1001.96

5.2 9 4.5 8 12 6 8 12 6 2.62

89.1 4.2

150 200

156208

75 100 85 110

1.684.2 9 4.5 5.5 9 6 7 12 6

2.24

5.5 250 259 125 2.81 5.5 12 6 7 16 9 9 16 9

101.6 4.2

200 250

208259

100 125 85 110

1.975.7 9 4.5 8 16 6 8 16 6

2.46

5.7 300 311 150 2.95 8 12 9 10 16 12 11 19 12

114.3 4.5

250 300

259311

125 150 110 140

2.196 12 6 9 16 9 9 19 9

2.62

6 350 363 175 3.06 8.6 16 9 14 22 12 14 22 12

139.8 4.5

300 350

311363

150 175 125 160

2.159.5 16 9 13 22 12 13 25 16

2.50

6.6 400 415 200 2.86 9.5 16 9 13 22 12 13 25 12

165.2 5

350 400

363415

175 200 130 170

2.1211.1 16 9 11.1 19 12 15 19 12

2.42

7.1 450 466 225 2.72 11.1 19 9 15 25 12 15 25 16

190.7 5.3 6

400 450

415466

200 225 145 190

2.109 16 9 14 22 12 14 25 12

2.36

7 500 518 250 2.62 9 19 9 14 25 12 14 28 16

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基-6

4)地盤で決まる杭の許容鉛直支持力 Ra の算定

地盤で決まる杭の長期許容鉛直支持力は、次式によって算定する。 短期については長期の2倍

とする。

uaL R31R = ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・式 2.2.1

記号

LRa : 杭の長期許容支持力 (kN)

Ru : 杭の極限鉛直支持力 (kN)

杭の極限鉛直支持力Ruは、次式で算定する。スウェーデン式サウンディング試験(以下、SSTと称

する)の結果から求める。

ψ+β+= Lc)Nc γLsNs(ANαR 'sw

'swp

'swu ・・ ・・・・・・・・・・・・式 2.2.2

記号

αsw :杭先端支持力係数(αsw=320)

βsw :砂質土地盤における周面摩擦に関する支持力係数(βsw=0.7)

γsw :粘性土地盤における周面摩擦に関する支持力係数(γsw=4.5)

N' :SST による地盤の強度インデックスで、式 1.1.3 により算定する。

N' :杭の先端付近の N'の平均値で、6≦ N'≦25 とする。

N'の算定範囲は、杭先端から下方に 1Dw(Dw:拡翼部の外径)、上方に 1Dwの

範囲とする。

なお、 N'算定にあたっては、 N'<6 の場合 N'=0、 N'>25 の場合 N'=25 とする。

Ap :杭先端の有効断面積 (m2)

Ap=π・D2/4+0.43(π・Dw2/4-π・D2/4)

D:杭軸部の外径(m)

'Ns :杭の周囲の地盤のうち砂質土に接する部分の N'の平均値で、2≦ 'Ns ≦14 とす

る。

なお、 'sN 算定にあたっては、 N'<2 の場合 N'=0、 N'>14 の場合 N'=14 とする。

'Nc : 杭の周囲の地盤のうち粘性土に接する部分の N'の平均値で、2≦ 'Nc ≦6 とする。

なお、 'Nc 算定にあたっては、 N'<2 の場合 N'=0、 N'>6 の場合 N'=6 とする。

Ls :杭の周囲の地盤のうち砂質土に接する有効長さの合計 (m)

ただし、オーガーによる先行掘削部および杭先端から上に 1Dw の区間を除く。

Lc :杭の周囲の地盤のうち粘性土に接する有効長さの合計 (m)

ただし、オーガーによる先行掘削部および杭先端から上に 1Dw の区間を除く。

ψ : 杭本体軸部の周長 (m)

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基-7

Ap=π・D2/4+0.43(π・Dw2/4-π・D2/4)

図 2.2.1 杭の先端有効断面積

N'の計算式 swsw' 0.067N2WN += ・・・・・・・・・・・・・・・・式 2.2.3

記号

N' : SST による地盤の強度インデックス

swW : SST における荷重 (kN)

swN : SST における貫入 1mあたりの半回転数 (回)

sN ' 及び cN ' を考慮する範囲は、オーガーによる先行掘削部および杭先端から上へ 1Dw の範囲を

除く。

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基-8

5)杭本体の許容軸方向力 Ra’の算定

杭本体の長期許容軸方向力 'aL R は、次式による。短期は長期の 1.5 倍とする。

( ){ }balfAR cLsaL −−=' ・・・・(2.2.4)

ここに、

'aL R :長期許容軸方向力(kN)

As :杭本体の実断面積(cm2)

(建設省住指発第 123 号、建築基礎構造設計指針 2001 年改訂版(社)日本建

築学会より外面 1mm の腐食代を考慮)

cL f :長期許容圧縮応力度(kN/ cm2)

a :継手低減率

b :長さ径比低減率

長期許容圧縮応力度 cL f は、管の局部座屈を防ぐため、長期許容引張応力度 tL f に対して、

管の肉厚 t と杭半径 r の比に応じた次式に示す値とする(平成 13 年国土交通省告示第 1113 号)。

t 及び r は、外周面 1mm の腐食代を考慮した寸法とする。

( )rtff tLcL /50.280.0 += (0.01≦t/r≦0.08) ・・・・(2.2.5)

tLcL ff = (0.08≦t/r) ・・・・(2.2.6)

ここで、

5.1/FftL =

ⅰ)継手低減率

継手 1 箇所当たり 5%の許容応力度低減を行うものとする。表 2.2.2 に、溶接箇所数,低減率 a の

一例を示した。

表 2.2.2 継手低減率

溶接箇所低減率

(箇所) (%)

0 0

1 5

2 10

3 15

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基-9

ⅱ)長さ径比低減率

長さ径比に応じて杭材料の許容応力度の低減を以下の算定式により行うものとする。

b=(L/D-n)/100 ・・・・(2.2.7)

ここに、

b :長さ径比低減率

L :杭長(m)

D :杭本体径(m)

n :材料の許容応力度を低減しなくてよい長さ径比の限界値

(n=100;建設省住指発第 806 号)

6)杭頭荷重 P の安全性の検討

地盤で決まる許容鉛直支持力 Ra,杭本体の許容軸方向力 Ra’の最小値が、杭頭荷重 P を上回る

ことを確認する。杭頭荷重 P を上回らない場合は、杭配置の仮定に戻り再検討する。

min(Ra,Ra’)≧P ・・・・(2.2.8)

Ra :地盤で決まる許容鉛直支持力(kN)

Ra’:杭本体の許容軸方向力(kN)

P :杭頭荷重(kN)

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基-10

3. 杭の製造基準

3.1. 使用材料

3.1.1 杭材

本基礎杭の形状を図 3.1.1 に、本体鋼管厚と特殊部鋼管厚が異なる場合の溶接方法を

図 3.1.2 に、杭本体の断面諸元並びに使用材料を表 3.1.1~表 3.1.3 に示す。さらに、各杭

径別の許容圧縮強さ,許容曲げ強さ,許容ねじり強さをそれぞれ表 3.1.4~表 3.1.5 に示す。

図 3.1.1 杭の形状

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基-11

本体鋼管部

板圧調整裏当リング(幅=50~80mm)

拡翼部

特殊部鋼管部

掘削刃

tD1 tD260°

15

tD 1

tD 2

δ

3mm≦δ≦ 6mm

図 3.1.2 本体鋼管厚と特殊部鋼管厚が異なる場合の溶接方法(工場加工)

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基-12

表 3.1.1 杭本体の断面諸元

(腐食代を考慮しない場合)

杭本体

外径φ

(mm)

厚さ

(mm)

周長

(m)

杭有効断面積

(cm2)

断面2次モーメント

(cm4)

断面係数

(cm3)

76.3 4.2

0.240 9.5 62.0 16.3

5.2 11.6 73.8 19.3

89.1 4.2

0.280 11.2 101.2 22.7

5.5 14.4 126.7 28.4

101.6 4.2

0.319 12.9 152.7 30.1

5.7 17.2 198.1 39.0

114.3 4.5

0.359 15.5 234.3 41.0

6.0 20.4 300.2 52.5

139.8 4.5

0.439 19.1 438.2 62.7

6.6 27.6 614.0 87.8

165.2 5.0

0.519 25.2 808.1 97.8

7.1 35.3 1104.1 133.7

190.7

5.3

0.599

30.9 1327.5 139.2

6.0 34.8 1486.2 155.9

7.0 40.4 1706.5 179.0

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基-13

表 3.1.2 杭本体の断面諸元

(腐食代として杭外面 1mm を考慮した場合)

杭本体

外径φ

(mm)

厚さ

(mm)

周長

(m)

杭有効断面積

(cm2)

断面2次モーメント

(cm4)

断面係数

(cm3)

76.3 4.2

0.233 9.2 57.0 15.3

5.2 11.3 67.8 18.2

89.1 4.2

0.274 10.9 94.2 21.6

5.5 14.1 117.9 27.1

101.6 4.2

0.313 12.6 143.5 28.8

5.7 16.8 186.0 37.4

114.3 4.5

0.353 15.2 221.8 39.5

6.0 20.0 283.9 50.6

139.8 4.5

0.433 18.8 419.0 60.8

6.6 27.2 586.8 85.2

165.2 5.0

0.513 24.8 778.2 95.4

7.1 34.8 1062.7 130.2

190.7

5.3

0.593

30.5 1285.0 136.2

6.0 34.4 1438.5 152.5

7.0 40.0 1651.5 175.0

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基-14

表 3.1.3 杭本体鋼管の使用材料

部位 材料 応力度

項目 数値(N/mm2) 備考

杭本体鋼管 JIS G 3444 に規定されてい

る STK400,STK490。又は

これと同等以上の材料強

度が規定され、かつ、降伏

点が 235(325) N/mm2 以

上でヤング係数が 2.05×

105 N/mm2 と同等以上の

機械的性質を有する鋼

材。

降伏点応力度 235(325)

長期許容応力度 156(216) 圧縮、引張りとも

短期許容応力度 235(325) 圧縮、引張りとも

長期許容せん断応

力度

90(125)

短期許容せん断応

力度

135(187)

( )内は STK490 の値を示す。

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基-15

表 3.1.4 杭本体鋼管の許容圧縮強さ

(腐食しろとして外面 1mm を考慮した場合)

外径

(mm)

厚さ

(mm)

杭軸有効

断面積

(mm2)

低減率

Rc

STK400 STK490

長期許容

圧縮強さ

(kN)

短期許容

圧縮強さ

(kN)

長期許

容圧縮強さ

(kN)

短期許容

圧縮強さ

(kN)

76.3 4.2 925 1.000 145 217 200 301

5.2 1129 1.000 177 265 245 367

89.1 4.2 1094 0.984 169 253 233 350

5.5 1410 1.000 221 331 305 458

101.6 4.2 1259 0.961 189 284 262 393

5.7 1681 1.000 263 395 364 546

114.3 4.5 1524 0.956 228 342 316 473

6.0 2004 1.000 314 471 434 651

139.8 4.5 1884 0.927 274 411 378 568

6.6 2720 1.000 426 639 589 884

165.2 5.0 2485 0.923 359 539 497 745

7.1 3482 0.987 538 808 745 1117

190.7

5.3 3054 0.914 437 656 605 907

6.0 3444 0.932 503 755 696 1044

7.0 3996 0.959 600 900 830 1245

F :基準強度、STK400 では 235N/mm2,STK490 では 325N/mm2 Fb:短期許容応力度

Fb=Rc*F、Rc=0.80+2.5(t-c)/r t:杭体鋼管厚(mm)、c:腐食代(外面 1mm)、r:杭体の半径(mm)

Fc:長期許容応力度 Fc=Fb/1.5

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基-16

表 3.1.5 杭本体鋼管の許容ねじり強さ

(腐食しろを考慮しない場合)

外径

(mm)

厚さ

(mm)

ねじり

断面係数

(×103mm3)

断面2次

モーメント

(×103mm4)

STK400 STK490

長期許容

ねじり強さ

(kN・m)

短期許容

ねじり強さ

(kN・m)

長期許容

ねじり強さ

(kN・m)

短期許容

ねじり強さ

(kN・m)

76.3 4.2 33 620 2.9 4.4 4.1 6.1

5.2 39 738 3.5 5.2 4.8 7.3

89.1 4.2 45 1012 4.1 6.2 5.7 8.5

5.5 57 1267 5.1 7.7 7.1 10.7

101.6 4.2 60 1527 5.4 8.2 7.5 11.3

5.7 78 1981 7.1 10.6 9.8 14.6

114.3 4.5 82 2343 7.4 11.1 10.3 15.4

6.0 105 3002 9.5 14.3 13.1 19.7

139.8 4.5 125 4382 11.3 17.0 15.7 23.5

6.6 176 6140 15.9 23.8 22.0 33.0

165.2 5.0 196 8081 17.7 26.5 24.5 36.7

7.1 267 11041 24.2 36.3 33.4 50.2

190.7

5.3 278 13275 25.2 37.8 34.8 52.2

6.0 312 14862 28.2 42.3 39.0 58.5

7.0 358 17065 32.4 48.6 44.8 67.2

Zt :ねじり断面係数 Zt=I/(D/4) F :設計基準強度、STK400 では 235N/mm2,STK490 では 325N/mm2

fs :短期許容せん断応力度 fs=F/√3

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基-17

3.1.2 翼材

本基礎杭の翼材(特殊部)の形状を図 3.1.3 に、各部の寸法を表 3.1.6、使用材料を表

3.1.7 に示す。

図 3.1.3 翼材(特殊部)の形状

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基-18

表 3.1.6 部材寸法

本体鋼管部 拡翼部 掘削刃

(mm)Dw/D

6≦N値≦10 10<N値≦20 20<N値≦25

鋼管径

(mm)

鋼管厚

tD1

(mm)

羽根径

Dw

(mm)

(mm)

(mm)

(mm)

特殊部

鋼管厚

tD2

(mm)

拡翼部

羽根厚

tw

(mm)

掘削刃

刃厚

(mm)

特殊部

鋼管厚

tD2

(mm)

拡翼部

羽根厚

tw

(mm)

掘削刃

刃厚

(mm)

特殊部

鋼管厚

tD2

(mm)

拡翼部

羽根厚

tw

(mm)

掘削刃

刃厚

(mm)

76.3 4.2

5.2

150

200

156

208

75

100 80 100

1.965.2 9 4.5 8 12 6 8 12 6

2.62

89.1 4.2

150

200

156

208

75

100 85 110

1.684.2 9 4.5 5.5 9 6 7 12 6

2.24

5.5 250 259 125 2.81 5.5 12 6 7 16 9 9 16 9

101.6 4.2

200

250

208

259

100

125 85 110

1.975.7 9 4.5 8 16 6 8 16 6

2.46

5.7 300 311 150 2.95 8 12 9 10 16 12 11 19 12

114.3 4.5

250

300

259

311

125

150 110 140

2.196 12 6 9 16 9 9 19 9

2.62

6 350 363 175 3.06 8.6 16 9 14 22 12 14 22 12

139.8 4.5

300

350

311

363

150

175 125 160

2.159.5 16 9 13 22 12 13 25 16

2.50

6.6 400 415 200 2.86 9.5 16 9 13 22 12 13 25 12

165.2 5

350

400

363

415

175

200 130 170

2.1211.1 16 9 11.1 19 12 15 19 12

2.42

7.1 450 466 225 2.72 11.1 19 9 15 25 12 15 25 16

190.7

5.3

6

400

450

415

466

200

225 145 190

2.109 16 9 14 22 12 14 25 12

2.36

7 500 518 250 2.62 9 19 9 14 25 12 14 28 16

※ 本体鋼管部には STK400 または STK490、あるいは、これと同等以上の機械的性質を有する認定

材料を用いる。

※ 特殊部鋼管は STK490 または同等以上の機械的性質を有する認定材料を,拡翼部および掘削

刃は SM490A または同等以上の機械的性質を有する認定材料を用いる。

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基-19

表 3.1.7 特殊部の使用材料

部位 材料

応力度

項目 数値(N/mm2) 備考

鋼管 JIS G 3444 に規定されてい

る STK490。又はこれと同

等以上の材料強度が規定

され、かつ、降伏点が 325

N/mm2 以上でヤング係数

が 2.05×105 N/mm2 と同

等以上の機械的性質を有

する鋼材。

降伏点応力度 325

長期許容応力度 216 圧縮、引張りとも

短期許容応力度 325 圧縮、引張りとも

長期許容

せん断応力度 125

短期許容

せん断応力度 187

拡翼

掘削刃

JIS G 3106 に規定される

SM490A。又はこれと同等

以上の材料強度が規定さ

れ 、 か つ 、 降 伏 点 が

235(325) N/mm2 以上でヤ

ン グ 係 数 が 2.05 × 105

N/mm2 と同等以上の機械

的性質を有する鋼材。

降伏点応力度 325

長期許容応力度 216 圧縮、引張りとも

短期許容応力度 325 圧縮、引張りとも

長期許容

せん断応力度 125

短期許容

せん断応力度 187

※特殊部の溶接方法

1) 使用材料

① 鋼管部

JIS G3444 一般構造用炭素鋼鋼管 STK490

② 拡翼部および掘削刃部分

JIS G3106 溶接構造用圧延鋼材 SM490A

2) 溶接工の条件

「半自動溶接技術検定における試験方法および判定基準 JIS Z 3841」による検定技能取得

者による。溶接は、工場内での半自動溶接とする。

3) 使用溶接材料

マグ溶接ソリッドワイヤ JIS Z3312 YGW11

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基-20

3.2. 杭の検査

検査基準を表 3.2.1 に示す。

表 3.2.1 検査基準

工 程 項 目 対 象 基 準 方 法 頻 度 不合格時の処置

材料入荷

(受入検査)

材質 杭部・翼部 指定材質 目視(表示記号) 受入ごと -

寸法 杭部・翼部 指定寸法 目視 受入ごと -

数量 杭部・翼部 指定数量 検収 受入ごと -

外観 杭部・翼部 著しい錆がないこと 目視 全数 欠陥部除去または破棄

凹凸、変形がないこと 目視 全数 欠陥部除去または破棄

組立加工

(品質検査)

部材精度 翼部 隙間、ずれがないこと 目視 全数 解体後再製作

アンダーカット

溶接

0.8mm 以下 目視・ゲージ確認 全数 溶接補修

オーバーラップ 無いこと 目視 全数 欠陥部除去・溶接補修

ビード不整 3mm 以下 目視・ゲージ確認 全数 欠陥部除去・溶接補修

ビッド 無いこと 目視 全数 欠陥部除去・溶接補修

表面欠陥 JISZ2343 浸透探傷試験 加工 100 個に

1 個

10個を再試験 内1個以

上不合格の場合、全数試

験後欠陥部除去・溶接

補修または切断後再溶

内部欠陥 JISZ3104

きずの分類3類以上放射線透過試験

表面 欠陥検

査済み 10 個

に 1 個

表面欠陥検査済み 10 個

を再試験 不合格の場合

全 数 試 験 後 欠 陥 部 除

去・溶接補修または切断

後再溶接

製品搬出

(集積検査)

寸法 加工部材 指定寸法 目視 現場別に 1 回 -

数量 加工部材 指定数量 目視 現場別に 1 回 -

外観 加工部材 著しい錆がないこと 目視 結束単位 欠陥部除去または破棄

凹凸、変形がないこと 目視 結束単位 欠陥部除去または破棄

註)上記のほか、放射線透過試験の頻度増等については、受け渡し当事者間協議による。

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基-21

4. 杭の施工基準

4.1. 基準の適用範囲

本施工基準は、本工法による鋼管杭の標準的な施工に適用する。

本施工基準で示す施工方法、管理項目、注意事項等は本工法による基礎杭の性能を確

保するための標準的なものである。本施工基準以外の事項については、表 4.1.1 に参考資料と

して示す基準、指針、仕様、標準等を用いることとする。

表 4.1.1 参考資料とする基準等

名称と出版年月

建築工事標準仕様書・同解説 JASS4

地業および基礎スラブ工事

(社)日本建築学会

1997 年 11 月改定

建築基礎構造設計指針 (社)日本建築学会

2001 年 10 月

道路橋示方書・同解説Ⅳ 下部構造編 (社)日本道路協会

2002 年 3 月

建築工事共通仕様書 建設大臣官房官庁営繕部監修 (社)公共建築協会

2001 年度版

杭基礎施工便覧 (社)日本道路協会

2002 年 10 月

JIS G 3444 一般構造用炭素鋼鋼管 日本工業規格

2006 年改正

JIS G 3106 溶接構造用圧延鋼材 日本工業規格

2004 年改正

WES 7601 「基礎杭打設における溶接作業標準」 日本溶接協会

1999 年 10 月

鋼管杭 -その設計と施工- 鋼管杭協会

2002 年 4 月

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基-22

4.2. 施工計画

杭の施工に先立ち、設計図書に基づいて施工計画書を作成する。杭の施工計画書は、設

計計算書、仕様書、および図面等の設計図書の要求を満足するように、土質条件等を十分検

討し、無理のない計画とする。

4.2.1 使用機械および設備計画

施工に使用する機械、器具、設備は杭を安全確実に施工することができるもので、かつ施工

場所の環境条件に適合するものを用いる。施工機械は、鋼管を鉛直に設置し、かつ所定の耐

力を確保するために次に示す機能を装備することにする。

① 施工機械 : 杭径や杭施工長、および敷地、地盤などの条件を考慮し、杭の吊り

込みと回転貫入作業に支障がなく、また、杭回転貫入時の回転トルク

に十分耐える安全な構造のものとし、移動,傾斜などが生じない堅固

なものを選定する。施工機は、クローラまたは、タイヤによる自走式の機

械とする。

② モータ : 所定の支持地盤まで無理なく鋼管を回転貫入させることができるモー

タを装備する。

③ 施工管理装置 : 鋼管の貫入深度や回転トルクなどを表示し、記録できる装置を運転

席に装備する。

本工法で使用する施工機の標準姿図および施工機種の仕様一覧をそれぞれ図 4.2.1、

表 4.2.1 に、また施工管理装置の系統図と仕様を図 4.2.2、表 4.2.2 に示す。

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基-23

図 4.2.1 施工機標準姿図

(チャック内蔵)

油圧モータ

回転機

リーダ

傾斜計

振れ止め

深度検出部

圧入力検出センサー

回転機回転圧力検出センサー

管理装置(計測値表示部)

施工杭

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基-24

表 4.2.1 施工機の種類と標準仕様一覧 (2007 年 4 月現在)

機種 MD-30 MD-50 MD-55 MD-60 MD-120

杭打機本体

全備重量 6,100kg 9,200kg 9,200kg 11,000kg 14,800kg

定格出力 20.6kW(28PS)/2,300rpm 41.6kW(56.5PS)/2,400rpm 41.6kW(56.5PS)/2,400rpm 40.5kW(55PS)/2,100rpm 66kW(90PS)/2,150rpm

全長 6,360mm 6,500mm 6,160mm 6,230mm 8,270mm

全幅 1,550mm 2,000mm 2,000mm 2,260mm 2,500mm

全高 2,360mm 2,500mm 2,500mm 2,630mm 2,740mm

*全高 7,515mm 8,050mm 8,100mm 8,100mm 8,600mm

施工可能杭長 6.0m 6.4m 6.4m 6.4m 6.5m

回転機

回転トルク

(最大)

8.8kN・m(1速) 14.7kN・m(1速) 24.5kN・m(1速) 34.3kN・m(1速) 98.3kN・m(1速)

2.9kN・m(2速) 4.9kN・m(2速) 12.2kN・m(2速) 17.2kN・m(2速) 49.1kN・m(2速)

- - - 8.6kN・m(3速) -

回転数

29rpm(1速) 30rpm(1速) 13rpm(1速) 14rpm(1速) 12rpm(1速)

83rpm(2速) 90rpm(2速) 24rpm(2速) 28rpm(2速) 24rpm(2速)

- - - 50rpm(3速) -

適用杭径(mm) 76.3~101.6 76.3~139.8 89.1~165.2 114.3~190.7 165.2~267.4

機種 DHJ08 DHJ12 DHJ25

杭打機本体

全備重量 9,406kg 14,440kg 29,492kg

定格出力 40.8kW(55.5PS)/2,400rpm 71.3kW(97PS)/2,100rpm 91.9kW(125PS)/-

全長 3,945mm 4,617mm 5,330mm

全幅 1,950mm 2,715mm 2,572mm

全高 2,462mm 2,685mm -

*全高 9,706mm 9,005mm 12,597mm

施工可能杭長 6.0m 7.0m 8.0m

回転機

回転トルク

(最大)

41.6kN・m(1速) 98.3kN・m(1速) 251.2kN・m(1速)

- - -

- - -

回転数

33.1rpm(1速) 35rpm(1速) 22

22.4rpm(1速)

-

- - -

適用杭径(mm) 76.3~139.8 76.3~190.7 267.4~457.2

* 施工時(リーダーを垂直状態)

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基-25

掘削

深度

(m

) 掘削

速度

(m

/m

in

12.3

12.3

1234

123

オー

ガト

ルク

(K

N・

m)

圧入

力(

KN

杭N

O=

12

EN

D 

OK

 ア

ON

OF

計測

集計

設定

UP

DO

WN

時刻

印字

継続

電源

操作

部中

継B

OX

トル

ク圧

入力

流量

リミ

ット

回転

数主

深度

制御

部補

深度

トル

ク切

制御

盤主

深度

エン

コー

制御

補深

度計

圧入

力セ

ンサ

回転

トル

クセ

ンサ

制御

電源

プリ

ンタ

制御

表示

操作

図 4.2.2 施工管理装置系統図

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基-26

表 4.2.2 施工管理装置の仕様(2007 年 4 月現在)

計器名 形式 メーカ

回転圧力センサ AP-16/VPRT-50MPS オムロン

圧入力センサ AP-16/VPRT-50MPS オムロン

深度検出(エンコーダ) E6C2-CWZ6C オムロン

補深度検出器 D-1000Z 武藤工業

管理装置 SYS-WING-U システム計測

データカード マルチメディアカード/メモリカード

4.3. 事前調査

本工法の施工にあたり、適切な施工の可否判断と留意点の把握のために下記の事項の調査

あるいは確認を事前に行う。

4.3.1 現地調査

1) 現場までの搬入・搬出路の確認

運搬にあたっては、搬入ルート、道路幅員、高さ制限、通行時間規制等、事前に十分な

調査を行う。また、施工機械の自走の有無および距離の確認を行う。

2) 現場および周囲の状況確認

隣接道路からの高低差、施工地盤の状況、敷地面積、境界杭、隣接家屋に対する影響、

仮設備設置の必要性、敷地内外の埋設障害物、および地上障害物の有無などについて

調査する。とくに、敷地内の埋設管(ガス、水道など)調査は入念に行い、撤去、移設等の

処置を所轄の管理者等と事前に打合わせる。また、施工地盤が軟弱あるいは雨水などに

よる軟弱化のおそれがある場合は、施工機械の重量と地耐力を検討し、敷鉄板などの補

強対策を検討する。

3)地盤調査位置の設定

地盤調査データが無い場合、敷地内の状況に応じて調査位置を設定する。

4.3.2 地盤調査

施工計画の立案および本施工にあたり、地盤調査を実施する。

地盤調査は、基本的にスウェーデン式サウンディング調査を行い、土層構成を把握する。

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基-27

4.4. 工事施工者および管理者

4.4.1 概要

本工法の施工は、株式会社 建商, 中村基礎工業株式会社, 株式会社 ジャパン(以下

申請者という)が組織したウルトラパイル施工技術委員会(以下本委員会という)が指定する指

定施工会社が行う。施工に関する指導、教育、改善および不具合再発防止などは本委員会

で行う。

なお、申請者は指定施工会社が本工法の設計・施工基準に基づいて設計・施工されること

を確認し、本工法の責任を負うものとする。

4.4.2 ウルトラパイル施工技術委員会

申請者は本委員会を組織し、工事を遂行する十分な物的かつ人的資源(1 名以上の本工

法に関する認定施工管理技術者)を有すると認められた者を、本工法の指定施工会社に指

定する。

4.4.3 本委員会の業務

① 指定施工会社の認定と施工管理技術者の指導(研修)、認定を行う。

② 指定施工会社の施工管理指導を行い、施工実績を定期監査(6 ヶ月に 1 回)する。

③ すべての施工計画書および施工報告書の検収、承認を行う。

④ 設計および施工技術の指導および研修会を行う。

⑤ 施工技術の改良および不具合再発防止の徹底を図る。

⑥ 施工材料の品質管理を行う。

⑦ 申請者に対し、全物件の施工計画書・報告書に関する検収実績報告書を定期的に提出

する。

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4.4.4 本工法施工管理指導体制

三社

(申請者)

供給会社

全物件の施工計画書・

報告書に関する 検収実績報告書の提出

材料の指定 材料品質書の提出

全納入量報告書

施工技術委員会 構成 会長:㈱建商代表者,施工部門責任者, 指定施工会社代表,設計顧問,技術顧問,等

施工実績の報告

施工計画書の提出

施工報告書の提出

不具合の報告

指定施工会社の認定

施工管理技術者の指導(研修)

資格認定

施工管理指導

不具合再発防止の徹底

施工計画書・報告書の検収・承認

施工実績の定期監査

設計および施工技術の指導や研

修会の実施

全施工物件の設計・施工結果に 対する本工法の責任を負う

材料品質管理

指定施工会社

施工管理技術者(本工法認定資格者)

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基-29

4.4.5 試験杭

試験杭は本工法の施工性、騒音・振動および地層の変化や支持地盤の深さ、並びに打ち

止め管理値の設定など、本杭施工時に必要な情報を入手するために実施するもので、本杭

に先立って施工する。

試験杭の施工位置は、基本的に土層構成が明らかな調査実施地点の近傍とし、施工機

械の回転トルク T、圧入力P、貫入速度V、貫入深度とスウェーデン式サウンディング調査デー

タとを照合して掘削能率などの施工データと土層構成の関係を把握する。また、施工管理装

置で所定深度の指標値 T(1+P0.1)(1/V)0.1/100 を把握し、本杭の打ち止め管理値を設定する。

なお、試験杭の本数は杭径、施工機種毎に少なくとも 1 本ずつ実施する。

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基-30

4.5. 施工

4.5.1 準備工事

本工法を施工する会社は、事前に施工現場および周辺の状況を調査し、工事を安全かつ

円滑に進めるために必要な処置を行う。次に、設計図書や現場状況などに基づき施工機械を

選定し、鋼管を鋼管供給会社に、杭先端部を杭先端部供給会社に発注する。なお、施工機

は現場搬入前に整備・点検と試運転を行う。

主な準備工事の項目を以下に示す。

① 機械の搬入に支障が無いように、道路および交通状況、法的規定など調査し搬入

計画を検討する。

② 近隣住民に対する環境保全のための調査を行い、対策を検討する。

③ 電線などの地上障害物、ガス管、地下ケーブルなどの地中埋設物の障害がある場

合は事前に所轄の管理者と打ち合わせを行い、撤去、移設等の処置を行う。

④ 貫入場所の表土に障害物がある場合は、杭施工前に撤去する。

⑤ 搬入された杭材の材質、杭径、杭長、拡翼辺長、拡翼厚を施工計画書と照合する。

また、杭本体と拡翼については変形が生じていないことを確認する。

⑥ 杭は製品検査に合格したものを運搬する。杭の輸送と荷降し時に損傷が生じないよ

うに注意をする。搬入された杭の保管は、作業に支障がないように仮置きする。仮置

きは 3 段以下の積み重ねとし、荷崩れなどにより杭の損傷が生じないように注意をす

る。

⑦ 施工現場が軟弱な地盤や雨水により軟弱化する恐れのある地盤では、施工機械と

地耐力を検討し、敷鉄板などによる地盤補強対策を行う。

⑧ 杭芯は管理者立ち会いのもとで位置の確認をおこない、杭施工前に逃げ杭(鉄筋

棒)を打っておく。

4.5.2 杭の建て込み

① 杭芯の確認をする。

② 杭の吊り込みは、杭先端拡翼部が損傷あるいは変形をしないように留意して行う。

③ 杭の建て込みについては、杭打ち機のリーダーと杭本体の鉛直性を 2 方向から水準器

あるいはリーダーに固定されている傾斜計によって随時確認を行う。鉛直に対する傾斜

を各方向とも 1/100 以内とする。

④ 杭が移動しないように振れ止め装置をセットする。

4.5.3 杭の回転貫入

① 振れ止め装置をセットした後に杭の回転貫入を開始する。杭の回転貫入中は、杭体と

リーダーの鉛直性に注意し、2方向から水準器あるいはリーダーに固定されている傾斜計

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基-31

によって杭の傾斜が 1/100 以下となるようにする。

② 杭の回転貫入速度は、杭 1 回転当り、拡翼 1 回転推進量(拡翼勾配高さ×2)の 0.3

~0.5 倍程度貫入させることを標準とする。拡翼勾配の高さを図 4.5.1 および表 4.5.1

に示す。

③ 施工機運転席の管理装置によって、回転トルク、圧入力、貫入速度の測定値および

指標値の表示とそれらのデータカードへの記録を行う。この際、回転トルクが杭本体軸

部の短期許容ねじり強さを上回らないよう注意する。

15°

D w

h

図 4.5.1 拡翼勾配の高さ

表 4.5.1 拡翼勾配の高さ

羽根径Dw

(mm)

(mm)

150 40.2

200 53.6

250 67.0

300 80.4

350 93.8

400 107.2

450 120.6

500 134.0

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基-32

4.5.4 設計支持地盤の確認と打ち止め管理

本工法の杭の打ち止めパターンは、設計される地盤の土層構成や杭支持地盤の N 値の大

きさおよび N 値の出方(形状)などによって数多く存在すると思われる。しかし、ここでは代表的と

思われる N 値の出方の 3 パターンと設計深度などとの関係(図 4.5.2 参照)より、本工法の打ち

止め管理方法について以下に述べる。

なお、本工法の打ち止めパターンがどのような場合でも、まず地盤調査実施地点近傍におい

て試験杭を施工し、施工管理装置から得られる回転トルク(T)、圧入力(P)、貫入速度(V)お

よびそれらをもとに算出される指標値{T(1+P0.1)(1/V)0.1/100}を記録することは共通である。

また、図 4.2.1 および打ち止め管理方法の中で使用している用語の説明は次の通りである。

設計深度(L) :設計時における杭先端深度

貫入深度 :本杭における杭先端深度

設計支持地盤深度(A) :設計深度より 1Dw 上方の深度または所定の指標値が得られる深度

決定指標値(R) :試験杭の施工で定めた指標値

クリアー深度 :設計支持地盤深度付近で指標値が決定指標値(R)以上となる深度

必要長(NL) :L 型地盤において、設計上杭先端を設計支持地盤中に貫入させる長さ

で、基本的に 1Dw とするが試験杭にて確認する。

図 4.5.2 杭の打ち止めパターンと打ち止め管理

(a)支持地盤 N 値一定型

(b)支持地盤 N 値漸増型

(c)支持地盤 N 値 L 型

杭先端 貫入深度 設計深度

N値 50 0

0

深度

本杭

試験杭

N値 50 0

0

深度

本杭

試験杭

設計支持地盤深度

設計深度 L

1Dw A

決定指標値(R) 1Dw 以上

クリアー深度

貫入深度

クリアー深度

貫入深度

NL 以上

深度

本杭

試験杭

0

0 N値 50

設計深度

設計支持地盤深度 A

決定指標値(R)

必要長(NL) L

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基-33

〈打ち止め管理方法〉

① 設計深度が N 値一定型の支持地盤内に設けられている場合(図 4.5.2 参照)

試験杭や本杭で施工管理データを記録するが、本杭の打ち止めは、深度管理(設計深度≒貫

入深度)が主体となる。

② 設計深度が N 値漸増型の支持地盤内に設けられている場合(図 4.5.2 参照)

試験杭は設計深度まで施工し、施工管理データ(T、P、V、指標値)を記録する。

次に、N 値と試験杭で得られた施工管理データとを比較し、設計支持地盤深度(設計深度よ

り 1Dw 上方)における指標値を決定し、この決定指標値(R)を打ち止め管理値とする。

本杭は、設計支持地盤深度付近で、打ち止め管理値を満足した深度(クリアー深度)より

1Dw 以上貫入させて打ち止めとする。

③ 設計深度が N 値 L 型の支持地盤内に設けられている場合(図 4.5.2 参照)

基本的には②と同様であるが、試験杭施工時でも設計深度(L)をターゲットにするのではなく、

設計支持地盤深度(A)を施工管理データから把握し、その深度から必要長(NL=1Dw を基本)

貫入させることになる。

なお、設計支持地盤深度における指標値は、試験杭で得られた施工管理データを基に後述

する方法で決定し、この決定指標値(R)を打ち止め管理値とする。本杭は、設計支持地盤深

度付近で、打ち止め管理値を満足した深度(クリアー深度)より必要長(NL)以上貫入させて打

ち止めとする。

ただし、回転トルクが杭の短期ねじり強さ程度で杭一回転当りの貫入量が 5mm 以下となった

場合、かつ、設計支持地盤が層厚 2m 以上の安定した地盤であることを条件に、NLが1Dw以

下であっても打止めとすることができる。

杭の高止まりについては、その発生が地中障害による場合は、障害物の除去あるいは杭位置

を変更して上記と同様な管理を行う。また、その発生が支持地盤の不陸によると考えられる場合

は、上記と同様な管理をして打ち止めするが、この場合は設計長より短くなるため、杭の設計を

再検討するとともに、極端な高止まりはスウェーデン式サウンディング調査等を行い、適切な対応

をとる。

図 4.5.3 に打ち止め管理のフローを示す。さらに、図 4.5.4 に管理グラフ表示の一例を示すが、

支持地盤到達時の指標値の増加勾配は支持地盤 N 値の増加とよい相関性を示していると考

える。

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基-34

図 4.5.3 打ち止め管理のフロー

試験ぐいの施工 (設計深度 L まで)

試験ぐいの施工

設計支持地盤深度 Aの指標値 R の決定

本ぐいの施工

・設計支持地盤深度Aの把握

・設定指標値Rの決定 ・NLの確認

打ち止めパターン

の判定

N 値一定

N 値漸増

N 値 L 型

Y

N

高止まり

原因追求(必要に応じ

ボーリング実施)

・支持力再検討

・増打ち等の設計変更

障害物撤去

くい位置変更

本ぐい施工

再開 工法等の

再検討

地中障害?

支持地盤不陸?

N

Y

決定指標値R以上と

なるまで施工継続

原因追求

工法等の再検討

本ぐいの施工

貫入深度

≒設計深度?

設計支持地盤以浅

で貫入不能?

決定指標値R以上?

Y

N

N

N

Y

Y

Y

N

N

打ち止め

L 型

漸増型

漸増型か

L 型か?

NL 貫入?

1Dw 貫入?

・設計者と協議

(支持力再検討)

(増打ち等の設計変更)

Y

YN

クリアー深度を

満足したか?

NL 貫入? Y N ・設計者と協議

(NL再設定)

・施工法の検討

打ち止め

試験ぐいの施工

(設計深度 L まで)

くい先端打撃(支持力の確認)

開 始

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基-35

図 4.5.4 SSW と地盤調査N値回転トルク T、圧入力P、1/速度V

および指標値 T(1+P0.1)(1/V)0.1/100 の関係

※決定指標値Rの決め方

図 4.5.4 の施工管理データを一例として解説する。

GL-8m 付近から N 値が急増し、設計支持地盤となっている。測定された指標値も GL-8.5m

付近から急激に上昇している。

この場合の決定指標値の決め方としては、指標値が急激に上昇した勾配線の始点と終点

の指標値の平均値を決定指標値とする。なお、決定指標値は小数点以下1桁までの数字とし、

小数点以下 2 桁目は切り上げることとする。

図 4.5.4 より、設計支持地盤付近の指標値(デジタル値)は、急勾配線の始点が 0.3、終点

が 0.9 と測定されているので、その平均値として 0.6 が得られる。これより、0.6 を決定指標値とす

る。

S10

S11

C15

トルクT(kN・m) 圧入力P(kN) (1/v)0.1 指標値

0

2

4

6

8

10

0 0.75 1.5 2.25 3

0

2

4

6

8

10

0 4 8 12 16

0

2

4

6

8

10

0 2 4 6 8

0

2

4

6

8

10

0 0.3 0.6 0.9 1.2

N値の分布図

0 5 10 15 20

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基-36

4.5.5 杭先端打撃(スライドウェイト試験)

施工終了後,すべての杭について、杭先端に重錘を落下させて,重錘に取付けたスライドウエ

イトの最大変位より杭先端支持力を確認するスライドウェイト試験を行う。

手順は以下の通りである。

①使用する重錘を決定する。

杭本体部鋼管の内径に応じて、表 4.5.2 より重錘TYPEを決定する。

表 4.5.2 重錘の寸法

TYPE 外径

(mm)

内径

(mm)

長さ

(mm)

質量

(kg)

1 60.5 48.5 1068 30

2 114.3 105.3 750 80

3 101.6 87.6 1188 100

4 168.3 152.3 938 200

5 203 187 1477 500

6 298 282 1397 1000

②重錘落下高さを設定する。

杭の長期許容鉛直支持力の1.5倍の載荷荷重を与えるのに必要な落下高さを、重錘TYPE

から図 4.5.5 より決定する。

図 4.5.5 落下高さと設定荷重

③先端打撃を行う。

④スライドウエイトの最大変位を読みとる。

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基-37

図 4.5.6 のスライドウエイト計測器より最大変位(鉛直下側)を読み取る。

図 4.5.6 スライドウエイト計測器

⑤先端打撃による載荷荷重を求める。

図 4.5.7 と④で得られたスライドウェイトの最大変位から載荷荷重を求め、これが設計の許容

支持力を上回っていることを確認する。下回っている場合は、③~⑤の手順を繰り返し、スライド

ウェイト試験による載荷荷重が設計の長期許容支持力を上回るまで繰り返す。

図 4.5.7 載荷荷重とスライドウェイトの最大変位

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基-38

ウルトラパイル S 工法の杭先端打撃(スライドウェイト試験)施工順序を図 4.5.8 に示す。

図 4.5.8 スライドウェイト試験施工手順

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基-39

4.5.6 継手の施工設計

1)上杭の建て込み精度

下杭の頭部を清掃して裏当リングを取り付ける。上杭を下杭にセットした後、鉛直精

度は水準器を上杭側面に当てて、直角 2 方向の傾斜が 1/100 以内であることを確認す

る。

2)鋼管の継手溶接

鋼管の継手溶接は、日本溶接協会規格 WES 7601「基礎杭打設時における溶接作

業標準」による。

① 開先部は、ワイヤーブラシ等で汚れを除去し、裏当てリングを使用して電気溶接によ

る全周溶接を行う。手動アーク溶接の標準的な溶接条件として、電流は 130~

220A、電圧は 20~30V、速度は 10~25cm/分を用いる。

② 溶接工は、JIS Z3801 および JIS Z3841 に定められた試験に合格した者、又は JIS

Z3801 の労働安全衛生法アーク溶接の特別教育を終了し、継続して杭の溶接作

業に従事している者とする。

③ 継手の溶接に用いる溶接材料は、引張強さが、490N/mm2 級のものを用いる。

④ 杭継手部の形状は、鋼管杭協会の規格に準じたものとする(図 4.5.9 参照)。

図 4.5.9 杭継手部の形状

3) 溶接検査

杭の現場溶接部分は、割れ、アンダーカット、ピンホールなどの有無を目視にて検査し、

欠陥を発見した場合は、その箇所をグラインダ等で取り除き、再溶接する。

裏当てリング

上杭

下杭

裏当てリング

杭本体

δ

3mm≦δ≦6mm

(鉄板ゲージで調整

)

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基-40

4.5.7 施工管理項目

施工管理項目を表 4.5.3 に示す。本工法施工管理チェックシートを表 4.5.4 に示す。

表 4.5.3 施工管理項目

工程 管理項目 管理方法 管理基準および管理値

杭材の受け入れ 杭各部の寸法 搬入時に杭径・杭長・拡翼部の寸法と変形の無

いこと、および数量、材質を確認 杭の仕様書、施工計画書

回転貫入

作業地盤 ボーリング時の N 値等より作業地盤の安定性確

作業地盤の状況に応じて敷き鉄板を敷く

地盤の接地圧≧重機の接地圧

杭芯の設定 杭芯より 90 度方向に 2 点逃げ杭(鉄筋棒)を打っ

ておく 杭芯の偏芯量が 1/5 D以内(D:鋼管径)

深度 0 の設定 杭打機で設定 0 鋼管の軸部分の先端が GL にきた時を深度 0

とする

リーダーの鉛直性 杭打ち機本体に装備されたリーダーの傾斜計で

直角 2 方向について確認 傾斜が 1/200 以内

杭の建込み精度 水準器を杭側面にあて、直角 2 方向から確認 傾斜が 1/100 以内

杭の固定 振れ止め装置を用いる

貫入速度 V 施工管理装置の速度計を確認、

データを記録

1 回転の貫入量が拡翼勾配の高さ分程度とす

回転トルク T 施工管理装置の油圧モータ出力値を確認、

データを記録 杭の短期ねじり強さ以下

圧入力 P 施工管理装置の油圧モータ出力値を確認、

データを記録

10kN を標準として杭打機重量の

1/3 以下とする

継手

継杭の建込み精度 水準器で直角 2 方向から確認 傾斜が 1/100 以内

溶接 資格確認と溶接状況の目視確認 JIS Z3801 等の資格、裏当金具使用全周溶

杭所定深度の

確認

杭先端深度 施工管理装置の深度計の値を地盤調査資料と

対比 杭先端が設定深度付近まで貫入していること

指標値

T(1+P0.1)(1/V)0.1/100

施工管理装置で回転トルク T、圧入力 P、貫入

速度 V、指標値の表示および記録 試験杭の指標値より設定した管理値以上

杭頭のずれ 偏芯量 逃げ杭から確認 ±10cm かつ基礎幅以内

杭先端

打撃による

支持力の確認

重錘の選定 計算図表で確認 杭径および支持力により選定

重錘の落下高さ 計算図表で確認 長期許容支持力の1.5倍以下で目標とする支

持力に相当する高さ

スライドウエイトの最大

変位 スライドウエイトの最大変位を記録

スライドウエイトの最大変位から載荷荷重を計

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基-41

表 4.5.4 本工法施工管理チェックシート

ウルトラパイル S 工法施工管理チェックシート

工程 管理項目 管理方法 確認内容 確認

杭 材 の 受 け 入

各部の寸法 搬入時に仕様書により検査 杭の材質確認はしたか

杭径は間違いないか

杭長は間違いないか

拡翼部の寸法間違いはないか

部材に変形・腐食はないか

施工準備 作業地盤 作業地盤状況で敷鉄板 作業地盤の養生は必要か

回転貫入 杭芯の設定 杭芯より90度2点逃杭 逃げ杭は出したか

杭芯の偏芯量が1/5 D以内か

深度0設定 鋼管建て込時目視確認 杭深度が0になる様にセット

杭打リーダーの

鉛直性

水準器又はリーダーの傾斜計で

直角2方向確認

リーダーは鉛直か、傾斜が1/200以内か

杭建込精度 水準器で直角2方向から 鋼管は鉛直か、1/100以内

杭の固定 振れ止め装置を用いる 杭の固定はしたか、振止装置

貫入速度 管理装置の速度計を確認、データカ

ードに記録

貫入速度は1回転の貫入量が拡翼勾配の高さ

程度

圧入力P 管理装置の圧入力値。試験以外は

試験杭と対比

圧入力Pは適切か

機械重量の1/3( kN)以下を基本とする

回転トルクT 油圧モータの出力値 杭の短期ねじり強さ( kN・m)以内

継手 上杭 の 建込み

精度

水準器で直角2方向から確認 鋼管は鉛直か、(傾斜 1/100以内)

溶接 資格確認と溶接状況の目視確認 裏当リングを使用しているか

溶接方法は適切か

溶接の仕上がりは問題ないか

支持地盤の

確認

(各データカード

に記録)

設置深度 管理装置の深度値。調査資料、

試験杭と対比

設置深度は問題ないか

回転トルクT 管理装置の回転トルク値。

試験杭と対比

参考値として試験杭と同程度

指標値

T(1+P0.1)(1/V)0.1/100

パソコンでグラフ表示

指標値は確認したか( )

試験杭の指標値から設定した管理値以上

杭頭のずれ 偏芯量 逃げポイントから確認 杭頭の偏芯は基準値(±100mm)以内かつ基礎

幅以内か

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基-42

杭先端

打撃による

支持力の確認

重錘の選定 計算図表で確認 適切な重錘か

重錘の落下高

計算図表で確認 適切な落下高さか

スライドウエイト

の最大変位記

スライドウエイトの最大変位を記録 スライドウエイトの最大変位を記録したか

載荷荷重の推

計算図から推定 載荷荷重>設計長期許容支持力

総合 判定(合、否)

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基-43

4.5.8 施工記録

原則として、施工した全ての杭についての施工記録を作成する。施工記録は、施工の良否

を判定する目的のみでなく、以後の工事の貴重な資料となるので出来るだけ詳細なものを残す。

施工管理者は、下記の項目に関する施工記録を作成する。

1)施工記録

①一般事項

1 工事件名

2 工事場所

3 施工目的

4 工事種別

5 施工期間

②施工管理体制

③工事内容

1 施工鋼管

・材質

・仕様

・鋼管杭の設計上の腐食代

2 施工機械

3 施工状況

・施工杭位置図

・GL 設定および杭天端

・杭頭処理

・杭別施工状況

杭 No

設計長

施工長

杭芯ずれ

施工管理システム表示グラフ

最終貫入状況、備考

スライドウエイト試験結果

4 土質柱状図

5 工事施工写真集

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基-44

4.5.9 安全対策・公害対策

・安全対策

作業の安全を図るために、起こりうる災害を想定してその防止につとめる。

1)災害の種類

杭施工にともなう労働災害には、不注意によるものや、機械・工具などの操作に不慣れで

あることによるものが非常に多い。その例としては、杭打ち機の倒壊・傾斜・接触、ワイヤロープ

の切断による反撥・吊荷の落下、作業員の転倒・墜落・感電・火傷、メタンガスの爆発などが

ある。

2)災害の防止

工事の指揮をする作業責任者および当該作業に従事するものは、規律ある正しい作業を

行い、危険防止に対して常に注意を払わなければならない。そのためには、労働安全衛生体

制の整備と強化が必要である。機械類は使用前に点検し、損傷変形の有無、機能部品の

欠如などを調べ、不備な点については、事前に適切な処置を講じておく。

現場での工事は、あらかじめ定められた施工計画書に基づき、工事の指導をする。作業

責任者が当該作業に従事するものに、その作業順序方法を周知させた上で直接指導のもと

で行う。

機械の取り扱い者を選任し、その氏名を明示するとともに、その者以外に扱わせてはならな

い。クレーン類の運転者は有資格者とする。杭圧入機を設置する場合、近接している鉄道・

道路・高圧線・電灯線・通信線・建築物、地下埋設物などに異常を生じないよう対策を立

てる。また、工事現場およびその周辺に埋設物などの撤去跡や軟弱な地盤となっている部分

がある場合は、危険防止の安全標識、柵などを設ける。

当該作業、ならびに他の作業に従事するものが通行の際、接触などの危険をうける恐れが

ある場合には、防護設備を設けるか、監視員を配置する。

・公害対策

本工事に伴う公害には、発電機などの騒音・振動などがあるので必要に応じて機械に防音

装置を取り付けるかシート張りの囲いを施す等の適切な対策を立てる。