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PM2.5の測定法について
2016.1.26
1.PM2.5とは何か
2.日本のPM2.5状況は
3.PM2.5をどのように測るか
4.PM2.5測定における今後の課題
本日の講演内容
空気力学的粒径
� 空気力学的粒径が2.5μm以下の粒子状物質
比重=1
直径=2.5μm以下
比重=1.56
直径=2μm以下
自然界の粒子はとても複雑な構造
Aerodynamic Diameter
大気中の粒子状物質の分布
PM2.5による健康影響
PM2.5は肺の奥深くまで入り込みやすい
出典:NIES
有害成分による健康影響が懸念
・呼吸器系疾患
(喘息や気管支炎など)
・循環器系疾患(心筋梗塞)
・肺がんのリスク上昇
・環境基準 2009年制定
・高濃度時は注意喚起!
PM2.5に係る広告例
本日の講演内容
1.PM2.5とは何か
2.日本のPM2.5状況は
3.PM2.5をどのように測るか
4.PM2.5測定における今後の課題
PM環境基準の日米比較
日 本 米 国(2013改定)
PM2.5 SPM PM2.5 PM10
年平均 15μg/m3 - 12μg/m3 -
日平均 35μg/m3 100μg/m3 35μg/m3 150μg/m3
1時間値 ※ 200μg/m3 - -
※日本のSPMに1時間値の環境基準があるが、PM2.5にはない
PM2.5の常時監視
� 2009年9月環境基準設定に伴い常時監視開始
� 約1000局でPM2.5計が稼動中(H27年度末時点)
(日本の大気常時監視局は約1300箇所)
� 2013年冬に高濃度PM2.5が出現し、北京ヘイズ(スモッグ)として一気に社会問題化した
� 2013年3月以降、高濃度時に自治体から「注意喚起」が発信されることになった
� 西日本、特に九州で高濃度PM2.5が度々観測されている
環境省PM2.5調査結果
環境省が微笑粒子状物質等暴露影響実測調査として主に国設ステーションでTEOM1400aによる観測を行った。
PM2.5は平成13年度から平成22年度までは徐々に減少傾向にある。
本日の講演内容
1.PM2.5とは何か
2.日本のPM2.5状況は
3.PM2.5をどのように測るか
4.PM2.5測定における今後の課題
PM2.5濃度の測定法
サンプラ(手分析)
PM2.5をPTFEろ紙上に24時間捕集してそのろ紙を秤量 → 1日平均値を計算する
※FRM法:連続測定器の比較基準となる方法
連続自動測定器
①β線式 ・・・・・β線吸収法を利用した測定器
②TEOM式・・・・ろ紙振動法を利用した測定器
③光散乱式・・・光散乱を利用した測定器(簡易法)
PM2.5サンプラの例
環境省のFRM等価性評価試験は未実施
サポートリング付ふっ素樹脂ろ紙使用
24時間サンプリング後にろ紙秤量
ろ紙を成分分析にも利用
PM2.5サンプラ(手分析)法の手順
フィルタのブランク質量秤量
PM2.5サンプラの設置
21.5℃±5℃、RH35%±5%で24時間以上保管後
サンプリング(24時間±1時間)
フィルタ試料のコンディショニング(24時間以上)
日平均濃度の算出
フィルタ(PTFE)試料の静電気除去
21.5℃±5℃、RH35%±5%の容器
フィルタ試料の秤量
4 ℃以下で冷暗保管しながら運搬
天秤の最小単位…1μg
天秤の最小単位…1μg
サンプラのろ紙秤量
� PTFEフィルタ質量:150mg
� 天秤での秤量限界:20μg程度
� 1m3×24時間の試料採取、
� フィルタ恒湿処理(24時間、20-23℃、30-40%RH)
� 測定下限値: 1~2μg/m3
サポートリング
吸湿性少材質PTFE
吸湿性少帯電性大
β線式PM2.5自動計測器の例
環境省のFRM等価性評価試験にパス
ふっ素樹脂テープろ紙を標準採用
(ろ紙を成分分析にも利用可能)
バーチャルインパクタ方式の分粒器を採用。PM2.5だけでなく、SPMまたはPM10を同時に測定可能(オプション)
オプションでOBC(Optical Black Carbon)センサを微小粒子側に搭載しディーゼル排ガス由来のブラックカーボンの測定が可能
微小粒子状物質自動計測器
PM-712
粗大粒子(PM10-2.5)微小粒子(PM2.5)
PM-712(屋外型)設置例
コンテナ屋上に設置 地上に設置(インレット高3m)
PM2.5自動計測器の構成要素
� インレット →PM10インレット
� PM2.5分粒器 →①インパクタ②バーチャルインパクタ
③サイクロン
� 検出器 →①β線吸収法
② ハイブリッド(β線吸収法と光散乱法)
③TEOM
� 除湿機能 →①スマートカルク② 除湿管方式③ヒーター方式
� 試料流量制御器→体積流量制御� 質量濃度演算器→μg/m3、1時間値
代表的なPM2.5分粒器 PM2.5分粒器のカット特性
*Loo, B. W. and Cork, C. P., Aerosol Sci. and Tech., 9(3),167, (1988).
**Peters, T.M. et al., Aerosol Sci. and Tech., 34, 389, (2001).
***Kenny, L.C. et al., Aerosol Sci. and Tech., 38, 15-22, (2004).
JIS Z 8851で規定されている分粒装置の特性
分粒装置の50%カットオフ径(D50)が2.5±0.2μm、80%分粒径(D80)に対する20%分粒径(D20)の比で規定するの傾きが1.5以下を満たすこととする。
PM-712搭載のVirtual Impactorの特性:
D50 = 2.45 μm
D20/D80 = 2.82 / 1.97 = 1.43
①フィルタはフルイとは異なり、繊維の折り重なった構造
⇒ディプスフィルタ②微小粒子から粗大粒子まで捕集可能
捕集効率⇒0.3μm粒子で99.9%以上
③フィルタは吸湿性・吸着性がないこと
⇒フッ素樹脂製 ディプスフィルタ
フィルタ(ろ紙)の構造 浮遊粒子状物質の吸脱湿特性
(Aggarwal,S.G., Mochida,M., Kitamori,Y., & Kawamura,K.,Environ. Sci. Technol., 41, 6920-6925, 2007)
An example of the RH dependence of the measured- and predictedLWC. The aerosol sample was collected from 2100LT, June 29 to 0440LT, June 30, 2005.
加湿
除湿35%
揮発・半揮発成分の飛散・損失
気温
湿度
PM量・成分
通気量
NO3
夏季における新潟市PM2.5濃度の湿度補償(スマートカルク)前後の濃度比較(2010年7月~8月)
0
20
40
60
80
100
7/16 7/21 7/26 7/31 8/5 8/10 8/15 8/20 8/25 8/30
PM2.5 (ug/m3)
新潟-夏-1h-PM712-R
新潟-夏-1h-PM712-SC
0
20
40
60
80
100
7/16 7/21 7/26 7/31 8/5 8/10 8/15 8/20 8/25 8/30
相対湿度(RH%)
20
30
40
50
60
70
温度(℃)
新潟-夏-1h-外気RH 新潟-夏-1h-試料RH 新潟-夏-1h-外気Temp 新潟-夏-1h-試料Temp
フィールド観測データ(1時間値)
スマートカルクあり
スマートカルクなし
[環境省]微小粒子状物質に係る標準測定法と自動測定機の等価性評価 第2回並行試験(夏季分)より
本日の講演内容
1.PM2.5とは何か
2.日本のPM2.5状況は
3.PM2.5をどのように測るか
4.PM2.5測定における今後の課題
PM2.5の生成過程と組成
H25年 兵庫県での組成分析結果
・PM2.5の主要成分は、有機炭素(OC)、元素状炭素(EC)、
硫酸イオン、硝酸イオン、アンモニウムイオン
・成分組成比は、場所・季節によって異なる
PM2.5生成過程図 出典:国立環境研究所
大気エアロゾル化学成分連続自動分析装置
ACSA-14
1時間毎にテープろ紙に捕集した粒子状物質を水で抽出し、主要化学成分を連続分析する
PM2.5の性質-粒径別水溶性成分比較
紀本岳志,板野泰之,田熊勝,福永明子,大気エアロゾル成分連続測定法開発グループ(FECOA),第49回大気環境学会年会講演要旨集 p.449 (2008)
0
50
100
150
μg/
m3
PM2.5[DRY] (μg/m3) PM10-2.5(μg/m3)
0
10
20
30
μg/
m3
PM2.5[SO4](μg/m3) PM2.5[NO3](μg/m3)
SO4が非常に高く
なっている
ACSA連続モニタリング(冬~春)
NO3だけが高く
なっている
集中観測(2週間)
黄砂時データ例 (Mar-Apr ’07, Osaka)
紀本岳志,板野泰之,田熊勝,福永明子,大気エアロゾル成分連続測定法開発グループ(FECOA),第49回大気環境学会年会講演要旨集 p.449 (2008)
まとめ
� 健康影響を考えると、PM2.5は質量濃度だけでなく成分の測定が重要である
� PM2.5は気象要因や発生源の影響により変化するので、連続測定が必要となる
� 注意喚起のための監視用自動測定器は、高精度で正確な1時間値を測定することが求められる
ご清聴ありがとうございました。