生体試料における生体試料における PCBPCB 分析分析

○○ 上瀧　智巳上瀧　智巳 11 ））、　森　千里、　森　千里 22 ））、　中野　武、　中野　武 33 ））

11 ））㈱エスアールエル、　㈱エスアールエル、　 22 ））千葉大学大学院医学研究千葉大学大学院医学研究院、院、

33 ））兵庫県立健康環境科学研究センター兵庫県立健康環境科学研究センター

はじめにはじめに

ヒトや動物が内分泌攪乱化学物質に暴露されると、生殖系や神経系に悪影響を及ぼすことが心配されている。 PCBs も内分泌攪乱作用を有していると疑われており、　ヒトへの蓄積・暴露状況の把握が求められつつあり、血液などの生体試料における PCBs

の濃度測定を行うことが必要とされている。 そこで、今回 HRGC/HRMS を用いて、生体試料に

おける PCBs の分析方法の検討を行ったので、その結果について報告する。また、全血と血漿による PC

B の濃度比較についても併せて報告する。

　　　

前処理操作前処理操作試料 　 5　g

クリーンアップスパイク添加13C12- PCBs

アルカリ分解

1mol/ L　KOH/ 　 15mLエタノール18室温、 時間放置

液々分配 　

　 10mL蒸留水　 10mL× 3ヘキサン

5min振とう

有機層 水層

水洗

　蒸留水 10mL× 3

脱水

無水硫酸ナトリウム

濃縮

　 5g活性フロリジル　100mL予備洗浄：ヘキサン

　50mL溶出：ヘキサン

濃縮

溶解

シリンジスパイク添加13C12- PCBs

GC/ MS

フロリジルカラム処理

MS AutoSpec-Ultima(Micromass)

Ionization　mode EI

Electron　Energy 38eV

Trap　current 700μA

Accel Voltage 8 ｋ V

Ion　source　Temp 280℃

Interface　Temp 300℃

Resolution M/ΔM　＞　 10,000（ 10%Valley）

GC Agilent 6890 Plus GC （ Agilent Technologies inc ）

Column HT8-PCB （関東化学） 60m x 0.25mmI.D.

Injector PTV

Injection　Volume 5μL

Oven　Temp 60℃(2.5min)-20℃/min-180℃-2℃/min-260℃-5℃/min-300℃ (4min)

Flow He　1mL/min（ constant　flow）

HRGC/HRMSHRGC/HRMS 分析条件分析条件

操作ブランクと定量下限

＜操作ブランク ＞試料を用いずに前処理および測定を n=6 で行い算出

最大で　 0.97pg 　を検出

＜定量下限＞

1. 装置の定量下限

低濃度の標準品を n=6 にて測定を行い、測定値の 10SD より算出

2. 測定方法の定量下限

操作ブランク値の 10SD より算出

定量下限 ＝ 0.067～ 0.31pg/g

Blank 試料あたりの濃度に 試料あたりの濃度に 試料あたりの濃度にCompound Mean 換算した全操作 換算した装置の 換算した測定方法の

pg（ ） ブランク値 　定量下限値 　定量下限値pg/ g mL（ または ） pg/ g mL（ または ） pg/ g mL（ または ）

MonoM1CB(#3) 0.96 0.19 0.034 0.31DiD2CB(#8) 0.97 0.19 0.14 0.24D2CB(#15) 0.52 0.10 0.081 0.13TriT3CB(#18) 0.39 0.077 0.018 0.25T3CB(#31) 0.40 0.080 0.023 0.11T3CB(#28) 0.66 0.13 0.034 0.17T3CB(#33) 0.35 0.069 0.032 0.085TetraT4CB(#52) 0.18 0.035 0.033 0.068T4CB(#44) 0.15 0.030 0.028 0.036T4CB(#70) 0.23 0.046 0.014 0.094T4CB(#66) 0.16 0.033 0.015 0.084T4CB(#81) 0 0 0.016 0T4CB(#77) 0 0 0.021 0PentaP5CB(#95) 0.075 0.015 0.073 0.080P5CB(#101) 0.11 0.021 0.092 0.058P5CB(#110) 0.091 0.018 0.035 0.045P5CB(#123) 0 0 0.040 0P5CB(#118) 0.086 0.017 0.048 0.075P5CB(#114) 0 0 0.055 0P5CB(#105) 0.043 0.0087 0.035 0.069P5CB(#126) 0 0 0.065 0HexaH6CB(#149) 0.075 0.015 0.038 0.023H6CB(#153) 0.099 0.020 0.027 0.044H6CB(#138) 0.11 0.022 0.077 0.023H6CB(#167) 0 0 0.054 0H6CB(#156) 0.015 0.0030 0.040 0.073H6CB(#157) 0 0 0.038 0H6CB(#169) 0 0 0.058 0HeptaH7CB(#187) 0 0 0.042 0H7CB(#174) 0 0 0.038 0H7CB(#180) 0.099 0.020 0.048 0.029H7CB(#170) 0.12 0.024 0.046 0.079H7CB(#189) 0 0 0.046 0OctaO8CB(#199) 0 0 0.070 0O8CB(#203) 0 0 0.090 0O8CB(#194) 0.075 0.015 0.057 0.017NonaN9CB(#206) 0.087 0.017 0.067 0.0078DecaD10CB(#209) 0.68 0.14 0.040 0.30

測定再現性測定再現性プール血液の同時再現性

030430QC_01 030430QC_02 030430QC_03 030430QC_04 030430QC_05 030430QC_06 Average SD C.V.5.00g 5.01g 5.01g 5.01g 5.01g 5.02g (%)

M1CBs 0.411 0.393 0.395 0.355 0.399 0.427 0.397 0.024 6.07%D2CBs 2.078 1.911 1.756 1.866 1.948 1.930 1.915 0.105 5.51%T3CBs 7.632 7.743 7.601 8.042 7.743 7.607 7.728 0.167 2.16%T4CBs 73.309 74.586 74.423 75.025 74.531 74.279 74.359 0.572 0.77%P5CBs 132.604 133.914 135.528 133.456 135.067 133.846 134.069 1.070 0.80%H6CBs 521.245 525.793 522.649 526.252 530.162 529.675 525.963 3.599 0.68%H7CBs 341.067 339.514 345.157 343.692 340.218 334.997 340.774 3.552 1.04%O8CBs 84.598 101.667 84.837 85.983 85.914 84.864 87.977 6.732 7.65%N9CBs 10.681 10.327 10.686 10.545 10.423 10.575 10.540 0.142 1.35%D10CB 4.560 4.491 4.412 4.530 4.485 4.427 4.484 0.057 1.28%Total- PCBs 1178.186 1200.338 1187.445 1189.744 1190.891 1182.626 1188.205 7.601 0.64%

(pg/ g)

プール血液の日差再現性

030430QC_01 030522QC_07 030715EX_13 Average SD C.V.5.00g 5.00g 5.07g (%)

M1CBs 0.411 0.422 0.355 0.396 0.036 9.11%D2CBs 2.078 2.273 2.093 2.148 0.108 5.05%T3CBs 7.632 7.686 7.891 7.736 0.136 1.76%T4CBs 73.309 78.581 73.218 75.036 3.070 4.09%P5CBs 132.604 139.815 143.679 138.699 5.621 4.05%H6CBs 521.245 529.608 551.635 534.163 15.698 2.94%H7CBs 341.067 357.223 375.421 357.904 17.187 4.80%O8CBs 84.598 90.583 88.720 87.967 3.063 3.48%N9CBs 10.681 11.659 10.505 10.948 0.621 5.68%D10CB 4.560 4.794 4.473 4.609 0.166 3.59%Total- PCBs 1178.186 1222.645 1257.989 1219.607 39.988 3.28%

(pg/ g)

同時再現性 同時再現性

　　　　 C.V.=0.6C.V.=0.64%4%

日差再現性 日差再現性

　　　　 C.V.=3.2C.V.=3.28%8%

Total-PCBs

y　=　0.5162x　+　63.256R2　=　0.9924

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800

(pg/ g-wet)血漿

(pg/g-wet)

全血

全血中と血漿中の全血中と血漿中の PCBPCB 濃度比較（総濃度比較（総 PCPCBB ））

PCB総 濃度比較

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

Sample- 1 Sample- 2 Sample- 3 Sample- 4 Sample- 5 Sample- 6

Total-PCB(pg/g-wet)

血漿全血

血球中の PCB濃度をゼロと仮定し、

全血中の PCB濃度を 値よﾍﾏﾄｸﾘｯﾄり

血漿あたりに換算し、比較を行った。

（ Total-PCBsにて）　

血液中における血液中における PCBPCB の分布の検証の分布の検証

換算前

PCB総 濃度比較

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

Sample- 1 Sample- 2 Sample- 3 Sample- 4 Sample- 5 Sample- 6

Total-PCBs(pg/g-wet)

血漿全血

血漿換算 血漿換算 = = 全血中濃度 全血中濃度 / / （（ 1-1- ﾍﾏﾄｸﾘｯﾄﾍﾏﾄｸﾘｯﾄ値）値）

血液中の PCB は概ね血漿中に

存在している可能性が示唆された。

換算後

PCBPCB のマスクロマトグラム （のマスクロマトグラム （ PentaPenta 、、HexaHexa ））

26.00 28.00 30.00 32.00 34.00 36.00 38.00 40.00 42.00 44.00 46.00 48.00 50.00Time0

100

%

0

100

%

0

100

%

0

100

%

33.7530.66

28.42

30.2428.93

32.8731.1432.54

31.99

36.55

34.82 35.96

38.93

37.22

36.56

31.16

30.67 35.9732.51

38.9437.91 40.29

37.89

35.05

33.9632.35 37.41

37.1935.93

40.28

40.08

38.79

39.5842.7040.55

45.43 46.23

37.91

37.21

40.29

40.09

39.3745.45

43.44

★ ： Co-PCB

★ 2,3’,4,4’,5-P5CB

(#118)

★

★

★

★ ★★

★

2,2’,4,4’,5-P5CB(#99)

2,3,3’,4,4’ -P5CB (#105)

2,2’,4,4’,5,5’-H6CB(#153)

2,3,3’,4’,5,6-H6CB(#163)2,2’,3,4,4’,5’-H6CB(#138)

KC-300,400,500,600 MIX

Blood Sample

KC-300,400,500,600 MIX

Blood Sample

P5CB

H6CB

★

2,3,3’,4,4’,5-H6CB(#156)

まとめまとめ 血液試料を想定した血液試料を想定した HRGC/HRMSHRGC/HRMS によるによる PCBsPCBs の分析方法の検討を行った。の分析方法の検討を行った。

最大 最大 0.97 pg 0.97 pg の操作ブランクが検出された。の操作ブランクが検出された。

定量下限は 定量下限は 0.067 0.067 ～ ～ 0.31 pg/g 0.31 pg/g であった。であった。

同時再現性 同時再現性 C.V.=0.64%C.V.=0.64% 、日差再現性 、日差再現性 C.V.=3.28%C.V.=3.28% 　　 (Total-PCB(Total-PCB値として値として ))

全血と血漿で全血と血漿で RR22=0.99=0.99 の正の相関が見られた。（の正の相関が見られた。（ Total-PCBTotal-PCB値として値として ))

血液中の血液中の PCBPCB は概ね血漿中に存在している可能性が示唆された。は概ね血漿中に存在している可能性が示唆された。

　　　参考文献　　　参考文献　（１）松村、他、環境化学 　（１）松村、他、環境化学 Vol.12, No.4, pp855, 2002Vol.12, No.4, pp855, 2002

　（２）門上、第　（２）門上、第 2626 回日本環境化学会講演会予稿集回日本環境化学会講演会予稿集 , p109,1998, p109,1998

　（３）血液中のダイオキシン類測定暫定マニュアル　（３）血液中のダイオキシン類測定暫定マニュアル , 2000, 2000