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望ましい性質を持つ物質の探索と創成 -創薬科学の分野から-
薬はどうして効くのか? 薬のトランスポーター 薬とヒトの相性
杉山雄一 東京大学大学院薬学系研究科 教授
東京大学 学術俯瞰講義 駒場キャンパス 18号館ホール
「‡:このマークが付してある著作物は、第三者が有する著作物ですので、同著作物の再使用、同著作物の二次的著作物の創作等については、著作権者より直接使用許諾を得る必要があります。」
肝臓のトランスポーター
OCT1 NTCP OATP1B1 (OATP2)
OATP1B3 (OATP8)
OATP2B1 (OATP-B) OAT2 MRP3 MRP4
MRP2 BCRP MDR1
BSEP
MRP6
薬物の取込み 血管
代謝酵素
代謝
胆汁中への排泄
(代謝物)
肝細胞
胆管
(薬物)
肝、腎、小腸、脳に発現している主な薬物トランスポーター
血液
血液脳関門 脳毛細血管内皮細胞
吸収
PEPT1 ASBT
小腸
尿排泄
腎臓
胆汁排泄
肝臓
脳脊髄液 血液脳脊髄液関門 脈絡層上皮細胞
赤く色づけした トラン
スポーターは私の研究室で重点的に研究しているもの
MRP2 P-gp BCRP OATPs
OCT1 MCT1 MRP3 OSTα/β
OAT1 OAT3 OCT2 OATP
4C1 MRP3 MRP6
PEPT1 PEPT2
OCTN1 OCTN2
MRP2 MRP4 P-gp OAT4
URAT1 MATE1 MATE2
BSEP
MATE1 MRP2 BCRP
P-gp
MRP3 MRP4 MRP6
OATP1B1 OATP1B3 OCT1 NTCP OAT2 OCTN2
P-gp BCRP MRP1 MRP4 MRP5
OAT3
OATP1A2 OATP1C1
OCTN2
OATP1A2
OATP 1A2 MRP1 OATP1C1 MRP4
PEPT2 OAT3 OATP1A2
Giacomini KM and Sugiyama Y, Membrane transporters and drug response, Chapter 2 in "Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics 11th edition", 2005
トランスポーターの異物解毒における役割
ATP Binding Cassette (ABC)
ABC(ATP binding cassette )トランスポーター
intracellular
extracellular membrane
COOH
NH2
e.g. MRP2 MDR1 BCRP BSEP MRP3 MRP6
SLC (solute carrier )トランスポーター extracellular membrane
intracellular
NH2 COOH
e.g. OATP NTCP OAT OCT
血液 生体異物の 濃度勾配
胆汁、尿
ATP
ATP
ABC
SLC 肝臓、腎臓
ABC
ABC SLC SLC
生体異物の濃度勾配
血液脳関門 (脳毛細血管 内皮細胞)
脳細胞間液
Increased Sensitivity to the Neurotoxic Pesticide Ivermectin in Mdr1a (-/-) Mice
0
20
40
60
80
100
120
0.1 1 10 100 1000
Surv
ival
(%)
Ivermectin Dose (mg/kg)
Mdr1a (-/-) Mdr1a (+/+)
Ivermectin Toxicity in Mdr1a (+/+) and (-/-) Mice
0 25 50 75 100
BrainMuscle
HeartKidney
LiverGall bladder
LungStomach
Small intestineColon
Fat (neck)Fat (organ)
TestisEpididymis
SpleenThymusPlasma
Ratio (-/-): (+/+)
Tissue Concentration Ratio of Ivermectin between Mdr1a (+/+) and (-/-) Mice
Schinkel et al., Cell. 1994 May 20;77(4):491-502
著作権上の都合により ここに挿入されていた図表
は削除致しました。
A.H. Schinkel et al. (1994) Disruption of the mouse mdr1a P-glycoprotein gene leads to a deficiency in the blood-brain barrier and to increased sensitivity to drugs Original Research Article. Cell 77(4): 491-502, Table1を元に作成。
健常人ボランティアを対象とした臨床試験 [11C]verapamil (PETにより、脳内濃度を非侵襲的に測定) (放医研 須原哲也 博士との共同研究) Takano A, et al J Nucl Med. 47:1427-33, 2006.
P-gp
発現
量
0
200
400
600
800
1000
1200
1400
N = 3 4 5
CC (wt) CT TT MDR1 genotype in exon 26
十二指腸ではSNPsにより、P-gpの発現量が異なる。脳で同様にSNPとP-gp発現量に相関があった場合、脳内薬物濃度が異なることが予想される。
サルでのPET試験の結果
P-gp阻害剤との併用により、脳内薬物濃度が顕著に増加した。
非投与群 投与群 十二指腸におけるP-gpの発現量と遺伝子多型との対応
Hoffmeyer S, et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 97:3473-8 (2000).
‡ Lee YJ, et al J Pharmacol Exp Ther 316:647-53 (2006)
P-gpの遺伝子多型と脳毛細血管における異物排泄、中枢への薬物移行の個人差
著作権上の都合により、ここに挿入されていた図表は削除致しました。
背景 1. oseltamivirとその活性型分子の物性について
COOC2H5
H2N
H3COCHN
O
H3C CH3
COOHH2N
H3COCHN
O
H3C CH3
Oseltamivir (TAMIFLU):Anti-influenza drug
Ro 64-0802 (pharmacologically-active form) Parent form
加水分解
Oseltamivirは、インフルエンザウイルスのneuraminidaseを選択的に阻害するRo 64-0802のプロドラッグ体である。 2006年、日本においてOseltamivirの処方数は1000万件を超えた。 Oseltamivirを服用した、主に若年性のインフルエンザ罹患者において異常行動が報告されている。
M.W. : 312.40 Log D (at pH7) : -0.30 pKa : 14.68 (Acidic) 8.81 (Basic)
M.W. : 284.35 Log D (at pH7) : -2.05 pKa : 4.13 (Acidic) 9.26 (Basic)
Carboxylesterase
(CES)
2001年の販売開始以来、飛び降り等のような異常行動を示したのは国内で211人(2007年6月現在)
年代別でみると、10歳未満が33.6%、10~19歳が44.5%で、合計78.1%に達し、異常行動の副作用の多くは19歳以下から報告されていた。 (薬事日報より)
オセルタミビル服用と異常行動との因果関係は不明ではあるが、2007年3月厚生労働省は、10代への使用制限を指示した。
背景 2. oseltamivir服用後の異常行動について
1. 末梢組織におけるoseltamivir及びAcid formの体内動態制御機構 2. 中枢への両化合物の移行性並びにその分子機構
因果関係については、詳細で科学的な臨床データの疫学解析を待って結論を出す必要がある。
本研究では、疫学解析結果に先立って、以下に示す体内動態メカニズムを行うことにより、“”オセルタミビル服用が、異常行動の一原因であるとするならば”どういうメカニズムが考えられるかについて、考察を加えた。
インフルエンザ薬 Oseltamivir (タミフル)の脳への分布メカニズム
EtO2C
ONHAc
NH2 H3PO4
Oseltamivir(タミフル)
消化管
(吸収) Brain endothelial
cells (BBB)
Cetral nervous System (CNS)
esterase ester form acid form
中枢性副作用 ?
ester form acid form Blood
タミフルの脳内濃度がP-gpのKOにより大きく上昇する.
esterase
P-gp
WT P-gp KO0
200
400
600
800
1000
brai
n co
ncen
trat
ion
(pm
ol/g
bra
in)
P3 P6 P11 P21 P420
200
400
600
800
1000
若年ラットでは、P-gpの脳内濃度
が低下しており、その結果、脳内でのタミフル濃度が上昇する。
×5.0
×6.7
Days after birth
MRP4
OAT3
Liver
副作用の確率(XX万人に一人)
F(Tox) = Fmdr1 x Fother trans x Fces
0.001 0.1 0.1 0.1
0.00001 0.05 0.01 0.02
0.000001 0.01 0.01 0.01
Virtual Clinical Trials 生理学的、生化学的 パラメータの個体差データを収集
Real person Virtual person
様々なバーチャルパーソンをコンピュータ上に発生させる
10 fold
ミダゾラム 2mg 経口投与時の血漿中濃度推移
Clin Pharmacol Ther. 69, 333, 2001
明確な遺伝多形の認められていないCYP3A4の基質 においても約10倍の個体差が認められる
‡加藤基浩 博士(中外製薬)より提供
日本人 63.6 ±7.4 kg
欧米人 83.2 ±10.6 kg
共通のパラメータ CLint,h: 16.3mL/min/mL liver (individual difference: 33%) Liver volume: 19.5±2.2 mL/kg Liver perfusion: 1.22±0.16 mL/min/mL liver
observed simulatedmean SD CV mean SD CV
European American(n=20)(Tateishi,T et al., CPT 69: 333-339, 2001)body weight kg 83.2 10.6 82.5 11CLiv mL/min 412 124 30% 411 131 32%
mL/min/kg 4.99 1.53 31% 4.97 1.37 28%CLpo mL/min 1728 1005 58% 1639 1063 65%
mL/min/kg 20.9 12.1 58% 19.8 12.3 62%Japanese(n=19(iv), n=22(po))body weight kg 63.6 7.4 63.1 7.7CLiv mL/min 311 70 23% 315 98.2 31%
mL/min/kg 4.95 0.96 19% 4.97 1.37 28%CLpo mL/min 1413 730 52% 1253 808 64%
mL/min/kg 22.4 11 49% 19.8 12.3 62%
ミダゾラムの体内動態
Oseltamivir、活性体の血中濃度のAUCに関する個人間変動の大きさに関する検討 モンテカルロシミュレーションによる解析
臨床PK
データ
血中濃度を表わす数学的モデル
疑似乱数の発生
アウトプット 薬物暴露の個人差
(大規模な臨床試験を仮想できる)
代謝酵素及びトランスポーターの遺伝子変異頻度及び機能変化
???
1. Wynne et al. Hepatology (1989) 9: 297-301 2. Muhammad et al. Journal of nuclear medicine (1969) 672- 5) 3. シミュレーション結果より (FaFg=1と仮定) 4. 申請資料、CV値はKato et al. submitted 5. 申請資料、ヘマトクリット値は0.45を使用 6. Brian Davis et al. Pharmaceutical research (1993) 10; 7 1093-5 7. Hill et al. DMD (2002) 30: 13-9 8.再吸収を無視して計算。
シミュレーションに用いたPKパラメータ
血流速度、タンパク結合率、GFR の個体間のばらつき
複数の変動パラメータの組み合わせによって生じる薬物暴露のばらつきを、数万人規模の分布図としてとらえることが可能。 機能変化が大きいにも関わらず頻度が低いがために臨床試験では見落とされた患者の薬物暴露も評価可能。
CV refQh 19.5% 1
Qr 8.3% 2
Eh - 3
Fh - 3
fb_osel 5.8% 4
Rb_osel 5
fb_活性体 5.8% 4
Rb_活性体 5
GFR 30% 6
CLR, plasma_活性体 - 7
CLsec_活性体 8
CLint_renal_活性体 30%CLint_iver_osel 30%
1700 (mL/min)
0.7350.2650.4601.270
12000 (mL/min)305 (mL/min)
0.641.53
1127 (mL/min)
125 (mL/min)20.0 (L/hr)
330 (mL/min)
活性体の脳内濃度のAUCに関する個人間変動の大きさに関する検討 患
者数
平均値からの乖離(倍) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
0
20
40
60
仮定2. ①<<②の時 (活性体の脳内濃度のAUCは、血液側からの活性体の取り込みで主に規定されると仮定)
× 9.59
z 𝐀𝐀𝐀𝐀𝐀𝐀𝐛𝐛𝐫𝐫𝐫𝐫𝐫𝐫𝐫𝐫_活性体 =
(𝐀𝐀𝐀𝐀𝐀𝐀𝐛𝐛𝐫𝐫𝐫𝐫𝐫𝐫𝐫𝐫_𝐨𝐨𝐨𝐨𝐨𝐨𝐨𝐨 × 𝐟𝐟𝐛𝐛𝐫𝐫𝐫𝐫𝐫𝐫𝐫𝐫_𝐨𝐨𝐨𝐨𝐨𝐨𝐨𝐨 × 𝐀𝐀𝐂𝐂𝐦𝐦𝐨𝐨𝐦𝐦_𝐨𝐨𝐨𝐨𝐨𝐨𝐨𝐨_𝐛𝐛𝐫𝐫𝐫𝐫𝐫𝐫𝐫𝐫 + 𝐀𝐀𝐀𝐀𝐀𝐀𝐛𝐛𝐨𝐨𝐨𝐨𝐨𝐨𝐥𝐥_活性体 × 𝐟𝐟𝐁𝐁_活性体 × 𝐏𝐏𝐏𝐏𝐫𝐫𝐫𝐫𝐟𝐟_活性体)𝐟𝐟𝐛𝐛𝐫𝐫𝐫𝐫𝐫𝐫𝐫𝐫_活性体 × 𝐏𝐏𝐏𝐏𝐨𝐨𝐟𝐟𝐟𝐟_活性体
brain
PSeff_osel
CLmet_brain_osel
Oseltamivir 活性体
PSeff_活性体
PSinf_活性体
各仮定において最も活性体の脳内暴露が高かった服用者における、OAT3, MRP4, MDR1, CES1Aの機能変化
(野生型の活性値を1とする) #39954
Oseltamivirの脳内濃度のAUCは、平均値から最大で約10倍程度上昇した。 平均値から7倍以上乖離する服用者は、50000人中 30人いた。
① ; 脳における代謝 ② ; 血液からの取り込み
OAT3 MRP4 MDR1 CES1AAUCbrain_oseltamivir
#38227 1 >> 2 排泄 >> 代謝 0.14 0.56 0.56 0.96#47772 1 >> 2 排泄 = 代謝 0.12 0.79 0.09 0.53#13386 1 >> 2 排泄 << 代謝 0.07 0.63 0.53 0.53#39954 1 << 2 - 0.05 0.77 0.13 1.08
ここに挿入されていた図表は 削除しました。
ここに挿入されていた図表は 削除しました。
医薬品の肝胆系輸送 胆汁
MRP3
Na+ 胆汁酸
MDR1/ P-gp
MRP2
BSEP
BCRP 胆汁酸
OCT1 OAT2 OATP 1B3 NTCP OATP
1B1
プラバスタチン、ロスバスタチン ピタバスタチン、セリバスタチン バルサルタン、テルミサルタン テモカプリル、ナテグリニド、 レパグリニド、ボセンタン
テルミサルタン フェキソフェナジン
プラバスタチン、ロスバスタチン ピタバスタチン、オルメサルタン バルサルタン、テルミサルタン メソトレキサート、SN-38 セフォディジム グルクロン酸抱合体 グルタチオン抱合体
フルオロキノロン ピタバスタチン、ロスバスタチン、 サルファサラジン メソトレキサート 硫酸抱合体
グルクロン酸抱合体
ATP
ADP
ATP ATP
ATP
ATP
ADP ADP
ADP
ADP
ジゴキシン、 ビンブラスチン など多数の薬物
サリチル酸 インドメタシンなど
メトフォルミン シメチジンなど
*薬物治療上、重要な薬が多い *ベクトル輸送 (取り込み、排泄トランスポーターの基質認識性が類似している)
代謝
プラバスタチン
ADP
ATP
小腸 吸収
肝取り込み 胆汁中排泄
MRP2 OATP1B1
肝臓
細胞内 HMG-CoA 還元酵素 との結合
OATP2B1 (OATP-B)?
腸肝循環
プラバスタチンの腸肝循環に関わるトランスポーター群 ~効率よい肝移行~
OH
HO
H O
O HO
H
HOOC
プラバスタチン
Yamazaki et al. AJP 264:G36,1993 Nakai et al. JPET 297:861,2001
Yamazaki et al. DMD 25:1123,1997
Sasaki et al. JBC 277:6497,2002
Kobayashi et al. JPET 306:703,2003
プラバスタチンのダブルトランスフェクタントにおける経細胞輸送
0 100
200 300 400
500
0 60 120 180 0
100
200 300 400
500
0 60 120 180
B-A
Time (min)
OATP1B1/MRP2 OATP1B1/MDR1
B-A A-B A-B
MDCKII
OATP 1B1
MDR1
[3H]PRA
Apical
MDCKII
Basal
MRP2
OATP 1B1
PS2 + PS3 PSnet = PS1 x PS3
TRANSWELL
PSnet
PS2 PS1
PS3
Basal
Apical
ダブル発現細胞の樹立 Apical (胆管側に相当)
Basal (血管側に相当)
MDCKII
OATP 1B1
MRP2
免疫染色像
Apical
Basal
MRP2: red OATP1B1: green Nuclei: blue
取込み・排泄トランスポーター共発現系の利用
‡ Sasaki M et al., J Biol Chem, 277, 6497-503 (2002)
‡ Matsushima S et al., J Pharmacol Exp Ther, 314, 1059-67 (2005)
セリバスタチン服用患者のうち52人(うち米国で31人)の横紋筋融解の副作用による死亡が報告された。 また、米国における31人の患者のうち12人で
フィブラート系高脂血症薬ゲムフィブロジルの併用が確認されている。 (British Medical Journal 323, 359 (2001)およびBritish Medical Journal 323, 415 (2001)より)
‡ 薬事日報平成13年8月15日号 ‡ 薬事日報平成13年8月27日号
OATP1B1 他の
トランス ポーター
CYP2C8 CYP3A4
2C8, 3A4
2C8
N
F
C H 3 O
O H O H C O O Na
セリバスタチン
N
F
O H
O H O H C O O H
M-1
N
F
C H 3 O
O H O H C O O H
O H M-23
肝取り込み
セリバスタチンは、多代謝経路を有するために、相互作用のリスクが小さいと考えられていた。
シクロスポリンA
ゲムフィブロジルグルクロナイド
セリバスタチンによる副作用 ~ゲムフィブロジルとの薬物間相互作用~
日本では、重篤な副作用のためメーカー自主回収へ
肝臓におけるセリバスタチンの解毒メカニズムと相互作用薬の 主な作用点の解明
Shitara, Y. et al. J Pharmacol Exp Ther, 311(1): 228-36 (2004)
Shitara, Y. et al. J Pharmacol Exp Ther, 304(2): 610-6 (2003)
Shitara, Y. and Sugiyama Y. Pharmacol Ther, 112(1): 71-105 (2006)
プラバスタチン(高脂血症治療薬)の動き
‡(東純一著、「「クスリに弱いヒト」と「困ったクスリ」たち」を元に改変)
消化管 血漿 腎臓
肝臓 胆汁
門脈
筋肉
吸収
経口投与 代謝
分布 排泄 排泄
糞便 尿
薬効発現
副作用発現
Relation between simvastatin-induced myopathy and genetic polymorphism of OATP1B1
significant correlation with the event
Case=85 vs control 90: ca 300,000marker SNPs
-Log
10P
valu
e
Significant link r2>0.95) between Marker SNPs and SLCO1B1 T521C (V174A) !
521CC
521CT 521TT
Years since Starting 80mg of Simvastatin 0 1 2 3 4 5 0
10
5
15
20
Cum
ulat
ive
Perc
enta
ge o
f pat
ient
s w
ho
have
had
a m
yopa
thy
Odds ratio of this SNPs for simvastatin-induced myopathy
521CT vs TT → 4.5 fold
521CC vs TT →16.9 fold
‡(SEARCH Collaborative Group et al., New Engl J Med, 359, 789-99 (2008))
OATP1B1多型は副作用に 大きな影響を与える
生理学的モデル
生理学的モデルと血漿中濃度推移の予測
:i.v. 0.134mg/kg (実測値*) :p.o. 0.26mg/kg (実測値*)
ヒトにおける血漿中濃度推移 Lung
Brain
Muscle
GI
QBrain
QMuscle
QLiver
PSinf
PSbile
PSeff
CLmet
Blood Urine Qtotal
ka
i.v.
p.o.
Liver
inlet
Liver
Liver
Liver
Liver
inlet inlet inlet inlet
Kidney QKidney
:予測値
( )
( )
( ) jH,bilemeteffhji,infbjH,
jH,
jH,effhji,infji,jb,hji,
ji,
brbihb
b
CPSCLPSfCPSfdt
dCV
CPSfCPSfCCQdt
dCV
CCLCCQdt
dCV
⋅++⋅−⋅⋅=⋅
⋅⋅+⋅⋅−−=⋅
⋅−−=⋅
b
血液
毛細血管内
肝実細胞
in vitro試験の結果をin vivoへと外挿したパラメータ
薬物の濃度予測の数理モデル
BRBLUp
LULU
BB CCLC
KCQ
dtdCV −
−=
,
血液
HiTmet
HiTbile
HiTdif
HEiBdif
HEiBHiHi CfPSCfPSCfPSCfPSCfPS
dtdCV
−
−
−
+
=
555555inf
肝臓→薬効の標的
pLU
LULUHEH
Rp
RR
MUp
MUMU
BRp
BRBR
LULU K
CQCQKCQ
KCQ
KCQ
dtdCV −+++= 5
,,,
( ) GIaaHiTdif
HEiBdif
HEiBHEiBHHEHE XFkCfPSCfPSCfPSCCQ
dtdCV
+
+
−
−−=
5555inf11
( ) HiTdif
HEiBdif
HEiBHEiiHEHHEiHEi CfPSCfPSCfPSCCQ
dtdCV
+
−
−−= − 5555
inf)1(
GIaaHiTbileGI XFkCfPS
dtdX
−
= ∑ 5
肺
肝臓の細胞外スペース①
肝臓の細胞外スペース②
消化管内
−=
ip
iBi
ii K
CCQdt
dCV,
脳、筋肉、腎臓
薬物の濃度予測の数理モデル
BRBLUp
LULU
BB CCLC
KCQ
dtdCV −
−=
,
血液
HiTmet
HiTbile
HiTdif
HEiBdif
HEiBHiHi CfPSCfPSCfPSCfPSCfPS
dtdCV
−
−
−
+
=
555555inf
肝臓→薬効の標的
−=
ip
iBi
ii K
CCQdt
dCV,
筋肉→副作用の標的
小腸
肝臓 腫瘍
capecitabine
5’-DFCR
5’-DFUR
5’-DFUR
5’-DFCR 5-FU
N N
O
NH2 F
O
HO OH
N N
O
HN F
O
HO OH
CO-O
capecitabine
HN N
O
O F
O
HO OH
HN N
O F
O H
Carboxyl- esterase
Cytidine deaminase
dThd- Pase
DPD
5’-DFCR 5’-DFUR 5-FU
肝臓 肝臓·腫瘍 腫瘍
カペシタビンの代謝動態
‡ H. Ishitsuka, 2000, Investigational New Drugs 18, 343-354
capecitabine
5-FU Levels after Drug Administration (HCT116 human colon cancer xenograft model)
Hours after drug administration 0 2 4 6 8
capecitabine (p.o.)
5-FU
leve
l (µg
/ml o
r g) 16
14
12
10
8
6
4
2
0
Tumor
Muscle Plasma
0 2 4 6 8
5-FU ( i.p.)
0 1 2
3 2 1 0
16
14
12
10
8
6
4
2
0
Muscle
Plasma
Tumor
Ishikawa T. et al. Biochem J., 55, 1091-1097 (1998)
代謝酵素の組織分布の種差 Cyd deaminase活性 (nmol 5'-dFUrd/mg protein/min)
6 5 4 3 2 1 0
Brain
Lung Liver Spleen Kidney Stomach S.Intestine L.Intestine Thymus Plasma Lymph Node Bone Marrow
Heart
Brain Heart Lung Liver Spleen Kidney
Thymus Plasma
Stomach Deodenum Jejunum Ileum Colon Rectum Bone Marrow
3 3 3 3 3 3 2 3 3 1 2 3 3 3 3
6 5 4 3 2 1 0
(n= )
Human Rat
Brain
Lung Liver Spleen Kidney Stomach S.Intestine L.Intestine Thymus Plasma Lymph Node Bone Marrow
Heart
Mouse Monkey
Blood Bladder Cervix Ovary Thyroid Breast L. Intestine S. Intestine Stomach Kidney Spleen Liver Lung Heart
4 15 7 3
19 16 36 4
32 24 9
14 3 3
6 5 4 3 2 1 0
6 5 4 3 2 1 0 Onodera H. et al., 2000
PBPK model integrating metabolic enzyme activity for capecitabine
Km4S1+C
Km3S3+C Vmax3S4
Km3S4+C Vmax3S3 Vmax3S2
Km3S2+C Vmax3S1
Km3S1+C
Vmax2S4
Km2S4+C Vmax2S3
Km2S3+C Vmax2S2
Km2S2+C Km2S1+C
Vmax4S4
Km4S4+C Km4S3+C Km4S2+C Vmax4S2
>
Vmax4S3 Vmax4S1
liver
GI tract
tumor
NET
bloo
d
liver
GI tract
tumor
NET
bloo
d
liver
GI tract
tumor
NET
bloo
d
bloo
d
liver
GI tract
tumor
NET
bloo
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bloo
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Q3
Q2
Q2’ Q2
Q4
Q5
Q3
Q2
Q2’ Q2
Q4
Q5
Q3
Q2
Q2’ Q2
Q4
Q5
Q3
Q2
Q2’ Q2
Q4
Q5
CLr,u CLr,u CLr,u CLr,u
ka·F Vmax2S1
capecitabine 5’-DFCR 5’-DFUR 5-FU carboxylesterase
bloo
d bl
ood
cyd deaminase dThdPase DPD
‡ Tsukamoto et al., Pharmaceutical Research. 2001. Vol. 18, Iss. 8; pg. 1190
薬物放出の制御 薬物吸収改善
標的指向 (Targeting)
DDSはクスリを指示通り正確に、適切な時間に 必要量だけ、生体内の作用点に送り届ける運搬システム
「クスリの宅配便」
DDSが備えている機能
‡森下真莉子 先生(星薬大) より引用
ドラッグデリバリーシステム
時限放出製剤
服用後、一定の時間が経過したあと、薬物を放出する。
・時間薬物療法“chrono-pharacotherapy “の コンセプトに従った新しい薬物療法が実現 ・深夜の投薬を避けることができる。
Time
Rele
ased
Am
ount
Lag time
タイマー機能のついた製剤
‡森下真莉子 先生(星薬大) より引用
夜間や明け方の症状を抑えることができる。 睡眠をじゃまされない。 夜中に起きて服薬しないですむ。
薬が、ある時間帯だけに必要な場合もあるのでは?
18
夜間
昼間
0
6
12
不眠 Short acting hypnotics
ぜんそく Bronchodilator
s
尿失禁 Anticholinergic
agents
パーキンソン病 Anti-Parkinson agents
痛み Analgesics
痛風 Anti-inflammatory
agents 虚血性心疾患
Anti-anginal agents, Anti-hypertensive agents 患者さんのメリット
‡森下真莉子 先生(星薬大) より引用
(Vesell, 1975)
アンチピリンとビスヒドロキシクマリンの血中半減期の 一卵性双生児と二卵性双生児の違い
血漿
中半
減期
(時
間)
100
50
10
1
5
一卵性双生児 二卵性双生児
アンチピリン
ビスヒドロキシクマリン
‡鎌滝哲也 教授(北大) より引用
抗潰瘍薬オメプラゾールの代謝
N
OCH3
H3C CH3
CH2
S
N
NH
OCH3
O
N
OCH3
HOH2C CH3
CH2
S
N
NH
OCH3
ON
OCH3
H3C CH3
CH2
S
N
NH
OCH3
O
O
CYP2C19 CYP3A4 オメプラゾール
5-水酸化オメプラゾール オメプラゾール スルフォン
主代謝経路
(薬効なし) (薬効なし)
薬物代謝酵素 薬物代謝酵素
CYP2C19の遺伝子型(ゲノタイプ) 高速代謝型(Rapid metabolizer: RM) 両方のCYP2C19対立遺伝子ともに変異が無い人
CYP2C19遺伝子
中間代謝型(Intermediate metabolizer: IM) 一つのCYP2C19対立遺伝子に変異がある人
低速代謝型(Poor metabolizer: PM) 両方のCYP2C19対立遺伝子に変異がある人
CYP2C19の遺伝子型の民族差
低速代謝型(Poor metabolizer: PM)の割合の民族差
白人(米国) 2.5% 白人(欧州) 3.0% 黒人(米国) 2.0% ジンバブエ人 4.8% 中国人(漢民族) 19.5% 韓国人 12.6% 日本人 18.0-22.5%
Furuta,T. et al., Drug Metab. Pharmacokinet. 20: 153-167 (2005).
8 6
1600
1200
800
400
0 0 2 4 10 24
P<0.001
P<0.001
P<0.05
CYP2C19の遺伝子型とオメプラゾール血中濃度
投与後時間(hr)
オメプラゾール血中濃度
(ng/ml)
低速型(PM) 中間型(IM) 高速型(RM)
0
6000
4000
2000
AU
C
AUCの比較
‡ Furuta,T. et al., Drug Metab. Pharmacokinet. 20: 153-167 (2005).
オメプラゾール 20mg投与
8.0
24
CYP2C19の遺伝子型とオメプラゾールの薬理効果
投与後時間(hr)
胃内の酸度
(pH)
低速型(PM) 中間型(IM) 高速型(RM)
6.0
4.0
2.0 1.0
0 3 6 9 12 15 18
昼食
夕食
朝食
‡ Furuta,T. et al., Drug Metab. Pharmacokinet. 20: 153-167 (2005).