102
1 主 として塗料工業に關する 1・緒 粘 度と 云 はれ る物 理 的 性 質 は塗 料 工 業 に於 い て は 重要 な物 理 量 で あ る。 塗 料 と云 ふ 商 品 が 流 動 性 の物 質 で あ り、粘 度 と云 ふ 物 理 量 が こ の流 動 性 を藪 量 的 に 表 示 す る 上 に於 いて 、 必 ず考 慮 され な けれ ば な らな い こ とだ か らで あ る。 II.定義及び基礎事項 1.粘 度(Viscosity,Viskositat.) 運 動 して居 る實 在 の流 體 に就 い て 、 そ の内 部 に は摩 擦 が あつ て 二 つ の 相接 して 居 1) る部 分 が 切 線 方 向 の力(stress)を 及 し合 ふ。 だ か ら流 體 内 の 任 意 の1點 に於 い て そ れ に直 に隣 つ た1難 と速 度 を異 に す る と き に この 運動 に樹 して 起 る流 體 内 の抵 抗 が 由來 す る と ころ の流 體 の 性 質 を粘 性 又 は粘 2) 度 と云 ふ。 流 體 内 に2の 雫 行 李 板 薄 暦(laminae)を 考 へ そ の 接觸 面 の 面 積 をAcm2と し、 夫 々 恒 速 度(cm/sec)v1,v2,で 動 く と き、恒 一 の 速 度 差v1-v2を保 つ た め に 必 要 な 切 線 方 向 の力F(dyne)は次 式 で與 へ られ る。(第1圖 参 照) (1) こ こにZは 雫 板 薄 暦 に垂 直 な方 向 に測 つ た距 離 で あ り、 η は比 例 の常 數 で あ る。 流體平 板 薄層 の速度 は連續 的 に攣化 して居 るか ら、微分 の記號 を用 ひて(1)式は 次 の如 く書 くことがで きる。 (2) η は 各流 體 に特 有 な 恒數 で 普 通 の液 體 で は盗 度 及 び 壓 力 に よつ て異 な る。 流 體 力 學、水力學等ではηの代り に μ を用ひる。 第1圖

石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

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Page 1: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 定 法 提 要 1

主 として塗料工業に關する

粘 度 測 定 法 提 要

石 橋 正 樹

1・ 緒 言

粘度と云 はれる物理的性質は塗料工業に於いては重要 な物理量である。塗料 と云

ふ商品が流動性の物質であ り、粘度 と云ふ物理量がこの流動性を藪量的に表示する

上 に於いて、必ず考慮 されなければならないことだか らである。

II.定 義及び基礎事項

1.粘 度(Viscosity,Viskositat.)

運動 して居 る實在の流體に就いて、その内部には摩擦があつて二つの相接 して居1)

る部分が切線方向の力(stress)を 及 し合ふ。

だか ら流體内の任意の1點 に於いてそれに直に隣つた1難 と速度を異にするとき

に この運動 に樹 して起る流體内の抵抗が 由來するところの流體の性質を粘性又は粘2)

度 と云 ふ 。

流 體 内 に2の 雫 行 李板 薄 暦(laminae)を 考 へ そ の接觸 面 の 面 積 をAcm2と し、

夫 々 恒速 度(cm/sec)v1,v2,で 動 く と き、恒 一 の 速 度 差v1-v2を 保 つ た め に 必 要 な

切 線 方 向 の力F(dyne)は 次 式 で與 へ られ る。(第1圖 参照)

(1)

ここにZは 雫板薄暦に垂直な方向に測つた距離であり、

ηは比例の常數である。

流體平板薄層 の速度は連續的に攣化 して居るか ら、微分の記號を用ひて(1)式 は

次の如 く書 くことができる。

(2)

ηは各流體に特有な恒數で普通の液體では盗度及び壓力に よつて異なる。流體力

學、水力學等ではηの代り に μ を用ひる。

第1圖

Page 2: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

2 粘 度 測 定 法 提 要

本 書 に 於 い て は ηがdv/dZに よつ て異 な ら ざ る場 合即 ちNewtonian flowに 關 す る3)

場 合 の み を取 扱 ひ 、物 質 に特 有 な 恒數 η を粘 性 係 数(coefficient of viscosity)又 は

軍 に 粘 度 と云 ふ 。

(2)式 に於 い て 、夫 々 の項 の ヂ メ ンシ ョンはF=〔MLT-2〕,A=〔L2〕,v=〔LT-1〕,

Z=〔L〕 で あ るか ら η の ヂ メ ン シ ョ ンは〔ML-1T-1〕 で あ る。

2.Poise

(2)式 に於 い て す べて の軍 位 をC.G.S.Systemに 探 り、 それ が す べ て1で あ る

場 合(即 ちFを1dyne,Aを1cm2,dvを1cm/sec,Zを1cm)の η を單 位 の粘 度 と し

之 をC.G.S.Systemの 粘 度 係 數 の 單位 換 言 す れ ば絶 封粘 度 の 單 位 、gm.cm-1.

sec-1の 粘 度 單 位 、dynes per square centimeter per unit velocity gradient等 と稱 す

べ き もの で あ る。

1913年 英 國 でDeeley-Parr兩 氏{Phil.Mag.26,85(1913)}は 後 に述 べ る粘 度 測

定 上 有 用 なPoiseuilleの 法 則(IV)の 磯 見 者 の 名 に因 ん で粘 度 係 數 のC.G.S.單 位

を ポ イ ズ(poisr)と す る こ とを提 案 し、1923年 に は英 國 のStandard designationと し

て 探 用 せ られ た 。 この單 位 の1/100をcentipoiseと しcpと 書 く。純 水 の20.20℃

に於 け る粘 度 は1cp=0.0100poiseで あ る。

液 體 の粘 度 係數 η とそ の密 度 ρ との比 を運 動 學 的 粘 度(kinematic visGosity)と 云

ひ 、vで 表 は し、 そ のC.G.S.單 位 を ス トー ク ス(stokes)と 云 ふ 。 即 ち

(3)

である。

3.粘 度測定(Viscometry)

粘度は流體の運動に際 して現はれる抵抗に關するものであり、その大いさは次の

如き方法によつて測定される。

(1)流 體そのものを運動 させる。

(2)流 髄中を固體又は固體 と同様に作爲する他の流體を運動せ しめる。

(1),(2)の 場合に於ける運動の速度の測定によつて粘度 を定める。

か くの如 くして、液體の粘度を測定することを粘度測定 と云ひ、之に用 ひらるる

Page 3: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 定 法 提 要 3

計 測 器 を粘 度 計(viscometer4),Viskosimeter)と 云 ふ 。

粘 度 測定 に 於 いて 粘 度 η と観 測 せ る數 値 とを關 係づ け る方程 式 に於 い て、 そ の 髪

置 に 關 す る恒 數 を粘 度 計 恒 數(Viscometer constant)と 云 ふ 。

1)Newtonの 假 説(Principia.Lib.ii.Sect.ix)に よれ ば

If a solid infinitely long cylinder in a uniform infinite liquid revolves round its axis

with uniform motion, and the liquid be caused to revolve by the impulse thereof only,

but every part of the liquid persevere uniformly in its motion; I say that the periodic

times of parts of the liquid are as their distances from the axis of the cylinder.

2)〔 獨 〕 Innere Reibung, Zahigkeit, Viskositat.

〔佛〕 frottement interieur, viscosite.

〔英〕 Viscosity.

3)B.E.S.A.で もそ のBritish Standard Method for the Determination of Viscosity

in Absolute Units.(Revised 1929)に 於 い て、 そ の記 載 の 範 圍 をNewtonian flowを な す

液 體 に 限 定 し、 低 温 に於 け る潤 滑劑 、 ペ イ ン トの如 く、 粘 度以 外 の因 子 例 へ ばdv/dZ,熱

處 理 機 械 的處 理(Thixotropy)等 に よ つ て影 響 され る流 動 に 關 す る性 状 に は 論 及 して 居

な い 。

4 ) Bingham: Fluidity and Plasticity p. 7.-

Prof. Brander Mathew kindly informs me that the formation of the word viscometer

is quite as free from objection as that of viscosimeter, and viscometer is in harmony

with modern spelling reform. Hence viscometer should be adopted as the name for all

instruments used for measuring viscosity.

III.粘 度計の種類

II3に 述べた(1),(2)の 方法に由 り

1.流 體を運動せ しめてその流動の速度からその流髄の粘度係數を測定するもの

之はPoiseuilleの 法則(IV)に 由る。 一般に毛細管粘度計capillary viscometer

と云ふがBESAの 規定するもの(XI)の 如 く直径の大きな圓管を用ふ るものがあ

るか ら圓管粘度計tube viscometerな る名稱が適當である。

2.固 體又は固體と同様に作爲する可検流體と混合 しない 他の流體の可検流體中

の運動速度の測定に由るもの

これは(1)そ の運動が直線運動であるもの。

Page 4: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

4 粘 度 測 定 法 提 要

(2)振 動 で あ る もの 。

(3)回 轉 で あ る もの。

の3種 に大 別 す る こ とが 出 來 るo

1)敏 多 くの測定法 に就いてBinghamの 列墨 した ものを引用すれ ば ―

(Bingham:Fluidity and Plasticity p.6.)

The possible methods for measuring viscosity may be olassified under three heads as

follows:

1. The measurement of the resistance offered to a moving body (usually a solid) in

contact with the viscous fluid.

2. Thelmeasurement of the rate of flow of a viscous fluid.

3. Methods in which neither the flow nor the resistance to flow are measured.

1. The various methods for measuring viscosity while maintaining the fluid in a

nearly fixed position, together with the names of investigators who have developed the

method are as follows:

(a) A horizontal disc supported at its middle point by a wire and oscillating around

the wire as an axis. Coulomb (1801), Moritz (1847). Stokes (1850), Meyer (1865), Maxwell

(1866), Grotrian (1876), Oberbeck (1880), Th. Schmidt (1882), Stables and Wilson

(1883), Fawsitt (1908).

(b) A sphere filled with liquid and oscillating around its vertical axis. Helmholtz and Piotrowski (1886), Ladenburg (1908).

(e) A cylinder filled with liquid and oscillating around its vertical axis. INIiitzel

(1891)

(d) Concentric cylinders. The outside one is rotated at constant velocity and the torque, exerted upon the inner coaxial cylinder which is immersed in the viscous

fluid, is measured. Stokes (1845), de St. Venant (1847), Boussinesq (1877), Couette

(1888), Mallock (1888), Perry (1893).

(e) An oscillating solid sphere immersed in the viscous substance and supported by bifilar suspension was used by KOnig (1885).

(f) A body moving freely under the action of gravity, e. g. falling sphere, of

platinum, mercury, or water, a falling body of other shape than a sphere, a rising

bubble of air, Stokes (1845), Pisati (1877), Schattner (1879), de Heen (1889), 0. Jones

(1894), Duff (1896), J. Thomson (1898), Tammann (1898), Schaum (1899), Allen (1900),

Ladenburg (1906), Valenta (106), Arndt (1.007).

Page 5: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

米占 度 重則 定 法 提 要 5

2. The methods for measuring the rate of flow of a viscous fluid:

(a) Efflux through horizontal tubes of small diameter. Gerstner (1798), Girard

(1816), Poiseuille (1842), G. Wiedemann (1856), Rellstab (1868), Sprung (1876), Ro-

sencranz (1877), Grotrian (1877), Pribram and Handl (1878), Slotte (1881), Stephan (1882),

Foussereau (1885), Couette (1890), Briick.ner (1891), Thorpe and Rodger (1893), Hosking

(1900), Bingham and White (1912).

(b) Efflux through a vertical tube of small diameter. Stephen (1882), Engler (1885),

Arrhenius (1887), Ostwald (1893), Gartenmeister (1890), Heydweiler (1095), FriedLinder

(1901), McIntosh and Steele (1906), Rankine (1910).

(c) Efflux through a bent capillary. Grilneisen (1905).

(d) Bending of beams and torsion of rods of viscous substance. Trouton (1906),

Trouton and Andrews (1904).

(e) Rate at which one substance penetrates another under the influence of capillary

action, diffusion, or solution tension.

3. Other methods of measuring viscosity:

(a) Decay of oscillations of a liquid in U-shaped tubes. Lambert (1784).

(b) Decay of waves upon a surface. Stokes (1851), Watson (1902).

(c) Decay of vibrations in a viscous substance: Guye and Mintz (1908).

(d) Rate of crystallization. Wilson (1900).

W.Poiseui11eの 法 則

1840年 佛 人P6iseuilleの 護 見 した法 則 で あ る。 之 と凋立 に猫 逸 のHagenも 之 を

・護 表 し、Hagen-Poiseuilleの 法 則 と も呼 ば れ るo/1

Hagenbach,Wiedemannに よつ て数 學 的 の 誰 明 を與 へ られ た 。'

第2圖 の如 きAABBな る直 圓筒 の一 部 を考 へ そ の牛 径 をRと し、ABの 長 さ

第2圖 を1と しAAとBBの 聞 の 量 力 の差 をP、-P。=Pと し流 動 ば暦 状

であるか ら粘性流膿 中の各粒子は、圓筒の軸 に『F行に恒速度を以て動

くや うに行はれ ると假定す る。

圓筒AABBの 切断面は無激の圓か ら成 るもの と考へ られ るか ら餐

圓周上の黒占は幾何學上のSymmetryの 考へか らすべて同一の速度で

あり、 この速度 ㊨は圓筒壁か らの距離帥ちその圓の孚径 αの函藪であ

ると考へ るのであるd'"一 ・ 綜

Page 6: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

6 粘 度 測 定 法 提 要

厘力Pに よつて牛径 αな る圓柱に働 く力F卸 は

,(4)

で表はされる。粘 性 のためにこの圓筒の廻 りの表面に生 じた抵抗 は 面積 ×速度の

勾配 であつて この抵抗Fvは

(5)

で表はされ るo

圓筒の蓮動には加速度がない ものとすれば

で あ つ て(4),(5)か ら

帥ち

(6)

である。之 を積分すればf7)

でCは 積分の恒歎であつて、圓筒の管壁に於ける限界條件を考へると流髄は圓筒壁

に附着 して居るか ら動かないもの として、α==Rの ときには 砂=0で あると考へCR2Pは

吻 で ある・ ・

從つて 〔8)

とな りt==0の と きに李 面AA上 に在 つ た粒 子 はt=1の と きに粒 子 の動V・た距 離

はvで あ る か ら(8)式 で 表 はせ るや うなParaboloidの 上 に 在 る。第2圖 に於 け る

ACDAは このParaboloidで あ るo

軍位時聞の流量Q(EIJちt時 闇に流れた流艦の盟積をvと すればQ・V/t)は 軍

位時間に流動 した流髄の髄積であるか ら

(9)

で表はされ(8)式 か ら

←一般には孚径 をαで表示する) (10)

となる。之は所謂PoiseuilIeの 式であつて毛細管粘度計の基礎方程式である。

Page 7: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 定 法 提 要 7

V.圓 管粘度計の種類

(繕封測定及び比較測定)

圓管 粘 度 計 はPoiseuilleの 法 則(IV)に よつ て 、t・・・…A定髄 積Vの 流 髄 が 長 さ1・ 牛

脛 αの 直 圓管 を通 つ て流 出 す る に要 す る時 聞6を 測 りPoiseuilleの 法 則 のQ謬vlt

を求 め、 之 に よつ て 粘 度 ηを求 め る粘 度 計 で あ る。t-・-A名流 出(E田ux)粘 度 計 と云 は

れ るo

Poiseui11eの 式 の各 項 を粘 度 計 の寸 法 其 他 か ら算 出 してPoiseuilleの 式 に よつ て

η を計 算 す る方 法 を縄 封 測 定Absoluteviscometryと 云 ひ、 粘 度 既 知 の 液 艦 の流 出

秒 数 との比 較 に よつ て ηを求 め る こ とを比 較 測定Relativeviscometryと 云 ふ 。

VI・ 絶封測定用圓管粘度計

次の如 き粘度計が之に属す る。

Slotte Wied. Ann. 20, 257 (1883)

Bruckner Wied. Ann. 42, 487 (1891)

Thorpe-Rodger Phil. Trans, 185, A, 397 (1894)-

Bingham-White Z. Phys. Chern. 80, 670 (1912)

1.Thorpe-Rodgerの 粘 度 計

第3圖 に 示 す が 如 き も の で 、H1-m1-m2-Ki,H2-ln3-m4-K2な る二 つ の 脚

は出 來 るだ け同 形 で あ り、nllm2,m3m4な る粘 度 計 バ ル ブ は 圓筒 形

で あ り、 液 髄 で潤 され る部 分 の 大部 分 は垂 直 面 で あ つ て ・drainage

を最 小 化 して あ る。 この 粘 度 計 を用 ふ るに は左 脚 上 端 か ら試 料 を入

れ 、 右 脚 上 端 よ り璽 力 を加 へ て 右 脚 の刻 度K2迄 試 料 を押 し下 しb

過 剰 分 は左 脚H・ の管 端 か ら盗 流 して タ ツ プ の 中 に 入 る・ 左 脚 上 端

よ り、 大 い さの 知 れ た 一 定 の塞 氣墜 を加 へ て 、 試 料 の液 頭 メ ニ ス ヵ

スがmtか らm・ に至 る時 聞 を測 定 してPoiseuilleの 式 に 於 け る

V/tを 求 め る。

2.Bingham・Whiteの 粘 度計 ・

第3圖

Thorpe。Rodger

の粘 度 計

Page 8: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

8 粘 度 測 定 法 提 要

この粘度計はThorpe-Rodger型 が毛細管を熔封 してあつて、任意に管径の違つ

たものと取換えることがで きない不便を第4圖 に示すや うに擦合せBB1に よつて

取 替 え得 る や う に し た こ と と、 バ ル ブmlm2,m3n!4.を45。

聯 を底面で合せた形にしたこ罐 鑓 赦 良とする・用

法 はThorpe-Rodgerと 同 じで あ るo

3.紹 封測定の不便

繕籾1定 獣 の諸黙 施 て不便でうる・

1(1)毛 細 管 径 の測 定

Poiseullleの 式 か ら分 うや うにtは α4に よつ て 異 な る か ら,αの測 定 は極 め て 正')一

確 で な けれ ば な らぬo

(2)Poiseuilleの 法 則 は 毛 細 管 が 一一様 な 圓形 の断 面 を 有 す る もの との假 定 に よつ

て 導 き 出 され た もの で あ る か ら・ 圓錐 性conicallityにi封 す る補 正 が 必 要 で ある 。

(3)又 楕 圓 性(ellipticity)に 封 す る補 正 が 必 要 で あ る。j・

(4)毛 細 管 粘 度 計 に於 い て流 線 は第5圖 の如 く、 毛細 管 に 入 る に先 つ て 既 に速 度

を持 ち牧 飲 して毛 細 管 内 に 入 る。 之 は毛 細 管 が 實 際 の長 さ1よ り長 く1+?zα に相 當

す る もの と して 補 正 され る。所 謂Coqetteの 補 正 で あ る。

(1)・v(4)の 値 の測 定 叉 は 補 正 の決 定 が 面 倒 で あ るo

VXI.比 較測定の利鮎

e比較測定は縄封測定に比 して次の如き利黙がある。

(1)毛 細管径 αの測定

同 一 粘 度 計 に就 い て αは 恒 藪 で あb測 定 の必 要 が な い 。'

(2)毛 細 管 の 長 さ1

(1)と 同様 測定 の 必 要 が な い。

(3)hydrostaticheadh`・

同 一 な らぱ維 封値 を知 る必 要 が な いo・ ∴

(4)圓 錐 性 の補 正

Knibbs (Barr : op. cit. p. 64. J. Roy. Soc. of New South Wales 29, 77 ; 30 , 190)

第4圖

第5圖

Page 9: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 定 法 提 要 9

に よれ ば 孚 径 窃、な る部 分 か ら 諮の距 りに於 け る牛径 を γ ど し、一か を 恒歎 と して 圓

錐 性 を7'=α 、(1+bx)と 定 義 す る。 旗 ♂で あ る とき7・・=α,とす れ ばPoiseuilleの 式

(IV)に 於 け る α4は 次 に示 す 項 に よつ て置 き換 え られ るべ きで あ る と云 ふ 。 ・ ・

これ も一 本 の特 定 の 毛細 管 に就 い て は 恒 歎 で あ るか ら比 較 測 定 に於 い て は 問 題 に

な らない 。

(5)毛 細 管 の断 面 が楕 圓 で あ る場 合 、長 軸 を ろ,短軸 をeと すれ ばPoiseuilIeの 法

2ろ303則 中の α4の 項 は炉+o・ で 置 き換 え るべ きで あ る・ 之 も同 一 毛細 管 に就v・て は 恒 数

で あつ て 、比 較 測 定 で は慮 外 に置 い て よいo

(6)Couetteの 補 正

"hypotheticaladditionalIength"nα も同一一i装置 に就 い て は恒 藪 で あ る。

比 較 測定 に於 い て は(1)・(2)・(4)・(5),(6)共 に 同 一 の 毛細 管 に就 い て は 恒歎 で

あ り、(3)を 恒 一 に す れ ば1)oiseuilleの 式 は

.(11)

(但しKは 装置に關する恒藪帥ち粘度計恒歎である)とな る。

VIIIe比 較測定用圓管粘度計

roiseuilleの 法 則 中 のP項 を

(1)外 よ り加 へ た 室 氣 璽 と試 料 の ヘ ツ ドとに よ る もの と

(2)試 料 の ヘ ツ ドの み に よ る 窓の

との2型 式 に大 別 す る。

前 者 を加 墜 型(pressuretype)と 云 ひ、 後 者 を オ ス トワル ド型(Ostwaldtype)と 云

ふo

1.加 璽 型

絶 封 測 定 用 と して 既 に述 べ た'lhorpe-Rodger,Bingham-Whitθ 等 の粘 度 計 と原

理 及 び 用 法 は同 じで 、毛 細 管 を水 不 に置 か す して 、比 較 測 定 用 は一 脚 の1部 と して

垂 直 に置 く。

Page 10: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

10 粘 度 測 定 法 提 要

ユ 

~二の 型 式 の最 も簡 輩 な もの はUbbelohde型 で あ り、Bingham・Jackson型 は 之 に

比 して 複 雑 で あ り、測 定 の 精 密 度 を高 め る考 案 が 施 して あ る0

2.Ostwald型

WilhelmOstwald(Hand-undlilsfbuch飾dieAus笛hrungderPhysiko・Chemi-

scherMessungen(1931S.307)の 提 案 に な り、.一一一・般 に廣 く用 ひ ら れ て 居 る 喝 の のり  ラ

他様々な攣形叉は改良があるo

1)Bingham-Jacksonの 粘 度 計 に就 い て はScientificPapersofBureauofStandards・

No.298.叉 はBingham:FluidityandPlasticity・ に 詳 細 に 記 述 され て 居 る 。

2)Ostwald型 の攣 形 に就 い て は第24報 に詳 論 した 。 そ の 主 な もの は

Willihnganz大 型

"100A型

"1CO型

"200型

,'300型

ApPlebey,Washburn・Williams,Jones・Talley,GrUneisen,Jones-Veazey,阪 紳 塗 料 製 造

技 術 員 懇 談 會 型,篠 田 型 等 で あ る 。

D【.Ubbelohde型 加厘i型圓管 粘度 計

1.構 造

HandbuchderChemieundTechnologiederOele1・340(1908)に 記 載 さ れ て 居 る

粘度計で第6圖 の如 きものである。

DB聞 に試料を入れ、左脚より一一定の室氣厘を加へ液頭 メニスカ

スがDか らCへ 移動する時闇t(秒)を 測定する。

左右爾脚のバルブ帥ちDC,ABが 形朕及び高 さ全 く等 しければ

可槍液の密度の差異による壁力の相違は、バルブの中聞の位置迄左

,脚のメニスカスが下る聞 と、右脚Dメ ニスカスが之に相窓する間を

上 昇する場合 とで相殺 されて、外駆 を同一一vaすれば2種 以上の試料

に就v・て原理から云つて密度を考へ る必要がな㍉(o

實際は爾球がその高 さ及び大いさを嚴密に等 しくしなv・か ら多少の誤差がある。

第6圖

Ubbelohde加

歴粘度計

Page 11: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 定 法 提 要 11

2・ 測 定 操 作 及 び補 助装 置

a・ 恒 璽 装i置

加 ふ べ き室 氣 屋 を作 る恒 量 装 置 及 び塵 力 計 に就V・てBingham(FluidityandPla。

sticity・P305・Fig・92)の 設 計 した もの は極 め て 大 が か りな もので あ り、 債 格 も不

廉 で あ る。

著 者 作 製 の 例

薯 者 はRhodes・Hodge(lnd・En9・Chem・21,142(1929))の 考 案 した もの の原 理 に

よ り、有 合 せ の 簡 軍 な硝 子 器 具 で 恒堅 装 置 を設 計 したo(第1報P.480)

圖に於いてB,Cは 酷酸瓶で水道栓Aか ら水 を入

れ、B内 の水の量を増す とB中 の室氣は1璽縮されて

墜 を生 じ、同型の瓶Cは 壁の攣化をなるべ く綾かに

するために設けた ものである。 この室氣量は恒温槽

中に入れた 水マノメーター-ecよつて表示され るo硝

子 管Kの 長 さを 加減 す る こ と に よつ て墜 の増 大 は 自動 的 に 調 節 さ れ る。著 者 の 實

験 に 於 い て は13cmの 水 柱 の堅 を 用 ひ た が 測 定 時 聞 中恒 璽 に す る に はK管 を用 ひ

な くて も十 分 で あつ た 。

Poiseuilleの 法則 か ら明 か であ るや う に.璽 力 が 大 きい と きはv/彦 は 大 き く自Pち

tが 小 さ くな つ て測 秒 の精 度 が 不 十 分 に な り、 毛 細 管 径 は 從 つ て 小 さ くす る必要 が

起 る。毛 細 管 径 の小 さ い ~二とは 、掃 除 が 不 便 で あ り、 小 さ な 固罷i粒子 の存 在 に よつ

て大 きな 誤 差 が起 るo

著 者 の 使 用 した 外 墜 は13cm・ 》32・5Cm(水 柱)で 、 この場 合硝 子 管 で 作 つ た マ ノ メ

ー タ 脚 で 十分 で あ り・か か る低 い璽 力 に は 水銀 マ ノ メ ー タ ーは 却 つ て"護 み"の 精

度 が 不 十 分 で あ る。

こ こで も比 較 測 定 で あ る こ とを考 へ れ ば 、 同 一 の マ ノ メ ータ ー を 用 ひ て 、 同 一墜

を用 ふ れ ば事 柄 は極 め て 簡 輩 で あ る。

3.粘 度 計 恒 藪 の決 定

こ の粘 度 計 は原 理 に於 い てBingham-Jacksonの そ れ と同 一 で あ る か らBingham一

第7圖

Page 12: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

12 粘 度 測 定 法 提 要

Jacksol1(FIuidityandPIasticityp・64)の 與 へ た 次 の 粘 度 方 程 式 が 當 て は ま るo

(12)

こ こにPは 加1璽dyne/cm2

iO試 料 の密 度9/cc

C恒 数

c,恒 数

c' ----mV/87r1

Bingham-Jacksonは7n=1・12と し た 。Vは 試 料 の 流 動 す る 量(cc)・1は 毛 細 管

の 長 さ(cm)で あ りctio/tはKineticenergycorreCtionで あ る 。

著 者 の 作 製 せ る2個 のUbbelohde型 加 堅 粘 度 計 に 就 い てm=ユ ・00と し てc'を

計 算 す る と次 の 如 くで あ るo

粘 度 計 番 號Ubbe.1.Ubbe.7

V3.43.4

110.08.8

mユ.00ユ.00

c,0.01350.0154

35。Cに 於V、て 、 加墜13.Ocm(水 柱)で の60%薦 糖水 溶 液 の 流 出秒 藪 はUbbe・7で

976.3秒 、Ubbe・1で91・7秒 で あ る。

60%薦 糖 溶 液 の粘 度(35。C)は 附 録1第2表 に よ り26・62cpで あ る○

此 等 の場 合 の(12)式 右 邊 第2項 を計 算 す る と次 の如 くで あ る。

Ubbe.1Ubbe.7

e'0.01350.0154

ρ ユ・2881・288

t91.7976.3

c'lo/tO.00042390.00003982

η(poテse)0・26620・2662

η に 封 す るc「iC}/tの 割 合(%)0・160・015

kineticenergytermを 慮 外 に 置 く と

Page 13: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 定 法 提 要 13

であるか ら として

Kを 求める◎

Ubbe.7に 就 い て は 一K=O・OOO2903

Ubbe.1グ'K=O.002726

此 等2個 の粘 度 計 に よ る35。C,加 壁13・OCm水 柱 の蒸 溜 水 の 流 出秒 数 はUbb伍7:

に 厩 い て2乳0秩Ubbe・1に 就 い て3・9秒 で あ る。

によつて水の粘度(35℃)を 計算すると

Ubbe.7Ubbe.1

翼.・0.00029030.002726

t、2、7.0'3.9

K×tO.00784poise'0・G106poi$e

o'0。01350。0154

ρ0.994'0.994

0,ρ/tO.000497.0.00393

η=・Kか 一c'iotO。00734poiseO・00668poise

附 録1第1表 に よ る水 の35。C、の粘 度 は μ0723poiseでbこ の値 と計 算 値 との差

異はUbbe・7に 封 して約2%、Ubbe・1に 樹 して約4%で あり、それぞれの測秒の

精度 の範園内に在 る◎

4.粘 度計恒激と温度との關係

Poiseuilleの 法 則 を書 き換 へ て

〔13)

とす る◎

澱 が{[「℃ から 「「toC(T<T')になつたどす騨 粘度計蹴 いて上球ρ髄脚

は硝子の線膨脹係数をαとすれば

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14 粘 度 測 定 法 提 要

に 比 例 して 攣 化 し、1は{1+α(TLT)}に 比 働 して 攣 化 し結 局 は{1+α(T一T)}4に

比 例 して 攣 るが 分 母 の α4が 又{1+α(T,-T)}4に 比 例 して 攣 化 す るか ら結 局 濫 度 の

上 昇(又 は下 降)に よ る硝 子 の膨 脹 に よ る影 響 は な いo

叉P、-P,の 温 度 に よ る差 異 も溜 度 範 國 を10。 ノ》35。Cに 限 定 す れ ば 無 観 し得 る大

い さで あ る。 帥 ち こ の種 の粘 度 計 で はPoiseuilleの 法 則 の8Vl/π α4(P、-P。)なる恒 歎

はlO。 ~35。Cの 間 で 不攣 と見 る ζ とが で き るか ら、 粘 度 計 恒 数 の決 定 は10。 ・》35。C

の 或温 度 に於 いて 求 め た もの を この範 園 に在 る任 意 の温 度 に於 い て そ の ま ま用 ゐて

差 支 なvo。

5.ヂ メ ンシ ヨ ン の選 定

毛 細 管 粘 度 計 の毛 細 管 の 長 さ1はkineticenergycorrectiontermに 入 り・ 他 の條

件 同 一 な らば 、1の 大 き な ぼ どk・e.c・ は 小 さv・。 一 般 に1-・10・Ocm前 後 が 適 當

で あ る とせ られ て 居 る。(12)式 のc'ρ/tな るk・e・c・termはV・1・ に よつ て 定 ま

る が 、1=・10,0cmと しV・=3・4ccと して流 出 秒 数6・=50と して、之 に相 鷹 す る η(poise)

と α(cm)を 調 べ るo

Poiseuilleの 式 を 攣 形 し て

とす る。

V=3.4,6=50,1・=10.0と し て 、h=13・Ocm,ρ=1・00~9=980と す れ ば

で あり、此等の値を入れて

とす る。

爾邊のi封数 を採 ると

で あっ て、109α と109η に 關 す る一次 の式 とな る・

この式 に よつ て 關係 づ け られ る α と η と,の關 係 を η=0・01~10・00poiseの 聞 で 求

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粘 度 測 定 法 提 要 15

めるために、爾側封歎目盛方眼紙に次表に示す ηとαとの關係を探れば一本の直線

を得 る◎

第8圖 の使用法

可槍試料の粘度が例へば3poiseで

あるとする。50秒 以上の流出秒激で

測 りたV・場合に第8圖 の横軸 の3・CO

poiseに1封鷹する縦軸 αの値 はO・089.

cmで あるか ら、毛細管孚径0・082Cm

で粘度計を工作すれば3po:se以 上 の

試料に樹 しては50秒 以上の流出秒数

で測定出來 るo流 出秒数 は同一粘度

計では試料の粘度 に比例するか ら、

この粘度計で5・00poiseの 試料 を測

定す轍 拙 微6-5・ ×吾÷83

秒である。

反封に毛細管径が定まつて居 る場

合 に可槍試料の粘度か ら流出秒数 を

求めるには次の如 くすればよい。

毛 細 管 鰹が 伽 α050cm(著 者 作 製Ubbe・ ユ)で あ り、 藤 糖60%水 溶 液{η(35℃ ト

D.266}の 流 出 秒 藪 を求 むo

第8圖 に於 い て α=・0・50に 相 鷹 す る η(poise)は0・400poiseで あ り、 この流 出秒

敬 は作 圖 の條 件 に よ り50秒 で あ るか ら、 求 む る流 出秒 歎6は 次 式 で 求 め られ るQ

で あ るo

薯 者 の實 測 値27・0秒 との 差異 は 著 者 作 製 の粘 度 計Ubbe.1の1=8.8cmで あつ で

3訂 αOCInで な い こ とに基 くc,

第8圖(右 謹50秒)

第1表 流出秒歎 加50秒 なるべき粘

度lpoise)と 毛細管孚径(cm>

との關係

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16 粘 度 測 定 法 提 要

X.Os七wald型 圓管粘 度 計

1。 原 理

Ostwald型 粘度計は一定體積の試料 を上球か ら毛細管 を経て下球内へ流動せ しめ

上球の上方 と下方 とに附 した二つの刻度の闇を試料液頭 メニスカスが通遇するに要

する時闇が試料の運動學的粘度 ジーη/ρ(II)に比例することに基V・て粘度測定を行

ふ粘度計で ある。

測定せ る時間をt(秒)と し試料の蓮動學的粘度(stokes)をyと し・粘度(poise)を η

とし密度をρとし、粘度計恒數をCと すれば次の關係がある。

(14)

測 定 時 闇tの 間 に 有効 ヘ ッ ドは刻 々攣 化 しつ つ あ るか ら・ そ の 不 均 有 効 ヘ ツ ドを

lt(cm)と す れ ばPoiseuilleの 法 則 のP、 一一P・は次 式 に よつ て 與 へ られ る。

但 しKは 恒 數

從 つ てPoiseuilleの 式(IV)は

(但 しC'は 恒 數)

となる。

故に粘度 η及び密度が知れて居る液體(例 へば・水・グ リセリン水溶液・薦糖水

溶液の如 き他の物理的性質 とその粘度 との間の關係が知れて居 るもの)の 粘度 をη・

密度を ρ。とし、同一條件の下に流出秒數 を測つてt。 秒 を得た とすれば(14)式 に

於いて

で あ り、之 か らC=η 。/ρ。t。を計 算 し、粘 度 計 恒 數Cの 値 が 求 め られ る。

2.原 型Ostwald粘 度計 の誤 差 の 原 因

原 型Ostwald粘 度 計 のPoiseuilleの 法 則(IV)の 各 項 に關 して の誤 差 の原 因 の

主 な もの は次 の如 き もの で あ る。

(1)上 球 内 の液 のdrainageに よ る もの。

(2)液 の ヘ ツ'ドに よ る ものo

Page 17: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 定 法 提 要 17

(3)kineticenergyerror

(二4)毛 細 管 端 のendeffectに 由 る ものo

(5)試 料 の表 面 張 力 に 由 る もの 。

(6,中 心線 の鉛 直線 か らの偏 碕 に よ る もの 。

(1)drainageの 誤差

試 料 が 粘 度 計 の上 球 壁 に附 着 す る こ とに よつ て 流 動 液 量Vが 小 さ くな り、 李 均 有

効壓 力 が 小 さ くな る。

(2)表 面 張 力 に よ る誤 差

上 球 の 上 方 及 び下 方 に在 る2個 の刻 度 部 分 に於 け るhydrostaticheadは 嚴 密 に云

へ ば 兩 刻 度 部 分 に於 け る直 径 に相 當 す るだ けの 毛細 管 上 昇capillaryriseを 差 引V、

た もの で あ る。

上 下 兩 球 の 直 径 が 異 る場 合 に は上 球 内 を メ ニス カ ス が 下 降 し、下 部 に至 るに從 つ

て毛 細 管現 象 は 大 き く ひび くo

(3)刻 度 部 分 に"く び れ"を 有 す る こ と は メ ニ ス カ ス・1・ラ ン シツ トの畳 認 の 上 か

ら便利 で あ るが この部 分 にbridgeを 生 す る と きは それ だ け流 出時 間 が 大 き くな る。

著 者 の 實 験(第24報414頁)に よれ ばbridgeは 試 料 の表 面 張力 小 さ き程 、 叉 く

び れ の 直 径 小 さ き程 、 形 成 され る傾 向 が あ る。

(4)有 効 亭 均 壓 力 に よ る誤 差

GrUneisen{Wiss・Abhand・d・P・T・R・,4,151(1905)},ApPlebey{J.Chem.So(r .

97・2000(1910)}等 は全 流 出 時 闇 の1/,時刻 に於 け る上 下 兩 液 頭 の高 さの差 が李 均 有

効 ヘ ツ 避で あ る こ と を確 め たo然 し比 較 測 定 に於 い て は そ の 継 封 値 の測 定 は必 要 で

な く・ 只 表 面 張 力 、drainage・ 鉛 直 線 か らの偏 椅 等 が 李 均 有 効壓 力 に影 響 して 、 同 一・….e一

粘 度 計 に樹 して恒 一 で な くな る こ とが 問 題 な の で あ る。

(5)鉛 直 線 よbの 偏 椅 に よ る誤 差

粘 度 計 脚 の 中心 線 が 鉛 直 線 に 封 して偏 りを 有 す る と き 、偏 筒角 を θ と し、兩 脚 中

心 線 闇 の距 離 を ・Sとし,李 均 有 効 ヘ ツ ドをhと す れ ば 、hに 樹 す る關 係 誤 差 は次 式

に よつ て與 へ られ る。(Barr:OP.Git.P.142)

Page 18: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

ユ8 粘 磨99{1宗 鞭 羅 藪

.(15)

(6)運 動 學 的 エ ネル ギ ー の補 正(KineticEnergyCorrcction)

BESAは 許 容K.E.C.(%)をPで 表 は し、 毛 細 管 直 径dと の 關 係 を次 式 に よつ

て求 む べ き こ と を記 載 して居 る。

(16)

叉Ostwald粘 度 計 のK.EC.に 就 い て、 毛細 管 直 径 と長 さ との關 係 に就V・て

のGrifneisenの デ ー タか ら作 圖 した もの が あ る。

そ れ は1=:・ …cm,乃 一夕 と し てK・E・C・(%)が …,

0.5,1.0で あ るや うな 最 大 直 径 と蓮 動 學 的 粘 度:2=-o/iOと

の關 係 圖 で、 そ れ と前 掲 σ6)式 に よつ て 計 算 した 同意 義

の 曲線 が併 掲 して あ る。(Barr:《)P.cit・P・133・Fig・`24)

この 圖 に よれ ば1091000(η/io)・ ・2・O自Pちη/,o=・O・1stokes

の 附近 を境 と して 之 よ り η/ρが 大 きV・と きGrUneisenに

擦 る 曲線 が上 に 在 り、 之 よ り η/ρが 小 さ い と き は下 に在

る。 上 に在 る部 分 に就V・て は 同 一 の η/ρに樹 して許 容 最

大 直径 はGr資neisenに よ る もの の 方 が(16)式 の計 算 に よ

もる の よ り小 さV・。η/ρ<0・1stokesで は 之 と反 封 で あ る ・

一 般 にeの 二 つ の 曲線 に よつ て ・ いつ れ か ノJ\さな 方 の

直 径 を採 る こ とが 渤 め られ て 居 る。

又Z-2乃 司 αOcmの 場 合 に は縦 車由目盛 に就 い てe・ユ5目

∫盛(帥 ち1.413を 乗 じた こ と に な る)、 叉1=h-=5・Ocmの と き は ・ 同 じ く0・30目 盛i

(帥 ち1.995を 乗 じた こ とに な る)だ け上 へ す らす こ と に よつ て 同 様 な 曲 線 を得 る。

Barrは1=10.OGmが 適 當 で あ る と し、1/h==1又 は2が 最 適 で あ る と して 居 るo

著 者 の 實 験 結 果Ostwald原 型 、篠 田型 、BESA型 が 適 當 で あ る之 と を認・め た 。

X]LBESA型 圓管粘度計

1.構 造及び寸法

第9圖

・オス トワル ド型 粘度計の

毛細 管の最大直脛

毛細管 の長 さ=李 均 ヘッ

ドの2倍=10cm

Page 19: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 矩 縁 鍵 黎 褻9

BESA(op・cit・P.6)の 提案す る乏ころのものはその箔用粘度範圍に

よつてNo・1・2・3・4の4種 に匠別されその形散は第10圖 の如 くであ

り、その寸法及び容量は第2表 の如 くである。

第2表 に示すヂメンシヨンに就いて、記載 された粘度範圍の最低限

に於いて測秒は100秒 以上であるo毛 細管径は記載 された粘度範圍に

封する最大限であり、之を小さくするときは表中次の欄 に見る如 くバ

ルブBCの 體積を小さくする~二とが必要である。

第2表BESA型 圓管粘度計

第10圖

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r20 、.{粘優f測 定 怯 提1要

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粘 度 測 ・定 独 提 ・要 21

バ ル ブFGの 體 積 は最 小 可 能 な る試 料 量 に相 鷹 す る も ので あ つ て、更 に多 量 の試

料 を用 ひた き場 合 に は バ ル ブ ρ 大 い さ をU管 の轡 曲部 の 方へ 延 ば す 。

バ ル ブCDの 體 積 は 記 載 され た も・の よ り・10ノ》20%の 差 異 は差 支 な い。

2.試 料 の填 入 方 法

試 料 は所 要 の温 度 に少 く と も10分 、 粘度 大 な る もの は30分 あ ら しめ た 後 、 氣 泡 が

なV・や うに して 兩 液 頭 がM及 びGの2刻 度 に就V・ て0・2mm以 内 に在 るや うに婁

入 す る。

3.使 用 の 實 例(第5、 報P.218)

.BESA型 圓管 粘 度 計 に よ る箆 麻 子 油 の粘 度 の測 定

使 用粘 度 計:

第2表 のNo・3及 びNo・4に 相 當 す る もの夫 々1箇 一

粘 度 標 準 液:60%薦 糖 水 溶 液

比 重20/20ユ.2891粘 度0.567poise(20℃ 〉・,

グ リセ リン水 溶 液

,比重20/2。1・238粘 度 必 要 な し

可槍試料:

局方箆麻子油

山田製藥所製 包装 昭和8年8月 粘度測定 昭和9年5月

所要測定値:

流出秒數(20℃)

粘 度 計3粘 度 計4比 重201。 。(P)

ち ぢ60

%蕪 糖 水 溶 液t、s=・157.7-一 一"一一"ρ,・ ・1.289

グ リ セ 〃 水 溶 液t・9==681・0ち9=102.6ρ9=1 .238

箆 麻 子 油 ちc=546.0ρc・=O.9611

粘度計恒數の計算:

60%藤 糖水溶液の20。Cの 粘度 η,は 附録第2表 によbO.565poiseで あるか ら粘

度計No・3の 粘度計恒數C,は 次の計算によつて求める。

Page 22: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

22 粘 度 測 窟 秩 担 要

粘度計No・4め 粘度計恒數C、 は次の如 くして求められ る。

箆麻子油の粘度 η。は次の如 くして求められるo

粘 度 計 恒 數 は前 述(IX-4)と 同 様 な理 由 に よ り溜 度 に よつ て攣 化 す る こ とが 小 さ

い か ら粘 度 計No・4に よつ て'25。,30。,35。Cに 於 い て試 料 箆 麻 子油 の 流 出 秒 數 を求

め、Kahlbaum-R乞ber(附 録 第5表)の 與 へ た 箆 麻 子 油 の粘 度 と蜀比 す る と、≡欠表 の

如 くで1%以 内 で 一 致 して 居 る。

Ubbelohde塑 加壓粘度計による上記の箆麻子油の粘度測定

粘 度 計Ubbe・1

加 壓32.5cm(水 柱)

35℃ に 於 け る60%薦 糖 水 溶 液 の 流 出秒 數t,=37・3,η(35。C)=0・2662(poise)(附 録1

第2表)

Ubbe・1・(32.5cm加 壓)に よ る粘 度 計 恒數

箆 麻 子油 の25。,30。,35。Cに 於 け る流 出秒 數 か ら粘 度 を求 めKahlbaum-Raberの

値 と野 比 す る と次 表 の如 くで あつ て、1・y2%で 一致 した 結 果 を得 る。

第3表

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粘 度 測 定 法 提 要 23

XII・Ostwald原 型及び篠 田型圓管粘度計

1.構 造及び寸法

著者の研究(第24報)に よれば種 々の攣形型 の中原型の次に示す寸法及び容量のも

のと篠田型(化 學工業協會塗料類規格調査舎一 案57)は 我々の目的 に適お.ものと認

める。篠田型は極めて原型に近似 した ものであるので、ここに併論することが適當

であるo

著者の使用 した原型の中、0・4《・4・Opoiseの試料に樹 して流出秒數60・v6£>oを 與

へ るものの主要な(詳 しくは第24報381頁 、第1表 を見 よ)寸法及び容量は

毛 細 管 長 さ(cm)8・0

毛 細 管 直 径rcm)0・15$

上 球 體 積(働2・5

李 均 有 効 ヘ ツ ド(Cln)9・2

(著者 測 定 、 第24報408頁)

篠田氏提案の ものは第11圖 の如 きもので、著者が之に則つて作製吟味 した ものの

主要な寸法及び容量(詳 しくは第24報405頁 第ユ1表を見 よ)は次の如 くである。

上 球 體 積(cc)3・4

外 径(Cln)2.06

下 球 體 積(cc)10.5

外 径(cm)3.0

毛 細 管 一 長 さ(cm)10・0

直 径(cm)O・151

(之は篠i田氏 の 規 定 した と ごろ に合 ふ)

亭 均 有 効 ヘ ツ ド(cm)12.9

第4表

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24 粘 度 測 定 法 提 要

(著者 測 定 第24報P・404)

2.粘 度 恒 數 の決 定

KiDeticenergycorrectionは 前 出 第9圖 に相

鷹 しな い か ら次 式 に よつ て求 め るo

K・E・c・(%!一 離 一 麟l

K.E.C.(%)が0.1%に 相 當 す る蓮 動 學 的 粘度

y(stokes)は

Ostwald♂ 原 型0.035

篠 田型0・0253

で あ つ て0・1poise以 上 の試 料 に 封 して はK・E・C・ は無 覗 出來 る。 篠 田案粘 度計

薦 糖 水 溶 液 の調 製

市 販 氷 砂 糖 を出來 上 り60%の 水 溶 液 を作 る に必 要 な 量 だ け秤 量 し之 を蒸 溜 水 に 溶

解 し1週 闇 静 置 の後 上 澄 を取 り之 を濾 遍 し250Cに 於 い て密 度 を測 り(4)式(附 録

II)の 補 正 を施 して、1・284125を 得 、 之 に よつ て 附 録第3表 か ら25。Cの η(poise)

を求 め、η/ρを計 算 す る と0・3373stokesで あ る 。

Ostwald原 型 に よ る この薦 糖 溶 液 の 流 出秒 數 は37・7(第24報419頁 、第2表)で あ

り篠 田型 の そ れ は76・5で あるo

從 つ て 夫 々 の粘 度 計 恒 數 は次 の如 くで あ る。

Ostwald原 型0・3373/37・7=0・OC8鍍1

篠 田型0・3373/76・5・=O・004409

3.寸 法及び容量の選定

篠田友び原型に就V・て第12圖 に示 した記號によつて寸法及び容量を指

示する。

薯者の作製 した ものは次の寸法及び容量を有する。

第5表(單 位cm及 びcc)

第11圖

第12圖

Page 25: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

Yk瞳99iTtiS1F棲 纏 駆 25

(1:)管aa,一

篠 田型 の3・5cmは 水 を媒 體 と した 恒 溜 槽 に 入 れ る場 合 に は短 か きに過 ぎ る嫌 が

あ るeIQ.Pem位 に す べ き もので あ る。

直 径 は0・5《ノ0・6αη で差 支 なV・。r

(2)上 球AB

篠 田型 は完 全 な球 で あ るか ら、外 径 の決 定 か ら上 球 の體 積が 決 定 され る。

(3)毛 細 管Bh

長 さ 前 述(X.一 一一6)の 如 く 一般 に10・Ocm位 が 適 當 と され て 居 る・

直 径 前 述(X-6)のKineticenergyJcorrectionと の關 係 と測 定 す べ き粘 度 範 圍

に よ る適 當 な流 出秒 數 と の關 係 か ら決 定 され る。Poiseui11eの 式(IV)か ら明 で あ

る如 く流 出秒 數 は 毛細 管 径 の4乗 に比 例 す るか ら毛 細 管 径 の ユ%の 相違 は流 出秒 數

に 就 い て4%の 差 異 となつ て來 るo

(4)下 球CD

篠 田型 で は 上 球 同 様 に球 で あ るか らそ の径 に よつ て 體 積 妹決 定 され る。

(5).管bC

この 管 の径 は一 般 に毛 細 管 の10倍 以 上 た るべ し とせ られ て居 る。 あ ま りに細 い と

この 管 自身 が 毛 細 管 と して 働 き轡 曲 毛細 管 内 の流 動 は複 羅 な問 題 で あ る。

(6)距 離s

前 述(X-2-(5))の 如 くsは 中 心 線 の 鉛 直 線 か らの偏 筒 に よる誤 差 を決 定 す る

1因 子で あ り出來 るだ け小 さ い こ とが 望 ま しや ・J.、

XIIX・ 圓管粘度計の一般操作

1.粘 度 計用 硝 子

Washburn-Williams,Jones-Talleyは 石 英 を、WillihngaDzは パ イ レツ クス硝 子

を 用 ひ て 圓 管粘 度 計 を作 つ た 。B・E・S・A・(OP・cit・P・13)は 次 の如 く硝 子 の品 質

及 び試 瞼 法 を規 定 した 。

B.E.S.Aの 粘 度 計 用硝 子 試 験 法

(1)粘 度 計 の 工 作 に用 ふ る硝 子 は均 質 、透 明 に しで 着 色僅 微 に して 機 械 的 の 不

Page 26: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

26 粘 度 測 定 法 提 要

同があつてはな らぬ。

(2)次 の試験によPl完 全な化學的耐久性がなければならぬ。:

硝子管の1片 を石英製 ビーカー中にて、中性の蒸溜水 と共に6時 簡煮沸する。そ

の水の量は煮沸時聞中硝 子片 を完全に蔽ふに足 る程でなければな らぬ。

6時 聞の後 に於いて:

a・ フエノー一ルフタレインを指示藥 としてアルカ リ性を呈 しないこと。

b・ 硝子が曇つてはな らぬ。

c・ 上記の處理の隻 ユ00。Cにて2時 聞乾燥 して も硝子は曇つてはな らぬ。

d・ 乾燥後の重量の攣化はdm2に 封 して ±0・51ngを 超 えてはkら ぬ。

(3)硝 子は細 工のための 加熱によつて攣色及び失透があつてはな らぬ。又認め

得 る程度の熱絵効があつてはな らぬ。

(4)さ ま しの試験

室虚 の粘度計は80。Cの 温度聞の急激な加熱及び冷却に轟裂を生することなきも

のでなければな らぬ。この試験は次の如 く行ふ。粘度計を100。Cの 水 中に5分 間入

れて急激に20。Cの 水 の中に移す。冷水 中に5分 置いて再び沸騰水中に入れる。

2.粘 度計の掃除1

液體は適當な溶剤で除き、濃硫酸と飽和重クロム酸カリ液 との(1:1)混 合液を粘

度計内に充 し1書 夜放置 して置 く。(BESAOP.cit.P.8)

瓜)nes-Talley{Physics・4 e215(1933)}は 重クロム駿ヵり硫酸混合液に比 して命酸

と硝酸との熱混合液が有効であるとして居 る。

著者の経験 によると乾燥油を含んだ ものは、溶剤による掃除を完全に行つて後に

重クロム酸カリ硫酸混合液を用ひない と、却つて酸化による不溶解物が硝子に附着

して仲々除去が困難となる場合がある。

BESA型 は管径が大きV・か ら掃除は極 めて容易であり、固體粒子の存在による

誤差 も少なV・。 、

3.鉛 直線への調整

BESA(QP・cit・P・9)は 任意の挙面内に於ける鉛直線か らの偏綺角はr以 内たる

Page 27: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 定 法 提 要 27

べ き こ と を規 定 して居 るo

粘 度 計 の 一 脚 にplumb-bobを 懸 吊 して1。 以 内 に調 整 す る こと は容 易 で あ るo

前 述 くX--2-一(5))の 如 く偏 筒 角 の李 均 有 効 ヘ ツ ドに及 ぼ す 關 係 誤 差 は

で與へ られる。

4.く びれとBridgeの 生成

上球の上方及び下方に在 る刻度部分のくびれは液頭 メニスカスの通過 を畳認す る

上に於いて便利であるが、との直径があまりに小さ過ぎると表面張力の小 さな試料

に於V・てBridgeを 作 る恐れがある。

Jones-Talley(前 出)も くびれの直径は0・1cm以 上であるべきことを鋤め、著者

の作製 した ものに就V・ても前掲のOstwald原 型及び篠田型は表面張力の小さな鑛油

及び油性iワニスに就いてbridgeを 生 じない(詳 しくは、第24報414頁 以下を見 よ)。

5.試 料の填入

一定量の試料 を粘度計内に填入するにピペツ5を 用ふる方法 と粘度計に附 した2

刻度によつて液量を決定す る方法とがある。篠i田型、BESA型(BESAで はピペツ

下婁入によるものを別に設計 して居 るoop.cit・P・23),BinghamrJackson,Bingham・

White,Thorpe-Rcdger,Ubbelohde等 いつれ も後者に薦するo

篠田型は試料 を規定の刻度(M及 びN)に よつて填入した場合、上球上端 に1液 頭

があるとき、他の液頭は下球の上孚部 に在 り、從つて上球部の液頭が低下 し始める

と下球液頭 は下球上部の管内へ上つて行 く傾向に在 り、從つて糞 入量の遍剰による

流 出秒數に樹する差異は大きV・。(詳しくは第24報407頁 以下 を見よ)

薯者の経験によれば一般に粘度計に附 した刻度による方法が ピペツトによる方法

に比 して操作上容易であり、特に同一試料 を同一粘度計で二つ以上 の異つた温度に

於いて粘度測定 を行ふ場合に於いてさうである。

XIV・ 粘 度 標 準 液

粘度特性が粘度測定叉は他の物理的特數と粘度との關係によつて正確に分つて居

Page 28: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

28 粘 度 測 定 法 提 要

て 理 想 と して 次 の 條 件 に合 ふ もの は比 較 測 定 に於 け る粘 度標 準 液 と して 用 ひ られ る

(1)吸 漁 性 の な い ヒ とo

(2)腐 蝕 作 用 の なV・こ と。,"

(3)室 氣 の作 用 に よつ て 攣 質 しな 丸(~二と。

(4)貯 藏 に よつ て 粘 度 の 攣 化 が な い こ と。

薦 糖 溶 液 、鑛 物 油 、 箆 麻 子 油 、 ア ニ リ ン、 ベ ンヂル ベ ン ゾェ ー ト、 亜 麻 仁 油 、 グ

リセ リ ン水 溶 液 、 レ ゾル シ ンア セ テ ー 下、 下 リク レジル フオ ス フ エ ー ト、 ヂ ブ チ ル

フ タ レ'・一一F,エ チ ル ア ビエ テ ・…)}等 が粘 度 標 準 液 と して 墨 げ られ て居 る{J.Rheo-

10gy・1.2,207(1930)}o

一 般 に用 ひ られ るの は 水 、 薦 糖 水 溶 液 、 鑛 油、 箆麻 子 油 、 グ リセ リン水 溶 液 エ

チ ル ア ル コ …;・ル 水 混 合 物 で あ る0

1.水

純 粒 な状 態 に於 いて 得 る こ とが 容 易で あ る。 そ の各 温 度 に 於 け る粘 度 はPois∂u-

ille以 來 、Sprung,Slotte,Thorpe・Rodger,Hosking,Bingham-Whit3等 に よつ て

報 告 せ られBingham―Jackson'は 此 等 の 諸 家 の値 を槍 討 し 自 ら(Sci.Pap.B.S.No。

298P.75)

な る流 性 係 數 φ(單位rcciprocalcentipoise)と 温 度 護との關 係 式 を作 り、 測 定 及 び計

算 に よつ て 純 水 の0。Nユ00。Cの 問 の1。C闇 隔 の粘 度 一一温 度 樹 照 表 を作 つ た 。0。~40。C

の値 を 摘 記 す れ ば附 録 第1表 の如 くで あ る 。

'こ味によれば水 はOo・v40℃ に於いてO・006560~0・017921P・iseの 粘度 を有 し、

毛細 管径の小さな園誉粘度計以外たは之によつて、直接にその粘度計恒數を求める

ことは出來癒~・6他 ゐ粘度高き標準液 を毛細管の異なる2ヶ 以上の粘度計によつて

銑eppin9如{に よって槍度するに適する。

著者の實験例(第1報 、474頁)

水に よる薦糖水溶液の粘度測定 『 一

・(次項蕪糖溶液参照) ,、 、

Page 29: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 定 法 提∫要 29

粘度計: OstWald原 型(著 者 設 計)

上 球 體 積3.2cc

毛 細 管 直 径O.024cin

長 さ18.6cm

(この粘 度 計 は毛 細 管 を長 く して 、表 面 張 力 に よ る誤 差 、Kineticenergycorrecti◎n

を最 小 化 した もの で あ る)

蒸 溜 水 の35。Cの 流 出 秒 數145・2

"比 重35。/,,・0。994

"の 粘 度

0.00723poisθ(附 録 第1表)

粘度計恒數

~二の粘度 計 に よ る同 じ く35。Cに 於 け る 、20%、40%、60%簾 糖 水 溶 液 の流 串秒

數 と35。/,、・の比 重 を求 め 、 そ の粘 度 を計 算 す る と次 の如 く であ る◎

薦弩唐濃度20%40%60%

比重1ζ;…82・.・77エ288

流 出 秒 數t244.3637.94145A

粘 度(centipoise)1.3203.75126.66

粘度 懸 盤 押ksOn)・ ・3363・77626・62

Bingham-Jacksonの 値 とは必 し も一致 す る必 要 は な い ◎何 と な れ ば薦 糖 溶 液調

製 の誤 差 が あ るべ きで あつ て 、 この實 験 例 は供 試 の 藤 踏 溶 液 が35。Cに 於 い て如 何

の粘 度 を有 す るか を槍 定 した1例 で あ る。

2.簾 糖 水溶 液

薦 糖 水 溶 液 の 濃 度 、 密 度 、 粘 度 、 温 度4者 の鵬 係 はBingham・Jackson(◎P・cits

P・、77fOに よつ て與 へ られ た 。 兩 氏 の 表 は湿 度0。 乃 至100。Cの 聞 を5。 聞 隔 にザ 藤

糖 の重 量%0,20,40,60に 就 い て の もので あ る(附 鎌 第2表)oBESA(op・cit・P・18

はBingham・Jacksonの ヂ ー タ か ら《0%及 び60%附 近 の濃 度 の もの に就 い て 、 そ の

25℃ に 於 け る密 度 と粘 度 との 封 照 表 を作 つ た(附 録 第3表/0・

Page 30: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

30 粘 度 測 定 法 提 要

著者の實融例(第24報334頁)

市販氷砂糖(氷 砂糖が容易に入手 し得 るSucroseの 純度高きものであるとの元明

治製糖技師森重夫氏の御敏示に擦 る)を40・60%の 濃度 に相當す るや うに秤量 し相當

量の蒸溜水に溶解 し1週 間静置 し上澄 を探 り、濾過 してその密度 を比重瓶で測 り、

(4)式(附 録II)の 補正を施 して25。Cの 密度 を求 めると

60%薦 糖溶液1・284125

40%,,1・174715

であるo

附録第3表 に於いて、 この附近の密度 と粘度の關係を求めると次の如 くである。

こ こ に學 げ られ た 相 隣 つ た2の 密 度 の値 の 闇 で は密 度 と粘 度 とが 直 線 的 關 係 に 在

る もの と して60%薦 糖 溶 液 の粘 度 は44・03cp,40%薦 糖 溶 液 の粘 度 は5・213cpで あ

る0

3.グ リセ リン水 溶 液

グ リセ リン水 溶 液 の濃 度(%)、 比 重 、 粘 度3者 の 關 係 に就 い て はSheetyの 作 製

した 詳 しい 表 が あ る 。(附録 第4表)〔ln(1・Eng・Chem・P・1060・(1932)〕

グ リセ リ ン水 溶 液 の標 準 液 と して の特 黙 は純 粒 な形 に 於 い て 得 る ご とが 容 易 で あ

り、 濃 度 を攣 す る こ とに よつ て 、廣 範 圍(0・01・v15・00poise)の 粘 度 標 準 液 が 得 られ

る こ とで あ るo

叉歓 黙 と して は85%以 上 の 濃度 の もの は吸 漁 に よつ て濃 度 從 つ て粘 度 を減 少 しb

之 以 下 の濃 度 の もの は通 常 の滋 度 に於 い て水 を放 出 して 濃度 を増 大 す ると云 は れ て

居 る。一(Sheely・Ioc・cit・)'

Barr(OP.cit.p.308)は 同 一 密 度 の グ リセ リ ン水 溶 液 で 粘 度 が8%相 違 す る ~二と

Page 31: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 定 法 提 要 31

あることを指摘 して、グリセリン水溶液は粘度標準液 としては不適當であるとし、

比重の測定か ら粘度 を求むる場合に著者 も屡々粘度測定による値 と一致 しない結果

に遭遇 した。

Sheelyは その表 を粘度測定からグ リセリン濃度の決定に用ふべきことを主た る目

的 としたのであつて・か くの如 く濃度によつて著 しく粘度を異にするものは、逆 に

粘度 によつて濃度 を求む る場合には極めて精確な濃度決定法 となるo

著者の實験例(第15報 、97~100頁)

粘度測定か らグ リセリン濃度 の決定

試料:日 本藥局方 グ リセ リン(昭 和藥品試験所包装)

B.P.Test.GlycerinPricesSoapCo.Ltd.

局 方 グ リセ リンの粘 度(第15報 、99頁 第3表)

Sheelyの 表 か ら20。Cの 粘 度 が 之 に相 窓 す る部 分 を求 め る。

この二つの粘度の聞に於いて粘度 と濃度 とは直線的關係に在 るものと見微 して局

方グ リセリン試料の濃度 は85・38%で あるo

〔計算〕

PricesGlycerinの 濃 度 の 決 定

Page 32: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

32 粘 度 測 定 法 提 要

粘 度 計:BESANo・4

流 出 秒 數(20。C)465.4

密 度(20。C)ひ1・258

粘 度(20℃)10.83poise

Sheelyの 表 か ら同 様 に して 濃 度 を求 め る と98・5%で あ る。

PricesのGlycerinと 局 方 グ リセ リ ン と を秤 量 に よつ て 混合 し、 そ れ ぞ れ の配 合

比 か ら計 算 した混 合 物 の濃 度 とSheelyの 表 に よつ て 粘 度 測 定値 に よつ て得 た 濃 度

と を封 照 す る と第5表 の如 くで 、極 め て よ く一 致 す る 。

グリセリン水溶液の標準液としての使用の適例

本邦の藥局方は、英獨が殆んど濃度100%に 近 きものを規定す るに反 してb84~

87%を 規定 して居 るので、高濃度のグ リセ リン水溶液を必要 とす る場合 には・外國

品を用ひなければな らない。

著者はグ リセ リン水溶液を粘度に關する實験に於いて使用して便利であると思は

れる場合は次の諸例の如 き場合であると思ふ・

(1)η と ジ との關係を調べる場合

著者の實験例(第15報103頁)

グ リセリン水溶液の密度は1よ り大きV・から同一試料の η〉ジであ り・か くの如

き試料 を必要とするときに用ひられる。

氣泡粘度計の性能の吟味(XVII)に 當 り氣泡の上昇速度が蓮動學的粘度の函數で

第5表 試 料 グ リセ リ ン水 溶 液 の粘 度(20。C)(第15報 、99頁b第4表 〉

Page 33: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 定 法 提 要 23

あ るか 叉 は ηの函 數 で あ るか を調 べ る に當 り、 著 者 は グ リセ リ ン水 溶 液 を用 ひ た 。

(2)表 面 張 力 が 水 に近 似 した 粘 性 液 體 と して の用 例

著 者 の 實 駿 例(第24報 、429頁 以 下)

水 、薦 糖 水 溶 液 とグ リセ リ ン とは 近 似 した 表 面 張 力 を有 す る。(附 録III)

著 者 は各 種 のOstwald型 粘 度 計 の試 料 の表 面 張 力 と流 出 秒 數 との 關 係 を調 べ るに

當 リグ リセ リ ン水 溶 液 を用 ひた 。

い つ れ の場 合 に も一 鷹 グ リセ リ ン水 溶 液 の粘 度 測 定 を行 つ て か ら、 使 用 す る こ と

を著 者 は鋤 めたV・。

4.箆 麻 子 油

Barrの 著 書(OP・cit・P・309)に 糠 れ ば 粘 度 標 準 液 と して の 箆 麻 子 油 は貯 藏 に よ

つ て そ の粘 度 を攣 化 し測 定 者 に よつ て2.5%の 差 異 が あ る と云 ふ 。

BarrはKahlbaum-Raberの 獲 表 した値(前 出)を 與 へ て居 る。 叉 最 近H・A・

BoekenoogenこFettchein・Umsehau42,10,177--180(1935)〕 も箆 麻 子 油 の20。!》50。C

に 於 け る粘 度 を報 告 したo附 録 第5表 は此 等 の値 を示 した もので あ る。

この粘 性 液 は10。 《・35℃ に於 い て24.18・ 》3.16Polseの 粘 度 を有 し粘 度 標 準 液 と

して は高 粘 度 の 場合 に しか 用 ひ られ な いo

著 者 の 實 験 例

(1)著 者 の 測 定 した箆 麻 子 油 の粘 度 を第6表(第5報 、215頁 、第3表)に 示 す 。

工 業 用 を除 い て は約1%以 内 で そ の値 は 一 致 して居 る。

叉Kahlbaum-Rgberの 菊直 との 一 致 の程 度 は 前 出 第4表 に示 した 。

第6表

Page 34: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

34 粘 度 測 定 法 提 要

著 者 は 日本 藥 局 方 合 格 品 はKahlbaum-R£berの 値 と比 較 的一一致 して居 る鮎 か ら

見 て、 用 途 及 び精 度 に よつ て は使 用 し得 る 粘 度 標 準 液 で は な い か と思 ふ 。BESA

(oP・cit・P・8・)はcheckingの 目的 に 之 を記i載 して 居 る。

5.鑛 油

Gardner-Holdtは そ の 氣 泡粘 度 計(XVIII)に 封 入す べ き粘 度 標 準 液 と して 固 形 パ

ラ フ ィ ン を含 ま な い鑛 油 を用 ひた 。 ρ

叉 米 國 のBureauofStandardsで は1%の 精 度 を保 讃 して 、粘 度標 準 液 を提 供 し

て 居 る。

著 者 の 實 験 例(第14報 、62頁 以 下)

鑛 油 の配 合 に よ り種 々 の粘 度 の標 準 液 を得 る こ と○

試 料 鑛 油 の10。 ~40。Cの 粘 度

第7表 試料鑛油の粘度

Page 35: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 定 法 提 要 35

この中MAとMC,DとMCと の混合油の配合比(%).と 混合物の粘度 との關

係は第8表 及び第9表 の如 くであるo

第8表MCとMAと の混合油の成分百分 と粘度(poise)

Page 36: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

36 粘 度 測 定 法 提 要

混合物の粘度 ηmと 配合組成百分との關係

混合物の粘度 丁/mの封數109伽 を縦軸に、鑛油の混合配合百分 を横軸に探 ると

第13圖 及 び第14圖 を得 るo

これ らの 圖 か ら、 各 成 分 を夫 々,

P、,P,%と し、 そ の粘 度 を η、,η,

とす る と突 の 關 係 式 〔之 はSchw・

edhelm{Chem.Zeit.44,S.638

(1920)}が コ ロイ ドゾル の 混 合 物

に就 い て提 出 した 式 で あ る〕 が 成

立 つ ~二とが分 る。

(17)

この式 か ら所 要 粘 度 η勉 に封 す る兩 成分 の 配 合 百 分P、,P,が 決 定 され る。

ユ20SとMC・120SとMAの 如 き粘 度 の か け離 れ た もの の混 合 に於hて は 、

この式 に よつ て 得 られ る η兜 よ り小 さな ηmを 示 す(詳 し くは 第14報 、P.66を 見 よ)。

第9表MCとDと の混合油の成分百分 と粘度(poise)

第13圖 第14圖

Page 37: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 定 法 提 要 37

6.エ チ ル アル コー ル と水 との 混 合 物

Bingham-Jackson(Sc1・Pap・Bur・St・No・298)は エ チ ル アル コ ール と水 の混 合

物 の溜 度 、成 分 、 密 度3者 の關 係(附 録 第6表)及 び温 度 、減 分 、粘 度3者 の關 係(附

録 第7表)を 記 載 したo

著 者 の 實 験 例(第24報 、432頁)

表 面 張 力 が 水 よ り小 さ く、 油 性 ワ ニ ス、鑛 油 等 と近 似 した 値 を有 す る粘 度 標 準 液

と して エ チル アル コ ール水 の ア ル コー ル含 有 量39《 ・40%の 混合 物 を用 ひた 。

日本 藥 局 方 純 アル コ ー'・一ル を2同 蒸 溜 し、 正 確 な塞 暖 計 を用 ひ て77・v79℃ の 聞 で

溜 出 す る部 分 を集 め 、之 と2回 蒸 溜 した 水 に よつ て39《 ノ40%の 聞 の アル コー ル 含

有 量 に 相 當 す る もの を作 つ た 。 そ の密 度 は10。Cに 於 い て0・943648〔((4)(附 録II)式

の 補 正 を施 す 〕で あ り、 附録 第6表 及 び附 録 第7表 に よ り10。Cに 於 い て4.39cpの

粘 度 を有 す る もの と して使 用 した。

XV・ 落 球 粘 度 計

1.原 理

球體が粘性流體中を落下する場合に球體の受ける抵抗Wは 次式によつて與へ ら

れ る。

(18)

α 球の孚径

勿 一様な落下速度(加 速度 なき場合)

η 流體の粘度

(18)式 はWiρ ノη=・R(Reynolds'number)が1に 比 して無 硯 し得 る大 い さで あ る と

きに 成 立 つ(d=・2α)o

球 體 が 重力 に よつ て粘 性 流 體 中 を落 下 す る と き速度 が 恒 一 で あ る とす れ ば 、 抵 抗

wは 球唖 さ9πa・・gと渤 音卿9の 差に等 し・a。(a,Pは 夫々球及び流體曙

度、gは 重力の恒數)

從つて

Page 38: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

38 粘 度 測 宗 注 ・椹 要

故に

,(19)

な る關 係 が 得 られ る。之 をStokesの 法 則 と云 ふ 。

Stokesの 法 則 は種 々 な假 定 の上 に成 立 つ て居 るが 、我 々 が粘 度 測 定 に 際 して この

法 則 を用 ふ る場 合 に考 慮 す べ き主 な る假 定 は次 の3で あ る。

(a)球 の 流 體 に封 す る相 封速 度 が 小 さい こ と。

(b)流 體 は無 限 に延 び て居 る こ と。

(C)球 の蓮 動 に加 速 度 が な い ~二と0

(a)はReyn・1ds・numberの 小 さ蕩 合 に實 現 され る。

(b)は 、我 々は 限 られ た 試 料 で測 定 を行 ふ ので あ るか ら、 この 假 定 が 成立 つ と見

徹 し得 る程 擾 りの大 きな流 體 を實 現 す る こ とが 困 難 で あ る。 圓筒 形 の 容 器 の 中 に試

料 を 入れ る もの と して管 壁 及 び 管 底 に よつ て試 料 は境 せ られ 、 いつ れ も假 定 せ られ

た場 合 に比 して速 度 は 小 さ くな るや うに影 響 され る。

2。 管 壁 の影 響 及 び そ の補 正

圓筒 直径 をD,球 の 直 径 を(ち 一 様 な速 度 をo'と す る。'(C.(}・S.單 位)

(a)LadenburgCAnn.Phys・22,287(1907)〕 は管 壁 の な い 場 合 の速 度 を27。。と

す る と

な る 式 に よ つ て 速 度vは 補 正 さ るべ き で あ る と し たo'

(b)Barr〔Rep.andMem.QfAeronauticalcommittee906(1932)〕 はd/D>o・1

な る と き

に よつ て 補 正 さ るべ きで あ る と した 。

(c)菅 氏 の補 正 〔理 研 彙 報10,146(1931)〕."

d/D=・xと 置 き、x=O1》0・371に 於 い て 落 下 時 間6に 樹 す る補 正 項 と して次 式 を 提

出 した 。

Page 39: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 定 法 提 要 39

1。。 は 管 壁 の な い 場 合 の 落 下 時 間o

(d)Francis〔Physics・4.1ユ,403(1933)〕

d/D<O.83に 於 い て

と して

4poiseの 場 合:

720poiseの 場 合:

な る補 正 式 を報 告 したo

(e)BarrのMonographofViscometryに はR・O・03な る ときO.1%の 精 度 に

於 い て 次 の 補 正 したS七 〇kesの 法 則 が 成 立 つ と 記 載 され て居 る 。(本 書 に於 い て 之

Barrの 補 正 式 と呼 ぶ)

3.装 置 及 び 用 具

(a)落 球

落 球 と して 、次 の 如 き もの が 用 ひ られ る。

硝 子 球 〔N?V'01ff-lrneu:Chem・Umschau.29,273(1922)〕

セ ル ロイ ド球 〔Francis:OP.cit.〕

アル ミ:・ウ ム及 び青 銅 球 〔Fischer:Chem・Zeitun9・44,622(1920)〕

而 して最 も入手 し易 く して眞 球 な の は軸 承 鋼 球 で あ る 。

軸 承 鋼 球

市 場 に在 る軸 承 鋼 球 は 非 常 に正 確 な寸 法 を持 ち、 硬 く、研 磨 十 分 で 殆 ん ど完 全 な

球 で あ り、値 段 が 低 廉 で あ る 。市 場 の鋼 球 は1の 球 の各 直 径 がO.OOOr)~0.00075mln

以 上 の相 違 が な く、 叉 大 い さは0・0025mm以 内迄 正 しV・と云 は れ る。(青木 保:精 密

Page 40: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

40 粘 度 測 宝 注 糧 鄭

測 定及 び 計則 機 器19頁)。 大 い さは直 径1/32"か ら1/64"の 闇隔 を以 て 作 られ て

居 る。

第10表 は著 者 が0-25mm測 定 用 の ス ク ル ーマ イ ク ロメ ー タ ーで ヴ ア ー ニア に よ

っ て0・00051nm迄 讃 んで 測 つ た實 例 で あ る 。密 度 は球 を眞 球 と見 て重 量 と體 積 か ら

計 算 した もので あ る。

(b)落 下 管

一 般 に 硝 子 圓 筒 を 用 ひ 第15圖 の 如 くABCな る3の 刻 度 を 附 け る 。

Gibson-Jacobs〔J.Chem.Soc.117,973(1920)〕,WASAG(West制isch

AnhaltischeSprengstoffAktiengesellschaft〕,BESA〔BritishEngineering

StandardAssociation〕,HerculesPowderCo.等 の 提 案 に 成 る刻 度 及 寸 法

の 規 定 が あ る 。 此 等 の も の と 著 者 提 案(第5報229頁)の も の の 寸 法 を 次

表 に 示 す(單 位:cm)。

第10表(第5報221頁 第11表)

第11表

第15圖

Page 41: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 定 法 提 要 41

…喜者 案1.807.0ユ5.07.0

(使 用 指 定 鋼 球 直径WASAGO・2cm,BESA1/16",3/32,,,1/8",Hercules

5/8",著 者0・3170cm,O.2380cm)

著 者 はD・=1・80cm,2.00cm,2・50Gm,3.50cln,の 圓筒 とd昌0.9520~O・1995cmの

鋼 球(前 出 第10表)を 用 ひて 刻 度 の寸 法 は前 出第11表 の 著 者 提 案 の もの に就V・て管 底

の影 響 及 び 球 が 恒 速 度 に達 す るに 必 要 な 液 頭 か ら刻 度8迄 の距 離 は 十 分 な る こ と を

確 め(第5報223頁 以 下)試 料 量 を少 く して 、測 定 結 果 の精 度 を高 め 試 料 と恒 濫 槽 媒 體

との熱 雫 衡 を容 易 に得 させ 、 更 に着 色 せ る試 料 を透 覗 す る に便 な ら しめ るた め に

D=1・8Comを 提 案 した0

4.各 種 落 球 粘 度 計 に 於 け る壁 の 補 正

壁 の補 正 項 に就 い て は既 に述 べ た(XV--2)o測 定 した落 下 時 聞(秒)を そ の ま 玉

Stokesの 式 に 入 れ て 得 た 粘 度 數 値 を η'で 表 は し眞 値 を η と し んη'=一η と定義 さ

れ るや うな ん を壁 の補 正項 とす る。

然 る と きは前 述 諸 家 の補 正 項 は次 の如 くに書 く こ とが で き るo

(告の恥 項礁 覗する)

菅:

d/D=一・O・05・vO・22に就V・て 此 等 の4の 補 正 項 に よつ て1/fu,を 計 算 す る と第12表 の

如 くで あ る。

第12表

Page 42: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

42 粘 度 測 定 法 提 要

前 述 のD=・1・80・v3・50cmの5種 の落 下 管 と第 ユ0表 の 鋼 球6~9の4個 を組 み 合

せ て η1200C)=28・62poiseな る鑛 油("BrightStockOil")に 就 い て 測 定 を行 ひ、 落

下時蹴 秒)を 求め η'÷ ♂σ許 を計算 し η'/ηを勅 第・3麹 線 を得た。

上 にfw"O,=η と定 義 した か ら1尻,=η'/η で あつ て 、第12表 の1/fwを 横 軸 にd/D

を縦 軸 に 探 っ て4本 の 曲 線 を描 き第12表 の η,/ηとd/Dを 同 じ圖 面 に η'/η横 軸 に

探 つ て黒 を記 す と、 ど の補 正 曲線 の上 に 乗 るか に よっ て、4個 の補 正 式 の 中 どれ が

最 も我 々 の 目的 に適 當 して居 るか が 分 る。

第16圖 はかくして得 られた ものであつて、Barrの 補正が最 も適 して居 ることを

見 る。

第13表

第 ユ6圖 第 ユ7圖

Page 43: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 定 法 提 要 43

荷BESA,WASAG,Hercules等 の 方 法 に よ り"BrightStockOi1"を 用 ひ て

η,/η,1/ん,d/Dの3者 の關 係 を第 ユ6圖 と同 様 に して、 第17圖 を得 た 。

5.落 球 粘 度 計 に 於 け る粘 度 の計 算

で あ り、ん ・η'=η で あ るか ら

2な る關 係 に よつ て前 述(XV-3)の4種 の寸 法 の もの に就 い て ん と5α29/s-Kと

を計 算 す る と攻 表 の如 くで あ る 。

試料:箆 麻 子 油

BFSA型 圓 管粘 度 計(前 出)に よ る η(20。C)=9.725pofse

比 重P・-O・9611

落 下 時 闇t=9・7秒

〔計 算〕

第14表

著者の實験例(第5報 、228頁;第16表)

Page 44: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

44 粘 度 測 定 法 提 要

BESA型 圓 管 粘 度 計 に よ る測 定 値9・725と よ く一一致 して 居 る。

XVI。Lawaczeck粘 度 計

~二の粘 度 計 は落 體 粘 度 計 の1種 で落 體 に 特殊 の考 案 を施 した もので あ る。

Dr・Lawaczeck〔Z・V・D・r・63,677(1919)〕 の提 案 で あ る。

1.装 置

第18圖 は上島製作所の製作に拘 るこの種類の粘度計である。

この粘度計の主要部はABFGで あつて、その他は落下管を轉倒せ しめることと

試料 を所要の温度に保つための装置で、恒温槽 を用ひ、轉倒装置 として第19圖 の如

きものを用ふると便利で有効である。

この装置は氣泡粘度計用として廣瀬誠一氏の考案 された ものをこの目的のたあに

第18圖 第19圖

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粘 度 測 定 法 提 要 45

著者が改造 した ものである。

落體はA・B・Cの3種 でありその形歌は第20圖 の如 くσ、その寸法は第15表 に

示すが如 くである。

落下管はエナ硝子製であつて李均内狸1・206cm,全 長30.Ocm

第21圖 に示すが如 き位置に1,2,3な る刻度を有する。

2.操 作

落下管を鉛直にして落體先端が刻度1と3(叉 は2と3)の 間を

通過するに要す る時聞6(秒)を 測定する。

3p粘 度 計 算 式

同一一落體・同一一落下管,同 一刻度 によるとき,装 置に關する恒

數をKと し、落體の密度を ¢ 試料の密度を ρ,tを 落 下時聞

(秒)と すれば

(20)

の關 係 が あ るo

oは 著 者 の測 定 に よれ ば(第20報262頁 第3表)A7.874,B7.881,C7。872で

あ つ て ・ 塗 料及 塗 料 關 係 の試 料 に就 い て は ρは1に 近 い數 で あ るか ら、 η に野 して

±1%の 精 度 を要求 して 居 る場 合 に は(σ 一一iO)は σ が ρ に 甥 して 比 較 的大 きい こ

とに よ り、ρ の 精 度 は大 略 ±2%で 十 分 で あ り、 その 目的 に は比 重計(Hydrometer)

第20圖 第15表 落 體 の ヂ メ ン シ ヨ ン(單 位:mm)

第21圖

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46 粘 度 測 定 法 提 要

を用ひることが出來る、〔詳 しくは第20報 、262頁 以下を見 よ〕

4.粘 度計恒數Kの 決定

前出(20)式

に於ける粘度計恒數Kを 求めるには,粘 度 ηが既知である(帥 ち他の粘度計によ

つて粘度を測定するか叉はXIVに 掲げた粘度標準液を用ひ)液 體の ρを測 りそれ

に就V・てtの 測定を行ひK嵩 η/(σ一ρ)tによってKを 求める。

著 者 の 實 験 例

(a)落 體Aに 就V・て(第21報269頁)

鑛油及びグ リセリン水溶液

第16表 に鑛油及びグ リセリン水溶液による落下時間測定結果と(σ一ρ)物=1/Kの

計算値を示す。(120S,MOは 鑛油であり、Gは グ リセリン水溶液である)

第16表(σ 一ρ)物 に關 す る數 値(35℃)

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粘 度 測 定 法 提 要, 47

(a--R]t/oのA・ 均 値 は 一〇/>O・0167に於 い て9526で あ り、Aに 封 す る粘 度 計 恒 數

をKAで 表 はせ ばKA=ユ/9526=0・000105で あbσ=8・864と して 粘 度 計 算 式 は

次 の如 くで あ る。

落 體Bに 就 いて

同 様 に第17表 に示 す 測 定 及 び計 算 結 果 か ら(σ 一P)t/η の季 均 値 は460・0で あ り・

第17表 落體Bの 落下時間測定結果(35℃)

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48 粘 度 測 定 法 提 要

落 體Cに 就V・て

第18表 の デ ー タか ら

で あ る。

XVII・ 氣 泡 粘 度 計

1.構 造

氣 泡 粘 度 計(Air-bubbleviscometer,Luftblasenviskosimeter)と は 直 圓 管 内 に試 料

を 入 れ 一 定 大 い さ の 氣 泡 を 試 料 中 を 上 昇 さ せ て そ の 上 昇 速 度 に よつ て 試 料 の 粘 度 を

知 る 粘 度 計 で あ るo

Cochiusの 粘 度 計{Lunge:Zeits・f,ang・Chem.19,'2050.(1905);Mtthlendahl:

Chem・Zeit・51・(1927);Seeligmann-Zieke:Handbuchder工ack-undFirnisfabri・-

kation・S・676}で は 可 槍 體 を 直 圓 硝 子 管 内 に 充 し 、 一 定 大V・ さ の 氣 泡 の 上 昇 速 度 を

測 る 。 。

Gardner・Holdt{Cir・ofSctent.9,ec.ofAln.PaintManuf.Ass.No.128(1921),

第18表 落體Cの 落下時聞測定結果

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粘 度 測 定 法 提 要 49

No・178(ユ923);Gardner-Scheifele:UntersuchungsmethodenderLack-uIldFar-

benindustrieS・27}は 異 つ た 既 知 粘 度 の標 準 粘 度 液 を夫 々同 大 の 圓 管 に 入 れ、 一 定

大 い さの室 氣 泡 を入 れ て 之 を封 じて一 系 列 の標 準 粘 度 管 を作 の、 可 槍 試 料 を 同大 の

圓 管 に 入れ ・同 一 大 い さの室 氣 泡 を封 入 した もの と並 べ て 氣 泡 上 昇 速 度 を比 較 し、標

準 粘 度 管 の 粘 度 か ら試料 の 粘 度 を定 め る こ と を提 案 し、 米 國 で は標 準 規 格(Federal

SpecificationsBoardのSpecification)に も粘 度 測 定 装 置 と して 學 げ て あ る。

標 準 粘 度 液 と して は 固 形 パ ラ フ ィ ン を含 まな い鑛 油 を用 ひ、 低粘 度標 準 液 と して

No・2SpindleOi1(UnionOilCo・)高 粘 度 標 準液 と してNo .6.ヲ.FFFCylinder

StockOi1を 用 ひ・ 此 等 の混 合 に よつ て この闇 の種 々 の粘 度 標 準 液 を作 り 第19表 に

示 す や う な20種 の標 準 粘 度 管 を作 つ た。相 隣 れ る粘 度 管 の 氣 泡 上 昇 の速 度 の差 ば ワ.

氣 泡 で あ る。

2.原 理

著者 は(第15報95頁 以下)粘 度の異つたグ リセ リン水溶液及び鑛油に就いて長さ

100cm・ 季均内径0・971cmの 圓管内に試料を入れ、下から ユOcm及 び 上か ら10cm

の闇の80cmの 聞を異た體積の室氣泡が上昇するに要する時間の測定からその上昇

速度を計算 した。

(a)氣 泡の大いさ、粘度、上昇速度の關係

灘鑛油試料に就 いては第2(1表、グリセリン試料に就いては第21表 の如き結果を得た。

之によれば・氣泡體積0・5A.3・Occでは氣泡の大いさは上昇速度に殆んど影響がなV、o

第 ユ9表Gardner-Holdt粘 度 計 の 粘 度 管 の名 稱 と公稱 粘度(poise)

Page 50: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

50 粘 度 測 定 法 提 要

BarrCphi1.Mag.ユ,395(1926)〕 は氣泡の長さが管径 より大 きな揚合には氣泡體

積の増加による上昇壓の檜加の影響は粘性牽引viscousdrugの 増大による上昇速

度の減少 と相殺 され、上昇速度は相當の廣範圍に亘つて氣泡の大いさに無關係であ層

る と報 告 して居 る 。

氣 泡 體積0.5・ 》3.OCGに 於 い て 上 昇 速 度 が氣 泡 の 大 さ と無 關 係 で あ るか ら・2・5¢cの

デrタ に よつ て 横 軸 に粘 度,η 及 び 蓮 動 學 的 粘 度y'・ を探 り縦 軸 に80cmを 上 昇 す る

に要 す る時 間t(秒)を 探 つ て第22圃 を得 る。t-,x't"・1!

第20表 鑛油柱 中の氣泡の上昇時闇(25。C)

第21表 グ リセリン水溶液柱 中の氣泡の上昇時間(20。C)

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宋占 度 潰り 定 法 提 要 51

上昇時闇は ηが約1poise以 上では ηに比例 しジに比例 し

ない。約1poiso以 下では同一 ηのグ リセリンと鑛油ではグ

リセ リンの方が大きな上昇時聞帥ち小 さな上昇速度を與へ る

(b)上 昇時聞と圓管内径 との關係 、

更に著者は(第15報104頁)鑛 油を用ひて内径1・41cm,1・72cm

の直圓管に就 き氣泡の體積 と上昇速度 との關係を調べた。そ

の結果は第22表 に示すが如 くである。

(C)氣 泡の形歌

氣泡の形歌は、粘度、管径、氣泡の大

いさな る3因 子の組み合せによつて第23

圖の如 き種々様 ・々な形状を採 るo

この圖を見るには第23表 に よつて、次

に例示するが如 くする。

試料120Sに 就V・て氣泡體積0・5ccに

於いて1Aと あるは第23圖 の第1欄A

行の形帥ち左端最上の形 を探るζとを意

昧するo

第22圖

曲 線1η 一t(グ リセ リ ソ,鑛油 〉

曲 線II"-t(鑛 油)

曲線IIIV-t(グ リセ リン)

第22表

直 圓管 の 内径D(cm)と 上 昇 時 間t(秒)と 粘 度 η(poise)と の關 係

第23圖

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52 粘 度 測 定 注 捏 鄭

XVII】LGardner・Holdt氣 泡 粘 度 計

1.梼i造

粘度管は第24圃 に示すが如き寸法の硝子管で、刻度C迄 粘度既知の液體を入れ之

に コルク栓 を施す。又同型の硝子管に同様 にして可槍試料を封入し、~二の二つ を同

一温度にて並べて轉倒 しBCの 聞に封入せ られた氣泡の上昇速度を封比 して、粘度

翫知の液體に比較 して、試料の粘度の大小を定める。 謬 ・

氣泡の形歌は前述第23表 の2Aの 形歌であ らうと推定 され る(第17報164頁)。 そ¢》

第23表

Page 53: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 定 法 提 要 K.2

長 さは約1・6Cmで あ ら う と推 定 され る(第17報169頁)。

圓管 直 径(内 径)

Gardnerの 指 定 す る と と ろ は10・75±0・05mmで 、 著 者 は 廣 瀬 誠 一 氏 が 内 径 を 測

定 さ れ た 次 の3群 の 粘 度 管 を 用 ひ 、 η=0・636・0・88・3,1・28,⊃ ・94,2.95poiseの 鑛 油 を

夫 々の管内に封 じて同一温度で速度封比 を行つた。

第1種 第2種 第3種

10.7e~10.7910.40~10.4910.1-一_

第2種 及 第3種 は第 ユ種 に 樹 して 明か に 同 一鑛 ≡油 に厩 い て 速 度

の相 違 を示 し(第17報171頁)叉 第1種4個 の 管 相 互 の間 で は速 度

の 差 異 を認 め得 ない(第17報171頁)o

帥 ちGardner-Holdtの 許 容範 圍10・75±0・05mmで+分 で あ る。

2.轉 倒装置

Gardner-Holdt粘 度計に よる測定 に於いては比較すべき2箇 以

上 の粘度管の中心線が同一季面内に在 り且つ手な どの熱が傳はら

す 、 倒 に す るi操作(tilting,Kippen)が 速 か

に行 は れ るた め に轉 倒 装 置(tiltingdevice,

Kippgeste11)を 用 ふ る必 要 が あ る。

第25圖 は廣 瀬 誠 一 氏 の 考 案 に な る もの

で あ る。著 者 も此 の…装置 を同 氏 か ら拝 借 し

て 實 験 に用 ひた 。

第25圖 に於 い て 、AとBと は同 軸 に して

手 に てAを 廻 轉 す れ ばBも 廻 轉 し、Bの

廻 轉 は ベ ル トに よ りてCに 傳 へ られ る。C

の廻 轉 に よ り枠 も亦 廻 轉 す る。叉 枠Dに は

Fな る突 出物 が あつ てE及 びE・ の 闇 を丁

度180。 丈 反 覆 廻轉 し得 る 様 に 作 られ 從 つ

て枠Dの 中 に 固 定 され る 粘 度 管 は5箇 が

第24圖

第25圖

Page 54: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

54 粘 度 測 定 法 提 要

同時 に轉 倒 し得 る様 に考 案 さ れ て 居 る。

3.最 小 蜀 認 粘 度 差

任 意 の標 準 管 の粘 度 η.と そ の管 との 速 度 封 比 に よつ て 認 め得 る最 小 の粘 度 差

△ η との比 △ η/ηxを この粘 度 管 の 最 小 畳 認 差diHbrentialthresholdと 定義 す る。

著 者 の 實 験 に よれ ば(第17報171頁)、 △ η は ユ・oopoise附 近 で △ η÷o・05

poise,5・5poisθ 附近 で △ η÷0・11poiseで あ る0

4。 粘 度 標 準 液 の選 定 ・

Gardner-Holdtの 指 定 した 粘 度 標 準 液 は前 述(XVII-1)の 如 く鑛 油 で あつ た 。

グ リセ リン は密 度>1で あ り、 鑛 油 は く1で あ る。 從 つ て同 じ η に樹 して り は

異 な る。

而 して 、前 述(XVII-2)の 如 く氣 泡 上 昇 速 度 は約1・00以 上 で は グ リセ リ ン及

び鑛 油 蹴 い て η 砒 例 す るか ら・1・009・ise以 上 で は鑛 油 とハ セyン 胴 様 に

使 用 し得 る。

速 度 封 比 を行 お、に 當 り、 粘 度 標 準 液 の粘 度 が 決 定 され た 温 度 と正 確 に 同 一 の 温 度

で 速 度 野 比 が 行 はれ る な らば 、標 準 液 は グ リセ リ ンで も・鑛 油 で も・グ リセ リ ンが

無 色 で あ り鑛 油 が 飴 色 で あ る こ と を除v・て は何 等 の差 異 な く使 用 し得 る。

標 準液 の温 度 に樹 す る粘 度 勾 配 と可 槍 試 料 の そ れ とが 異 な る場 合 に は次 に述 べ る

如 く、測 定 結 果 の許 容差 の 大 い さ に よつ て 、測 定 温 度 にi封す る許 容 差 が 異 つ て來 る・

5.測 定 温 度 と測 定結 果 の慧 義 の關 係

(a)測 定 結 果 の 解繹

測 定 す べ き試 料 の粘 度 を η と し、 そ の 氣 泡上 昇 速 度 が 粘 度 η・・ηッ な る2個 の標

準 粘 度 管 の 聞 に在 りとす れ ば 、(η.<ηワットとす る)試 料 の 粘 度 η はドル<η<η ッで あ

る こ と を意 味 す るo

前 述(XVIII--3)の 如 く △ η は ユ・00poise附 近 で0・05poise・5・5poise附 近 で

O.11poisθ で あ るか ら速 度 封 比 の 結 果 に ~二の値 を考 慮 に 入 れ れ ば ・ 測 定 結 果 は突 の

如 く意 味 を攣 更 しな け れ ば な ら なv・o

Page 55: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 定 法 提 要 55

1・00poise附 近 で は

5.5poise附 近 で は

(b)温 度 と測定結果 との關係

第26圖 に於 い て標 準 液X,試 料X,,X"が20。Cに

於 い て 同 一 粘度 で あ る と し、 今 縦 軸 に ηε/η。。 を探 り、 横

軸 に温 度 丁 を探 り、 標 準 液 の 曲線 をXと し之 よb勾 配

の 大 な る試 料 の 曲線 をX,小 な る試 料 の 曲線 をX"と す

る020。Cよ り低 き温 度20。 一△ 丁 高 き溜度20。 十△Tに.

於 け る試 料Xノ,X"及 び標 準 液Xの 粘 度 の攣 化 は 此等

の 曲線 と20。 ±△Tの 温 度 線 との 交 繍 に よ つ て與 へ られ

るo

±△Tの 塗 化 に よつ て標 準 液 と試 料 の粘 度 の 關 係 は 反i封に な つ て來 るo帥 ち

20。一△Tに 於L(てX,>X>X"で あ り、20。十△Tで はX'<X<X"と な る○

今Gardner-Holdt粘 度 計 を 用 ひ20。C(Gardner・Holdtの 指 定 溜 度 は25。Cで あ

るが 、20。Cを 探 つ て論 す る)に 於 い て 相 隣 れ る任 意 の2管 をX,Yと し、20。C

に 於 け る そ の粘 度 を夫 々xpoise,〃poiseと す る。Gardner-Holdt粘 度 計 の相 隣 れ

る2勧 鞭 の差を ・・%と して 禦 一Zp・iseと 置けば

で 表 は され る0

20。Cに 於 い て1・05Z,O・95Zpoiseな る標 準 液 は 、20。C± △T(△Tは 小 さい も

の とす る)に 於 い て温 度 に よ る粘 度 勾 配 は等 しV・もの とす る と20。C+△Tで

コ・05Z一 αZ(但 し α<1)、0・95Z-6Z(但 し ろ<1)、20。 一△Tで1・0・5Z+α'Z(但 し

μ'>1)、0・95Z+ろ'Z(但 し6・「>1)と な る。Gardnθr-Holdt粘 度 計 に よる20。 一 △ 丁

舵 於 け る測 定 に於 い て試 料 の粘 度 がX,Y2管 の 間 に 在 りとす れ ば 此等 の 試 料 は

第26圖

Page 56: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

56 粘 度 測 定 法 捏 要

20。Cに 於いては試料の溜度による粘性勾配によつて表はされる曲線に挙行にA,B

2鰭 より『F行線を引いて20。Cの 線 との交黙E,Fに よつて表はされる粘度の間に

在つた事になる。(△Tを 小 さい ものとす る)

第27圖 は試 料 の粘 性 勾 配 が標 準 液 の それ よ り小 な

る場 合 で あ る。 試 料 と標 準液 の温 度 に よ る勾 配 が 等

しい場 合 に はE,F(叉 はE',F,)に 相 當 す る2繍 は

1.O「)Z,0・95Zの 難 と一致 す るの で、 △Tの 士 及 び

大 い さの 如 何 に 拘 らす20。C± △TでX,Y2管 の上

昇 速 度 の間 に あ る試 料 の 粘 度 は200Cで は ユ・05Z,

0・95Zの 聞 に 在 るの で あ るo

又 試 料 の粘 性 勾 配 が標 準 液 の それ よ り大 きな 場 合 に は △T<0に 於 い て はE,F

2難 は夫 々 ユ・05Z,0・95Zよ り下 に、 △T>0に 於 い て は上 に移 る。

Tが 小 さい 程 、EF,E/F'と1・05Z,o・95Z黙 と の す りの程 度 は 小 さ くbこ れ に

よっ てGardner-Holdt粘 度 計 に於 け る指 定溜 度 か らの許 容範 圍 △Tの 大 い さを 定

め る こ とに な るo

上 記 の考 察 か ら標 準 液 と試 料 とは そ の溜 度 に よ る粘 性 勾配 を等 し くす る こ とが 望

ま しい 。 然 らざ る場 合 に は測定 温 度 は極 め て 小 さな 許 容 誤 差 しか許 され な い(詳 細

は 第17報 、175~179頁 を見 よ)。

XIX・ 不邊明體用粘度計

不 透 明 粘 性 液 體 の粘 度 測 定 に 當 つ て は、VXIIに 述 べ た や うな 圓管 粘 度 計 で

は 試 料 のdrainageの た め に 液 頭 メ ニ スカ ス の通 過 を豊 認 す る こ とが 困難 で あ り;ζ

XVに 述 べ た 落 球粘 度 計 で も球 の蓮 動 を透 覗 す る こ とが で き ない 。 叉 氣 泡 粘 度 計 も

氣 泡 の蓮 動 を透 覗 す る こ とが で きなv・。

不 透 明 ゾル 用 の粘 度 計 と して 、BritishEngineeringStandardAssociation〔British

StandardMethodfortheDeterminationofViscosityillAbsoluteUnits(1929)p .24)

で はOstwald型 粘 度 計 を1:の 目的 の た め に改 造 した もの を提 案 し、叉 李 衡 錘(co・

第27圖

Page 57: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 定 法 提 要 57

unterweight)を 附 した 落 球 粘 度 計 を記 載 して居 る(op.cit.P・25)。Symmes-Lantz

〔lnd・Eng・Chem・An・Ed・1・35(1929)〕 兩 氏 は落 球 の通 過 を ラヂ オ 用 の眞 室 管 を

用 ひ て感 知 す る 方 法 を提 案 しLP・Moore-A・C・Cuthburtson⊂lnd.Eng.Chem.

An・Ed・2・419(1930)〕 は之 を改 良 した 。B・A・Jones〔lnd。En9.Chem.An .Ed.

6・80(1・934)〕 はSymmes-Lantz・Moore-Cuthburtsoll等 の方 法 はbeat-frequencyの 攣

化 が落 球 の速 度 の 函 數 で あ る こ と を指 摘 して試 料 粘 性 液 體 が 電 氣 の絶 縁 體 で あ る場

合 に は・ 球 の始 動 及 び絡 止 に 於 い て電 氣 的接 鯛 を起 さ しめ、 電 氣 時 計 を動 か し叉 止

め て時 聞 を測 定 す る落 球 粘 度 計 を提 案 した 。 この方 法 で は鋼 球 はV字 型 の斜 に した

grooveの 中 を同 轉 し乍 ら落 下 す る もの で 、StokθSの 法 則 の 如 き簡 單 な關 係 な く、装

置 の大 掛 りな 割 合 に 原 著 者 等 の記 載 す る と ~二う に よれ ば、 精 度 は十 分 で な い 。此 等

の 方 法 は球 の蓮 動 を試 料 を透 して 肉 眼 で観 察 す る操 作 を含 ま な い か ら、 不 透 明體 用

と して探 用 し得 るが 、 鋼 球 を用 ひ る と、 粘 度 の低vヅ ル に は適 用 出 來 なv・。尤 も

Moore-Cuthburtson兩 氏 は アル ミ ニウ ム球 を用 ひた が アル ミニ ウ ム球 は 一 般 に 入手

し難 いo

Lindstonθ 〔J・S・C・T・36,270,317(1917)〕 も不 透 明體 用 の 粘 度 計 を提 案 した が

之 は操 作 不 便 で 實 用 的 で なv・。

M・M・Loserman〔lnd・Eng・Chem.An・Ed.2,ユ,25(1930)〕 はGardner-Holdt

型 の氣 泡 粘 度 計 を不 透 明 ゾル用 と して 用 ふ る方 法 を提 案 した 。 こ の方 法 は上 昇 した

氣 泡 が 試 料 液 頭 を破 つ て現 はれ る現 象 を、栓 を外 して 、管 の上 方 よ り見 る方 法 で 、

XVIIIに 述 べ た 實 験 操 作 帥 ち恒 温 槽 内 に 於 い て粘 度 管 を轉 倒 せ しめ る方 法 を探 る こ

とが で き なv・。工 場 作 業 管 理 用 と して は兎 に角 數 値 を求 む る實 験 に は 不 適 當 で あ る

Ubbelohde型 加 壓 粘 度 計(IX)は 試 料 をCBAの 闇 に 充 し、右 脚 に加 壓 を行 ひ、

メ ニ スカ ス がCか らDに 上 る時 闇 を測 定 して粘 度 を知 る こ とが 出 來 る。

e.XX・BESA型 不透明體用圓管粘度計

1.構 造

Hatschekの 著 書(ViscosityofLiquids・P・48)に よ れ ばBESAで ユ923年 に 焚

Page 58: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

58 粘 度 測 定、法 提 要

表 した ものは第28圖 の如 き莚,のであつた。その使用法は左脚上部に在るコツクを閉

ぢて試料を兩刻度ABの 闇に充 し、コツクを開いて液頭がCか らDに 上 る時聞

を測 定 す る こ とに よつ て 試 料 の粘 度 を知 る装 置 で あ るo

この粘 度 計 はOstwald型 に薦 し、 バ ル ブ の 形 歌 はBi-

nghamの 推 賞 す る と ころ の2個 の45。 圓錐 體 を底 面 で 重

ね た 形 を探 つ て居 る。 そ の後BESAで は第29圖 の如 き

もの を制 定 した(BritishStandardMethodfortheVi-

scometryinAbsolute(Jnit.p.24)o

そ の 規 定 す るヂ メ ン シ ヨン と適 用 せ られ る 粘 度 範 圍 は

第24表 の如 くで 、著 者 は之 に則 っ てBESANo・5,BESA

No.6な る2箇 の粘 度 計 を作 つ た 。 そ の ヂ メ ンシ ヨ ンは 第25表 の如 く であ つ た 。

第28圖 第29圖

第24表 〔BESA規 定〕不透明體用粘度計No・3及4

第25表 著 者 作 製 粘 度 計(長 さの單位:℃m;容 量單位:cc・)

Page 59: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 定 法 提 要 59

この種 の粘度計の使用に就いて考慮すべきことは一般のOstWald型 粘度計に就

いて考慮すべきことの他に次の諸黙である。

(i)毛 細管が短bこ と○

上球 より流動せる試料が下球の下に在る毛細管中を上昇するか ら、毛細管を長 く

することがで きなv・。從つて流動の始めと終 りに於けるヘツ ドは著 しく異なる。

(ii)(i)の 結果 として毛細管の上昇が大 きく影響 し、粘度計の中心線の鉛直線か ら

の偏筒の有効李均壓力に封する影響が大 きく、中心線 の調整は嚴密でなければなら

ない。

(iii)未 だ試料によつて淑 されて居ない下球壁に澹ふて試料が 上昇 するのである

か ら、その滋潤力(wettingforce)帥 ち試料/硝 子なる薪 しV・界面 を作 るに要するエ

ネルギーの量は試料の表面張力によつて異なる。 この影響が著 しい。

(iv)drainageの 李均有効ヘツ ドに謝する影響 もこの種の粘度計に於いて著 しい

~二とはBarr(op・cit・P・160)も 言及 して居る。

此等の諸黙か ら考へて上球下に毛細管 を有する・・一・一…般Ostwald型 粘度計に比すれ

ば讐へ同様な考慮を加へて も、精密度は低いと考へ られる。

2.粘 度計恒數の決定

薯者の作製 した2箇 の粘度計は第24表 に示すが如 くBESAの 規定す るところに

由りNo・5は 粘度計No.3に 相當 し30《ノ250cp.,No.6は 粘度計No.4舵 相當

し100~1500cpの 適用範圍の ものである。著者の實験(附 録IVに 使用した植物性

油及び鑛油混合物の中第26表 に示す ものを試料 として各粘度計に麓いて35。Cに 於

ける流出秒數 を測定 し、各試料の密度 ρ を測定し、各試料に就V)て η/ρ6を計算 し

た。第27表 は之 を示す。η/i・tの季均値 を以つて粘度計恒數 とした。第27表 の結果 を

見ると η/iotの李均値 よりの偏埼は粘度計N'o.6の 方が著 い(。 η/ρ6の計算に用ひ

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RA 粘 度 測 定 法 提 要

第26表 粘度計桧度用液體(35。C)

第27表BESANo・5粘 度計による測定値

BESANo.6粘 唐 計 に よ る測 宗値

Page 61: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 定 法 提 要 6!

た ηの値は略 ±ユ%の 誤差を有 し、ρ・御 ま ±O・5%位 の精度で測つてあるか ら、

此等の偏椅は大き遍 ぎる。

XXI・ 不透 明粘 度測 定 用 と して のUbbelohde型 加壓 粘度 計 の蓮用

Ubbelohde型 加壓粘度計の兩脚のバルブの大いさ及びその高 さが全 く同・・・…n・一・であれ

ば兩脚のいつれか ら壓力をかけても粘度計恒數は同一であるべきである。Ec.

Bingham-J・A・Geddes兩 氏 〔Physics・4.6・203(1933)〕は最近にこのことを指摘 し

て、絶謝粘度測定用加壓粘度計に就いて補正の方法を論究 した。薯者は逆方向に

UbbeIohde型 加壓粘度計No・7を 用ひて、40%藤 糖水溶液及び鑛 油 ユ20Sの 流出秒

數 を測 り・普通の方法で測定 した此等の試料の粘度か ら ημを求 め、その李均値を

以つて逆用せ る場合の粘度計恒數 とした。第28表 は之に開するデータである。

XXIIe季 衡 錘 落 球 粘 度 計

1・BESA(op・cit.P.25)の 提 案

1/2,,直 径 の 鋼 球 に 小 さな 鉤 を 附 け それ に細 い糸 叉 は針 金 を 附 けて そ の 一端 に李

衡 錘 を附 し直 径3,,の 輕 い アル ミ ニウ ム製 滑 車 に掛 け る。

この滑 車 は薄 い 鋼 製discwheeelbearingの 上 に載 せ 、0.019よ り大 な らざ る重

量 で 同 轉 す べ き もの とす る。

球 の落 下 速 度 は液 外 に在 る『F衡錘 の上 昇 速 度 に よつ て 測 るo

粘 度 計 算 式 は

.(21)

で あ つ て ・η は粘 度(poise)・R・R・ は夫 々卒 衡錘 重 量(9)P ,P、 で あ る と きの 落 下

速 度(cm/Sec)で あ り、Kは 装 置 に關 す る恒數 で あ る 。

第28表(35。C)

Page 62: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

62 粘 度 測 定 法 提 要

この粘度計恒數Kは 粘度既知の試料に就V・ての測定結果か ら之を求める。

同一髪置による測定に於V・て、Kの 決定し粘度測定共に落下管、李衡錘上昇測定

距離i及び始動 に於ける球 の位置が同一であることが必要である。

2.原 理及び計算式

この粘度計はAttwoodrnachineの 原理によつて球 を落下せしめるもので、液柱

中に於ける球の蓮動は同時にStokesの 法則の支配を受けるo

Attwoodmachine(第30圖 〉に於いて(i)糸 叉は針金の重量は無覗 し得るもの、

(ii)ブ ー レー のベ ア リン グ は摩 擦 な き もの、(iii)糸 又 は針 金 を曲 げ るに仕 事 を

要 せ す 、(iv)ブ ー レー は重 量 な き もの とす る。 糸 叉 は針 金 の 左

端 の重 量(力)をW、gdyneと し、 右 端 の重 量 をW,gdyneと し

W.>W、 とす れ ば 、 との力 學 系 はW,の 下 降 とW、 の上 昇 な る

蓮 動 を起 す 。 この 系 の 蓮 動 を起 す 力 は 、(W,-W、)9自Pち(W.-

W、)gdynesで 、 蓮 動 に關 與 す る質 量 は(W,+W。)gで あ るか ら

Fを 力 、mを 質 量 、α を 加速 度 とす れ ば

で あ るか らNewtonの 法 則F・=mα に よつ て

故に (22)

であつて、この系の加速度 αは自由落下に於 けるそれ より小 さく、兩端の重量 の差

が小さい程、兩端の重量の和が大 きい程加速度 αは小さN(o

BESA李 衡錘落球粘度計の落球の重さをW,と し、不衡錘 の重さをP1・P,・ …

等 とす る。球が粘性液體中を恒速度で落下す るものとすれば、この蓮動に甥する抵

抗WはStokesの 法則によってW=6π 卿 で與へ られ る(αは球の孚径3は 速度4

で ある)。この球 の蓮動に於いて上方に働 く力 は1:のWの 他に、浮力 言πα3P9(ρ

4。は粘性液體 の密度)と 亭衡錘による力Pgで あり・下に働 く力は球の重量 冨παuσ9

(σは球の密度)で あつて、恒速度蓮動であるか らbll速度=Oで 、上に働 くカ と下 に

働 く力 とは釣合つて居 り次の關係が成立つ。

第30圖

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粘 度 測 定 法 提 要 63

〔23)

同 ・・一・一・・試 料 に 就v・ て 挙 衡 錘P、 を 用 ひ た と き の 速 度 をvfと す れ ば

(24)

が 成 立 ち、(23)と(24)と か ら

π,α,9等 は恒 數 で あ るか ら

であってBESAで 示す計算式が得 られるo

~二の式の誘導に際 してXV-1に 述べた假定を前提 して居 ることは云ふ迄 もなVb

壁の影響に封する補正項1/ん は球の直径 と圓筒の直径d/Dの 函數であつて之は装

置に關する恒數の中に含 まれる。

3.著 着の作製實例

著者 の作製せ るものは、鋼球、雫衡錘用皿、李衡錘、ロープ、プーレー及びその

回轉軸、落下管、落下速度測定用尺度か ら成 る。

(i)鰯:BESA槻 定する肋 劃 直欝 一ルベァリング用鰯 に鋤 附し

た ものを用ひた。(第31圖A)~ 二の鋼球は吹の如 き性朕を有する。

球 部:重 量(9)8・3532直 径(cm)1.264

鈎:長 さ(cm)1・5直 径(cm)0・12

(ii)李 衡錘用皿

第31圖Bに 示すが如 く上下:段 にな り、化學天秤用の1.0009以 上の分銅 を下

部 に・同じく1・OOOgよ り小 さな分銅 を上部に載せる。皿 の重量は1.94829で そ

の大 さは圖に記入 した如きものである。李衡錘の作用重量は分銅 の重量にこの1皿の

重量を加へた ものであるo

(iii)滑 車及びその回轉軸

前述のAttwoodMaGhineの 原理に於いて 假定 した如 く、滑車の重量はなるべ く

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64 粘 度 測 定 法 提 要

小 さいことを要 し、材質 としてアル ミニウムを用ひ、その厚 さは出來 る限 り小 さく

し、更に重量を減するために第31圖Cの 如 く工作 し、滑車の直径は測定操作上か ら

考へての最小限を探つた。滑車の同轉に際 しての軸承 との摩擦 も出來るだけ小 さv・

~二とが必要であるが、RoPθmachineのPulleySystemに 於いて、滑車の直径 と回

轉軸の直径 との比が大なる程、帥ち滑車が大 きく・軸が細い程摩擦は小さV・。この、

ことを考慮して同轉軸は出來るだけ細 くしたQ

BESAで はDiscwheelbearingを 用 ふ ることを規定 して居 るが、著者 は之を購

入又は工作する便宜を有 しなかつた。叉ボールベア リングの使用は・この装置の如

く速度の小さな、同轉が一同轉に 遇及ばないや うな場合には・却つて不適當ではな

いかと思つたので使用 しなかつたo

著者は第31圖Cの 如 き滑車を作 り、滑車の厚さを小さくした結果・滑車を同一一ZF

面内に同轉せ しめるためにコルクを附 して同轉軸 を長 くした・

此等の装置に就いての大さは圖に示すが如 くで・重量は次の如 くであつた。

ア ル ミ ニ ウ ム 滑 車6・17689

コ ノレ・ ク=L4230g

硝 子 管0.3365g

合 計7・93639

滑 車 の 厚 さ は11ケ 所 の 測 定 に 於 い て 、1・03・1・02・ ユ・02・1・13・1・03・1・03・1・03・1・03

ユ.13,ユ.16,ユ.03mmで あ るo

(iv)落 下 管

落下管は鰯 直径がかな妖 齢 ので長 さ29・・鵬 鞠 直径&96cmの 管を用

ゐたo'

(v)凍 磨測定用尺度

第31圖(單 位:mm)

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粘 度 測 定 法 提 要 65

O・1cmの 目盛 を有 す るmirrorscaleを 用 ひ た 。 このscaleと 滑 車 とは 第3ユ 圖D

の 如 き フ レー ム に よつ て取 付 け るo

(▽i)ロ ー プ

李 衡 錘 用皿 と鋼 球 とを蓮 結 す る ロー プ と して 、金 鵬 線 を用 ふ べ きや 繊 維 線 を用 ふ

べ きや に就 い て 、薯 者 の體 験 した と ころ を次 に述 べ る。 著 者 は木 綿 綜 、 絹 懸 、銅 線

等 に就V・ て實 地 試 用 した 結 果 、 繊 維 線 は 球 が 一 旦 液 中 に浸 入 して 再 び 之 を引 き上 げ

て 落 下 時 聞 の測 定 を行 ふ に際 し・ 多 量 の液 體 を吸 牧 す る のタ な らす ・之 がdrainage

に 相 當 の 時 聞 を要 す る歓 黙 が あ り、 金 鵬 線 と してSW41番(di=O・1118mm)及 びSW

38番(d=O・1524mm)の 銅 線 を用 ひた と ころ 、滑 車 の溝 との馴 合 ひ不 良 で 、滑 車 が外

れ て 不 便 で あつ た 。

織 維 線 と して の著 者 の 試 み た もの は 、木 綿 綜(てZ驕0.22mn))、 絹 小 町@=o.09mm)

絹 小 町(d』0.13mln)の3種 で あ るが 、絹 小 町(d謬0.09mm)の 他 は い つ れ も馴 合 ひ

不 良 で あ つ た ので 、 測 定 に際 してb液 中 に浸 入 す る部 分 はSW41番 線 を用 ひ 他の

部 分 は絹 小 町(d認0.09mm)を 用 ひ たo

(vii)起 動 に必 要 な重 量 の差 の測 定

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66 粘 度 測 定 法 提 要

大 氣 中で雫 衡 錘 用 皿 上 の分 銅 を増 減 して 始 めて この装 置 が蓮 動 を始 め るに 必 要 な

分 銅 の 重 量 を求 めた 。 そ の實 験 結 果 は 、第29表 の 如 くで あ つ て 、 分 銅 重 量6・289

で 蓮 動 が 起 り20・Ocmを 動 くに要 す る時 闇 は4・7秒 で あ るoロ ー プ及 び 滑 車 の 重

量 を無 覗 す れ ば、 ロー ブ の爾 端 に於 け る重 量 の差=(皿 の重 量 十分 銅 重 量)一 落 球 の

重 量=(1.95十6.28)9--8.359÷0.129で あ る。BESAの 規 定0.Olgは で あつ て 、

そ の 約 ユ0倍で あ る。 之 は ベ ア リ ング の 工 作 及 び滑 車 の 重 量 に よつ て 起 つ た 差 で あ ら

う。

(viii)粘 度 既知 の試 料 に よる落 下 時 聞 の測 定

著 者 は 粘 度 既 知 の 液 騰 と してBrightStockOil〔 η(30。C)=、12・04poise,ρ(30。C)t

・=0・90679percc〕 及 び鑛 漕 瓢A'〔 粘 度 をUbbelohde型 加墜 粘 度 計 に よ つ て 測

9η(3(>oC)=2.69poiseを 徹 ρ(3曝))自α93569perlccを 得 たユ'を試料 と したQ試

料 の温 度 を恒溜 槽 内 にて30・0℃ と し・ 試 料 を落 下 管 中 に 入 れ 、 液 頭 と李 衡錘 用皿 の

底 部 と を同 一水 李 面 上 に在 ら しめ、 鋼 球 の 先端 を液 頭 に接 せ しめ て 、蓮 動 を起 さ し

第29表

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粘 度 測 定 法 提 要 67

めて不衡錘の上昇距離20.Ocmに 達する時聞を測つた。その結果は夫々の試料に就

bて 第30表 及び第31表 の如 くである。

第30表

第31圖

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68 粘 度 測 定 法 提 要

括弧内の籔値は亭均値の計算に用ひない。

第30表 及び第31表 の最上欄 に示す分銅 より大 きな重量では蓮動が起 らない。

4.試 料粘度の計算

Stokesの 法則の適用に就いては既に述べた如 く

であるが、之 には壁の影響による補正項を含んで居ない。季衡錘なき一般の落球粘

度計に於 ける壁の影響による補正項に就いては、既に述べた如 く、d/D・=o・22迄 に

就 岡Barr備 正Eik'fw=・・一一2…4(告)+2・ ・9(告)3が よ く適 合 す る の で あ るが

今假に上式の速度項にこの補正を施 して整理すれば

,..(25)

とな るo

この式に

を入れ ると

.(26)

と な る 。

(26)式 を用 ひ て第30表 の藪 値 か ら試 料BrightStockOilの 粘 度 η'を 計 算 す れ

ば 第32表 の如 くで あ り、 第32表 に就 い て 試料 粘 度(η)と 計 算 粘 度(η')と の比 ηノ/ワ

を求 め る と η'/ワ=1・46で あつ て 、η=η'/1・46=0・684η'で あ る。

第32表

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粘 度 測 定 法 提 要 69

自口ち(26)式 の右 邊 に0.684を 乗 じて

.(27)

を得 る。

第31表 の デ ー タ に よつ て 、MAに 就 い て(27)式 に よっ て 、 粘 度 を計 算 す れ ば 、

第33表 の如 くで あ つ て 、 試 料粘 度2・69poiseで あ つ て 、大 略(27)式 の 正 しVOこ と

を 示 して居 る。

(27)式 に於 い て大 括 弧 内 の値 は2数 の 差 で あ つ て、Pの 値 が ユ.06(7.750-P)に 近

づ くに從 つ て 、 そ の差 ユ・06(7・750-P)-Pな る値 は 小 さ く な る。 從 っ て 、1.06×

(7・750一ρ)とPと に要 求 され る精 度 は 大 き くな り、夫 々 の歎 値 は計 算 値 に於 い て 土

1%前 後 の差 異 に於 い て 一致 した 値 を得 るた め に は 、5桁 或 は6桁 以 上 迄 正確 に知 ら

れ て 居 な けれ ば な らな くな る 。第32表 及 び 第33表 に於 い て上 欄 の ηの値 が そ れ よ り

輕 い季 衡 錘 の場 合 に比 して、 大 きな偏 筒 を見 せ る原 因 の 一 つ は この黙 に存 す る と思

は れ る。

(27)式 に就v・ て見 るに 、Brightstockoi1(η ・=12・04)で は、 第31表 に見 るや う に

P畿4・65の 場 合 に 、1・06(7・750-一一ρ)-P・ ・2・603で 各項 は小 藪 以 下3桁 迄 知 り得 れ ば 十

分 で あ るが 、 ■の場 合 落 下時 闇tは5・1で あつ て そ の 精 度 は 極 め て不 十 分 で あ るo

然 るにP=7・15の 場 合 に はt=122・7で あつ て 、tの 精度 は ±O.2%前 後 で あ る

に も拘 は らす 、 この位 の低 速 度 にな る と蓮 動 の始 黙 及 び 終 黙 の畳 認 が 困 難 た な る。

加 之1・06(7・750-一,q)一一P=O・103で あ つ て 、各 項 は 小歎 以 下4桁 迄 正 確 で な けれ ば計

算 に於 い て 土1%の 精 度 は得 られ な い 。

第33表

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70 粘 度 測 定 法 提 要

叉 試 料 の密 度iO.が 大 き くな るに從 つ て 、1・06(7・750一ρ)は 小 さ くな り・ この 各 項

に 要 求 せ られ る精 度 は そ れ だ け高 くな るo

薯 者 は この装 置 に よつ て(27)式 に よつ て密 度O・9{'00《 ・0・9400位、 粘 度2・50ノ》12・O

poisθ の範 園 の試 料 の粘 度 を測 定 計 算 す るに は、P-・6・95を 用 ふ れ ばt=-10.O~42・0

位 で 、 工 場 に於 け る實 際 的 測定 用 と して の藪 値 を得 る こ とが 出來 る こ と を知 つ た 。

次 にBESAの 棍 示 した 計 算 式 自口ち

に就 い て 考 へ るo

この式 に 於 い て 分 歎 式 の上 下 爾 項 共 に差 の式 で あ つ て 、各 項 に要 求 され る精 度 か

らP、 一一P,v-一・v,は な るべ く大 きい こ とを要 す る。然 るに 著 者 の装 置 に就 い て 第30表

及 び第31表 の 結 果 か ら、 著者 の試 料 の 粘 度 範 園269~12・04poiseを 同 一李 衡 錘 で

測 るた め に は落 下 時 間 の精 度 か ら、不 衡 錘 は6・959以 上 に制 限 せ られ 、 又P=

7.159を 超 ゆ る とき は蓮 動 が起 らなb。 試 料MA'に 就 いて はbP≧6・95な る條

件 に よっ てP、 一一Pの 値 は 小 さ くな り、 從 つ て の一勿'の 値 も小 さ くな っ て ・P・P・ ・

v,vt等 の 精 度 は 不 十 分 に な る。 そ こでKの 計 算 に は1ヨrightStockOi1に 就V・て

の デ ー タ の 中、 η・/ηが 干・均 値 に近 い と こ ろのP・P、 と して夫 々P・=6・45・

P=5.45を 採 る とt「==17・1,t=7・5;zT'一 ・1・17,㊨=2・67で あつ て 、K==18.0と な るo

このKを 用 ひ て 、 第33表 の デ ー タ の 中P・=7・10,P=6・95に 樹 す る藪 値 に よつx

て試 料MA'の 粘 度 を計 算 す る と2・70poiseで あ つ て ・ 試 料MA'の 粘 度2・69と

略 一 致 す る。

要 す るに(27)式 に よ る粘 度 計 算 に は 、 差 の項 を含 む 式 に よつ て 、 粘 度 計 恒 歎K

を求 め 、 更 に とのKに よつ て 、再 び 差 の 項 を含 む 式 に よつ て ηを計 算 す る の だ か

ら、各 数 値 は極 め て精 度 の高 い もの で な けれ ば な らす ・然 らざれ ば ηの 計 算値 は相

當 大 きな 誤 差 を有 す る。 一方 、 各数 値 に は各 々 一 定 の 精 度 以 上 に は高 め られ な い 事

情 が あ るか ら、 この種 の 粘 度 計 に 於 い て 、極 め て精 度 の高 い 測 定 は望 ま れ なv・。

XX]ml.試 料の測定潟度及びその許容差 との關係

粘度測定に於ける測定温度による測定結果に現はれる誤差は

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粘 度 測 定 法 提 要 71

(1)測 定さるべ き試料の粘度が温度差によつてどの位攣化す るか帥ち試料の温

度による粘度攣化牽換言すれば試料の温度に謝する粘度勾配の綾急によつて定まる

(2)比 較測定に在つてば之に加へて粘度標準液の 温度 に よる粘度攣化の割合と

(1)と の相互關係が考慮 されねばならない0

1。 試料の温度による粘度攣化率

粘度 η(poise)の逆藪 ユ/ηを流性係歎(軍 位 をreciprocalpo{se)と し φで表はすo

粘度の温度による攣化率を考察するために、10℃ に於ける流性係数 φ、。とT。Cに

於 ける流性係歎 φtと の比 φt/95ユoの大いさを考へ るo

例へば或試料に就V・て35。Cに 於ける流性係藪 φ。,と10。Cに 於ける流性係数 φ、ゆ

との比 φ,、/φ、。が2で あると云ふことは、10。Cに於ける流性係数に比 して35。Cに 於

ける流性係歎は2倍 の値 を有 し、之を粘度に就 いて云へば35。Cの 粘度は10。Cの

それの1/2で あると云ふ ことである。

本書の範園内で取扱ふべき試料は、樹脂溶液、塗料用油、油性ワニス、織維素誘

導髄溶液等であ り、著者の實験せる範園のものに就いて次項以下 に之を述べる。

2.ロ ジンのエチルアル コール溶液

著者の實験例(第4報 、P・115)

ロジンの無水エチルアルコール溶液の温度による粘度攣化率

第34表 ロジンの無水エチルアル コール溶液の溜度 と粘度の關係

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72 粘 度 測 定 法 提 要

ぐ3e'ア ス フア ルF溶 液 の 温 度 に よ る粘 度 攣 化 率

著 者 の 實験 例(第22報306頁)

試 料:ブ ロ ウ ン ア ス フ ア ル 下:針 入度25。(日 本 石 油 株 式 會 肚 製 品)

SolventOil:(石 油 系 塗 料 溶 剤)(RisingSun石 油 會 杜製 品)

4.油 溶 性石 炭 酸 樹 脂 溶 液 の 温 度 に よ る粘 度 の蔓 化

著 者 の實 験 例(第12報48頁 第2表)1-」 ・

ア ル バr・ 一ル ..111Lの テ レ ピ ン 油 溶 液(濃 度 約52gin100cc)の 溜 度 と粘 度

と の關 係

5。 加熱重合油溶液の温度による粘度攣化率

第35表 アスフアノセ}溶 液の溜度 による粘度攣化率

第36表 ア ル バ 下一ル111Lの テ レピ ン油 溶 液

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粘 度 測 定 法 提 要 '7.?

著 者 の實 験 例(第12報48頁 第1表)

試 料:加 熱 重 合 油

大 豆 油 と支 那 桐 油 を1:1の 重 量 比 に混 合 し て之 を250。Cに1時 聞 加熱 した15の

は35。Cに 於 い て23・62poisθ の 粘 度 を有 す る。

溶 剤 ウ ツ ドテ レピ ン油

濃 度 系勺60gin100cc

6.混 合法(KalteVerarbeitung)に よるアルバ ト剛ル油性ワニスの温度 ど粘度と

の關係

著者の實験例(第12報49頁)

4及5の 試料を25:75,50:50,75:25の 重量比に混合 したもののs6,/φユ。と溜度

との曲線 は4,5の 夫 の聞に在つて、こxに 並べた 比率の順序に配列され る6帥 ぢ

樹脂溶液最 も大きな勾配 を示 し、それに油溶液が加はるにつれて勾配は綾かにな 鉱

油溶液の勾配が最 も小 さbo

第37表 加熱重合油のテレピン油溶液の濫度 と粘度 との關係

第32圖

Page 74: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

74 粘 度 測 定 法 提 要

7.市 販油性ワニスの粘度と温度との關係

著者の實験例(第 ユ6報159頁)

著 者 は本i邦市 販 の 油 性 ワ ニ ス(ス パ ー ワ=ス 、 ゴ

ー ル ドサイ ズ、コ ーパ ル ワ ニス、人 造 樹 脂 ワ ニス等)

11種 の10。~35。Cの 粘 度 を測 定 した 。 そ の結 果 か ら

そ の 粘 度 温 度 曲線 を描 い て第33圖 、φε/φ、。一温 度 曲 線

を 描 い て第34圖 を得 た 。 供 試 試 料 の試 料 番 號 と品 種

名 の 關 係 は第38表 の如 くで あ る。

叉最 も温度に よる粘度勾配の大なるもの試料15と その最小なるもの試料10と の各

=温度に於ける粘度 ηと φノφ、。の値を次表に示す。

第3$圖 市販油性ワニスの濫度粘度曲線 第34囲 市 販 油 性 ワ ニ ス のφε/φ10一温 度曲線

第38表

第39表

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辛占 度 預疹定 法 提 要 75

8.塗 料用硝化綿溶液の温度と粘度との關係ee

著者の實験例(化 學工業協會塗料規格調査委員會案實験報告)

測 定 法:

落球粘度計 管直径 工8Gm

刻度(第15圖 参照)ABBCCD

5cm20cm5cm

落 球 直 径5/32"1/8"

この測定精果は洛 「測定時間 を紗で表はす、前述(AV)(助 式に於いてa一 ρは

同一試料に就いては ρの温度 による攣化は σ一ρ に野 して小さく、落下時間(秒)は

粘度に比例 した数であるo

測定結果の中2,3の 例 は第40表 の如 くである。

契 見 玉 正 雄氏 實験 例

(化 學 工 業 協 會 塗 料 規 格 調 査 委 員 會 實 験 報 告58)

測 定 法:著 者 實 験 例 に 同 じ

試 料:硝 化 綿 大 日本 セ ル ロ イ ド會 肚 製#500B

溶 剤 ハ ー ギ ュ レス溶 剤 混 合物

(95%酒 精25,酷 酸 エ チ ル20,ト ル オ ール55)

濃 度:25%

測 定 結 果1"濫 度 鋼 球5/32"鋼 球

否15。C16●2R秒2ξL6秒

18.4。C11.48〃18.0〃

22~.3。C7.1〃11.5〃

31.0。C5.7〃9.1〃

第40表

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76 粘 度 測 定 法 提 要

9.20。Cを 測定温度とするときの2~8の 試料の温度による粘度の攣化率による

測定温度の許容差

2~8に 記 した各種試料の中それぞれに就"て 最 も濫度による粘度勾配の大 きな

ものに就いて、20。Cの 粘度 η20と15。C及 び25。Cの 粘度 ηi5,η25との比 η15!η20

η25/η。。を計算 し、之等の値か ら溜度差 △Tに 野す る粘度差を △η として △η/△T

を求めると△η/△Tは 溜度1。Cに 封する粘度の攣化(poise)で あつて更に △η/△T×

η,。は20。Cの 粘度に封する溜度10Cに 野する粘度の攣化(%)で ある。

此等の計算結果を第41表 に示すo(便 宜上5。Cの 温度差に封 して粘度は直線的に

攣化するものとして取扱つたo)

此等の結果か ら塗料關係の溶液に就いては △η/△T×η。。は ±10%に 及ぶ もの多

く、從つて20℃ の粘度測定 に於いて溜度許容差を 士O・1。Cとすれば粘度に就いて

士1%の 誤差が起 り得 る可能性がある。即ち許容差を表示すべき小数以下の歎 と同

一%の 誤差が起 り得るo

第41表 ・

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粘 度 測 定 法 提 要 77

XXIV・ 比較 測定 に於 い て、粘 度計 恒敏 の決 定 の ため に行ふ 流 出秒

数 の測 定 に於 け る温度 の許 容差 に就 いて

1・ 粘度標準液の温度による粘度の攣化率

XIVに 例示 した粘度標準液に就v・て粘度計恒藪決定のための流出秒藪の測定溜度

を25。Cと する(25。Cと する理由は附壕1第3表 が25。Cの 資料で あることに由

る)。

XXIII-9と 同様に25。Cの 粘度 η,5,20。Cの粘度 η。。,30。Cの粘度 η,。の3者

の關係か ら・25。±△T。Cに 於ける △η/△Tを 求 め温度1。Cに 樹する粘度の攣化

(%)△ η/△T×η。、を求 めて、第42表 に示す。

前述(VIII-4)の 如 く粘度計恒藪の温度に よる攣化は25。 ±5℃ 位の範園に於い

ては恒一と見徴 し得 るから、粘度計恒歎決定のための標準液流出秒藪測定の溜度 に

胱V・て、夫々の標準液に就いて第43表 の1。Cに 封する粘度攣化(%)に よつて許容溜

度差 を定める。

第42表

Page 78: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

78 粘 度 測 定 法 提 要

BESA(OP.cit.P・8)は 次 の補 正 用 の粘 性 液 膿 に 封 し、 誤 差 を0・5%以 下 な ら し

め るた め に は温 度 許 容 差 は 第43表 の 如 くで あ る と したo

箆麻子油及び水に就いて此等の数値は上禍第4Z表 の数値 と同一根猿に依るもので

ある0

2.比 較畑定に於ける標準液及び試料の粘度の温度に由る攣化率の相互關係と測

定温度許容差

測定の温度差 を △T。Gと し(温度計目盛が眞の温度に比 して溜度差 △T℃ であ

る場合にも以下 の所論はそのま ム當てはまる)

.....(28)

(但 し η,ρ,tは 夫 々試料 に關 す る粘 度,密 度,流 出時 聞 で あ り・η。・iO。・t。は標 準

液 に關 す る もの で あ るo)

こ の△T℃ の温 度 差 にi封す る標 準液 及 び 可槍 液 膣 の粘 度 差 を夫 々 △ η。・△ η とす

れ ば、 ち,tは 之 に相 當 す るだ け相蓮 を來 す か ら夫 々

と な り、夫 々 のT。Cに 於 け る流 出時 間 をT。+△T。Cに 於 け る夫 等 に直 す と(28

式は

.(29)

とな る(但 し ηの鍵 化 に比 して ρ の攣 化 は 少v・か ら、△Tを 小 さい とす れ ば ρ・ρo

を不 攣 と見徹 す)。,

鮮 液と試料の醗 よる糠 勾配が等しい場合には 望 と評 は鱒 しぐ

問題はない。第39表 の油性ワニ'xNo・ユ0の如く粘度勾配の小さい試料 とグ リセ リン水

溶液の如 く、温度による粘度勾配の大きな標準液を用ふる場合に就いて考へて見る。

第43表

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粘 度 測 定 法 提 要 79

T=20・oCと し △T==ユ 。Cと す れ ば △ η。/η。÷0・05,△ η!η÷0・10で あ る か ら(29)式 は

となb4・7%の 誤 差 を生 す る。 けれ ど も之 はグ リセ リ ン 水 溶 液 に就V・て の1。Cに

よ る誤 差10%の 約 牛 分 で あ る。 油 性 ワ ニ スNo・15に 就 い て は △ η。/ワ。二〇・10で

あつ て この グ リセ リン の △Tl/η と ム ワ。/η。 は殆 ん ど等 し く △Tの 大 小 は測 定 結 果

に 影 響 しな 、(oつ ま り △T=1◎Cに 樹 して 、 油 性 ワ ニス の粘 度 測 定 に於 い て は最 悪

の場 合 に 約5%の 誤 差 を生 す る こ とを示 して 居 るo

薦 糖 水 溶 液 に就 い て は反 封 に油 性 ワ ニスNo・ ユ5の 如 く温 度 に よ る粘 度 勾 配 の大

き な もの に就V・て は誤 差 多 く!No・10の 如 く粘 度 勾 配 の 小 さな もの に就V・て は誤 差

が 少 な い 。

XXV・ 本 書 記 載 の 各 粘 度 計 の 使 用 範 園 及 び 適 用 方 針 の 決 定

1。 測 秒 の 誤 差

一 般 に ス1・ツ フ.・ウ オ ッチ の讃 み の精 度 は0・2秒 とせ られEllis{Trans・Am・Inst.

Elec.Engrs・40,469(1921)}に 擦 れ ばO.2秒 のbalancewheelbeatを 有 す る もの の

精 度 はO・4秒 で あ る とせ られ て居 るo

電 氣 時 計 も()・Fitzsimons{lnd・Eng・Chem・An・Ed・7.3,345(1935)}に よれ ば

ユ%位 の誤 差 を 示 す こ とが あ るochronographに よ る測 秒 の精 度 は0・01秒 で あ る

とせ られWillihnganz,McCluer,Fenske,McGrewは ス 下ツ プ ・ウオ ッ チ に比 し

て ス トツ プ ・ク ロ ツク の 使 用 をす す め て居 る。

Wi11ihnganZは ズ 下ツプ ・ウ オ ツチ の 誤 差 を3・6秒/時 以 内た るべ し と して居 るo

・Joi)es・Ta11eyのOstwald型 粘 度 計 は0・01秒 の測 秒 精 度 を有 す る。

之 を要 す るに ス 下ツ プ ・ウオ ツチ が 如 何 に正 確 で あつ て も、流 出 に要 す る時 間 が

小 さ けれ ば 、 そ の關 係 誤 差 は 大 き くな るか ら、 流 出 時 聞 を相 當 に長 くす るや うな設

計 をす れ ば 、O・2秒 精 度 の ス1・ツ プ 。ウ オ ツ チ で 十 分 で あ るo

Willihnganz等 〔lnd・Eng・Chem・An・Ed・6・231(1934)〕 は200・v2000秒 の 範

團 を指 定 して 居 る。

Page 80: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

80 粘 度 測 定 法 提 要

2.可 測粘度範園の決定

可測粘度範園の最低限は1の 測秒の精度によつて定まり(毛 細管粘度計にあつて

はkinetiCenergyCOrreCtiOnの 大いさも考慮されねばならぬ)最 大限は測定時間の

不當に大きな~二とによつて測定能率 を考慮 して決定 される(毛 細管粘度計では甚 し

く測定時聞が異なるときは、雫均有効堅力 の大いさは測定時間中の積分李均値であ

るが故に恒一でな くなることも考慮す る必要を生するであ らう)。

抑々粘度測定はいつれの場合にも測定時間が粘度 に比例するものとして行はれる

のであるか ら、粘度計恒籔Kとt,η の聞に η=Kt,η=Kρ6、 落髄粘度計に就いて

η=K(σ一P)tな る關係がtの 大いさの如何に拘はらす成立つ ものと假定 して、更に

試料の密度 ρ を1と 假定 して、 σ一一・IOを恒藪 として、すべての粘度計に就いて

η=K,tで 表はされる關係ありとする。

本書に記載 した粘度計各種に就V・て、K,の 値 を計算すると第44表 の如 くである

第44表 試料密度 ρ=1と したときの本書記載の粘度計(著者試作)

の粘度計恒藪

Page 81: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 定 法 提 要 81

契 ニ トロセル ローズ溶液 用 と して化學 工業協會規格案 と して著者が提案 した るものは本

書 記載 のものに比 し・刻度BCが20・Ocmで あるか ら,こ こには粘度計 恒激Kに 封 して

3/4を 粟 じた ものを記 した 。

鋼 球直径d・=O・2380cm,管 直径D・1・80em,BC=20・Ocm

第44表 の結 果 か ら爾 側 封 数 目盛 の 方 眼 紙 の縦 軸 にt(秒)、 横 軸 に η(poise)を 探 つ

て 、名 粘 度 計 に就V・て109η とlogtの 關 係 を示 す 直 線 を作 る と第35圖 を得 る。

~二の 曲 線 圖 に よつ て 、各 粘 度 計 の測 秒 條 件 か ら定 め られ る可測 粘 度 範 園 を知 り、

又 逆 に測 定 す べ き粘 度 範 園 が定 め られ て 居 る場 合 に そ れ に封 鷹 す る各 種 粘 度 計 に よ

る測 秒 範 園 を知 り、 どの粘 度 計 を探 用 すべ きか を知 る こ とが 出 來 る。

第35圖 測秒範園と粘度範園の關係

Page 82: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

S2 米占 度 濃酊 定 法 提 要

3・ 各粘度計の試料所要量

本書に記載 した粘度計各種の1同 の測定に要する試料所要量は大略第45表 に示す

が如 くである。密度叉は比重の測定 を必要 とするものに就V・ては第45表 に示 した試

料量の他に密度又は比重の測定のための試料量を必要 とする。

O・twald原 型以下は密度測定所要量 を含まず

本表 の試料量は1同 の粘 度測定 に十分 な もので,操 作中の減失(容 器壁に附着す る量等)

を考慮 した もので,粘 度 計のヂ メンシヨンか ら計算 した ものでない。

4.検 度 又 は 粘 度 計 恒 藪決 定 の た め の標 準 液 の 選 定

測 定 すべ き試 料 の粘 度 範 園 と同 一範 園 内 に在 る粘 度 標 準 液 を附 鋒1第1表 ~ 第7

表 の 中か ら求 めて 用 ふべ き で あ る。 又 比 較 測 定 に在 つ て は 出來 得 れ ば 附 録IIIに よ

つ て 試 料 と表 面 張 力 の 略等 しい もの を選 定 す る こ とが 萬全 の 策 で あ る。

"XXV][e粘 度 測 定 法 の 選 定

本 章 の 例 は化 學 工 業協 會 塗 料 類 規 格 調 査 會 塗 料 規 格 案 の 中 か ら探 つ た 。

1.油 性 ワ ニ ス の粘 度 の 試 験 法

案65に よれ ば20。Cに 於 い て 、 油 性 ワ ニ ス 第1種1・20~4・Opoise,第2種

2・0~4・Opoise・ 第3種2・0~4・Opoiseと 規 定 せ られ 多 。

か くの如 き粘 度 範 園 を規 定 した もの に就 い て は 、試 料 の粘 度 が 規 格 せ られ た 範 園

の 内 に在 る こ と を確 めれ ば よい ので 、 強 い て そ の粘 度 の藪 値 を知 る必 要 は な い ・

~二の 目 的 に はGardner-Ho'dtの 氣 泡 粘 度 計(XVIII)が 便 利 で あ る。

(1)Gardner-Holdt氣 泡 粘 度計 使 用 法

上 掲 の3種 の油 性 ワ ニ スに 就 い て 、 上 限 は いつ れ も4・Opoise,下 限 は 第2種 ・第

3種 は 共 に2.Opoiseで 、 第1種 は ユ・2Pりiseで あ る。

第45表 本書記載の粘度測定に必要な試料量(cc)

Page 83: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 定 法 提 要 83

標 準 液 の選 定 及 び 調 製

XVM-一 一4に よ り1・00poise以 上 の試 料 で は グ リセ リン水 溶 液 は いつ れ も鑛 油 と

同様 に標 準 液 と して使 用 し得 る。

(α)鑛 油 標 準 液 の 調 製

i・4・Opoise(20。C)の 粘 度 を有 す る鑛 油 の調 製

XIV--5に 記 載 した 鑛 油 の 中MAは20。Cに 於 い て8・05poise,MCは 同 じく

20。Cに 於 い て3・39poiseを 有 し、 この爾 者 の 混合 物 に 就V・て は成 分 鑛 油 の粘 度 η、,

η。 と混 合 物 の粘 度'Omと の聞 に はSchwedhelmの 式(17)が 成 立 つ(第14圖)。 即 ち

P、,P,を 各 成 分 の配 分 百 分 を表 はす 藪 とす れ ば

であるo爾 邊のi封藪を探 ると

_(30>

で あ るo

所 要 の粘 度 は η,n=4・00poiseで あ り、成 分MCの 粘 度 η、=3・39poise,成 分MA

の粘 度 η,==8・05で あつ て 、次 の如 く計 算 を行 つ て 、 ηr4.00poiseを 與 ふ べ きP、,

P,を 求 め る。

〔計算〕

從つて

Page 84: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

S4 粘 度 測 定 法 提 要

帥 ちMC80・9%,MA19・1%に 配 合 す れ ば所 要 の粘 度4・00poiseの 混 合 物 が得

られ る。

第8表(35頁)の 實 測 値 に よれ ば 、MC75%,MA25%の 配 合 比 の もの が20。C

に於 い て4・18poiseの 粘 度 を有 す る。

ii・20。Cに 於 い て2・OOpoiseな る鑛 油 混 合 物 の調 製

XIV-5に 記 載 した鑛 油 の 中で 、Dは £0℃ に於 い て1・28polse,MCは20。Cに 於

bて 、3・39poiseの 粘 度 を 有 し、 爾者 の 混 合 物 の粘 度 と各 成 分 の粘 度 と 配 合 百 分 と

の關 係 はiと 同様 にSchwedhelmの 式 が 成 立 つ か ら、 ηm・=2・00,η、==1・28,η。=・3・39

と して計 算 を行 ひ、

D54・2%,MC45.8%

の 配 合 の鑛 油 混 合 物 を作 れ ば よNAo

第9表(36頁)の 實 測 値 に よれ ば 、MC50%,D50%の 配 合 の ものが2.05poisθ

の 粘 度 を有 す る 。

(b)グ リセ リ ン水 溶 液 の調 製

i・20。Cで4・00poiseの 粘 度 を有 す る もの

附 録T・ 第4表 に よ)e

比 重25。/25。 グ リセ リ ン%粘 度(po{se)(20℃)

1.2438093.003.877

1.2451393.504、213

で あ る。比 重 叉 は グ リセ リン濃 度 と粘 度 との 關 係 が 直線 的 で あ る と して

比 重1.24465、 グ リセ リン濃 度93・18%の もの を作 れ ば よい 。

ii'20。Cで2・Opoiseの 粘 度 を有 す る もの

iと 同 様 に附 録1第4表 に よ り、比 重1・23320、 濃 度89%の もの が 粘 度

2.014poiseで 闇 に合 ふo

iii・20。Cで1.2poisθ の粘 度 を有 す る もの

iと 同 様 に附 録1第4表 に よつ て

・比 重25。/25。 濃 度(%)粘 度(poiseX20。C)

1.2225585.001.129

Page 85: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 定 法 提 要 85

=L2252086.001.296

で あ るか ら、比 重1・22368・ 濃 度8・」.43%の もの が 所 期 の粘 度 を有 す る。

(2)圓 管 粘 度 計 の選 定

i・ 測 秒範 園 か ら の選 定

第35圖 に 於 い て 測 秒 範 園 を50~500秒 と し η を1・00~4・00poiseと して 、 爾 軸

に就 き此 等 に相 當 す る線 を 引 き、此 等 の4線 に よつ て 包 ま れ た 矩 形 の縦 の爾 邊 を遍

ぎ る時 聞 一粘 度 曲線 を有 す る 圓管 粘 度 計 は この 目的 に 適 す る。

この條 件 を充 す 曲 線 は,IV,Vの2線 で あ り、IVは オ ス トワル ド型 原 型 、Vは

BESA3で あ るo

同 様 にt=.50~500秒 、η=2・0〔)~4・00poiseと して も、 この2種 の粘 度 計 が こ の要

求 に適 ふ 。

ii・ 粘 度 標 準 液 の選 定

η=1・2~4・00poiseに 封 して 、 藤 糖60%溶 液 は粘 度 が 小 さ過 ぎ て 用 ひ られ な い 。

グ リセ リン水 溶 液 及 び鑛 油 に就v・て は 、前 述(XVI--1)の もの が 用 ひ られ る。鑛 油

の 表 面 張 力 は 附 録IIIに 示 す が 如 く、鑛 油 で この範 園 の粘 度 が 正 確 に知 られ て 居 る

もの が あ れ ば そ れ を用 ふ る こ とが 望 ま しv・。

この 測 秒範 園 を有 す る粘 度 計 だ けで は 、藤 糖 溶 液 を用 ひ得 なV・が 、 之 よ り下 の粘

度範 園 の 測 定 に 適 合 す る もの 例 へ ば 篠 田型 に よつ て 、 ユ・00《・2・00poise位 の鑛 油 叉

は グ リセ リ ン水溶 液 の粘 度 を決 定 しそれ を用 ひ て オ ス トワル ド原 型 及 びBESA3

の粘 度 計 恒藪 を決 定 す れ ば よV・。

(3)落 髄 粘 度 計 の選 定

第35圖 に よつ て 測 秒 範 園 を10《 ノ500秒 に探 り、η=1・2-4・Opoise粘 度 範 園 と して

前 と同 様 に矩 形 を描 け ば、 そ の縦 の爾 邊 を過 ぎ る時 間 一粘 度 曲線 の 落髄 粘 度 計 に關

す る もの はXの み で あ る。XはLawaczeck落 髄Bで あ る。

落 球 粘 度 計 の 曲線VIIIはi遠 く矩 形 の外 に在 つ て この 目的 に は 使 用 で きな い 。

2.ド ー ブ用 アセ チ ル セル ロ ー ス粘 度 の試 験 法

化 學 工 業 協 會案 に よれ ば 、

Page 86: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

86 粘 度 測 定 法 提 要

第1種0.40・vO.60poise(25。C),第2種 ユ・20~1・50poise(25。C)で 、 との 爾 者 を

同 一 の粘 度 計 に よつ て測 定 す る もの とす れ ば 、 そ の粘 度 範 園 は0・40・》1・50poiseと

な る。

i・ 圓管 粘 度 計

第35圖 に於 い て η一〇・40~1・50poise,t=50.》500秒 の 矩 形 を作 り、 そ の縦 の爾 邊

を過 ぎ る直 線 を求 め る と、V,VII,IIIで あ る。VはBESA3,VIIは 篠 田型,

IIIはUbbe・1・(加 厘32・5Cin)で あ る。

この範 園 に在 る標 準 液 と して は 、60%庶 糖 溶 液 が 用 ひ られ る 。

ii・ 落 罷i粘度 計

曲線X即 ちT・awaczeck落 鰹Bは この粘 度 範 園 に封 し、26・》100秒 で 使 用 し得

るo

落 球粘 度 計 に關 す る直 線 は 遙 か に矩 形 の外 に あ つ て 、 この 目的 に使 用 す る こ とが

で きぬO

iii'氣 泡 粘 度 計

第1種 の0・4~0・6poiseにi封 して は 精 度 か ら使 用 で きな い が 第2種 に は用 ひ 得 るα

3.ニ トロセ ル ロ ロズ 粘 度 試験 法

化 學 工 業 協 會案 に よれ ば20。 ±0・2。Cに 於 て

第1種25~35poise,第2種 ・45・vgOpoise,第3種17N23poise,

第4種45《 ノ60poise,第5種.100《 ノ140poise,第6種190~250poise

で あつ て 、粘 度 範 圃 は17《 ・250poisθ で あ る。

第35圖 に於 い て50・ 》500秒 の流 出秒 歎 で は この 條 件 に適 合 す る圓 管 粘 度 計 は一

ρ も無 く6=10・0・ 》200・0秒 と して 落 髄 粘 度 計 で はiu?=:17N250の 矩 形 ⑱縦 の爾 邊 を

過 る時 闇 一 粘 度 曲線 はVIIIの み で あ り、 この 目的 に は 著者 提 案 落 球 粘 度 計 のみ 準

用 ひ られ る。

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粘 度 測 定 法 提 要 87

附 録1

粘 度 標 準 液 の 粘 度

第1表0。 よ り100。Cに 到 る1。C毎 の水 の流 性

係 数 及粘 度(公 式 に よ る計 算)

第2表0・20・40及60%(重 量)を含有する藤糖水溶液の毎

5。C(内挿法による)に於ける粘度(軍 位:cp)

Page 88: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

88 粘 度 測 定 法 提 要.

第3表 薦糖水溶液の25。Cに 於ける密度 と粘度(cp)

との封照表

Page 89: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 定 法 提 要 89

第4表 グ リセ リ ン溶 液 の絶 樹 粘 度(内 挿 法 に よる)

M・][・.Sheely{lnd.Eng.Chem.24,6,1063(1932)}

Page 90: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

90 粘 度 測 定 法 提 要

Page 91: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 定 法 提 要 91

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92 粘 度 測 定'法 提 要

Page 93: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

粘 度 測 定 法 提 要 93

・第5表 箆 麻 子 油 の粘 変(poise)一1

第6表 エチルアル コール及水の混合物の密度(9/m1)

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94 粘 度 測 定 法=提 要

附 録II

液 盤 の 密 度 測 定 の 補 正 に 就 い て

一般た比重瓶(Picnometer)に よる比重叉は密度 の測定は、秤量に於け る室氣の浮'

力に野する補正を行はざる場合 には、密度叉は比重の藪値に於いて小激以下3桁 迄

正 しい数字を與へ るとせ られて居 るoそ こで標準液の粘度 によつては、比重又は密

第7表 ア ル コ ー ルt・・一一・水 の 混 合 物 の 粘 度(軍 位:cp)

エ チル ア ル コ ール の%(重 量)

Page 95: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

茉占 度 乏則{逢ま ミ去 提 要 95

度 の測 定 値 に封 して 、 室 氣 の浮 力 に 由 る補 正 を施 さね ば な らぬ 。 次 に この種 の補 正

式 乏標 準液 の粘 度 に要 求 せ られ る精 度 と の關 係 を論 す る。

密 度 測 定 の精 度 と補 正 式

癩 磨 のラ酬崇 〃τ・熱 い て』穴 鉦 の浬 ナIt,r}ス 補1Fぜ に け攻 の如 爵 妥、の カミあ る(

_(1)

W'は 比重瓶中に於ける試料の見掛 の重量、Wは 同じく水の重量、Dはt。Cに

於ける水の密度であるo

この式に於いて密度測定結果は小歎以下4桁 迄正確であるとせ られて居 る。

更に小歎以下5桁 迄正確に知 るためには

(2)

」L」 一夢'

D,W・,W等 の意義は(1)式 と同一であり、δ、,δ。は夫 々の秤量時に於ける室

氣の密度、βは分銅 の密度、 ρ、はW7Wで ある。篠田案が藤糖溶液の密度か ら

その粘度を知 るに當つて、この式の適用を規定 したのは恐 らぐ8ES八 の夫れに徹

つたのであらう。

然 しこの補正式の適用に際 しては

コ・ 化學天秤 は之に相鷹 して精確でなければな らない。

2・ 分銅の密度 を測b分 銅各個の密度の差異の少ないことが必要である0

3.塞 氣の密度を正確に知るためには、大氣の漁度、温度、氣駆 の三者 を知 るt

・とが必要であるo

(1)式 と(2)式 との聞の精度を與へる補正式は次式 を用ふる補正法 である。 ・V

'灘量に於ける置の重蟄G n匹 貝掛の重暑Gみ け'攻の關係に呑ろ(1、t

(3)

こ ムにSは 試 料 の比 容 積(specificvolume)で あb、0.GOO14は 天 秤 の 分銅=を眞 鍮

製 と見 て その 密 度 を&5と した 補 正 項 で あ る。t-・ 一 ▽ づ由 ㌧ 痔 ハ

この式 に よつ て比 重瓶 にぽ る整 度 測 定 に於 げ る計 算 式 を 作 ると 〔2)試 鷲 同 嘉 認 號

を用ひ試料のSに は ・/(W,T),水豪 ・としても計算結果燭 驚 影難 纏 の

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96 粘 度 測 定 法 提 要

要 が なL(o

.(4)

但 し`oα=W'/W

~二の式に於いて0.00120な る数値は氣墜760mm,温 度20。Cに 於ける乾燥室氣

の密度である。從つて(2)式 に於 ける δ、,δ,の代 りに20℃,760mmの 室氣の密度

を入れた ととになるd從 つてveの 補正式による計算 と(4)式 による計算 との精度

の差異は結局室氣の密度 を0・001209/ccと した ごとによつて、秤量時の條件に於け

る室氣の密度の眞値 ととの値の差によつて定まるo

空氣の密度の値と密度補正式との關係

室氣の密度を決定する因子は、溜度、氣駆及び 滋 度 で ある。難燥室 氣 の密 度

σ(kg/m3)は 紹封温度 丁。,氣堅PmmHgに 於いて次式によつて定められる。

..(5)

P=760mmと して 、 吾 人 の 秤 量 時 の温 度 が10。1》30℃ で あ る とす れ ば 、(5)式

た於 け る σの値 は8%の 差 を示 す 。

20。Cの 乾 燥 室 氣 の密 度 を探 用 す る ~二とに よつ て ユ0。~30。Cに 於 い て は ±4%の

差 を生 す る。(5)式 に於 い て(1+O・OO120)に 封 して は約 土0・005%即 ち ±0・00005

の 差 異 とな つ て 現 は れ る。

次 に温 度 を20。Cと して氣 墜 が攣 つ た もの と して 考 へ る。 本i邦に 於 け る氣 墜 の最

高 記 録 は低 極 く昭和9年9月21日 午 前5時10分 室 戸 崎)は684mmHg,高 極(大 正2

年1ユ月30日 午 後9時 旭 川)は783mmHgで あ る。 此 等 の値 は20℃ に於 け る測 定で

は な く、、 海 面 更正 及 び 緯 度 の補 正 を施 した もので あ る 。本 報 の 實瞼 を行 ふ 場 所 は品

川 颪 の 低 地 で あつ て 、標 高 は極 めて 小 さ く、 東 京 の緯 度 は35。一一一一一36。に在 り・吾 人 の

實 験 に於 い て は こ ムに示 した高 極 を超 え、 また 低 極 よ り小 な る氣厘 に遭 逢 す る ~二と

な し と老 へ られ るか ら、760mmtの 値 を採 る こ とに す る と高 極 の値 に於 い て3%、

低 極 の 値 に於 い て10%の 差 を生 す る。(4)式 の(1+00120)に 樹 して低 極 に 於 い て約

±0.00019Pち0.01%、 高 極 に於L(て は考 慮 外 の 差 異 を生 す るo

・"次に滋 度 の影 響 を考 へ るos

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粘 度 測 定 法 提 要 97

ア ロ

乾燥室氣の密度式o=O・464Tに 封 して・室氣の水蒸氣含有量帥ち漁度に封する

補正は

,.(6)

で 示 され る。

こ こXlcfは 濫 度 丁。Cに 於 け る水 蒸 氣 厘 で あ る。10。・》30。Cに 於 け る水 上 の飽 和

水 蒸 氣 厘 は

30。C31.824mmHg

20。Cユ7.533"

10。C9.209〃

であつて、此等の値 を入れて(6)式 を計算すると次の如 くであるO

Tf・ ・465× ・・377蕃(kglm.3)

ユOoC2839.2090.0057

20。C29317.5330.0ユ05

30つ030331.8240.0184

最 も差 の大 きな30℃ の 場 合 に於 い て σ(9/cm3)に 饗 す る影 響 は0・0000184で あ

る。1・00120に 封 して は 、 小 藪 以下5桁 目に於 い て約2の 差 異 とな るo帥 ち0・002%

の 差 で あ る。 又(4)式 の括 弧 内 の第3項O・OOO14は 分銅 を眞 鍮 と見 て そ の 密度 を

8.5と 假 定 した もので あ るが 、之 に10%の 誤 差 あbと して も全 膣 と して ±0・00014

しか 響 か なL(o

此 等 の誤 差 を総 計 す れ ば

温 度 に よ る もの0・005%

氣厘 に よる もの0.010%

漁 度 に よる もの ¶'0.OO2%

合 計0・017%

(4)式 に於いて、上下爾項に室氣の浮力による補正項 を有するか ら、密度に封す

る最大の誤差はこの2倍 で約0・035%で ある。更に精度 を高 める場合には氣墜を測

定 して0・00120を(5)式 によつて補正すれぱよいof

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98 粘 度 測 定 法 提 要

附 録1皿

塗 料 用 液 盤 の 表 面 張 力

塗 料 用 液 禮 の表 面 張 カ ー一一 「・

(工業 材 料 便覧P・578)1

表 面 張 カ

グ イ ン/cm

生 支 那 桐 油'38.5

250。Cユ0分 加 熱 した もの'8

〃20"1〃

"30" 、1"

"60,,39 .0

305。C30"

生 亜麻 仁 油37.5

生 荏 油39・0

箆 麻 子 油J36・3

テ レ ピ ン油31.5

ミネ ラル ●ス ピ リツ}(8種)29・0・ 》31・5

塗 料 用 液 艘 の 表 面 張 カ ーII・

(著者 測 定)、tl

(第22報 、303頁)(35。C)Stalagmometer滴 藪

蒸 溜 水 164・8口

鑛 油(MC:ユ20S,50:50)127・1

・・(MC漉 ・25:75)・i212

"(MC)t':tユ3qo

"(M懸 辮 ・25:75)129・8

'・(礁}

大 鼠 漁

箆 麻 子 油121・6

礫蹴 為4⑫質)轡b

油 性 ワ ニ ス

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粘 度 測 定 法 提 要 99

ズノく一 ワ ニ ス(4)・f15=L5

"(5)147●Ot

コーパ ル ワ 昌 ス(23)1ユ45・0

ゴ ール ドサ イ ズ(13)165.0

入 邉 樹 脂 ワ 昌 ス154.0

グ リセ リン水 溶 液1♂ ・83

2},87

3L86.5

587.0

686.5

薦 糖40%水 溶 液1't67

"60"74

本 表 の滴 歎 は い つ れ も同一 のStalagmometerに よ る もの で あ るo從 つ て 、 ~二の

中 の表 面 張力 既 知 例 へ ば水 の表 面 張 力(35。C)を γ'=70・2dyne!dmと しbそ の 密 度

を ρ'=1と し、 滴 藪 は64・8で あ る か ら、 任 意 の試 料 の 表 面 張 力 γは そ の滴 歎 η と

そ の 密 度 ρが 分 つ て居 れ ば 次 式 に よつ て 算 出 され る。

附 録1V

薯 者 の報 交 の表 題 と掲 載 誌 封 照 表

(維誌 は す べ て 顔 料 塗 料 印刷 イ ンキ協 會誌 で あ り、8,4,114(1934)は 第8巻 第4

號114頁 、1934年 の意 味 で あ る)

第1報 ロ ジ ン及 び そ のこ 三 加 ユニ製 品 溶 液 の濃 度 粘 度 關 係 に就 い て(其 一)

7,12,470(1933)

第2報 同 上(其 二)8,ユ,1(1934)

第3報 ダ ムマ ー溶 液 の 濃度 粘 度 關 係 に 就 い て8.2,52(1934)

第4報 ロ'ジン の エ チル ア ル コ ール 溶 液 の濃 度 粘 度 關 係 に封 す る温 度 の影 響 に就 い

て'8,4,1ユ4(1934)

第5報 塗 膜 形 成 要 素 ゾル の粘 度 測 定 用 と して の落 球 粘 度計 に就 い て(其 一)落 下 管

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100 粘 度 測 定 法 提 要

刻 度 、落 球 等 のヂ メ ン シ ヨ ン とそ の補 正 に就 い て8・6・209(1934)

第6報 同 上(其 二)

硝 化 綿 溶 液 の粘 度 測 定 用 と して の落 球 粘 度 計 の ヂ メ ン シ ヨン に就V・て

8,7,288(1934)

第7報 油 性 ワ 昌ス の粘 度 に 關 す る研 究(其 一)ロ ジ ン 亜 麻 仁 油 一一一 キ シ ロ

ール3成 分 系 の百 分 配合 比 と粘 度 と の關 係"8・10,393(1934)

第8報 塗 膜 形 成 要 素 ゾル の所 謂"構 造粘 度 測 定 用"と して のOstwald-Auerbach

の盗 流 粘 度 計 に就 い て8・11・423(1934)

第9報 油 性 ワ=ス の粘 度 に就 い て(其 二)加 熱 に よる乾 燥 油 の粘 度 攣 化 に 就V・て

、9,2,23(ユ935)

第10報 油 性 ワ ニ ス の粘 璽 に就 い て(其 三)大 豆 油 と支 那 桐 油 との混 合 物 の 加 熱 に よ

,る粘 度i攣化 に就 い て9・2,27(1935)

第11報 油 性 ワ ニ ス の粘 度 に就 い て(其 四)所 謂"Ka!tθVerarbeitung{'に よ るアル

バ}・ 一・.7v油性 ワ==.ス の粘 度 に就 い て9,2,30(1935)

第12報 油 性 ワ ニ ス の粘 度 に就 い て(其 五)"KalteVerarbeitung"に よ るア ルバ ト

ール 油 性 ワ==ス の粘 度 に封 す る温 度 の 影 響9・2・47(1935)

第13報 油 性 ワ ニス の粘 度 測 定 用 と して のGardner-Holdt氣 泡 粘 度 計 に就 い て(其

一)粘 度標 準 液 とし て の鑛 油 に就 い て 工9,3,53(1935)

第14報 同 上(其 ⇒

粘 度 標 準 液 と して の 鑛 油 に就 い て9,3,62(1935)

第15報 同 上(其 三)

直 園管 試 料柱 中の 氣 泡 上 昇 速 度 と試 料 粘 度 との 關 係9・4・93(1935)

第16報 油 性 ワ ニ ス の粘 度 に就 い て(其 六)

市 販 樹 脂 製 油 性 ワ ニ スの粘 度 に就 い て9・6・155(1935)

第17報 油 性 ワ ニ ス粘 度 測定 用 と して のGardner-Holdt氣 泡 粘 度 計 に就 い て(其 四)

Gardner-Holdt粘 度 計 の特 性 の吟 味9,6,160(1935)

第18報 油 性 ワ ニ ス規 格 試 験 用 と して のGardner-Holdt氣 泡 粘 度 計 に就V・て

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米占 度 濱聾定 法 提 要 101

g,6,205(1935)

第19報 油 性 ワ ニ スの粘 度 に 就 い て(其 七)樹 脂 一一 支 那桐 油 一 一一テ レピ ン油 系 の粘

度 に就 い て9,7,205(1935)

第20報 塗 膜 形 成要 素 ゾル の粘 度 測 定 用 と して のLawaCZeck粘 度 計 に就 い て

(其一一)g,9,257(1935)

第21報 同 上(其 二)

落 髄Aに 關 す る實験(第20報 、補 遺)9,9,269(1935)

第22報 ア ス フア ル トゾル の粘 度 に 就 い て9,10,297(1935)

第23報 不透 明 ゾル の 粘 度 測 定 用 と して の季 衡錘 落 球 粘 度 計 に就V・て

9,1ユ,351(1935)

第24報 油 性 ワ ニ スの粘 度 測 定 用 と して の オ ス 下ワル ド型 毛細 管 粘 度 計 に就 い て

9,ユ2,375(1935)

第25報 油 性 ワ=ス の粘 度 に就V・て(其 八)・ ジ ン 支 那 桐 油 一 一溶 剤 系 の 粘 度 に

就 い て10,2,46(1936)

第26報 油 性 ワ ニ ズの粘 度 に就V・て(其 九)エ ステ ル ゴ ム ー 支 那 桐 油 溶 剤 系 の

粘 度 に就 い て10,3,91σ936)

第27報 油 性 ワ ニ ス の粘 度 に就 い て(其 一 〇)ア ル バ1・・・…ル ー支 那 桐 油 溶 剤 系

の粘 度 に 就 い て10,4,ユ45(1936)

第28報 油 性 ワ=ス の 粘 度 に就V・て(其 一一一一)第25報^'第27報 の総 括 的 考 察

10,5,184(ユ936)

第29報 油 性 ワ ニ スの 粘 度 に就 い て(其 一 二二)亜麻 仁 油 … 一樹 脂 溶 剤 系 の粘 度 に

就 い て一 一工 加 熱 溜 度 及 び時 間 に 就 い て10,6,217(1936)

第30報 油 性 ワ 昌 ス の粘 度 に就 い て(其 一 三)亜 麻 仁 油 樹 脂 一一 溶 剤 系 の粘 度 に

就 い て 一一・一一II・ アル バ 下一ル を樹 脂 分 とす る場 合10,6,222(1936)

第31報 油 性 ワ ニ スの 粘 度 に就 い て(其 一一四)亜 麻 仁 油 樹 脂 一 溶 剤 系 の粘 度 に

就 い て ・111・エ ス テル ゴ ム及 び ロジ ンを樹 脂 分 とす る場 合10,6,231(1936)

第32報 油 性 ワ ニ ス の粘 度 に就 い て(其 一一五)第29報 及 び 第30報 の場 合 の総 括 的考 察

Page 102: 石 橋 正 樹 II.定 義及び基礎事項 - J-STAGE

102 粘 度 測 定 法 提 要

と支 那 桐 油 を油 分 とす る場 合 との比 較"10,6,242(1936)

第33報 油 性 ワ=ス の粘 度 に就 い て(其 一 六)重 合 亜 麻 仁 油 樹 脂 一一一溶 剤 系 の粘

度 に就 い て10,6,248(ig36)

第34報 油 性 ワ ニス の粘 度 に就 い て(其 一 七)乾 燥 剤 の ワ ニ ス粘 度 に樹 す る影 響 に就

い て10,(未 護 表)(ユ936)