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第71回 診療放射線技師国家試験
診療画像検査学
午前
問15 MRIの高速SE法において撮影時間が短縮するのはどれか。 (84.7%)
1. エコー時間の延長
2. 視野サイズの拡大
3. 繰り返し時間の延長
4. 再収束パルス数の増加
5. 位相エンコード数の増加
02:00
FSE法(fast spin echo:高速スピンエコー)
90°パルス
180°パルス
MR信号 180°パルス
MR信号 180°パルス
MR信号 180°パルス
MR信号 180°パルス
MR信号
位相が揃う
TE(echo time)
TR(repetition time)
撮像時間
SE・GRE・IR撮像時間=TR×(位相エンコード数)×(データ収集回数)
高速SE・高速IR
撮像時間=TR×(位相エンコード数エコートレイン数
)×(データ収集回数)
問16 脳のTOF〈time-of-flight〉MRAで脳実質の信号を抑制するのに併用されるのはどれか。 (76.5%)
1. IR〈inversion recovery〉パルス
2. DE〈driven equilibrium〉パルス
3. MT〈magnetization transfer〉パルス
4. MPG〈motion probing gradient〉パルス
5. CHESS〈chemical shift selective〉パルス
02:00
MT(磁化移動)パルス
• 磁化移動(MT)により、MR信号が変化する現象をMT効果という。
• 主に背景信号の抑制や病変の性質診断を目的として利用される。
【MTパルスの臨床応用】
1. 造影MRI
2. MRA(MR angiography)
3. MRCP など
8
IR法(inversion recovery)
• 反転パルス(180度パルス)を照射することで脂肪や水の信号を抑制する。
• 通常の撮像法(SE法など)の前に付加する。
• 反転パルス間をTRとし、TI後からエコー信号を得るまでの時間がTEとなる。
90°パルス 180°パルス MR信号 90°パルス
TE(echo time)
TR(repetition time)
反転パルス(180°パルス)
反転パルス(180°パルス)
TI(inversion time)
10
11
拡散の方向依存性
• 生体内部の水の拡散は、計測する方向により大きさが異なり、方向依存性がある。これを『拡散の異方性』という。
• 拡散の異方性の存在により、測定する方向によって画像コントラストが変化する。
• MPGをかけた方向に線維が走行していると信号強度が低下する。
*MPG(Motion Probing Gradient)
水分子のボクセル内での微小な動きによる位相分散を強調する大きな傾斜磁場。
拡散テンソル解析法
1. 拡散現象
2. 拡散の方向依存性
3. 拡散異方性の原因
4. 異方性拡散の計測
5. 拡散テンソル解析
6. 拡散テンソルから作成される画像
拡散現象
• 組織内に存在する水やその他の分子が、ランダムな運動をする現象。
≪模式図≫
• 動きが少ない ⇒ 拡散係数が小さい
• 動 き が 多い ⇒ 拡散係数が大きい
拡散の方向依存性
• 生体内部の水の拡散は、計測する方向により大きさが異なり、方向依存性がある。これを『拡散の異方性』という。
• 拡散の異方性の存在により、測定する方向によって画像コントラストが変化する。
• MPGをかけた方向に線維が走行していると信号強度が低下する。
*MPG(Motion Probing Gradient)
水分子のボクセル内での微小な動きによる位相分散を強調する大きな傾斜磁場。
拡散異方性の原因
• 生体内では細胞膜などの細胞の構造により水の拡散が妨げられるため、水の拡散しやすい方向と拡散しにくい方向が存在する。脳白質では軸索構造が由来するといわれている。
神経線維の走行に沿った方向には拡散しやすく、直行する方向には拡散しにくい。
※等方性拡散
脳脊髄液など拡散を阻害する構造物がない場合には、拡散の大きさは方向に
依存しない。これを『等方依存性』という。
異方性拡散の計測
• 拡散の方向依存性を計測するには、いろいろな方向のMPGを印加して各部位での信号低下とMPG方向の関係を調べる。
• 拡散の計測は、1回につき一方向しかできないため複数の計測が必要となる。
• 最低6方向の異なったMPGで計測を行うと、拡散テンソルモデルを使った解析が可能。
拡散テンソル解析
• 異なった方向のMPGを用いて撮影された画像を解析し、神経繊維の方向および拡散情報を得る。
• 平均拡散能 … 拡散の平均値を画像化
• 等方性拡散 … 拡散の制限がないものが高信号となる。
• FA(Fractional Anisotropy) … 拡散の異方性の強さを表す。
• カラーマップ … 拡散の方向をカラー表示する。
≪左右(赤)前後(緑)頭尾(青)≫
• Fiver tracking … 神経線維の連続性を表す。
拡散テンソルから作成される画像
CHESS(Chemical shift saturation)
• 周波数選択的な飽和パルスを印加し、共鳴周波数の差を利用して特定組織を飽和させる前飽和パルス
《特徴》
1. 水と脂肪の周波数差を利用し、特定組織からの信号を抑制する。
2. 主に脂肪を抑制する目的で用いられる。
3. 磁場の不均一に弱い。
4. 脂肪と水の周波数差が小さくなる低磁場の装置には不向き。
5. 表皮効果によりRF磁場が不均一になる。
静磁場の均一性(B0)の影響
問17 MRIにおいてSARの増大に関係するのはどれか。 (49.0%)
1. エコー時間
2. 視野サイズ
3. スライス数
4. スライス選択傾斜磁場
5. 位相エンコード傾斜磁場
02:00
23
24
25
問18 脳出血のMR像でT1強調像とT2強調像の両方で高信号となるのはどれか。
(25.5%)1. ヘモジデリン
2. オキシヘモグロビン
3. デオキシヘモグロビン
4. 赤血球内メトヘモグロビン
5. 赤血球外メトヘモグロビン
02:00
脳内出血発症直後は血腫内の赤血球膜は正常で、内部のヘモグロビンは酸素を含むオキシヘモグロビンである。オキシヘモグロビンは反磁性体のためT1緩和時間、T2緩和時間に影響を与えないが、血腫は水分を含むため軽度のT2延長を示すのが一般的である。オキシヘモグロビンは数時間以内にデオキシヘモグロビンとなる。デオキシヘモグロビンは常磁性体であり、T2強調画像にて著明な低信号を示すようになる。急性期から亜急性期にかけてデオキシヘモグロビンは辺縁から酸化され、メトヘモグロビンに変化していく。メトヘモグロビンは常磁性体であり著明なT1短縮効果を示すため、T1強調画像にて高信号化してくる。この時期には同時に血腫融解が始まり、赤血球破壊によるメトヘモグロビンの血球外流出、浮腫性変化によってT2強調画像にて高信号化してくる。慢性期になるとメトヘモグロビンはヘモジデリンとなり、浮腫も落ち着き、T1、T2ともに低信号となる
問19 MRIのトランケーションアーチファクトで正しいのはどれか。 (75.5%)
1. スライス間隔が狭い場合に発生しやすい。
2. 収集マトリックスを大きくすると軽減する。
3. 静磁場の局所不均一性による位相エラーで発生する。
4. 同じボクセル内に水と脂肪が同量存在する場合に大きくなる。
5. 撮影領域の範囲外にあるものが画像領域に入り込むことによって生じる。
02:00
データ打ち切りアーチファクトtruncation artifact
(概要)
• データ収集をある範囲で打ち切る事によるトランケーションエラーが原因。(画像再構成に用いられるフーリエ変換に必要な全周波数成分をサンプリングしない為)
① 信号強度が極端に異なる部位で、撮像マトリックス数が少ない場合において発生しやすい。
② 脊髄や頭部のT2強調画像において脳脊髄液と実質臓器の境界部分に起きやすい。
トランケーションアーチファクトの原理例)マトリックス 4×4の場合
頭部
k-space
逆フーリエ変換
トランケーションアーチファクトの原理例)マトリックス 4×4の場合
頭部
k-space
逆フーリエ変換
受信バンド幅とサンプリング周波数
再現受信バンド幅 サンプリング周波数
サンプリング周波数は受信バンド幅の2倍以上にする必要がある。
2Hz
4Hz
6Hz
4Hz
4Hz
4Hz
現 象
周波数エンコード方向・位相エンコード方向の両方において発生するが、通常問題となるのは位相エンコード方向に発生する方である。
位相エンコード方向のマトリックス数(a)が192 (b)が256
抑制法
1. マトリックス数の増加・・・FOVを変化させずにマトリックス数を増加させる。(アーチファクトの振幅は変化しないが周期が縮まるのでアーチファクトの発生範囲が狭くなる。)
2. フィルタの利用・・・高周波が減衰するようなフィルタ(空間分解能が低下するため一般的ではない。)
3. 位相エンコード方向の調整・・・位相エンコード方向で発生率が高い。目的部位にアーチファクトが重ならないように位相エンコード方向を選択する。
問20 女性骨盤MRIのT2強調矢状断像を示す。正しい組合せはどれか。 (81.6%)
1. ア ――― 第5腰椎
2. イ ――― 小 腸
3. ウ ――― 肛 門
4. エ ――― 子宮頸部
5. オ ――― 大陰唇
02:00
骨盤(女性)の解剖
問21 心臓シネMRIの四腔像を示す。正しい組合せはどれか。(80.6%)
1. ア ―― 僧帽弁
2. イ ―― 側 壁
3. ウ ―― 心尖部
4. エ ―― 右心耳
5. オ ―― 肺動脈弁
02:00
問22 脳MRIのT2強調像を示す。MR像Aに示された部位を撮影した画像はどれか。(93.9%)
1. ア
2. イ
3. ウ
4. エ
5. オ
02:00
問23 甲状腺左葉(*印)の超音波横断像を示す。正しい組合せはどれか。(66.3%)
1.ア ―― 胸鎖乳突筋
2.イ ―― 椎 体
3.ウ ―― 内頸静脈
4.エ ―― 内頸動脈
5.オ ―― 食 道
02:00
問24 無散瞳眼底写真を示す。矢印で示すのはどれか。 (95.9%)
1. 黄 斑
2. 網 膜
3. 水晶体
4. 中心窩
5. 視神経乳頭
02:00
おさえておきたい画像解剖
• 視神経乳頭・・中央にくぼみがあり、動静脈が出入りする。(鼻側に位置する。)
• 黄 斑・・中心に中心窩があり、耳側に位置する。• 動静脈・・静脈は動脈に比べ、太く暗い。
動脈は終動脈で吻合がない。
午後
問15 超音波検査について正しいのはどれか。 (92.9%)
1. 立位では行わない。
2. 探触子による圧迫は禁忌である。
3. 臥位に加え側臥位や半坐位でも行う。
4. 骨盤部検査では直前に排尿させてから行う。
5. エコーゼリーは使用前によく攪拌してから用いる。
02:00
前立腺の超音波検査
【検査目的】前立腺の形や大きさ、また前立腺内部及び周囲の状態を観察し疾患の有無を診断する。
【検査方法】• 経腹法(体外用プローブを用いる。)• 経直腸法(体腔内(直腸内)プローブを用いる。)
【主な適応疾患】• 前立腺肥大症• 前立腺癌
【特徴】※ 経腹法のみ• 膀胱内を尿で充満させて検査を行う。(膀胱充満法)
≪前立腺の正常値≫・断面サイズ
左右径35mm、前後径20mm、上下径25mm・前立腺容積
20mL未満
経腹法:下腹部横走査(男性)
経腹法:下腹部縦走査(男性)
問16 心エコーの胸骨左縁左室長軸断層像で描出されにくいのはどれか。(84.7%)
1. 左心房
2. 右心室
3. 僧帽弁
4. 上大静脈
5. 心室中隔
02:00
52
問17 無散瞳眼底写真撮影装置で正しいのはどれか。(52.0%)
1. 観察光は白色光である。
2. 撮影画角は75度である。
3. 照明光はリング状である。
4. 被検眼に最も近いレンズは接眼レンズである。
5. レッドフリー画像は白内障の診断に用いられる。
02:00
問17 無散瞳眼底写真撮影装置で正しいのはどれか。(52.0%)
1. 観察光は赤外線である。
2. 撮影画角は45度である。(60度の広角あり)
3. 照明光はリング状である。
4. 被検眼に最も近いレンズは対物レンズである。
5. レッドフリー画像は緑内障の診断に用いられる。
(レッドフリー画像)
・カラー画像から赤成分を取り除いた画像。神経線維深層からの反射が抑えられ、神経線維の厚み分布が得られ、緑内障の診断に有用な情報となる。
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Copyright©金原出版
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Copyright©金原出版
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Copyright©金原出版
問18 MRI造影剤について正しいのはどれか。 (78.6%)
1. 致死的副作用はない。
2. 細胞外液性造影剤はT2緩和時間を短縮しない。
3. SPIOはT2強調像もしくはT2*強調像で評価する。
4. MRCPでは消化管造影剤は陽性造影剤として用いられる。
5. Gd-EOB-DTPAは投与後15分前後から肝細胞に移行する。
02:00
MRI造影剤の分類
標的組織 磁気特性 化学特性 造影剤 適応 備考
細胞外液性
(Gd系)常磁性
イオン性Gd-DTPA(線状型)
全身
商)マグネビスト
Gd-DOTA(環状型) 商)マグネスコープ
非イオン性
Gd-HP-DO3A(環状型) 商)プロハンス
Gd-BT-DO3A(環状型) 商)ガドビスト
Gd-DTPA-BMA(線状型) 商)オムニスキャン
消化管 常磁性 イオン性
ferric ammonium citrate(クエン酸鉄アンモニウム)
消化管内
商)フェリセルツ
MnCl2(塩化マンガン四水和物)
商)ボースデル
肝特異性
超常磁性 酸化鉄粒子
ferumoxides(販売中止)
肝腫瘍
商)フェリデックス
Ferucarbotran(SPIO) 商)リゾビスト
常磁性 イオン性Gd-EOB-DTPA(線状型)(ガドキセト酸ナトリウム)
商)EOB・プリモビスト
超常磁性酸化鉄コロイド(super paramagnetic iron oxide:SPIO)
細胞外液性造影剤
造影剤周辺の水プロトンの緩和を促進することによって信号強度に変化を与える。
T1値、T2値の両方の緩和時間を短縮するが、主にT1短縮物質として使用され、T1強調画像を一般的に撮影する。
≪投与方法≫静脈内注射(静注)
≪投与量≫0.2ml/kg(成人)
肝特異性造影剤(SPIO:超常磁性酸化鉄コロイド製剤)
(網内系、細網内皮系造影剤)
≪特徴≫① 主に肝臓のクッパー細胞に貪食される。② T2*短縮効果が強く、T2強調画像・ T2*強調画像
で信号強度を低下させる陰性造影剤である。
≪投与方法≫静脈内注射(静注)
≪投与量≫0.016ml/kg(成人)
画質向上について
• MRCPは造影剤を使用せずに膵胆管を描出する撮像法であるが、同時に消化管の信号も高信号に表示する。
• 消化管の信号を抑制するために、クエン酸鉄アンモニウム or 塩化マンガン四水和物を使用する。
塩化マンガン四水和物の効果
未使用
使用
消化管信号が消失する
GD-EOB-DTPA(肝細胞癌)
肝細胞造影相:投与後20分以降推奨
問19 膝のMRI検査前の準備として適切なのはどれか。(90.8%)
1. 患者の両手は腹部で組んだ状態とする。
2. 膝用コイルのケーブルが長い場合はループ状に配置する。
3. 膝以外の場所に湿布薬を貼っている場合は剝がさずに検査する。
4. 両側の太腿が直接接触しそうな場合は間にクッションをはさむ。
5. 条件付きMRI対応ペースメーカを植え込んでいる場合は制限なく検査を行ってもよい。
02:00
P229
P230
一部の湿布薬にアルミニウムの支持体を用いたものがあり、熱傷を引き起こす可能性がある。
問20 3TMRI装置における脂肪と水の共鳴周波数差[Hz]に最も近いのはどれか。ただし、1Hの磁気回転比は42.6 MHz・T‐1
とする。 (22.4%)
1. 36.5
2. 49.7
3. 149
4. 224
5. 447
02:00
脂肪と水の共鳴周波数の差は
【3Tの場合】
共鳴周波数の差(Hz)
=3.5(ppm)×42.58(MHz/T)×3(T)
≒447(Hz)
問21 SE法によってTR400 ms、TE10 msで撮影された頭部MR像について正しいのはどれか。 (49.0%)
1. 脂肪は低信号で描出される。
2. 脳梗塞は高信号で描出される。
3. 脳脊髄液は高信号で描出される。
4. 脳下垂体後葉は高信号で描出される。
5. 灰白質は白質よりも高信号で描出される。
02:00
TRとTEの関係
TR:長いというのは1000msec以上(実際には2000msec~3000msec)
短いというのは1000msec未満(実際には300~500msec)
TE:長いというのは50msec以上(実際には80~120msec)
短いというのは50msec未満(実際には10~20msec)
症例画像(脳梗塞)
拡散強調画像 MRA
T1WI T2WI FLAIR
下垂体後葉
• 正常の下垂体後葉は、T1強調画像で高信号
• バソプレッシン:抗利尿ホルモンの分泌顆粒によるものと考えられている。
• 尿崩症では高信号が消失
問22 拡散強調像について正しいのはどれか。2つ選べ。 (31.6%)
1. 真の拡散係数が得られる。
2. 脂肪抑制法が併用される。
3. 組織のT2値の影響を受ける。
4. 急性期脳梗塞は低信号に描出される。
5. 撮影には一般的にSE法が用いられる。
02:00
拡散強調画像のコントラスト
• DWIは、MPGを印可せずに撮像した脂肪抑制T2強調画像に拡散の影響を乗じて画像化される。
• 元画像がT2強調画像であることから拡散以外にT1緩和やT2緩和の影響を受ける。(TRを長く設定するとT1緩和の影響は小さくなる。)
• T2緩和の影響を排除できないため、「真の拡散係数」ではなく、「みかけの拡散係数」となる。
拡散強調画像(diffusion weighted imaging)
• 水分子のブラウン運動の状態を画像化する手法で
あり、急性期の梗塞、腫瘍性病変の検出・性状の評価などに使用される。
《ブラウン運動》
*熱運動による分子のランダムな動き。
*ブラウン運動によって分子が動き、衝突しあうこと
によって「拡散現象」が生じる。
拡散現象(教:P241)
• 組織内に存在する水やその他の分子が、ランダムな運動をする現象。
• 動きが少ない ⇒ 拡散係数が小さい
• 動 き が 多い ⇒ 拡散係数が大きい
拡散強調画像(diffusion weighted imaging)
• SE系のEPI法が用いられる。
(180°パルスの前後に傾斜磁場を印加する。)
• 拡散の小さいものが高信号に描出される。
• 発症後2時間の超早期の脳梗塞の描出も可能。
(a)T2WI
(b)DWI
梗塞部の描出について
• 正常時の水分子のブラウン運動範囲は広いが、梗塞が起こると細胞の機能が麻痺して細胞内外に圧力差が生じ細胞が腫大する。その結果、水分子の動ける範囲が狭くなるこの動きの差を拡散強調画像で描出する。
(a)正常 (b)脳梗塞急性期 (c)脳梗塞慢性期
拡散正常 拡散の抑制 拡散の増大
T2 shine-through
• 拡散強調画像はT2値を強調しやすい画像である為、T2値の長い自由度の高い病変は拡散強調画像でも高信号となることがある。これをT2 shine-throughと呼ぶ。
*T2値の影響を排除し、拡散の大きさADCを知る必要がある。
(*見かけの拡散係数(apparent diffusion coefficient:ADC))
ADC画像 (Apparent Diffusion Coefficient)
• ADCは拡散係数の高いものが高信号に描出される。
• ADCは、2つ以上の異なるb値から計算することができ、ADCマップとして表示する。
(a)DWI (b)ADC
b値(b facter、b value)
• 拡散強調画像は、あくまでも拡散を強調した画像であり、信号強度にはT1緩和やT2緩和などの影響も含まれる。
• b値は(b facter)は拡散の度合いを表す。
【拡散の度合いを決めるパラメータ】
① MPGの強度(G)② 2つのMPGの間隔(Δ)③ 印加時間(δ)
b値 = γ2 × G2 × 𝛿2 × Δ −δ
3
γ:磁気回転比 G:MPGの磁場強度 δ:印加時間 Δ:MPGの間隔(Δ)
問23 腰椎MRIの矢状断像で呼吸性アーチファクトを軽減する方法として正しいのはどれか。 (70.4%)
1. TEを長くする。
2. フリップ角を大きくする。
3. 位相エンコード方向を頭尾方向にする。
4. 腰椎にサチュレーションパルスを付加する。
5. MT〈magnetization transfer〉パルスを付加する。
02:00
85
Copyright©金原出版
前飽和パルス(Presaturation pulse)
サチュレーションパルスを照射し、動きのアーチファクトを抑制する。
位相方向
問24 ファンクショナルMRIで正しいのはどれか。 (59.2%)
1. 造影剤を使用する。
2. データ取得にSE法を用いる。
3. 脳実質の動きを画像化している。
4. データ処理に最大値投影法を用いる。
5. 運動野を描出するためには指先の運動を行う。
02:00
f-MRI(functional MRI)
脳の活動状態を画像化して脳機能を解明することを目的にした撮像法。
神経刺激に伴う血液中のオキシヘモグロビン(酸化ヘモグロビン)とデオキシヘモグロビン(還元ヘモグロビン)の含有率の変化をBOLD(blood oxygen level dependent)法という撮像方法で信号として描出する。
磁化率効果を強調するためパルスシーケンスにはGRE系のEPIがよく用いられる。
functional MRI画像
functional MRIの撮像方法
• 安静と運動を交互に繰り返すダイナミック撮像で強いT2*コントラストを得る。
• タスクと信号強度の相関を解析する方法には、差分を求める方法や、統計処理を行う方法がある。
神経刺激に伴う血液中の変化
【安静時】
デオキシヘモグロビン(組織に酸素を渡した後のヘモグロビン)が、磁性物質として作用し磁場の不均一性を生じさせ信号が低下する。
【運動時】
運動時は酸素を多く供給するため、安静時に比べデオキシヘモグロビンの割合が増すが、血流量の増加も認める。結果としてデオキシヘモグロビンよりもオキシヘモグロビンの割合が増加することにより、安静時と比較して信号が上昇する。
BOLD効果(blood oxygen level dependent)• オキシヘモグロビン(磁場を乱す働きは小さい)
• デオキシヘモグロビン(磁場を乱す働きが大きい)信号低下
• 賦活された領域に酸素を供給するためにオキシヘモグロビンの血中の割合が増加する。
• 結果、磁場の均一性が増し信号強度が増加する。この効果の事をBOLD効果という。
( 賦活・・・物質の機能・作用を活発化すること。 )