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厚生病院モデル勉強会
- CAGとPCIで使用するデバイスについて –
- 平成23年7月5日
- 三宅 弘恭
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CAG・PCI
• 心臓を栄養する冠動脈の狭窄(狭心症)や閉塞(心筋梗塞)を、カテーテルなどを用いて診断(CAG)・治療(PCI)する方法のこと
• CAG:coronary angiography
冠動脈造影
• PCI:percutaneous coronary intervention
経皮的冠動脈形成術
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冠動脈(冠状動脈)
右冠動脈
左冠動脈
大動脈
冠動脈は、心臓から出る大動脈の付け根から分枝太さは 4-5mm程度
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CAG(冠動脈造影)
• 単に心臓のレントゲンやCTを撮っても冠動脈の中の状態は判らない。
• レントゲンに写る造影剤を冠動脈に流しながらレントゲンを撮る
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病変部に造影剤を流すと・・・
• 血管自体は透視上、ほぼ見えない
• レントゲンに写った冠動脈内の造影剤の様子から病変の状態の見当がつく
造影剤 造影剤
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カテーテルの種類
• カテーテルとは医療用に用いられる細くて柔かい中空の管
• カテーテルのカーブは種類も大きさも様々
• 患者さんの検査内容や血管の形態に合わせて適したものを選択
• CAG: 3-5Fr (フレンチ)PCI: 5-9Fr (3Fr≒1mm)
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穿刺部位
上腕動脈(ブラキアル)橈骨動脈(ラディアル)
大腿動脈(フェモラル)
カテーテルは、シースイントロデューサー(鞘:サヤ)を介して血管内に挿入されます。シースイントロデューサーには止血弁機能があるため、出血の危険は最小限です。
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シースイントロデューサー
• シースを介してカテーテル・ワイヤーを出し入れする
• 三方活栓のついた側管と交通している
• カテーテル挿入部には止血弁を備えており、出血を最小限に抑えられる
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カテーテル挿入方法
• シースイントロデューサーから、レントゲンを見ながらワイヤーを先行させて安全に大動脈基部までカテーテルを挿入する
• カテーテルを操作して先端を冠動脈入口部へ嵌め込む
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実際にどう見える?
• 右前斜位からの左冠動脈造影
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実際にどう見える?
• 左前斜位からの左冠動脈造影
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実際にどう見える?
• 右前斜位からの右冠動脈造影
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実際の症例を。
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病変が見つかったら?
• 薬物療法薬物を投与して
病変部を治療する
• 冠動脈バイパス術:CABG)病変部より末梢に迂回路
となる血管をつなぐ
• 経皮的冠動脈形成術(PCI)カテーテルで病変部を治療
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PCI用のデバイス
PCI用ガイドワイヤー(0.014インチ/0.36mm)
PCI用ガイディングカテーテル(5~9Fr/Frはカテーテルの外周mm)
PCI用バルーンカテーテル(1.5~4.0mm径)
冠動脈用ステント(2.25~4.0mm径)
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バルーンカテーテル(POBA)
• 冠動脈狭窄部(病変)を拡張し、悪くなった血流を元に戻すためのデバイスだが、血管壁の断裂(解離)により血栓が形成されやすく 40%程度の再狭窄が問題
狭窄部にガイドワイヤを通す
ガイドワイヤに沿って目的の位置まで
バルーンを進める
バルーンを拡張させ狭窄部を広げる
バルーンを収縮させ狭窄部の広がり具合を
確認して終了
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ステント(BMS)
• 血管内腔を保持するための金属製のデバイス
• ステント血栓症予防のために抗血小板剤が必要
• 再狭窄率が20%程度に減少
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薬剤溶出性ステント(DES)
• Drug Eluting Stent ⇔ Bare Metal Stent
• 金属ステントの表面に薬剤を含有したポリマーを被覆して、新生内膜の増殖を抑制させる
• 免疫抑制剤、抗癌剤を塗布したものが商品化されている
• 再狭窄率が10%程度まで減少
• 日本では PCI の70%でDESが使用されている
• 血管の修復が遅く、ステント血栓症予防目的の抗血小板剤を長期間内服する必要がある
ステント血栓症 ステント再狭窄
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薬剤溶出性ステント(DES)カテゴリー Cypher Xience・Promus Endeavor Taxus
承認日 2004年 2010年 2009年 2007年
プラットフォーム
材質/デザイン
BX Velocity
ステンレス鋼/チューブ
ML Vision
コバルトクロム/チューブ
Driver
コバルトクロム/
モジュール
Express/ Liberte
ステンレス鋼/チューブ
薬剤分子構造
薬剤、作用溶出速度
シロリムス、免疫抑制剤 細胞増殖抑制、90日で90%以上
エベロリムス、細胞増殖抑制、
180日で100%
ゾタロリムス、細胞増殖抑制、
14日で100%
パクリタキセル、抗がん剤、
ステントに90%残留
ポリマーの種類 PEVA/PBMA PVDA PCコーティング SIBS(Translute)
ポリマーの厚み 7.2µm 5.3µm 4.0µm 15.6µm
ポリマーの構造 2層 1層 3層 • 1層
ポリマーの特長 疎水性 • 疎水性 • 親水性 • 疎水性
DAPT 少なくとも3ヶ月 • 少なくとも6ヶ月 少なくとも3ヶ月 少なくとも6ヶ月
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先程の症例の続きを
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先程の症例の続きを
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バルーンカテーテル・ステント
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入室からの流れ
• 入室時 患者さん本人にフルネームで名乗って頂く
• 患者さんが検査台に上がったら、心電図・血圧計(PCIでは +パルスオキシメーター)を付け、一部の方を除いてミオコールスプレーを舌下へ噴霧する
• 術者が穿刺部の消毒し、覆布をかけ、局所麻酔後にシースイントロデューサーを挿入する
• ヘパリンを、CAGでは看護師が 2ccを静脈注射、PCIでは術者が 7.5ccを動脈注射する
• 術者がCAG・PCIを施行する
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止血デバイス
• 動脈を穿刺しているため、シース抜去後にしっかりと止血をする必要がある
• とめ太くん を使用
• 穿刺部を圧迫しながらシースを抜去
• 止血を確認しながら徐々に減圧していく
• 大腿動脈穿刺の時は30分程度 圧迫器を使うなどして止血後、ダンゴ圧迫
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ちょっと補足を
• CAG・PCIでは全身状態の変化が大きく、注射での対処を必要とすることが多いため、開始前に必ずラインを確保する
• 感染予防のため、抗生剤を周術期に使用することが多い• 抗血小板剤はステントを置くなら2種類内服。バイアスピリン
とプラビックス(パナルジン)、緊急手術ではそれぞれ2錠・4錠飲ませる
• ミオコールスプレー・ニトロール・シグマートは冠動脈拡張や冠血流を早める目的で使用する
• 硫酸アトロピンは副交感神経の抑制によって徐脈を防ぐ目的、エホチールは迷走神経反射で下がった血圧を上げる目的で注射する
• 造影剤のアレルギー対策はステロイドで、腎障害を防ぐには生食負荷やメイロン注射などで行っている
• ヘパリンは術中の血栓予防のために使用している
では、実際のデバイスを使って手順を説明します。