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独独独独独独独独独 独独独独独独独独独 2013/10/19 独独独独独独独 Akihiko Nakagawa Associate Professor Hokkaido University School of Law

独占禁止法における 法的推論と経済分析 2013/10 /19  日本経済法学会

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独占禁止法における 法的推論と経済分析 2013/10 /19  日本経済法学会. Akihiko Nakagawa Associate Professor Hokkaido University School of Law. 2013 日本経済法学会 . 本日のお話. 中級独禁法入門として盛り込むべきこと 独禁法で行っている思考を言語化 「五合目まで来たはずが別の山に登ってしまったかもしれない」報告. 射程外. 公正さ・正義 法的思考(法哲学・法社会学・実務家の著作)、専門家の直感、 system 1 基礎法学者の法モデルの持て余す感、実務家の文章のさらっと感. - PowerPoint PPT Presentation

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独占禁止法における法的推論と経済分析

2013/10/19 日本経済法学会

Akihiko NakagawaAssociate ProfessorHokkaido University School of Law

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本日のお話

•中級独禁法入門として盛り込むべきこと

•独禁法で行っている思考を言語化•「五合目まで来たはずが別の山に登ってしまったかもしれない」報告

2013 日本経済法学会 

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射程外

•公正さ・正義•法的思考(法哲学・法社会学・実務家の著作)、専門家の直感、 system 1 基礎法学者の法モデルの持て余す感、実務家の文章のさらっと感

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構成

•法解釈の経験的基礎:事実認定と法解釈の連続性・循環構造

•独禁法における事実認定:反事実との比較

•独禁法における法解釈と法発展

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第1 法解釈の経験的基礎2013 日本経済法学会 

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法的推論

•事実命題←事実認定•規範命題←法解釈•法的結論

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法解釈の経験的基礎

•事例判断の蓄積が法解釈に結び付く(川濵 2002 司法事実⇒立法事実) (例) per se illegal, quick look rule of reason (中川晶 2004) (例)価格カルテル事件における共同性の主要事実 →続く

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東芝ケミカル:意思の連絡

•「他の事業者との間で対価引上げ行為に関する情報交換」「同一又はこれに準ずる行動」 

•「右行動が他の事業者の行動と無関係に、取引市場における対価の競争に耐え得るとの独自の判断によって行われたことを示す特段の事情が認められない」

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情報交換・同一行動の位置付け

•重要な間接事実(多数?) ⇒主要事実:銅張積層板価格を(現行価格から 300円または 15%を目途に)引き上げる合意

•評価根拠事実で、特段の事情は評価障害事実 (伊藤眞 2013)

※ 特段の事情が評価障害事実(抗弁)か評価根拠事実の否認か:報告ではスキップ。

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伊藤説の内容

•①手続保障(判断構造の定式化)のために、黙示の契約(土地の使用貸借)との整合性:基礎付け事実(~月~日から土地使用、黙認)が主要事実(通説)

•②事実認定から法解釈に高める →実質的証拠法則の適用を受けない

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伊藤説①の評価

•法的拘束力を認めるために必要な要件 vs 隠される違法行為を認定する要件

•しかし: 総合判断型の抽象的要件では評価を根拠付けると考えられる事実が主要事実。(山本 2009)

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伊藤説②の評価

•主要事実に格上げする発想の背景: 要件事実の推認に必要な事実群の特定(どの経験則を使うか)を裁判所が法律問題としてコントロール  当然違法の内容や合理の原則との区別もそれ

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評価根拠事実とする場合 : 注意

•弁論主義の適用あり•評価根拠事実の範囲はアプリオリに決まらない。東芝ケミカル型以外の評価根拠事実の組み合わせも可。 ←公取委ほど過剰な認定(酒井 2013)をしない私訴原告まで考えると強調しておく必要

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(略) 談合への影響

•基本合意ではなくその存在を基礎付ける事実が主要事実になる。

•基本合意の内容の無さ(それゆえの有用性)からすれば、手続的には優れる

•私訴先行型の談合立証で地裁・高裁の判断が分かれた場合に意義がある?

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まとめ

•基礎付け事実を主要事実と考える説のメリット ①法解釈(主要事実の特定)は事実

審による事例判断に依存する ②裁判所による経験則の発展可能性(コピペ判決よ さようなら)

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(略) 準主要事実

•証明責任の対象にはならないが、弁論主義の対象になる事実。主要事実と間接事実の中間の概念。(山本 2009)

•心証度が a80 b50 c40でも b と c も合わせて総合判断する。

•合併規制の競争効果判断に近い

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第2 独禁法の事実認定2013 日本経済法学会 

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独禁法による事実認定

•反事実( counterfactual)との比較•反事実は観察できないが、独禁法的思考においては当然のように行われている。

•ただし明確にされてこなかった⇒暗黙のうちに特定の立場を取っているのでは

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反事実の使われる場面

•競争制限効果の判定 ⇒ 市場画定も

•行為の評価(「拘束」の有無)•損害額の算定

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談合事件における損害額

•最近 5 年間の高裁判決 16件の傾向•①損害の性質上その額の立証が極めて

困難(民訴法 248 条)として、総合判断(平均落札率は1要因) ストーカ炉

•②想定落札価格を競争的入札物件の平均落札率のみで特定  鋼橋上部

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(略)民訴法 248 条は識別でない

•総合判断型 vs 平均落札率のみ という対立が主であって、民訴法 248 条は後者でも使われる場合がある。

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①総合判断型

•特定の平均落札率を決定的とみず、 4~ 5 %の損害額

•課徴金算定率、賠償額の予定( 10%~ 20%)を考慮 →「性質上これらを下回らなければならない」という不適切なバイアスがかかっている懸念

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②平均落札率一点型

•反事実の落札価格(想定落札価格)を入手できるデータから推定する

•損害率の認定に大きな開き(個別事情反映か)

1.1725% 東京高判H21.5.28 20% 大阪高判H22.8.24 約 740 万認容民訴 248

使用

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②平均落札率一点型での揺れ

•想定平均落札率を算定する競争的物件の範囲をどう決めるか

(a 工事内容が異なるものは除く (b 低価格入札調査物件を除く (c できるだけ抽出事例数を増やす ⇒鋼橋工事高裁で収斂せず

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鋼橋工事高裁•東京高判平成 24 年 2 月 2 日 拡幅工事 (aのみ  (bに合理性なし 想定落札率 89.72%   8.28% 損害

額•東京高判平成 24 年 1 月 27日 支承改良 (a ~ (c  想定落札率 93.88%  5.7%の損害額

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損害額認定 考え方の出発点•反事実の真実値は不可知。近似値しかない。このことはいずれの高裁も認めるように読める。

• “There cannot be single 'true' value of the harm suffered that could be determined, but only best estimates relying on assumptions and approximations." Practical Guide para.17

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反事実(想定落札率)の求め方

•↑ 個別事情の考慮をあきらめる    平均落札率    ダミー変数による回帰    DD (差の差)     cost-plus     forecasting 回帰(競争物件のみ

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どの手法を選ぶか

•平均落札率は談合以外に価格に影響する要因をコントロールしていない

•回帰分析は説明変数を1つ増やすごとに、「その背景となる経験則」(単調増加など)と「データ」(>係数の個数+1)をセットで追加する必要あり。 ⇒ 請求額との相関関係で

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平均落札率の検討

•理想状況:反事実における個別物件の競争的落札率が棒グラフに書ける

•それができないので、比較物件の平均落札率( average ratio)を使っている。

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平均落札率を使える前提

•①当該物件の [ 落札者の費用 /予定価格 ] が、比較物件におけるそれの平均値に近似

•②当該物件の [ 競争的利潤 /落札者の費用 ] が、比較物件におけるそれの平均値に近似

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前提条件のチェック

•①最低制限価格の設定率の違い ⇒低価格入札調査物件とは異なる事情

•②当該物件が比較物件の平均値と比べて競争的利潤を下げる理由の有無 

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民訴法 248 条の意味は?

•平均落札率以外の事情も考慮•小数点以下を取り除く

•そもそも民訴法 248 条は個別事情を捨象する発想なのか、個別物件の事情も考慮してよいのか? 課徴金 /額予定の考慮は前者?

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まとめ

•損害額認定に必要な反事実(競争的価格)を特定するためには、どの方法を取るにせよ、仮定と近似が必要。

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競争制限効果の判定と反事実

•諸外国:合併ガイド(米国、 EU 水平・非水平)、米国・ EU 協力ガイド、 EU101(3) ガイド、 EU 垂直制限ガイド

•業績不振企業:「企業結合がなければ近い将来において倒産し市場から退出する蓋然性が高いことが明らかな場合」

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表現例 101 条ガイド

• The assessment … must be made in comparison to the actual … context in which competition would occur in the absence of the agreement with all of its alleged restrictions.

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競争制限効果と反事実

•どの反事実を採用するか 行為者の行動 競争者の行動•反事実と関連する別の問題(略)

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どの反事実を採用するか

•(1)行為前後に観察される事実から 最低限予想される行動•(2)行為で阻止された競争的努力が 実現されて観察事実より競争的•(3)反事実の特定不能:独占的状態

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反事実(3)•独占的状態の弊害要件:「当該事業者の

属する…業種における標準的な…利益率を著しく超える率の利益を得て」

•「理論上本来の比較対象は仮想的競争市場であろう。しかしそれは実際には存在しないので、代わりにこの 12業種を用いる。」(土佐 2009)

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反事実(1)

•これが原則: ①反事実の下での違反行為者の行為 ②反事実の下での競争者の行為(参入阻止の場合を除く)

•例として区分機類高裁(違反行為が長期、発注者の関与もある)

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区分機類高裁• 「そもそも原告ら二社は…区分機類の読取性能が比較されて発注見込台数に差が付けられるとの認識の下に技術開発競争を継続してきた経緯があること、等の…事実に徴すると、郵政省内示を受けなかった原告が当該物件の入札に参加しなかったという事実を郵政省内示を受けなかったという事実のみによって説明すること…は困難というべきであり、…このような意思の連絡なくして原告ら二社がたまたま結果的に同じ行動をとったものとは考え難い」 ⇒ 2 つ目の下線部が反事実

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反事実として競争を推定可能か

•「反事実(被疑違反行為なし)でも競争が制限される」という主張が正しいなら ⇒ 競争を制限する以外に効果のない被疑違反行為をする意味がない ⇒ 当該行為をしている以上は反事実では競争が制限されていないはず 適用範囲は限定される(下線)

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反事実候補が複数ある場合

•①シナリオが無数に考えられる反事実は認めるべきでない  

•②反競争効果判定に影響しないなら特定しなくてもよい

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複数の反事実候補①

•スタンダードステイションズ 337 US 293 (1949)

•違反行為はガソリンスタンドに対する必要量契約

•反事実として、 (a独立系スタンドを代理店に戻す、 (b 独立系を買収、(c ディーラーが自発的に全量を購入

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スタンダードステイションズ

•(b (c のシナリオはどの規模で起こるのか無数のシナリオで特定できない。

•行為前の規模で (a が起こると推認?•なお 反事実と読むのは滝澤 (2009)と判決の読み方が異なるが、措置の実効性でも同じ問題が生じると考えれば必ずしも対立しない。

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複数の反事実候補②

•2002.4.1~ 2006.5.10まで地域制限、2006.6.1~ 2013.7.1まで再販

•違反行為は再販売価格維持•反事実は「公正かつ自由な競争」か「地域制限」か ⇒後者でも再販の反競争効果が上回れば、反事実はどちらでもよい

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新規参入者の反事実

•損害賠償事件でも、不可能な証明は要求されない。Albion Water

•新規参入者が最も競争的なシナリオ( Standard Oilからシェアを奪う)

•競争を制限する効果しかない被疑行為を除き、ある程度の立証必要では。 

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Dwr Cymru

• United Utilities 3p↓ 水 合理的価格 (14.4p) Dwr common carriage

水道管 ↓ 23.2p↓ ↓(3~ 6p) Dwr    Albion 26p ↓       

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(略)NTT東日本

•反事実候補 (a接続料金値下げして芯線直結  (b接続料金値下げして分岐

•審決は分岐ありえないという事実認定 ⇒反事実でも (aになるため参入起こらないという批判

•弊害しかなさそうな被疑違反行為と考えるか、参入可能性保護で説明するか

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(略) 市場画定  旭鉱末も関連

•市場も「反事実では競争があったが、当該行為によって競争が制限された場」。

•「論理が逆」(古田孝夫・ジュリ1448号 94頁)は、事前の視点から画定すべきという趣旨なら同意。

  (もっとも調査官解説の想定する合意の対象からすれば、合意の対象=市場)

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第3 独禁法の法解釈2013 日本経済法学会 

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解釈方法と情報量

•↑情報量の乏しさ 字義解釈 立法史 一貫性・統一的解釈 外国法 先例   … 常識でない因果法則

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新たな法創造

•外国法•常識化されていない因果法則(経済分析) :経済学は反事実との比較分析において経験・方法論ともにベテラン およそいかなる規範的解釈も事実命題に置き換えることは可

能。

 

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経済分析: 問うべきは

•「経済分析 使うまいか?」 ×  (不可避性及び「暗黙の内に経済学的知見は用いられていた」

   ことにつき川濵 2002)

•「経済分析 いつ使うか?」 ○•「経済分析 どれを使うか?」 ○

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経済分析: いつ使うか

•常用手段説 背景:研究論文でも実務でも同じ水準で議論したい … テレビに出るようになったら研究者として終わり

  しかし裁判所が使う経験則は科学的検証を経ているわけではない  社会の考える価値と 科学の考える価値との関係 川浜 (1993)

•選択的適用説•消極説

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経済分析: どれを使うか

•流行すれば採用?•理論も実証もサーベイしないと到達

点は分からない

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むすび

•概念法学の帝国でもなく•経済学の衛星でもなく

•どういうものに•独禁法はなりたい?

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