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平成24年1月 経済産業省 地域経済産業グループ ソーシャルビジネス・ケースブック (震災復興版) 被災地の復興に向けたソーシャルビジネス

被災地の復興に向けたソーシャルビジネス¯じめに 2011年3月11日に発生した東日本大震災は、被災地を中心とした地域経済に大き な影響を与え、その影響は日本経済全体にも波及しました。

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Page 1: 被災地の復興に向けたソーシャルビジネス¯じめに 2011年3月11日に発生した東日本大震災は、被災地を中心とした地域経済に大き な影響を与え、その影響は日本経済全体にも波及しました。

平成24年1月

経済産業省

地域経済産業グループ

ソーシャルビジネス・ケースブック

(震災復興版) ~ 被災地の復興に向けたソーシャルビジネス ~

Page 2: 被災地の復興に向けたソーシャルビジネス¯じめに 2011年3月11日に発生した東日本大震災は、被災地を中心とした地域経済に大き な影響を与え、その影響は日本経済全体にも波及しました。

はじめに

2011年3月11日に発生した東日本大震災は、被災地を中心とした地域経済に大きな影響を与え、その影響は日本経済全体にも波及しました。

震災後、約10ヶ月が経過し、被災地の中には、地域経済の再生・復興に向けた動きが出てきていますが、被災地の復興のためには、既存の産業の再生・復興のみならず、新たな地域産業の構築や雇用の創出が求められています。

また、一方で、未だに多くの住民の方々は、避難生活や仮設住宅での生活を余儀なく

され、多くの社会的課題を抱えています。今回の震災では、行政機関も大きな被害を受け、行政のみならず、民間の力も結集させたきめ細かい対応が求められています。

このような状況の中、被災地では、社会的課題をビジネスの手法で解決し、新たな産

業と雇用の創出にも寄与する「ソーシャルビジネス'SB(」に対する関心が高まりつつあります。

これまで、被災地においては、寄付金や義援金等によるボランティアを中心とする復

興支援活動が行われてきましたが、今後、長期化する被災地の復興にあたって、被災地の自立化を後押しする、持続的な復興支援が求められています。そこで重要な役割を果たすものとして期待されているのが、ソーシャルビジネスです。被災地では、すでに先進的なSB事業者の手によって、新たなソーシャルビジネスやソーシャルビジネスの芽が生まれつつあります。

経済産業省としては、このような動きの普及拡大に向けて、被災地の復興に貢献する

ソーシャルビジネスの成功モデルとして期待される事例や、ソーシャルビジネスの芽となる事例をとりまとめ、「ソーシャルビジネス・ケースブック'震災復興版( ~被災地の復興に向けたソーシャルビジネス~」を公表することといたしました。

多数のボランティアが活躍した1995年の阪神・淡路大震災は、日本にボランティア活

動が定着するきっかけとなった「ボランティア元年」と言われています。東日本大震災では、本事例集に掲載した取組をはじめとして、今後、多くのソーシャルビジネス事業者が活躍し、ソーシャルビジネスが日本に定着するきっかけとなる「ソーシャルビジネス元年」となることを期待しています。

本事例集が、被災地の早期の復興に貢献するとともに、日本におけるソーシャルビジ

ネスの普及・振興の一助となることを願っています。 最後に、事例の収集にあたっては、幅広い関係者のご協力をいただきました。皆様の

御尽力に、心より感謝します。

平成24年1月 経済産業省

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NPO法人 グランドワーク西神楽 NPO法人 ねおす なつかしい未来創造 株式会社 NPO法人 ファイブブリッジ 株式会社 ファミリア NPO法人 ネットワークオレンジ 株式会社 マツバヤ 株式会社 つくばウエルネスリサーチ NPO法人 キャンパー NPO法人 TINA 株式会社 大地を守る会 医療法人社団 鉄祐会 祐ホームクリニック ミュージックセキュリティーズ 株式会社

プラットフォームサービス 株式会社 一般社団法人 チームともだち NPO法人 えがおつなげて 株式会社 コミュニティタクシー

NPO法人愛知ネット 株式会社 マイファーム 公益財団法人 京都地域創造基金 株式会社 福市 NPO法人 ソーシャル・デザイン・ファンド NPO法人 賀露おやじの会

NPO法人 吉備野工房ちみち 株式会社 ソシオ エンジン・アソシエイツ

NPO法人 ひろしまNPOセンター NPO法人 愛媛アカデメイア NPO法人 宮崎文化本舗

一般社団法人 SINKa 株式会社 アール・イー・アイ

はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 01 被災地支援SBの特色 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 03

目次

分野別インデックス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31 事業者データ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32

事例

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 04 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 05 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 06 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 07 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 08 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 09 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

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被災地支援SBの特色

震災直後の被災地では、インフラの復旧や物資の供給など、行政やボランティアを中心とする迅速な対応が求められていましたが、復興フェーズへ移行するにつれて、多様化する被災地の社会課題の解決や、中長期的な被災地の復興に対する支援のニーズが高まりつつあります。社会課題をビジネスの手法で解決する「ソーシャルビジネス」は、被災地の復興、自立化への貢献が期待されています。

東北地方沿岸部では、津波による車両の流出、公共交通機関の不通、仮設住宅の立地の不便さにより、移動時間の増大や、買い物・通院などの日常生活に支障が生じている。(株)コミュニティタクシーはこの課題を解決するため、利用者のニーズに応じて運行するオンデマンド型の移動サービス(バス・タクシー)や、買い物代行などの生活支援サービスの展開に向け、準備を進めている。【CASE17参照】

被災地では、仮設住宅などでの避難生活が長期化する中、被災者の生活再建につながる、買い物支援、医療・介護、高齢者対策などの生活支援ニーズが高まり、それらを解決するソーシャルビジネスが多く見られます。

生活支援ニーズの解決

(医社)鉄祐会祐ホームクリニックは、長引く避難生活による慢性期医療の需要の高まりや、心のケアの必要性、被災地の高齢者の孤立化の問題を解決するため、被災地に訪問診療専門のクリニックを開設。ICTを活用した在宅医療の効率化や医療・介護連携など、日本の医療、介護、高齢化の課題を解決するモデルを構築することで、日本の他の地域への応用も視野に入れている。【CASE12参照】

被災地では、高齢化問題など日本が抱える社会課題が急速に顕在化した状況と言えます。これらの被災地の社会課題を解決するビジネスモデルを確立することで、被災地の早急な復興に貢献するとともに、将来的には、同じような課題を抱える日本全国の他の地域への波及効果も期待されます。

新たなビジネスモデルの被災地から全国への波及

ミュージックセキュリティーズ(株)は、資金調達に苦慮する被災企業を支援するため、少額出資が可能な個人向けファンドのサービスを開始。全国的な被災地支援の機運の高まりと、顔の見える事業者を直接支援ができる仕組みがマッチし、同ファンドで調達した金額はすでに5億円以上にのぼっている。【CASE13参照】

被災により甚大な被害を受けた被災地の企業は、復興のための資金ニーズが高まる反面、二重債務の問題や被災により債務超過に陥るなどして、資金調達に苦慮しているケースも尐なくありません。それらの資金需要を補うため、新たな資金調達の仕組みが生まれています。

新たな資金調達の仕組みの創出

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水を使わない「バイオトイレ」 ~被災地に新たな環境ビジネス~

雇用の喪失とトイレの汚物処理の問題が深刻化 阪神淡路大震災時に被災児童を一時受け入れた経験をもとに、東日本大震災の翌日には児童一時受入れ活動の準備を開始した。その後、被災地では、雇用の場の喪失とトイレの汚物処理の課題が深刻化。この問題を解決するため(財)日本グランドワーク協会(以下、JGA)及び、協会会員のグラウンドワーク'以下、GW(活動団体と協力して、水を使わず発酵の力でし尿を分解する「バイオトイレ」を被災地で製造・販売する検討を開始した。

バイオトイレ製造のノウハウを被災地へ移転 JGAの震災復興支援対策本部は、被災地の事業者による「新たな環境ビジネス」の展開を支援するため、GW西神楽が中心となってバイオトイレの製造ノウハウを被災地の事業者へ移転することを決定。

JGAの震災復興支援対策本部の現地窓口であるGW寒河江が、津谷大沢地区震災復興会議と協力して気仙沼市内の事業者を選定し、旭川のバイオトイレ製造事業者の協力のもと、GW西神楽が製造ノウハウの研修を実施した。更に、JGAは被災地の事業者が製造したバイオトイレの一部を支援物資として買い上げ、被災地の公共施設等に設置することも検討している。

被災地での新たな環境ビジネスの展開で被災地の雇用を拡大 将来的には、今回育成した被災地の事業者が核となり、バイオトイレ製造による「環境ビジネス」のノウハウを他の被災地の事業者に移転することで、「被災地から他の被災地へ」と、さらなる雇用の場の拡大に貢献したいと考えている。

特定非営利活動法人グラウンドワーク西神楽'北海道旭川市( 事業主体

地域活性・まちづくり

社会的事業支援

CASE

01

支援・連携主体 ● 津谷大沢地区震災復興会議'宮城県気仙沼市( ● (財)日本グラウンドワーク協会'東京都中央区( ● NPO法人グラウンドワーク寒河江'山形県寒河江市(

取組の概要'イメージ図(

宮城県

復興支援の概要

【NPO法人グラウンドワーク西神楽】・・・開拓の歴史の中で育まれた豊かな土地と景観を財産として、未来を担う子供達に誇れる「ふるさと」づくりを目的に、地域住民・地域内の各種団体・企業、行政とのパートナーシップにより、地域の環境改善と地域の活性化のための各種事業を展開。

環境・新エネルギー

(

財)

JGA

(震災復興支援対策本部)

グラウンドワーク 寒河江

支援先

事業者選定

その他登録団体

旭川の 事業者

技術指導

グラウンドワーク 西神楽

津谷大沢地区震災復興会議

GW活

被災地の支援先 事業者

ノウハウ移転の全体調整

バイオトイレ'イメージ図(

総合支援

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地域資源を活かした「地域ツーリズム」~地場産業の復興と若者の起業支援~

震災翌々日には、被災地で支援開始 阪神・淡路大震災をきっかけに、災害支援に対応できる体制を整備していたことから、東日本大震災の翌日には、早くも北海道を出発。 13日には岩手県釜石市へ入り、現地と協力しながら支援拠点を確保し、支援を開始した。

中長期的な復興を見据え、地場産業振興とSBの起業支援を実施 釜石市の旧保育園の園舎を借り、橋野町振興協議会と連携して「北海道・ねおす釜石栗橋ボランティアセンター」を設置。ここを拠点に、道内で募集したボランティアと共に、 釜石

市で物資支援・がれき撤去・児童保育・高齢者ケア等の支援を行っている。また、中長期的な被災地の復興には、地場産業の復興・雇用の場の確保が必要であると考え、地元商店や漁業などの地場産業復興に向けた支援の他、若者に対するソーシャルビジネスを中心とした起業支援も行っている。

地域ツーリズムのノウハウを活用した雇用創出を支援

今後は、これまでの支援活動を継続するとともに、被災地域と密接に連携し、地域資源'自然・歴史・文化(を活用した「地域ツーリズム」のノウハウをいかした支援を通じて、被災地における企業づくり、雇用の場の確保に取り組んでいく。

特定非営利活動法人ねおす '北海道札幌市( 事業主体

教育・子育て

CASE

02

支援・連携主体 ● 環境NGO ezorock(北海道札幌市) ● NPO法人地球の楽校'神奈川県鎌倉市( ● 都留文科大学 環境・コミュニティ創造専攻'山梨県都留市(

取組の概要'イメージ図(

岩手県

復興支援の概要

【NPO法人ねおす】・・・北海道各地に拠点を持ち、子供から大人まで幅広い層を対象に、自然体験・環境教育・野外教育などの各種プログラムを企画・運営。さらに、道内における地域づくりにも関わり、農山漁村地域と都市との交流事業の創出、人材育成や移住促進など、様々な事業に取り組む。

地域活性・まちづくり 社会的事業支援 人材育成・自立支援

操業再開支援

住民 商店 漁業者 若者

釜石市'鵜住居・箱崎・片岸・栗林・橋野地区(

道内支援団体等 道内支援者等 道内自治体

北海道・ねおす釜石栗橋 ボランティアセンター

生活復興支援

SB創業支援

ezorock

都留文科大学 地球の楽校

NPO法人 ねおす

仮設住宅集会所で、地域の食文化を活かしたコミュニティ形成支援活動

ボランティア派遣 ボランティア派遣

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なつかしい未来創造'株( ~ビジネスを生むインキュベーション企業~

地域の復興を目的に、陸前高田市の産業界が結束して株式会社を設立

2011年7月、陸前高田市内の産業界'岩手県中小企業家同友会、陸前高田市青年会議所等(を中心として、様々な組織や団体の枠を越えて、千年先の未来を見据えた地域復興を目的に、「陸前高田千年みらい創造会議」を発足。また、同年9月、陸前田高田市内の中小の異業種経営者が新たなまちづくりのためのコミュニティ・カンパニー「なつかしい未来創造'株(」を設立し、「自然資本タウン、なつかしい未来商店街、伝統技術革新、グリーン・サービス」等のプロジェクトを推進している。

自然エネルギー等を活用した新たなまちづくりを推進 営利事業を担う「なつかしい未来創造'株(」は、現在、ごみなどの再資源化や木材のカスケード利用の事業構想の他、自然エネルギーによる宿泊施設の建設を視野に入れた事業構想を実現させるために、市との協議を進めている。また、これらの事業に関連して、市民ファンドの活用や人材育成も行っていく予定。

全国組織も陸前高田の新たなまちづくりをサポート 今後は、ソーシャルビジネスの全国的な組織である「(社)ソーシャルビジネス・ネットワーク」が各種事業の計画・推進等、新たなまちづくりのための復旧・復興を支援する。

なつかしい未来創造株式会社 '岩手県陸前高田市( 事業主体

まちづくり

CASE

03

支援・連携主体

● 岩手県中小企業家同友会、社団法人陸前高田青年会議所 ● ケセンきらめき大学 ● NPO法人陸前高田創生ふるさと会議 ● 株式会社ソシオ エンジン・アソシエイツ'東京都港区( ● 岩手県、陸前高田市、陸前高田商工会

取組の概要'イメージ図(

岩手県

復興支援の概要

【なつかしい未来創造(株)】・・・陸前高田市のエネルギー問題、雇用創出問題、第一次産業のビジネス化など、地域社会が抱える様々な課題を解決する、モデルケースとなる社会的な事業推進を目指す、コミュニティ・カンパニー。

環境・新エネルギー 社会的事業支援

なつかしい未来創造(株)

自然資本タウン

復興プロジェクト

実施

中小企業

経営者

事業計画・推進

サポート

中小企業

経営者

中小企業

経営者

なつかしい未来商店街

伝統技術革新

グリーンサービス

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ソーシャルビジネス・ネットワーク

なつかしい未来創造(株)が支援する陸前高田市

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宮城のこせがれネットワーク ~次世代の担い手育成~

宮城の将来を支える担い手不足が顕在化

震災を契機に、宮城の未来を支える次世代の担い手不足の問題が顕在化。震災からの復興のためには、若い担い手'こせがれ(を育成することが重要であると考え、地域に根ざした担い手を育成するプロジェクト「宮城のこせがれネットワーク」をスタートした。

こせがれ'次世代の担い手(の育成に着手 同プロジェクトでは、毎月1回ファイブブリッジに若い「こせがれ」や、ビジネスマン、OL、学生 等が集まり、新商品の開発や、アンテナショップの開設、首都圏での物産イベントなどを企画、開催する。さらに、「こせがれ」を応援する都市部の「ファン」を増やすため、「こせがれ」メンバーの食材を利用したBBQイベントや、被災した「こせがれ」メンバーの生産現場等をめぐり、地域産品の魅力を紹介するツアーなども開催している。

次世代の「こせがれ」による、宮城の復興

今後は、同プロジェクトのロゴを活用したキャラクター商品の開発や、宮城県内や首都圏の地域・商店街と連携した販路開拓なども展開する。宮城の「こせがれ」の産品のブランド力向上を図り、若い「こせがれ」の力による、宮城の復興に貢献していく。

特定非営利活動法人ファイブブリッジ '宮城県仙台市( 事業主体

地域活性・まちづくり

社会的事業支援

CASE

04

支援・連携主体 ● みやぎ食の流通ネットワーク'宮城県仙台市( ● NPO法人 農家のこせがれネットワーク '東京都港区(

取組の概要'イメージ図(

宮城県

復興支援の概要

【NPO法人ファイブブリッジ】・・・地域活性や人材育成を目指して、仙台市五橋界隈にてコミュニティスペースを運営し、若手経営者やビジネスマン、学生等、世代や業種を超えて人々が集える場を提供する。 また、定期的なビジネスセミナーや各種イベントの開催を通じて、参加者の交流やビジネスマッチングを促し、新たなプロジェクトの創造を促進・サポート。

みやぎ食の流通ネットワーク

連携

農家のこせがれネットワーク

連携

農業 IT/情報化

NPO法人ファイブブリッジ

プロデュース

宮城のこせがれネットワーク

「こせがれ」'若い担い手(

ビジネスマン、OL、学生

新商品開発 アンテナショップ

交流 イベント

被災地 ツアー

物産 イベント 「宮城のこせがれネットワーク」メンバーの視察訪問ツアー

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東北ROKUプロジェクト ~農業六次産業化と新たな雇用創出~

支援活動を通じて見えてきた課題は、「雇用」と「生きる力」

震災翌日から炊き出しや救援物資等の供給を開始。支援活動を通じて、被災者と接する中で見えてきた課題は、被災者に雇用を創出することと、次の災害に備えた災害教育の必要性だった。

被災地に新たな雇用を生み出す「六次産業化モデルファーム」をオープン この課題を解決するため、同じ思いを持つ地元の民間企業も参画して「東北ROKUプロジェクト」を立ち上げた。その第一弾として、宮城県名取市の1200坪の土地に農園、野菜加工工場、飲食店、キッチンスタジオなどを備えた商業施設「六次産業モデル化ファーム」を2012年春頃に開業予定。農業の六次産業化とレジャー化を通じて、被災者・障害者・高齢者などの社会的弱者約100人の雇用創出を目指す。

復興の先を見据え、防災への対応力を強化 将来的には、防災をテーマとする企業研修・修学旅行の受入れや、地域住民のコミュニティ作りの場としての活用も想定している。震災からの復興にとどまらず、多くの人々が「働く喜び」を実感し、新たな災害に対応できる力を養うことを目指す。

株式会社ファミリア '宮城県仙台市( 事業主体

地域活性・まちづくり

社会的事業支援

CASE

05

支援・連携主体 ● 一般社団法人 東日本復興プロジェクト ● 宮城県 ● 宮城県名取市

取組の概要'イメージ図(

宮城県

復興支援の概要

【(株)ファミリア】・・・農業、林業、漁業に関する六次産業創出のためのコンサルタント事業を中心に、自らがビジネス実践者として「野菜直売、宅配事業、加工商品・サービス開発」など農業者とパートナーシップを取りながら、一次産業者の所得向上を恒常的に実現することを目指す、日本初の六次産業創出のための農業代理店。

「6次産業モデル化ファーム 」イメージ図 '2012年春オープン予定(

(株)ファミリア

コミュニティ再生

災害教育

雇用 場の活用

住民、学生・企業等

プロデュース

被災者

一般社団法人 東日本復興 プロジェクト

農園

野菜加工場 飲食施設

6次産業モデル化ファーム

宮城県

名取市 支援

農業

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実践型ビジネススクール 「東北マルシェ」 ~社会起業家の育成による まちの再生~

活動拠点が全壊するも、早期に活動を再開

津波により気仙沼市にある活動拠点2カ所の施設が全壊したが、被災から12日後というスピードで児童デイサービス・地域活動支援センター'福祉事業(を再開させ、障がいにより避難所で過ごすことのできない子供たちの受入れを開始した。さらに、全世界から寄せられる支援物資の配布などを通じて、これまでに6,000人以上の市民へ支援を行ってきた。

しかし、依然として津波被害が甚大な気仙沼の復興は先が見えない状況が続いていた。何とか、まちを再生させたいと、社会起業家の育成プロジェクトも始動させることとなった。

実践型ビジネススクールで社会起業家を育成 社会起業家の育成を目指し、気仙沼市、陸前高田市、南三陸町を主とする三陸沿岸の商店主や、地元の復興のために行動を起こしたい一般市民、高校生などを対象に、学びと実践の場を併せ持ったビジネススクール「共に創ろう!東北マルシェ」を開始。中には障がいを抱える人たちの姿も見られ、それぞれ参加者は、中小企業診断士や代表理事の小野寺氏を講師としたワークショップを通して、ビジネスプランの組立て・検証や、売上げ目標の設定などを行った上で、イベントでの出店販売を行う。11月のイベントには21店舗'40名以上(が参加し、1,000名を超える来場者で賑わった。プロジェクトへの参加をきっかけに、事業者は、改めて自らの事業のコンセプトやプランを見直し、商店の復興・活性化や、世界に通じる商品の創造を目指している。

新たなまちづくりを担う人材を育成

ネットワークオレンジは同プロジェクトを継続し、様々な課題をビジネスにつなげて解決する社会起業家の発掘と支援を行い、震災後の新たなまちづくりを担う人材の育成を図っていく。

特定非営利活動法人ネットワークオレンジ '宮城県気仙沼市( 事業主体

福祉・保険・医療 地域活性・まちづくり

CASE

06

支援・連携主体 ● 気仙沼市・陸前高田市・南三陸町の商店主 他 ● 公益社団法人Civic Force ● 中小企業診断士等の専門家

取組の概要'イメージ図(

宮城県

復興支援の概要

【NPO法人ネットワークオレンジ】・・・①知的・発達障がいを抱えた方の社会参加と自立支援を目的とした福祉事業'児童デイサービス・地域活動支援センターなど(、②気仙沼のまちづくり事業の二つの事業を柱とした活動を行う。

NPO法人 ネットワークオレンジ

商店主・個人 ①講座、ワークショップ

②屋台市

気仙沼みらい創造塾

共に創ろう!東北マルシェ

開催

受講

出店 講師

公益社団法人 Civic Force

協働

専門家

気仙沼市、陸前高田市、

各市町の商工会など

協賛・後援

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「東北マルシェ」の様子

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老舗スーパーがインターネットショップ開設 ~インターネットによる復興支援~

避難区域の指定により、スーパーの営業停止と地域の分断が問題に 株式会社マツバヤは、従業員200名、年商36億円の地域密着型の老舗ショッピングセンターを運営していたが、福島原発事故の影響により避難地域に指定され、営業停止となっていた。実店舗での販売はできないものの、避難によりバラバラになった地域や町のつながりの再生、そして会社の復興や従業員の雇用を守るため、地域ブログポータルサイトと、インターネットショップの開設に着手した。

地域ブログポータルサイトとインターネットショップを開設 サイトの開設にあたっては、沖縄でブログサイトの運営等を行うてぃーだスクエアがサイトの構築や運営指導を行った他、経営コンサルタントを行う船井総合研究所も協力した。7月には地域ブログポータルサイト「相双エリアネットワーク」'http://www.sou2.net/(を開設し、避難に

よりバラバラになった地域住民が集まり、地域の情報を集め、共有・発信できる場を提供した。そして11月にはインターネットショップ「サンプラザネットショップ」'http://www.sunplaza-shop.jp/(のオープンにこぎつけた。

実店舗の開発も進め、福島の復興の下支えに

今後は、実店舗の開発も進めながら、インターネットショップの品揃えも充実させ、福島県の復興の下支えになるよう取り組んでいく。

事業主体

IT・情報化

CASE

07

支援・連携主体 ● 株式会社てぃーだスクエア '沖縄県浦添市( ● 株式会社船井総合研究所'大阪府大阪市(

取組の概要'イメージ図(

福島県

復興支援の概要

【(株)マツバヤ】・・・1927年に日用品雑貨店として福島県浪江町で創業。福島県相双地域でショッピングセンターやホームセンター、家電量販店などを運営し、地域密着型の経営で地元住民から絶大な支持を得ている。

株式会社マツバヤ'福島県双葉郡浪江町(

地域ブログ ポータルサイト

(株)マツバヤ

コンサルタント

地域のつながりの再生

運営

(株)てぃーだスクエア (株)船井総合研究所

サイト構築運営指導

インターネットショップ

会社の復興

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研修中のマツバヤ役員の方々とてぃーだスクエア社員。てぃーだスクエア社屋前で。

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仮設住宅入居者への「健幸プロジェクト」 ~健康を核とした街づくり~

健康課題を抱える仮設住宅入居者 東日本大震災の発生により、つくばウエルネスリサーチの事業実施地の一つである福島県伊達市が福島県飯舘村住民の避難場所となった。仮設住宅入居者はこれまでと異なる住環境により、生活が不活発になり、心身の機能の低下など多くの健康課題を抱える。このような状況に対して、健康面からフォローするため、仮設住宅入居者向けの健康増進サービスを本格的に実施することを決めた。

仮設住宅入居者向けの健康増進サービスを展開

伊達市の仮設住宅に入居している福島県飯舘村の住民120人に高性能歩数計と血圧計を配布しデータを測定、その結果を同社が開発したe-wellnessシステムを活用して個人ごとに必要な健康プログラムや食事のアドバイスを提供する。遠隔で実施データを確認したうえで、健康面に問題がある場合は、現場の保健師・医師会と協力して対処する。また、地域コミュニティにおける住民の活動活性化等、ソフト面のサポートにも力を入れている。

住民による自主運営の仕組みづくりを目指す

健康プログラムを提供する事業者・指導者の育成を図り、被災地域の仮設住宅への健康支援を広げていくとともに、被災地での雇用創出を目指す。また、住民による自主運営の仕組みをつくり、永続的な健康づくりができる環境を整えていく。

株式会社つくばウエルネスリサーチ '茨城県つくば市( 事業主体

地域活性・まちづくり

福祉・保健・医療

CASE

08

支援・連携主体 ●伊達市、新潟市、三条市、見附市、つくば市'Smart Wellness City首長研究会の5市(

●国立大学法人 筑波大学 '茨城県つくば市( ●オムロンヘルスケア、NPO法人つくば臨床検査教育・研究センター 、トッパン フォームズ、日本IBM、三菱化学メディエンス、インテル

取組の概要'イメージ図(

福島県

復興支援の概要

【(株)つくばウエルネスリサーチ】・・・筑波大学発のベンチャー企業であり、科学的根拠に基づいた手法により、自治体等を中心に中高齢者の健康増進サービスを展開している。健康サービスに関するコンサルティング、個別の健康増進プログラム'e-wellness(の提供、人材育成、研究開発等が主業務。また、超高齢化人口減社会に対して、「健康を核とした街づくり」を進める「スマート・ウエルネス・シティ」の取り組みを全国19市町と連携して進めている。

連携

健康プログラム提供

[被災地] 福島県

飯舘村民 ↓

伊達市 へ避難

伊達市役所'SWC4市(

健康データ

各種支援

保健師 医師

相談

連絡 研究 成果 提供

[福島県伊達市]

機器等 提供

筑波大学 民間企業

7社

つくば ウエルネス リサーチ

大学病院'医師(

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筋力トレーニングを主とした健康運動教室の実施風景

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焚き出し支援 WTPトレ貸与運用支援

焚き出し・WTPトレ貸与寄贈 運用支援

簡易仮設住宅「ホワイトタウン」プロジェクト ~キャンピングトレーラーの活用~

新潟中越地震により、キャンピングトレーラーの簡易仮設住宅としての活用を検討

新潟中越地震の際、避難所での長期炊き出しの活動中、避難所における生活の現状に驚愕し、災害時に、仮設住宅が完成するまでの間、キャンピングトレーラーを簡易仮設住宅とし活用する、低コストな相互扶助システム'ホワイトタウンプロジェクト:WTP(の構築を目指していたところ、東日本大震災が発生。宮城県社会福祉協議会からの炊き出し要請があり、被災地支援活動を開始した。

石巻市で被災者に簡易仮設住宅としてキャンピングカーを貸与 宮城県石巻市において、5月7日時点で計41,330食の炊き出し、泥出し重機隊+ダンプ・ボ

ランティアバス・バキュームカー・ゴミ処理車の運行・運営等を行い、被災者や行政との信頼関係も構築した。その上で、石巻市にWTP参加を提案し、市長の了解の元、災害時避難キャンピングカーを被災者に貸与する活動や、キャンプ場復興支援運営等を実施している。

震災をきっかけに、キャンピングトレーラーを活用したビジネスモデルの構築を目指す 今後は、誰でもできる炊き出しを目指した「災害時炊き出しマニュアル」を販売し、収益を上 げつつ、炊き出しのシステム化・普及を図る。また、キャンピングトレーラーの災害時運用、平

時の料金収入を得るキャンプ場運用、再出動時の規約等を含む、「石巻基本モデル」を確立し、WTPを他の自治体に普及させ、収益を得るビジネスモデルを構築していく。

特定非営利活動法人キャンパー '埼玉県行田市( 事業主体

地域活性・まちづくり

福祉・保健・医療

CASE

09

支援・連携主体 ● 宮城県石巻市 ● 一般社団法人日本調理科学会 '東京都文京区( ● NPO法人ジャパン・プラットフォーム '東京都千代田区( ● 一般社団法人日本RV協会 '東京都町田市(

取組の概要'イメージ図(

宮城県

復興支援の概要

【NPO法人キャンパー】・・・キャンプを通じて覚えた調理技術や野外調理機材を活用し、災害時の炊出し活動を行う。「災害時炊き出しマニュアル」による大量調理システムの普及やキャンピングトレーラーを活用した簡易仮設住宅群'ホワイトタウン(構築に取り組む。

東京・埼玉地域

専用トレ開発・製造・販売 WTP車両貸与

WTPトレ・供与・購入 運用委託

炊出しメニュー研究

キャンプ場提供 災害時WTPトレ貸与

次の被災地

日本調理科学会

助成団体 WTP参加自治体

RV業界

[被災地] WTP参加 宮城県 石巻市

NPO法人

キャンパー

RV業界

平時メンテナンス委託

石巻市牡鹿半島小網倉浜でのキャンピングカー活用の様子

12

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九十九里の復興・再生へ ~農業で地域活性化~

震災の影響で、九十九里浜地域の観光産業・農業産業に打撃 東日本大震災で被災した千葉県九十九里浜地域は、海水浴場の閉鎖や放射能汚染の風評被害等により、周辺の観光事業者や農業事業者等の廃業や売上の落ち込みといった影響が発生した。NPO法人TINAは、地域の復興・再生のため、この地域を担う次の世代'30~40代(の異業種コミュニティを構築し、地域の課題や再生構想を議論する場を創設。地域再生のプロジェクトを実践していく体制を整備した。

観光と農業の再生による地域の再活性化 まずは、海水浴場の閉鎖により激減した観光入込客数を取り戻すため、砂浜を地域資源として再考し、サンドスポーツやビーチスポーツ等の新たな観光資源の開発に着手した。さらに、九十九里地域の農業生産者と首都圏の客をつなぐ仕組みとして、農業体験、田舎生活体験ツアーの企画運営の他、海産物やワイン等の産地直送品の販売も展開。観光と農業の再生を通じた地域の再活性化を目指す。

新規就農者の育成を通じた農業の再生

将来的には、新規就農者の研修や実習の受入などの育成プログラムの展開も想定している。魅力ある農業を実践する次の世代の人材の輩出を図り、同地域の農業の再生・さらなる発展を目指す。

特定非営利活動法人TINA '千葉県山武郡横芝光町( 事業主体

地域活性・まちづくり

農業

CASE

10

支援・連携主体 ● 三井物産株式会社 '三井物産環境基金( '東京都千代田区( ● アサヒビール株式会社'うまい!を明日へ!プロジェクト(' 東京都墨田区 (

取組の概要'イメージ図(

千葉県

復興支援の概要

【NPO法人TINA】・・・都市と農村の交流事業となる農業体験ツアー'『田舎日記』(や生産者'米農家(と消費者をインターネットを介して直接つなぐ直販サイト「おこめナビ」の企画・運営を通じて、観光と農業を通じた地域活性化を図る。

九十九里観光事業者

次世代異業種 コミュニティ

観光

九十九里農業事業者

コーディネート

コーディネート

参加 購入

サンドスポーツ ビーチスポーツ

農業体験ツアー 田舎生活体験ツアー

産直品販売

首都圏の参加者・購入者

三井物産基金 うまい!を明日へ!プロジェクト

農業体験ツアーの様子

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NPO法人TINA

創設

助成

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食べて復興応援 「Oyster for Oyster」 ~被災地の復興と被災地外の地域活性化~

消費を通じて、被災した生産者の再起を支援

震災により、大地を守る会の生産者や加工品メーカーも甚大な被害を受けた。大地を守る会は、被災から再起を目指す生産者を支援するため、義援金付き商品の販売や、被災生産者の産品の購入を促す「食べて復興応援プロジェクト」をスタートさせた。集まった義援金は被災生産者の復興支援や、出荷ができない生産者へのお見舞い金等に活用される。

島根のカキで宮城のカキを救う 5月には、その一環として、島根県隠岐郡海士町のカキを義援金付きで販売し、義援金を宮城県東松島市のカキ生産者に届けるプロジェクト「Oyster for Oyster」もスタートした。同社では震災前より、過疎などの問題を抱える地域の食材を消費することで、地域を応援するプロジェクトの構想を練っていたが、震災を受け、その仕組みを被災地支援と組み合わせたかたちで展開。被災生産者の復興と、被災地以外の地域活性化の両面の効果を狙う。

「食」を通じて地域を応援

「Oyster for Oyster」 では、2011年12月時点で延べ1,320人の消費者が購入。東松島市の生産者は、義援金を東日本大震災復興のために使用し、2013年の出荷再開を目指して作業を進めている。

震災を経て、日本全体が人々や地域のつながりの大切さを実感する中、同社は引き続き、「食」で地域を支えるプロジェクトを展開していく。

株式会社大地を守る会 '千葉県千葉市( 事業主体

地域活性化・まちづくり

CASE

11

支援・連携主体 ● 株式会社ふるさと海士'島根県隠岐郡海士町(

取組の概要'イメージ図(

宮城県

復興支援の概要

【(株)大地を守る会】・・・自然と調和した社会の実現を目指し、1975年に設立された社会的企業。安全性とおいしさにこだわった農産物、畜産物、水産物、加工食品、雑貨品を会員制で届ける宅配サービスを運営。現在利用者は約12万6千人、生産者会員は全国に約2500

'2011年3月末(。

義援金付商品 大地を守る会の

被災生産者

(

株)

ふるさと海士

納品

売上

納品

売上

代金・義援金

義援金

消費者

農業

島根県のカキで宮城県のカキの復興を応援

大地を守る震災復興支援基金

(株)大地を守る会

東松島市

カキ生産者

義援金 「Oyster For Oyster」 義援金

14

あま

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祐ホームクリニック石巻 ~被災地高齢者への在宅医療の実践~

医療機関が壊滅的な被害を受けるなか、在宅医療のニーズが向上 被災直後には大活躍をした医療支援者は、約2カ月後から撤退を始めたが、被災地の高齢者は長い避難生活によるADLの低下が著しく、慢性期医療の需要の高まりが予見されていた。さらに壮絶な体験によるショックや喪失感によるうつ、PTSD等、心の問題が表面化し、自殺数が増加し始めた。特に、仮設住宅や被災住宅の住民には目が届かず孤立化の懸念があったことから、訪問型の医療を行う「祐ホームクリニック石巻」を開設した。

石巻に在宅医療専門の医療機関を開設 石巻市を中心に、医師が患者の自宅や仮設住宅を訪問診療する。院長のほか亀田総合病院(千葉県)や北海道家庭医療学センター(北海道)等の民間病院の支援により、24時間の診療体制を敷く。看護師や事務スタッフは、すべて地元の人材を雇用した。

富士通'株(との共同開発による在宅医療クラウドシステムにより、医療資源が尐ない地方で医師ができるだけ患者と向き合う時間を増やす取組をしている。また、情報通信技術'ICT(を活用した医療者同士のカンファレンスや遠隔医療にも取り組む。

石巻のモデルを来たる高齢社会課題解決モデルとして確立 2012年からはクラウドシステムを活用した地域の医療・介護のシームレスな情報共有に取り

組み、チームケア体制の実現を目指す。また、高齢者の孤立を防ぐため、医療・介護のみならず、生活支援サービスも一体化して包括的に提供していく予定。高齢化の課題を解決するモデルとして、被災地のみならず全国の地域への応用可能な汎用的モデルとすることを目指す。

医療法人社団鉄祐会 祐ホームクリニック '東京都文京区( 事業主体

福祉・保健・医療

CASE

12

支援・連携主体 ● 医療法人鉄蕉会亀田総合病院 ● 日本財団 ● 医療法人北海道家庭医療学センター ● 富士通株式会社

取組の概要'イメージ図(

宮城県

復興支援の概要

【'医社(鉄祐会祐ホームクリニック】・・・東京都文京区の「訪問診療」専門の24時間365日対応のクリニック。複数の専門医に

よるグループ診療体制を取り、地域の医療機関・訪問看護ステーション・ケアマネジャーとの連携を図りながら、定期的・継続的に医学管理・経過診療を行う。

医療介護連携・遠隔カンファレンスの様子(右)

診察風景(左上)

祐ホームクリニック

祐ホームクリニック 石巻 診

察支援

・医師派遣、遠隔カンファレンス等

北海道家庭 医療学センター

亀田総合病院 訪問薬局

被災地高齢者'石巻市( 在宅避難世帯

仮設住宅等

訪問ステーション

NPO等支援団体 ソーシャルワーカー

心のケアチーム等

在宅医療介護情報連携システム

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被災企業

セキュリテ被災地応援ファンド ~尐額ファンドによる被災地企業支援~

被災した企業と個人投資家を橋渡し

震災で甚大な被害を受けた被災地の企業は、事業復興のための資金ニーズが高まる反面、二重債務の問題や被災により債務超過に陥るなどして、資金調達に苦慮していることも尐なくない。ミュージックセキュリティーズ(株)は、被災企業と個人投資家をつなぐため、自社の持つ尐額投資プラットフォーム「セキュリテ」を活用した「セキュリテ被災地応援ファンド」をスタートさせた。

個人向けファンドで全国の出資者が被災企業を支援 同ファンドは、事業の復興に取り組む被災地事業者のファンドを立ち上げ、全国の個人から出資を集める仕組み。1口10,500円で、500円の手数料を除いた10,000円のうち半分が出資金に、残り半分が寄付に回る。事業者にとっては、資金調達が可能となるだけではなく、出資を通じてファンとなった出資者から継続的に応援してもらえる可能性がある。個人投資家は、約6~10年間のファンド運営期間中、出資先企業の特典'商品や工場見学会などのサービス(

や決算を通じて、企業の復興を見守ることができる。 2011年12月時点で、 立ち上がったファンドは28。全国的な被災地支援の機運の高まりと、顔の見える事業者を直接支援できる個人向けファンドの仕組みがマッチして、出資した個人は15,000人、調達金額は5億円以上にのぼっている。

被災企業の再建をサポート

今後も、新たなセキュリテ被災地応援ファンドを立ち上げるとともに、参加事業者と連携して、現在募集中のファンドの満額調達を目指す。

ミュージックセキュリティーズ株式会社 '東京都千代田区( 事業主体

社会的事業支援

CASE

13

取組の概要'イメージ図(

全国

復興支援の概要

【ミュージックセキュリティーズ(株)】・・・尐額投資が可能な個人向け音楽ファンドを組成し、その資金を使って才能あるミュージシャンを世に送り出す「音楽ファンド」運営会社として創業。近年は、このノウハウを活用して地域事業者と協働してファンドを形成するマイクロ投資プラットフォーム「セキュリテ」を展開。

事業サポート'一部(

被災企業 被災企業

ミュージックセキュリティーズ(株)

ファンド組成

参加機会'イベント等( 個人投資家

少額出資

・ファイナンシャルリターン ・コミュニティリターン

「セキュリテ被災地応援ファンド」で事業の再建を目指す被災 企業の方々

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キッチンカーによる飲食業者の事業再建 ~飲食業者の自立的経営と雇用の確保~

被災地では雇用の場の確保、地域の活性化が課題 被災地の中小規模事業者の事業復興は、新産業創出による雇用の場の確保、地域の活性化が喫緊の課題。プラットフォームサービスは、飲食業関連中小事業者の自立的経営と雇用の場の確保を支援するため、第1ステージとしてキッチンカーによる移動販売の展開、第2ステージとして「屋台村」の建設を実施するため、活動を開始した。

被災地へキッチンカーと屋台村のノウハウを移転 同社は、被災地が主導となって事業を展開できるよう、釜石・大槌地域産業育成センターに同社の官民協働のノウハウを伝授し、釜石市でのキッチンカー運営、屋台村建設をサポートする。さらに、センターはロータリークラブ、青年会議所からの寄付や、釜石市の補助金を得て、飲食事業者にキッチンカーを貸与し、運営する仕組みを構築した。同様に、大槌町にもキッチンカーを稼働させ、復旧が遅れている同町における復興のきっかけ作りにも寄与する。

被災地でキッチンカーと屋台村を展開し、飲食店再開のきっかけをつくる

昼間のキッチンカーの営業と、夜間のキッチンカー4~6台を集結させた屋台村の営業を定着させ、被災事業者自身の店舗の再開店へ向けて支援を続ける。地域が主体となった「キッチンカープロジェクト」→「屋台村プロジェクト」→「飲食店オーナー」というサイクルをつくりだし、

飲食業におけるインキュベータの役割を果たす。今後は、資金面で支援する非営利型株式会社を設立して、飲食店の再開まで一貫したサポート体制を両地域に確立することを目指す。

プラットフォームサービス株式会社 '東京都千代田区( 事業主体

地域活性・まちづくり 社会的事業支援

CASE

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支援・連携主体 ● 財団法人釜石・大槌地域産業育成センター '岩手県釜石市( ● 大槌キッチンカープロジェクト準備室 '岩手県上閉伊郡大槌町( ● 財団法人まちみらい千代田 '東京都千代田区(

取組の概要'イメージ図(

岩手

復興支援の概要

【プラットフォームサービス(株)】・・・千代田区から施設を貸借して、まちづくり拠点施設「ちよだプラットフォームスクウェア」を運営。公共施設をコアとした官民協働によるまちづくりを実践。

人材育成・自立支援

釜石市 大槌町

連携・協力

被災飲食事業者

支援

(

財)

釜石・大槌地域産業育成センター

大槌キッチンカープロジェクト準備室

支援

補助金

連携

ノウハウ伝授

寄付金

釜石市でのキッチンカー営業の様子

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財団法人まちみらい千代田

プラットフォーム

デリ&カフェ

ロータリークラブ 青年会議所

プラットフォームサービス'株(

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被災地での仕事づくりで働くよろこびを ~新事業をつくり、新規雇用を生み出す~

仲間の中小企業の被災がきっかけ 群馬県・栃木県の町工場が集まって立ち上げた(株)下請の底力'シタゾコ(が設立した一般社団法人チームともだちは、当初は海外進出のために海外の人的ネットワーク'ともだち(をつくることを目的に設立された。しかし、東日本大震災によって、仲間の中小企業も甚大な被害を受けたことをきっかけに、被災地支援活動を開始した。

被災地での仕事づくりを支援するプロジェクトを開始 被災地の喫緊の課題として、雇用創出の必要性を実感。そこで、被災した農林漁業者の雇用を維持するため、三陸の海産物などの被災地域の商品のインターネット販売などを開始し、お中元ギフトセットなど、700セットを販売した。

また、津波の影響で漁に出れなくなった漁師の方々の奥さんの仕事づくりのため、Xmas オーナメントの作成・販売も開始。「東北グランマのXmas オーナメント」というこのプロジェクト

は、手を使い、会話を楽しみながらものづくりをすることで、奥さん達の働くよろこびにもつながる。これまで24,000個を販売し、2000万円以上の売上を達成。一人約10万円の賃金を確保することができた。

震災をきっかけに、新たなビジネスの創出を目指す

ホームページ等を通じて、購入者からメッセージを頂いたり、継続的に生産者等の復興の様子を情報発信することで、新たな「つながり」を生みだし、新たなビジネス創出や次のプロジェクトにつなげていく。現在はボランティアベースであるが、支援スタッフの人件費を賄えるような仕組みを作り出すことが、今後の課題である。

一般社団法人 チームともだち '埼玉県吉川市( 事業主体

環境・新エネルギー 人材育成・自立支援

CASE

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支援・連携主体

取組の概要'イメージ図(

岩手県 宮城県 福島県

復興支援の概要

【一般社団法人チームともだち】・・・東日本大震災の被災地をはじめ、特に仕事の不足している地域、仕事を失ってしまった方々や、親の失業により笑顔を失ってしまった子供たちのへサポートを行う。

地域活性・まちづくり

(株)アバンティ

(株)下請の底力

連携

グランマプロジェクト

チームともだち

マスコミ・営業・商品

開発メンバー

購入・寄付

広報・流通

その他のプロジェクト

被災地商品流通プロジェクト

ほか

● 株式会社下請の底力 '群馬県桐生市( ● NPO法人元気になろう福島'福島県福島市( ● NPO法人日本災害救援ボランティアネットワーク'兵庫県神戸市(

元気に なろう福島

久慈市 陸前高田市

日本災害救援 ボランティアネットワーク

チームともだちのメンバー

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消費者・取引先

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「えがおの学校」卒業生の支援活動をサポート

えがおつなげては過去3年間にわたり、都市農村交流マネジメントコーディネーターの育成を目的とした「えがおの学校」を福島県で実施し、福島県でのネットワークを築いてきた。今回の震災で、えがおの学校の卒業生は、えがおの学校で培ったノウハウを活かして、被災地で支援活動を展開。これらの活動を全面的に支援するべく、えがおつなげて募金を創設し、支援物資の募集、提供を実施した。

風評被害に苦しむ農家の販路拡大を支援 「えがおの学校」の卒業生の一人は、一般社団法人えがお福島を設立。風評被害を受けている農家に対して、都心への販路を拡大する機会を提供する。従業員を1名雇用し、農産物のイベントでの販売や、野菜棚を設置してくれる飲食店の確保を進めている。

「農村起業家サポート募金サイト」を通じた資金的支援

えがおつなげては、被災地をはじめとする地域の社会起業家への起業後の支援を目的として、主要カード会社と提携した小額決済システム'MicroPayment)による「農村起業家サポート募金サイト」を立ち上げ、同サイトを通じた資金面での支援を行っていく。また、将来的には、新たなファンドレイジングの仕組みとしても活用することを検討している。

特定非営利活動法人えがおつなげて '山梨県北杜市( 事業主体

人材育成・自立支援

CASE

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支援・連携主体 ● 一般社団法人えがお福島

取組の概要'イメージ図(

福島県

復興支援の概要

【NPO法人えがおつなげて】・・・山梨県北杜市にある過疎高齢化の問題を抱える増富地域を拠点に農業を軸に農村にある森林や景観などの資源を活用して、都市と農村が交流することによる農村の活性化に取り組む。耕作放棄地を開墾した「えがおファーム」にて農業生産を行う他、農商工連携、人材育成等幅広く事業を展開。

こだわり農産物の販売支援・販売代行 ~地域のSB起業をサポート~

社会的事業支援

助言

一般顧客

協力費

農家

学校など

法人顧客

農産物の仕入 代金

代金

代金

代金

農産物・加工品の販売

農産物・加工品販売

野菜棚設置

料理教室の開催

農業

サポート

えがお福島の支援により新たな販路を開拓

えがおつなげて

一般社団法人 えがお福島

専門家

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コミュニティタクシーモデル ~オンデマンド型移動+生活支援サービス~

被災者は交通インフラの弱体化に直面 東北地方沿岸部は、地震・津波による公共交通機関の不通、仮設住宅への転居による新

たな移動需要の発生等、交通インフラの弱体に直面している。これは移動時間や費用の増大だけでなく、買い物・通院等の日常生活への支障 、仮設住宅と被災前居住地域のコミュニティ

の分断、雇用の足かせ等の様々な悪循環を生んでいる。'株(コミュニティタクシーは、早期から被災地に入って活動していた'株(アネモアから現地の情報を得て、東北地方沿岸部の同業者と連携し、同社のノウハウを活かした移動サービス等の展開に動き出した。

地元の運送事業者との連携で、被災地に合わせたコミュニティバスモデルを オンデマンド型のバス・タクシーの営業には道路運送法の許認可のみならず、地域の合意 形成が不可欠。気仙沼地域では'株(気仙沼観光タクシー、石巻地域では南三陸観光バス '株(と連携して、それぞれの地域の実情やコミュニティのあり方に適したオンデマンド型のバ ス・タクシーの運行方法を検討。仮設住宅居住を前提とした運行や、数年後の仮設住宅退

去後の地域コミュニティの再生等を視野に入れた展開に向け、関係者との調整を進めている。 コミュニティバスによる、絆やコミュニティの再生

まずは移動サービスを軌道にのせ、買い物・通院に困っている方へ使いやすい移動サービスを展開する。一方、関係者との調整を進める中で、仮設住宅毎にニーズが異なることも明らかになってきた。分断されたコミュニティをつなぐ交流の場への運行など、コミュニティの課題を解決するための事業の創出も目指す。

株式会社コミュニティタクシー '岐阜県多治見市( 事業主体

地域活性・まちづくり

社会的事業支援

CASE

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支援・連携主体 ● 南三陸観光バス株式会社'宮城県石巻市(

● 株式会社気仙沼観光タクシー'宮城県気仙沼市( ● 株式会社アネモア'東京都文京区(

取組の概要'イメージ図(

宮城県

復興支援の概要

【(株)コミュニティタクシー】・・・岐阜県多治見地域で「タクシーで“みんなの足に”、便利屋で“みんなの手に”」をコンセプトに、オンデマンド型'利用者ニーズに応じて運行(の移動サービス'バス、タクシー(や生活支援サービスを提供。地域の高齢者・主婦等の雇用にも貢献。

被災した気仙沼地域の様子'上(、

㈱気仙沼観光タクシーの社屋'左下(、車両'右下(

(株)コミュニティタクシー

(株)アネモア

(株)気仙沼観光タクシー 南三陸観光バス(株)

気仙沼地区 石巻地区

コミュニティタクシーモデルのノウハウ

現地のニーズ等の情報

ノウハウ移転・支援

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“浜のミサンガ「環」づくり” ~仮設住宅での仕事創出、自立支援~

仮設住宅で活力を失った人々

NPO愛知ネットは、震災前から気仙地区'大船渡市・陸前高田市・住田町(と親交があり、震災直後から同地区の復旧と復興に携わってきた。支援を通じて、被災した方々が活力を失っていると感じ、方策を検討していた中、岩手・宮城沿岸地域で「三陸に仕事を!プロジェクト実行委員会」による”浜のミサンガ「環'たまき(」”づくりが始動し、多くの女性が同プロジェクトを通じて、活き活きと生活していることを知った。

“浜のミサンガ「環」”づくりによる 手仕事の創出 “浜のミサンガ「環」”づくりは、「Cash for work'CFW(」という、被災した方々が自ら働いて地域の復興に貢献しつつ、その対価を生計に役立て自立のきっかけづくりをするもの。NPO愛知ネットは、同プロジェクト等と連携して岩手県住田町の仮設住宅入居者、特に内陸への避難により水産関係の仕事等を失った女性を中心に、漁網を材料にひとつひとつ手仕事で“浜のミサンガ「環」”を作る取組を進めている。

仮設住宅の女性に自立のきっかけと笑顔を

“浜のミサンガづくり”は、仮設住宅入居の方々だけでなく、地域の在宅の方々も寄り合ってミサンガづくりを教え合う事から、仕事の創出に加えて、コミュニティづくりにも貢献。

現在は、NPO愛知ネットが生産管理者を担っているものの、将来的には、生産管理者の現

地雇用等も視野に入れ、同プロジェクト等を通じて住田町仮設住宅の「仕事創出」「自立支援」「コミュニティづくり」等を支援・サポートしていく。

特定非営利活動法人NPO愛知ネット '愛知県安城市( 事業主体

地域活性・まちづくり

社会的事業支援

CASE

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支援・連携主体 ● 三陸に仕事を!プロジェクト実行委員会'岩手県、宮城県( ● 住田町仮設住宅'中上団地/火石団地/本町団地(自治会'岩手県住田町( ● 住田町役場'岩手県住田町( ● 住田町社会福祉協議会'岩手県住田町( ● 仮住まい邑サポート(東京都大田区)

取組の概要'イメージ図( ※住田町の場合

岩手県

復興支援の概要

【NPO法人NPO愛知ネット】・・・愛知県を拠点に、防災・災害救援、市民活動支援、社会教育活動、まちづくり活動を行う。地域ネットワークの形成による地域の防災に対する意識向上を通じて、社会全体の利益の増進に寄与する事を目的としている。

住田町火石団地でのミサンガづくりの様子'写真(

浜のミサンガ「環」'写真右下(

NPO愛知ネット '生産管理者(

三陸に仕事を! プロジェクト実行委員会

本町団地 つくり手の皆さん

中上団地 つくり手の皆さん

火石団地 つくり手の皆さん

ノウハウ支援、連携

仮設住宅自治会

指導、生産支援

住田町役場

住田町

社会福祉協議会

仮住まい

邑サポート 連携

住田町

仮設支援連絡会

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SEND-AI届け「復興トマト」プロジェクト~塩害農地の再生・利活用~

多くの農家が苦しめられる 津波による塩害

東北地方の沿岸部では、多くの農家が津波による塩害に苦しめられていた。この問題を解決しようと、同社は塩害土壌改良材を開発。土壌改良材により、塩分濃度を低下させた農地でトマトを栽培する「復興トマトプロジェクト」をスタートした。

塩害地域で「復興トマト」の収穫に成功 2011年6月に宮城県岩沼市の2組の農家に対して、塩害を受けた畑とビニールハウスに土壌改良剤を撒き、トマトの栽培を開始。施肥から2ヶ月後には塩分濃度が下がり'3.2~3.8%→0.7%~0.8%(、8月には収穫に成功。糖度も通常の数値を上回る'糖度9(結果となった。

本プロジェクトは、岩沼市をはじめ、仙台市、名取市、亘理町、陸前高田市の農家へと拡がり、現在約30組の農家がトマトやキャベツの栽培に取り組んでいる。販売予約段階で、すでに出荷予定数に達するなど、売れ行きも好調。

海外の砂漠地域への応用など、グローバルな展開も視野に 同社は塩害を受けた農地の復興支援のため、NEC(株)や(株)NTTドコモとも業務提携を締

結。土壌改良材を使用した用地に「気象塩分濃度センサー」を設置し、土壌塩分濃度や気象データ等をインターネットを通じてリアルタイムで閲覧できるサービスも提供する。

東北地方での成果を活かし、将来的には、海外の砂漠地域への展開も視野に入れている。

株式会社マイファーム '京都府京都市( 事業主体

農業

CASE

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取組の概要'イメージ図(

宮城県

復興支援の概要

【(株)マイファーム】・・・全国の遊休地や耕作放棄地を体験農園に整備し、体験農園サービスを運営'2011年度9月現在82箇所(する他、休耕地の再生・研究開発や堆肥・資材の販売を行う。

支援・連携主体 ●NPO法人農商工連携サポートセンター'東京都( ●岩沼ロータリークラブ'宮城県岩沼市( ●東京大学都市持続再生研究センター'東京都( ●大阪住吉ロータリークラブー'大阪府住吉区(

(

株)

マイファーム

農商工連携 サポートセンター

塩害を受けた被災地の農家

岩沼ロータリークラブ

東京大学都市持続再生センター

連携

●日本電気(株)'東京都港区( ●(株)NTTドコモ'東京都千代田区(

大阪住吉 ロータリークラブ

NEC

NTTドコモ

業務

提携

土壌改良材

気象、塩分濃度

データ提供

塩害地域での栽培の様子'上(

収穫した復興トマト'左下(、土壌改良材'右下(

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Page 24: 被災地の復興に向けたソーシャルビジネス¯じめに 2011年3月11日に発生した東日本大震災は、被災地を中心とした地域経済に大き な影響を与え、その影響は日本経済全体にも波及しました。

市民が復興を支え続ける「基金」創設 ~「基金」による持続的な復興支援~

被災地では復興が長期化

被災地では復興の長期化にともない、長期的に被災者を支えるNPO等の活動が求められる一方で、これらの活動を持続させるための資金的支援が課題となっていた。

京都地域創造基金は、この課題を解決するには、持続的な活動を「市民」が支える仕組みづくりが必要であると考え、市民から寄付を募りNPO等の活動資金に充てる基金を創設した。

基金の創設により、持続的な活動資金を提供 支援する対象団体は、被災地で外国人や障害者など特別なニーズを持つ被災者に対して専門的支援を実施する「つなプロ」など、被災地や地元京都のNPO等7団体にのぼる。寄付者は7団体のうち、自分が支援したい事業を指定して寄附することができる。

同法人は、これらの基金や寄付プログラムを創設し、啓もう活動や基金運営を行う。こうした取組により、NPO等は安定的な活動資金の確保が可能となった。

地域ニーズに特化した新たな寄附プログラムの検討

引き続き、これらの被災地支援事業を指定した寄付プログラムを管理運営・啓もうしていくことに加え、支援団体や連携機関と協力し、地域ニーズに特化した新たな寄付プログラムの創設・運営の可能性も検討していく。

公益財団法人京都地域創造基金 '京都府京都市( 事業主体

社会的事業支援

CASE

20

支援・連携主体 ● つなプロ事務局'スペシャルサポートネット関西( '京都府京都市ほか( ● 京都災害ボランティア支援センター '京都府京都市( ● いわてGINGA-NETプロジェクト実行委員会 '京都府京都市ほか(

全国

復興支援の概要

【公益財団法人京都地域創造基金】・・・ 「市民活動を支えるのは市民社会」、「意思ある寄付が社会を変える」をポリシーに、地域社会を支えるNPO・市民活動への資金・資源循環を生み出す多様な寄付やNPOへの助成プログラム、融資や不動産利活用プログラムを展開。

取組の概要'イメージ図(

つなプロ事務局 (スペシャルサポートネット

関西)

災害ボランティア支援基金

京都のNPO4団体 いわてGINGA-NETプロジェクト

学生ボランティアを派遣

京都災害ボランティア支援センター

市民

寄付

事業指定寄付プログラム つなプロ基金

(公財)京都地域創造基金

寄付 寄付

市民、企業、行政によるボランティア派遣、物資提供、京都への避難者支援

被災者のニーズ'特別なニーズ(のアセスメント、NPOとのマッチング

・きょうとNPOセンター

・アートNPOリンク

・SWTJ

・JIPPO

志津川漁港側溝泥だし作業'上(

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被災地の小さな手仕事「EAST LOOP」 ~仮設住宅の女性の雇用創出~

「仕事」で生きる活力を取り戻す

被災地では、仕事を失うなどして何もすることがなく、活力を失っている人が多く存在していた。(株)福市は、これまでフェアトレードで携わってきた途上国で、「仕事」が人々の生きる活力に繋がることを見てきた経験から、仮設住宅の女性に手仕事を創出する「EAST LOOP」プロジェクトを開始した。

ブローチ8000個を販売 同プロジェクトは、仮設住宅でつくったかぎ編みのアクセサリーを被災地以外の人々が購入することで、被災地外の人々が被災者の活力を支える仕組みとなっている。購入者が生産者へメッセージを届けることもできる。今年7月から、NPO法人遠野山・里・暮らしネットワークの協力のもと、岩手県釜石市、陸前高田市、大槌町の仮設住宅などの女性'100名(が参加し、ハートや花をモチーフにしたブローチや、季節商品としてクリスマスオーナメントなども製作。商品価格の約50%は生産者の収入となる。主に百貨店や生協などで販売し、ブローチはすでに8千個を売り上げ(11月末時点)、海外からも取材依頼が来るなど注目されている。

被災者による新たなビジネスの創出へ

本プロジェクトは、被災地の自立化も見据えて、2012年6月で終了する予定。その後、手芸教室や手作りの編み物を通じたコミュニティビジネスなどの起業希望者に対しては、NPO法人遠野・山・里・暮らしネットワークが支援を行い、新たなビジネスの創出につなげていく。

株式会社福市'大阪府大阪市( 事業主体

地域活性・まちづくり

社会的事業支援

CASE

21

支援・連携主体 ● NPO法人 遠野山・里・暮らしネットワーク '岩手県遠野市(

岩手県

復興支援の概要

【(株)福市】・・・社会的課題を仕事の力で解決することを目的として、2006年に設立。カンボジア・ブラジル・コロンビア・タイなどの貧困エリアで作られた製品を対象とする「フェアトレード」を中心に事業を行う。百貨店などのイベントで、フェアトレードのセレクトショップ「LOVE&SENSE」を展開。

取組の概要'イメージ図(

(株)福市 仮設住宅の女性

生産

商品納品

支払い

材料の提供

デザイン提供

指導 トータルプロデュース

商品デザイン、販促

営業、PR、生産地開拓

販売

支払い

百貨店、学生、企業等

販売チャネル

被災地外の人々

購入・応援

収益

材料、道具 '一部無償提供(

遠野山・里・暮らしネットワーク

協力'講習会開催、商品回収、収入の支払 等(

仮設住宅の女性達が製作

24

Page 26: 被災地の復興に向けたソーシャルビジネス¯じめに 2011年3月11日に発生した東日本大震災は、被災地を中心とした地域経済に大き な影響を与え、その影響は日本経済全体にも波及しました。

ファウンダーとして復興を応援 ~寄附基金・社会的投資による被災地支援~

阪神淡路大震災での経験をきっかけに 関西から東北を支援

阪神淡路大震災で全国各地から多くの支援を受けた経験から、兵庫・関西から何か復興支援活動をしたいという関西のビジネスパーソン・経営者が集結。阪神淡路大震災後に立ち上がった社会的事業のネットワークが、その後の地域の復興に大きく貢献したことから、東日本大震災の被災地で社会的事業を担う人材を支える資金的支援に着手した。

ファウンダー事業'寄附基金・社会的投資(を通じた被災地支援 被災地で社会的事業を行う団体を資金的に支援するため、企業や団体、個人を通じて賛同金を募り、集まった資金を被災地復興プロジェクトに寄付する 「HOPE FOR JAPAN」基金を創設。ソーシャル・デザイン・ファンドが基金管理を行い、被災地の衛生対策活動や越冬対策活動、放射能測定活動等に活用している。

この他にも、被災地の次世代を担う若者に奨学金を届ける「We Share a Dream基金」や、チャリティグッズの売上の一部を被災地支援に事業に充当するファウンダー事業、被災したNPO・SB・行政向けのポータルサイトシステム'「ASRAN WEB TERMINAL」(の無償提供など、様々なツールを活用して被災地の復興を支援している。

社会的投資を促し、被災地でのNPOやSBの創設を支援

これらの事業を通じて支援した個人やプロジェクトに対しては、継続して業務提携し、経営支援を行っていく。将来的には、社会的投資を通じて、被災地に社会的事業の拠点を整備することも検討している。

特定非営利活動法人ソーシャル・デザイン・ファンド '兵庫県宝塚市( 事業主体

地域活性・まちづくり

社会的事業支援

CASE

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支援・連携主体 ● HOPE FOR JAPANプロジェクト

取組の概要'イメージ図(

復興支援の概要

【NPO法人ソーシャル・デザイン・ファンド】・・・寄附基金・社会的投資によるファウンダー事業、チャリティグッズによるファンドレイジング事業、ポータルサイトシステム・会計・動画作成等のバックオフィスサービスを通じて、社会的事業のキャパシティビルディング'組織基盤強化(を行う。

全国

HOPE FOR JAPANプロジェクト'左上(

チャリティグッズの「ゆめきらきらマグネット」 '右下(

被災地復興プロジェクト 'NPO、SB、起業家 等(

資金管理・支援先決定

社会的投資

HOPE FOR JAPAN

ファウンダー事業

ポータルサイトシステム

企業、個人 等

ソーシャル・デザイン・ファンド

賛同金

無償提供

We Share a Dream基金

被災した学生等

奨学金

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木の駅'木の宿場(プロジェクト ~間伐材を活用した「組手什'くでじゅう(」~

組手什で避難所生活を改善 避難所生活の長期化にともない、避難所ではプライバシーの確保が問題となっていた。 間伐材を利用した木材組み立てキット「組手什」は、用途に合わせて、様々な家具を簡単に組み立てることが可能。 この汎用性に着目した'社(国土緑化推進機構が、組手什の避難所等での活用を賀露おやじの会に打診し、組手什を避難所へ寄贈することとなった。

多様な主体と連携し、短期間に大量の組手什を被災地へ寄贈 寄贈にあたっては智頭町の協力のもと、ボランティアや製材業者・加工業者が連携して短期間に大量の組手什を製作し、被災地まで持参。被災地の復興支援と各地域の森林づくりを支援する同機構の「緑の募金」からの資金的支援も活用し、組手什1万本を避難所へ寄贈した。寄贈された組手什は避難所の間仕切り、収納棚、机などに活用され、組手什の「木のぬくもり」は避難生活が長引く避難者の心にやすらぎをもたらした。この復興支援をきっかけに、智頭町及び鳥取県に対して、想定避難施設での組手什セットの備蓄を提案している。

間伐材の有効利用で、森林保全と地域活性化

賀露おやじの会は、智頭町で組手什の売上の一部を財源として、間伐材を地域通貨と交換する「木の宿場'木の駅( 」事業を展開している。交換した地域通貨は町内の商店で利用

可能。間伐材を有効利用する持続的な資金循環システムを構築することで、森林保全や地域活性につなげるねらいがある。今回の被災地支援をきっかけに、 「木の宿場'木の駅( 」事

業の全国へのノウハウ移転とネットワーク化を目指す。

特定非営利活動法人賀露おやじの会 '鳥取県鳥取市( 事業主体

地域活性・まちづくり

環境・新エネルギー

CASE

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支援・連携主体 ● 鳥取県八頭郡智頭町 ●木の宿場実行委員会'鳥取県八頭郡智頭町( ● 林業者、製材業者、加工業者'鳥取県八頭郡智頭町、鳥取市( ● '社(国土緑化推進機構'東京都千代田区(

取組の概要'イメージ図(

宮城県

復興支援の概要

【NPO法人賀露おやじの会】・・・賀露おやじの会は、こどもたちが遊びを通して科学が好きになる実験教室や、組手什の製造・販売を通じて山林に放置された間伐材を回収、有効利用する「木の宿場(やど)」事業などを行い、地域の自立を支援。

製材業者・加工業者

賀露おやじの会

国土緑化推進機構

智頭町・ボランティア

避難所(宮城県)

協力

資金的支援

間伐材搬出 避難所では被災者やボランティアと組み立てた

提供

連携

製材・加工

緑の募金

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意欲ある女性が活躍する「場」づくり ~オンパク手法による地域活性化~

特定非営利活動法人吉備野工房ちみち '岡山県総社市( 事業主体

地域活性・まちづくり

社会的事業支援

CASE

24

支援・連携主体 ● 一般社団法人ジャパン・オンパク'大分県別府市( ● 探検田村隊'福島県田村市( ● 株式会社明天'福島県会津若松市( ● 株式会社巡の環'宮城県亘理町(

取組の概要'イメージ図(

宮城県 福島県

復興支援の概要

【NPO法人吉備野工房ちみち】・・・岡山県総社市で、地域資源を生かした「まち歩き」や商品開発などの事業を行い、地域内外の交流促進を通じた地域おこし事業を展開する。事業の企画・運営には地域住民が携わり、特に地域の女性が主体的に活動している。

吉備野工房ちみち

探検田村隊/ 地域住民

(株)明天/ 地域住民

(株)巡りの環/ 地域住民

ジャパン・オンパク

オンパク手法移転の

フォロー

オンパク手法 ノウハウ移転

研修・ ワークショップ開催

'田村市(

'会津若松市(

'亘理町(

体験交流型のイベント開催

(オンパク)

被災地でオンパクを展開するメンバー

地域の再生が重要課題に

被災地では、震災により多くの社会基盤が失われ、地域の再生が重要課題となっていた。吉備野工房ちみちは、岡山での地域づくりの実績を活かして、被災地の事業者へ地域づくりのノウハウを移転し、住民が主体となった地域づくりを支援することとした。

地域の女性の視点をいかした地域づくりを支援 吉備野工房ちみちは、「オンパク手法」による地域活性化を行ってきた実績を持つ。オンパク手法とは、地域資源を活用した体験交流型のイベントを集中的に開催することで地域活性化につなげる取組。全国各地で取り入れられているが、同法人は、特に、女性の視点をいかしたプログラムづくりに定評があり、地域の女性に活躍の場を提供している。

被災地でも、地域住民、特に女性が主体となるオンパク手法を導入するため、一般社団法人ジャパン・オンパクや、被災地の事業者と連携して、被災地の住民などを対象とした研修やワークショップなどを開催。被災地の地域住民が主体となった地域づくりを後押ししている。

個々の強みを連携させた新たなビジネスの展開に期待

プログラムづくりに参加した地域の主体が個々の強みをいかし、それぞれの主体が連携した新たなビジネスが展開されることが期待される。

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T-ACTプロジェクト ~インターシップを通じた被災企業支援~

若者の社会貢献のエネルギーを被災地支援にいかす SBに興味を持ち、震災復興の力になりたいという若者のエネルギーを活用できないかと考え、中国・四国・九州地域でソーシャルビジネスの育成支援を行う中間支援団体が合同で、被災地でのインターンシップ事業「T-ACTプロジェクト」を展開。

インターンシップ生87 名を被災地企業へ派遣 3地域合計で87名のインターンシップ生を陸前高田市や気仙沼市の企業へ派遣。現地でのがれき処理などのボランティア活動のみならず、現地の住民と協力したイベント開催や、受け入れ先企業の経営改善・問題解決に取り組み、企業や地域の復興・再建に向けた実践的活動を実施した。

インターンシップ生の成長と受け入れ企業の経営改善の両立に成功

インターンシップ生の満足度も高く、受入企業からも、企業の経営の立て直しにつながったという声もあがっている。今後もインターン生の教育・研修と、受け入れ企業の経営改善・問題解決が同時に図られるスタイルのインターンシップ事業の可能性を追求し、被災地以外でも展開することで、他の地方の活性化にも応用していくことが期待される。

株式会社ソシオ エンジン・アソシエイツ '東京都港区( 特定非営利活動法人 ひろしまNPOセンター '広島県広島市( 特定非営利活動法人 愛媛アカデメイア '愛媛県松山市( 特定非営利活動法人 宮崎文化本舗 '宮崎県宮崎市(

事業主体

地域活性・まちづくり

人材育成・自立支援

CASE

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支援・連携主体 ● ソーシャルビジネスネットワーク大学 ● (株)高田自動車学校、(株)八木澤商店、(株)長谷川建設、(株)東海新報社、 (有)橋勝商店、'株(高田シャープ電化センター'以上、岩手県陸前高田市(

取組の概要'イメージ図(

岩手県 宮城県

復興支援の概要

【NPO法人ひろしまNPOセンター、NPO法人愛媛アカデメイア、NPO法人宮崎文化本舗】・・・中国・四国・九州地域のソーシャルビジネス推進の中核的役割を担う中間支援機関。社会起業家の起業支援や地元自治体、大学、企業、関係機関等との連携・協働のもと、ソーシャルビジネス振興に貢献する活動を実施。

社会的事業支援

ひろしまNPOセンター '中国キャンパス(

被災地の復興

人材育成

宮崎文化本舗

'九州キャンパス(

受け入れ企業(被災地)

インターンシップ生

愛媛アカデメイア '四国キャンパス(

応募 派遣

復興・経営改善 インターン生募集、インターンシッププログラム作成等

ソーシャルビジネス ネットワーク大学

インターンシップ生と受け入れ先企業のメンバー

ソシオ

エンジン・

アソシエイツ(本部)

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定期“軽トラ市“で、にぎわい創出 ~東北と宮崎をつなぐ地域経済活性化事業~

商店の解体による活力の喪失、コミュニティの断絶

被災地では津波で多くの商店が倒壊。商店の再開には長期間を要することが予想され、その間、地域の経済活動が停止することで、活力の喪失やコミュニティの断絶が懸念されていた。そこで、SINKaは被災地の経済活動を早期に再興させると共に、「にぎわい」の創出によるコミュニティの再興を目指して、被災地での定期朝市の開催を決定した。

被災地で「軽トラ市」開催 SINKaは、宮崎県川南町で開催される定期朝市「トロントロン軽トラ市」のノウハウを持つ。軽トラ市は、商品を積んだ軽トラックが沿道に並んで特産品などを販売する朝市で、川南町商工会が毎月第4日曜日に開催。1万人以上が来場し、町産業の振興と雇用創出をもたらしている。気軽で簡単ににぎわいを創出するこのノウハウをいかし、被災地の地元事業者とも連携して準備を進め、12月には陸前高田市で「けせん軽トラ市」を開催した。

東北と宮崎、全国のネットワーク化を目指す

口蹄疫からの復興に苦しむ川南町と被災地をつなぎ、復興に向けた情報交換や人材交流も進めていく。また、軽トラ市のマニュアル化と、全国各地で開催されている軽トラ市をネットワーク化し、各地の成功要因を探り、各地の地産物や地域資源を活かした経済活性化も目指す。このビジネスモデルが過疎化が進む中山間地域での経済活動活性化の参考モデルとなることが期待される。

一般社団法人SINKa'社会的起業創出ネットワーク九州・アジア( '福岡県福岡市( 事業主体

地域活性・まちづくり

社会的事業支援

支援・連携主体 ● ケセンきらめき大学(岩手県大船渡市) ● 株式会社デュナミス、NPO法人ファイブブリッジ(宮城県仙台市)

取組の概要'イメージ図(

宮城県岩手県

復興支援の概要

【一般社団法人SINKa】・・・社会的起業家・社会的企業の育成・支援組織。起業支援や各種専門家による経営やマーケティング等のアドバイスを行うほか、人や組織のネットワークづくり、人材育成のためのセミナーや資金調達支援、情報発信事業を実施。

川南町「トロントロン軽トラ市」の様子

CASE

26

(社)SINKa

NPO法人ファイブブリッジ 岩手県中小企業家同友会

仙台市'宮城県( 陸前高田市'岩手県(

アドバイザー

ノウハウ移転・支援

ケセンきらめき大学 (株)デュナミス

軽トラ市開催

川南町商工会'宮崎県(

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沖縄のノウハウを岩手へ ~三陸沿岸の水産業の第6次産業化~

壊滅的な被害を受けた水産業の6次産業化プロジェクトを開始 岩手県三陸沿岸地域は、元来、水産業・水産加工業など海洋資源に依存した産業構造であったが、津波によりそれらの産業は壊滅的な打撃を受けた。その中、岩手大学は三陸沿岸地域の復興のため、産学官連携による水産業6次産業化プロジェクトを開始。 (株)アール・イー・アイも、農業における6次産業創出モデル事業のノウハウを活かして、連携、協力することとなった。

「SANRIKU」ブランドの高付加価値商品の開発を目指す プロジェクトの中で、アール・イー・アイは、主に加工・流通・販売のサポートを担当。岩手大学及び現地でコミュニティビジネスを行うFrontier x Frontier(株)と連携し、水産業者のニーズ調査を行った他、首都圏で岩手の物産展を開催した。物産展では、水産物や水産加工品のマーケティング調査を実施。岩手県の水産業者とともに、今後の「SANRIKU」ブランドを担う高付加価値商品の開発につなげていく。

企業、生産者、加工業者等が一体となった6次産業化推進母体の創設も検討

プロジェクトでは、事業化に向けて、民間企業、生産者、加工業者、流通業者、販売業者が一体となった第6次産業事業推進母体の創設を予定している。新商品開発や、水産業の後継者の育成も視野に入れ、岩手の水産業の第6次産業化を通じた三陸地域の復興を目指す。

株式会社アール・イー・アイ'沖縄県名護市( 国立大学法人岩手大学'岩手県盛岡市(

事業主体

社会的事業支援

CASE

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支援・連携主体 ● Frontier X Frontier 株式会社 盛岡支店'岩手県盛岡市(

取組の概要'イメージ図(

岩手県

復興支援の概要

【(株)アール・イー・アイ】・・・沖縄北部地区の第1次産業活性化のため、消費者への直接販売や通販サイトの運営等のITを活用した販路拡大支援を実施。今後は第1次産業従事者が、生産から加工・流通・販売のすべてを担う、第6次産業モデルの構築を目指す。

地域活性・まちづくり

復興支援フェア

岩手大学

(株)アール・イー・アイ

沖縄での6次産業化の実績

加工・流通・販売サポート

Frontier×Frontier(株)

岩手での松茸販売の実績

第6次産業化計画推進 現地生産者との窓口

マーケティング 調査

調査結果 分析

岩手の水産業者

第6次産業の 担い手

生産物 /ニーズ

結果フィードバック・/ ノウハウ

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岩手県外で行われた復興支援フェアの様子

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分野別インデックス

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地域活性・

まちづくり

環境・新エ

ネルギー農業・食

教育

・子育て

福祉・保健

・医療IT・情報化

人材育成・

自立支援

社会的事業

支援

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事業者DATA

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00 事例タイトル団体名

所在地

代表社名

01 水を使わない「バイオトイレ」

NPO法人グランドワーク西神楽

北海道旭川市

理事長 武田 勇美

02 地域資源を活かした「地域ツーリズム」

NPO法人ねおす

北海道札幌市

理事長 高木 晴光

03 なつかしい未来創造(株)なつかしい未来創造株式会社

岩手県陸前高田市

代表取締役社長 田村 滿

04 宮城のこせがれネットワークNPO法人ファイブブリッジ

宮城県仙台市

理事長 畠山 茂陽

05 東北ROKUプロジェクト株式会社ファミリア

宮城県仙台市

代表取締役 島田 昌幸

06 実践型ビジネススクール「東北マルシェ」NPO法人ネットワークオレンジ

宮城県気仙沼市

代表理事 小野寺 美厚

07 老舗スーパーがインターネットショップ開設株式会社マツバヤ

福島県双葉郡浪江町

代表取締役社長 松原 茂

08 仮設住宅入居者への「健幸プロジェクト」

株式会社つくばウエルネスリサーチ

茨城県つくば市

代表取締役社長 久野 譜也

09 簡易仮設住宅「ホワイトタウン」プロジェクト

特定非営利活動法人キャンパー

埼玉県行田市

代表理事 飯田 芳幸

10 九十九里の復興・再生へ特定非営利活動法人TINA

千葉県横芝光町

代表理事 秋葉 秀央

11 食べて復興応援「Oyster for Oyster」株式会社大地を守る会

千葉県千葉市

代表取締役社長 藤田 和芳

12 祐ホームクリニック石巻医療法人社団鉄祐会祐ホームクリニック

東京都文京区

理事長 武藤 真祐

13 セキュリティ被災地応援ファンドミュージックセキュリティーズ株式会社

東京都千代田区

代表取締役 小松 真実

14 キッチンカーによる飲食業者の事業再建プラットフォームサービス株式会社

東京都千代田区

代表取締役会長 田辺 恵一郎

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22 ファウンダーとして復興を応援

特定非営利活動法人ソーシャル・デザイン・ファンド

兵庫県宝塚市

代表理事 金森 康

23 木の駅(木の宿場)プロジェクト

特定非営利活動法人賀露おやじの会

鳥取県鳥取市

理事長 藤田 充

24 意欲ある女性が活躍する「場」づくり特定非営利活動法人吉備野工房ちみち

岡山県総社市

理事長 加藤せい子

25 T-ACTプロジェクト特定非営利活動法人ひろしまNPOセンター

広島県広島市 代表理事 安藤 周治

特定非営利活動法人愛媛アカデメイア

愛知県松山市 代表理事 岡村 茂

特定非営利活動法人宮崎文化本舗

宮崎県宮崎市 代表理事 石田 達也

26 定期“軽トラ市”で、にぎわい創出一般社団法人SINKa

福岡県福岡市

代表理事 濱砂 清

27 沖縄のノウハウを岩手へ株式会社アール・イー・アイ

沖縄県名護市 代表取締役社長 余語俊彦

国立大学法人岩手大学

岩手県盛岡市 学長 藤井 克己

15 子どもが夢を見られる日本をつくろう

一般社団法人チームともだち

埼玉県吉川市

代表 登内 義也

16 えがおつなげてネットワークの活用

特定非営利活動法人えがおつなげて

山梨県北杜市

代表理事 曽我原 久司

17 コミュニティタクシーモデル株式会社コミュニティタクシー

岐阜県多治見市

代表取締役 岩村 龍一

18 “浜のミサンガ「環」づくり”特定非営利活動法人NPO愛知ネット

愛知県安城市

理事長 天野 竹行

19 SEND-AI届け「復興トマト」プロジェクト株式会社マイファーム

京都府京都市

代表取締役社長 西辻 一真

20 市民が復興を支え続ける「基金」創設公益財団法人京都地域創造基金

京都府京都市

理事長 深尾 昌峰

21 被災地の小さな手仕事「EAST LOOP」株式会社福市

大阪府大阪市

代表取締役社長 髙津 玉枝