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平成30年10月24日 文教・科学技術 資料1

文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

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平成30年10月24日

文教・科学技術

資料1

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目次

論点1 公財政教育支出

論点2 幼児教育の無償化

論点3 義務教育

論点4 私立高校授業料の実質無償化

論点5-(1) 高等教育<教育の質の確保と経済的負担の軽減>

論点5-(2) 高等教育<私立大学の質の向上>

論点6-(1) 科学技術<科学技術関係予算>

論点6-(2) 科学技術<国立大学法人の質の向上>

論点6-(3) 科学技術<官民の役割分担と執行上の問題>

1

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文教及び科学技術分野の主な課題

( 30年度予算 )

・研究開発の生産性

・大学改革・高等教育の経済的

負担軽減 等

・大学改革・高等教育の経済的

負担軽減 等

・高等教育の経済的負担軽減

・幼児教育の無償化

(単位:億円)

義務教育費国庫負担金15,228(28.4%)

53,646億円

私学助成(注)

4,277(7.9%)

高等学校無償化3,846(7.2%)

科学技術振興費13,159(24.5%)

基礎年金等日本私立学校振興・共済事業団補助 1,269 (2.4%)育英事業費 1,269 (2.4%)公立文教施設費 766 (1.4%)高専運営費・施設費 645 (1.2%)幼稚園就園奨励費 300 (0.6%) 等

文教関係費40,488(75.5%)

国立大学法人運営費交付金等10,971(20.5%)

その他の文教関係費6,166(11.5%)

・私立高校の実質無償化

・教員の働き方改革

(注)30年度予算額は、科学技術振興費を含む 2

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・教員の働き方改革

・大学改革・高等教育の経済的

負担軽減 等

・大学改革・高等教育の経済的

負担軽減 等・私立高校の実質無償化・幼児教育の無償化

・研究開発の生産性

・高等教育の経済的負担軽減

(注)30年度予算額は、科学技術振興費を含む

文部科学省予算の主な課題

義務教育費国庫負担金15,228(28.7%)

国立大学法人運営費交付金等10,971(20.7%)高等学校無償化

3,846(7.2%)私学助成(注)

4,277(8.0%)

科学技術振興費8,694(16.4%)

経済協力費 283(0.5%)文官等恩給費 9(0.02%)

エネルギー対策費1,464(2.8%) その他の事項経費

1,183(2.2%)

文化庁予算1,055(2.0%)

高専運営費・施設費 645 (1.2%)

基礎年金等日本私立学校振興・共済事業団補助金 1,269 (2.4%)

文教関係費40,405(76.1%)

その他3,994(7.5%)

その他の文教関係費6,083(11.5%)

公立文教施設費 686 (1.3%)

幼稚園就園奨励費 300 (0.6%) 等

53,093億円

( 30年度予算 ) (単位:億円)

育英事業費 1,269 (2.4%)

3

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論点1 公財政教育支出

○ ⽇本の公財政教育⽀出について、OECD諸国と⽐較されることが多いが、⼦供数、国⺠負担率等を踏まえ、どのように評価すべきか。

論点1 公財政教育支出

4

Page 6: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ ⽇本の公財政教育⽀出の対GDP⽐は、OECD諸国の中で低いとの指摘がある。○ しかしながら、⽇本の⼦供の割合もOECD諸国の中で低い。

公財政支出の規模は、子どもの数を考慮する必要

33.130.5 30.3 30.0 29.9 28.8 28.0 27.9 27.3 26.9 26.8 26.6

24.7 23.5 23.4 23.1 23.0 21.8 21.421.1 20.9 20.7 20.5 20.4 20.4 20.1 20.0 19.4 19.4 19.3 18.5 18.1 17.2 16.3

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

イスラエル

メキシコ

オーストラリア

トルコ

ニュージーランド

デンマーク

チリ

ノルウェー

スウェーデン

ベルギー

フィンランド

アイルランド

アメリカ

オランダ

イギリス

韓国

フランス

スペイン

ポーランド

ギリシャ

スロベニア

ドイツ

オーストリア

ラトビア

チェコ

ハンガリー

ポルトガル

スロバキア

ルクセンブルク

スイス

カナダ

イタリア

エストニア

日本

7.1

6.0 5.9 5.7 5.7 5.5 5.2 5.0 5.0 4.9 4.9 4.8 4.6 4.6 4.5 4.5 4.5 4.5 4.4 4.4 4.2 4.2 4.1 4.1 4.1 4.03.7 3.7 3.6 3.4 3.4 3.3 3.3 3.1

0.01.02.03.04.05.06.07.08.09.0

ノルウェー

フィンランド

アイスランド

スウェーデン

ベルギー

ニュージーランド

イギリス

オランダ

イスラエル

オーストラリア

オーストリア

フランス

スイス

アメリカ

ラトビア

韓国

メキシコ

チリ

カナダ

ポルトガル

ポーランド

エストニア

トルコ

スロバキア

スロベニア

ドイツ

アイルランド

スペイン

イタリア

ハンガリー

ギリシャ

ルクセンブルグ

チェコ

日本

公財政教育支出対GDP(初等・中等・高等教育段階、対教育機関)(2015年)

人口全体に占める在学者数の割合(初等・中等・高等教育段階)(2014年)

7割

公財政教育支出GDP比

日本 3.1%

OECD平均 4.5%

7割

在学者/総人口

日本 16.3%

OECD平均 23.5%

(注)OECD平均の値は、計数が取れず算出不能である国を除いた加盟国の平均値。(出典)OECD「Education at a Glance 2016」、「Education at a Glance 2018」

OECD平均4.5%

OECD平均23.5%

公財政教育支出①

5

Page 7: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ 教育は⼦供⼀⼈ひとりに施すものであるという観点から、⼀⼈当たりで⾒れば、OECD諸国と⽐べて、教育⽀出全体は⾼い⽔準にあり、公財政⽀出に限っても遜⾊ない⽔準。

「一人当たり」の教育支出は国際的に見て遜色ない水準

(注1) 教育支出は全サービスに対する支出を指し、公的教育支出は教育支出に「教育機関に対する最終支出の公費負担割合」を乗じて算出。(注2) OECD平均の値は、計数が取れず算出不能である国を除いた加盟国の平均値。(出典) OECD「Education at a Glance 2018」

公財政教育支出②

6

32% 32% 31% 31%30% 30% 30% 29% 29% 28% 28% 28% 28% 28% 28% 27% 27% 27%

26% 26% 26% 26% 25%24% 24% 24% 24%

22%21% 20%

19%

14%

22% 23%

28%

25%

30%28%

21%20%

25% 24%

26%25% 24%

21%

26%

24%

27%

18%

21%

16%

22%21%

22%21%

23%

17%

20% 20%

18%

16%15%

12%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%「在学者一人当たり」教育支出の対一人当たりGDP比(2015年) 教育支出

うち公財政教育支出

OECD平均(教育支出) 26%OECD平均(うち公的教育支出) 22%

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○ 教育に係る私費負担の多寡を議論するのであれば、国⺠負担率の多寡も併せて議論する必要があるが、国⺠負担率の⽔準は、OECD諸国の中で最低レベルである。

公的支出の原資となる国民負担率は先進国最低レベル

87.2%

67.1% 66.5% 64.0% 63.7% 63.7% 63.7%59.1% 58.2% 56.9% 55.5% 56.2% 54.1% 53.2% 52.0% 50.3% 49.8% 48.1% 48.5% 49.5% 46.5% 47.7% 45.4% 45.7% 44.5% 45.3% 42.6%

38.9% 37.8%33.3%

24.3%20.2%

0.2%

0.9% 0.5%0.9% 0.7% 0.4% 0.1%

0.5% 0.7% 0.3% 1.3% 0.4%0.7% 0.8% 1.3%

0.8% 0.9% 2.4% 1.1% 0.1%2.6% 0.9%

2.2% 0.7% 1.5% 0.6%1.6%

2.9% 2.4%

2.5%

2.8%

1.4%

87.4%

68.0% 67.0%64.9% 64.4% 64.1% 63.8%

59.5% 58.9%57.2% 56.8% 56.7%

54.8% 54.0% 53.3%51.1% 50.7% 50.5% 49.7% 49.6% 49.1% 48.6% 47.7% 46.4% 46.0% 46.0%

44.1%41.8%

40.2%

35.8%

27.1%

21.6%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

国民負担率と私費教育負担率(2015年)

国民負担率

私費教育負担率

(注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育負担額÷国民所得」により算出。(出典)内閣府「国民経済計算」、OECD「Education at a Glance 2018」、OECD「National Accounts」、OECD「Revenue Statistics」等

国民負担率

7

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○ OECD諸国の中で、⽇本の公財政教育⽀出の対GDP⽐が低い、あるいは、私費負担が⼤きいとの指摘があるが、・ 教育は⼀⼈ひとりに対するものであるという観点から、在学者⼀⼈当たりで⾒れば、OECD諸

国と⽐べて、教育⽀出全体は⾼い⽔準にあり、公財政⽀出に限っても遜⾊ない⽔準となっていること、

・ 私費負担の多寡を議論するのであれば、国⺠負担率の多寡も併せて議論する必要があるが、国⺠負担率の⽔準は、OECD諸国の中で最低レベルにあること

などを考慮する必要があり、公財政教育⽀出の対GDP⽐だけを⾒て、量的⽔準の拡⼤を⽬的化することは適切ではないのではないか。

検討の方向性 公財政教育支出

8

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論点2 幼児教育の無償化

○ 幼児教育について、少⼦化対策として、⼦育て世帯の経済的負担を軽減する観点から幼稚園の費⽤を無償化し、また保育の必要性及び公平性の観点から預かり保育の無償化を進めることとされているが、預かり保育を含め、幼稚園のあり⽅をどのように考えるか。

論点2 幼児教育無償化

9

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保育園・幼稚園在籍率は国際的に見て高い水準

100 99 99 99 98 98 98 98 98 9897

97 97 97 9797

96 96 95 95 95 95 95 94 93 92 92 91 9190

8482

70

99

63

45

86

99

2

9691

89

97

71

97

100

9692

76

89

100

92

85

67

56

83

92

27

87

49

84

38

78

97

73

67

90

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100 5歳 3歳

(注1) 計数は、3歳児についてはISCED 0(Early childhood education)。5歳児についてはISCED 02(Pre-primary)+ISCED 1(Primary education)。(注2) ギリシャの3歳児の計数は、ISCED 01(Early childhood development programs)のみ。(注3) 日本の保育所児童数は、地域裁量型認定こども園等を対象に含めている「待機児童調査」の計数。(出典)OECD「Education at a Glance 2018」、平成29年度「待機児童数調査」「学校基本調査」「認定こども園に関する状況調査」

(%)

幼・保在園率

10

100100

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幼児教育無償化骨太2018により定められた幼稚園の無償化の具体化が必要

(旧制度の幼稚園の無償化)○ 3歳から5歳までの全ての⼦供についての幼稚園、保育所、認定こども園の費⽤の無償化措置(⼦ども・⼦

育て⽀援新制度の対象とならない幼稚園については、同制度における利⽤者負担額(⽉額2.57万円)を上限)。

(幼稚園の「預かり保育」の無償化)○ 保育の必要性があると認定された⼦供の「幼稚園の預かり保育」は無償化の対象。

幼稚園の預かり保育については、幼稚園保育料の無償化上限額(⽉額2.57万円)を含めて、上述の上限額(認可保育所における⽉額保育料の全国平均額・⽉額3.7万円)まで無償とする。

幼児教育無償化(幼稚園部分)にかかる⾻太2018の主な内容

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○ 旧制度の幼稚園のうち、⼦ども・⼦育て⽀援新制度へ移⾏する予定がない、⼜は、将来に移⾏が明確でない幼稚園が半数を占める。

旧制度幼稚園の多くは、子供・子育て支援新制度へ移行する予定はない

新制度への移行状況の推移 平成30年度における新制度への移行状況(累積)(対象園数7,892 園)

(注1)上記園数には、平成27年4月1日以降に新設された園を含み、廃園となった園及び廃園に準ずる形での休園となっている園等を除く。

(注2)平成30年度に移行を予定している園は586園だが、既に移行済の園のうち5園が休園となっているため、前年度比は+581園となっている。

幼稚園型認定こども園 928園 11.8%幼保連携型認定こども園 1,411園 17.9%施設の種類については検討中 12園 0.2%

  (移行する方向で検討中を含む)

3,512園

(前年度+581園)

14.1%

③幼稚園のままか、認定こども園として移行するか検討中 45園 0.6%

44.5%

(前年度+8.1%)

②認定こども園となって移行 2,351園 29.8%

①幼稚園のまま移行 1,116園

1.平成30年度までに新制度に移行

2.平成31年度以降に移行を検討・判断 3,301園 41.8%

486園 6.1%

② 状況により判断 2,815園 35.7%

① 平成31年度以降、新制度へ移行   (移行する方向で検討中を含む)

3.将来的にも移行する予定はない 1,067園 13.5%

4.無回答 12園 0.2%

新制度への移行

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○ 少⼦化対策として幼児教育の無償化を進めていくにあたって、保育の必要性があると認定された幼児の「預かり保育」も無償化の対象とされることとなっている。

「預かり保育」を無償化の対象とするのであれば、待機児童対策や利⽤者利便の観点から、認定こども園への移⾏が進んでいない現状の分析が必要ではないか。

検討の方向性幼児教育無償化

13

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論点3 義務教育

○ 新しい学習指導要領の実施や、学校における働き⽅改⾰のため、教職員定数の増加による対応の是⾮を含め、学校の指導・運営体制をどのように改善していくべきか。

○ 児童の減少に⽐して、学校数はさほど減少していない。「適正規模」に満たない学校が多く存在する中で、学校の統廃合を含め、学校規模の適正化を図ることについてどう考えるか。

論点3 義務教育

14

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2.9

3.0

3.1

3.2

66

67

68

69

70

30 31 32 33 34 35 36 37 38

3.16人

児童生徒40人当たりの教職員数(右軸)(文科省の要求)

文科省要求(+2,615人)公費:168億円 国費:56億円

文科省要求(+1.9万人)公費:約1,200億円国費:約400億円

3.07人

教職員定数(左軸)(文科省の要求)

66.1万人

(教職員定数:万人) (児童生徒40人当たり教職員数:人)

(出所)学校基本調査報告書等

○ ⽂部科学省は、教職員定数の改善として2,615⼈の増(国費︓56億円増)を要求。

68.0万人

文科省からは教職員定数の改善を求める要求

事項H31要求

H31~38計画

小学校専科指導の充実 +1,000人 +3,000人

共同学校事務体制強化 +400人 +8,325人

貧困等に起因する学力課題の解消

+500人 +750人

中学校における生徒指導体制の強化(いじめ・不登校等の未然防止・早期対応等の強化)

+500人 +4,050人

統合校・小規模校への支援

+75人 +875人

学校指導体制の基盤整備(養護教諭・栄養教諭等)

+40人 +1,310人

主幹教諭の配置充実 +100人 +600人

合計 +2,615人 +18,910人

平成31年度概算要求における文科省要求 教職員定数の見通し(文科省要求)

教職員定数要求

68.8万人

2.92人

15

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742 

1,004 942 

900 801 

878 

610 

966 

817 

684 747  765 

0

200

400

600

800

1,000

1,200

日本 アメリカ イギリス フランス ドイツ G5平均

小学校 中学校

○ 初等中等教育における⽇本のPT⽐(教員⼀⼈当たりの児童⽣徒数)は、主要先進国と⽐べて遜⾊ないレベル。○ ⽇本の教員の授業時間数は、主要先進国と⽐べて短い。

2016年 小学校 中学校

日本 16.6 13.4

OECD平均 15.0 12.7

G5平均 16.7 14.3

アメリカ 15.2 15.3

イギリス 16.9 14.8

フランス 19.4 14.7

ドイツ 15.3 13.2

(出典)Education at a Glance 2018(OECD)

教育段階別教員一人当たり児童生徒数

(出典)アメリカはEducation at a Glance 2017(OECD)、イギリスはEducation at a Glance 2016(OECD)、その他の国はEducation at a Glance 2018(OECD)

(時間)

教員一人当たりの児童生徒数は、主要先進国と比べて遜色がない

教員の授業時間数(年間)

教員実態の国際比較

16

Page 18: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

(出典)文部科学省「平成27年度公立小・中学校における教育課程の編成・実施状況調査の結果について」「平成28年度教員勤務実態調査」

○ 新学習指導要領(平成32年度以降)に基づく授業時間は、英語の授業コマ数の増加により、⼩学校において現⾏の学習指導要領の941コマから964コマに増加する。

○ ⼀⽅で、⽂部科学省の「実施状況調査(平成27年度)」や「教員勤務実態調査(平成28年度)」によれば、既に新指導要領のコマ数(964コマ)を上回る授業が⾏われている。

小学校1~6学年平均の授業受講コマ数

現行学習指導要領においても、すでに新指導要領以上の授業が行われている

(授業コマ数)

授業コマ数の実態

17

850

950

1050

850

950

1050

現・学習指導要領 新・学習指導要領(H32〜)

H27実態調査(悉皆調査)

H28教員勤務実態調査(アンケート)

からの推計

指導要領ベース 実態調査ベース

941コマ

964コマ 981コマ

1031︖〜1178︖コマ

教員勤務実態調査において教員全体の平均で主担4:06、補助0:19の授業

を行っているとされている。↓

これを標準的な年間授業日数(175日〜200日)で年換算すれば、児童は少なくとも1031〜1178コマ/年の授業を

受講していると推計される。

(授業コマ数)

英語授業コマ数の増加

+23コマ

Page 19: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

① 教員は、事務負担や地域対応、クラブ活動などに負担感を有している。② 地⽅交付税では、市町村費負担事務職員が措置されているが、学校の設置・管理者である市町村の判断により、

地⽅交付税交付⾦の算定上の⼈数を下回った配置となっている。③ 多くの中学校では、教員の希望とは無関係に、教員全員が部活動にあたることを原則としている。また、平⽇で

平均2時間、⼟・⽇に6.3時間もの活動を⾏っている。

(出典) とりもどせ!教職員の「生活時間」-日本における教職員の働き方・労働時間の実態に関する調査研究報告書- (公財)連合総合生活開発研究所

小学校 中学校

1位保護者・地域からの要望等への対応

84.0保護者・地域からの要望等への対応

81.8

2位国や教育委員会からの調査対応

82.8国や教育委員会からの調査対応

80.3

3位 成績一覧表・通知表の作成 79.1児童・生徒の問題行動への対応

79.3

4位児童・生徒の問題行動への対応

77.9 クラブ活動・部活動指導 74.5

5位学期末の成績・統計・評定処理

75.8 成績一覧表・通知表の作成 71.3

① 負担感のある業務

教員は地域対応、事務、クラブ活動などに負担感を有している

区分 人数

小学校 1.7万人程度

中学校 0.9万人程度

(注)基準財政需要額の単価費用等から推計

地方交付税交付金の算定上見込まれている人数(推計)

区分 人数

小学校4,650人

(うち常勤:2,198人)

中学校2,597人

(うち常勤:1,262人)

(注1)常勤は、「平成29年度学校基本調査」

(注2)非常勤は、予算執行調査によるフルタイム換算

実際の配置人数

② 市町村費負担事務職員③-2 中学校運動部所属における部活動時間の分布

(出典)スポーツ庁「平成29年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査」

教員の負担軽減

88.4  5.3 6.3 

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

中学校

教員全員が当たることを原則としている

希望する教員が当たることを原則としている

その他

(出典)スポーツ庁「平成29年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査」

18

③-1 中学校部活動顧問の配置状況

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

1~60 61~120 121~180 181~240 241~300 301~360 361~420 421~480 481~540 541~600 601~660 661以上

月~金 土 日

平日平均 : 114.2分(0分・・・5,039人)

土曜平均 : 219.7分(0分・・・40,443人)

日曜平均 : 159.3分(0分・・・236,227人)

(%)

(分)

Page 20: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

(出典)文部科学省「学校基本調査」

生徒数

13,000

15,000

17,000

19,000

21,000

23,000

25,000

500

600

700

800

900

1,000

平元 4 7 10 13 16 19 22 25 28

学校数

(児童数:万人) (学校数:校)

児童数

1学校当りの児童数H元 : 385.9人 → H30: 322.2人

公立小学校

H30年:約631万人

H30年:19,591校

H元年 約950万人

H元年 24,608校

児童生徒数の減少数ほど小中学校数は減少していない

250

300

350

400

450

500

550

600

平元 4 7 10 13 16 19 22 25 285,000

6,000

7,000

8,000

9,000

10,000

11,000

12,000

H30年 約298万人

1学校当りの生徒数H元 : 509.2人 → H30 : 316.7人

H29年 9,421校

学校数

公立中学校

H元年 約539万人

H元年 10,578校

(学校数:校)(児童数:万人)

学校数・児童生徒数

19

Page 21: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

85 57

131

541

671

475

392 398

652

459409

621

527442

517445

399 389

318 289 269214 185 133

109

311

383

0

200

400

600

800

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25~

3031~

3637~

42

25656

135

582605

527

1,018

1,746

2,070

810573

484

709

738

1,345

1,019

851

631634

607626

574546

439371

310274

237

215

164

14311091 69 55 42 35 28 24 11 12 8 5 5 1 1 0 1 0 0 10

500

1,000

1,500

2,000

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 32 34 36 38 40 42 44 46 48 50

適正規模複式学級

複式学級 適正規模

(注1)表中の「適正規模」とは、学校教育法施行規則第41条及び79条に基づく小中学校1校当たりの標準学級数をいう。(注2)特別支援学級は含まない。また、0学級は休校中の学校。(出典)文部科学省「学校基本調査」

適正規模未満が

51.6%

学級数別学校数(小学校)(公立19,794校の内訳)

学級数別学校数(中学校)(公立9,479校の内訳)

(校)

(校)

(学級)

(学級)

○ 学校規模については、「公⽴⼩学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する⼿引」(⽂部科学省)によれば、⼩・中学校ともに12〜18学級が適正規模であるとされているにもかかわらず、それ未満の学校が約5割も存在。

適正規模未満

が44.8%

適正規模未満の小・中学校は約5割を占める 学級数別学校数

20

①教育上の問題点

・ クラス替えが全部又は一部の学年でできない。

・ クラス同士が切磋琢磨する教育活動ができない。

・ 集団学習や協働的な学習に制約が生じる。

②学校運営上の問題

・ 教職員一人当たりの校務負担や行事に関わる負

担が重くなる。

・ 経験年数、専門性等のバランスのとれた教職員

配置が困難となる。

・ 課題に組織的に対応することが困難となる。

(出典)文部科学省「学校規模の適正化及び少子化に対応した学校教育の充実策に関する実態調査について」(平成29年3月31日)

N=1755(全市区町村)

(出典)文部科学省「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」(平成27年1月27日)

小規模校の問題点

地理的な理由等により統合の検討対象とすることが困難な小規模校の存在

Page 22: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ 教職員定数については、少⼦化の視点を踏まえた⾃然減や平成29年度の法改正に基づく基礎定数化を勘案した⾒通しによれば、児童⽣徒あたりの教職員数は増加することとなる。これに加えて更なる教職員数の増加が必要となるか否かは、定量的かつ客観的なエビデンスやPDCAサイクルの確⽴が前提となるのではないか。

○ 教員の働き⽅改⾰に関しては、まずは、・ 教育委員会等からの事務・調査の厳選・合理化、・ 総量規制を含めた部活動のあり⽅の⾒直し、・ 市町村費負担事務職員の配置の適切な活⽤といったことを通じて、教員がより多くの時間を授業に充てられるよう業務の適正化を⾏っていくべきではないか。

○ その上で、今般の学習指導要領改訂に伴う英語の授業時数の増加に関しては、総授業時数で⾒れば、すでに学習指導要領改訂後の必要授業時数を上回る授業を⾏っている実態にかんがみ、・ 必要な授業時数を上回って実施している授業の英語への振替え、・ 中学校教員も含めた教員配置の⾒直し、・ 外部⼈材の活⽤やそのための免許制度の⾒直しといったことを通じて、対応していくべきではないか。

検討の方向性 義務教育

21

Page 23: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ 地域の実情を踏まえる必要があるものの、児童⽣徒が、その能⼒を育み、社会性や規範意識を⾝に付けられるような教育環境を整備する観点や学校運営上の観点から、学校規模の適正化が必要ではないか。

検討の方向性 義務教育

22

Page 24: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

論点4 私立高校授業料の実質無償化

○ 私⽴⾼校授業料について、更なる負担軽減を進めることとされているが、その際、留意すべき点は何か。

論点4 私立高校授業料の実質無償化

23

Page 25: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ 現在、国は、公⽴⾼校については無償化を実現すると共に、私⽴⾼校については所得に応じた上乗せ措置による負担軽減を実施している。

○ 加えて、地⽅⾃治体が、地域における私⽴⾼校の役割等に応じて、国の⽀援に上乗せして私⽴⾼校の授業料を⼿厚く軽減している。

○ 「新しい経済政策パッケージ」において、今後、安定的な財源を確保しつつ、年収590万円未満の世帯を対象に私⽴⾼校の授業料を実質無償化することとされている。

24

年収590万円未満世帯の私立高校授業料の実質無償化の状況私立高校授業料の実質無償化①

Page 26: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ 私⽴⾼校の授業料の負担軽減(平成22年度進学者から適⽤)は、15歳以上⼈⼝が減少する中、私⽴⾼校の⽣徒数を増加させる⼀⽅、公⽴⾼校の⽣徒数を⼀層減少させる要因となっている。

○ 特に、東京都は、全国平均と⽐較して、公⽴⾼校の⽣徒数が少ない。今後、さらに、公⽴⾼校の⽣徒数の減少が⾒込まれる。その結果、東京都の財政負担が⼀層軽減されることにもなる。

私立高校の授業料の負担軽減により、公立高校の生徒数がより一層減少

234

222

100

105

90

95

100

105

110

115

120

180

190

200

210

220

230

240

21年度 22年度 23年度 24年度 25年度 26年度 27年度 28年度 29年度

(参考)21年度から29年度の増減率 合計:▲2.0%(公立:▲5.0%、私立:+4.9%)(出典)文部科学省「学校基本調査」

(万人)公立及び私立高校の生徒数の推移

(出典)文部科学省「平成29年度学校基本調査」、東京都「平成29年度学校基本統計」

全国及び東京都の公立高校における生徒数の状況

制度開始

公立(左軸)

私立(右軸)

私立高校の負担軽減拡充

全国 東京都

公立222万人(68.0%)

13.7万人(43.8%)

私立105万人(32.0%)

17.6万人(56.2%)

公私計 327万人 31.4万人

25

私立高校授業料の実質無償化②

Page 27: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ 年収590万円未満の世帯を対象に私⽴⾼校の授業料の実質無償化を進めることとされている。その際、・ ⼤学等にかかる現⾏の給付型奨学⾦制度や授業料減免制度は平年度化等に伴い今後財源が必要

となり、確保を検討していくこととなるが、それらは、消費税の使途変更に伴う現⾏制度・予算の⾒直しにより活⽤可能となる。それらを含めた安定的な財源確保を徹底すべきではないか。

・ また、特に公⽴⾼校⽣の少ない東京都において、より⼀層公⽴⾼校⽣数の減少につながるといったことを踏まえ、国・地⽅の役割分担を改めて考え直す必要があるのではないか。

検討の方向性

26

私立高校授業料の実質無償化

Page 28: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

論点5 高等教育(1) <教育の質の確保と経済的負担の軽減>

○ 少⼦化対策として⾼等教育にかかる経済的負担の軽減を進めることとされているが、どのような点に留意すべきか。⾼等教育の質を確保し、学⽣が勉学に励む環境を作るため、どのような⼤学等を対象とするか、⼤学等にどのような取組みや教育成果を求めるか。

論点5 高等教育(1)

27

Page 29: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

高等教育進学率・学位保持率はOECD諸国の中でトップクラスの水準

91 89 86 82 80 76 75 73 72 72 70 70 69 64 64 64 62 62 6058 57 54 52 49

48 4131

63

89

72 70 72 7263

69

59 56 5262

56 55 6053 51 47 51 50 49 45

37

170

102030405060708090

100

(注)日本は留学生除きのデータはないが、高等教育機関に在籍する留学生割合は3%。

6960 60 60 56 54  50 49 46 46 45 45 44 44  41  40  40  40 

37  36  35  35  35  30 

01020304050607080

(%)

(注)高等教育進学率:高等教育課程(2年制大学等も含む全高等教育課程)に進学したある年齢の進学者数を当該年齢人口で除した年齢別進学率の合計。なお、高等教育進学率(留学生除き)については、データのある国のみ掲載している(日本はデータなし)。

学位保持率(初回卒業率):高等教育課程(2年制大学等も含む全高等教育課程)の初回卒業率。(出典)OECD「Education at a Glance 2018」

学位保持率

OECD平均︓66%OECD平均(留学⽣除き)︓57%

進学率⾼等教育進学率(全体)⾼等教育進学率(留学⽣除き)

OECD平均︓44%

(%)

進学率、学位保持率

28

Page 30: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

60

4842 43 40

66

54

30

42 43

30

64

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

ノルウェー オーストリア フィンランド アイスランド スウェーデン スロベニア

高等教育全体学士課程

公費負担割合の高い先進国における若者世代の高等教育進学率

31.4

43.9

49.4

54.8

62.464.7

72.776.6

81.2 80.2

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

400万円以下 600万円以下 800万円以下 1000万円以下 1000万円超

(注1)日本全国から無作為に選ばれた高校3年生4,000人とその保護者4,000人が調査対象。

(注2)両親年収は、父母それぞれの税込年収に中央値を割り当て(例:「500~700万円未満」なら600万円)、合計したもの。

(注3)無回答を除く。専門学校には各種学校を含む。

(出典)東京大学大学院教育学研究科大学経営・政策研究センター「高校生の進路追跡調査第1次報告書」(2007年9月)

日本の高校卒業後の予定進路(両親年収別)(%)

高等教育機関計( 4年制大学+短期大学+

専門学校)

学士課程(4年制大学)

(注1)公費負担割合(高等教育段階)については、①ノルウェー96.0%、②オーストリア93.8%、③フィンランド93.1%、④アイスランド89.3%、⑤スウェーデン84.7%、⑥スロベニア83.3%

(注2)25歳未満かつ留学生除きの数値。(出典)OECD「Education at a Glance 2018」

【OECD平均(高等教育全体):49%】【OECD平均(学士課程):45%】

所得階層別の高等教育進学率所得階層別進学率

○ 中所得層は平均並のアクセス機会が確保されている。○ 低所得層のアクセス機会がやや低い。

29

Page 31: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

※2018年度対象者数:53.5万人(2018年度予算額:958億円)うち残存適格者の解消:2.4万人うち低所得者に係る成績基準撤廃:2.0万人

→2016年度実績:50.0万人

高成績基準

0           200  400                    600              800          1,000   

3.5

有利子奨学金(家計基準:年収1,100~1,200万円以下)

※2018年度対象者数:75.7万人(2018年度予算額(財投):7,043億円)→2016年度実績:81.0万人

現行の低金利を反映し、貸与金利の下限を0.1%から0.01%に引下げ。

高成績基準

無利子奨学金(家計基準:年収700万円~800万円以下)

無利子・有利子奨学金について、返還者が災害、傷病、経済的理由により返還困難となっている場合、返還期限猶予制度及び 減額返還制度が利用可能。

2018年度対象者数:2.3万人(2018年度予算額:105億円)

成績基準

給付型奨学金4.3

授業料減免

所得連動返還方式選択可能2017年度進学者から、所得に応じて返還額が変動する方式を導入(返還額は月2,000円~)

全学生数(2017年度)国立大学:61万人私立大学:213万人

消費税増収分により高等教育を負担軽減(2018年4月~)住民税非課税世帯の子供たちに対して、

(1)給付型奨学金の給付額を大幅に拡充(学業に専念できるようにするため、学生生活を送るのに必要な生活費を賄える よう措置)

(2)授業料を減免(国立大学は免除、 私立大学は国立大学の授業料に加え、私立大学の平均 授業料と国立大学の授業料の差額の2分の1を加算)

※ 住民税非課税世帯に準ずる世帯についても、上記に準じた支援を段階的に実施

(1)

(2)

国立大学2018年度対象者数:6.5万人(2018年度予算額:350億円)

私立大学2018年度対象者数:7.1万人(2018年度予算額:130億円)

→自己収入による免除分も含めた2016年度実績:延べ19万人(409億円)

→2016年度実績:4.2万人(77億円)(※)この他、奨学費(約900億円)の支援

有利子奨学金をベースに中所得層を含め広くアクセス機会を確保した上で、無利子奨学金で低・中所得層の格差是正

低所得層対策

30

○ 「有利⼦奨学⾦」で中所得層も含め広くアクセス機会を確保。○ その上で、「無利⼦奨学⾦」で低所得層や頑張っている中所得層の格差是正。○ 消費税率引上げ後、2020年度からの「給付型奨学⾦」の拡充により、低所得層の更なる格差是正を予定。

Page 32: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

高等教育の負担軽減骨太2018により定められた学生要件、大学等要件の具体化が必要

(⽀援対象者の要件)① ⾼等学校在学時の成績だけで否定的な判断をせず、レポートの提出や⾯談により本⼈の学習意欲を確認。② ⼤学等への進学後については、その学習状況を毎年確認し、

・ 1年間に取得が必要な単位数の6割以下の単位数しか取得していないときや・ GPA(平均成績)等を⽤いた客観的指標により成績が下位4分の1に属するときは、当該学⽣に対して⼤学等から警告を⾏い、警告を連続で受けたとき、退学処分・停学処分等を受けたときは、⽀給を打ち切る。

(⽀援措置の対象となる⼤学等の要件)① 実務経験のある教員が卒業に必要な単位数の1割以上の単位に係る授業科⽬を担当するものとして配置され、

学⽣がそれらを履修できる環境が整っていること。② 理事に産業界等の外部⼈材を複数任命していること。③ 授業計画(シラバス)の作成や評価の客観的指標を設定し、適正な成績管理を実施・公表していること。④ 法令に則り、財務情報と教育活動(定員充⾜、進学・就職の状況)に係る情報を含む経営情報を開⽰し、

多くの国⺠が知ることができるようホームページ等により⼀般公開していること。専⾨学校については、外部者が参画した学校評価の結果も経営情報の⼀環として開⽰していること。

(注)例えば、経営に問題があるとして早期の経営判断を促す経営指導の対象となっており、かつ、継続的に定員の8割を割っている⼤学については、対象にしないことなどを検討する。

31

⾼等教育にかかる⾻太2018の主な内容

Page 33: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ ⼤学⽣の学修時間は、⼩学⽣よりも短い。また、授業外の学修時間が1⽇1時間未満の学⽣は全体の6割以上。

大学生の学修時間は、小学生よりも短い

5.9

7.1 6.8

4.4

0

1

2

3

4

5

6

7

8

小学 中学 高校 大学

学業 学習・自己啓発・訓練

(学業以外)

(出典)総務省「平成28年社会生活基本調査」、東京大学 大学経営政策研究センター「全国大学生調査2007年」等

(時間)

9.7 

0.3 

57.1 

15.3 

18.4 

26.0 

14.8 

58.4 

0% 20% 40% 60% 80% 100%

日本

アメリカ

0時間 1‐5時間 6‐10時間 11時間以上

学校段階別の学修時間(1日当たり) 大学生の授業外の学修時間の日米比較(1週間当たり)

1日1時間未満は2割以下

1日1時間未満が全体の6割以上

大学生の実態

32

Page 34: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ シラバス(授業計画)において、学修に必要な指⽰・課題・時間の⽬安などが⽰されておらず、事前に教育内容が明らかにされていない。

○ GPAを適正な成績管理として活⽤できておらず、教育の質の保証につなげられていない。(注)GPA制度︓授業科⽬ごとの成績評価を、例えば5段階(A、B、C、D、E)で評価し、それぞれに対して、4、3、2、1、0のように数値

(グレード・ポイント︓GP)を付与し、この単位あたりの平均(グレード・ポイント・アベレージ︓GPA)を出して、その⼀定⽔準を卒業等の要件とする制度。

授業内容と成績基準の見える化

(出典)文部科学省「平成27年度の大学における教育内容等の改革状況について」(平成29年12月13日)、各大学ホームページ

98.7%

97.2%

78.4%

54.8%

31.6%

30.6%

22.7%

15.0%

0 200 400 600 800

授業における学修の到達目標

各回の授業の詳細な内容

準備学修に関する具体的な指示

授業期間を通して課される課題

(試験やレポート等)の内容

人材養成の目的もしくは学位授与

の方針と当該授業科目の関連

当該授業科目の教育課程内の

位置づけや水準を表す数字や

記号(ナンバリングを含む)

準備学修に必要な学修時間の目安

課題(試験やレポート等)に対する

フィードバックを行うこと

国立

公立

私立

シラバス(授業計画)の記載項目の状況

(校)

大学教育の実態

GPA制度の具体的な運用方法(27年度)

0 100 200 300 400 500 600

学生に対する

個別の学修指導

奨学金や授業料免除

対象者の選定基準

GPAに応じた履修

上限単位数の設定

大学院入試の選抜基準

早期卒業や大学院への

早期入学の基準

退学勧告の基準

進級判定の基準

各教員間、もしくは

各授業科目間の成績

評価基準の平準化

授業科目の履修者に

求められる成績基準

卒業判定の基準

国立

公立

私立

69.2%

64.9%

27.7%

17.8%

13.5%

11.5%

8.6%

8.3%

7.4%

7.0%

(校)

33

Page 35: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

私立学校法関係 私立学校振興助成法関係

作成義務文書

・貸借対照表・収支計算書(資金収支計算書、事業活動収支計算書)

※私学助成対象法人の場合、学校法人会計基準に従い作成

・(監事の)監査報告書・財産目録・事業報告書

・公認会計士又は監査法人の監査報告書

・収支予算書

公開対象

者・当該学校法人の設置する私立学校に在学する者・その他の利害関係人

所轄庁(文部科学大臣等)に対し情報公開請求があった場合、大科目等を公開

1.現行法に基づく経営情報の公開

2.様々な「就職率」

・「卒業者」あるいは「卒業者―進学者等」ベースの就職率は、比較可能な形式では公表されていない。

・私立学校法第47条に基づき作成する「事業報告書」に

おいて、卒業・終了後の状況(就職・進学等)を公表している学校法人は、54.4%。

(注1)「就職者」とは、正規の職員(1年以上の非正規の職員として就職した者を含む)として最終的に就職した者(企業等から採用通知などが出された者)をいう。また、「就職希望者」とは、卒業年度中に就職活動を行い、大学等卒業後速やかに就職することを希望する者をいい、卒業後の進路として「進学」「自営業」「家事手伝い」「留年」「資格取得」などを希望する者は含まない。

(注2)「就職者」とは、学校基本調査における就職者(給料、賃金、報酬、その他の経常的な収入を得る仕事(自家・自営業を含む)に就いた者)である。また、「進学者等」とは、進学者、臨床研修医(予定者を含む)及び専修学校・外国の学校等入学者の合計。

(出典)文部科学省「平成29年度大学等卒業者の就職状況調査」、「平成29年度学校法人の財務情報等の公開状況に関する調査結果について」、「学校基本調査」、文部科学省作成資料

私立大学平均

①就職希望者数ベースの就職率※就職者/就職希望者(注1)

98.0%

②卒業者数ベースの就職率※就職者/(卒業者-進学者等)(注2)

87.9%

③卒業者に占める就職者の割合※就職者/卒業者(学校基本調査ベース)(注2)

81.3%

34

・経営情報は、必ずしも一般に公表されることとはなっていない。

私立大学の情報公開

○ 経営状況⾒通しなどの経営・財務状況や就職率、定員充⾜率といった教育活動の状況は、⼗分公開されている訳ではなく、必ずしも⼤学間での⽐較が可能な形にはなっていない。

私立大学の情報公開

Page 36: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ 就職率には、分⺟が「就職希望者数ベース」、「卒業者数ベース」といった異なる数値がある。○ 「⾃動⾞整備」、「看護」、「理容、美容」、「介護福祉」の就職率が⾼い⼀⽅で、 「アニメ、声優、

ゲーム」、 「⾳楽、演劇、映像、放送」は相対的に就職率が低い。

専門学校(東京)の就職率は分野により大きく異なる実態

(注)「就職希望者」とは卒業年度中に就職活動を行い、卒業後速やかに就職することを希望する者をいい、卒業後の進路として「進学」「自営業」「家事手伝い」「留年」「資格取得」などを希望する者は含まない。同様に「就職者数」にも含まない。

(出典)公益社団法人東京都専修学校各種学校協会「平成28年度 専修学校各種学校調査統計資料」

(注)「就職希望者」とは卒業年度中に就職活動を行い、卒業後速やかに就職することを希望する者をいい、卒業後の進路として「進学」「自営業」「家事手伝い」「留年」「資格取得」などを希望する者は含まない。同様に「就職者数」にも含まない。

(出典)公益社団法人東京都専修学校各種学校協会「平成28年度 専修学校各種学校調査統計資料」

86.2%94.1%

54.2%90.9%

67.3%81.0%

71.2%86.7%

94.8%97.3%

95.8%98.4%

97.5%98.2%

97.6%99.3%

13.8%5.9%

45.8%9.1%

32.7%19.0%

28.8%13.3%

5.2%2.7%

4.2%1.6%

2.5%1.8%

2.4%0.7%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

全体

音楽、演劇、映像、放送

アニメ、声優、ゲーム

美術、デザイン、写真

介護福祉

理容、美容

看護

自動車整備

下段:就職者数(自営、進学者を含む)/卒業者数■ 就職(自営、進学を含む) ■ その他

上段:就職者数 /就職希望者数■ 就職 ■ その他

専門学校①

35

Page 37: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ 専⾨学校においては、経営情報や財務情報について、公表が進んでいないものがある。○ 特に、職業実践専⾨課程の認定されていない課程においては、こうした経営情報や財務情報のみならず、

学校評価の結果についても公表されていないところがある。職業実践専⾨認定課程・・・専⾨学校のうち、企業等と密接に連携して、最新の実務の知識・技術・技能を⾝につけられる実践的な職業教育に取り

組む学科として⽂部科学⼤⾂が認定している課程。認定要件として、学校関係者評価と情報公開等が求められる。

専門学校の情報公開は不十分なケースもある

53.8%

73.1%

33.5%

63.6%

56.7%

40.6%

80.5%

70.2%

65.4%

96.0%

94.5%

63.8%

88.7%

41.8%

76.9%

68.6%

51.6%

81.1%

75.2%

65.1%

96.1%

93.9%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

評価結果を踏まえた改善方策

自己評価・学校関係者評価の結果

監査報告書

収支計算書

貸借対照表

事業報告書

学生納付金の取扱い

キャリア教育への取組状況

教職員の組織、教員の専門性

入学者に関する受入れ方針・入試制度

学校の教育・人材養成の目標及び教育指導計画、経営方針、特色

認定課程[N=1681] 非認定課程[N=379]

(注)認定課程は2540課程のうちの1681課程、非認定課程は6309課程のうちの379課程から回答。(出典)文部科学省 「『職業実践専門課程』の実態等に関する調査研究」

専門学校②

36

Page 38: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ オーストラリアのHECS制度(Higher Education Contribution Scheme)は、⾼所得世帯を含めた全世帯の学⽣の⾼等教育の授業料相当額を後払いする制度。

HECSのスキーム

(在学中)

(卒業後)

学生 大学 政府

学生

①授業料無料

納税者番号登録

①「学生拠出分」支払い

学生拠出分を所得に応じて源泉徴収により徴収

②「政府拠出分」を補助

履修コース 学生拠出金

法学、歯学、医学、獣医学、会計学、経営学、経済学、商学 86万円

数学、統計学、科学、情報工学、環境構築学、衛生学、医療衛生学、工学、測量学、農学 73万円

人文科学、行動科学、社会学、教育学、臨床心理学、外国語学、芸術学、看護学 52万円

履修コース 政府拠出金

法学、会計学、経営学、経済学、商学 16万円

人文科学 46万円

数学、統計学、行動科学、社会学、情報工学、環境構築学、衛生学 81万円

教育学 84万円

臨床心理学、医療衛生学、外国語学、芸術学 91万円

看護学 111万円

工学、科学、測量学 141万円

医学、歯学、獣医学、農学 179万円

① 高所得世帯を含め、全学生が・ 在学中は授業料を納付せず(自発

的納付は可)、・ 卒業後、所得が一定以上の場合、

税務当局に「学生拠出分」を納付(HELP(Higher Education Loan Program)を活用)。在学中は、政府が「学生拠出分」を大

学に支払い。② このほか、政府は「政府拠出分」を大

学に補助。(注)非大学型の私立高等教育機関に対

しては「政府拠出分」の補助はない。

年度 運営費交付金

30 10,971億円

履修コース 授業料

全学部 53.6万円

【オーストラリア】 (2016年、1$=82.33円)

授業料

政府拠出分

【日本】

学生拠出分

政府負担

HECS制度①(参考) オーストラリアのHECS制度(仕組み)

37

Page 39: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

③ HELPローンの未回収率は2割程度とされ、大きな財政負担となっていること。

④ 個人の債務が物価でスライドして増加することとなっており、実質的な利子負担があること。

25年度 26年度 27年度 28年度 29年度

物価スライド

2.0% 2.6% 2.1% 1.5% 1.5%

25年度 26年度 27年度 28年度 29年度

利息 なし なし なし なし なし

保証料 0.693% 0.693% 0.693% 0.693% 0.589%

【オーストラリア(HECS)】 【日本(所得連動返済型無利子奨学金)】

日本の国立大学の収入構造(2015年)

オーストラリアの政府支援枠対象大学の収入構造

(2015年)

運営費交付金 補助金収入 授業料等 産業連携等研究収入等

雑収入

寄附金

政府補助金(「政府拠出金」含む)

自治体からの補助金

政府によるHELP支払金(学生拠出金相当)

「学生拠出金」の前払い

留学生等の授業料等

投資収入 コンサル収入

その他自己収入

53% 11% 15%

40% 2% 18% 2% 25%

【HELPに起因する純債務】 【利払い費に占める割合】

0

10,000

20,000

30,000

40,000

2010–11 2011–12 2012–13 2013–14 2014–15 2015–16 2016–17 2017–18 2018–19 2019–20 2020–21 2021–22 2022–23 2023–24 2024–25 2025–26

平均約3,000億円/年の増加(億円)

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

2010–11 2011–12 2012–13 2013–14 2014–15 2015–16 2016–17 2017–18 2018–19 2019–20 2020–21 2021–22 2022–23 2023–24 2024–25 2025–26

(億円)

46%(約10,600億円)16%

(注1)上記の額は日本円換算したもの(1$=82.33円)。(注2)2017年に、政府は大学に対する補助金を削減する改革を行うと同時に、大学に対して授業料設定の裁量を与える予定であるため、大学は補助金の削減分を賄うべく、授業料引き上げを行うと仮定。2018年度からは、大学が毎年2%授業料の値上げを行うと仮定。(出典)Parliament of Australia Parliamentary Budget Office, 2016, “Higher Education Loan Program; Impact on the Budget”

(注)日本の国立大学の収入は病院収入を除く。(出典)国立大学法人決算報告書、Finance 2015-Financial Reports of Higher Education Providers(Australia) 日本の国立大学の公費負担は、すでにオーストラリアの

公費負担とHELP支払金を合計した程度に達している。

HELPに起因する利払い費

(参考) オーストラリアのHECS制度(留意点) HECS制度②

○ オーストラリアのHECS制度は、以下の点に留意する必要。① それまで授業料を徴収していなかった状態から、財源確保のために授業料を徴収する政策へと転換する中で

とられた制度であること。② 未回収分や利払いの財政負担が⼤きいこと。

38

Page 40: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

現行(所得連動返還型奨学金)

オーストラリア型HECS

所得, 50

所得, 100貸与額,20

0

50

100

低所得世帯 高所得世帯

所得, 50

所得, 100貸与額,20

貸与額,20

0

50

100

低所得世帯 高所得世帯

課題1: 高所得世帯に追加的に便益を与えることになり、せっかく縮めようとしている格差をかえって拡大(左図)

課題2: 私大関係者などが目的としている「親負担主義からの脱却」は、(この目的の妥当性は別にして、)現行でも

・ 低所得世帯は、子供が所得連動返還型奨学金を返済することになるし、

・ 高所得世帯は、家庭内の約束で子供が親に返すようにすることは可能

したがって、現行でも親が負担しないようにすることは可能=目的に対して合理的でない

課題3: 卒業後に返済しきれない分を誰が(大学が?)負担するのか不明

課題4: 運営・執行上のコストが増加、実現可能性も不明

格差30

格差50

○ ⼤学関係者などにおいて、オーストラリア型のHECS制度(⾼所得世帯も含めた授業料後払い制度)を導⼊すべきとの意⾒がある。しかしながら、以下のように課題が多い。

(参考) オーストラリア型HECS制度の課題 HECS制度③

39

Page 41: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ ⾼等教育にかかる公的財政⽀出がOECD諸国に⽐べて少ないとの指摘があるが、⽇本の⾼等教育における進学率・学位保持率はOECD諸国の中でトップクラスの⽔準にある。こうした現状を踏まえれば、⾼等教育にかかる経済的負担の軽減は、引き続き、真に⽀援が必要な低所得世帯の若者に絞った対応とすべきではないか。

○ また、学⽣の学修時間が⼗分でないという現状や、⾼等教育を修めたにもかかわらず将来必要となる知識や技術を⾝に付けられていない現状など、成果が得られないことは問題であり、そうしたことのないよう、・ 教育の質をチェックしていく、・ 教育の質を第三者にも公表していくといった⼤学や専⾨学校の改⾰が必要である。

○ ⼤学改⾰においては、教育する⼤学と教育を受ける学⽣が、互いにその成果を確実なものとする努⼒をし、好循環を実現することが重要。

経済的支援・ 奨学金・ 授業料減免

好循環を阻害しないように

大学

企業

学生

・ 教育の質向上

大学改革⇐

・ 採用・待遇において大学教育の成果を勘案

大学と企業の意思疎通⇐

・ 勉学に注力

勉学へのインセンティブ⇐

対価性

(参考)大学改革を阻害しない負担軽減

検討の方向性高等教育(質の確保と負担軽減)

40

Page 42: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ 特に「新しい経済政策パッケージ」に基づく⾼等教育の負担軽減が、⼤幅な定員割れ⼤学・専⾨学校に対する⽀援になってしまい、税⾦によって救済されることがあってはならない。⽀援対象者や⽀援対象となる⼤学・専⾨学校に関して、① 学⽣の意欲・能⼒の確認② 学修成果の厳格な管理・評価・公表という教育の質の確保③ 教育の質を含めた経営・財務情報の徹底的な開⽰(有効な第三者評価結果を含む)といった実効性ある要件を定めていく必要があるのではないか。また、制度を適正なものとするため、所得制限の厳格化や資産要件の導⼊、不正受給対策も必要ではないか。

○ なお、⼀部の⼤学関係者において、実質的に低所得世帯以外の世帯も対象にしてしまうHECS制度を参考とした制度を導⼊すべきとの指摘もあるが、・ ⾼所得世帯に追加的に便益を及ぼし、かえって格差を拡⼤してしまうこと、・ 未回収分や利⼦をどのように負担するのか明確でないこと、・ 管理すべき対象が増加し、コスト⾯で⾮効率であること、・ 管理運営・執⾏の実現可能性に課題があることから、適切とは⾔えないのではないか。

検討の方向性高等教育(質の確保と負担軽減)

41

Page 43: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

論点5 高等教育(2) <私立大学の教育の質の向上>

○ 私⽴⼤学における教育の質の向上に向けて、私学助成のあり⽅をどのように考えるか。

論点5 高等教育(2)

42

Page 44: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ 18歳⼈⼝は平成4年(205万⼈)をピークに26年間で約4割、約90万⼈減少。○ この間、私⽴⼤学数は約6割、私⽴⼤学定員は約4割増加。

18歳人口が減少する中、私学定員は増加

364 372384

406425

444

478

512 542

568589 597 605 603 600 603

294303

356365

376393

415 424 425440 448 451 456 460 467

485

1,934 2,005 

2,049 

1,860 

1,732 1,622 

1,510 1,503 

1,411  1,326 1,237  1,216  1,191  1,181  1,190  1,180 

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2,000

250

300

350

400

450

500

550

600

650

700

平成元

2年 4年 6年 8年 10年 12年 14年 16年 18年 20年 22年 24年 26年 28年 30年

学校数

入学定員(千人)

18歳人口(千人)

(入学定員:千人) (18歳人口:千人)

(学校数)

(出典)文部科学省「学校基本調査」、日本私立学校振興・共済事業団「平成30年度私立大学・短期大学等入学志願動向」

私立大学の定員

43

Page 45: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ 私⽴⼤学のうち、4割以上が収容定員割れ。○ 私⽴⼤学のうち、財務状況(事業活動収⽀差額⽐率)がマイナスの⼤学は約6割を占める。

私立大学の4割以上が収容定員割れ。その6割が赤字。

3

23

39

58

73

82

125

143

24

2

22

26

37

42

30

37

20

0

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150

50%未満

50%台

60%台

70%台

80%台

90%台

100%台

110%台

120%台

定員充足率(%)

収支差がマイナスの大学

(注1)「定員割れ校」は、学部生の収容定員充足率(学生数/収容定員数)が100%未満の大学(注2)「事業活動収支差額比率」(旧:帰属収支差額比率)は、学校法人の負債とならない収入である事業活動収入から事業活動支出を差し引いた差額(基本金組入前当年度収支差額)が収入全体の

何%に当たるかを見る指標。(出典)文部科学省作成資料

大学数(校)

・定員割れ校279校のうち、約6割が収支差マイナス(159校)。

100%

区分 学校数基本金組入前当年度収支差額

定員充足 291校 1,254億円

定員割れ 279校 ▲120億円

合計 570校 1,134億円

私立大学の定員充足率

私立大学の定員充足率(収容定員)と収支差マイナス

44

Page 46: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ ⽇本私⽴学校振興・共済事業団の分析によれば、平成28年度時点で、今後経営の⾒直しを⾏わなかった場合に、資⾦ショートを起こすおそれがある経営困難な法⼈が103法⼈ある。

経営困難な私立大学に関する分析

経営判断指標の分布(平成28年度決算ベース、短大・高専法人含む662法人を分析)

法人数 17法人 86法人 192法人 367法人

割合 2.6% 13.0% 29.0% 55.4%

計:103法人

(出典)日本私立学校振興・共済事業団調査

定量的な経営判断指標に基づく経営状態の区分( 法人全体)

私立大学の経営状態

45

Page 47: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

6(約2%)

15 

24 

60 169 

【うち定員割れ274校】

15 (約3%)

23 36 

94 405 

【全体573校】

0 1 2 3 4以上

私立大学のうち97%が何らかの「特別補助」メニューで支援されている。

(注1)平成29年度特別補助配分実績より、短期大学、高等専門学校を除いた大学573校(うち定員割れ校274校)を財務省において分析したもの。(注2)「定員割れ校」は、学部生の収容定員充足率(学生数/収容定員数)が100%未満の大学。(出典)文部科学省作成資料

② 各大学毎の特別補助メニュー該当数(Ⅰ~Ⅴの 大5件)

特別補助の配分実績

(単位:校)

約71% 約62%

該当数

① 私⽴⼤学向けの補助⾦(私学助成)のうち、改⾰に取り組む⼤学を重点的に⽀援する「特別補助」には、多岐にわたるメニューが⽤意されている。

② 全⼤学の97%、定員割れ⼤学でも98%が特別補助の⽀援対象になっている。(注)平成31年度においては、私⽴⼤学研究ブランディング事業(45億円)を継続要求し、⼀般補助と特別補助を含めて対前年度35億円増の

要求。

46

平成29年度私立大学等経常費補助金 特別補助メニュー一覧

特別補助

Ⅰ成長力強化に貢献する質の高い教育

地方に貢献する大学等への支援

医学部入学定員の増員

被災地の復興支援

教育の質的転換(私立大学等改革総合支援事業 タイプ1)

産業界・他大学等との連携(私立大学等改革総合支援事業 タイプ3)

プラットフォーム形成(私立大学等改革総合支援事業 タイプ5)

Ⅱ社会人の組織的な受入れ

正規学生としての受入れ

多様な形態による受入れ

社会人の受入れ環境整備

地域発展(私立大学等改革総合支援事業 タイプ2)

Ⅲ大学等の国際交流の基盤整備

海外からの学生の受入れ

海外からの教員の招へい

学生の海外派遣

教員の海外派遣

大学等の教育研究環境の国際化

グローバル化(私立大学等改革総合支援事業 タイプ4)

Ⅳ大学院等の機能の高度化

大学院における研究の充実

研究施設運営支援

大型設備等運営支援

私立大学研究ブランディング事業

戦略的研究基盤形成支援(継続分)

大学間連携等による共同研究

専門職大学院等支援

法科大学院支援

短期大学・高等専門学校における教育研究の充実

Ⅴ経営強化等支援私立大学等経営強化集中支援事業

未来経営戦略推進経費(継続分)

Ⅵ授業料減免及び学生の経済的支援体制の充実

授業料減免事業等支援(熊本地震分含む)

卓越した学生に対する授業料減免等

特色ある経済的支援方策

Ⅶ東日本大震災からの復興支援〔復興特別会計〕

授業料減免事業等支援(震災分)

被災私立大学等復興特別補助

Ⅷ平成28年熊本地震からの復興支援 教育研究活動復旧費

Page 48: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

47  69  139  21  23 

23  20  40  3  5 

0 15  43  1  4 

1 18  64  2  6 

15  90  162  11  21 

5  10  29  7  3 

学生一人あたり補助額学生一人あたり補助額

2  13  45  4 2 

12  10  21  7  4 

16  11  30  3  3 

16  18  23  3  6 

100%以上(299大学)

私学助成により、定員割れ大学であっても手厚い支援がなされている。

(注1)平成29年度特別補助配分実績より、短期大学、高等専門学校を除いた大学573校(うち定員割れ校274校)を財務省において分析したもの。(注2)学生一人あたり補助額は、私立大学等経常費補助金配分基準「Ⅵ授業料減免及び学生の経済的支援体制の充実」「Ⅶ東日本大震災からの復興支援」「Ⅷ熊本地震からの復興支援」を除き算出

している。(出典)文部科学省作成資料

(単位:校)

80~90%未満(63大学)

70~80%未満(66大学)

70%未満(54大学)

学生一人あたり特別補助額

90~100%未満(91大学)

一般補助+特別補助 特別補助

○ 定員充⾜率が低い⼤学の⽅が、多額の「特別補助」により⽀援を受けている⼤学の割合が⼤きい。

47

定員充足率~5千円未満 5千~1万円未満 1万~5万円未満 5万~10万円未満 10万円~~5万円未満 5万~10万円未満 10万~30万円未満 30万~50万円未満 50万円~

Page 49: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ 特別補助のメニューは多岐にわたるが、①⼤学に通常期待される内容を要件としているもの、②国が補助する必要性が薄い使途に充てられているもの、などがある。

特別補助には、必要性や効果が疑問であるものも存在

事業名 概 要

社会⼈の組織的な受⼊れ(正規学⽣としての受⼊れ)

【30年度︓22億円】補助対象校︓668校/873校

○①から③のいずれかに該当する者が正規課程に⼊学している⼤学等に補助。①学部等において、25歳以上の者。②学部等において、25歳未満で、⼊学時にアからウのいずれかに該当する者。③⼤学院研究科において、⼊学時に次のアからウのいずれかに該当する者。

ア 職に就いている者、イ 給料、賃⾦、報酬、その他経常的な収⼊を得る仕事から既に退職した者、ウ 主婦・主夫

地⽅に貢献する⼤学等への⽀援(地域社会の発展を⽀える実践的な語学⼒の習得)

【30年度︓12億円】補助対象校︓730校/873校

※予算額及び補助対象校は「地⽅に貢献する⼤学等への⽀援」の全体数

○下記いずれかの要件を満たせば補助。①外国⼈教員等の⽐率が10%以上②外国語の授業実施に際し、レベル別クラス編成を実施③外国語のみによる授業であって、ディスカッションやプレゼンテーションを交えて⾏う授業科⽬を開講 等

私⽴⼤学研究ブランディング事業【30年度︓56億円】

補助対象校︓92校/873校

○学⻑のリーダーシップの下、⼤学の特⾊ある研究を基軸として、全学的な独⾃⾊を⼤きく打ち出す取組を⾏う私⽴⼤学の機能強化促進を⽬的とするもの。○当該補助を得た⼤学においては、主に研究⽤設備・備品の整備、本事業の専⽤HP開設、フォーラム開催、リーフレット作成やロゴ制作などを実施。

特別補助の実態

(注)平成29年度特別補助配分実績より、大学等873校を財務省において分析したもの。(出典)文部科学省作成資料 48

Page 50: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

① 医⻭学部は他の学部と異なり、週1時間の授業でも私学助成の対象となる教員としてカウント。② この特例によって、約2割の教員が6時間未満の授業でも私学助成の対象とされている。③ 私学助成の対象となる医学部専任教員1⼈に対する学⽣数は、⼤学設置基準ベース(2.4⼈)を4割程度上回る

1.7⼈相当。医学部に対する私学助成は約500億円。⼤学設置基準ベースで算定する場合に⽐べ、教員⼈件費部分等で4割程度上回って(影響額100億円程度)措置されている。

(注) 平成28年度私立大学等経常費補助金の交付対象である28大学の医学部生2.1万人(医学部に看護学科を置く4大学の看護学科学生0.15万人を含む。)に対し、私学助成の算定教員数は1.2万人。また、医学部の私学助成約500億円のうち、7割程度が専任教員数に応じて配分されているという前提で影響額を財務省において試算している。

(出典)日本私立学校振興・共済事業団「私立大学等経常費補助金配分基準」、文部科学省調査

(教員数:人)

(収容定員数:人)

① 私学助成の対象となる教員(専任教員)

・通常の学部・・・週6時間以上の授業・医歯学部(看護学科に所属する者は除く)・・・週1時間以上の授業

15,000

15,500

16,000

0

500

1,000

1時間 2時間 3時間 4時間 5時間 6時間以上

(授業時間/週)

(教員数:人)

医学部専任教員とされる1.9万人のうち、約2割(計3,522人)が週6時間未満の授業数

医学部に対する私学助成 医学部への私学助成

② 医学部における特例の対象となる教員数

49

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

600 650 700 750 800

専任教員数

うち私学助成算定教員数

教員1人あたり学生2.4名(大学設置基準ベース)

教員1人あたり学生数2.4人(大学設置基準ベース)

専任教員数に応じて加算

専任教員数に応じて加算

私学助成の算定は教員1人あたり学生数1.7人

(学部生ベース)

③ 医学部における教員1人当たり学生数

Page 51: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ 私⽴⼤学への公費負担が国⽴⼤学より少なく、不公平との指摘がある。○ しかしながら、国⽴⼤学と私⽴⼤学は、ガバナンス・予算・情報公開等の制度が全く異なる。私⽴⼤学は、国による予算統制等もされておらず、原則として独⽴採算を前提に、経費の増加は⼤学の判断でなされる。

国立大学と私立大学の違い

国立大学法人 私立大学

授業料等 国が標準額を設定(各大学は標準額の120%以内で設定可能) 各大学の判断により設定

目標・計画中期目標(6年間)を文部科学大臣が策定中期計画(6年間)を文部科学大臣が認可

各大学の判断により、学則・寄附行為に規定

予算各大学は、中期計画の中で予算を作成し、文科大臣が認可各年度の予算は、国の予算案とともに、各目明細書として国会に提出文科大臣に届け出る年度計画にも掲載

各大学の判断により、各大学が作成私学助成を受ける学校法人は、収支予算書を文部科学大臣に届出

決算の承認 財務諸表は文部科学大臣が承認私学助成を受ける学校法人は、財務諸表を文部科学大臣に届出(承認を受ける必要はない)

評価国立大学法人評価委員会による評価+認証評価総務省の独立行政法人評価制度委員会も意見・勧告

認証評価のみ

人事 学長、監事は、文部科学大臣が任命 国は関与しない

情報公開

教育研究活動等に係る情報の公開のほか、以下の公開を法定1. 組織に関する情報2. 業務に関する情報3. 財務に関する情報4. 評価・監査に関する情報5. 国立大学法人等の役員の報酬等及び職員の給与の水準6. 大学の教員等の任期

国の情報公開制度に基づく開示請求の対象

教育研究活動等に係る情報の公開のほか、

財産目録、貸借対照表、収支計算書、事業報告書、監査報告書を備付し閲覧に供することを法定

役員報酬等及び職員の給与の水準の公開義務はない

国の情報公開制度に基づく開示請求の対象ではない

重要財産の処分 文部科学大臣の認可 各大学の評議員会の意見聴取

残余財産の帰属 国に帰属 寄附行為で定める者に帰属

国私のガバナンスの相違

50

Page 52: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ 私学助成については、教育の質に応じたメリハリ付けを⾏い、定員割れや⾚字経営の⼤学等への助成停⽌等も含めた減額を強化すべきではないか。

経営困難な⼤学法⼈等に対しては、教育活動資⾦収⽀差額・経常収⽀差額や、外部負債の残⾼等に応じて、必要な指導をすべきである。安易な救済が⾏われることがないよう、経営改善等がない法⼈は、特別補助等の助成対象から除外すべきではないか。

○ 公費投⼊における国⽴⼤学法⼈と私⽴⼤学の差が指摘されているが、・ ガバナンス・予算・情報公開等が全く異なっていること、・ 私⽴⼤学は国による予算統制等をされておらず、原則として独⽴採算を前提に、経費は⼤学の判

断でなされていること、・ 教育・研究の⽐率、⼤学院の⽐重も異なることから、両者を⽐較すること⾃体が適切ではないのではないか。

検討の方向性 高等教育(私立大学)

51

Page 53: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

論点6 科学技術(1)<科学技術関係予算>

○ 研究⼒が低迷していると指摘される真の要因は何か。我が国の科学技術関係予算をどのように評価すべきか。

論点6 科学技術(1)

52

Page 54: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

① ⽇本の科学技術関係予算は主要先進国に⽐べて、伸びていないと指摘されることがある。② しかしながら、対GDP⽐で⾒れば、主要先進国と⽐べて遜⾊ない⽔準で推移。

科学技術関係予算の対GDP比の伸びは主要先進国と遜色ない水準

米国

ドイツ

フランス

イギリス

日本

(出典)科学技術指標2018(科学技術・学術政策研究所)より財務省作成

(注1)左のグラフにおいては、各国の科学技術予算の各国通貨ベースのデータを比較。(注2)上記の数値は、中央政府の科学技術関係予算であるが、ドイツは連邦及び州政府の科学技術関係予算の合計を計上。

① 各国の科学技術関係予算の推移(名目値、2000年を100)

60

80

100

120

140

160

180

200

2000200120022003200420052006200720082009201020112012201320142015201660

70

80

90

100

110

120

130

140

150

20002001200220032004200520062007200820092010201120122013201420152016

米国

ドイツ

イギリス

日本

フランス

② 各国の科学技術関係予算の推移(対GDP比、2000年を100)

科学技術関係予算の推移

53

Page 55: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ ⽇本の科学技術関係予算は、対GDP⽐でも実額でも、主要先進国と⽐べて遜⾊のない⽔準。

科学技術関係予算の絶対水準は主要先進国と遜色ない水準

(%)

0.37 

0.63 

0.84 

0.45 

0.60 

0.50  0.48 

0.39 

0.03 

0.03 

0.09 

0.05 

0.00  0.01 

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1.0

米 日 独 英 仏 伊 加

減税規模

軍事関係

軍事以外

中央政府の科学技術関係予算と研究開発減税規模(2015、対GDP比) 中央政府の科学技術関係予算(2015、実額)

673 

324  330 

121  162  112 77 

713

15 11

24 13

1 2

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

米 日 独 英 仏 伊 加

減税規模

軍事関係

軍事以外

(注)上記の数値は、中央政府の科学技術関係予算であるが、ドイツは連邦及び州政府の科学技術関係予算の合計を計上。(出典)OECD Main Science and Technology Indicator 2018/7

(億ドル)

0.83

0.87

0.67

0.92

0.55

0.63

0.77

0.76

0.65

0.54

0.65

0.50 0.49

1512

401340

180

250

122100

(連邦+州)(連邦+州)

科学技術関係予算の水準

54

Page 56: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

324 

162 

330 

121 

673 

15 

13 

11 

24 

713 

62 

76 

35 

127 

0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600

軍事以外

軍事関係

減税規模

① ⽇本の論⽂数のシェアが低下してきたと指摘されることがある。しかしながら、Top10%論⽂数は減り続けているわけではなく、4000本前後で推移。

② 現在の科学技術関係予算の⽔準はドイツ並みで、英、仏よりも多いにもかかわらず、これらの国々よりTop10%論⽂数が少ない。

科学技術関係予算額はトップ論文数上位国よりも多いにもかかわらず、トップ論文数が4000本前後にとどまっている

② 主要先進国の中央政府の科学技術関係予算(2015、実額)

(注1)OECD Main Science and Technology Indicator 2018/7より作成(注2)中国の軍事、非軍事の内訳は不明。

(億ドル)

1512

341

401

180

251

(連邦+州)

① Top10%論文のランキング推移

(注1)科学技術指標2018(科学技術・学術政策研究所)より財務省作成(注2)分数カウントベース

研究開発の生産性①

55

○1994-1996論文数 シェア 順位

米国 29000 46.5 1英国 5175 8.3 2ドイツ 3873 6.2 3日本 3631 5.8 4フランス 2984 4.8 5カナダ 2754 4.4 6イタリア 1604 2.6 7オランダ 1562 2.5 8オーストラリア 1340 2.1 9スウェーデン 1127 1.8 10

○2004-2006論文数 シェア 順位

米国 34127 38.4 1英国 6503 7.3 2ドイツ 5642 6.4 3日本 4559 5.1 4中国 4453 5.0 5フランス 3833 4.3 6カナダ 3392 3.8 7イタリア 2731 3.1 8オランダ 2146 2.4 9スペイン 2093 2.4 10

○2014-2016論文数 シェア 順位

米国 38736 27.4 1中国 24136 17.0 2英国 8613 6.1 3ドイツ 7755 5.5 4イタリア 4912 3.5 5フランス 4862 3.4 6オーストラリア 4453 3.1 7カナダ 4452 3.1 8日本 4081 2.9 9スペイン 3609 2.5 10

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① ⽇本の⾼等教育部⾨における、「研究開発費総額」はドイツと遜⾊ない⽔準である。② しかしながら、「Top10%論⽂数」がドイツと⽐べて少ない。③ したがって、Top10%論⽂1件を⽣み出すために必要な研究コストが⾼い=論⽂⽣産性が低い。

2.1 

6.6 

3.7 

1.5 

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

米 日 独 英

3.2 

0.3 0.6 

0.8 

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

米 日 独 英

675 

208  213 

116 

0

100

200

300

400

500

600

700

800

米 日 独 英(注1)論文数は補正論文数であり、分数カウントベース。(注2)高等教育部門の論文数は、文部科学省 科学技術・学術政策研究所「科学技術指標2018」、「第3期基本計画フォローアップ調査研究『日本と主要国のインプット・アウトプット比較分析』」

に基づき、総論文数(2015年)に高等教育部門にシェア(2006年)を乗じて算出。(注3)高等教育部門における研究開発費総額はOECD「Main Science and Technology Indicator」より作成。

① 高等教育部門における

研究開発費総額

② 高等教育部門における

Top10%論文数(万件)(億ドル)

③ 高等教育部門におけるTop10%論文

1件当たりの研究開発費総額(百万ドル)

コスト差約1.8倍

日本の論文生産性は低い(ドイツの1.8倍のコストがかかる) 研究開発の生産性②

56

Page 58: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

675 

208  213 

116 

0

100

200

300

400

500

600

700

800

米 日 独 英

① ⽇本の⾼等教育部⾨における研究開発費総額は、ドイツと遜⾊ない⽔準。② しかしながら、「国際的に注⽬を集める研究領域」について、⽇本の参画数は274と、ドイツ(465)、英国(531)よりも少ない。

③ 研究動機の⽇⽶⽐較を⾒ると、⽇本は基礎原理の追求でも、現実の具体的な問題解決のいずれでもないものの割合が⾼い。このため、「注⽬を集める領域」に挑戦する意欲が乏しいことが⽣産性の低さの⼀因と考えられる。

論文生産性の低さは、国際的に注目を集める研究領域への挑戦意欲に乏しいことが一因か

764

274465 531

391

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

米 日 独 英 仏

②「国際的に注目を集める研究領域」への参画数

(億ドル)

① 高等教育における研究開発費総額(2016年)

(注1)国際的に注目を集める研究領域への参画数、学際的・分野融合的領域への参画数は、文部科学省科学技術・学術政策研究所「サイエンスマップ2014」の分析による。・ 「国際的に注目を集める研究領域」は、2009年から2014年の論文の内、22の分野において被引用数が世界で上位1%の論文を共引用関係を用いてグループ化したもの。・ ある研究領域において、コアペーパー(トップ1%論文)に1以上関与していた場合、その領域に参画しているとみなす。・ 「学際的・分野融合的領域」とは、化学、物理学などの伝統的な分野概念の枠内では捉えきれない分野。具体的には、論文の6割が伝統的分野の1分野に属するかどうかで判定する。

(注2)左:OECD「Main Science and Technology Indicator」,中央:「サイエンスマップ2014」( NISTEP REPORT No.169, 2016年9月)に基づき作成、右:科学技術政策研究所 「科学における知識生産プロセス:日米の科学者に対する大規模調査からの主要な発見事実」(2011年12月) に基づき作成。

トップ1%論文

一般の論文

研究開発の生産性③

57

③研究動機の日米比較

Page 59: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

④ 4分類別 研究領域1領域あたりのコアペーパー数

① サイエンスマップ2014では、研究領域を「継続性」と「他の研究領域との関係の強さ」の程度より4分類。

② ⽇本は、4分類のいずれへの参画数もドイツに⽐べて少ない。③ ⽇本は、競争度合いの⼤きい「コンチネント」型に傾斜しているが、実際、引⽤度の⾼い「トップ論

⽂」について、アメリカよりも競争相⼿に先⾏されることを懸念している度合いが⾼い。④ 競争度合いの⼤きい「コンチネント」型の1領域あたりのコアペーパー数はドイツを下回っており、参

画領域数にも差があることから、論⽂数に⼤きな差がついてしまっている。競争度合いの⼤きい「コンチネント型」への固着(新陳代謝の不⾜)も論⽂⽣産性が低い⼀因ではないか。

論文生産性の低さは、伝統的な分野に固着していることも一因か

(出典)③を除き「サイエンスマップ2014」( NISTEP REPORT No.169, 2016年9月)に基づき作成。

① 各分類の特徴

12%

19%

17%

35%

18%

21%

27%

21%

25%

6%

0% 10% 20% 30% 40%

1

2

3

4

5

通常

引用度 高33%

25%

19%

16%

7%

48%

27%

14%

7%

4%

0% 10% 20% 30% 40% 50%

1

2

3

4

5大いに心配

全く心配しなかった

③ 自身の研究内容が競争相手に先行される懸念(日米比較)日本 米国

(出典)科学技術政策研究所 「科学における知識生産プロセス:日米の科学者に対する大規模調査からの主要な発見事実」(2011年12月) に基づき作成

研究開発の生産性④

(本)6.00

アイランド

ペニンシ

ュラ

コンチネント

モー

5.004.003.002.001.000.00

88  119 54 

80 65 

119 67 

147 

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

日本 ドイツ

コンチネント

ペニンシュラ

アイランド

スモールアイランド

② 各国のコアペーパーが4分類に属する領域数

ドイツのコンチネント型の1領域当たり論文産出は日本の1.3倍

1.79倍

1.7倍

1.6倍

3.0倍172

58

228

148

174

104

379

677

総論文数

上段:日本下段:ドイツ

58

465

274

Page 60: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

① トップリサーチャーは若⼿が多い。②③ しかしながら、⼤学教員数も⼀⼈当たりの科研費配分額も若⼿に重点化されず、シニアに偏重している。

新陳代謝を妨げているのは、大学の硬直性ではないか①

③ 大学教員一人当たりの科研費配分額

(注1)科学技術政策研究所「優れた成果をあげた研究活動の特性:トップリサーチャーから見た科学技術政策の効果と研究開発水準に関する調査報告書」、

科研費データ(日本学術振興会)、学校教員統計調査(文部科学省)に基づき作成。

(注2)「大学教員一人当たりの科研費配分額」は年齢階層別の科研費配分額データを年齢階層別の大学教員数で除したもの。

0 100 200 300 400 500

~29

30~34

35~39

40~44

45~49

50~54

55~59

60~64

65~69

70~

1.9%9.4%

17.0%

23.6%

20.6%

10.7%

9.4%

5.4%1.4%0.5%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%65歳以上

60~65歳未満55~60歳未満

40~45歳未満

50~55歳未満

45~50歳未満

35~40歳未満

25~30歳未満

30~35歳未満

25歳未満

① トップリサーチャーの年齢構成

(千円)

0 5000 10000 15000 20000 25000 30000

~29

30~34

35~39

40~44

45~49

50~54

55~59

60~64

65~69

70~

② 大学教員の分布

(本務、大学全体)

(人)

50%

大学の硬直性①

59

Page 61: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ ⼤学の⼈事・組織の硬直性が、新たな分野への進出、新陳代謝の妨げになっているとの指摘がある。

新陳代謝を妨げているのは、大学の硬直性ではないか②

明治政府は、ドイツの⼤学の講座制を採⽤して⽇本の⾼等教育の構築を図った。教育と研究を⼀体的に進める講座制によって、新国家の学術レベルは⾶躍的に向上した。

だが、この制度は講座の主である教授を頂点とする権威主義的なヒエラルキーを形成し、⾃由闊達な研究の⾜かせとなる問題をはらんでいた。そこでドイツは同じ⼤学・講座の助教授は、そこの教授になれない制度を取り⼊れていた。⼤学でのキャリアを求めるならば独⽴した研究者として新天地で⽻ばたくという哲学を持っていたからだ。

ところが、⽇本はドイツの⼤学の「形」は取り⼊れたものの、独⽴した個⼈としての研究者を⽬指すという「精神」の⽅は置き去りにした。⽇本の⼤学現場には旧態依然とした“家元制度”が⼤⼿を振ってまかり通ることになった。教授という権威の下で、学⽣や若⼿

研究者らは全員がその徒弟であり、教授の⼿⾜となって研究し教授の共著者として論⽂を書く。研究は教授の下請けの域を出ず、多くは教授の業績となる。⼤学には東⼤を頂点としたヒエラルキーが存在し、⼤学院重点化で狭いタコツボがさらに狭く窮屈になった。徹底したタテ社会の論理である。⿊川清・政策研究⼤学院⼤学名誉教授(2018.1.15⽇本経済新聞)

⽇本の⼤学の研究室は⻑年、教授-助教授-助⼿という上意下達型の体制だった。2007年に学校教育法が改正され、新たな職名の准教授と助教は独⽴して研究教育を⾏う権利と義務が与えられたはずだった。しかし、10年たった今、若⼿教員の割合は減少し、9割以上の准教授と助教が教授の⽀配下にとどまる。世界の常識からかけ離れた体制の変⾰が不可⽋である。

(中略)⽇本では、⼤学の⽅針でなく、教員たちの意向で伝統分野が受け継がれるために、⼈⼯知能やビッグデータ解析など、かねて

発展が確実視されていた分野の⼈材育成が、決定的に遅れてしまった。野依良治・科学技術振興機構研究開発戦略センター⻑(2017.9.12読売新聞)

ある教授が退職すると、同じ学科や専攻にいるたった⼗数⼈の議論で新しい教授を選ぶ。教授を選考する会合は全会⼀致が原則で、異質なものを⼊れようとする発想がないから、新しい分野への挑戦は⽣まれない。橋本和仁・物質材料研究開発機構理事⻑(2018.1.12毎⽇新聞)

大学の硬直性②

60

Page 62: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

① 総合科学技術会議による科学技術予算の「メリハリ」付け(いわゆるSABC)は、23年度予算においては「S」「A」評価で約9割を占めるなど形骸化。24年度予算以降は、SABC評価が⾏われていない。

② 現状は、科学技術重要施策アクションプラン、科学技術イノベーション総合戦略などにより、重点化すべき施策を特定する、いわば「ハリ」だけを強調した仕組みとなっている。

○ 研究領域の硬直性にメスを⼊れるためには、司令塔機能による上から下までの優先順位付けが有効と考えられる。

硬直性にメスを入れる優先順位付けがなされていない

11% 8% 6% 2%

47% 51%

26%

12%

36%40%

38%

58%

7%1%

30% 28%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

20年度 21年度 22年度 23年度

S

A

B

C

① 総合科学技術会議における優先度判定の推移(新規事業)

約9割

② 統合イノベーション戦略(H30.6.15)における「特に取組を強化すべき主要分野」AI技術、バイオテクノロジー、環境エネルギー、安全・安心、農業 等

優先順位付け

61

Page 63: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ ⽇本の科学技術関係予算は主要先進国と⽐べて遜⾊のない⽔準であるにもかかわらず、質の⾼い論⽂の数は主要先進国に⼤きく劣る。研究開発の⽣産性が低いことが真の課題ではないか。

この⽣産性を⾼めるためには、科学技術分野における戦略やプロジェクトにおいては、・ 予算の「量」の多寡などのインプットを⽬標とするのではなく、研究開発の中⾝や質などのア

ウトカムを⽬標とする・ いわゆる「ハリ」の分野のみを提⽰するのではなく、「メリ」の分野も明確化し、旧来分野か

ら新たな分野への転換、新陳代謝を促すといったことが必要ではないか。

科学技術(科技関係予算)検討の方向性

62

Page 64: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

論点6 科学技術(2)<国立大学法人の質の向上>

○ 研究⼒の主⼒である国⽴⼤学法⼈の質の向上に向けて、資⾦配分のあり⽅をどのように考えるか。

論点6 科学技術(2)

63

Page 65: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

① 国⽴⼤学法⼈運営費交付⾦が国⽴⼤学法⼈化以降、約1,400億円減少したとの指摘がある。しかしながら、運営費交付⾦については、 附属病院の⾚字解消(▲584億円)、退職⼿当の減(▲453億円)

という特殊要因を除くと、▲408億円(▲3.8%)の減に留まる。② ⼀⽅、補助⾦等は約1,000億円増加している。③ したがって、国⽴⼤学に対する公的⽀援は約600億円増加している。

補助金等もあわせた公的支援全体は約600億円増加している国立大学への公的支援①

附属病院の赤字補填、退職手当の減を除けば▲408億円(H16→30)

退職手当 ①特殊要因を除いた運営費交付金

病院運営費交付金① 国立大学法人運営費交付金予算額(H16、29、30)

10,682億円

(対H16⽐▲408億円)現時点では補助金等

の決算データなし

12,182億円

12,773億円

②補助金等

(対H16⽐+591億円)

(注) 補助金等については、国立大学に対する予算額は把握できないため、各国立大学の決算報告書の「補助金等収入」に、財務諸表附属明細書の「科学研究費補助金等の直接経費及び間接経費」を加えた額を計上。

10,248億円

10,274億円

H16

H30

H29

1,149億円

723億円

696億円

2,525億円

584億円

1,500億円

(対H16⽐▲434億円)

12,416億円

10,971億円

10,971億円(対H16⽐▲1,445億円)

(対H16⽐+1,026億円)

② 国立大学への補助金等

③ 公的支援合計額

(①+②)

64

Page 66: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

24%

10%

14%

40%

42%

11%

15%

22%

9%

14%

29%

27%

42%

28%

6%

5%

7%

6%

6%

23%

1%

1%

4%

14%

31%

42%

14%

12%

○ そもそも、⼤学の収⼊は、「運営費交付⾦」ばかりではなく「補助⾦」「授業料」「寄付⾦」など多様であり、運営費交付⾦のみで教育・研究を賄っているわけではない。

○ 諸外国では、世界的に教育研究の質を⾼く評価される⼤学も含め、これら多様な財源を組み合わせながら経営を⾏っている。

世界大学ランキング上位校及び東京大学の事業収入構成の比較

諸外国では、運営費交付金に依存しなくても成果をあげる大学は多い国立大学への公的支援②

研究受託収入等 資産運用益学納金収入 寄付金運営費交付金 その他

(注1) 事業収入構成の比較対象校については、Times Higher Education World University Rankings (2019)における上位校に加え、州立大学であるカリフォルニア大学バークレー校を東京大学と比較した。(注2) 大学部門のみの収入で比較しており、病院部門を含まない。(注3) 東京大学の研究受託収入等は、科学研究費補助金が含まれる。また、寄附金は、寄附金を含む雑収入の額を記載している。(出典) 東京大学 平成29年度決算の概要について、University of Oxford “Financial Statements 2016/17” 、University of Cambridge “Annual Report 2017”、Stanford University “Annual Financial Report 2017”、

University of California, Berkeley “Annual Financial Report 2016-17”

オックスフォード大学(13.5億ポンド)

スタンフォード大学(56.0億ドル)

ケンブリッジ大学(17.1億ポンド)

カリフォルニア大学バークレー校(19.7億ドル)

東京大学(1,872億円)

THEランキング

順位

42位

1位

2位

3位

15位

65

Page 67: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ 学⽣⼀⼈当たりでみた国公⽴⼤学への公的⽀援は、主要先進国の中でトップクラス。

国公立大学への学生一人当たり公的支援は主要先進国の中でトップクラス

0

5,000

10,000

15,000

20,000

米2013

日2016

独2014

英2015

仏2015

(注1)日本の競争的資金については、科研費を計上。

(注2)ドイツの第三者資金については、「連邦統計局・高等教育機関の財政 2014年版」より、連邦、州、DFG分を計上。

(出典)文部科学省 「諸外国の教育統計」、 OECD「Education at a glance 2016, 2017」、将来構想部会(第9期~)(第24回) 資料1「高等教育の改革を支える支援方策の在り方について」に基づき作成。

国公立大学の学生一人当たり公的支出額

0%

10%

20%

30%

40%

50%

米2013

日2016

独2014

英2015

仏2015

国公立大学の学生一人当たり公的支出額対一人当たりGDP比

($)

国立大学への公的支援③

66

Page 68: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ 今年の予算執⾏調査において、国⽴⼤学の研究機器の調達状況について調査したところ、① 同じ物品でも随契による価格は割⾼になる可能性があるにもかかわらず、随契割合が⾼い。② 随契が可能な上限額が300万円や500万円といった⾼い額で設定されており、少額随契の上限

額に近い価格で購⼊している傾向といった状況。

○ 共同購⼊の推進、随契基準の引き下げ等により、更なるコストダウンが可能ではないか。

研究費の執行に非効率があるのではないか

① 国立大学においては随契割合が高い

54.6%

98.8% 100.0% 100.0%

45.4%

1.2% 0.0% 0.0%

0%

50%

100%

国立大学 理研 NIMS QST

入札実施 入札未実施

2.0 2.2 

2.9 

0.0

1.0

2.0

3.0

一般競争 一般競争 随意契約

入札の実施状況

(単位:百万円)

同一型番の機器の契約方法の違いによる価格差(国立大学)

② (大学法人においては、)少額随契の上限額に近い価格で購入している傾向

719

11 11 8 13515 8

76

随意契約4,996

調達差額→ ▲ 3,006一般競争

1,990

D大学(H25購入・V社型番W)

E大学(H25購入・V社型番W)3 2

52

8

35

15

19

(単位:千円)

≪上限額500万円の大学≫≪上限額300万円の大学≫

研究費の執行

67

Page 69: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

65,874 

69,572 (+3,698)

入学者数

103,552 99,462

(▲3.9%)

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

16年度 29年度

(単位:人)

常勤教員数

② 教員の業績評価の活用状況

業績評価結果を判断材料としている主な項目

活用している割合

① 年俸制の給与 88%

② 賞与 67%

③ 月給制の昇降給 64%

④ 任期・雇用更新等 31%

⑤ 研究費等予算配分 16%

③ 定年延長① 常勤教員数

(注)「教員の業績評価の活用状況」について、26年度は国立大学の約95%が教員の業績評価を実施、29年度は全ての国立大学(86大学)において教員の業績評価を実施。(出典)学校基本調査、国立大学法人事業報告書、文部科学省委託調査「研究者等の業績に関する評価に関する調査・分析報告書(三菱総合研究所)」、文部科学省調査、学校教員統計調査

業績評価結果を判断材料としている主な項目

活用している割合

① 賞与・報奨金等 67%

② 給与 58%

③ 教員の基盤的研究費 18%

④ 昇任 17%

⑤雇用継続・任期延長の判断 4%

【26年度】 【29年度】

○ 国⽴⼤学の40歳未満の教員のポストが減少しているとの指摘があるが、① ⼊学者が減少している中で、常勤教員数を増加させていること、② 教員の雇⽤や任期の判断が効果的になされてこなかったこと、③ 定年延⻑をしてきたこと、④ 65歳以上の教員を増加させてきたこと、シニアの採⽤を増やしてきたこと、などを鑑みれば、国⽴⼤学⾃⾝において、40歳未満の教員の処遇を改善させる余地があったのではないか。

教員数を増加させる中で定年延長やシニア採用などにより、65歳以上教員は増加国立大学の研究環境①

教員区分 16年度 28年度 増減

本務教員(65歳以上)

343 1,048 +705

兼務教員(65歳以上)

2,843 5,616 +2,773

合計 3,186 6,664 +3,478

④65歳以上教員及びシニアの採用 (単位:人)

定年年齢 16年度 28年度

67歳 1 1

66歳

65歳 58 76(+18)

64歳

63歳 25 9

62歳 2

61歳

(単位:大学)

採用年齢 16年度 28年度 増減

40歳以上(本務)

860 1,290 +430

40歳未満(本務)

3,048 3,148 +100

68

Page 70: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

① 国⽴⼤学の教員の「個⼈研究費」が⼤きく減少しているとの指摘がある。② しかしながら、基盤的研究経費だけを⾒ても⼤きく減少しているわけではないが、学内でどのように配

分・執⾏されているのか明らかでない。③ また、外部資⾦も合わせた「教員⼀⼈当たり研究費」は増加している。

外部資金も含めた教員一人当たり研究費は増加

10年前と比べた「個人研究費」(注1)アンケート(国立大学)

(出典)文部科学省「個人研究費等の実態に関するアンケート」2016年8月

(注1)「個人研究費」は、所属機関から研究者に支給される資金。科研費等の外部資金を除くもの。

417

576653

0

100

200

300

400

500

600

700

H16 H22 H28

基盤的研究費+受託研究・共同研究など(注4)

(国立大学)

(注4)「教員一人当たり研究費」は、『財務諸表』の経常費用のうち、研究経費、受託研究費、共同研究費を合計したものを『事業報告書』の常勤教員数で除したもの。

(出典)国立大学法人財務諸表、国立大学法人事業報告書

(万円)

(439)(550)

(624)

6割増(H16→28)

4割増(H16→28)

括弧書きの計数は、・ H16のみ未計上であった経費をH16に加算、・ 全年度から光熱水費と租税公課を減額した研究費

24%

36%

15%

8%

18%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40% 90

80

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

2005 2013

基盤的研究経費の獲得額

(国立大学)(万円)

(注2)基盤的研究経費とは、「機関が教員や研究員に経常的に配分する研究費」と定義。

(注3)数値は、調査対象層の中央値。

(出典)「論文を生み出した研究活動に用いた資金と人的体制」(科学技術・学術政策研究所ディスカッションペーパー No.146)より財務省作成

国立大学の研究環境②

左のアンケートでは大きく減少していることになっているが、実際には10%程度の減。しかしながら、学部毎、教員毎の

決算情報が開示されていないため、どのように資金が配分されているのか明らかでない。

69

Page 71: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

(注1)米国は1999年、カナダは2012年、イタリアは2013年、フランスは2014年、イギリス、ドイツ及び日本は2015年の数値。(注2)「研究者」は、OECD「フラスカティ・マニュアル」によれば、「新しい知識の着想または想像に従事する専門家である。研究を実施し、概念、理論、モデル、技術、測定、ソフトウェア又は操作工程の改善もしくは開発を行う」とされて

いる。その上で、各国の値は、フルタイム換算値であり、例えばある研究者が1年間の職務時間の60%を研究開発に当てている場合、その研究者を0.6人と計上している。(総務省の「科学技術研究調査報告」では、「研究者」とは、大学の課程を終了した者(又はこれと同等以上の専門的知識を有する者)で、特定の研究テーマをもって研究を行っている者」とされており、フラスカティ・マニュアルの定

義にほぼ対応しているとされるが、フルタイム換算値ではなく、実数(Head Count)で集計されており、OECDの数値より大きくなる。例えば、「科学技術研究調査報告」では、2015年の研究者総数は93万人)(出典)文部科学省 科学技術・学術政策研究所「科学技術指標2017」「大学等教員の職務活動の変化『大学等におけるフルタイム換算データに関する調査』による2002年、2008年、2013年調査の3時点比較」、

OECD「Main Science and Technology Indicators」より作成。

○ ⼤学の研究者個⼈の研究時間割合が減少しているとの指摘がある。○ しかしながら、

(1) ⽐較している3回のデータのサンプリング⽅法が異なっており、単純に⽐較できないこと(2) 研究者個⼈の研究時間を国全体で⾜し合わせたフルタイム換算(教員数×研究時間割合)の研究者数

で⾒ると、⽇本は、実数でも⼈⼝規模⽐でも主要先進国並みであり、総研究時間が短いわけではないことに留意が必要。

フルタイム換算の研究者数(=総研究時間数)は主要先進国並み

19

1410

17

75 6

0

2

4

6

8

10

12

14

16

18

20

米 日 独 英 仏 伊 加

611 13

26

118

17

0

5

10

15

20

25

30

米 日 独 英 仏 伊 加

(2) 大学部門における研究者数(フルタイム換算値)

(万人) (人)

42.541.050.7

2013

2008

2002

35.036.546.5

2013

2008

2002

【大学等全体】

【国立大学】

※「3時点の調査において、回答者のサンプリング方法が異なっていることに注意が必要である」「2008年調査

では、‥対象者の選択を大学事務局に依頼したため、‥大学事務局に協力的な教員‥に偏って調査票が配布されていた可能性も否定できない」とされている。

2002年:単純無作為抽出2008年:層化抽出法(学問分野毎に抽出率を設定)

→大学事務局が対象者を無作為抽出2013年:層化抽出法→文科省が無作為抽出。

(1) 大学等教員の職務活動時間割合

研究 教育社会サービス(研究関連)

その他学内事務等

社会サービス(教育関連)

社会サービス(その他診療活動等)

【実数】 【人口1万人当たり】

国立大学の研究環境③

70

Page 72: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

「博士課程在籍者数」は高い水準で推移博士課程①

7,429 

29,911 

62,481 

75,365  73,909 

0

500,000

1,000,000

1,500,000

2,000,000

2,500,000

3,000,000

0

20,000

40,000

60,000

80,000

昭35 37 39 41 43 45 47 49 51 53 55 57 59 61 63 平2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28

○ 博⼠課程在籍者数が減少しているとの指摘がある。○ しかしながら、理⼯系のほか、保健、⼈⽂社会など、分野により動向や背景も異なり、全体としても、博⼠課程在籍者数は⼤幅に増加したのち、⾼⽌まりしているのが実態。

○ 加えて、20歳⼈⼝に占める割合も増加している。

平成3年の大学審議会答申で、大学院学生数の倍増が掲げられた。

S40 S50 S60 H7 H17 H27

理工学 2,527人 0.11% 4,877人 0.29% 4,875人 0.29% 14,063人 0.70% 20,387人 1.36% 18,383人 1.46%

保健 6,101人 0.26% 3,795人 0.22% 9,062人 0.53% 15,311人 0.76% 23,898人 1.59% 28,120人 2.23%

その他 424人 0.02% 1,035人 0.06% 1,262人 0.07% 4,891人 0.24% 12,864人 0.86% 12,182人 0.97%

※上記表のパーセンテージは20歳人口(当時)に占める割合。なお、計数が取れない昭和40年については、昭和43年の20歳人口を用いて試算。

(出典)文部科学省『学校基本調査報告書(高等教育機関)』、総務省統計局『人口推計』

近年の動向を研究力低下の原因とする指摘がある。博士号取得者(ポスドク)の就職問題

(人) (人)

■保健

■人文社会(人文科学、社会科学、教育、芸術)

■理工学

■その他

●20歳人口(右軸)

71

Page 73: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

「博士課程在籍者数」の問題は、社会が求める学生を育成できるかどうかの問題

○ 質の⾼い博⼠課程への在籍者数の増加は⼀定の意義があるとしても、博⼠課程修了者の①就職状況や②給与⽔準の実態を踏まえれば、

・ 市場において博⼠課程教育の成果が適正に評価されていないか、・ 教育研究内容について社会が求める役割を果たしていない可能性があるのではないか。

博士課程②

進学者, 1.1%

就職者(正規の職員等), 53.3%

就職者(正規の職

員でない者等), 14.4%

一時的な仕事に

就いた者, 6.0%

就職も進学もして

いない者, 18.8%

その他, 6.9%

① 博士課程修了者

(注1)米国における初任給は、各分野の平均初任給(ボーナス等除く)の単純平均により算出した。(注2)日本における初任給の年額は、平均初任給(月額)の12か月分とした。(出典)文部科学省「平成29年度学校基本調査」

一般財団法人労務行政研究所「2017年度 新入社員の初任給調査」、National Association of Colleges and Employers「Salary Survey」

学士 修士 博士

約253万円 約274万円 約292万円

約1.15倍

日本における初任給の水準(年額、修了課程別)

学士 修士 博士

約460万円 約564万円 約734万円

約1.6倍

米国における初任給の水準(年額、修了課程別)

(1$=110円換算)

72

Page 74: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

2.1

0.8

0.5

0.2

0.07

0.03

0.02

0.01

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

第1グループ

第2グループ

第3グループ

第4グループ

第1グループ

12%第1グループ

10%

第1グループ

36%

第2グループ

21%第2グループ

19%

第2グループ28%

第3グループ

20% 第3グループ18%

第3グループ16%

第4グループ

47%第4グループ

53%

第4グループ

20%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

教員・

研究者

数シェア

総事業費シェア top10%

論文数シェア

① 論⽂数のシェアの⼤きい第1グループの⼤学は、教員数のシェアも総事業費シェアも10数パーセントであるが、Top10%論⽂数のシェアは36%と⼤きい。

② したがって、第1グループは教員当たりや総事業費当たりの論⽂⽣産性が他のグループに⽐べて⾼い。

論文生産性には大学間で10倍もの開きがある 運営費交付金の配分①

(出典)科学技術政策研究所「日本の大学に関するシステム分析」2009年3月の2005~2007年のデータを基に財務省作成

※論文数のシェアに基づく分類。シェアが高い方が第1グループ、低い方が第4グループ。

論文生産性約10倍の差

73

上段:教員一人当たりtop10%論文数(上軸)下段:総事業費10億円当たりtop10%論文数(下軸)

Page 75: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ 運営費交付⾦はおおむね教員数に応じて配分されており、旧帝国⼤学など特定の⼤学への集中が進んできたわけではない。

運営費交付金はおおむね教員数に応じた配分。法人化後も大きな変化は見られない 運営費交付金の配分②

(注)国大運営費交付金配分額は、附属病院の赤字補填と退職手当を除いた計数

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

90,000

予算配分額(特殊要因除き) 常勤教員数

【H16】国大運交金配分額(単位:百万円) 【H16】常勤教員数(単位:人)

・運営費交付金の配分額は、

旧7帝国大で全体の34%・常勤教員数は、

旧7帝国大で全体の28%

16年度

【合計(86大学) : 9,791億円】

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

90,000

運交金配分額(特殊要因除き) 常勤教員数

【H29】国大運交金配分額(単位:百万円) 【H29】常勤教員数(単位:人)

・運営費交付金の配分額は、

旧7帝国大で全体の34%・常勤教員数は、

旧7帝国大で全体の30%

29年度

【合計(86大学) : 9,493億円】

74

Page 76: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

(うち運営費交付金)

○ 運営費交付⾦の⼤宗は、各法⼈に対して、原則、前年度同額で配分。○ 「評価に基づき」配分される経費はごく⼀部。相当なコストをかけて「評価」を⾏っているにもかかわらず、

「量」「質」の両⾯において、我が国の教育研究の質向上に実効性がない。

各年度の運営費交付金の大学への配分

運営費交付金は成果に応じて配分されないことが問題 運営費交付金の配分③

附属病院収入10,962億円

運営費交付金10,971億円

授業料等収入3,304億円

雑収入等648億円

基幹経費9,078億円

機能強化経費特殊要因経費

1,608億円

(大学の収入)

「重点支援評価」に基づき配分(285億円)

原則、前年同額で各大学に配分

個別事情に応じて配分(退職手当等)

問題点②○ 各⼤学それぞれのインプット指標による

絶対評価(アウトカム指標による相対評価がなされていない)⇒教育・研究の質の向上に実効性がない

問題点①○ 評価に基づく配分割合が⼩さい

⇒教育・研究の質の向上に実効性がない<平成30年度重点⽀援評価の状況>

最高評価の大学

最低評価の大学

対運営費交付金

+0.09% ▲0.11% 0.20%

対収入 +0.05% ▲0.08% 0.13%

(注) 重点支援評価に基づく再配分率が最高又は最低の大学について、運営費交付金又は総収入額(附属病院収入を除き、運営費交付金収入は当該年度の予算額に置き換え)に対する、各大学の機能強化係数影響額と再配分額の差額の割合を算出。

(注)運営費交付金は、平成30年度予算額。運営費交付金以外は、平成29年度決算報告書等の金額。

寄附金1,007億円

産学連携等研究収入等

3,196億円

補助金等収入1,109億円

75

Page 77: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

〇 教育研究の成果につながるか必ずしも明らかではない「インプット指標」や、そもそも教育研究とは無関係な指標が設定され、これに基づき評価がなされ、おおむね「A評価」。

運営費交付金の配分④

インプット指標に過ぎないもの

評価指標 目標値 直近の実績 実績の把握目標に向けた進捗状況

自己評価の判断理由

KPIの改善状況

A大学「地域人材育成会議」の開催回数

年2回開催(29年度以降) 1回開催 A A A A

A大学 混住型学生宿舎の整備 96名以上(33年度末) 80名 A A A B

B大学 自学自習施設の増加状況 1,863㎡(33年度末) 1,552㎡ A A A A

C大学 AO入試募集人員数 49人以上(33年度末) 4人 A A A A

D大学アンケート調査結果に基づく入試方法改善への活用状況

年1回調査実施(28年度以降) 1回 A A A A

E大学 大学院における定員充足率 100%(28年度以降) 91% A B B A

E大学 就職相談等の実施件数 年間7,200件以上(28年度以降) 7,613件 A A A B

F大学「先導研究推進機構」に所属する教員数の増加状況

12人(28年度末) 12人 A A A B

単なる「インプット指標」や「無関係な指標」で評価

教育研究とは無関係なもの

G大学救急車受入件数・ドクターヘリ稼働件数

1,800件(33年度中) 1,801件 A A A A

H大学 病院の逆紹介率の増加状況 66%(33年度末) 90% A A A A

(注)救急者受入や、病院への逆紹介率は、別途医療の提供内容に着目した評価が診療報酬においてなされている。

76

Page 78: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

① たとえ、アウトカム指標だとしても、それぞれが設定した⽬標への進捗のほか、「適切なKPIか」「実績を把握しているか」等の観点から評価されており、教育・研究の実績に応じた相対評価はなされていない。

② 教育・研究の質の向上に資するアウトカム指標を厳選し、各⼤学共通で厳密な第三者による相対評価を⾏う必要。

① 11教育大学における評価指標の例

(アウトカム指標)

学生の英語力(TOEIC)

学生の学修時間の増加状況

教員就職率

教員就職率(学部)の例

基準値 目標値 直近の実績 実績の把握目標に向けた進捗状況

自己評価の判断理由

KPIの改善状況

68.1% 90% 73.5% A A A A

88% 80% 85% A A A A

67.8% 70% 67.6% A A A A

基準値 目標値 直近の実績 実績の把握目標に向けた進捗状況

自己評価の判断理由

KPIの改善状況

TOEIC平均スコア:450点

500点 445.3点 A B+ A A

TOEIC590点以上の学生の比率:43%

100%30年度から測定

A B+ A A

TOEIC730点以上の取得率:

20%90% 30% A A A A

学生の英語力(学部)の例

運営費交付金の配分⑤アウトカム指標が設定されていたとしても大学間での相対評価が行われていない

77※ 3教育大学は、教員就職率を設定していない。

教育 研究

○ 就職率・進学率

○ 教員⼀⼈当たりtop10%論⽂数

○ 上記のうち、国際共著論⽂数

○ 若⼿教員⽐率○ 外部資⾦獲得額

② ⼤学に対する様々な課題(社会のニーズにあった教育、研究⼒の向上など)を踏まえれば、それらにこたえ得る、実効性のあるアウトカム指標を厳選して、各⼤学共通に設定すべきではないか。

【⽤いるべきアウトカム指標(あるいはそれに類する指標)の例】

Page 79: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ 我が国の国公⽴⼤学への公的⽀援については、主要先進国の国公⽴⼤学の中でトップクラスにある。そうした中で、国⽴⼤学法⼈間の運営費交付⾦等については、社会のニーズに応じた教育⽔準・グローバルレベルでの研究⽔準の向上が図られるよう、・ 複数併存・重複する評価制度を整理統合し、教育⾯では例えば就職率・進学率など、研究⾯では例

えば教員⼀⼈当たりトップ10%論⽂数・若⼿教員⽐率・外部資⾦獲得額などのアウトカムあるいはそれに類する共通指標を⽤い、相対評価かつ厳密な第三者評価を実施するとともに、

・ これらの教育・研究の質を評価する共通指標に基づいて配分する割合をまずは10%程度にまで⾼めることが必要ではないか。

○ 国⽴⼤学法⼈の学内の予算配分については、新たなニーズに対応する必要があるのであれば、外部資⾦も合わせ、学⻑裁量経費等を有効に活⽤しながら、学⻑のリーダーシップやガバナンス改⾰により、重点配分を実現すべきではないか。

そのため、各⼤学において、セグメント別の予算・決算を管理し、各学科・各教員の教育・研究成果を評価する必要があるのではないか。

○ 国⽴⼤学教員の研究環境に関して、個⼈研究費が減少している、個⼈の研究時間割合が減少しているといった指摘があるが、・ 外部資⾦を含めた教員⼀⼈当たりの研究費は増加していること、・ ⼤学全体としての研究時間は主要先進国と遜⾊がないこと、・ 調査⽅法が異なるアンケートによるデータの単純な⽐較は必ずしも妥当ではないことに留意する必要がある。それぞれの教員の教育と研究の⽐重の置き⽅については、教員の業績評価や⼤学のマネジメント機能の発揮を通じて、教員個⼈への研究費や研究時間の配分のメリハリの中で議論すべきではないか。

検討の方向性① 科学技術(国立大学)

78

Page 80: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

○ そうした中で、若⼿教員の処遇改善を求める意⾒がある。⼀定の流動性を確保することは必要であるが、仮に改善が必要な場合には、各⼤学において、・ ⼊学者が減少している⼀⽅、常勤教員数を増加させてきている、・ 雇⽤や任期の判断が効果的になされていない、・ 単純に定年延⻑をし、65歳以上教員を増加させてきているといった現状について、マネジメント機能を発揮して⼈事・給与システムを⾒直すことで、若⼿教員の処遇を改善することは可能ではないか。

○ 博⼠課程への進学者数が減少しているとの指摘があるが、⼤学院の就職状況や⼤幅な定員割れとなっている⼤学院が多いこと等を踏まえれば、定員の⾒直しを含め、⼤学院教育の抜本的な改⾰が求められているのではないか。その際、・ ⼤学院側は修了後のキャリアパスにつながる教育を⾏う、・ 企業側は⼤学院教育の成果を適切に評価するといった出⼝を⾒据えた改⾰が必要ではないか。そのため、産学連携を通じて、⼤学院・企業の意思疎通を図ることが望ましいのではないか。

検討の方向性② 科学技術(国立大学)

79

Page 81: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

論点6 科学技術(3)<官民の役割分担と執行上の問題>

○ 研究⼒の向上に向けて、官⺠の役割分担、執⾏のあり⽅をどのように考えるか。

論点6 科学技術(3)

80

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官民の研究開発投資総額(対GDP比、2016年)

(出典)OECD, Main Science and Technology Indicators

企業部門の研究開発投資の規模は主要先進国でトップクラスの水準

○ 我が国の企業部⾨の研究開発投資の規模は、主要先進国の中でトップクラスの⽔準にある。

研究開発投資

81

3.12.9

2.7

2.3

1.71.6

1.3

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

日本 ドイツ アメリカ フランス イギリス カナダ イタリア

(%)

企業

部門

官部門

国と民間の支援のイメージ

基礎研究 社会実装

国が負担すべき領域

民間が負担すべき領域

国が肩代わりする必要があるか?

Page 83: 文教・科学技術 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 国民負担率と私費教育負担率(2015年) 国民負担率 私費教育負担率 (注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育

① 「戦略イノベーション創造プログラム」(SIP)のプロジェクトの⼀つとして⾏われている、乗⽤⾞⽤内燃機関(エンジン)の効率を向上させる研究開発は、30年度の期間終了後に、国内の⼤⼿⾃動⾞メーカー等で構成される⾃動⾞⽤内燃機関技術研究組合(AICE)を中⼼に研究開発が引き継がれる予定。極めて商品化に近いものであるにもかかわらず、⺠間負担はわずか。

② 現在実施中の、第⼆期SIPにおいても、計画ベースではあるが、⼤⼿企業で専ら活⽤されると考えられる技術開発に対して、⺠間負担が⼗分でないと考えられるものがある。

③ ImPACTでも、⼤⼿企業と共同研究を⾏うプロジェクトが存在するが、⺠間負担を求めていないものがある。

本来民間が負担すべき範囲まで国が肩代わりしていないか

(注1)上記計数は、28年度の見込額。(注2)AICEの組合員

いすゞ自動車(株)、スズキ(株)、(株)SUBARU、トヨタ自動車(株)、日産自動車(株)、(株)本田技術研究所、マツダ(株)、三菱自動車工業(株)、国立研究開発法人産業技術総合研究所、(一財)日本自動車研究所

① 第1期SIP「革新的燃焼技術」の研究体制図

ガソリン燃焼チーム

ディーゼル燃焼チーム

損失低減チーム

制御チーム

ガソリン燃焼分科会

ディーゼル燃焼分科会

摩擦損失低減分科会

CAE分科会

SIP

AICE

※国内自動車業界⇒研究開発減税の約3割、

約2,000億円が適用⇒経常利益合計約5兆円

国から19億円 民間から4億円

② 第2期SIP「スマート物流サービス」

研究テーマの一例

(C)「商品情報」の見える化技術の確立① 商品を管理する低コストタグの開発② タグの高精度リーダーの開発

民間負担割合(計画上の水準)

2018 2019 2020 2021 2022

5% 17% 16% 20% 24%

(出典)SIP第二期 工程表(内閣府公表)より財務省が作成

官民の役割分担

82

③ 『超薄膜化・強靭化「しなやかタフポリマー」の実現』の研究開発体制

国から48.5億円 民間負担を求めていない

燃料電池電解質膜を

薄膜化

リチウム電池のセパレータ

を薄膜化

車体構造用樹脂を30%

強靭化

タイヤゴムの重量40%減

透明樹脂の強靭化

A企業(窯業・土石

製品)

B企業(化学・化

成品)

C企業(紡績・繊

維)

D企業(自動車部

品)

E企業(化学・化

成品)

九大 ○ ○ ○ ○ ○

理研① ○ ○ ○ ○ ○

北大 ○ ○ ○

名大 ○ ○ ○

お茶ノ水大 ○

阪大 ○ ○

理研② ○

山形大 ○ ○ ○ ○

東大 ○ ○ ○

企業

大学

82

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○ 企業が好業績にあり、企業の現⾦保有は過去最⾼⽔準にある中でも、⽇本企業の研究開発投資への意欲は⾼いとは⾔えない。

① 企業が⼤学に投じる研究開発費は伸びず、② その割合も諸外国と⽐べて低⽔準。③ さらに、1件当たりの規模も⼩さい。

むしろ民間から大学への投資をさらに呼び込む必要

793 

1,002 

10.9 

13.6 

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2,000

0

2

4

6

8

10

12

14

16

① 企業の研究開発費のうち大学に投じる研究開発費の推移

企業の研究開発費(左軸)

② 企業の研究開発費のうち大学に投じる研究開発費の割合(2016年)

(出典)文部科学省 科学技術・学術政策研究所「科学技術指標2017」、総務省統計局「科学技術調査報告」より作成。

(兆円)

うち大学に投じる分(右軸)

日 米 独 仏 英

0.7% 1.0% 3.5% 1.0% 1.7%

(注)文部科学省 科学技術・学術政策研究所「科学技術指標2018」に基づき作成。独、仏、英は2015年の数値

(億円)

民間資金の獲得①

83

③ 大学等の産学共同研究の1件当たりの規模

~100万円

未満48%

~300万円

未満36%

~500万円

未満7%

~1000万円

未満5%

1000万円

以上4%

(出典)文部科学省「平成28年度 大学等における産学連携等実施状況について」

⽇本の⼤学等における⼀件あたり共同研究費の規模は約200万円

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○ 研究所が⺠間資⾦を獲得するインセンティブを与えるため、獲得した⺠間資⾦に応じて運営費交付⾦を配分するフラウンホーファーモデルを導⼊すべきとの指摘がある。

(注)フラウンホーファー研究所は、7つのグループの下に72のセンターを擁するドイツの応⽤研究組織。① しかしながら、フラウンホーファーモデルは、あらかじめ決められた運営費交付⾦の総額を各センター

が獲得した⺠間資⾦に応じて配分する仕組みであって、⺠間資⾦に応じて運営費交付⾦の総額が増加する仕組みではない。

② ⺠間資⾦に応じて単に上乗せを⾏う場合、⺠間資⾦獲得の努⼒を⾏わない⼤学が温存されるため、政策効果が低い。

③ 従って、研究開発費のマッチングファンド化をさらに推し進めるとともに、運営費交付⾦の中で評価に基づき配分される額を抜本的に増額しつつ、評価指標に⺠間資⾦の獲得状況を追加することで、インセンティブを抜本的に強化するべき。

「フラウンホーファーモデル」は運営費交付金を増額させない仕組み

運営費交付金の受入れ(€7億)外部資金(€15億)

マイクロエレクトロ

ニクスグループ

民間資金にリンクさせて配分

材料・部材

グループ

生産技術

グループ

情報通信技術グ

ループ

ライフサイエンス

グループ

防衛・安全保障グ

ループ

光・表面技術技術

グループ

① フラウンホーファー研究所

(出典)“The Fraunhofer Model in Germany -closing the gap between science and industry” Raoul Klingner, Director of International Business Development, Fraunhofer-Gesellschaftフラウンホーファー研究所のannual report 2017 より財務省作成。

民間資金の獲得②

84

② 民間資金に応じた単なる「上乗せ」

※民間資金獲得に向けた努力を行わない大学が温存される。

A大学 B大学 C大学

③ 民間資金に応じた運営費交付金の配分のメリハリ付けを通じたインセンティブ

※すべての大学が、民間資金獲得に向けた努力を行う。

A大学 B大学 C大学

インセンティブ

一部(65%程度)

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○ ImPACT(⾰新的研究開発推進プログラム)は、基⾦⽅式であるが故に、執⾏管理が⼗分とは⾔えず、効率的に執⾏ができていないのではないか。① 外部専⾨家による進捗状況評価(S〜D)を4年経過するまで未実施であり、評価結果も⾮公表。② BHQ問題(Brain Healthcare Quotient)(注)についても、外部専⾨家より、内閣府及びJSTに

おける進捗管理が不⼗分であった、との指摘がなされている。(注)ImPACTの研究開発プログラム「脳情報の可視化と制御による活⼒溢れる⽣活の実現」において、⼗分なエビデンスがない段階で、29年1⽉に⾼カカオチョコレートに関し「脳の若返り効果」がある可能性を⽰唆する記者会⾒を開催した問題。

○ 「基⾦」⽅式は、・国債で賄った財源が⻑期滞留し⾮効率(不要な国債⾦利負担、国⺠貯蓄を有効活⽤せず機会費⽤発⽣)・適切な執⾏管理・評価がおろそかになるといった弊害がある点に留意する必要。

基金事業は非効率かつ執行管理が不十分

基金管理法人

基金事業(ImPACT)のイメージ

5年分550億円を一括で交付

プロジェクトA プロジェクトB

初年度に約450億円配分(1プロジェクト:15~40億円)

初年度に大きな額を交付したため、進捗状況の評価を反映できず

S A B C

1課題 5課題 9課題 1課題

進捗状況評価結果(4年後の30年2月)

① C評価を受けたあるプログラム26年度当初:30億円 29年度時点:30億円

⇒C評価にも関わらず、26年度当初と同額措置。

「このままでは、産業や社会の在り方の変革に十分なインパクトを与えないことが懸念される。」(出典)非公表の評価書より抜粋

② 「脳情報の可視化と制御による活力溢れる生活の実現」

⇒「国の研究プロジェクトでは当たり前の中間評価がImPACTには存在しないため、‥批判を受けるような機会がなかったことが原因ではないか」

(出典)(BHQチャレンジ等に関する外部専門家ヒアリングのとりまとめ報告書」(平成30年2月)

基金の問題点

・余剰な資金が無駄に積みあがっているのではないか。

・基金造成後の執行管理が十分になされていないのではないか。

・当初予算を小さく見せるために、粉飾気味の補正予算となっているのではないか。

(ImPACTも名指しで批判)

⇒ 「基金は、利点もある一方で、執行管理の困難さも指摘されていることから、その創設や既存基金への積み増しについては、財政規律の観点から、厳に抑制する」(骨太2014)

国会での議論(24、25年度補正において基金を

多数計上したことを受けて)

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国取り下げ

総数(件)

不正による取り下げ

(件)

論文総数(万件)

10万件当たりの不正論文数

1 米国 260 84 182.0 4.6

2 中国 89 20 18.6 10.8

3 日本 60 18 37.8 4.8

4 インド 50 17 9.6 17.8

5 英国 45 7 35.1 2.0

6 韓国 38 8 9.0 8.9

7 ドイツ 25 3 29.4 1.0

8 オーストラリア 17 3 13.2 2.3

9 カナダ 17 2 19.5 1.0

10 イタリア 17 6 20.2 3.0

世界平均 788 197 611.1 3.2

① ⽇本における研究不正の発⽣率は、主要先進国の中で相対的に⾼い⽔準となっている。② 研究費の獲得競争が激しいために研究不正が増加するとの意⾒もあるが、競争があるから不正が正当化

されるわけではなく、また、そもそも、諸外国と⽐べて競争が激しいのか、慎重な議論が必要。③ 競争的資⾦で不正⾏為と認定された例はあるが、その場合でも、

・ 不正⾏為に「直接」関係のある経費として、論⽂の投稿料等のみ返還を求めている・ 研究機関に体制整備に係る「管理条件」を付し、履⾏されない場合に間接経費を削減する

とされているが、現在のところ間接経費の削減まで措置された例はない。

研究不正に対する対応は十分なのか

① 主要国の研究不正の発生率(2000~2009) ② 諸外国における学術研究を支援する競争的資金

日本 アメリカ ドイツ イギリス

機関名JSPS

(科研費)NSF NIH DFG EPSRC ESRC

分野 全分野 科学・工学 医学 全分野 科学・工学 社会科学

採択率 26.6%(2014)

19.5%(2013)

17.5%(2013)

31.3%(2013)

35.6%(2010~13)

24.6%(2013~14)

(出典)日本学術振興会 「米独英のファンディングエージェンシーの審査システム」(27年2月)

(出典)松澤孝明(JST)「諸外国における国家研究公正システム」(25年10月)

件数 不正支出・受給額 関与研究者数

うち科研費 うち科研費 うち科研費

25件 21件 5.3億円 1.2億円 59人 51人

③ 文部科学省に報告のあった競争的資金等の不正使用・受給状況

(出典)文部科学省HP掲載情報より作成。(平成27~29年度報告書提出分(平成30年3月末時点))

研究不正

「世界で も引用されている撤回論文トップ10 (Top 10 most highly cited retracted papers)」では、日本の研究機関の論文が1位になるなど、2本が掲載。(http://retractionwatch.com) 86

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○ 我が国の企業部⾨の研究開発投資の⽔準は主要先進国の中でトップクラスにある中で、⺠間企業が⾃⼰資⾦で実施することが可能と考えられる分野に公費投⼊するのではなく、むしろ⼤学や公的研究機関の知恵やノウハウに対し、企業が資⾦投⼊することで、社会のニーズにあった研究の充実が期待できるのではないか。

また、執⾏⾯では、・ 基⾦⽅式については、適切な評価やPDCAサイクルの構築がおろそかになりがちであることか

ら、その利⽤を厳に慎む必要があるのではないか。・ 研究不正の防⽌については、不正⾏為が起きた場合の予算返還の徹底、⼤学等の研究機関の管

理責任の強化が必要ではないか。

検討の方向性科学技術(官民の役割分担と執行)

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