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痛みの比喩表現の身体感覚と認知の構造 1, 2 楠見 孝 3 中本 敬子 4 子安 増生 京都大学 Perceptual and cognitive characteristics of metaphorical pain language Takashi Kusumi, Keiko Nakamoto, and Masuo Koyasu Kyoto University This study investigated the perceptual and cognitive characteristics of metaphoric and onomatopoeic descriptions of physical pain. Ninety-eight Japanese pain descriptors were identied from previous pain studies and the World Wide Web. Four hundred and thirty-six Japanese undergraduates were asked to indicate for each descriptor: a body locations; b temporal duration, interval repetition, and frequency, spatial movement, depth, area, volume and magnitude strength levels; and c ratings on seven semantic dierential scales for cognitive evaluation. Correspondent analysis and principal component analysis indicated good correspondence between the perceptual and cognitive characteristics. Cluster analysis revealed that the 98 descriptors fall into eleven clusters that appear to be associated with dierent underlying metaphors for pain e.g., the body as a container that experiences pain as the result of damage from an object or weapon. These results are discussed in terms of the relationship between the metaphors people use to describe their pain experience and the potential for bodily-basis conceptualization of pain. Key words: pain, metaphor, onomatopoeia, verbal expression, embodiment. The Japanese Journal of Psychology 2010, Vol. 80, No. 6, pp. 467-475 本研究は,痛みの言語表現,その中でもとくに比喩 表現および擬態語を支える身体的・認知的要因と言語 的要因について,計量的データに基づいて,認知心理 学的,認知言語学的観点から検討を行う。 痛みは,熱いものや尖ったもの等が身体に触れた際 に起こる場合のように重大な傷害から逃れる危険信号 を発したり,関節の損傷時のように痛みによって身体 を不活動状態にし,生体に休息をとらせたりする働き を持つ(東山・宮岡・谷口・佐藤,2000)。また,痛 みは医療を施す際に重要な診断基準となる徴候であ り,痛みの分類やその発生機構に関するモデル化が行 われている。痛みの研究は主として,感覚心理学(佐 藤・奥富・谷口・宮岡・東山・畑山,1991)や医学・ 看護学(Jairath, 1999),医療人類学(Morris, 1991 邉・鈴木訳 1998)の分野で研究されてきたが,その 認知的・言語的基盤に関する検討は十分ではない。 痛みは主観的経験であり,その大きさや質を他者に 直接伝える手段はない。そのため,痛みの内容は言語 的表現や表情,行動等を通して他者に伝達される。と くに,医療や介護を受ける際に,痛みを正確に伝達す るには,言語表現の使用が必要不可欠である。そのた め,医療現場では痛みの問診票が種々開発されている が,認知と言語の研究においても,痛みをどのように 認知し,言語表現するかを解明することは重要なテー マである。 痛みを他者に伝える言語表現には様々なものがあ る。頻繁に用いられる方法は,その痛みが生じるに至 った状況を説明することである。画鋲を踏んでしま い痛かった等の発話がこれに当たる。しかし,痛み はこうした客観的状況描写によってのみ言語的に伝達 されるわけではない。むしろ,痛みを表すために様々 な慣用的な比喩表現があり,痛みの主観的経験を伝達 する役割を果たしている(Jairath, 1999; Söderberg & Norberg, 1994)。たとえば刺すような,締めつけ られるような等の痛み表現は,比喩指標ような 心理学研究 2010 年第 80 巻第 6 pp. 467-475 原著 Correspondence concerning this article should be sent to: Takashi Kusumi, Graduate School of Education, Kyoto University, Yoshida- honmachi, Sakyo-ku, Kyoto 606-8501, Japane-mail: kusumi@educ. kyoto-u.ac.jp1 本研究は平成 15 年度文部科学省科研費補助金・萌芽研究 (研究代表者・子安増生:課題番号 15650045)の助成を得た。 2 本研究の材料,すべての図の拡大図および座標値,主成分分 析の結果,痛み表現のクラスタごとの身体部位の平均選択率の 表は,第 1 著者のホームページに掲載してある。 http://www.educ.kyoto-u.ac.jp/cogpsy/personal/Kusumi/pain.htm 3 調査の実施にあたり,瀧ヶ崎隆史先生(日本工業大学),音 山 若穂先生(郡山女子短期大学)にご協力を頂きましたことを 感謝いたします。 4 現所属:文教大学教育学部

[Perceptual and cognitive characteristics of metaphorical pain language]

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痛みの比喩表現の身体感覚と認知の構造1, 2

楠見 孝3 中本 敬子4 子安 増生 京都大学

Perceptual and cognitive characteristics of metaphorical pain language

Takashi Kusumi, Keiko Nakamoto, and Masuo Koyasu �Kyoto University�

This study investigated the perceptual and cognitive characteristics of metaphoric and onomatopoeic descriptions

of physical pain. Ninety-eight Japanese pain descriptors were identied from previous pain studies and the World

Wide Web. Four hundred and thirty-six Japanese undergraduates were asked to indicate for each descriptor: �a�body locations; �b� temporal �duration, interval repetition, and frequency�, spatial �movement, depth, area,

volume� and magnitude �strength� levels; and�c� ratings on seven semantic di唖erential scales for cognitive

evaluation. Correspondent analysis and principal component analysis indicated good correspondence between the

perceptual and cognitive characteristics. Cluster analysis revealed that the 98 descriptors fall into eleven clusters

that appear to be associated with di唖erent underlying metaphors for pain �e.g., the body as a container that

experiences pain as the result of damage from an object or weapon�. These results are discussed in terms of the

relationship between the metaphors people use to describe their pain experience and the potential for bodily-basis

conceptualization of pain.

Key words: pain, metaphor, onomatopoeia, verbal expression, embodiment.

The Japanese Journal of Psychology2010, Vol. 80, No. 6, pp. 467-475

本研究は,痛みの言語表現,その中でもとくに比喩

表現および擬態語を支える身体的・認知的要因と言語

的要因について,計量的データに基づいて,認知心理

学的,認知言語学的観点から検討を行う。

痛みは,熱いものや尖ったもの等が身体に触れた際

に起こる場合のように重大な傷害から逃れる危険信号

を発したり,関節の損傷時のように痛みによって身体

を不活動状態にし,生体に休息をとらせたりする働き

を持つ(東山・宮岡・谷口・佐藤,2000)。また,痛

みは医療を施す際に重要な診断基準となる徴候であ

り,痛みの分類やその発生機構に関するモデル化が行

われている。痛みの研究は主として,感覚心理学(佐

藤・奥富・谷口・宮岡・東山・畑山,1991)や医学・

看護学(Jairath, 1999),医療人類学(Morris, 1991 渡

邉・鈴木訳 1998)の分野で研究されてきたが,その

認知的・言語的基盤に関する検討は十分ではない。

痛みは主観的経験であり,その大きさや質を他者に

直接伝える手段はない。そのため,痛みの内容は言語

的表現や表情,行動等を通して他者に伝達される。と

くに,医療や介護を受ける際に,痛みを正確に伝達す

るには,言語表現の使用が必要不可欠である。そのた

め,医療現場では痛みの問診票が種々開発されている

が,認知と言語の研究においても,痛みをどのように

認知し,言語表現するかを解明することは重要なテー

マである。

痛みを他者に伝える言語表現には様々なものがあ

る。頻繁に用いられる方法は,その痛みが生じるに至

った状況を説明することである。Ä画鋲を踏んでしま

い痛かったÉ等の発話がこれに当たる。しかし,痛み

はこうした客観的状況描写によってのみ言語的に伝達

されるわけではない。むしろ,痛みを表すために様々

な慣用的な比喩表現があり,痛みの主観的経験を伝達

する役割を果たしている(Jairath, 1999; Söderberg &

Norberg, 1994)。たとえばÄ刺すようなÉ,Ä締めつけ

られるようなÉ等の痛み表現は,比喩指標ÄようなÉ

楠 見・中 本・子 安:痛みの比喩表現の構造 467心理学研究 2010年 第 80巻 第 6号 pp. 467-475原著

Correspondence concerning this article should be sent to: Takashi

Kusumi, Graduate School of Education, Kyoto University, Yoshida-

honmachi, Sakyo-ku, Kyoto 606-8501, Japan(e-mail: kusumi@educ.

kyoto-u.ac.jp)1 本研究は平成 15 年度文部科学省科研費補助金・萌芽研究

(研究代表者・子安増生:課題番号 15650045)の助成を得た。2 本研究の材料,すべての図の拡大図および座標値,主成分分

析の結果,痛み表現のクラスタごとの身体部位の平均選択率の

表は,第 1著者のホームページに掲載してある。

http://www.educ.kyoto-u.ac.jp/cogpsy/personal/Kusumi/pain.htm3 調査の実施にあたり,瀧ヶ崎 隆史先生(日本工業大学),音

山 若穂先生(郡山女子短期大学)にご協力を頂きましたことを

感謝いたします。4 現所属:文教大学教育学部

を含み,実際に針で刺されたり,工具で締めつけられ

たりはしていないため,直喩の一種と言える。さら

に,日本語では痛みを表現するために擬態語も頻繁に

用いられる。たとえば,連打されるように激しい痛み

を表すÄがんがんÉや針で刺したような痛みを表す

ÄちくっÉといった表現である(山口 仲美,2003)。

これらの表現は,鈍器による打撃や針状のモノによる

刺激といった痛みの原因と関連する表現と見なすこと

ができ,慣用的比喩表現と深く関わる。

また,痛みの比喩表現は,個人間の伝達のみなら

ず,痛みや病気に対する解釈や意味づけやそれに伴う

対処法の選択等にも影響を与えていると考えられる

(Jairath, 1999)。たとえば,Gibbs & Franks(2002)は,

がん患者へのインタビューから,比喩ががん経験の意

味づけに影響していることを明らかにした。つまり,

痛みの言語表現,とくに比喩は,自他の痛み認知を支

える病気に関する素朴理論(folk theory)解明の手が

かりともなる。

このような問題を考えると,痛みの言語表現の特性

を明らかにすることは,重要な研究課題と言える。し

かし,様々な痛み表現を取りあげて検討した研究は多

いとは言えない。とくに,比喩の認知心理学的・認知

言語学的研究が,比喩と感情の関係を解明してきたこ

と(楠見,1996; Lako唖, 1987)に比べると,痛みの言

語表現の研究は不足している。

これまでに行われてきた痛みと言語に関する研究と

しては,痛みの問診票の作成を目的としたものがある

(Satow, Nakatani, & Taniguchi, 1988; Satow, Nakatani,

Taniguchi, & Higashiyama, 1990)。Satow et al.の一連の

研究は,痛みの言語表現として,使用頻度の高い 30

語を用いているため網羅範囲はあまり広くない。一

方,山中(1987),山中・山崎(1989)は痛み刺激

(冷水,輻射熱,電気刺激)を与え,それらの痛みを

表現する語句を生成,選択させることによって言語表

現の分析を行っている。しかし,取り上げられている

語句の範囲はやはり広くはないこと,また実験室で与

えられる痛みと実験室外で経験する臨床痛とは様々な

点で性質が異なっていると考えられることから,痛み

表現の性質を一般化するには限界がある。

言語表現に注目した研究の中では,自然言語処理の

文脈で,竹内・宇津木(1988)が 15個の痛み表現に

ついて調査を行い,Ä痛みの強さÉとÄ周期性É,およ

びÄけいれん性Éで表現を特徴づけられることを示し

た。しかし,竹内・宇津木の研究は,類似性評定に基

づいた痛みの表現空間の構成が主であり,その身体部

位や痛みの知覚的特徴との関連に関する認知心理学的

な考察は十分ではない。

上記の背景をふまえ,本研究では,身体的痛みに関

する言語表現,とくに比喩表現と擬態語について,身

体部位,身体感覚的特徴,認知的評価の対応関係を明

らかにする。そして痛みの言語表現を支える身体感覚

的,認知的,言語的基盤を検討する。

方 法

調査参加者

首都圏近郊と東北地方の大学生・短大生 436(男

228,女 204,不明 4)名(平均年齢 20.3 歳)が参加

した。

言語材料の収集

三つの方法で身体的痛みを表現する慣用比喩および

擬態語を収集した。

(a)痛みに関する先行研究(Hasegawa, Mishima,

Matsumoto, Sasaki, Kimura, Baba, Senami, Kanemura,

Takano, & Shibata, 2001;東山他,2000; Melzack, 1975)

の主に痛み質問票に使用されている語句を収集した。

(b)苧阪(1999)の擬音語・擬態語研究,および擬音

語・擬態語辞典(浅野,1978;山口 仲美,2003)か

らÄ痛み・触覚Éを表す擬態語を収集した。また,他

の感覚等を表す語であっても,痛みを表現する用例が

ある語は調査対象として選択した。(c)上記以外の痛

みに関する言語表現をインターネットのWeb上の掲

示板や日記から,Ä痛みÉをキーワードにして検索ツ

ールによって収集した。このように,先行研究や辞典

に加えて,Web上の用例も収集する手続きをとった

理由は,ÄキヤキヤするÉ等の造語さえも痛みの言語

的伝達に使用されうるという報告(佐藤他,1991)に

基づく。本研究では,こうした造語をすべて検討でき

ないが,本来は痛覚以外の感覚を表す擬態語や Web

上の用例も含めることで,従来の研究よりも広範囲の

表現を扱うことができると考えた。

痛みの先行研究で用いられてきた材料に,痛みの擬

音語・擬態語の研究と辞書用例,およびインターネッ

ト上の用例を加えた,比喩表現 58例,擬態語 40例,

計 98例を材料に用いた(Figure 1を参照のこと)。比

喩表現には,直喩や隠喩だけでなく,換喩と見られる

表現を多数含む。たとえば,Ä刃物で刺されたよう

なÉ,Äハンマーで殴られたようなÉは痛み感覚が生じ

る原因となる出来事を述べることで痛みのイメージを

表現する言葉であり,時系列的な近接性に基づく換喩

と考えられる。

評定項目と冊子の構成

評定は,質問紙により,授業時間中に集団で実施し

た。質問紙は,各頁の上部に痛み表現(たとえば,

Äずきんずきんする痛みÉ)を挙げ,以下の四つの評定

項目群が続いた。

1.痛みを感じる部位に関しては,それぞれの表現

で表される痛みが身体のどの部位で生じるかを 16の

心理学研究 2010年 第 80巻 第 6号468

身体部位(頭,歯,目,耳,のど,肩,背中,胸,

腹,胃,腸,腰,手・腕,足・脚,関節,皮膚(身体

の表面))およびその他の中から選択させた(複数回

答可)。また,Äその他Éを選択したときには,場所を

具体的に記入するよう求めた。選択肢には,シソーラ

ス(NTT コミュニケーション科学研究所,1997;山

口 翼,2003)のÄ痛みÉの項に記載された語句(頭

痛,足痛,脚痛,腹痛,胃痛,歯痛,耳痛,胸痛,腰

痛,背痛)に対応する部位名を用意した。また,改田

(2001)の日常的不調,日常的不快症状を表す項目か

ら,上記と重複がなく,Ä痛みÉに関連する項目(首

が痛い,肩が痛い,皮膚が荒れる,目が痛い,手足が

痛い,喉が痛い,下痢をする(Ä腸Éへの対応を想

定))を選択肢に加えた。以上の手続きにより,痛み

を感じる代表的な部位を用意し,これにÄその他Éと

それに伴う自由記述欄を加えることで網羅性を高め

た。

2.痛みの身体感覚的特徴に関しては,Satow et al.

(1988,1990)の痛み問診票に準じ,痛み表現の持続

時間(1.短い 5.長い),時間間隔(1.長い(断続

的) 5.短い(連続的)),場所の変化(1.静止して

いる 5.移動する),深さ(1.浅い 5.深い),面

積(1.狭い 5.広い),体積(1.小さい 5.大き

い),強さ(1.弱い 5.強い)の 7項目について,

それぞれ 5件法での評定を求めた。

3.痛みの認知的評価(主観的イメージ)に関して

は,痛み表現に対してどんなイメージが浮かぶかを

SD法尺度 7項目(鋭い 鈍い,熱い 冷たい,圧迫

感が強い 弱い,異物感が強い 弱い,軽い 重苦し

い,緩んだ 張り詰めた,柔らかい 堅い)につい

て,5 件法で評定させた。SD 法の項目は,Melzack

(1975)の痛みを表現する形容語を組み合わせて構成

した。

4.痛みの経験頻度に関しては,その表現で表され

る痛みを実際にどれくらい経験したことがあるかを 5

件法(1.全くない,2.何回か,3.ときどき,4.しばし

ば,5.とても頻繁に)で評定させた。

参加者の負担を軽減するため,98個の痛み表現を

24個,24個,24個,26個の四つのサブセットに分割

した。各サブセットに割り当てられた参加者数はそれ

ぞれ 122名,102名,114名,98名であった。各サブ

セットには,類似表現が入らないように,比喩表現と

楠 見・中 本・子 安:痛みの比喩表現の構造 469

Figure 1. 痛み表現の身体感覚的特徴と認知的評価に基づくクラスタ分析の樹形図

擬態語との数の偏りがないようにした。各サブセット

は,2種類の異なるランダム順序の冊子を作成した。

結 果

痛みの身体感覚的特徴 7項目および認知的評価 7項

目については,各痛み表現に対する参加者の評定を平

均し,表現を変量とする分析を行った。

痛み表現に対する経験頻度

それぞれの痛みの経験頻度の平均評定値を求めた。

98 個の表現の平均は 2.13(SD=0.24)であり,全体

的に痛みの経験頻度はそれほど高くはない。最も高頻

度の痛みはÄがんがんする痛みÉ(M=2.65)であっ

た。続いて,ずきんずきん(M=2.65),じんとする

(M=2.60),ちくりとする(M=2.55)の頻度が高か

った。逆に,最も低頻度の痛みは,引っ張られるよう

な痛み(M=1.61)であり,のこぎりでひかれたよう

な(M=1.66),切り刻まれるような(M=1.67),刃

物で刺されたような(M=1.70)等がそれに続いて頻

度が低い。全体の平均頻度評定値では,40の擬態語

で表現される痛み(M=2.23, SD=0.24)は,58の比

喩で表現される痛み(M=2.05, SD=0.22)よりも,

経験頻度は有意に高かった(t(96)=3.16, p<.001,

対応のない t検定)。

各評定における痛み表現の構造

痛みの身体部位 各部位で典型的な痛みについて概

観を得るため,選択頻度が最大の痛み表現を各部位ご

とに列挙する(括弧内は 98 122 名中の選択者の比

率)。頭:がんがんする(98%),歯:しみるような

(74%),目:ちかちかする(91%),耳:きーんとす

る(26%),のど:はれたような(43%),肩:凝った

ような(65%),背中:突っ張るような(21%),胸:

締めつけられるような(58%),腹:破裂するような

(44%),胃:きりきりする(63%),腸:ねじこまれ

るような(25%),腰:凝ったような(27%),手・

腕:しびれたような(62%),足・脚:しびれたよう

な(76%),関節:きしむような(61%),皮膚(身体

の表面):ひりひりする(70%)。

Äその他Éは,全表現を通じて,選択者の比率は低

く,平均して 2.4%であった。10%を越える参加者が

Äその他Éを選択した表現はÄつんとした痛みÉのみ

で(98名中 37名;37.8%),全員がÄ鼻Éに該当する

と記述していた。これを外れ値として除外すると,

Äその他É選択率は,平均して 2.1%であった。ここか

ら,あらかじめ用意した 16個の身体部位項目で,本

研究で対象とした痛み表現に該当する部位を扱うこと

ができたと考える。

痛み表現とその表現が使用される身体部位との関係

を規定する次元を明らかにするため,98表現×16身

体部位の選択頻度行列を用いて対応分析をした(Äそ

の他Éは選択頻度が少ないため分析から除外した)。

これは質的データの主成分分析と見なせる。以降の分

析には STATISTICA(03J)を用いた。その結果,第

1 次元で 23.5%(固有値 .245),第 2 次元で 19.4%

(.205)の分散説明率が得られた。Figure 2 には 2 次

元上に次元の得点に基づいて表現は○で,身体部位は

■で同時に布置した。身体部位の布置と近傍にある痛

み表現の関係から,次元 1 は身体の内部(頭や胸・

腹)と表面(皮膚や手足)との対立を示すと解釈でき

る。前者にはÄずきんずきん,締めつけられる,…É

等が,後者にはÄすれる,ひきつる,突っ張る,...É

等が対応する。次元 2は身体の胴体部(胸・腹)と頭

部(頭・目)との対立を示すと解釈できる。前者には

Ä締めつけられる,切り刻まれる,…É,後者にはÄ割

れる,ずきんずきん,…É等の表現が対応する。

身体感覚的特徴 身体感覚的特徴の 7項目は,痛み

の感覚次元を構成する要素に対応すると考える。そこ

で,痛み感覚を構成する少数個の主要な成分(次元)

を求めるため,7項目間の相関係数に基づいて主成分

分析を行なった。そして,痛みの身体的特徴項目を総

合した主成分得点を求めた。その結果,寄与率と固有

値は,第 1主成分 50.5%(固有値 3.53),第 2主成分

20.7%(1.45),第 3主成分 13.2%(1.06)であった。

累積寄与率が 80%を超え,固有値が 1以上の三つの

主成分を採用した。第 1主成分で負荷量が高い項目

は,体 積(負 荷 量 .960),面 積(.851),持 続 時 間

(.830),深さ(.808),強さ(.671)であり,Ä全般的

な強さÉを表すと解釈した。第 2主成分では,場所の

変化(.694),深さ(,.494),強さ(,.659)の負荷

量が高く,場所が広範囲に変化するÄ皮膚表面での痛

みÉを表すと考える。また,第 3主成分は,痛みの間

隔(.949)でのみ高い負荷量を示したため,Ä断続性É

と解釈した。

Figure 3には 98の表現を身体感覚の三つの主成分

得点に基づいて布置した(○の直径は第 3主成分得点

を示す。また,●は各クラスタにおける痛み表現の主

成分得点の平均の布置を示す。Figure 4 も同様であ

る)。第 1主成分得点ではÄずきんずきんする,割れ

るような,…Éが高い正値であり強い痛みを表し,

Äつん,つねられた,…É等は負値で弱い痛みを表す。

第 2主成分得点はÄむずむずする,広がるような,し

びれた,…Éが高い正値を示し,皮膚表面の広範囲な

痛みを表す。一方,負値のÄ槍で突き通される,刃物

で刺された,針で突かれたÉは範囲が狭く身体深くに

生じる痛みを表す。また,第 3主成分得点ではÄこわ

ばった,膨らんでいく,…Éが高い正値を,Äずきん

ずきん,ちくちく,…Éが負値を示しており,前者は

持続的痛みを,後者は断続的痛みを表す。

痛みの認知的評価 認知的評価の 7項目を痛みのイ

心理学研究 2010年 第 80巻 第 6号470

楠 見・中 本・子 安:痛みの比喩表現の構造 471

Figure 2. 痛み表現と身体部位の関係:選択判断に基づく対応分析による布置

○に付した記号はアルファベットが Figure 1のクラスタ記号と表現の番号に対

応する。煩雑さを避けるため,周辺に布置する記号にのみ表現を示した。(Figure 3,

Figure 4も同様)

Figure 3. 痛み表現の身体感覚的特徴に基づく主成分得点布置

○●の直径は第 3主成分得点を示す。●は Figure 1のクラスタに属する痛

み表現の平均を示す。

メージを構成する成分と考えて,平均評定値に対して

主成分分析を行い,認知的評価の主成分を求めた。固

有値 1以上の成分を抽出した結果,二つの主成分が得

られた。第 1 主成分では,重苦しい(負荷量.920),

圧迫感が強い(.905),張り詰めた(.782),異物感が

強い(.743),堅い(.672)の 5項目で正の負荷量が高

く,Ä圧迫痛Éを表すと考える。第 2主成分では,鋭

い(.846),堅い(.619)で正,熱い(,.695)で負の

負荷量が得られ,Ä鋭利痛Éを表すと解釈できる。寄

与率は第 1主成分 48.8%(固有値 3.42),第 2主成分

30.3%(2.12)であった。Figure 4 には,認知的評価

に関して,各表現がどのような特徴を持つかを示すた

め,主成分得点に基づいて布置した。Figure 4から,

第 1 主成分得点が正のÄ鉛が埋め込まれた,がんが

ん,ずきんずきん,…Éは強い痛みとして,負のÄむ

ずむず,ちかちか,ちくっ,…Éは弱い痛みとしてイ

メージされているといえる。また,第 2主成分得点が

正のÄ凍る,きーん,冷ややか,…É等の表現は鋭く

堅いイメージを,負のÄはれた,ほてる,もやもや,

じわー,…Éは熱く重いイメージを持つと考える。

身体感覚的特徴と認知的評価の関係 身体感覚的特

徴と認知的評価の対応関係を調べるため,98の痛み

表現の主成分得点を変数として,相関係数を求めた。

Table 1に示すとおり,身体感覚的特徴と認知的評価

の第 1 主成分(それぞれ,全般的強さ,圧迫痛の成

分)とは強度に関連し,高い正相関を示した。身体感

覚的特徴の第 1主成分と認知的評価の第 2主成分(鋭

利痛)は中程度の負相関を示した。また,身体感覚的

特徴の第 2主成分(皮膚表面の痛み)は,認知的評価

の第 1,第 2主成分と中程度の負相関があり,表面的

で広範囲での痛みは,鋭さや圧迫感,緊迫感が弱いこ

とが伺える。

痛み表現のクラスタ 痛み表現を身体感覚的特徴と

認知的評価に基づいて分類するため,前者は三つ,後

者は二つの主成分得点を用いてクラスタ分析を行っ

た。クラスタの凝集法にはWard法を,距離の指標に

はユークリッド距離を用いた。Figure 1には得られた

樹形図を示す。クラスタ数が 11の水準を,結果の解

釈がしやすいため痛みの下位分類として採用した(各

クラスタの平均主成分得点は Figure 3,Figure 4の●

の布置を参照)。

心理学研究 2010年 第 80巻 第 6号472

Table 1痛み表現の主成分得点間の相関係数

身体感覚的特徴

認知的評価 主成分1 2 3

主成分1 .79** -.48** -.04   2 -.32** -.49** -.26**

**p < .01(N = 98)

Figure 4. 痛み表現の認知的評価に基づく主成分得点布置

●は Figure 1のクラスタに属する痛み表現の平均を示す。

Figure 1に示すように,痛み表現は,強い痛みを表

すクラスタ A, B, Cと比較的弱い痛みを表すクラスタ

D Kに分かれる。前者の表現は,身体感覚的特徴評

定値に基づく主成分得点を示す Figure 3の第 2象限

に分布し,強く狭く深い部位の痛みである。また,対

応分析の結果(Figure 2)が示すように身体部位と痛

み表現クラスタ間にも,ある程度の対応関係がある。

身体部位の布置の近傍にどの痛み表現が布置している

かに基づいて,その部位に使用されやすい表現がわか

る。胸・腹部にはクラスタ A, B, C, Hの表現,手腕,

足脚,関節や皮膚には E, I, J, Kの表現,頭,歯には

A, B, C, Dの表現が用いられやすい。また,クラスタ

Fは胸部,腹部,のど,Gは頭部と肩・腰にというよ

うに複数部位に対し使用される表現もある。

クラスタ A, B, Cはクラスタ A, Bとクラスタ Cに

大きく二つに分かれる。クラスタ Aと Bは,ともに

強い痛みを表現するÄ……のようなÉという直喩表現

が多い。とくに,クラスタ Aは,容器としての身体

組織を鈍器(のこぎり,ハンマーなど)により破壊す

る(割れるような)あるいは圧迫する(押しつぶされ

るような)Ä身体容器を破壊する比喩Éに基づく表現

が多い。これらは,頭・胸・腹部等の深く長い痛みを

表現している。一方,クラスタ B は,容器としての

身体組織を鋭利な凶器(キリでもみこまれるような,

刃物で刺されたような)によって,突き刺されたり,

切り裂かれたりするÄ身体容器を突き刺す比喩Éによ

る表現で構成される。これらは鋭い痛みを示し,胸・

腹部の痛みを表す。こうしたクラスタ B は,C とと

もに,痛みの認知的評価に基づく Figure 4では,第 1

象限に布置し,強く鋭いイメージを持つ。クラスタ C

には Bと同じく,容器としての身体の鋭利な刃物に

よる損傷を表す三つの直喩表現に加えて,擬態語Äず

きずきÉから派生したÄずきんずきん,ずきんÉ等を

代表とする七つの擬態語が含まれる。これらはÄ身体

容器を破壊するような刺激を反復して加える比喩Éに

基づく表現である。また Figure 2 が示すように,こ

れらの表現は,胸・腹部の痛みに加え,頭部や歯の痛

みも表す。以上の結果は,頭・胸・腹部,歯とも強い

痛みを経験しやすい部位ではあるが,その痛みの身体

感覚的特徴および認知的評価は部位ごとに異なってお

り,それぞれにある程度特化した表現が用いられるこ

とを示唆する。

弱い痛みを表す表現は,クラスタ D, Eとそれ以外

(F K)とに分かれる。Dと Eは,あまり強くはない

が鋭い痛みを表す表現群である。クラスタ Dには,

瞬間的な痛みを示すÄ氷比喩É(ひやりとする)や

Ä電気比喩É(電気が走るような)が含まれる。一方,

クラスタ E には小さな痛みを針による刺激で表す

Ä針比喩Éに基づくÄちくっ,つん,…É等の擬態語

が含まれる。クラスタ F, Gは,熱や圧迫感を伴うあ

まり強くない持続する痛みを表現する。FにはÄ焼け

るようなÉ等のÄ燃焼比喩Éが,GにはÄこわばりや

凝りに関する表現Éが含まれる。クラスタ H, Iは断

続的に続く広範囲での弱い痛みを表す。Hは,広範囲

での痛みであり,身体容器内でÄぐりぐりする,じん

じんするÉ,異物がÄ広がるようなÉ,Äじわーっとす

るÉなどのÄ身体容器の異物比喩Éが含まれる。Iは

やや狭い範囲の痛みであり,Äびりびりする,ぴりぴ

りする,…É等の弱いしびれを表すÄ電気刺激を反復

する擬態語Éで構成される。クラスタ Jには,身体表

面の,断続的で堅く緊迫感を持つ痛みを表すÄちくち

く,ひりひりÉなどの擬態語やÄすれるようなÉとい

ったÄ摩擦比喩É表現が含まれる。クラスタ K は,

鈍いしびれやうずきを表すÄびーんとするÉ,Äしみる

ようなÉ等の広がるようなÄ身体容器の表面緊張比

喩Éによる表現が含まれている。

考 察

本研究では,98の痛みを表す比喩・擬態語表現に

関する評定データを分析し,以下のことを明らかにし

た。

第 1に,痛みの身体感覚的特徴と認知的評価の間に

は,対応関係が認められた。身体感覚的評価と認知的

評価の第 1主成分は,Ä痛みの強さÉ次元に対応する。

身体感覚的評価の第 2 主成分は,痛みのÄ広い 狭

いÉ次元,認知的評価の第 2主成分は,痛みのÄ鈍い

鋭いÉであった。両者は痛みが広い範囲の鈍い痛み

と,狭い範囲の鋭い痛みという形で対応している。

第 2に,痛みの身体感覚的特徴および認知的評価に

基づいて,痛み表現は 11のクラスタに分かれた。ま

た,各クラスタに含まれる比喩表現および擬態語には

ある程度の一貫性が認められる。この傾向は,感情の

比喩研究の結果(楠見,1996; Lako唖, 1987)と一致す

る。すなわち,Figure 1に示すように,全般的には,

クラスタごとにある程度類似した比喩,擬態語表現が

集まっている。しかし,比喩の種類とクラスタとの対

応は一意ではない。たとえば,外部からの圧迫に基づ

くÄ身体容器+鈍器É比喩表現は,強度が強いときに

はクラスタ Aに含まれる(締めつけられる,押しつ

ぶされる)が,弱いときにはクラスタ F に出現する

(圧迫されたような,ぎゅーとする)。そして,前者は

外部刺激による身体組織の破壊を表す表現(ハンマー

で殴られた,えぐられる等)と,後者はÄ燃焼比喩É

表現(焼ける,やけどする等)と同じクラスタに入っ

ている。これは,痛みの表現は,部位や身体感覚的特

徴,認知的評価と一対一対応ではなく,ゆるやかな対

応関係を持ちながら,柔軟に使用されていることを示

唆する。こうした比喩表現に注目した痛み表現の研究

は,痛みの主観的なイメージを解明し評価する上で,

従来の痛みの感覚心理学(佐藤他,1991)や問診票の

楠 見・中 本・子 安:痛みの比喩表現の構造 473

研究(Satow et al., 1988, 1990)を補完すると考える。

第 3に,痛み表現クラスタと痛みを感じる身体部位

の間には対応関係が見られる。すなわち,あるクラス

タの表現は身体の特定部位によく使用される傾向があ

る。しかし,一貫性は完全ではなく,痛みの部位と強

さ等に応じて,特化した比喩表現がある可能性があ

る。これらは,慣用句として,私たちの知識にあり,

それが判断や評定に反映されたとも解釈できる。とく

に,痛みを感じる部位の判断課題においては,一部の

表現はÄ(部位)が…するÉといった慣用句の知識が

反映されやすい。一方,痛みの身体的感覚的特徴・認

知的評価課題では,表現に対応する過去経験に基づい

て評定されると考える。

以上に示したように,痛みの比喩・擬態語表現に関

する部位判断,身体的感覚的特徴評価,認知的評価の

3課題において,対応する次元と身体部位と対応した

クラスタが見いだされたことは,比喩表現の基盤とし

て身体性が存在しているという認知言語学の主張

(Lako唖& Johnson, 1999)を部分的に支持する。しか

し,同時に,本研究結果は,痛みを表す表現と,実際

の身体感覚的特徴や認知的評価との間には詳細な対応

づけがあり,Ä腹部への痛みは圧迫であるÉといった

単純な一般化はできないことも示している。これらの

結果は,身体性を重視する認知言語学の主張に反する

訳ではない。しかし,比喩の基盤が身体にあるという

主張だけでは不十分であり,表現ごとにどのような性

質を持ち,どのような身体性と結びつくかを明らかに

する必要があることを示唆する。

最後に,本研究の残された問題と今後の課題につい

て述べる。最大の問題は,本研究の調査参加者が大学

生に限られたことである。そのため,痛みの経験頻度

は高くなく,重度の痛みを表す表現に対しては的確な

反応を得られなかった可能性がある。今後の課題は,

本研究結果を,多様な疾病の患者(たとえば,がん患

者を対象とした Gibbs & Franks, 2002)を含むより広

い範囲の人々に一般化できるかを検討することであ

る。また,本研究のデータ収集はすべて自己報告に基

づいており,実際の痛みの原因と言語表現との対応関

係を明確にするには至っていない。実験的手法として

痛み刺激を実験参加者に与えたり(山中,1987),痛

みを感じている患者の臨床的所見を得たりすること

(Jairath, 1999)は研究上,倫理上の制約もあり容易で

はないが,身体性と比喩的慣用表現の関係を論じるに

は必要な課題である。

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2005. 8. 8 受稿,2009. 9. 26 受理

楠 見・中 本・子 安:痛みの比喩表現の構造 475