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Copyright 2016 01Booster Inc. All rights reserved. イノベーター達が拓く 「オープンイノベーションフロンティア」の 理論と日本型実装 2016/3/23 01 Innovation Review Vol.1

公開版イノベーター達が拓くオープンイノベーションフロンティアの理論と日本型実装

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イノベーター達が拓く「オープンイノベーションフロンティア」の

理論と日本型実装

2016/3/23

01InnovationReview

Vol.1

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はじめに

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先駆者たちの試行錯誤が理論のフロンティアを拓く。

イノベーションの重要性を疑うビジネスパーソンは少ないと思われますし、「オープンイノベーション」という言葉やその概念を聞いたことのある方も多いと考えられます。同様に、オープンイノベーションの成功事例として、P&GやIBMなどの事例を知っている方も多いでしょう。

その一方で、「オープンイノベーションは会社の競争力と収益性を増す有効な手段である。ただし、自社は個別事情があり別の話」というような、総論賛成・各論反対の向きもまだ根強いように感じられます。

その原因は様々でしょうが、主たるものとしてオープンイノベーションという概念がある部分で分かりにくくまた誤解をされていることと、イノベーションのリーダーとなるべき経営者や中間管理職が、株主からのおよび社内における「失敗リスク」に晒されており、堅実な手段を選択せざるを得ない状況に追い込まれていることが挙げられるのではないかと考えられます。

しかし、先駆的なイノベーター達はすでにオープンイノベーションの考え方を取り込んで新たな取り組みに挑んでおり、そのフロンティアから確実な成果を上げつつあります。

本資料ではそうしたイノベーター達と協業してきた経験からオープンイノベーションの俯瞰図とそのフロンティアの姿を示し、それが「失敗リスクの低い堅実なイノベーション」の手段としてどれほどの可能性を持ったものであるかをお伝えしたいと思います。

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現状の整理

-「新規事業」は必要なのか-

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現状の整理:新規事業の必要性

"堅調な既存事業"だけではなぜいけないのか

”自社には売上も利益も上がっている既存事業がある。なぜ新規事業に人と資金を割かなければいけないのか。それよりも既存事業にもっと注力すべきだ”

よく聞かれる言説だが、大きな事実誤認がある。競争下では必ず利益率は低下し、完全競争下での利益はゼロになるのが経済原理。

• 「今」自社を支えている商品・サービスは、必ず「未来」においてその役目を果たせなくなる。

• 問題は、その時がいつ来るのかであり、「来るか否か」ではない。• したがって、考えるべきは「その時にどう備えるか」であって「備えるか否か」ではない。

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現状の整理:新規事業の必要性

競争下での収益逓減と新規事業によるリカバリーはデータによって実証されている

出典:「中小企業白書2013」

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現状の整理:新規事業の必要性

出典:「中小企業による新事業戦略の展開」日本公庫総研レポート

競争下での収益逓減と新規事業によるリカバリーはデータによって実証されている

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現状の整理:新規事業の必要性

"堅調な既存事業"を破壊するダイナミズム

今までブルーだった事業ドメインのレッドオーシャン化

出典:「中小企業白書2005」

競合の参入、競争の細分化等が原因。これを示すデータが「ライフサイクルの短期化」と短期化の理由

ヒット商品のライフサイクル短期化 ライフサイクル短期化の理由

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現状の整理:新規事業の必要性

"堅調な既存事業"が行き当たる壁

順調に伸び続けた既存事業が行き当たるのは「市場飽和の壁」

• 企業は経済成長率を上回る速度での成長(売上高増・利益増)を求められるが、市場は必ずしも同じ速度で成長しない。

• 「供給が需要を生み出す」のは、生産増がローコスト化に繋がる「大量生産による規模の経済が効く」時代の話。

かつてない速度で市場飽和にいたるようになった現代について、ラリー・ダウンズらは「勝者さえも”破滅的な成功”によって一夜にして市場飽和と顧客消滅の壁の前に粉砕される、ビッグバン・イノベーションの時代」であると語っている。

出典:「ビッグバン・イノベーション」ラリー・ダウンズ&ポール・F・ヌーネス(ダイヤモンド社)

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現状の整理:既存市場で生き残る条件

新規事業がなくても生き残る道はある。ただしその「道」は崩落寸前である

既存市場を独占または寡占している場合、その企業(群)は新規事業がなくても生き延びることができる。

独占/寡占を導くのが「参入障壁」。参入障壁がなければ、超過利潤の発生している既存市場には必ず競合が参入して価格競争を仕掛けてくる。

不完全競争下の市場であれば、利潤は残る

• この「参入障壁」がいま大きく揺らいでいる。⁃ 情報の非対称性はITの発展によって消えつつある。⁃ 技術進歩によりコンシューマと企業、大企業とスタートアップ(新規参入)の差が大きく縮まった。

⁃ 知的財産権の活用は不十分なままとなっている。⁃ 異業種/異ビジネスモデルとの競争が激化している。

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現状の整理:揺らぐ参入障壁「情報の非対称性」

この10年間で一貫してコストが下がり続けているものが「情報」

商品・サービス提供側のほうがより多くの情報を持っていてこそ「ユーザの不知」による取引コストは参入障壁として機能してきた。

• 「指数関数的技術」によってあらゆる情報とその処理にかかるコストが下がり続けた結果、情報の流動性はかつてなく高まった。

• 情報が不十分であることによる「取引コスト」は一貫して低下している。

出典:「ビッグバン・イノベーション」ラリー・ダウンズ&ポール・F・ヌーネス(ダイヤモンド社)

"20年をかけて進化したインターネット技術とネットワークのおかげで、膨大な量のデータベースが消費者によって、消費者のために構築されつつある。そのため、新製品と新サービスにまつわる、あらゆる種類の情報を簡単に、効率よく検索できるようになった。"

"エレクトロニクス製品から自動車、発電所までのソフトウエア以外の製品においても、既製部品を組み合わせた製造モデルへの移行が進んでいる。研究開発の「設計コスト」が増大する一方、「組み合わせコスト」は低減する傾向にある。"

ラリー・ダウンズ&ポール・F・ヌーネス

※「指数関数的技術」:1~2年といった比較的短いサイクルで性能が倍加し、価格が半減するような技術。経済学的には「汎用技術」と称されることが多い(ラリー・ダウンズ&ポール・F・ヌーネス)

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現状の整理:揺らぐ参入障壁「情報の非対称性」

この10年間で一貫してコストが下がり続けているものが「情報」

出典:「ビッグバン・イノベーション」ラリー・ダウンズ&ポール・F・ヌーネス(ダイヤモンド社)「平性27年通信白書」

スマートフオンの処理能力、メモリー、画質のコスト低減 通信料金の推移(日本)

これらを通じてアクセス可能になった情報の量、情報発信手段の増大、情報機器のバリエーション増加と低価格化などにも鑑みると、情報のコストは大きく下がり続けている。

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現状の整理:揺らぐ参入障壁「技術進歩」

技術進歩が「イノベーターによるごくシンプルな実験」のコストを大きく下げた

大規模な投資や特殊なノウハウがなければ実現・構築できない資産の存在が参入障壁として機能してきた。

• クラウド、シェアリングエコノミー、3Dプリンターなどの技術進歩が、コンシューマライゼーションを実現させている。

• イノベーターによる新ビジネスの実験にかかるコストが大きく下がっている。

出典:「ビッグバン・イノベーション」ラリー・ダウンズ&ポール・F・ヌーネス(ダイヤモンド社)

"クラウド、シェア、loTがあらゆるコストを低減させる"ラリー・ダウンズ&ポール・F・ヌーネス

• スマートフォンとアプリは、かつては専用システムが必要だったようなサービスさえ代替しつつある。

⁃ IBMでさえアップルと組んでスマートフォン・アプリエコシステムに乗り込んだ。

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現状の整理:揺らぐ参入障壁「知的財産の活用」

日本ではIPのうち半分しか活用できていない実情がある。

IPは有効な参入障壁だが、そもそも日本企業はIPを活用しきれていない

特許・実用新案などで必須技術を独占することは参入障壁として機能する

出典:「特許年次広報2014」「特許の活用状況2009」(特許庁)

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現状の整理:揺らぐ参入障壁「異業種/異モデル競争」

異なるビジネスモデルを持つ競合との競争では既存の参入障壁は無効化される

競合企業と同じビジネスモデル/業種の中で製品・サービスを競っていた。

• 異業種/異ビジネスモデルとの競争になると、既存の参入障壁が機能不全に陥ることがある。

• 異なるビジネスモデルや業種は自社とは別の利益構造・収益源を持ち、参入障壁によって守っていた事業ドメインに「無料またはマイナス利益(ユーザに費用を払う)」で参入してくることがあり得る。

出典:「ビッグバン・イノベーション」ラリー・ダウンズ&ポール・F・ヌーネス(ダイヤモンド社)

"グーグルは、GPS機器メーカーを破綻させるつもりなどなかったと主張する。とはいえ、アプリは最初から、あらゆる面で独立型のGPS機器を上回っていた。無料であるということは、明らかに他のものよりも安いという意味なのだ。"

"2008年から2012年までの4年間に、トムトムの消費者売上げは半分以下に落ち込んだ。ガーミンの場合、カーナビと携帯用GPS機器の売上げは4割に減少した。グーグルマップナビの登場から1年半後、独立型GPS機器メーカーは市場価値の85%を失ったのだった。"

ラリー・ダウンズ&ポール・F・ヌーネス

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現状の整理:こうした流れを加速化させている要素

「指数関数的技術」の発展と多くの経済主体の”完全情報”状態による取引コストの低減がこうした流れを形作り、加速化している。

• 製品ライフサイクル短期化、異業種/異モデル参入と参入障壁低下といった状況は構造的な変化であって一過性のものではない。

• 既存にとどまり続けることは構造的な袋小路に捕らわれること。抜本的な対応が必要。

ますます弱まる「既存市場の収益性」は構造的な変化によるもの

出典:「ビッグバン・イノベーション」ラリー・ダウンズ&ポール・F・ヌーネス(ダイヤモンド社)

「どんな産業でも必ず処理する必要のある」情報の処理速度が向上しコストが下がったことと、「どんなユーザでも必ず利用する」情報の処理速度が向上しコストが下がったのだと考えれば、「それはIT産業やWebサービスに限った話だ」という認識が幻想であることが分かる。

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新たな現状への対応

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どんな「抜本的対応」が必要か

既存事業が堅調なうちに新規事業へ取り組まなければいけない

新規事業(イノベーション)への対応が必要

「イノベーションが大切」ということは誰もが同意なのに、組織がイノベーションを起こすのは難しい。「いつ」新規事業に取り組み始めるべきなのかの判断が難しい。

• 既存組織には、イノベーションを阻害する要素が存在する。それを理解することが第一歩

• 新規事業に取り組み始めるべきときは「既存事業が順調な時」⁃ 一説には5%と言われる新規事業の成功率に鑑みると、失敗できない状況に追

いつめられてから実施するのでは遅い。

出典:「オープン・サービス・イノベーション」ヘンリー・チェスブロウ(CCCメディアハウス)

"イノベーションは、常にチャレンジとリスクを伴うビジネスそのものだ。"ヘンリー・チェスブロウ

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イノベーションが既存企業に難しい理由

組織最適化の逆作用が発生する

• 最適化された組織の制約⁃ 既存事業に最適化された組織は、一時的に効率が落ちる原因となる「新しい

こと」への拒否反応を示す⁃ 最適化の過程で「新しいこと」に適した異質性が排除されている

• ドミナント・ロジック⁃ 既存事業を成功させた理論や方法論、「今日までのやり方」が前提となり、

それをどこまでも拡張適用しようとする⁃ 組織的意思決定の共通した枠組みがドミナント・ロジックにもとづいている

• レガシー資源・レガシー顧客・レガシー規制⁃ 今まで蓄積してきた資源は基本的に既存事業に適するものである⁃ 今までのお客様は基本的に既存事業のお客様である⁃ 今まで従ってきた業法・規制・政策は基本的に既存事業についてのものであ

り、新規事業に乗り出すことを妨げるものであることもある

これらが阻害要因となり、「イノベーションは重要だが◯◯の理由でこれはできない」という意思決定になる。

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イノベーションが既存企業に難しい理由

適正な内製化率についての議論の存在は日本に限ったことではないので、「日本企業は自前主義が強すぎる」のかどうかは不明。

特に日本企業に対して指摘される「行き過ぎた自前主義」

M&A件数の国際比較に鑑みると、日本は相対的に自前主義が強いとも考えられる。

• 行き過ぎた自前主義は世界の趨勢から乖離している⁃ オープンイノベーション⁃ エコシステム⁃ ワイドレンズ etc.

• クローズドイノベーションになる⁃ リソース活用の限界⁃ 「飛び地」開拓の限界

出典:「日本のM&Aを考える」財務総合政策研究所 柳川太一

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挑むべきイノベーションの取り組み

挑むべきは取り組みはオープンイノベーション

自前主義が有効なイノベーションの実現を妨げているのだとすれば

オープンイノベーションパラダイム パラダイムの特長• コストが安い

⁃ 多くのプレイヤーとイノベーションコストを分担

• リスクが低い⁃ それぞれが得意なことをやる

• 真のROA向上⁃ 自社リソースの活用が進む

• 「飛び地」へのリーチ⁃ 製品ライフサイクルのS字曲線を飛び越えられる

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イノベーションが起こせれば幸せなのか

イノベーションによって進歩した技術が昨日のイノベーティブな製品・サービスをコモディティにしていく。企業は特徴を出そうとして細分化(カスタマイズ化)していき、製品・サービスライフサイクルは更に短くなっていく。

• さらに細かく、さらに短命化した製品・サービスのために、さらに困難になったイノベーションのための投資と人員配置をしなければいけない。

• 無限に早くなるトレッドミルの上で走るような「コモディティ化の罠」

イノベーションそのものが本質的に持つ「コモディティ化の罠」

"どれほど必死に走り続けても、イノベーション投資を無限に継続することは不可能だ。休む暇もなく、終わりのない作業だからだ。"

ヘンリー・チェスブロウ

"走り続けても、成長が続くわけではない。イノベーションの限界を直視し、イノベーションの方法を考えなおす時だ。"

ヘンリー・チェスブロウ

出典:「オープン・サービス・イノベーション」ヘンリー・チェスブロウ(CCCメディアハウス)

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イノベーションの限界を超える

「オープンイノベーション」の議論は、R&Dの成果をいかに有効活用するかの課題意識から始まっている製品イノベーションの発想。

より広いビジネスの連鎖の中にイノベーションをもたらす、エコシステムイノベーションが必要になっている。

チェスブロウはこれをオープン・サービス・イノベーションと定義しているが、さらに広く、ビジネスエコシステム全体に対するイノベーションを起こすステージにいたっていると捉えるべき。

オープンイノベーション自体も新たなステージへ

出典:「オープン・サービス・イノベーション」ヘンリー・チェスブロウ(CCCメディアハウス)

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オープンイノベーション

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オープンイノベーションの発祥と発展

出典:「Open Innovation」ヘンリー・チェスブロウ(英治出版)

• 従来型のイノベーション構造が機能不全に陥る(ex. AT&Tベル研究所)一方で、新たな取り組みで成果を上げつつある企業(ex. IBM、インテル、P&G)の開発パラダイムは全く異なっていた。

• そのパラダイムが一般化されて、「オープンイノベーション」と名付けられた。

従来型の「クローズドイノベーション」による限界と非従来型の研究開発行動がもたらす成果についての研究から発している。

"オープンイノベーションパラダイムは、企業内の研究開発(R&D)活動が製品の社内開発をリードし、その製品を同じ会社が流通させるという従来の垂直統合モデルに対するアンチテーゼ。"

ヘンリー・チェスブロウ

"オープンイノベーションとは、知識の流入と流出を自社の目的にかなうように利用して社内イノベーションを加速するとともに、イノベーションの社外活用を促進する市場を拡大することだ。"

ヘンリー・チェスブロウ

研究開発(R&D)の新たなパラダイムとして誕生

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オープンイノベーションの発祥と発展

出典:「オープン・サービス・イノベーション」ヘンリー・チェスブロウ(CCCメディアハウス)

• 製品のみならず、サービスを含めたトータルビジネスを開発する概念へと拡張。• また、共創主体に明示的に「顧客」が入ることで、エコシステムイノベーションの概念へと発展。

オープンイノベーションパラダイムが浸透し、これに則って行動する企業・組織が増えていくに連れて、パラダイム適用範囲が拡張していった。

"イノベーションのプロセスで顧客の役割が変わると、サービス・イノベーションが進む。顧客を受け身の存在として扱うのではなく、顧客をイノベーションのプロセスに引き込む企業が増えている。多くの場合、新製品や新サービスを、顧客と協働で作っているのだ"

ヘンリー・チェスブロウ

研究開発(R&D)にとどまらず、ビジネスそのものの開発概念へ

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オープンイノベーションの発祥と発展

出典:「ビッグバン・イノベーション」ラリー・ダウンズ&ポール・F・ヌーネス(ダイヤモンド社)

• 自ら新事業/新市場を開拓する主体に自社リソースを活用してもらいながら、緩やかな連携を作ることで「コントロールせずに関与する」ことにより、自社にとっての新市場のみならず、全く新しい市場としての新市場の創出にも適用できるパラダイムであることを、先進的な企業群が日々実証しつつある。

• イノベーション開発主体さえもオープン化する

オープンイノベーション主体である企業が「オープンイノベーションの範囲」を規定していた時代から、予定調和を志向しない段階へ。

"エントロピーのステージから脱出するための最後の戦略は、最も大胆である。それは「まだ市場実験に成功していない初期のビッグバン市場を見つけ出し、自社の事業を構成し直して、新たに生まれるビッグバン・エコシステムの一部になること」だ。言ってみれば、これまでに培ったブランドカと知的財産とを携えて、次なる特異点に移行するのである。その手段は、「接触」「取り込み」「投資」である。"

ラリー・ダウンズ&ポール・F・ヌーネス

「新事業」にとどまらない、新市場創造への発展の可能性

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オープンイノベーション概略:4つのパーツ

出典:「Open Innovation」ヘンリー・チェスブロウ(英治出版)

• 既存のクローズドイノベーションとは、主として上記の4つのパーツで異なっている。

• 基本はR&Dと製品開発の効率改善についての概念だが、4つのパーツが持つ本質的な特徴をおさえることで、ビジネス開発そのものへの概念の発展性を理解できる。

オープンイノベーションパラダイム

①基盤

②チャネル

④ゴール

③プロセス

①ビジネス開発の基盤何を基礎的な活用資源としてビジネス開発を行うか?

②ビジネス開発の想定ルート個々の開発ビジネスがどのようなルートをたどっていくことを想定(容認)するか?

③ビジネス開発のプロセスビジネス開発においてどのようなプロセスを設計するか?

④ビジネス開発のゴールビジネス開発の目的をどこに置くか?

オープンイノベーションパラダイムを4つのパーツに分けて理解する

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オープンイノベーション概略:①基盤

出典:「Open Innovation」ヘンリー・チェスブロウ(英治出版)

• 課題解決(R&D)および事業開発(ビジネス創出)の基盤として社内外のリソースを積極的に取り込んで活用する。

• オープンイノベーションで最も理解しやすい部分。

オープンイノベーションパラダイム

①基盤

②チャネル

④ゴール

③プロセス

• 社内の技術/資源基盤を活用⁃ オープンイノベーションにおいても、自社内の資源や技術を活用しないということではない

• 社外の技術/資源基盤を活用⁃ 社外の知見や資源を取り込み、事業開発の基礎的要件として活用する

広く社外からもアイディア・ノウハウ・技術・資源を募る

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オープンイノベーション概略:②チャネル

出典:「Open Innovation」ヘンリー・チェスブロウ(英治出版)

• オープンイノベーションでは「当初想定していない展開」によって研究・開発の活用ルートが変わることを前提としている。

• 特に「スピンオフベンチャー」は、研究・開発によって新たな市場への可能性が見えた場合、自社実施でさえなくベンチャーとしてスピンオフすることで、さらなるオープン性を確保する。

オープンイノベーションパラダイム

①基盤

②チャネル

④ゴール

③プロセス

イノベーションのたどるルートが当初から複数想定されている

• 当初想定通りの開発ルート⁃ 研究・開発当初に想定した通りのルートを、社外の知見・リソースを活用することでより早く効率的にたどる

• ライセンス提供⁃ 研究・開発当初は想定していなくても、ライセンス提供により他社に実施させ、リターンを得る

⁃ 研究・開発中にも社外に対してオープンコミュニケーションを取ることが前提

• スピンオフベンチャー⁃ 研究・開発当初は想定していなかった全く新しい市場へのルート

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オープンイノベーション概略:③プロセス

出典:「Open Innovation」ヘンリー・チェスブロウ(英治出版)

• オープンイノベーションではプロセス中においても外部からの情報が反映され続ける。

• これをR&Dではなく新規事業創造として捉えると、「技術のインソーシング」であるとともに、市場フィードバックの反映としての役割も必要となる。

オープンイノベーションパラダイム

①基盤

②チャネル

④ゴール

③プロセス

R&Dおよび事業開発の間も社外とのオープンコミュニケーションを行う

• 技術のインソーシング⁃ アウトサイド・インの取り組みとして、研究・開発のプロセス中にも新たな社外の知見やリソースを取り込み続ける

⁃ 常に当初の見込みとは異なる要素が反映されることになり、これがチャネルの多様性に結びつく

⁃ 直接のオープンイノベーションの文脈ではないがIMDのMichael Wada教授は、これからの経営者が持つべきこうした外部への感度の高さのことをHyperawarenessと表現している

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オープンイノベーション概略:④ゴール

出典:「Open Innovation」ヘンリー・チェスブロウ(英治出版)

• オープンイノベーションは「出口」が複数あるという点が大きな特徴のひとつ。

• 複数の出口を想定することで、自前主義の中での開発ではなく、エコシステム全体の中で自社が占めるべきポジションを意識したエコシステムイノベーションの開発となりえていく。

オープンイノベーションパラダイム

①基盤

③チャネル

④ゴール

③プロセス

自社の想定市場での利用・販売以外にもゴールが存在する

• 当初想定通りの市場⁃ 研究・開発当初に想定した通りの市場へ、社外の知見・リソースを活用することでより早くリーチ

• 他社の市場⁃ 実施と収益化について行き過ぎた自前主義に陥らない

• 新しい市場⁃ 研究・開発当初は想定していなかった全く新しい市場

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オープンイノベーションへの誤解①

出典:「Open Innovation」ヘンリー・チェスブロウ(英治出版)

• プロセス中でのインソーシングが存在すること

• 「他社の市場」「新しい市場(スピンオフ)」が出口として存在すること⁃ コントロール範囲外・予定調和の外を意図的に容認するところがクローズドイノベーションとの決定的な違い。

⁃ これがなければ、いくら底辺が広くてもクローズドイノベーションまたはイノベーションシーズの外部発注に過ぎない。

従来型:クローズドイノベーション オープンイノベーションパラダイム

基盤の広狭でオープンかクローズドかが決まるのではない

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オープンイノベーションへの誤解②

• このパラダイム自体で新たな製品やサービス、あるいはビジネスが生まれるわけではない。

• パラダイムに則ったツールが個別に必要。

• ツールの一例は下記のようなもの:⁃ アクセラレーター/コーポレートアクセラレーター⁃ 「脱エントロピーの3つのステップ(ビッグバン・イノベーション)」⁃ 「Digital Business Agility」(Outside-in部分)

オープンイノベーションは広範な適用範囲を持つ、「新たな物事を高い効率でより良く生み出すためのパラダイム」である。

パラダイム(考え方)であって、ツールそのものではない

出典:「ビッグバン・イノベーション」ラリー・ダウンズ&ポール・F・ヌーネス(ダイヤモンド社)「オープン・サービス・イノベーション」ヘンリー・チェスブロウ(CCCメディアハウス)

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オープンイノベーションへの誤解③

ゼロから1を生む発想ではなく、既存リソースの蓄積がある企業にこそ適する

社外に頼りきって全てを外部調達するのではなく、自社の資源(生産資源、人材、ノウハウ、ブランド力etc.)を活用することが主眼。自らイノベーション主体の一員として活動することが、単なるイノベーションの外注とは異なる点。

• 新興企業のための取り組みではなく、むしろ蓄積のある大企業向きの取り組み

• 蓄積の活用範囲を拡張するために社外の知見やプロセス中の変化を取り込む⁃ イノベーション主体を自社として捉えるのが「従来型オープンイノベーション」⁃ イノベーション主体さえも社外において、自社は円滑なリソース提供によるイノベーション支援サイドに回るのが「発展型オープンイノベーション」といえる

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オープンイノベーションのメリット:概要

オープンイノベーションには、直接的な目的である「クローズドイノベーションでは生まれない新事業が生まれる」の達成以外にもメリットがある。

• イノベーション創出のコストが安い⁃ 多くのプレイヤーとイノベーションコストを分担

• イノベーション創出についてのリスクが低い⁃ それぞれが得意なことをやる

• 自社資源の利益創出力が向上⁃ 自社リソースの活用が進む⁃ ROA向上ということもできる

• 「飛び地」へのリーチ⁃ 製品ライフサイクルのS字曲線を飛び越えられる

オープンイノベーションパラダイムが持つイノベーション主体へのメリット

出典:「オープン・サービス・イノベーション」ヘンリー・チェスブロウ(CCCメディアハウス)

"昨今の状況下でのイノベーションには、オープン性が必要だ。オープン・イノベーションはイノベーションの費用を削減し、リスクや成果の共有をもたらし、市場への到達時間を早める"

ヘンリー・チェスブロウ

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オープンイノベーションのメリット:コスト

オープンイノベーションでは、社外の多くの主体がイノベーション活動に参加し、共創を行う。

イノベーションにかかるコストを下げる

• イノベーション活動に必要なコストを分担することができる⁃ 自社のみでイノベーションコストを負担しないで済むため、コストを抑制できる

• 暗黙知を取り込むことができる⁃ 異なる主体(特に顧客)と共創することによって、外部連携では認識できない相手の暗黙知を取り込んだイノベーション開発ができる

出典:「オープン・サービス・イノベーション」ヘンリー・チェスブロウ(CCCメディアハウス)

"顧客の過去の体験も、企業の過去の活動も様々で、その暗黙知が企業と顧客のコミュニケーションを難しくしている。"

"暗黙知の重要性に気づくと、サービス・イノベーションで成功を収めている企業がなぜ顧客と共創するかが分かる。"

ヘンリー・チェスブロウ

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オープンイノベーションのメリット:リスク

イノベーション開発につきもののリスクを低減する

オープンイノベーションでは共創主体はそれぞれの得意な分野での活動や資源提供・活用を行う。

• 「イノベーション開発に不可欠だが不得意なこと」をせずに済ますことができる⁃ 各主体が自社・自分の得意な範囲でイノベーション活動に関わる⁃ 最も有効な知見やリソースを活用してイノベーション開発を行うことができる

出典:「オープン・サービス・イノベーション」ヘンリー・チェスブロウ(CCCメディアハウス)

"アウトサイド・イン型のオープン性は、自分がどんなに優秀で能力が高くても、自分以外に同じように優秀で能力が高い人が山ほどいることに気づくことから始まる。"

ヘンリー・チェスブロウ

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オープンイノベーションのメリット:ROA

自社資源(人材、リソース、ノウハウ、知財etc.)のポテンシャルを解き放つ

オープンイノベーションでは、社外の多くの主体に自社リソースへのアクセスを許容し、その活用を促す。

• 自社リソース活用の頻度が向上する⁃ 純粋に、自社だけで利用するよりも頻度が向上する⁃ 組織スラックの有効活用にも結びつき、非競合財であれば収益性が上がる

• 自社リソース活用の範囲・内容が拡張される⁃ 社外の異なる主体から見ると、同じリソースであっても異なった活用方法が見える⁃ 自社では利用していなかった利用法、生かしていなかったポテンシャルを活用できる

出典:「オープン・サービス・イノベーション」ヘンリー・チェスブロウ(CCCメディアハウス)

"サービス中心へのビジネスアプローチへの変化で大きな役割を果たす「稼働率の差」という未知の要素が明らかになる。(中略)投資に対する高いリターンを促すために稼働率を管理することはこれまであまり知られていなかった。"

ヘンリー・チェスブロウ

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オープンイノベーションのメリット:飛び地

既存事業とは異なる製品・サービスライフサイクルを持つ分野への足がかり

特に「発展型オープンイノベーション」では、社外さえもイノベーション主体として自社リソースへのアクセスを許容し、その活用を促す。

• 新たな事業機会・新市場の発見に繋がる⁃ 組織最適化の逆作用が影響しない主体による、最適化されたリソースの活用

• 発見された事業機会・新市場へのガイドがおり、テスト参入ができる⁃ オープンイノベーションでの共創パートナーは当該新市場に自社よりも明るい

⁃ 自社のリソースを利用してこそパートナーは当該市場で有利な地位を築けるので、パートナーシップを保ったまま「飛び地」への参入ができる

出典:「ビッグバン・イノベーション」ラリー・ダウンズ&ポール・F・ヌーネス(ダイヤモンド社)

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オープンイノベーションの事例:レストラン「エル・ブリ」

世界一有名で、世界一逸失利益の大きなレストラン

出典:「オープン・サービス・イノベーション」ヘンリー・チェスブロウ(CCCメディアハウス)

• スペイン・カタルーニャ地方にある、「世界一有名なレストラン」

(※レストランとしての営業は2011年まで)

• 席数は45席、年間の半分は料理研究のため休業。

• ミシュランで14年間三ツ星、スペインの権威あるガイドで10点満点、年間提供席数約8,000席に対して200万件の予約が入る。

レストランビジネスとしてとらえた場合、あまりに大きい逸失利益とスケーラビリティ上の制限により、本来なら全く立ちゆかないし、世界に名を知られるチャンスは極めて限られるはず。

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オープンイノベーションの事例:レストラン「エル・ブリ」

レストランをプラットフォームにして「得意」のアウトサイド・インを実現

出典:「オープン・サービス・イノベーション」ヘンリー・チェスブロウ(CCCメディアハウス)

• エル・ブリの料理長フェラン・アドリア氏

• 「分子ガストロノミー」の研究で知られる。⁃ 特定の食材や調味料の分子特性を調べ、劇的に新鮮な食体験を提供するユニークなレシピを開発・提供

• 氏はオーナーシェフではなく、かつ「エル・ブリ」はハーバード大、EUの化学プロジェクト/研究者などと協働している。

「エル・ブリ」はフェラン・アドリア氏や分子ガストロノミーといった特徴ある技術的基盤を外部から取り入れている。

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オープンイノベーションの事例:レストラン「エル・ブリ」

「食」のエコシステム内で得意な役割を活かした共創によってレストランの限界を突破

出典:「オープン・サービス・イノベーション」ヘンリー・チェスブロウ(CCCメディアハウス)

• 「分子ガストロノミー」を中心とした企業の研究開発部門のような役割を担う。⁃ ボルゲス社と知識を共有して、オイル、ソースなどを開発。共同ブランドとして発売しロイヤリティを得る

⁃ カイクー社とレシピ本を作成・出版⁃ ラバッツァ社とコーヒーのブランドを立ち上げ⁃ NHホテルとホスピタリティビジネスへ⁃ ネスレ社とチョコレートのビジネス開始⁃ アルマンド・バジ社とテーブルおよびキッチンのブランドを立ち上げ⁃ ディアジオ社とウィスキーカクテルの共同ブランド 等

• 特定分野の外部パートナーと深い関係を築き、それぞれが得意なことで共創することにより、ブランド価値を維持しながらレストラン業態の限界を突破。⁃ 異業種への進出でも、その業界に明るいパートナーと組むのでリスクは低い⁃ 自社の得意な分野に特化できるのでコストも低く抑えられる

レストラン事業で収益を上げるのではなく、「食」に関わる他のプレイヤーとそれぞれが得意な分野において共創することでビジネスを拡大。

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オープンイノベーション

日本における実装

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オープンイノベーションの実装:発展型オープンイノベーション

日本企業はプロセスイノベーションが得意で、破壊的イノベーションが苦手とされている。

特に日本が弱いとされるゼロイチのイノベーション主体を外部化する

• 苦手な破壊的イノベーションのドライブは外部の主体に主導してもらう。⁃ 自社でイノベーションを主導するのではなく、イノベーション主導が得意な主体を自社のオープンイノベーション・エコシステムに取り込んで、ドライブしてもらう

⁃ 自社はオープンイノベーション・エコシステムにおいて「ライセンス」「リソース提供(技術的基盤など)」「技術のインソーシング」といった、得意な要素で貢献する

• イノベーションテーマと範囲を規定しエコシステムのプラットフォームとなることで、イノベーションそのものを主導しなくても成果を得られる。⁃ アクセラレーター/コーポレートアクセラレータープログラムの実施⁃ 「エントロピー脱出の3つのステップ」の実施

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オープンイノベーションの実装:実行の仕組み化

「実行できない」「失敗への恐怖」を打破するプログラム化

出典:Global Entrepreneurship Monitor

Total early-stage Entrepreneurial Activity (TEA)

Fear of Failure RateEntrepreneurship as Desirable Career

Choice

世界有数の「起業行動の乏しさ」「失敗への恐怖感」「既存組織志向」に鑑みると、実行のための特別な仕組みが必要。

イノベーションの種を市場に出していく部分まで含めた仕組みが準備されていることが必要。

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オープンイノベーションの実装:「出島化」

既存組織には活用すべきリソースが眠っていると同時に、各種"レガシー"などのイノベーションにブレーキをかける要素も存在している。

組織最適化の逆作用を緩和し、既存組織との融和を促進する

• 自社本体と「別ルールで統治される、ゆるやかに繋がった主体」としての出島環境を作る。⁃ この出島でイノベーションを主導したり、イノベーションエコシステムをマネジメントする⁃ 本体が持つ評価報酬制度、業務執行規則などのルールは、イノベーションを阻害しないもののみ出島環境にも適用する

• 出島環境と本体を結ぶ「カタリスト」を揃え、必要なリソースの引き出しと意識共有・調整を行う。⁃ イノベーションエコシステムが必要とする本体リソースへの円滑なアクセスを実現する

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おわりに

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これから日本で起こることは「Big Avalanche」

以上、オープンイノベーションパラダイムを基礎的な枠組みとして、なぜ新規事業(イノベーション)が必要なのか、オープンイノベーションパラダイムが既存のモデルとどう違うのか、そのメリット・特徴をどう捉え、日本において実装するためにどんなポイントを考慮すべきかについて概略をご紹介してきました。

学術的な正確性よりも、いま国内で拓かれつつあるオープンイノベーションのフロンティアの姿をお伝えすることを主眼にしており、一部乱雑な議論がある点に関してはご容赦いただければと存じます。

さて一方で、日本企業は前例踏襲主義・実績重視主義で、それは競合企業のみならずお客様企業も同様であるため、イノベーションへの取り組みは理屈のとおりには動かないという思いを抱かれている方々もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、「横を見て・実績を見て」意思決定をするのが日本企業の傾向なのだとすると、オープンイノベーションのフロンティア的取り組みによって他社が成果を出し始めた時には、遅れるまいと我先に同種の取り組みが行われることが予想されます。そして実際に、オープンイノベーションのフロンティアには大きな果実が実り始めているというのが実感です。

雪崩を打って競合もお客様もオープンイノベーションに取り組み始める「Big Avalanche」を引き起こす構造変化を理解し、その時代に適切に備えていくために、本資料が一助となれば幸いです。