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米国VCのクリーンテック投資ポートフォリオをスマートグリッドの構成技術別に分析し、先端市場である米国ではどの技術に注目が集まっているかを明らかにし、日本のベンチャー企業、及び業界関係者への示唆を考察する
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米国ベンチャーキャピタルのクリーンテック投資状況
2011年7月22日
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目次
1. スマートグリッド概要2. スマートグリッド関連技術の分類3. 米国VCの投資分野
a. 米国VCの紹介
b. 技術分類別の投資状況(投資件数&投資件数)4. 日本のクリーンテックベンチャーへの示唆
5. まとめ
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この資料でお伝えする内容
本資料の目的:米国VCのクリーンテック投資ポートフォリオをスマートグリッドの
構成技術別に分析し、先端市場である米国ではどの技術に注目が集まっているかを明らかにし、日本のベンチャー企業、及び業界関係者への示唆を考察する
本資料の結論:1)米国VCの投資はエネルギー生産(各種再生可能エネルギー、
バイオ燃料など)、エネルギーマネジメント、蓄電池の3分野に集中している。
2)日本のベンチャーにとって「消費者との接点」「IT技術との親和性」「資本」の3点からスマートグリッドの「需要側」の領域により多くの参入余地があると思われる。
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1. スマートグリッドのコンセプト図
※東芝 電力流通システム事業部資料より抜粋
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1. 一般的なスマートグリッドの定義
�従来からの集中型電源と送電系統との一体運用に加え、情報通信技術の活用により、太陽光発電等の分散型電源や需要家の情報を統合・活用して、高効率、高品質、高信頼度の電力供給システムの実現を目指すもの(NEDO再生可能エネルギー技術白書 )
�「需要に合わせて電力を供給する」という従来の発想から、「供給に合わせて需要をコントロールする(デマンドサイドマネジメント:DMS)」へ発想の転換を図っていく必要がある。スマートグリッド
は需要側の電力消費をコントロールすることにより、太陽光発電や風力発電などの大きな出力の変動を、電力系統と協調して吸収し、需要と供給のバランスを保つ役割を果たす(スマートグリッドジャパン)
ビジネス視点でとらえる為には、スマートグリッドの構成要素を意味ある形で分類することが必要
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2.スマートグリッドの技術領域
送電送電送電送電送電送電送電送電 配電配電配電配電配電配電配電配電発電発電発電発電発電発電発電発電 消費消費消費消費消費消費消費消費
再生可能エネルギー再生可能エネルギー
代替エネルギー代替エネルギー
エネルギー生産エネルギー生産エネルギー生産エネルギー生産
広域監視・制御(WAMS)広域監視・制御(WAMS)
送配電系統の監視・制御技術送配電系統の監視・制御技術送配電系統の監視・制御技術送配電系統の監視・制御技術
配電自動化システム配電自動化システム
超伝導・高圧直流送電超伝導・高圧直流送電
系統の効果的運用系統の効果的運用系統の効果的運用系統の効果的運用
パワーエレクトロニクス応用機器パワーエレクトロニクス応用機器
AMI・スマートメータAMI・スマートメータ
先進的なインターフェース技術先進的なインターフェース技術先進的なインターフェース技術先進的なインターフェース技術
パワーコンディショナ技術パワーコンディショナ技術
EMS技術EMS技術
次世代自動車次世代自動車
エネルギー消費エネルギー消費エネルギー消費エネルギー消費
蓄電技術蓄電技術
エネルギー貯蔵エネルギー貯蔵エネルギー貯蔵エネルギー貯蔵6
1 2 3
4
5
リサイクルリサイクル化石燃料効率化化石燃料効率化
省エネ省エネ
※分類は2010年度 NEDO再生可能エネルギー技術白書に基づく。網掛け領域は弊社で独自に追加。以降メインの6領域をLEV1、サブの14領域をLEV2とする。
1)
2)
3)
4) 5) 6)
7)
8)
9)10)
11)
12)
13)
14)
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2. スマートグリッドの6つのメイン技術領域(LEV1)
※分類は2010年度 NEDO再生可能エネルギー技術白書に基づく。網掛け領域は弊社で独自に追加。以降メインの6領域をLEV1、サブの14領域をLEV2とする。
技術領域技術領域技術領域技術領域技術領域技術領域技術領域技術領域
①エネルギー生産
②送配電の監視・制御
③エネルギー消費
④系統の効果的運用
⑤先進的なインターフェース技術
⑥エネルギー貯蔵
概要概要概要概要概要概要概要概要
再生可能エネルギー及びバイオ燃料などの代替エネルギー。また既存の化石燃料の効率化技術も含む。事業形態(部品の製造、ファーム運用、など)の違いは分けていない。
現状の系統自動化、配電自動化システムに加え、DR、EMSに対して系統
運用システムとして情報の授受を行う技術。具体的には中央給電指令所やローカルの給電所・制御所などでの監視・制御技術を指す。
需要家側のエネルギー設備を制御し、省エネを行う制御技術。具体的にはHEMS、FEMS、BEMSやデマンドレスポンスを指す。また次世代自動車としてEVやV2Gなども含む。
送配電系統の運用効率や柔軟性、セキュリティー向上のための技術。具体的には超伝導送電、高電圧直流送電、パワーエレクトロニクス応用技術。
分散型電源の系統連系技術、及び需要家危機と電力系統を結ぶ先進的なインターフェース技術。情報の授受、及び系統との保護協調機能を有する。具体的にはパワーコンディショナー技術、AMIを指す。
エネルギーの貯蔵技術。具体的には蓄電池を指す。
代表的な企業代表的な企業代表的な企業代表的な企業代表的な企業代表的な企業代表的な企業代表的な企業
シャープ、京セラ、BrightSource Energy
Altarock Energy
東芝、GE、SIEMENSなど
IBM、山武、EnerNOC、Tendrill、Opower、Tesla
住友電気、ABB
Siver Spring Networks、Itron、Landis+Gyr、
三菱電機
パナソニック、日本ガイシ
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2. スマートグリッドの14のサブ技術領域(LEV2-1)
※分類は2010年度 NEDO再生可能エネルギー技術白書に基づく。網掛け領域は弊社で独自に追加。以降メインの6領域をLEV1、サブの14領域をLEV2とする。
概要概要概要概要概要概要概要概要技術領域技術領域技術領域技術領域技術領域技術領域技術領域技術領域 代表的な企業代表的な企業代表的な企業代表的な企業代表的な企業代表的な企業代表的な企業代表的な企業
①エネルギー生産1) 再生可能エネルギー
再生可能エネルギー(太陽光発電、太陽熱発電、風力発電、地熱発電など)の関連ビジネス事業形態(部品の製造、ファーム運用、サービス提供など)の違いは分けていない。
バイオ燃料(エタノールなど)の関連ビジネス
既存の化石燃料(石油、石炭など)のCO2排出削減、天然ガスへの変換技術など
②送配電の監視・制御4)広域監視・制御
広域での系統状態監視・制御は、PMU(Pharos Measurement Unit:位相計測装置)を主要コンポーネントとし、GPSの時刻情報を用いて同時刻の潮流、電圧などの系統データを収集し、
状態監視を行うシステム。系統を最適管理し、また系統崩壊が起こる前に問題を予測・防止する
②送配電の監視・制御5) 配電自動化
配電線や変電所に設置される機器の状態や電流値・電圧値等を遠隔監視しながら配電線開閉器を自動操作することで、供給信頼度の向上や保守作業の省力化を図るシステム。
③エネルギー消費6) EMS技術
需要家側のエネルギー設備を制御し、省エネルギーや系統貢献を行う制御技術。系統情報・気象情報・電力価格情報に基づく制御の場合もある。具体的には、HEMSやBEMS、FEM及びデマンドレスポンス
シャープ、京セラ,
BrightSource Energy
Altarock Energy
Amyris Biotechnologies
Mascoma, Gevo, KiOR
GreatPoint Energy
Luca Technologies
東芝、GE、Siemens
EnerNOC, Tendrill,
Opower
①エネルギー生産2) 代替エネルギー
①エネルギー生産3) 化石燃料効率化
東芝、GE、Siemens
③エネルギー消費7) 次世代自動車
EVの他、電動車両による系統制御技術(V2G、G2V等)を含むTesla, Fisker Automotive
Better Place
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2. スマートグリッドの14のサブ技術領域(LEV2-2)
※分類は2010年度 NEDO再生可能エネルギー技術白書に基づく。網掛け領域は弊社で独自に追加。以降メインの6領域をLEV1、サブの14領域をLEV2とする。
概要概要概要概要概要概要概要概要技術領域技術領域技術領域技術領域技術領域技術領域技術領域技術領域 代表的な企業代表的な企業代表的な企業代表的な企業代表的な企業代表的な企業代表的な企業代表的な企業
④系統の効果的運用10) 超電導送電・
高電圧直流送電
超電導送電とは、極低温下において、ある種の物質の電気抵抗がゼロになる超電導体の特徴を利用し送電を行う技術。高電圧直流送電(HVDC)
とは、直流により高電圧送電を行う技術。大容量化した半導体素子を電力システム技術に活用し、系統運用の効率化を図る。主な用途として、無効電力制御による電圧調整、送電線インピーダンスの変化による送電線潮流コントロールなどが挙げられる。
電力需要等を計測し、通信技術を用いて定期的にその情報を電力会社に送信することの他、家電制御機能等を有する場合もある。
⑤先進的なインターフェース13) パワーコンディショナー
技術
直流→交流への変換技術。今後、電力系統において太陽光発電等の大量の分散型電源の導入が見込まれる。
⑥エネルギー貯蔵14) 蓄電池
風力発電や太陽光発電に起因する余剰電力蓄電、ピーク負荷カットによる送配電投資の抑制用途など
住友電気、ABB
Sharp, 京セラ
④系統の効果的運用11) パワーエレクトロ
ニクス応用機器
⑤先進的なインターフェース12) AMI
パナソニック、日本ガイシ
Siver Spring Networks,
Itron, Landis+Gyr
③エネルギー消費8) リサイクル 各種リサイクル。金融サービスを含む(リサイクルポイントなど)
Lehigh Technologies,
RecycleBank
③エネルギー消費9) 省エネ
各種省エネ製品・サービス。LED電灯などを含む。また既存の自動車技術
の改良(低公害エンジンの開発など)も、このカテゴリーに含む
Luminus Devices
SeaMicro, Caitin
10
3. 米国VCのクリーンテック投資状況
※National Venture Capital Association資料より
2006年~2010年までクリーンテック分野へのVC投資はCAGR22%の伸長率。*Q1 2011はWEB分野とほぼ同額の投資実績であり、更に伸びると予想されている。
$1,647
$2,605
$3,987$3,668
$1,038
$2,122
6.30%
8.59%
13.91%10.95%
17.67%
15.77%
$-
$500
$1,000
$1,500
$2,000
$2,500
$3,000
$3,500
$4,000
$4,500
2006 2007 2008 2009 2010 Q1 2011
0%
2%
4%
6%
8%
10%
12%
14%
16%
18%
20%
Amount Invested (Cleantech) Cleantech % in Overall Invest
(Unit: Million)
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3. クリーンテックに積極的な米国VCファーム
※Cleantech Groupより抜粋
今回この3ファームとエネルギー専業VCであるNth Powerの投資ポートフォリ
オを検証する
Venture Investor # deals
Draper Fisher Partners 16Chrysalix Energy Venture
Capital16
Kleiner Perkins Caufield & Byers 12
Carbon Trust Investment Partners 12
Element Partners 12
Emerald Technology Ventures 10
RockPort Capital Partners 10
Good Energies AG 10
Vantage Point Venture Partners 10
Khosla Ventures 8
SET Venture Partners 8
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3. スマートグリッド技術領域別の投資状況 (LEV1-1)
※各VCの公開ポートフォリオより弊社にて独自調査・統計
�エネルギー生産が全体の50%近くを占めている。
�エネルギー生産と消費を繋ぐ送配電系統への投資はほぼ無し。
60
31
133 2 0
1518
4 0 2 0 0 00
10203040506070
エネ
ルギ
ー生
産
エネ
ルギ
ー消
費
エネ
ルギ
ー貯
蔵
先進
的な
イン
ター
フェ
ース
技術
系統
の効
果的
運用
送配
電系
統の
監視
・制御
その
他(Unit:件数) :投資件数
:$100M以上の投資件数
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3. スマートグリッド技術領域別の投資状況 (LEV1-2)
※各VCの公開ポートフォリオより弊社にて独自調査・統計
�各VCとも投資分野に大きなバラつきは無い。LEV1レベルでは、ベンチャー企業が参入できる市場は皆同じという示唆なのか?
�エネルギー生産は投資案件が大型化する傾向あり。エネルギー生産案件の30%が$100M以上の資金調達(累計)をしている。
LEV1 KPCB Nth DFJ Khosla KPCB Nth DFJ Khosla # Invest # Over $100M
エネルギー生産 16 11 14 19 8 0 4 6 60 18
エネルギー消費 8 7 11 5 2 0 2 0 31 4
エネルギー貯蔵 3 0 6 4 0 0 0 0 13 0
先進的なインターフェース技術 2 0 1 0 1 0 1 0 3 2
系統の効果的運用 1 0 0 1 0 0 0 0 2 0
送配電系統の監視・制御 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
その他 0 5 1 9 0 0 0 0 15 0
Total 30 23 33 38 11 0 7 6 124 24
Number of Investment Number of Investment Over $100M LEV 1 Total
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3. スマートグリッド技術領域別の投資状況 (LEV2-1)
※各VCの公開ポートフォリオより弊社にて独自調査・統計
エネルギー生産全般、EMS、蓄電池の3分野に投資が集中している。全体の72%をこの3分野で占めている。
30
20
10
16
84 3
13
2 1 0 2 0 0
15
8 6 41 1 0 2 0 2 0 0 0 0 0 0
05
101520253035
再生
可能
エネ
ルギ
ー
代替
エネ
ルギ
ー
化石
燃料
効率
化
EMS
省エ
ネリ
サイ
クル
次世
代自
動車
蓄電
池
AMI・
スマ
ートメ
ータ
ー
パワ
ーコ
ンデ
ィショナ
ー
超伝
導送
電、高
電圧
直流
送電
パワ
ーエ
レク
トロニ
クス
広域
監視
・制御
配電
自動
化そ
の他
(Unit:件数) :投資件数
:$100M以上の投資件数
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3. スマートグリッド技術領域別の投資状況 (LEV2-2)
※各VCの公開ポートフォリオより弊社にて独自調査・統計
�VC間で注力投資分野の違いが明確になっている→Khoslaは代替エネルギーなど全般的にエネルギー生産分野への投資戦略が鮮明。EMSへの投資はゼロ
�EMS、蓄電池分野は$100M以上の案件が少ない(29件中1件)
LEV1 LEV2 KPCB Nth DFJ Khosla KPCB Nth DFJ Khosla # Invest # Over $100M
エネルギー生産 再生可能エネルギー 7 7 8 8 4 0 3 1 30 8
代替エネルギー 5 2 4 9 2 0 0 4 20 6
化石燃料効率化 4 2 2 2 2 0 1 1 10 4
エネルギー消費 EMS 5 6 5 0 1 0 0 0 16 1
省エネ 0 1 2 5 0 0 1 0 8 1
リサイクル 2 0 2 0 0 0 0 0 4 0
次世代自動車 1 0 2 0 1 0 1 0 3 2
エネルギー貯蔵 蓄電池 3 0 6 4 0 0 0 0 13 0
先進的なインターフェース技術 AMI・スマートメーター 1 0 1 0 1 0 1 0 2 2
パワーコンディショナー 1 0 0 0 0 0 0 0 1 0
系統の効果的運用 超伝導送電、高電圧直流送電 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
パワーエレクトロニクス 1 0 0 1 0 0 0 0 2 0
送配電系統の監視・制御 広域監視・制御 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
配電自動化 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
その他 その他 0 5 1 9 0 0 0 0 15 0
Total Total 30 23 33 38 11 0 7 6 124 24
Number of Investment Number of Investment Over $100M LEV 1 Total
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3. 米国VCの投資状況サマリー
�エネルギー生産全般、エネルギー生産全般、エネルギー生産全般、エネルギー生産全般、EMS、蓄電池、蓄電池、蓄電池、蓄電池の3分野に投資が集中している�エネルギー生産: RPS法¹や各種補助金など政府の支援策で需要を作り出しており、
投資が集中している。�EMS: 米国のスマートグリッドは古い送電網への投資を避けるためピークカット(シフト)
の需要サイドのコントロールを主眼に始まった�蓄電池: 発電~送配電~需要と全てのフェーズで必要な技術領域
�一方で、送電網系統の監視・制御や超伝導送電などはほぼ皆無の状態�中央給電指令所などは電力会社と長年共同で開発をし、技術ノウハウを貯めている大企業
(東芝、Siemens、GEなど)が優位性を持つ市場と思われる
�エネルギー生産の分野はエネルギー生産の分野はエネルギー生産の分野はエネルギー生産の分野は1件当たりの投資金額も大型化する傾向件当たりの投資金額も大型化する傾向件当たりの投資金額も大型化する傾向件当たりの投資金額も大型化する傾向だが、EMSや
蓄電池分野での投資ではこの傾向は見られない�エネルギー生産の約30%が$100M以上の大型案件�EMS、蓄電池の案件(約30件)の中で1件のみ
¹カリフォルニア州では2020年までに電力会社が電力小売売上高の33%を再生可能エネルギーによって賄うことを義務化
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4. 日本のクリーンテックベンチャーへの示唆
供給側(発電~送電~配電)の供給側(発電~送電~配電)の供給側(発電~送電~配電)の供給側(発電~送電~配電)の技術分野技術分野技術分野技術分野
供給側(発電~送電~配電)の供給側(発電~送電~配電)の供給側(発電~送電~配電)の供給側(発電~送電~配電)の技術分野技術分野技術分野技術分野
需要側(消費)の技術分野需要側(消費)の技術分野需要側(消費)の技術分野需要側(消費)の技術分野需要側(消費)の技術分野需要側(消費)の技術分野需要側(消費)の技術分野需要側(消費)の技術分野
�再生可能エネルギー�代替エネルギー�化石燃料効率化�広域監視・制御(WAMS)
�配電自動化�超伝導・高圧直流送電�系統用蓄電池�パワーエレクトロニクス�パワーコンディショナー
�EMS
�AMI・スマートメーター
�次世代自動車�リサイクル�省エネ�需要家用蓄電池
<
仮説: スマートグリッドの消費側(特に赤字の分野)により多くのベンチャーの参入余地があるのではないか?
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4. 仮説の考察 ~①~
スマートグリッド=電力網のインターネット化であり、特にEMSの技術領域は“消費者”に接する技術・サービスであり、スマートグリッド
の双方向性に寄与するため、潜在マーケットが大きい。
�供給サイドから需要サイドへのパワーシフトが起こり、誰もがエネルギーを作り消費する主体,「プロシューマー」(生産消費者)となる。省エネによる電力節約分(ネガワット)と太陽光発電などによる創エネ分(ポジワット)を、EMSにつなげ、発電収入やCO2削減分に対応したエコの価値を取引できるようにすれば、「You Energy! 誰もがエネルギーを作れる」から「誰もが新ビジネスを創造できる」
というパラダイムが生まれ、おびただしいイノベーションの創造が「経済成長&雇用創出」につながるというパラダイムへと発展する(加藤敏春 スマートグリッド革命)。
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4. 仮説の考察 ~②~
Demand SideはIT技術を応用して進出できる領域が大きい。多くのITベンチャー
がマーケティング視点をエネルギーに変更することで進出できる余地が大きい。
スマートグリッド企業のマネジメント層の出身業界
IT Hardware30%
IT Software25%
Energy19%
Finance6%
Telecom8%
Others12%
IT業界出身者が過半数を占める
スマートグリッド・エンジニアの必要スキル
再生可能エネルギーの知識(再生可能エネルギーの知識(再生可能エネルギーの知識(再生可能エネルギーの知識(PV、風力発電、地熱発電など)、風力発電、地熱発電など)、風力発電、地熱発電など)、風力発電、地熱発電など)
電気工学関連の知識(電気回路など)電気工学関連の知識(電気回路など)電気工学関連の知識(電気回路など)電気工学関連の知識(電気回路など)
ネットワーク技術(ネットワーク技術(ネットワーク技術(ネットワーク技術(WAN、、、、LANなど)など)など)など)
スマートアプライアンスなどの電気・制御・通信技術スマートアプライアンスなどの電気・制御・通信技術スマートアプライアンスなどの電気・制御・通信技術スマートアプライアンスなどの電気・制御・通信技術
WEBアプリケーション技術(電力取引、消費電力管理ソフトなど)アプリケーション技術(電力取引、消費電力管理ソフトなど)アプリケーション技術(電力取引、消費電力管理ソフトなど)アプリケーション技術(電力取引、消費電力管理ソフトなど)
ITエンジニアが
既に持っている知識
追加で必要な知識
必要なスキルセットが類似している
出所:SEがエネルギー産業で働くための「必須技術ベスト5」http://engineer.typemag.jp/slive/2011/05/-se5.php
出所:Greentech Grid “Smart Grid2.0: the Soft Grid”http://www.greentechmedia.com/articles/read/smart-grid-2.0-the-soft-grid1/
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4. 仮説の考察 ~③~
�エネルギー生産など供給側の技術は概して必要資金が大型化する傾向
�日本のVCの投資金額は1億円~3億円が平均であり、エネルギー生産のように$100Mの資金需要があるビジネス領域への参入は厳しい
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5. まとめ
�米国米国米国米国VCの投資はエネルギー生産(再生可能エネルギー、代替の投資はエネルギー生産(再生可能エネルギー、代替の投資はエネルギー生産(再生可能エネルギー、代替の投資はエネルギー生産(再生可能エネルギー、代替エネルギー、化石燃料効率化)、エネルギー、化石燃料効率化)、エネルギー、化石燃料効率化)、エネルギー、化石燃料効率化)、EMS、蓄電池の、蓄電池の、蓄電池の、蓄電池の3分野に集中分野に集中分野に集中分野に集中し
ている。一方で投資がほぼ皆無の分野もあり、二極化している。
�エネルギー生産分野への投資は$100M以上の案件が3割を占めるなど大型化する傾向がある。一方でEMSや蓄電池などはさや蓄電池などはさや蓄電池などはさや蓄電池などはさ
ほどほどほどほど多額の投資を必要としない多額の投資を必要としない多額の投資を必要としない多額の投資を必要としない。
�日本のベンチャーにとって「消費者との接点」「「消費者との接点」「「消費者との接点」「「消費者との接点」「IT技術との親和技術との親和技術との親和技術との親和
性」「必要資本」の3点からスマートグリッドの「需要側」の領域に性」「必要資本」の3点からスマートグリッドの「需要側」の領域に性」「必要資本」の3点からスマートグリッドの「需要側」の領域に性」「必要資本」の3点からスマートグリッドの「需要側」の領域により多くの参入余地より多くの参入余地より多くの参入余地より多くの参入余地があると思われる。
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TO BE CONTINUED次回はEMSの詳細構成とその領域で活躍する企業の紹介