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Microsoft Dynamics CRM をベースに B2B 事業基盤「Visions」を確立営業案件の可視化と全体最適視点でのマネージメント分析を推進し、業績の V 字回復を目指す

消費者を感動させる "オンリー ワン" の製品を数多く提供することで成長を続けてきたシャープ

グループ。今後の成長に向け B2C から B2B へのシフトが進められており、B2B 事業の情報基盤として「Visions」が構築されています。その開発の土台となっているのが Microsoft Dynamics

CRM。エンタープライズでも利用可能なスケーラビリティ、ユーザーにとってのわかりやすさ、開発のしやすさなどが高く評価されています。Visions はまず、シャープ グループにおける B2B ビジネスの中心的存在であるシャープビジネスソリューション株式会社で活用され、案件の可視化や業務効率の向上、商談総額の増大、PSI 計画の精度向上など、さまざまな効果をもたらしています。今後はあらゆる情報の起点となる存在として、シャープ グループ全体へと展開していく計画です。

導入の背景とねらい今後の成長に向けて B2B にシフト、 営業マネージメントの変革が重要課題に

業務効率化の道具としてだけではなく、売上向上に貢献する「攻めの武器」として IT を活用したい。このように考えている企業は決して少なくないはずです。そのための取り組みを Microsoft

Dynamics CRM の活用によって推進し、着実に成功を収めつつあるのが、シャープ株式会社 (以下、シャープ ) とシャープビジネスソリューション株式会社 (以下、SBS) です。

シャープは日本を代表する大手総合電機メーカーの 1 社であり、独創的な商品開発で知られています。消費者を感動させる「オンリー ワン」の製品を数多く世の中に出し続けることで成長を続け、2008 年 3 月期には過去最高となる 3 兆 4,177 億円の売上を達成。しかしデジタル関連製品を中心とした市場価格下落などの影響を受け、その後売上額が大幅に減少、2012 年 3 月期には 3,760

億円を超える純損失を計上し、経営危機に直面することになります。

再生プランの柱の 1 つとして掲げられているのが、従来の B2C 中心のビジネス モデルから、B2B

に軸足を置いたビジネス モデルへの転換です。その一環としてシャープは、ビジネス機器の国内向けソリューション事業強化を目指し、グループ販売会社 2 社の再編および統合を実施。これによって誕生したのが SBS です。

「当社はまだ誕生して 2 年の会社ですが、シャープ グループ全体の B2B シフトを牽引するための存在として、重要な役割を担っていると考えています」。このように語るのは、シャープビジネスソリューション株式会社 代表取締役社長の谷屋 誠 氏です。同社は現在、オフィスソリューション事業、システム事業、ICT・サービス事業、サプライ事業、ソフトウェア事業の 5 つのビジネスを展開。たとえばオフィスソリューション事業では、国内 60%

のコンビニエンス ストアにマルチ コピー機を提供、また、システム事業では、国内 40% のガソリン スタンドに POSシステムを提供するなど、大きな存在感を示しています。また 5 年前に着手したインフォメーション ディスプレイ (IDP) 事業も急成長しており、企業の会議室や公共施設の情報案内、デジタル サイネージ、教育など、幅広い領域で活用されていると説明します。「今年 4 月

ソリューション概要

○プロファイルシャープビジネスソリューション株式会社は、日本を代表する製造企業の 1 社であるシャープ株式会社のグループ企業です。シャープ グループにおける B2B 事業の中心的な存在であり、オフィスソリューション事業、システム事業、ICT・サービス事業、サプライ事業、ソフトウェア事業を手掛けています。

○導入製品とサービス・ Microsoft Dynamics® CRM

○導入メリット・ 情 報 入 力 の 対 象 を Visions (Microsoft

Dynamics CRM) に一本化することで、業務の標準化と効率が向上し、ビジネス スピードが高まった。

・ 営業案件に関する情報を集約することで、案件の可視化や分析が可能になり、アクティブ案件数や商談金額が増大した。

・ Visions に蓄積された情報はPSI (製造 /販売 /在庫 ) 計画でも活用されており、生産計画や在庫の最適化にも貢献している。

○ユーザー コメント「Microsoft Dynamics CRM によるシャープ全体の B2B ビジネス標準基盤は、重要な役割を果たすはずです。これで B2B ビジネスを拡大し、貢献したいと考えています」

シャープビジネスソリューション株式会社代表取締役社長谷屋 誠 氏

シャープビジネスソリューション株式会社

シャープビジネスソリューション株式会社 / シャープ株式会社

シャープビジネスソリューション株式会社 / シャープ株式会社

には東京駅や新宿駅でもシャープの IDP を設置していただきました。案件数や売上も着実に伸びています」。

その一方で谷屋 氏は、B2B へのシフトを推進するには、マネージメントの変革が必要になるとも語ります。B2C のビジネスでは、マス マーケットを対象にしたプロモーションを行い、販売代理店に商品を販売すれば、一連のビジネス プロセスが完了します。しかし B2B では、見込み客の開拓から商談化、条件折衝、受注契約、売上回収、その後のフォローによる優良顧客化と、B2C にはなかったさまざまな活動が必要になるからです。

「新規顧客を開拓するのは決して簡単ではないため、既存顧客をできる限り深く掘り下げていくことが、B2B 事業を成長させるための重要な鍵になります」と指摘するのは、経営企画部 チーフの近藤 一三 氏です。そのためには顧客データを蓄積および共有し、顧客目線でデータを分析しなければならないと語ります。しかし以前のシャープでは、顧客や営業プロセスに関する情報が、営業担当者個人の管理に委ねられ、会社全体で十分に活用できていたとは言えない状況でした。また SBS も文化の異なる 2 つの会社が統合して誕生したため、情報の取り扱い方法や使用ツールがバラバラであり、事業の壁を超えた協業が難しいという課題も抱えていたと言います。

このような状況を変革するために SBS が構築したのが、Microsoft

Dynamics CRM をベースにした「Visions」と呼ばれる情報基盤です。「グループ全体で B2B ビジネスを拡大するには、オール シャープで案件情報を共有し活用できる、標準的なしくみが必要です。これを可能にするのが Visions であり、その頭文字が示すように、シャープの V 字回復に大きな貢献を果たすことが期待されています」 (近藤 氏 ) 。

導入の経緯4 つの理由から Microsoft Dynamics CRM を採用 Visions の短期開発と短期展開が可能に

シャープが Visions 構築に向けた検討を開始したのは、SBS 設立前の

2013 年 1 月。シャープ グループで活動する国内営業担当者、約 5,000

名を支えられるスケーラビリティがあることと、オンプレミス型でシステムを構築できることを条件に、複数製品の比較検討が進められました。その結果、2013 年 5 月に Microsoft Dynamics CRM の採用を正式に決定。採用理由は大きく 4 つあったと近藤 氏は説明します。

第 1 は Microsoft® Office との親和性が高く、ユーザーにとってわかりやすいことです。「シャープでは予定管理を Microsoft® Outlook® で行っており、これと連携しやすいことは大きなメリットです」と近藤 氏。導入規模が大きいケースではユーザー教育が大きな負担になりますが、Microsoft Dynamics CRM ならその問題はないと指摘します。

第 2 はリーズナブルなコストで導入できることです。シャープのようにマイクロソフトと包括ライセンス契約を結んでいる企業においては、Microsoft

Dynamics CRM のコスト アドバンテージは特に大きくなります。

第 3 は既に数多くの先行事例が存在していたこと。大規模な事例も多く、全体最適化を実現できたケースが多かったことも評価されたと言います。

そして第 4 が、社内の開発リソースを新規の技術教育を行うことなく、そのまま活用できることです。「CRM は導入したままの状態で使うものではなく、必要に応じた機能追加や、微調整を行いながら発展させ続けるべきシステムです。Microsoft Dynamics CRM はエンタープライズで活用できる優れたコア エンジンであり、開発も簡単に行えます。これ

シャープビジネスソリューション株式会社代表取締役社長谷屋 誠 氏

シャープ株式会社国内営業本部国内営業構造改革プロジェクトチーム主事松藤 基子 氏

シャープビジネスソリューション株式会社経営企画部チーフ近藤 一三 氏

アクティブ商談 登録件数推移のグラフ、アクティブ商談 平均単価のグラフ、アクティブ商談 総額、の3つのグラフ

2014 年 4 月

アクティブ商談 登録件数推移

2014 年 10 月 2015 年 3 月 2014 年 4 月

アクティブ商談 金額総額

2014 年 10 月 2015 年 3 月 2014 年 4 月

アクティブ商談 平均単価

2014 年 10 月 2015 年 3 月

シャープビジネスソリューション株式会社 / シャープ株式会社

なら定期的に衣替えを行いながら、データを長期的に蓄積できると判断しました」 (近藤 氏 ) 。

Microsoft Dynamics CRM の導入決定後は、すぐにプロトタイプの開発に着手。社内 4 名の開発体制によってわずか 2 か月で完成させ、約

100 名のユーザーに対する展開を行っています。対象となったのは IDP

ビジネスを手掛ける営業担当者。業務プロセスの中に Visions を組み込み、ここにデータ入力しなければ次のステップに進めない仕掛けを作ると共に、Visions 活用の効果をデータで示すことで、Visions 活用に対するモチベーションを高めていくという取り組みが進められていきました。

「以前は営業案件が発生すると、メールなどで連絡を取って他の案件が競合していないかチェックし、その後 Microsoft® Excel® ファイルなどで価格申請を行った後で案件を進めていくというのが、通常の社内プロセスでした」。このように振り返るのは、SBS における Visions の社内定着プロジェクトに参画し、現在はシャープ本体の国内営業本部で営業構造改革プロジェクトチーム 主事を務める松藤 基子 氏です。IDP 事業の営業プロセスではこのような、メールや Excel ファイルによるやり取りを全面的に廃止。すべての案件情報の Visions 登録を義務付けたと説明します。

この取り組みの理由として、「営業部門はそれぞれの営業分野における猛者揃いなので、たとえトップダウンで物事を進めても、机上のロジックだけでは納得してくれません」と語るのは近藤 氏です。まずはとにかくデータを入れてもらい、その結果どのような効果が得られるのかを、データで示すことが重要なのだと言います。「効果があることをデータで示されれば、営業担当者はすぐに納得します。IDP の営業担当者を強制的に Visions 活用に巻き込み、短期間でその効果を理解してもらえたことが、その後の Visions 展開に向けた大きなトリガーになりました」。

その後、Visions への参加を希望する営業担当者が急増。ユーザー教育も当初は講習会を開催していましたが、ユーザーの急増に対応するため

にビデオ マニュアルも用意、操作方法を短時間で伝授できる体制が整えられていきました。現在 (2015 年 4 月 ) のユーザー数は、約 900 名にまで拡大しています。

導入効果案件の可視化で商談総額が 7.7 倍に、 生産計画の精度向上や在庫最適化にも貢献

「Visions の活用は、管理者と営業担当者の双方に、大きなメリットをもたらしています」と松藤 氏。まず管理者側にとっては、案件データの集計や分析、受注確度の客観的評価などが簡単に行えるようになりました。また、以前は引き合いレベルの情報しか把握できませんでしたが、Visions で営業プロセスを管理することで、進捗状況の把握も可能になっています。さらに、情報に関する属人性を排除することで、担当者の配置換えも容易になり、これまで以上に適材適所の人材活用が可能になると期待されています。

一方、営業担当者にとっては、案件競合の情報や価格申請への回答を迅速に受け取れるようになり、煩雑なメールのやり取りやデータの二重入力といった手間がなくなるというメリットがあります。最近では営業会議の資料にも、Visions に蓄積された情報が利用されています。

しかし Visions の効果は、このような業務の効率化だけにとどまりません。実は Visions の活用を始めてから、営業情報の質と鮮度も飛躍的に向上しているのです。たとえば Visions の活用が義務付けられている

IDP 事業では、アクティブ商談の登録数が 1 年間で 4.5 倍に増加、商談の平均単価も 1.8 倍になっています。その結果、商談金額総額も、この 1 年で 7.7 倍に増えています。

「案件情報を営業担当者個人が囲い込んでいる状況では、目標額を超える引き合いの情報が隠される傾向があり、商談途中で発生する問題も見えにくくなってしまいます」と近藤 氏。これは経営者にはもちろんの

IDP 商談の登録状況

全体最適視点でのマネジメント分析

ビズネス・プロセス

ホームページセミナー受付

コールセンターオンサイト

0見込開拓

1ヒアリング

2商談化

3提案化

4条件折衝

5受注 /契約

6開発

7売上 /回収

8ユーザー

9優良顧客

営業案件管理 基幹システム

Visions (Microsoft Dynamics CRM)

シャープビジネスソリューション株式会社 / シャープ株式会社

導入についてのお問い合わせ本ケース スタディは、インターネット上でも参照できます。http://www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/本ケース スタディに記載された情報は制作当時 (2015 年 5 月 ) のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。本ケース スタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。製品に関するお問い合わせは次のインフォメーションをご利用ください。■インターネット ホームページ http://www.microsoft.com/ja-jp/■マイクロソフト カスタマー インフォメーションセンター 0120-41-6755(9:00 ~ 17:30 土日祝日、弊社指定休業日を除く )※電話番号のおかけ間違いにご注意ください。*Microsoft、Dynamics、Excel、Outlook、および Windows は、米国 Microsoft Corporation の、米国およびその他の国における登録商標または商標です。*その他記載されている、会社名、製品名、ロゴ等は、各社の登録商標または商標です。*製品の仕様は、予告なく変更することがあります。予めご了承ください。

〒108-0075 東京都港区港南 2-16-3 品川グランドセントラルタワー

こと、営業担当者にも不利益をもたらすと指摘します。「案件情報が可視化されれば、すべての案件を獲得しようというモチベーションが高まるうえ、失敗例や成功例を学ぶことも容易になります。その結果、売上が向上し、営業担当者の評価も高まることになります」。

案件に対する評価の標準化も実現されています。案件プロセスのチェック ポイントを決め、それぞれの状況を 5 段階で評価することで、主観的な評価の排除に成功しているのです。これによって商談の実態が把握しやすくなり、案件成立までの期間や最終的な案件金額も、より高い精度で予測できるようになりました。

Visions に入力し蓄積されたデータは、PSI (製造 /販売 /在庫 ) 計画にも反映されており、生産計画の精度向上や在庫最適化にも貢献しています。実際に IDP 事業部では Visions のデータに基づく PSI 会議が行われており、同様のことを行いたいという要望は、既に他の事業部からも寄せられていると言います。

「営業部門による正しいデータ入力と、スタッフ部門での正しい判断は、全体最適化を実現するための両輪です。Visions を構築および活用することで、この両輪を短期間で確立することが可能になったのです」 (近藤 氏) 。

今後の展望将来は Visions を起点にあらゆる情報を管理、 シャープ全体の標準基盤に

SBS の IDP 事業を中心に Visions の効果を証明したシャープ グループは、今後さらに Visions のユーザーを拡大していく計画です。ただし積

極的に利用を働きかけるのではなく、利用を希望する部門やグループ会社を対象に、利用者数を自然に増やしていくというアプローチで進めていくと、近藤 氏は語ります。そのため具体的な数値目標は定められていませんが、今後 1 年で少なくとも 1,500 ~ 2,000 名規模のシステムになる見通しです。この中には、SBS 以外のグループ販売会社や、シャープ本体の国内営業部門も含まれています。

その一方で近藤 氏は「情報活用の幅を拡大するための機能追加や微調整も毎週のように行われており、今後も Visions に関する開発は継続的に進められていきます」とも語ります。その 1 つとして挙げられているのが、Visions と基幹システムの連携です。Visions に蓄積された情報を基幹システムに送ることで、基幹システムへのデータ入力作業が削減できます。これは 2015 年度上期中に実現される予定です。

また、現在は他の CRM パッケージ上で動いているコールセンター システムも、今後は Microsoft Dynamics CRM 上へと移し、Visions に取り込んでいく計画です。最終的にはビジネス プロセスで発生するあらゆる情報を Visions に入力し、ここを起点にすべての情報管理を行える環境の確立が目指されています。

「今のシャープは、次の成長ステージに向けて、構造改革中であり、グループ全体への Visions の展開は、新たな目標に向け一丸となって進むための、大きなきっかけになるのではないか」と谷屋 氏は語ります。「Microsoft Dynamics CRM によるシャープ全体の標準基盤は、再生に向けた階段として重要な役割を果たすはずです。これによって B2B 事業を積極的に拡大し、V 字回復に貢献したいと考えています」。

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