労働安全衛生規則(足場等)改正...2010/10/22  ·...

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労働安全衛生規則(足場等)改正

改正のポイントとは?

施行後の実態は?

(社)軽仮設リース業協会 関東支部研修会資料

平成22年10月22日

平成21年6月1日施行

改正のポイント

Ⅰ 足場からの墜落防止措置等の充実

①墜落防止措置

a.わく組足場の場合

b.わく組足場以外の足場の場合

②物体の落下防止措置

Ⅱ 足場の安全点検等の充実

※足場同様に架設通路や作業台についても改正された。

労働安全衛生規則が改正された背景

リーフレット改定版 P2

交さ筋かいの下から 手すりの下から

25人 18人

217人死亡

(ア) 事業者が行う「架設通路」についての墜落防止措置(安衛則第552条関係)

改正前には、高さ 75センチメートル以上の手すりを設けることとされていましたが、今回の改正により、「高さ 85センチメートル以上の手すり」に加え「中さん等」※1をもうけることとされました。

(イ) 事業者が行う「足場」の作業床からの墜落防止措置(安衛則第563条関係)

★墜落防止措置

改正前には、高さ 75センチメートル以上の手すり等を設けなければならないとされ、わく組足場の交さ筋かいは手すり等としてみなされていましたが、今回の改正により、足場の種類に応じて、次の設備を設けることとされました。

「高さ85センチメートル以上の手すり等」に加え、「中さん等」※1

高さ10センチメートル以上の幅木、メッシュシート又は防網(同等の措置を含む)を新たに設けることとされました。

★物体の落下防止措置

・わく組足場の場合「交さ筋かい」に加え、「高さ15センチメートル以上40センチメートル以下の位置への下さん」か「高さ15センチメートル以上の幅木の設置」(下さん等)※2、あるいは「手すり枠」※3

・わく組足場以外の足場の場合(一側足場を除く)

※ 安衛則第563条では、足場の高さ2メートル以上の作業場所における措置を定めていますが、高さ2メートルに満たない場合や

足場以外の作業場所であっても安衛則537条に基づき、物体の落下による危険を防止する必要があることに留意してください。

リーフレット改定版 P3

わく組足場

○ 墜落防止及び物体の落下防止の

両措置を同時に講じた例

リーフレット改定版 P4

○ 墜落防止及び物体の落下防止の

両措置を同時に講じた例

リーフレット改定版 P4

わく組足場以外の足場(単管足場等)

リーフレット改定版 P4

(ウ)事業者が行う「作業構台」についての墜落防止措置(安衛則第576条の6関係)

改正前には、高さ75センチメートル以上の手すり等を設けることとされていましたが、今回の改正により、「高さ85センチメートル以上の手すり等」に加え「中さん等」 ※1を設けることとされました。

※1 「中さん等」とは、「高さ35センチメートル以上50センチメートル以下のさん」又は

「これと同等以上の機能を有する設備」のことであり、後者には高さ35センチメート

ル以上の防音パネル、ネットフレーム、金網及びX字型の2本の斜材があります。

※2 「下さん等」とは、「高さ15センチメートル以上40センチメートル以下のさん」

「高さ15センチメートル以上の幅木」「これらと同等以上の機能を有する設備」のこと

であり、同等以上の機能を有する設備には、高さ15センチメートル以上の防音パネル

ネットフレーム及び金網があります。

※3 「手すりわく」とは、高さ85センチメートル以上の手すり及び高さ35センチメートル

以上50センチメートル以下のさん又はこれらと同等の機能を一体化させたもので

あって、わく状の丈夫な側面防護部材のことです。

リーフレット改定版 P4

手すりわくの例示(第3の3の(8)関係)

(1) 手すり及び労働者の墜落防止のために有効な水平材を有する設備(作業床から

高さ85センチメートル以上の位置に手すりがあり、かつ、高さ35センチメートル

以上50センチメートル以下の位置に水平に設置されたさんを有する設備)

平成21年度版資料集 P21

10

(2) 手すり及び労働者の墜落防止のために有効な斜材を2本以上有する設備

(作業床から高さ85センチメートル以上の位置に手すりがあり、かつ、作業床

と手すりの間に労働者の墜落防止のための有効な斜材を2本以上有する設備)

平成21年度版資料集 P21

11

(3) 手すり及び労働者の墜落防止のために有効な鉛直材を2本以上有する設備

(作業床から高さ85センチメートル以上の位置に手すりがあり、かつ、作業床

と手すりの間に労働者の墜落防止のための有効な鉛直材を2本以上有する設備)

平成21年度版資料集 P21

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(ア) 事業者が行う足場の点検等(安衛則第567条、第568条関係)

1. つり足場以外の足場で作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、作業を行う

箇所に設けた足場に係る墜落防止設備の取りはずしの有無等の点検をし、異常を認め

たときは、直ちに補修することとされました。

2. つり足場で作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、足場に係る墜落防止

設備及び落下防止設備の取りはずしの有無等の点検をし、異常を認めたときは、直ち

に補修することとされました。

3. 悪天候(強風、大雨、大雪等の悪天候若しくは中震以上の地震)や、足場の組立て・

一部解体若しくは変更の後に、足場に係る墜落防止設備及び落下防止設備の取りは

ずしの有無等の点検をし、異常を認めたときは、直ちに補修することとされました。

4. 上記3の点検を行ったときには、点検結果等を記録し、足場を使用する作業を行う仕事

が終了するまでの間、保存することとされました。

リーフレット改定版 P5

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(イ) 事業者が行う作業構台の点検等(安衛則第575条の8関係)

1. 作業構台における作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、作業を行う箇所に

設けた作業構台にかかわる墜落防止設備の取りはずしの有無等の点検をし、異常を認めた

ときは、直ちに補修することとされました。

2. 悪天候等の後に、作業構台に係る墜落防止措置の取りはずし、の有無等の点検をし、異

常を認めたときは、直ちに補修することとされました。

3. 上記2の点検を行ったときは、点検結果等を記録し、作業構台を使用する作業を行う仕事

が終了するまでの間、保存することとされました。

(ウ) 注文者が行う足場についての措置(安衛則第655条関係)

1. 悪天候(強風、大雨、大雪等の悪天候若しくは中震以上の地震)の後に、足場に係る

墜落防止設備及び落下防止設備の取りはずしの有無等の点検をし、危険のおそれがあ

るときは、速やかに修理することとされました。

2. 上記1の点検を行ったときは、点検結果等を記録し、足場を使用する作業を行う仕事が

終了するまでの間、保存することとされました。

リーフレット改定版 P5

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(エ) 注文者が行う作業構台についての措置(安衛則第655条の2関係)

1. 悪天候(強風、大雨、大雪等の悪天候若しくは中震以上の地震)の後に、作業構台に

係る墜落防止設備及び落下防止設備の取りはずしの有無等の点検をし、危険のおそれが

あるときは、速やかに修理することとされました。

2. 上記1の点検を行ったときは、点検結果等を記録し、作業構台を使用する作業を行う

仕事が終了するまでの間、保存することとされました。

※ ここでいう注文者とは、労働安全衛生法第31条で規定する注文者であり、特定事業の

仕事を自ら行う注文者です。

リーフレット改定版 P5

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厚生労働省労働基準局安全衛生部長通達とは

足場等からの墜落災害を防止するため、改正規則の履行

を確実に行うとともに、次の点に留意することが望まれる。

1.足場からの墜落災害防止に関する「より安全な措置」について

①わく組足場にあっては・・・・・

②わく組足場以外の足場にあっては・・・・・

③足場建地の間隔と床材の幅によるすき間・・・・・

平成21年4月24日付

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リーフレット改定版 P6

足場等からの墜落防止対策を進めるための留意事項

足場等からの墜落等による労働災害を防止するため、改正規則の履行を確実に

行うとともに、次の点に留意することが望まれます。

1 足場からの墜落災害防止に関する「より安全な措置」について

① わく組足場にあっては、次のような措置を講じること。

a 交さ筋かい及び下さん等に加え上さんを設置すること。

b 手すり、中さん及び幅木の機能を有する手すり先行専用型足場を設置すること。

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③ 足場のはり間方向の建地(脚柱)の間隔と床材の幅を原則同じものとする等、すき間をつくらないように、床材を設置すること。

② わく組足場以外の足場にあっては、次のような措置を講じること。 手すり等及び中さん等に加え幅木を設置すること。

赤く表示した部分が「より安全な措置」

リーフレット改定版 P6

18

建設業における足場からの墜落防止措置の実施状況に係る調査結果について

平成22年4月

厚生労働省労働基準局

1 趣旨・目的

改正労働安全衛生規則(以下「省令」という。)に基づく足場からの墜落防止措置の確実な履行や、安全衛生部長通達(※)で示した「手すり先行工法」をはじめとするより安全な措置の一層の普及に資するため、その実施状況等について把握するとともに、問題が認められる場合には指導を行うことにより、もって、建設業における足場からの墜落・転落災害の更なる減少を図ることを目的とする。

(※) 足場からの墜落・転落災害を防止するため、昨年6月1日より省令を改正し、対策を強化しているところであり、これと併せて、「より安全な措置」として、「手すり先行工法」の採用等を通達(平成21年4月24日付け安全衛生部長名通達)で示し、指導を行っている。

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2 調査対象

原則として、平成21年10月から平成22年2月末までに都道府県労働局・労働基準監督署の担当官が立入った建設現場のうち、高さ2メートル以上の足場が設置されていた「5,056現場」について、当該現場に設置されている「主たる足場」を対象に調査を実施した(対象現場の工事種別や足場の種類等の内訳については図-1から図-6(PDF:157KB)のとおり)。

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5,056現場立入調査実施

ビル55.0%木建13.8%

土木16.0%

21

民間56.9%国8.0%

地方公共30.3%

枠組65.1%

枠組外本足場31.7%

3 調査結果

省令や安全衛生部長通達に定める足場からの墜落防止措置の実施状況や足場の点検の実施状況、足場からの墜落・転落災害の発生状況等について実態調査を行った(図-7から図-17及び表-1、表-2)。調査結果の概要は以下のとおり。

(1)省令に基づく墜落防止措置の実施状況について

調査対象のうち、省令の適用がない「一側足場」を除く足場が設置されていた現場の約92%において、省令に基づく墜落防止措置が実施されている(図-7(PDF:126KB))。

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問題あり

8.3%

3.3%

6.6%

3.0%

10.5%

(2)手すり先行工法の採用状況について

ア 一側足場を除く足場全体について

対象現場のうち、省令の適用がない「一側足場」を除く足場が設置されていた現場(4,892現場)の約31%において、安全衛生部長通達で示した「手すり先行工法」が採用されている(図-8(PDF:163KB))。

発注者別で見ると、「国」発注の工事では約66%、「民間」発注の工事では約17%となっている(図-8(PDF:163KB))。

工事種類別では、「土木工事」が約46%と最も高くなっており、「木建工事(低層住宅工事)」が約13%ともっとも低くなっている(図-10(PDF:163KB))。

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(2)手すり先行工法の採用状況について

イ わく組足場について

対象現場のうち、「手すり先行工法」が主として適用される「わく組足場」が設置されていた現場(3,289現場)の約41%において、安全衛生部長通達で示した「手すり先行工法」が採用されている(図-9(PDF:163KB))。

発注者別で見ると、「国」発注の工事では約86%、「民間」発注の工事では約20%となっている(図-9(PDF:163KB))。

工事種類別では、「土木工事」が約67%と最も高くなっており、「木建工事(低層住宅工事)」が約29%ともっとも低くなっている(図-11(PDF:163KB))。

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(3)足場の点検の実施状況について

ア 作業開始前の点検について

対象現場(5,056現場)の約81%(「一部未実施」も含めると約87%)において、省令に基づく「作業開始前点検」が実施されている(図-12(PDF:189KB))。

点検の実施者について見ると、全体の約77%が安全衛生部長通達で示した「職長等」によって実施されている(図-13(PDF:189KB))。

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(3)足場の点検の実施状況について

イ 足場の組立・解体後の点検について

対象現場(5,056現場)の約86%(「一部未実施」も含めると約90%)において、省令に基づく「組立・解体後の点検」が実施されている(図-14(PDF:189KB))。

点検の実施者について見ると、全体の約51%が安全衛生部長通達で示した「教育を受けた作業主任者等」によって実施されている。なお、「第三者」による実施は約1.6%となっている(図-15(PDF:189KB))。

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(3)足場の点検の実施状況について

イ 足場の組立・解体後の点検について

点検時における「チェックリスト」の活用状況について見ると、全体の約57%において安全衛生部長通達で示した「チェックリスト」を活用している(図-16(PDF:189KB))。

点検結果の記録・保存の状況について見ると、全体の約79%において省令に基づく記録・保存が実施されており、約53%については部長通達で示した「チェックリスト」が記録・保存に当たっても活用されている(図―17(PDF:189KB))。

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(4)足場からの墜落・転落災害の発生状況について

ア 労働災害の発生状況

対象現場(5,056現場)における足場からの墜落・転落による労働災害(休業4日以上)の発生状況について見ると、全体で69人(うち、死亡3人)となっており、その内訳は、「通常作業時」が52人(うち、死亡2人)、「組立・解体時」が17人(うち、死亡1人)となっている(表-1(PDF:76KB))。

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イ 一人親方による災害の発生状況

また、今回の調査において把握することができた「一人親方」による足場からの墜落・転落による災害(休業4日以上)については、全体で4人となっており、その内訳は、「通常作業時」が3人、「組立・解体時」が1人となっている。なお、死亡災害は発生していない(表-2(PDF:76KB))。

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4 今後の対応について

本調査の結果、改正労働安全衛生規則や安全衛生部長通達に基づく足場からの墜落防止措置の普及が着実に進んでいることが明らかになったが、「改正労働安全衛生規則に基づく墜落防止措置」や「足場の点検の実施」、「点検結果の記録・保存」などの省令に基づく措置が一部の現場において不十分なものが見られたため、これらの措置の徹底を図るとともに、安全衛生部長通達に基づく「より安全な措置」の更なる普及に努めることとする。

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5.軽仮設リース業協会の使命

災害撲滅へ向けて、安全措置機材の100%普及を目指し、営業展開を強化する事が最も重要である。

ご清聴有難うございました

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