自治体にとって有益な「レセプトデータを活用した 医療資源...

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自治体にとって有益な「レセプトデータを活用した医療資源の分析事例」について

(自治医科大学医療学センター地域医療データバンク事業の活用事例)

自治医科大学地域医療学センター地域医療情報学部門 藍原 雅一

資料3-5

1

自治医科大学とは

• 自治医科大学は、医療に恵まれないへき地等における医療の確保向上及び地域住民の福祉の増進を図るため、昭和47年に設立されました。

• 医の倫理に徹し、かつ、高度な臨床的実力を有する医師を養成することを目的とし、併せて医学の進歩と、地域住民の福祉の向上を図ることを使命としています。

• このような目的を有する自治医科大学は、地域医療に責任を持つ全国の都道府県が共同して設立した学校法人によって運営されております。

2

組 織

地域医療学センター

地域医療学部門

公衆衛生学部門

地域医療政策学部門

東洋医学部門

地域医療人材育成部門

総合診療部門

地域医療再生プロジェクト部門

地域医療支援部門

地域医療情報学部門

集積された地域医療情報の統合と医療分野への革新的有効利用を通じて、地域医療の詳細な現状分析を地図情報化し、行政等に提供を行い、地域医療計画、住民の受療動向把握、医療機関の機能分化、地域医療連携等の推進の実現を目指します。

3

地域医療の現状の問題点と課題

医師不足 → 適正配置されていない

診療科の偏在 → 総合医の必要性

人口の減 → 医療資源の有効活用

保健と医療 → 連携されていない

改善のためには地域医療の分析が必要

地域情報の集積・分析のポイント・効率を前提とした提供体制の再構築

・行政目線から住民目線へ変更しでの解析

現状の分析がされていない!

4

期待効果

市町村の詳細な実態が把握できることにより住民の受療動向が把握でき、医療機関の機能分化、地域医療連携等が推進できる適正な地域医療体制づくりの支援を行うことができる保健・医療・介護の連携作りの支援を行うことができる医療費の効率化政策の支援を行うことができる

自治医科大学の設立目的医療に恵まれないへき地等における医療の確保向上及び地域住民の福祉の増進を図る地域医療政策の実質的な支援を行うことができる

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地域医療データバンク事業(概要)

患者受療数町丁字別、性・年齢階層別、疾病分類別

患者移動距離医療機関別、診療科別、疾病分類別

患者治療分析

患者需要

現在の状況 将来推計

医療サービス供給

医師1人当たりの医療サービス供給量施設別、診療科別、市町村町丁字別

GIS(地理情報システム)を活用した地域医療資源の有効活用分析

「医師数・病院数・病床数・生命寿命・受療動向・患者受療率・患者移動距離・医療機関機能分析等から」

医師の適正配置分析の基礎資料診療科の偏在分析の基礎資料診療圏分析(受療圏)の基礎資料医療機関の効率的配置の基礎資料

医療機関の経営状況医業収支、経常利益繰入金・補助金

地域医療の効率化

市町村の財政状況

行政支援

地域の現状解析

公的病院の現状解析(再生計画)

地域医療計画策定のための現状解析

情報提供

情報集約

情報集約

情報集約

6

他の研究との違い

先行研究で、DPCデータを集約して医療機関分析等がされているが、広域から患者を集約している専門病院について解析している研究である

将来、患者住所を取得して地域を解析すべく検討されているが、あくまでもDPC参加病院を解析するものであり、地域医療の現状分析にはならない

また、医療機関の地域の実態・環境状況は反映されていないため、地域医療解析には不向き⇒地域医療計画等には使用できない

本研究では、地域住民を主体とした地域医療の実現のため、

地域における医療のニーズ状況から効率的な医療を提供するための定量的解析を行い、必要な医療提供量を算出し、地域医療の詳細な現状分析を地図情報化(GIS)し、行政等に提供を行う地域(生活自立圏)の実態を反映した地域医療計画、地域医療再生基金の策定をするための支援及び住民の受療動向把握、医療機関の機能分化、地域医療連携等の推進の実現を目指している⇒患者の受領域から効率的な医療配置を考えられる(医療提供体制)

専門医療機関のための研究

地域医療のための研究

7

定量情報(定量データ)の活用

数値によって計測、集計、分析が可能な情報(データ)思いつきや、感情、推測は定量情報の構成部分とはならないこの解析手法は生データの処理と加工が重要

定量情報(定量データ)

定量情報は数値化された情報集計・分析作業が容易事業的な判断、マーケティング的な判断に活用

・ レセプトデータ(請求レセプト査定前)エリア別(患者住所地別)、医療機関別、疾患別

・ 住民の基本的な属性情報(町丁字別、年齢階層別、性別、住民数外国人登録済を含む)性別、年齢階層、エリア(住所地別)、業種、職業など

・ 医療機関の基本的な属性情報(地方厚生局医療機関台帳)・ 救急搬送情報(消防搬送記録)・ 市町村財政状況・ 地図情報(GIS)

地域医療データバンクで集約される情報

8

定量データの収集(レセプトの住所地等)

• 現在のレセプトの仕様では、患者の居住地に関する情報の記録がないため、レセプトから住所地の特定ができない

⇒ レセプト情報から取得できる住所情報

国保→保険者(市区町村)社保→患者住所地が特定できない

• 厚生労働省が集約しているレセプトデータは、審査後のデータが集約

(医療の質・プロセス・医療経済指標の作成に有効・面から面への分析)

⇒ 地域の実態を把握するためには、各医療機関の請求レセプト(審査前)

及び医療機関の経営指標等から地域医療の実態把握が必要

地域医療解析には受療患者の住所地及び審査前データが必須(点から点への解析)

→ 地域医療データバンク事業では各医療機関から請求時レセプト及び患者住所を入手

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レセプト情報等の活用による医療の効率化連携事業

自治医科大学地域医療学センター

地域医療データバンク

地域医療支援システム

Web Server

厚生労働省

レセプト共通データベース

都道府県・市町村等

国保連合会レセプトデータ

クラウドシステム

ASP Server電子カルテ

在宅支援システム独居老人:440万人

電子PDAPersonal Digital Assistant

院内でもPDAによる入力が可能

診療情報・投薬情報病歴・検査・画像

住民基本台帳データ

救急搬送データ

医療機関

レセプトデータ

連携

導入されていない医療機関の支援

介護への連携

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場所情報コード利活用による医療の効率化事業

Web Server 地域医療データバンク

ASP Server電子カルテ

救急医療情報システム 在宅支援システム

GPS衛星GPS 対応携帯

屋内GPS衛星(IMES)GPS IMS対応携帯

無線LAN

QRコードGPS カメラ 対応携帯

複数位置検出方式

緯度・経度

場所情報コード

緯度・経度・高さ

相対座標

Web GIS Server

位置情報システム

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○○医療情報支援センター(仮称)

○○広域医療データバンク(仮称)

○○地域医療支援システム(仮称)

診療情報・臨床評価情報の収集・分析

診療情報・臨床評価情報の共有体制の構築

○○県地域医療再生計画(広域医療連携体制)

自治医科大学地域医療学センター

地域医療データバンク

地域医療支援システム

全国データの収集・分析

連携

○○県内医療機関

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○○県広域医療支援センターの役割

• 医療機関の機能を考慮した再配置– 3次医療機関の機能区分により2次医療体制・1次医療体制を再構築

• 医師の効率的配置• 人口規模に合わせた医療提供体制の構築• 診療機能の適正化• プレ・ホスピタル体制の充実

医療資源の有効活用

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○○広域医療データバンク(仮称)

○○広域医療データバンク

県内医療機関レセプトデータ

救急搬送データ

市町村住民データ

市町村検診データ

市町村介護保険データ

医療機関登録情報

地図(道路)情報

医薬品情報

検査情報

レセプトデータ

地域医療データバンク

連携

自治医科大学

データ解析

支援

地域医療学センター

○○県内医療機関

診療情報提供・情報共有・解析情報提供

マスタ情報

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○○地域医療支援システム(仮称)

○○地域医療支援システムASP

電子カルテシステム

地図(道路)情報

医薬品情報

検査情報

地域医療支援システム

連携

自治医科大学

ASP型 電子カルテシステム

地域医療学センター

○○県内医療機関

救急医療連携システム

クラウドシステム

在宅支援システム

電子PDAPersonal Digital Assistant

院内でもPDAによる入力が可能

緊急通報

電子化されていない医療機関の支援

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解析結果 参考例

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疾病分類別受療者数推計(群馬県入院)

(人)

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

7000

2005年度 2006 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050 2055 2060 2065 2070 2075

悪性新生物

高血圧性疾患

脳血管疾患

糖尿病

心疾患

(人)悪性新生物は2025年にピークを迎え患者数は減少していく。生活習慣病関連は2035年にピークを迎え減少していく。

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将来推計受療患者数数年齢区分別疾病別 (群馬県桐生市入院)

社会保険表章用疾病分類表(119分類)

55~59歳統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害

50~54歳統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害

85歳~脳梗塞

80~84歳脳梗塞

85歳~肺炎

85歳~骨折

85歳~その他の心疾患

85歳~高血圧性疾患

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

2005年 2010年 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年

寝たきり老人の急増原因

(人)

18

施設別将来推計患者数(モデル病院)

19

各市町村の受療動向(入院)

医療圏がオーバーラップしている

20

医療機関から5kmでカバーされる地域(栃木県)

21

医療機関から5kmでカバーされる地域(栃木県)

22

決定点数の平均差(市民病院)

‐900000 ‐800000 ‐700000 ‐600000 ‐500000 ‐400000 ‐300000 ‐200000 ‐100000 0

その他の肝疾患

前立腺肥大(症)

その他の眼及び付属器の疾患

椎間板障害

ウイルス肝炎

肝硬変(アルコール性のものを除く)

皮膚炎及び湿疹

その他の脳血管疾患

糸球体疾患及び腎尿細管間質性疾患

気管、気管支及び肺の悪性新生物

胃の悪性新生物

肝及び肝内胆管の悪性新生物

脳内出血

真 菌 症

糖尿病

その他の心疾患

良性新生物及びその他の新生物

虚血性心疾患

肺炎

その他の悪性新生物

0 500000 1000000 1500000 2000000

その他の循環器系の疾患

貧血

その他の消化器系の疾患

高血圧性疾患

骨折

関節症

胃潰瘍及び十二指腸潰瘍

パーキンソン病

胃炎及び十二指腸炎

症状、徴候及び異常臨床所見・異…

その他の妊娠、分娩及び産じょく

その他の損傷及びその他の外因…

その他の神経系の疾患

直腸S状結腸移行部及び直腸の悪…

知的障害〈精神遅滞〉

脊椎障害(脊椎症を含む)

気分[感情]障害(躁うつ病を含む)

その他の呼吸器系の疾患

炎症性多発性関節障害

脳性麻痺及びその他の麻痺性症…

疾病別診療報酬点数平均(自施設平均-県平均)×受療患者数

データ提供した翌月には改善策が組まれる

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入院患者距離計算(神経内科)

24

入院患者(神経内科) 点密度(Point Density)

連携している医療機関周辺患者が多い例

25

入院患者(神経内科)病院までの時間

入院患者の来院時間

平均 19.21分 (車で移動)

最小 2.38分最大 96.72分

26

入院患者距離計算(産婦人科)

27

入院患者(産婦人科) 点密度(Point Density)

28

入院患者(産婦人科)病院までの時間

入院患者の来院時間

平均 25.13分 (車で移動)

最小 3.49分最大 75.35分

29

医療機関入院患者動向

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地域医療解析での問題点

• 地方分権が進むことにより

地域の特性を生かした教育・医療が必要

⇒ 地域の財政状況を考えなければならない

市町村単位ではなく、町丁字単位の詳細地域での解析が必要

都道府県が主体となって解析できる環境を作らなければならない

• 国民健康保険団体連合会

保険者は市区町村であることから連合会内で自由に解析はできない

被保険者データは、審査業務が終わると市町村に戻している

そのため、解析できるデータが手元になく、電算システムの運用は

ほとんどの国保が外部に委託されている

県がデータ提供を求めても、データ抽出等で費用請求される

後期高齢者医療広域連合と連携していない

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