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循環器系(解剖)教科書

PTOT 19~42ページ

EMT 45~47ページ、

67~78ページ

武村啓住

循環器(脈管)系

血管系(血液の還流)

→動脈

→毛細血管

→静脈

リンパ系(リンパの還流)

→組織間液

→リンパ管

→静脈

血液

• 成人の血液量は体重の約1/13(8%)に相当する。

• 男性で5~6リットル

• 女性4~5リットル

• 酸素、栄養素、ホルモンなどを搬送し、二酸化炭素、代謝産物などを運び去る。

動脈と静脈

• 血管壁の構成:内膜、中膜、外膜の3層

• 内膜:内腔に面する上皮は単層扁平上皮で内皮とも呼ばれる。

• 中膜:輪走する平滑筋と線維からなる。

• 外膜:血管壁の外層をなし結合組織からできている。

• 静脈は動脈に比べて一般に壁の厚さが薄い。

動脈血と静脈血

動脈には酸素の多い血液(動脈血)

静脈には酸素の少ない血液(静脈血)

例外

肺動脈⇒静脈血

肺静脈⇒動脈血

臍動脈⇒静脈血(胎児)

臍静脈⇒動脈血(胎児)

毛細血管

• 小動脈と小静脈を連結

• 平滑筋はない

• 内径10μm(赤血球7.5μm)

• 透過性に富む内皮と基底膜からなる

• ガス成分、低分子の栄養分は通過できる

• 血球や血漿タンパクは通過できない

血管の構造

静脈還流3つのポンプ

1. 心臓吸引ポンプ:心臓による血液の吸引 (=心臓の吸引作用)

2. 筋肉ポンプ:下肢の静脈壁を膨らませて溜まり込んだ血管は、周囲の骨格筋が収縮すると絞り出され、弁の働きによって心臓方向のみ流れる。

3. 呼吸ポンプ:胸膜腔は吸気時には大きく陰圧となり、下大静脈の内腔を拡張させる。腹部では横隔膜の下行および腹壁の張力により腹腔内圧が上昇し、下大静脈が圧迫される。下肢への血流は弁によって遮られるため静脈血は腹腔から胸腔に押し出される。呼気時には横隔膜が弛緩して胸膜腔が大気圧に近づく。腹腔の内圧は下がり、下肢からの血流が増加する。

筋肉ポンプ

呼吸ポンプ

主要な動脈

浅側頭動脈

総頸動脈

鎖骨下動脈

大動脈弓

肺動脈

腋窩動脈

肋間動脈

上腕動脈

腹腔動脈

腹大動脈

上・下腸間膜動脈

総腸骨動脈

外・内腸骨動脈

橈骨動脈

尺骨動脈

大腿動脈

膝窩動脈

後脛骨動脈

前脛骨動脈

腓骨動脈

足背動脈

脈を触れる部位

触れやすい動脈

部位

浅側頭動脈 耳介前部(コメカミ)

顔面動脈 下顎下縁、咬筋内側

総頸動脈 頚動脈三角

腋窩動脈 腋窩(上腕外転位)

上腕動脈 ほぼ全長

橈骨動脈 橈骨手根屈筋

尺骨動脈 豆状骨の橈側近位

大腿動脈 大腿三角

膝窩動脈 膝窩(膝屈曲位)

足背動脈 長母指、長指伸筋腱間

後脛骨動脈 内果の後下方約2cm

吻合(ふんごう)

• 毛細血管を経ずに血管と血管がつながるものを吻合という。

• 動脈と静脈の間に存在する吻合を動静脈吻合という。

心臓の位置

第2肋間

第5肋間

重量:200~300g

容積:500~1000ml

心臓の解剖

心尖

心臓の区分(右)

右心房

上・下大静脈

右心耳(櫛状筋)

卵円窩(卵円孔のなごり)

右心室

三尖弁、乳頭筋、腱索

膜性部(中隔欠損を起こしやすい)

肺動脈弁(半月弁)

しつ

心臓の区分(左)

左心房

肺静脈(4本)

左心耳(右心耳より小)

中隔鎌(卵円孔弁の痕跡)

左心室

左房室弁、乳頭筋、腱索

大動脈弁(半月弁)

血液の流れ上・下大静脈→右心房→右房室弁(三尖弁)→右心室→肺動脈弁(半月弁)→肺動脈→肺→肺静脈→左心房→左房室弁(僧帽弁)→左心室→大動脈弁(半月弁)→大動脈

心臓の弁

・房室弁

左房室弁

(僧帽弁、二尖弁)

右房室弁

(三尖弁)

・動脈弁

肺動脈弁、大動脈弁

3枚の半月弁

心臓壁心内膜

単層扁平上皮

ヒダ→弁

心筋層

厚さ 心房<心室

線維輪

刺激伝導系→特殊心筋線維

一般の心筋固有心筋

心外膜

臓側心膜:漿膜性心膜

心膜外層(壁側心膜)

線維性心膜(心嚢)

内層(臓側心膜)

漿膜性心膜(心外膜)

心膜腔

漿液(心膜液)

・・・拍動の摩擦を軽減

刺激伝導系 洞(房)結節の自発性興奮

心房筋を刺激

房室結節(田原結節)

His(ヒス)束(房室束)

右脚、左脚

プルキンエ線維(速い)

心室筋や乳頭筋

心筋細胞

心臓に分布する血管

肺循環と体循環

肺循環(小循環)

右心室⇒肺動脈幹⇒左右肺動脈⇒肺の毛細血管⇒肺静脈⇒左心房

体循環(大循環)

左心室⇒身体の毛細血管⇒上下大静脈⇒右心房

動脈系

動脈の圧受容器と化学受容器

頭部・頚部の主要な動脈と静脈

脳動脈の解剖

脳は4本の大きな動脈によって給血されている。2本の内頚動脈(前方循環用)と2本の椎骨動脈(後方循環用)である。

脳動脈の解剖

内頚動脈 ⇒前大脳動脈・中大脳動脈、途中で眼動脈①海綿動脈洞を通り抜け、蝶形骨前床突起の内側で脳硬膜を貫いた直後に頭蓋内での最初の枝である眼動脈を出す。

②クモ膜下腔で、さらに内頚動脈は後交通動脈と前脈絡叢動脈を出す。その後の内頚動脈は2本の太い終枝すなわち前大脳動脈と中大脳動脈とに分かれる。前大脳動脈は大脳半球の内側面、後大脳動脈は外側面を栄養する。

*外頚動脈⇒頭皮・頭蓋骨・硬膜を栄養する。

椎骨動脈 ⇒脳底動脈⇒後大脳動脈、途中で前・後下小脳動脈①両側の鎖骨下動脈から出て、大孔を通って頭蓋腔へ入り、延髄の上縁で合わさって1つの脳底動脈となる。この動脈は橋の腹側面を上行し、その上縁で2本の後大脳動脈に分かれる。

②椎骨動脈は後下小脳動脈を出し、小脳の下面と第四脳室の脈絡叢に給血している。

③脳底動脈からは前下小脳動脈が出て、同様に小脳の下面ならびに延髄と橋の外側部に分布している。

脳動脈(ウィリス動脈輪)(PO27,E47ページ)

門脈系

胃、腸、膵臓、

脾臓などの消

化器系からの

静脈血を集め

て肝臓に運ぶ

静脈である

胎生期の血液循環

成人にはないもの

・動脈管(ボタロー管)

・静脈管(アランチウス管)

・卵円孔

・臍動脈

・臍静脈

リンパ系

リンパ系の圧力は蠕動、骨格筋の収縮によってもたらされ、リンパ管には静脈と同じく、逆流防止の半月弁がある。

リンパ系の役割

・組織から余剰になった液を取り除く

・消化吸収された脂質を循環系まで運ぶ

・免疫担当細胞(リンパ球、単球、抗体を産

生する形質細胞)の産生

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