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第四次産業革命に向けたリスクマネー供給に関する研究会
プライベートエクイティの更なる活用に向けて
2017年10月25日
プライベート・エクイティとは?
2
プライベート・エクイティ(”PE”)
未公開投資
グローバルAUM1
投資家からの資金
(主として機関投資家)
バイアウト(狭義のPE)
成熟~成長企業への投資
グロース・キャピタル
成長企業への投資
ベンチャー・キャピタル
スタートアップ企業への投資
$1,474bn
$315bn
$524bn
プライベート・エクイティ・ファンドの類型
出所: Thomson Reuters、Preqin、McKinsey Global Private Markets Review、BCG “Capitalizing on the New Golden Age in Private Equity”1. 2016年12月末時点2. バイアウトファンドの他、セカンダリーファンド、ファンド・オブ・ファンズ、グロース/ベンチャー・ファンドを含む
グローバルの運用総額は過去最高の2.5兆ドル、ドライパウダー(投資可能資金)は9,000億ドルに達する
グローバル・プライベート・エクイティ2
企業数と運用総額
1.6 1.8
2.1 2.3
2.5 2.7
3.0
3.3 3.6
3.7 3.9 4.0 4.1
4.3 4.4 4.6
4.7
0.6 0.6 0.6 0.7 0.7
0.9
1.2
1.5 1.4 1.6
1.7 1.8
1.9
2.2 2.2 2.4
2.5
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
3.5
4.0
4.5
5.0
万
企業数 運用総額
(千社) (兆ドル)
プライベート・エクイティ活用のサイクル
3
プライベート・エクイティは、経済における重要な役割を果たすに至っている
PE活用のサイクル
投資家(資金の出し手)
プライベート・エクイティ
(資金の担い手)
企業(資金の投資先)
1
2
3 資金運用
リスクマネー提供
企業活性化によるリターン
プライベート・エクイティ活用のサイクル資金運用
4
公的年金基金等の機関投資家が中心。上位100LPs(リミテッド・パートナー)が総額約8,000億ドルをコミット
出所: Preqin
1
地域別内訳タイプ別内訳
プライベート・エクイティ投資額上位100LPs(リミテッド・パートナー)の集計結果
公的年金基金43%
アセット
マネージャー13%
保険会社13%
ソブリン・
ウェルス・
ファンド7%
寄付基金5%
民間
年金基金5%
銀行3%
財団3%
その他8%
5,230
990 590 490
220 200 100 90
67
15
5 2
2 4 3 2
0
10
20
30
40
50
60
70
80
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
プライベート・エクイティへのアロケーション総額
リミテッド・パートナーの数
(億ドル) (数)
上位100LPsに国内投資家は含まれない
プライベート・エクイティ活用のサイクルリスクマネーの提供
5
プライベート・エクイティは、年間3,000億ドル以上の投資を実行
グローバル・プライベート・エクイティ年間投資額及び投資件数
• グローバルM&A取引総額は2016年に3.7兆ドル
• M&A全体のうち、プライベート・エクイティ関連の投資額は10%弱を占め、2016年の取引総額は3,188億ドル
1,228 884
1,354 1,707
2,984 3,285
7,158 7,484
2,204
1,425
2,386 2,302 2,174
2,749 2,881 3,320 3,188
1,695 1,440 1,505
1,702
2,191
2,565
3,146 3,413
2,763
1,914 2,149 2,210
2,388 2,163 2,198
1,907
1,536
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
7,000
8,000
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
投資額 投資件数
(億ドル) (件)
出所: Preqin、EY “2017 Global PE Watch”
1
プライベート・エクイティ活用のサイクル企業の活性化
6
プライベート・エクイティの社会的影響力は高まっている
• 米国のプライベート・エクイティ企業上位5社の投資先における従業員数の合計は百万人近くにのぼり、Walmartに次ぎ2位の規模となっている。同様に、ヨーロッパ、アジアにおいても高いプレゼンスを有する
• プライベート・エクイティの社会的影響力が増す中、一部のGPはESG(Environment, Social andGovernance)を考慮した責任ある運用にシフトしつつある
プライベート・エクイティ企業の投資先従業員数
出所: Fortune Global 500、Pitch Book Data、BCG “Capitalizing on the New Golden Age in Private Equity”
米国 欧州 アジア・パシフィック
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
Ch
ina
Nat
ion
al P
etr
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Ho
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ai P
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Ch
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Top
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(千人)
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
Top
fiv
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E fi
rms
Vo
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Gro
up
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pro
m
De
uts
che
Po
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Jard
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son
(千人)
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
Wal
mar
t
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rms
US
Po
stal
Se
rvic
e
Kro
ger
McD
on
ald
's
IBM
(千人)
プライベート・エクイティ企業上位5社投資先における従業員数:
960,231人
プライベート・エクイティ企業上位5社投資先における従業員数:
911,896人
プライベート・エクイティ企業上位5社投資先における従業員数:
878,475人
2
プライベート・エクイティ活用のサイクル企業の活性化によるリターンの実現
7
プライベート・エクイティは公開株式を超えるリターンを継続的に達成しており、多くの機関投資家はプライベート・エクイティへの運用アロケーションを増やす意向を示している
プライベート・エクイティへの
運用アロケーションに関する意向2
プライベート・エクイティと公開株式のネット・リターン1比較
9% 8%
5% 6%
14% 14%12% 13%
24% 24%
30%
35%
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
35%
40%
3年 5年 10年 20年
MSCIワールド・インデックス
プライベート・エクイティ全体
上位25%のプライベート・エクイティ
出所: Cambridge Associates、Thomson Reuters、Preqin1. 信託報酬等の諸費用を引いた後の、投資家が受け取ることができるリターン(2016年9月末時点)2. Preqin投資家インタビュー(2011年12月から2016年12月)
27%33%
39% 36%
52% 48%
61% 48%
53%49%
43% 46%
12%19%
8%16%
6% 6%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
2011/12 2012/12 2013/12 2014/12 2015/12 2016/12
増やす 維持する 減らす
3
プライベート・エクイティ・ファンドが提供可能な付加価値
8
成長加速 事業再生海外展開 業界再編事業承継企業に固有な戦略課題の解決
企業に共通の経営基盤の強化
戦略の実現に向けたリソース獲得
永続性に資する事業戦略の策定
実行力を強化するモニタリング
リスク資本の提供 株主として改革を全面支援
①リスク資本の提供、②経営基盤の強化、③個別戦略課題の解決支援、といった重層的な価値を提供可能
A
B
C
D
国内バイアウト市場の現状
9
プライベート・エクイティの付加価値が徐々に浸透しつつある一方、欧米各国との比較において更なる普及の余地が存在
出所: Thomson Reuters1. Thomson Reuters(TR)におけるLBO案件の集計基準:“TR considers an LBO if the investor group includes management or the transaction is
identified as such in the financial press and a majority interest of the company is acquired”
3.1%
4.9% 5.0%4.8%
日本 米国 ドイツ フランス
LBO1(バイアウト投資)がM&A全額に占める割合(2016年)
1,930
20,090
2,460 1,630
日本 米国 ドイツ フランス
M&A市場規模(億ドル、2016年)
1.21.6
1.9 1.8
2.7 2.9
2.0 2.11.6
2.0 2.2
3.5 3.4
5.9
3.4
606 591674
599523
668
930 904833
693803
773 792 842 850
0
200
400
600
800
1,000
1,200
1,400
1,600
1,800
2,000
0
1
2
3
4
5
6
7
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
金額(兆円) 案件数(件)
スピンオフ型バイアウトの可能性
10
• 2015年に策定されたコーポレート・ガバナンス・コードへの対応として、多くの企業がROEを重視する姿勢を見せている
• 社外取締役の影響力が高まっている
• 国内大手優良企業が従前よりアグレッシブな経営スタイルにシフト
– リストラ目的だけでなく、競争力強化のために積極的に事業売却を行うケースも出てきている
スピンオフ案件の推移(案件数、金額)
大手コングロマリット企業の一部は事業の売却に着手
出所: Thomson Reuters
(ご参考) 日立製作所におけるコーポレート・ガバナンス強化、事業の選択と集中
11
10年前と現在の比較
社外取締役
比率1 69%38%
外国人社外取締役比率%1
38%0%
EBITDA
マージン2 10.5%7.9%
日付 子会社売上(億円)3
2015 261
2016 6,804
2016 3,653
2017 1,416
2017 1,562
20174 1,807
上場子会社におけるPEファンド活用とグループ内再編
PEファンドの活用事例
出所: 日立製作所開示資料、SPEEDA、ニュース記事1. 2007年6月26日時点(10年前)及び2017年6月21日時点(現在)のデータ2. 2007年3月期(10年前)及び2017年6月末直近12か月(現在)のデータ3. センクシアは2014年度売上。その他は2015年度売上4. 2017年4月に公表
過去10年でコーポレート・ガバナンスの体制を大幅に強化。事業領域の選択と集中を目的とし、グループ上場子会社の整理を実施
事業承継型バイアウトの可能性
12
社長の平均年齢は一貫して上昇しており、事業承継型バイアウト案件も引き続きニーズが高いものと見込まれる
社長の平均年齢
54.0
59.3
50
51
52
53
54
55
56
57
58
59
60
90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16
出所: 帝国データ(2017年1月31日時点)
潜在的な事業承継ニーズの存在
上位年金基金の運用残高(2016年末) GPIF/CalPERSの名目運用利回り
世界最大の公的年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、オルタナティブ投資(プライベート・エクイティ、不動産、インフラストラクチャー等への投資)を資産全体の5%を上限に増やすご意向(約7兆円相当)である一方、米国公的年金は既に資産の2割近くをオルタナティブ投資に
(億ドル)
12,376
8,931
4,856
4,622
4,043
3,487
3,066
- 5,000 10,000 15,000
GPIF
GPFG
TSP
NPS
ABP
NSSF
CalPERS
オルタナティブ投資1,2 うち、PE投資1
0.07% 19.1%
5.0%(上限)
直近
目標 20.0%
GPIF CalPERS
N/A 8.9%
N/A 8.0%
GPIF CalPERS
出所: Willis Towers Watson、GPIF、CalPERS1. GPIFは2016年12月末時点実績・上限。CalPERSは2016年6月末時点実績及び2016年10月1日時点目標(Interim Strategic Target)2. CalPERSについては、プライベートエクイティ、不動産、インフラストラクチャーへの投資の合計を表示
投資家からの高い期待リターン及び健全な牽制
13
13.2%18.4%
2.4%
0.6%
11.2%
10.2% 8.6%
12.3%
-3.8%
5.8%
-10.0%
0.0%
10.0%
20.0%
2013 2014 2015 2016 2017
CalPERS GPIF
CalPERS (2016/12/21プレスリリース)
“The California Public Employees' Retirement System (CalPERS) Board of Administration today voted to lower the discount rate from 7.5 percent to 7.0 percent over the next three years. … The discount rate changes approved by the Board for the next three Fiscal Years (FY) are as follows:FY 2017-2018: 7.375%FY 2018-2019: 7.25%FY 2019-2020: 7.00%”
GPIF ホームページ(基本ポートフォリオの考え方)
平成26年10月31日、第2期中期目標が変更され、「年金積立金の運用は、厚生年金保険
法第2条の4第1項及び国民年金法第4条の3第1項に規定する財政の現況及び見通しを踏まえ、保険給付に必要な流動性を確保しつつ、長期的に積立金の実質的な運用利回り(積立金の運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いたものをいう。)1.7%を最低限
のリスクで確保することを目標とし、この運用利回りを確保するよう、積立金の管理及び運用における長期的な観点からの資産構成割合(基本ポートフォリオ)を定め、これに基づき管理を行うこと。」とされました。
3. GPIFについては、3月に終了する年度の資産運用法人の名目運用利回り(運用手数料等控除後)を示す。CalPERSについては、6月に終了する年度の名目運用利回り(運用手数料等控除後)を示す
アセット・アロケーション
PE活用のサイクル
投資家(資金の出し手)
プライベート・エクイティ
(資金の担い手)
企業(資金の投資先)
1
2
3 資金運用
リスクマネー提供
企業活性化によるリターン
プライベート・エクイティの更なる活用に向けて
14
• 企業価値創出力の更なる向上
• GP(資金の
担い手)の育成
• 社会的認知の獲得
• 限定的な投資機会の解消
• 企業に対する適切なガバナンスの提供
• 機関投資家からの目線向上
• 経営者人材の底上げ・流動化
• 機関投資家からの高い期待リターン及び健全な牽制
特に足元投資家からの旺盛な資金運用ニーズが見込まれる中、企業及びPE間で双方にとって意義を持つ企業の流動化が進展することにより、ますますPE活用のサイクルが拡大・発展していくものと思料
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