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プロジェクトマネジメント 国際標準化フォーラム

2012-11-28

日本規格協会理事長(元ISO会長)田中 正躬

プロジェクトマネジメントの 国際標準の将来

目次 1.PMのISO標準の現状 2.過去の発展した標準の例(ISO9000) 3.PMのISO標準の発展に関わる要素

標準のニーズ ISOの標準作りに影響するルール(CASCOルール) ISOに関わる標準ファミリーのメンタリティー

1.PMのISO標準の現状 2.過去の発展した標準の例(ISO9000) 3.PMのISO標準の発展に関わる要素

標準のニーズ ISOの標準作りに影響するルール(CASCOルール) ISOに関わる標準ファミリーのメンタリティー

各国のPM標準とISO

米国:PMBOK 英国:APMBOK、BS6079、PRINCE2 ドイツ:DIN69901 IPMA:ICB、等

2007 PMに関するPC236が設立 2012 ISO規格 21500発行 2011 ISOでTC258が発足

ISOにおける標準化

• TC176:ISO 10006(2003年) →品質マネジメントにおけるPM

• PC236:ISO 21500(2012年) →プロジェクトマネジメントの包括的手引 複雑さ、規模又は期間に関係なくあらゆる形態のプロジェクトに使用可能

• TC258:ISO 18126(開発中) →ポートフォリオマネジメント

PC 236の参加国

• 議長国:英国 • 幹事国:米国 • 参加国:Pメンバー37カ国

アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、バルバドス、ベラルーシ、ブラジル、カメルーン、カナダ、チリ、中国、コスタリカ、デンマーク、エジプト、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、インド、イスラエル、イタリア、日本、韓国、ルクセンブルク、メキシコ、モロッコ、ナイジェリア、ノルウェー、ポルトガル、ルーマニア、ロシア、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、ウクライナ、英国、米国

1.PMのISO標準の現状 2.過去の発展した標準の例(ISO9000) 3.PMのISO標準の発展に関わる要素

標準のニーズ ISOの標準作りに影響するルール(CASCOルール) ISOに関わる標準ファミリーのメンタリティー

1980年頃の各国の品質管理の規格とISO

米国:ANSI/ASQC Z1-15(1979年) 英国:BS5750(1979年) フランス:NF X50-110 ドイツ:DIN 55-35 カナダ:CSA Z299 日本はTQM等 1980年:TC176が設立 1986年:ISO9000シリーズ 発行

ISO9000ファミリー規格

• ISO9000、ISO9001、ISO9004、ISO10001、ISO10002、ISO10003、ISO10004、ISO10005、ISO10006、ISO10007、ISO10008、ISO10012、ISO10013、ISO10014、ISO10015、ISO/TR10017、ISO10018、ISO10019、ISO19011、ISO/TS16949・・・等

ISOマネジメントシステム規格

• ISO14001(環境) • ISO20000-1(ITサービス) • ISO20121(イベント) • ISO22000(食品) • ISO22301(事業継続) • ISO27001(情報セキュリティ) • ISO31000(リスク) • ISO39001(道路交通安全) • ISO50001(エネルギー) • ISO55001(アセット)・・・等

ISOの世界での普及(QMS/EMS認証件数)

ISO survey of certifications (2003-2010)

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

400000

500000

600000

700000

800000

900000

1000000

1100000

1200000

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010

ISO9001 ISO14001

1.PMのISO標準の現状 2.過去の発展した標準の例(ISO9000) 3.PMのISO標準の発展に関わる要素

標準のニーズ (パッケジ型インフラの例) ISOの標準作りに影響するルール(CASCOルール) ISOに関わる標準ファミリーのメンタリティー

アジアのインフラ投資額(2010-2020) 新 規 更 新 合 計

電 力 3,176 912 4,088 通 信 325 730 1,055

携 帯 181 509 690 固 定 144 221 365

交 通 輸 送 1,762 704 2,466 空 港 7 5 12 港 湾 50 25 75 鉄 道 3 36 39 道 路 1,702 638 2,340

水・衛生 156 226 382 衛 生 108 120 228 水 道 48 106 154

合 計 5,419 2,573 7,992

単位:10億ドル

出所:アジア開発銀行2009の報告書 “Infrastructure for a Seamless Asia”

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パッケージ型インフラと標準の関係

コントロール部門

システム 設計

基本設計

詳細設計

調達・製造

検 査

梱包・輸送

研究部門

プロジェクト マネジメント

契 約 見積・積算

営 業

試運転 引渡し

操業・運転 メンテナンス

取替・再建

設計前コンサル ティング

研究・開発

建設・サービス・維持・管理部門

エンジニア

リング部門

営業部門

維持・管理 建設工事

標 準 図

プロジェクト運営要領

技術基準

標準仕様書

技術基準

工事仕様書

プロジェクト運営要領

ITシステム標準

事務標準

プロポーザル作成基準

技術基準 積算標準

事務標準

標準図

標準仕様書

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1.PMのISO標準の現状 2.過去の発展した標準の例(ISO9000) 3.PMのISO標準の発展に関わる要素

標準のニーズ ISOの標準作りに影響するルール(CASCOルール) ISOに関わる標準ファミリーのメンタリティー

PMの標準と適合性評価 •PMはエンジニアリング分野の標準と異なり、適合性評価が深い関わりあいを持つ •適合性評価の世界は、ISOのみならず多くの機

関が関わり、国際的な標準の様なものが出来上がっている •ISOではCASCOのツールボックスとして体系的にまとめられている •PMでは、PMI、ICB、APM等でプロジェクトマネジャーの“人の力量”に関する評価制度がある

国際的な適合性評価の仕組み •計量標準 国際度量衡局(BIPM) 国際法定計量機関(OIML) •認証 国際試験所認定協力機構(ILAC) 国際認定機関フォーラム(IAF) •オペレーター 国際認証機関ネットワーク(IQNET) 国際検査機関連盟(IFIA) 国際民間分析試験所連合(UILI) •国際取引 世界貿易機関(WTO) 国連欧州経済委員会(UN-ECE) •標準と適合性評価のルール 適合性評価委員会(ISO/CASCO) BIPM: Bureau International des Poids et Mesures OIML: International Organization of Legal Metrology ILAC: International Laboratory Accreditation Cooperation IAF: International Accreditation Forum IQNET:International Certification network

IFIA:The International Federation of Inspection Agencies UILI: The Union Internationale des Laboratoires Indépendants WTO:World Trade Organization ISO/CASCO:ISO Committee on Conformity Assessment

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ISO CASCO TOOL BOX

ISO/IEC 17000 用語と定義

ISO/IEC 17011 認定機関の要求事項

試験/校正 17025 試験所認定 17043 プロフィシエンシ テスト

検査機関 17020

認証機関

17021 マネジメントシステム

17024 人(要員)

17025 製品

ISO/IEC 17022 監査報告書

17050-1,-2

供 給 者 宣 言 (自己

適合宣言)

17040

同等性評価

Guide68

相互承認

※全てISO/IEC規格 ※出典:p23 ISO Focus+ Vol3, No.9, October 2012

• 認定 – 試験所、検査機関、認証機関が各々の業務を遂行する能力があること

を(つまり、国際基準に適合していることを)認める手続 – 認定機関の能力に関する国際基準は以下の通り

試験所、検査機関、認証機関の信頼性の担保

認定機関

検査機関 試験所 品質マネジメント システム認証機関

製品認証機関 環境マネジメント システム認証機関 (ISO/IEC17025) (ISO/IEC17020) (ISO/IEC17065)

(ISO/IEC17021)

認定 (ISO/IEC17011)

要員認証機関 (ISO/IEC17024)

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人の力量に関するISO/IEC 17024とは

ISO/IEC 17024:2003(要員の認証を実施する機関に対する一般要求事項)(JIS Q 17024)

• 制定の趣旨: – 様々な産業分野において必要とされる力量を持つと認められた要員

(各種技術者、技能者、審査員等)を認証する要員認証機関に対する要求事項

• 力量の評価 – 客観的基準に基づいた試験(examination)で力量を評価

• 組織構造 – 利害関係者に信頼を与える組織構造

• キーワード;業務能力、公平性、誠実性、独立性 – 公平性を確保するための運営機構をもつ – 認証スキーム委員会を設置し、認証スキームの開発維持に責任を負

う – 訓練(研修)提供の原則禁止

• 訓練を提供する場合、要員の評価・認証と無関係であること

1.PMのISO標準の現状 2.過去の発展した標準の例(ISO9000) 3.PMのISO標準の発展に関わる要素

標準のニーズ ISOの標準作りに影響するルール(CASCOルール) ISOに関わる標準ファミリーのメンタリティー

ISOのファミリーの文化 ヨーロッパとの係り

•ISOは、ジュネーブに本部を置き、設立時から、ヨーロッパの影響が強い •EUの域内統一と並行して設立されたEUの標準機関CENとウイーン協定を結ぶなど、制度としてEUと関わりあいが深い •規格の提案やTC/SCの事務局もEUの諸国が多くを占める

経済的な要素 標準機関(基本的には民間)が、電子化等で競争が激化、 規格の販売だけでは収入が不十分 認証ビジネスを、収入の支えにするようになった

23

コンセンサス規格

適合性評価のルール

19,023件の規格

TC数:224 SC数:513 WG数:2,516

163カ国の標準化団体(2011年12月現在)

中央事務局予算 :約 31億円 (37 mCHF) 事務局151人

(ISO:2011 ISO in figures)

ISOの幹事国引受数(2011年末) 130

117

70 69 67

45

0

20

40

60

80

100

120

140

ISO規格の増大と課題

近年の大幅な規格数の増大 毎年1,100以上の規格が発行 (2011年は、1,208規格を発行)

分野はエンジニアリング部門が中心であるが、社会的責任、地球環境問題、セキュリティー、サービス、エネルギー効率、再生エネルギー等世界的な課題に拡大しつつある。

6

0 2000 4000 6000 8000

10000 12000 14000 16000 18000 20000

1947 1957 1967 1977 1987 1997 2002 2005 2008 2010 2011

0 57 721

3443

6789

10959

13544

15649

17765 18536 19023

まとめ •PMのISO規格21500の発行に続き、技術委員会が設立され、将来の発展が期待される。 (ISO9000の場合を参照) •グローバリゼーションによりPMの国際標準が重要性を増している。 •ISO標準は、適合性評価のルールが影響力を持つ。 •ISOの標準作りはヨーロッパの影響が強く、最近は認証ビジネスを考える関係者が多い。

ご静聴ありがとうございました

標準に関する問い合わせは日本規格協会へ http://www.jsa.or.jp/ Tel 03-3583-8005

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