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誰のためのデザインまとめ

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「誰のためのデザイン?」

D.A. ノーマン

アメリカ合衆国の認知科学者、認知工学者。『誰のためのデザイン ? 』で人間中心設計のアプローチを提示し、ヒューマン・インターフェイスやユーザビリティに多大な貢献を果たした。

一言でまとめると機械のためでも、生産者側の自己満足でもない、

人間中心のデザインを!

当たり前じゃん・誰もが同意する(人に優しい + デザイン、経済、政治… etc )・現代の常識:人間中心主義+自由な市場 →抑圧や非人間的なものはよくない →神(の視点)は存在しない →何をなすべきかは当人が一番よく知っている(経済学) →自由意思に基づいた取引は常に正しい(貿易、比較優位) →自由な市場では、良いものは売れ、非人間的なものは淘汰される →人間的で、皆に愛される物を作ったほうがいいに決まってる

本当にそう?・我々には、物を扱っていて困難にぶちあたったり間違いを犯した時に自分のせいにする癖が身についていないか?

本当に思いあたるところは無かったのか?

そんなことも知らないの?

君にはまだ無理だったんだよ

本当にそう?

他人と過去は変えられないけど自分と未来は変えられる

刻苦勉励・謙虚さ 上昇志向

自分のせいにすることが美徳にすらなっていない?

本当にそう?・それに付け込んだ酷いプロダクトが世の中に溢れていないか?

無駄のないデザイン!

溢れ出す色彩!センス!

「人間」中心主義・「人間」ってそもそも何? →本能の壊れた動物(発情期がない) →経済的動物:現状で常に最善の選択肢をを選ぼうとする →社会的動物:権力構造をつくり、とらわれる →表現をする生き物、責任の主体… etc

認知心理学・コンピューターの台頭に影響を受け、それを人間の心理に応用した学問・情報処理機械としての人間に着目する →知覚・理解・記憶・思考・学習・推論・問題解決・人間の情報処理の作法にあわせて、人間の情報処理を適切にサポートし、望んだ出力を与えるのが「人間にやさしい」

情報処理機械としての人間・コンピューターに比べて 100万分の 1 の速度しかなく、10の 74乗倍間違いを犯すが、エネルギー効率が圧倒的に優れる →チェスの試合を行う場合コンピューターはエネルギーを 5万ワット消費するのに対し、人間はわずか1ワット・幼児の段階で高度なソフトウェアがインストールされている →因果関係の理解、物体の質の変化、有機物と無機物の区別

情報処理機械としての人間・超低コストで、間違いながらも、最終的に答えにたどり着く →この「間違い」の部分を正してやるのが、認知科学の観点からみた道具の役割 →人間+機械が最強(低コストで思考し、過ちを犯さず、最短で正解にたどり着く)

情報処理機械としての人間・未知の事態に対しては、意識して概念モデルを組み立て、フィードバクの解釈とフィードフォアードの実行を繰り返し、ゴールに近づこうとする・繰り返し行われる作業を記憶し、潜在意識レベルで実行できるようになり、熟達する

認知科学の失敗

・無力感の学習→あまりにも失敗しすぎると、無力感を学習し、撤退する→投入する資源に比べて、ゲインが少なすぎる、という合理的な判断→一度無力感を学習してしまったことを強制されるのは苦痛

「教育七五三」→小学校で3割、中学校で5割、高校で7割が授業についていけなくなる→一度踏み外すと、授業は苦痛以外の何物でもなくなる→能力というより偶発的なブランク(入院での長期休み、家庭の問題で授業に集中できない)で踏み外してしまう場合も多い

人間の認知の方向性

フィードフォワード

フィードバック

人間

外界

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人間の認知の3つの層①本能レベル →爬虫類脳。反射、怪不快。あらかじめ備わっている →デザインにおいては:調和のとれた色、音、不快感

人間の認知の3つの層

②行動レベル →パターン認識、学習の次元 →関わってくる感情は、希望、恐怖、不安、期待 →デザインにおいては:動作のイメージしやすさ、わかりやすさ、期待通りの動き

人間の認知の3つの層③内省レベル →推論、意思決定の次元。因果関係を考え熟慮、振り返り →デザインにおいては:エクスペリエンス(満足感、思い出、自尊心、賞賛)

認知の方向と層を合わせると

内省

行動

本能

フィードフォワード

フィードバック

人間の処理とエラー

内省

行動

本能

ミステーク:間違ったプランが形成されている

スリップ:間違った行為を行う。

意図した行為が行われない、もしくは結果が評価されない

それぞれの段階で人間はエラーに直面する可能性がある

7つの質問ユーザーが、常に、いつでも7つの質問に答えをだせるようになっていなければならない

内省

行動

本能

①何を達成したいか

⑦私はゴールを達成したのか?②代替となる行為系列は何か

④どうやってやるのか ⑤何が起こったのか

⑥それは何を意味するか③今、どの行為ができるのか

フィードフォワード

フィードバック

アフォーダンス自分のプロダクトがなにを与えているかすべて把握できている

か?

物を置く(デザイナーの想定)

隠れる(なるほど)

引っ掛ける(ふーん )

乗る(やめさせるべき)

スペース

硬さと空間

高さ

シグニファイアそこに、製作者がのぞむアフォーダンスをユーザーは知覚できているか?

右?左?押す?引く?

概念モデルとシステムイメージ

概念モデル→個人の中で形成される「そのプロダクトはどう動くのか」の説明

システムイメージ→見た目やマニュアル、広告、他のプロダクトとの類似など、概念モデルを形成するためのヒントとなるもの

ユーザーの中で正しい(=妥当な)概念モデルが構築されているか?

概念モデルとシステムイメージ

file-folderモデル

素朴理論→経験的に自然発生的にある個人の中で形成されている、一貫性や整合性のない強固な理論のこと

例:「 10kg の木材と 10g のパチンコ玉、水に沈むのはどっち?」

文化的な要素・東アジアでは時間は 閉じていくもの( 2015/7/2 )、ヨーロッパでは時間は 開けていくもの( 2/7/2015 )・ヘッドライトを二回光らせる →ヨーロッパ「先に行ってくれ」 →メキシコ「先に行かせてもらう」

例:「貿易赤字の拡大は良いか悪いか?」(カナダは建国以来ずっと貿易赤字)

フィードバックは適切か?結果を知覚&解釈できるよう示せているか?逆に、過剰で、ストレスを高めたりしていないか?

カチリ、という音通電しているか否か うざい

正しい対応付け

どちらのコンロのほうがわかりやすいか?

制約

物理的に正しい向きを制御視覚的な制約で進入を抑止

エラー

Redo は保証されているか?ユーザーは正しくそのエラーを認識できるか?

組織と市場機能病:なし崩しで機能を追加し、デザインの原則が崩れ、どんどん非人間的なものになっていく現象・リーダーは、デザイナーが他社との競争圧力や顧客からの要望から身を置き、正しい言葉で製品全体の一貫性について議論できる環境を用意しなければならない

1985年: 15個の部品で説明書なしに組み立てられた

2012年: 29個の部品で説明書なしでは無理

もちろん、それが全てではない・白黒とカラーの違い →生産性はあがった? →コストは適正? →必要な情報を効率的に伝えてくれてる? →それでも、白黒画面に戻れる?・「白黒からカラーの Apple 2 に買い換えた時、私の生産性は上がらなかったが、それでも、私は Apple 2 から離れることができなかった」・感動、ワクワク感、はまた別

アートについてアートとデザインの違いは?→標準的性質、可変的性質、反標準的性質 (K. Walton 「芸術のカテゴリー」 )

→ 非人間的なものや反常識的なものも取り入れて、人間の表現や認識の可能性を拡張していく

終わり

「ありきたりの本や有名な人がスピーチする際に繰り返し現れる決まり文句に、我々がなしていることについて考える習慣を養わなければならない、というものがあるが、全くの間違いである。真実はその正反対なのだ。その事をとを考えなくても遂行できる重要な操作を増やすことで文明は進歩する」

アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド