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NECネッツエスアイレポート 01 · 2019-11-06 · necネッツエスアイレポート2019 necネッツエスアイ株式会社 nec ネッツエスアイ innovation nec ネッツエスアイレポート

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NECネッツエスアイレポート2019NECネッツエスアイ株式会社

N E C ネッツエスアイ I N N O V A T I O N

NECネッツエスアイレポート2019

NECネッツエスアイ株式会社

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イントロダクション

02 Our Vision

03 Our Businesses

04 Our Competence

10 Our History

12 Our Connection to Daily Life

中長期的な成長戦略、業績トレンド

14 社長メッセージ

20 財務・非財務ハイライト

22 価値創造モデル

24 中期経営計画

イノベーション加速に向けたオフィス再編

29 財務・資本戦略

特集:共創の現場

C O N T E N T S重要課題・成長のための取り組み

36 マテリアリティ

38 人材・組織風土

41 ステークホルダーとの信頼関係

ガバナンス

43 会長メッセージ

44 コーポレート・ガバナンス

48 社外取締役が語るNECネッツエスアイ

52 取締役・監査役

54 主要財務データ(連結)

56 会社概要

57 株式情報

34 02 ビジネスパートナーとの事業創造NECネッツエスアイ

「共創ワーク」にイノベーション

32 01 お客さまの課題解決NECネッツエスアイ 丹波市

地域医療にイノベーション

NECネッツエスアイレポート2019

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NECネッツエスアイレポート2019NECネッツエスアイ株式会社

NECネッツエスアイ I N N O V AT I O N

NECネッツエスアイレポート2019

NECネッツエスアイ株式会社

編集方針NECネッツエスアイでは、2016年より統合報告書「NEC ネッツエスアイレポート」を発行しています。 統合報告書では、社会価値の創出・提供と中長期的な成長に向けた中期経営計画等の事業戦略や、そのための取り組み等の企業活動について幅広くご報告します。なお、2019年3月期版統合報告書では、「共創」、「イノベーション」をテーマに、自社のみならず、お客さまやパートナーとの共創によりイノベーションを起こし、社会に新しい価値を創出し続けていこうとする当社の取り組みを紹介しています。 皆さまに当社グループをより一層ご理解いただけるよう、投資家の皆さまをはじめとするステークホルダーと対話を重ね、いただいたご意見をもとに改善を繰り返しながら、価値の高い情報発信に努めています。ぜひご一読いただくとともに、ご意見をいただければ幸いです。 なお、業績や中期事業戦略については当社ホームページ「IR(株主・投資家情報)」において、サステナビリティに関する取り組みについては「CSR」において詳細をご紹介しています。

報告対象期間2018年4月1日~2019年3月31日(一部、対象期間後の情報も含みます)

報告対象範囲NECネッツエスアイ(株)および国内・海外連結子会社

参考にしたガイドライン 国際統合報告評議会(IIRC) 「国際統合報告フレームワーク」 Global Reporting Initiative(GRI) 「GRIスタンダード」 ISO26000(社会的責任に関する手引き)

発行年月2019年9月

問い合わせ先 株主・投資家情報(IR) https://www.nesic.co.jp/ir/index.html

 担当部門:経理部IRグループ

サステナビリティに関する情報 https://www.nesic.co.jp/csr/index.html

環境に関する情報 https://www.nesic.co.jp/csr/environment.html

 担当部門:CSRコミュニケーション部

免責事項本統合報告書に掲載されている当社グループに関する業績、財政状態その他経営全般に関する予想、見通し、目標、計画等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提にもとづいています。これらの判断および前提は、その性質上、主観的かつ不確実です。また、かかる将来に関する記述はその通りに実現するという保証はなく、実際の業績等はさまざまな要因により大きく異なる可能性があります。

記載されている会社名および製品名ロゴは各社の商標または登録商標です。

表紙についてお客さまやパートナーの皆さまと技術や強みを掛け合わせ、共創を加速していくことでイノベーションを生み続けていこう。表紙のデザインにはこのような当社の思いを込めています。

01NECネッツエスアイレポート2019

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O U R V I S I O N目指す姿

コーポレート・メッセージ

NECネッツエスアイグループ宣言私たちNECネッツエスアイグループは、世界中の人々が安心・安全で豊かな明日を過ごせるよう、

長年培ってきた確かな技術と信頼のサービスで海底から宇宙まで、つながる社会を支え、

より快適で便利なコミュニケーションをデザインし続けます。

「NECネッツエスアイグループ宣言」「コーポレート・メッセージ」は 従業員全員で議論し、策定しました。

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デジタルソリューション事業企業のネットワークやIT等、業務に必要なさまざまなICT(情報通信技術)のシステムやサービスを提供しています。特に、AI(人工知能)、IoT(Internet of Things)、 RPA(Robotic Process Automation)等の最先端のデジタル技術を活用して、場所や時間にとらわれない働き方、生産性向上・ビジネス変革につながる働き方を提案し、育児・介護と仕事の両立や働きがいといった社会課題に対応し、働き方の多様化・高度化を支えています。

ネットワークインフラ事業通信事業者のネットワークや、官庁・自治体、放送事業者、道路・鉄道事業者等の社会を支えるICTインフラ等、最新の技術と高信頼性が求められるネットワークインフラのシステム構築やサービス提供を行い、日 の々安心で快適な暮らしを支えています。

エンジニアリング&サポートサービス事業当社が提供する各種ICTシステム、ICTサービスに関する工事施工や、保守、運用・監視、アウトソーシングサービス等のサポートサービスを行うとともに、施工力を活かし、海外のお客さまへのICTインフラの提供を行っています。万全なサービス体制でシステム、サービスの安心・安全を支えるとともに、世界のインフラづくりに取り組んでいます。

O U R B U S I N E S S E S私たちの事業

当社は、1953年に電気通信工事会社として創業して以降、時代・技術の変化とともに

事業領域を拡大してきました。現在では、企業、通信事業者、官公庁・社会インフラ事業者等

幅広いお客さまに対し、さまざまな機器やソフトウェア、ネットワーク、サービス、 さらには生まれたての最先端/ベンチャー技術までを組み合わせ、コミュニケーションに関わるさまざまなシステム、

サービスを、利用者に最適の形に構築するとともに、運用・監視、保守、 アウトソーシング等の各種サービスまで総合的に提供しています。

03NECネッツエスアイレポート2019

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技術力・信頼性C O M P E T E N C E 1

最適なソリューション提供

多種多様な製品・サービスをインテグレーション(融合)する技術力

祖業である電気通信工事で培った施工力に、時代の変化にあわせてICT技術を融合し、施工力を有するSIerという独特のポジションを築いています。そして、コミュニケーションを軸に、企業のICTサービスから通信事業者のネットワークや消防救急指令システムといった社会公共向けのミッションクリティカルな通信インフラまで幅広い技術力を有し、機器選定からシステム設計、構築、運用・保守、アウトソーシングまでを含めた、高品質で信頼性の高い統合的なサービスを提供しています。 また、NECグループとしてお客さまから期待される高い要求水準に応えるために培ってきた技術力を、お客さまのニーズにあった国内外のさまざまなベンダー製品の展開においても適用しています。これらは、昨今多くの企業が導入を始めているクラウドサービスや最先端/ベンチャー技術の活用にも活かされ、お客さまへの最適なソリューション提供につながっています。

NEC 製品

最先端/ ベンチャー 技術

NECネッツエスアイ ICT技術 施工技術

グローバル製品

国内 ベンダー 製品

クラウドサービス

企業

通信事業者

官公庁・社会インフラ事業者

04 NECネッツエスアイレポート2019

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通信事業者向け

ネットワークインフラ構築NECグループならではの高い技術力を有するネットワーク技術者や国内における保守網サービス基盤等のアセットを横展開し、日本国内にそれら機能を持たない海外ベンダーをも支え、通信事業者の高度なネットワークの実現に貢献しています。 今後は、日欧連携の5G国際標準化プロジェクトである5G!pagodaや、人材育成や技術検証等を行う5Gラボ等を通じて、5Gインフラ整備の本格化に向けた対応力の強化に努めていきます。

コンピタンスを活かした事例/取り組み

資格保有者

管理技士・監理技術者

約1,500人

ICT上位資格保有者

約800人

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全国対応力全国のお客さまに対応する営業やSEをはじめ、通信事業者のネットワークや社会の安心・安全を守るインフラをサポートするため、日本国内400カ所以上のサービス拠点に加えて、ネットワーク・サーバやセキュリティ等のヘルプデスク、ネットワークの運用・監視や保守サービスの統括まで一元的に対応するオペレーションセンター、そして物流機能、技術評価から修理までワンストップで対応できる総合テクニカルセンター等を有しています。これら、24時間365日、全国2時間以内で人とモノを届けられる全国規模の万全なサービス基盤により、発展する社会を支え、便利で快適な社会づくりに貢献しています。

国内サービス拠点

400カ所以上

C O M P E T E N C E 2

24時間365日全国2時間以内の万全なサービス体制

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セキュリティオペレーションセンター(SOC)巧妙・複雑化してくるサイバー攻撃に対し、当社では、お客さまネットワークの運用・監視を行うセキュリティオペレーションセンターを有しています。SOCは、システムによる監視だけではなく、NEC

グループをはじめとする企業と官公庁等のネットワーク運用や監視サービスで、長年にわたる実績とノウハウを有する

ヒト(セキュリティアナリスト)による分析を併用し、危険性や緊急度の見極めを行います。また、ネットワーク運用サービスと併せ、アラーム検知からその後の対応まで、迅速で一元的なサービスを提供することも可能です。 当社は、セキュリティのコンサルティングから基盤の設計・構築、全国保守網による保守サービス、そして、このSOCによるセキュリティ運用サービスに至るまで、一貫したサービスを提供し、お客さまのサイバーセキュリティに関するあらゆるニーズに対応しています。

コンピタンスを活かした事例/取り組み

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事業創出力さまざまなお客さまの現場を担うなかで培われた「お客さまのために」というホスピタリティ精神と、常に新しい事業にチャレンジする精神は、当社の特徴的な企業文化です。 それらは、お客さまの課題・ニーズを吸い上げ、自社内にとどまらず、新しい技術を有するパートナーである先進企業やスタートアップ企業との「共創」を通じてソリューションを開発するとともに、それらをお客さまに提供する前に自ら使いこなしてその使い勝手や効果を評価・検証し、そのノウハウを活かしてお客さまに使いやすいサービスとして提供していくというビジネスモデルとなり、新たな事業を創出する力につながっています。 DX(デジタルトランスフォーメーション)が進化している今、その力をますます活かして、「モノ」から「コト」へと変化するお客さまのニーズに適切に応えていきます。

C O M P E T E N C E 3

自社での実践を経て事業化

ネットワーク スタートアップ企業

最先端/ ベンチャー技術

お客さま

ICT/施工パートナー

ソフトウェア/ ハードウェア

クラウド

パートナーとの

共創自社実践

事業創出

NECネッツエスアイ

技術力・信頼性 全国対応力

08 NECネッツエスアイレポート2019

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自社実践を通じた働き方改革ソリューションの提供2007年から取り組んでいる当社の働き方改革は、労働力不足の解消や、生産性向上といった社会課題を解決し、イノベーションを実現することを目的に、共創や自社での実践・検証が繰り広げられています。 当社では、日本が直面する東京の通勤問題、イノベーション力の低下といった課題の解決に向け、2019年秋から新たに、コーポレートスタッフ部門の分散勤務に挑戦します(P28参照)。その際に生じるコミュニケーションやマネジメント、管理業務等の課題解決に向けて、クラウドサービスの利活用や業務プロセスの抜本的な見直しを行い、実効性を検証します。そして、その実証した成果・ノウハウをお客さまにソリューションとしてお届けできるよう取り組んでいきます。

コンピタンスを活かした事例/取り組み

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O U R H I S T O R Y

当社は、コミュニケーションを生み、発展させていくことを事業の根幹に据え、時代の変化にあわせて新たな強みを加え、 変革・成長を続けてきました。これからも強みを磨き、新たな価値提供に挑んでいくことで、目指す企業像である 「コミュニケーションサービス・オーケストレーター」へ発展していきます。

1953年~創業:通信建設

1960年代~海外インフラ構築

1990年代~システムインテグレーター

初のテレビ放送工事

「日本電気システム建設 (株)」へ社名変更

チョモランマ通信設備建設(チョモランマ山頂からの 放映を初めて実現)

販売本部を新設し民需 市場向け販売体制強化

国内拠点本部を新設し 全国網展開強化

東京証券取引所上場 企業向けシステムインテグレーション事業拡大

NCC工事本格化 新民営通信事業 各社より大型受注

日本電気(株)より 分離独立し、 「日本電気工事(株)」設立

初の海外工事 (フィリピン交換機 据付け工事)

メキシコオリンピック 衛星通信工事

当社初のデータセンター、 S-iDC(ストラテジックインターネットデータセンター)を開設

中米5カ国マイクロ工事 (多国間同時施工)

特定建設業、一般建設業の双方で建設7業種の許可を取得

初の海外現地法人を ブラジルに設立

主な出来事

売上高推移 100億円超1974年

1,000億円超1989年

2,000億円超1997年

コンピタンスを磨いてきた歴史

施工力に加え、ICT技術に磨きをかけて成長

技術の進展にあわせて移動体通信基地局等へ通信インフラ領域を広げるとともに、音声ネットワークの構築をはじめとする企業向けICTの提供へ事業を拡大し、施工からSI、保守までの幅広いサービス提供が可能になりました。これに伴い、全国に営業拠点を設置し、全国対応力を拡大していきました。

通信インフラ工事会社として施工技術を磨く

当社は1953年に日本電気(株)(NEC)の電気通信工事部門が独立し、誕生しました。国内外で拡大する通信インフラ整備需要を次 と々獲得し、NEC製品を中心に、着実に施工力を培ってきました。またNECグループとして求められる高品質な技術も併せて習得し、高度化させてきました。

事業環境の変化

1950年代戦後復興期。放送・通信インフラ整備の時代

1960-1970年代国際通信・衛星通信本格化、世界で 通信インフラ構築需要拡大

1980-1990年代通信自由化、 NCC(New Common Career)の誕生

技術力(施工力)・信頼性

全国対応力

技術力(施工力+ICT技術)・信頼性

10 NECネッツエスアイレポート2019

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2010年代ソリューションプロバイダー

働き方改革ソリューション「EmpoweredOf�ce」の事業化 および一部社内導入

2,922億円2015年3月期(過去最高実績)

2,779億円2019年3月期

モバイル網高速化や放送次世代規格等への対応

IoT向けMVNO(仮想移動体通信事業者)事業立ち上げ

テレワーク全社導入 (女性従業員により立案された“ウーマンズ プロジェクト実証実験”を経て実現)

株式所属業種の変更(建設→情報・通信)

モバイルインフラ建設に関する合弁会社、K&Nシステムインテグレーションズ(株)を 設立

さらなるイノベーション創出に向けた本社 オフィス再編を実施

スタートアップ企業とのオープンイノベーションによる新事業創出を目指しCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)ファンドを設立

IoT向けLPWA(低消費電力で遠距離通信を実現する通信方式)共同事業を開始

sDOC(サービスデリバリオペレーションセンター)を開設

2000年代IP化・ブロードバンド化進展、 通信と放送の融合

2010年代クラウドの本格的利用拡大、 IoT・第4次産業革命

技術力、全国対応力を活かした新たな事業を次々に創出

2007年にサービス領域に強みを持つNECテレネットワークス(株)との合併、2013年にコンタクトセンター事業を行うキューアンドエー(株)を子会社化する等、積極的なM&Aを実施し、全国400カ所以上のサポート・サービス拠点等の万全なサービス基盤を構築する等強みをさらに強化しました。また、独自の技術力を活かした働き方改革ソリューション「EmpoweredOf�ce」等の新しい事業を生み出すとともに、パートナーとの共創を進め、スタートアップ企業の革新的な技術のサービス化をはじめ、取り扱う製品・サービスも大幅に拡充しています。

2020年代コミュニケーションサービス・オーケストレーターへ

事業創出力

全国対応力

技術力・信頼性

本社を東京都文京区後楽に移転し、EmpoweredOf�ceを全社導入

「NECネッツエスアイ(株)」へ社名 変更

nTOC(ネットワークトータル オペレーションセンター)を開設

11NECネッツエスアイレポート2019

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O U R C O N N E C T I O N T O D A I LY L I F E

NECネッツエスアイは、さまざまな場面で、安心・安全、豊かな社会の実現に貢献しています。

3 空港飛行機を駐機位置に誘導するシステムや管制システム、空港内の情報提供サービス等を幅広く提供

6 消防・救急119番通報に対し、迅速な対応を可能にする指令台システムや無線システムを構築。さらに多言語コールセンターを活用し119番通報をサポート

8 防災地震や津波、台風等の情報を一斉に配信する防災行政無線や、ケーブルテレビを活用した告知システム等、安心・安全な暮らしをサポート

5 携帯通信網スマートフォンや携帯電話等、毎日のコミュニケーションの入口となる基地局を設置。基幹網のSIと併せてネットワーク全体をサポート

9 店舗・公共施設Wi-Fi網の設置から情報配信サービス、付加価値をつけた映像サービスの提供まで、お客さまにとって便利な利用環境を実現

7 鉄道・道路鉄道や高速道路に付帯する通信ネットワークを整備、構築。交通管制のためのネットワーク、監視、情報表示等のシステムを担い、公共の足をサポート

4 ホテルホテル内の電話・交換機をはじめ、客室マネジメントシステムや宿泊客への情報提供サービス等のホテルトータルソリューションを提供

1 放送デジタルテレビ送信設備や中継局、スタジオ設備等の構築、運用・保守に加え、次世代放送4K、8Kを配信するための光ケーブルを敷設

2 働き方改革さまざまなクラウドツールを組み合わせ、先端技術を活用することで、コミュニケーションやマネジメント、管理業務の課題を解決し、自宅やサテライトオフィス等場所を問わずに働ける環境や、組織や企業の壁を越えて1つのチームとして共創できる場、イノベーションを生む働き方を実現

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O U R C O N N E C T I O N T O D A I LY L I F E

15 総合テクニカル センター

24時間365日対応の物流統制機能に加え、新技術の検証、評価やSI、保守、修理までのテクニカルサービスをトータルに提供

16 データセンターセキュアで堅牢な環境でお客さまのIT資産をお預かりするとともに、幅広い運用、アウトソーシング、多様なクラウドサービスを提供

17 コンタクトセンターICTシステムの障害受付、ヘルプデスク窓口等、お客さま管理者、利用者へ窓口サービスを提供。多言語での通訳サービスも提供

:当社サービス基盤

14 ネットワーク トータルオペレーションセンター

セキュリティの監視からネットワークの運用まで、24時間365日お客さまのネットワークの安心・安全をサポート

当社の強みである「技術力・信頼性」「全国対応力」「事業創出力」を活かして、 お客さまの生産性向上や課題解決に結びつくソリューションをトータルに提供しています。

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10 工場工場等生産現場でリアルタイムにヒト・モノの位置情報を検知・管理できるIoTシステムを提供

11 海洋国境を越えたコミュニケーションを支える海底ケーブルを敷設。また、海底地震・津波計の構築により地震情報のいち早い取得をサポート

13 自治体住民見守りサービス等、生活の便利や安心を支える自治体ネットワークを提供し、観光情報サービス等による地域活性化も提案

12 宇宙小惑星探査機をはじめとするさまざまな人工衛星や探査機との通信や運用管制を支援

13NECネッツエスアイレポート2019

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「コミュニケーションサービス・オーケストレーター」に向け、あらゆる「壁」を越えながら、力強く前進していきます。

社長メッセージ

代表取締役執行役員社長

牛島 祐之

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当社ならではの強み

 社長就任から2年が経ちました。その間、成長の土台となる当社の強みや課題に対する自身の理解を深めることに努め、この1年間は、それを活かした中長期の成長戦略の検討に力を注いできました。 2017年に子会社から社長として当社に戻ってきた私が改めて感じたのは、当社ならではの強みがある会社であり、それを十分に活かせればサービスの面でも、業績の面でも、他社を凌駕する「強くて魅力的な会社」になることができるということです。当社には、工事・施工力とICTの双方にわたる独自の技術力や、NECグループとして培ってきた高い技術・サービス水準をマルチベンダーサービスに活かした「技術力・信頼性」があります。また、日本の津々浦々をカバーする営業網や、通信事業者や官公庁等の止めることが許されない公共インフラを支える企業としての充実した保守サービス網といった「全国対応力」も強みの1つです。さらには、これらを活用した「事業創出力」が備わってきています。例えば、当社には働き方改革「EmpoweredOf�ce」事業に代表されるように、新たな製品やサービスを自ら実証し、お客さまに使いやすい形で提供することが企業文化として根づいていますし、最近では、最先端/ベンチャー技術を取り入れて新しいサービスを提供することに力を入れています。Zoom社との連携(P34参照)を例に挙げると、いくつかの日本企業がZoomの日本市場での販売を申し入れるなか、最も早く、熱心にアプローチをしたことで、当社がいち早く販売代理店契約を締結できましたが、この成功が、米国のスタートアップ企業における当社の評価向上につながり、新たな企業との連携を呼び込む等、好循環を生み出しています。このように最先端/ベンチャー技術を発掘し、新たな価値につなげる力やスピード感は紛れもなく当社のコアコンピタンスの1つとなったと感じています。

2030年のありたい姿―

コミュニケーションサービス・オーケストレーター

 SDGs(持続可能な開発目標)をはじめとする世界共通の枠組みのなかで、地球環境や社会の持続可能な発展に向けて政府や民間、そして一人ひとりの意識と行動の変革が求められています。とりわけ日本は、労働人口の減少等、社会の持続性を揺るがしかねない課題を抱えており、企業には、社会課題の解決と経済的発展の両立がこれまで以上に求められています。 加えて、2030年までの約10年間をテクノロジーの視点で俯瞰してみると、AI、IoT等のデジタル技術の利活用によるビジネスや社会構造の変化が加速度的に進んでいくことが確実視されます。さらに、2020年に国内でサービスがスタートする第5世代通信システム(5G)は、その高速・大容量、多数端末接続、低遅延、高信頼性といった特徴により、遠隔医療や自動運転等、産業にかつてない大きなインパクトを与える可能性があります。そして、その先には、5Gというインフラの上にデジタル技術が融合し、革新的なサービスを次々に生み出していくものと考えています。 こうした大きな変革のなか、当社は設立以来、事業の軸足を置いてきたコミュニケーションの領域で自らの強みを活かしながら、社会とともに持続的に発展していきたいと考えています。2030年までに「コミュニケーションで実現する快適で便利な社会」を創り上げるべく私たちが目指す企業像として定めたのが「コミュニケーションサービス・オーケストレーター」です。 「モノからコト」へのパラダイムシフトが到来するなか、製品ありきの従来型SIerの事業モデルからクラウドSIを併用した事業モデルに変わっていく必要があります。そのためには、パートナーとの共創を加速し、さまざまなサービスを使いこなしながら取り込み、新しいバリューチェーンをプロデュースしていくことが必要です。「オーケストレーター」が意味するものは、さまざまなパートナー、さまざまなサービスをお客さまの使いやすい最適な形に組み合わせ、お客さまに感動を与える新たなイノベーションを生み出そうということです。

社長メッセージ

15NECネッツエスアイレポート2019

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デジタル、5Gに注力

 実現したい社会像に向けて私たちが経営資源を集中していく領域は、「デジタルソリューション」と「5Gインフラ」です。 「デジタルソリューション」については、クラウドシフトの流れのなかで、すでにさまざまなデジタルサービスがクラウド型で提供され始めています。一方、「5Gインフラ」については、本格的な投資は、2021年以降になるものと見ていますが、それに向け、トラフィック増対策等のマイグレーションは今中期経営計画期間中に進むと考えています。また、自治体や企業が5G技術で自営網を構築するローカル5Gの動きも期待されています。そしてその先には、5Gベースのインフラの上に、デジタルサービスが生まれる「デジタルx5G」の時代が到来し、最先端のネットワークを活用した全く新しいサービスが次 と々誕生し始めると予想しています。言い

社長メッセージ

換えると、一般企業のお客さまが通信事業者と同等のネットワークを使うようになり、基地局の施工から、最先端基幹網のSI、さらにはそれを基盤とした新しいサービスまでを提案・提供することが必要になるわけです。まさに当社のコアコンピタンスをフルに活かせる時代であり、「Only1」のポジションを築き上げていく考えです。 こうしたロードマップを確実に前進していくためには、これまでの常識を覆すような発想が必要ですし、既存の枠組みも超えていかねばなりません。私が昨年、「『コミュニケーション技術で社会に貢献する』という価値観以外は、すべて変えても構わない」と申し上げた真意はここにあります。 DXが進展する今後、確実に商機を掴んでいくためには、製品ベースのSIを中心とした従来の領域から、クラウドによるサービス領域へと壁を越えた発想の転換が必要になります。当然、最先端のデジタル、5Gを自ら使いこなし、お客さまの使いやすいサービスとして提供していくには、「技術の

「オーケストレーター」が意味するものは、

さまざまなパートナー、さまざまなサービスを

お客さまの使いやすい最適な形に組み合わせ、

お客さまに感動を与える新たな

イノベーションを生み出そうということです。

16 NECネッツエスアイレポート2019

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壁」も越えていかねばなりません。そして、世界の激しい変化のなかで、競合との競争に勝ち抜いていくためには、これまで以上のスピード感と、コアコンピタンスの一層の研鑽が必要になります。つまり「競争の壁」を越えていく必要があるのです。さまざまな市場や技術の垣根が取り払われていくなかでは、私たちも「組織の壁」を破壊していくとともに、「能力の壁」も越えていかねばなりません。 こうした変革の決意を込めたのが、中期経営計画(2020

年3月期~2022年3月期)のテーマ「Beyond Borders」 です。

ありたい姿への第一ステップ―

中期経営計画 Beyond Borders 2021

 長期ロードマップを見据えながら、大きな環境変化に対応できる事業構造と体質を構築し、次の中期経営計画での大きな飛躍につなげていくというのが、本中期経営計画の位置づけです。既存事業の強化と新たな事業の創出に努めることで、「業績の壁」を越えていきます。 2022年3月期の売上高目標としては3,100億円を掲げ、トップラインを3,000億円超の水準へとシフトしていくとともに、同業他社に劣らぬ収益性に向けて、まずは、営業利益200億円、営業利益率6.5%、ROE10%以上という目標を目指します。 いずれも過去最高の水準となる経営目標ですが、本中期経営計画に向けては、すでに前年度から成長費用を投じ、実現に向けた施策を展開しています。経営環境や当社の実力値、これまでの施策の進捗等に鑑みれば、十分に到達できるレベルです。特に営業利益率については、自社での経営効率化によるコスト削減が中心となるため、確実に達成を目指したいと考えています。中長期的なトップラインの力強い成長を伴った利益拡大につなげるべく、3カ年で130

億円の成長費用を投入する考えで、成長事業や共創・アライアンス等を強化するとともに、人的投資も積極的に実施していきます。

基本戦略に沿った施策の遂行

 壁を越えるための基本方針の1つが、「デジタル/5G時代に向けた競争力・成長力強化」です。デジタルの領域においては、すでに2018年4月に、全社横断の「DXプロジェクト」を立ち上げ、社内のリソースを集めてデジタル事業への取り組みを進めてきました。そのようななかで、Zoomをはじめ、Workato(複数のクラウドサービスを連携させ業務効率化を実現するワークフロー自動化サービス)やbox

(オンラインコラボレーションを促進するセキュアなストレージサービス)等の先進のサービスを次々に投入してきており、これをさらに加速していきます。また、5Gにおいては、日欧連携の5G国際標準化プロジェクトである5G! pagoda

に参画し、5G技術確立に向けた足場づくりもスタートしています。さらに、今後に向けた新たな事業スキームも着実に進めており、IoTの基盤として期待されるLPWA(低消費電力で遠距離通信を実現する通信方式)の新規格ELTRESTM

に関し、ソニーネットワークコミュニケーションズさま、オリックスさまとの共同事業を開始しました。また、KDDIさまとは合弁で主にモバイル基地局の施工を行う合弁会社を設立しており、両社の強みを活かした事業の拡大を進めています。

 2つ目の基本方針は、さらに新しい事業を創出するための基盤・仕組み・体制の強化を進めていくことです。特に、新たな技術をもたらす有望なスタートアップ企業との事業共創は重要なテーマであり、2018年1月には、当社独自のCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を設立し、すでに4つの国内外のスタートアップ企業への出資を行っています。このなかには、ホテルや医療向けに活用できる自動配送ロボット技術を有するSavioke社への出資や、当社の持つ人工衛星や探査機等の宇宙運用ノウハウの民間向け活用に向けた宇宙ベンチャーALE社への出資等が含まれており、夢のある新しい事業につなげていきたいと考えています。さらに2019年4月には、より成熟した最先端/ベンチャー技術を持つスタートアップ企業をターゲットとした米国のベン

社長メッセージ

17NECネッツエスアイレポート2019

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チャーキャピタルSozo Venturesに出資しましたし、同年5

月にはシリコンバレーのアクセラレーターであるPlug and

Play Tech Center社と提携し、有望な技術の発掘とそれらをコミュニケーションプラットフォームに乗せていく取り組みを進めています(P39 参照)。

壁を越えるための組織変革

 3つ目の基本戦略は「All-NECネッツエスアイでのイノベーション加速」です。これまで当社は、企業、キャリア、社会インフラといった市場ごとの組織で事業を展開してきましたが、社長就任以来、技術が共通化しているなかで、類似の技術を有する技術者が分散しているのは非効率であると感じていました。より技術者のリソースや強みを発揮していくためには、全社のリソースを結集し、全社での総合力を発揮していく必要があります。そのため2019年4月より、市場ごとの組織を、業務系のSEやICT基盤系のSI、サービス機能、そして働き方改革等のSI、サービスを提供している事業を集約した「デジタルソリューション事業本部」、社会インフラやこれから高度化が期待される5G関連等の公共性が高いネットワーク領域でのSI機能を統合した「ネットワークインフラ事業本部」に再編し、「デジタル」と「5G」に注力する戦略と適合し、より専門性・競争力を発揮できるよう組織を再編しました。また、社内各事業本部に分散していた施工や保守といった従来のコア機能を束ね、上記2つの事業と連携しながらプロジェクト品質を高め、高効率な生産性を追求していくために、「エンジニアリング&サポートサービス事業本部」を設立しました。 事業ポートフォリオの側面で見ると、デジタルソリューション、ネットワークインフラは新たな事業を創出し、競争力も高めることでトップラインを伸ばしながら収益性も高めていく計画です。一方、エンジニアリング&サポートサービス事業は、リソース活用の効率性向上による収益性改善を見込んでいます。

 さらに、デジタル技術を活用したビジネスの創出やスタートアップ企業を含めたパートナーとの共創力を高めていくことを目的とし、これまで各事業本部や本社機能に散在していた新技術の探索や新規事業の創出を行うメンバーを結集し、「ビジネスデザイン統括本部」を新設しました。全社技術戦略や新たなビジネスの企画、パートナリング、アライアンスを担います。当社にとっては非連続とも言える領域でのビジネス開発も進めていくことになります。

Only1の新しい働き方への挑戦

 このような戦略を進めるための打ち手の1つとして、働き方改革のさらなる進化に向け、本社地区のオフィス再編を実施します。再編の柱の1つはコーポレートスタッフ機能の分散化です。現在の本社フロアを60%削減し、首都圏10

カ所程度の「アクティビティベース」に分散します。コーポレートスタッフの6~7割が、本社ではなく、テレワークや30分程度で通勤できる「アクティビティベース」で働くことになります。この狙いは、分散のデメリットをメリットに変えるべく、さまざまなデジタル技術を使いこなし、業務プロセスをゼロから変革することにあり、その成果をお客さまに提案していきます。また、このような分散型の働き方により、従業員一人ひとりのワーク・ライフ・バランスが充実し、より創造力が生まれるものと考えています。日本の課題であるイノベーション力につながる働き方になるはずです。 また、先端の技術を徹底的に活用して、新規ビジネスの創出、共創を促進する「イノベーションベース」を設置し、米国のベンチャー拠点と同じオフィスにいるかのように空間を共有する等の新しい試みをお客さまに見ていただきます。 働き方改革のパイオニアとして、10年以上にわたり、当社の蓄積してきた技術とノウハウを活かして、他社よりも2歩も3歩も先を行く新しい働き方に挑戦していきます。

社長メッセージ

18 NECネッツエスアイレポート2019

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コミュニケーションで壁を越える

 私は、さまざまな壁を越える変革を確実に推し進めていくためには、従業員一人ひとりが持てる力を十分に発揮し、積極的に行動していくことが欠かせないと考えています。そのために重要なのは、社内のコミュニケーションであり、全国の拠点に赴き、何度も中期経営計画の考え方を従業員に直接伝える等、これまで数多くの従業員と対話してきました。目に留まるオフィスフロアのサイネージを活用したり、「Ushijimaラジオ」と呼ぶ従業員等とのトーキング番組で質問に答えたりと、すべての従業員と目線を合わせたコミュニケーションを心掛けています(P41参照)。これまでの2年間で、新しいことに挑戦できる会社に変わってきたと自負しています。

 私は、コミュニケーションは人間が人間たるために必須のものであり、コミュニケーションの発展がすべての社会課題の解決につながるものと確信しています。当社が目指す社会像である「コミュニケーションで創る包括的で持続可能な社会」とは、そのような想いを込めています。 まずは、2030年に向け、全社一丸となってさまざまな壁を越え、コミュニケーションサービス・オーケストレーターとして、コミュニケーションにより、快適で便利な社会を実現すべく邁進していきますので、挑戦し続ける当社にご期待ください。

まずは、2030年に向け、全社一丸となってさまざまな壁を越え、コミュニケーションサービス・オーケストレーターとして、コミュニケーションにより、快適で便利な社会を実現すべく邁進していきますので、挑戦し続ける当社にご期待ください。

代表取締役執行役員社長

社長メッセージ

19NECネッツエスアイレポート2019

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財務・非財務ハイライト

2015 2016 2017 2018 2019(年3月期)

2,8472,9912,749 2,792

2,922 2,800 2,579 2,7792,878

2,679

受注高/売上高(億円)

受注高  売上高

128111

5.5 5.0 3.9 4.1

162141

100

4.6

(年3月期)2015 2016 2017 2018 2019

営業利益/売上高営業利益率(億円/%)

営業利益  売上高営業利益率

(年3月期)

28

–15

66

199

390439

596544

20

573

2015 2016 2017 2018 2019

フリー・キャッシュ・フロー/ 現金および現金同等物の期末残高(億円)

フリー・キャッシュ・フロー  現金および現金同等物の期末残高

1,049

45.8 47.947.2

926 927 946

48.5

995

47.8

(年3月期末)2015 2016 2017 2018 2019

自己資本/自己資本比率(億円/%)

自己資本  自己資本比率

8974

8.76.5 7.0

7.6

78

6065

8.7

(年3月期)2015 2016 2017 2018 2019

親会社株主に帰属する当期純利益/ ROE(自己資本当期純利益率)(億円/%)

親会社に帰属する当期純利益  ROE

2,162

8.37.1

5.1

2,019 1,965 1,974

6.1

2,076

5.4

(年3月期末)2015 2016 2017 2018 2019

総資産/ROA(総資産経常利益率)(億円/%)

総資産  ROA

78

3.5 3.8 3.8

6470 72

3.8

74

3.8

(年3月期)2015 2016 2017 2018 2019

1株当たり年間配当金/DOE(自己資本配当率)(円/%)

1株当たり年間配当金  DOE

2015

(5年前)

45%

2016

(4年前)

23%

2017

(3年前)

66%

2018

(2年前)

31%

2019

(1年前)

–1%

(年3月期)0

1,000

2,000

3,000

株価/TSR※(円)

※ 当該年前に投資した場合の2019年3月期末時点の値

20 NECネッツエスアイレポート2019

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財務・非財務ハイライト

(年3月期)

2,248 2,1463,253

6,113 6,108

10,745

2,427

7,599

2016 2017 2018 2019

「EmpoweredOf�ce」見学社数/見学者数(社/人)

見学社数  見学者数

男性従業員(期末)  女性従業員(期末) 新卒採用者  中途採用者(単独)

2016 2017 2018 2019(年3月期)

1,136 1,262 1,368

6,328 6,3106,375

135 135

29 25

122

41

1,329

7,464 7,572 7,7437,657

6,328

112

8

従業員数/新卒採用者数/中途採用者数(人)

(年3月期)

24.0

20.3 19.718.9

2016 2017 2018 2019

平均時間外勤務(月間)(単独)(時間)

1,412 1,471

785

2,0262,177 2,274

614 706

1,489

757

2,272

1,515

(年3月期末)2016 2017 2018 2019

資格保有者数(単独・延べ人数)(単独)(人)

ICT上位資格保有者  管理技士・監理技術者資格保有者

16.2 16.719.1

17.3

54.766.6

65.568.1

2016 2017 2018 2019 (年3月期末)

平均勤続年数/60歳以上の雇用継続率(単独)(年/%)

外部評価

(年3月期末)

19 20

25

2.22.8

2.1 2.1

3.7

2.5

27

3.0

2.3

2016 2017 2018 2019

外国人従業員数/女性管理職比率/障がい者雇用率(単独)(人/%)

外国人従業員数 女性管理職比率  障がい者雇用率

勤続年数 60歳以上の雇用継続率

2016年 2017年 2018年 2019年

SNAMサステナビリティ・インデックス (6月発表)

健康経営優良法人 (2月発表)※2017年2月に制定

21NECネッツエスアイレポート2019

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価値創造モデル

 当社は目指す社会像として「コミュニケーションで創る包括的で持続可能な社会」を掲げています。私たちは、こうした社会の実現に向けて「さまざまな技術をインテグレーション(融合)し、お客さまが使いやすい形にして提供する」ことを根幹に据え、自社実践やパートナーとの共創を通じて、価値創造モデルを確立しています。 私たちは、この価値創造モデルから新しい事業・サービスを次々に創出し、「誰もがより活き活きと働ける環境の創造」 「先進テクノロジーを活かした楽しく豊かな街づくり」「発展する社会の安心安全を支える万全なサービスの提供」の3つを

特に重要な社会への提供価値(マテリアリティ)として2030年までに実現させます。

目指す社会像 コミュニケーションで創る

健全で透明性の高い経営

新たな価値を創出するイノベーション力の強化

一人ひとりが活き活きと輝く環境づくり

マテリアリティ(自社の成長のための取り組み) P36参照

価値創出の手段

成長領域

NECネッツエスアイレポート201922

お客さま

ソフトウェア/ハードウェア

最先端/ ベンチャー技術

ネットワーク

クラウド

スタート アップ企業

ICT/設備 パートナー

技術力・信頼性

全国対応力 事業創出力

インテグレーション

コアコンピタンス

追求する姿勢:お客さま目線

パートナーとの共創自社実践

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 さらに、社会にこうした価値を創出し続けるために、「健全で透明性の高い経営」をベースに「新たな価値を創出するイノベーション力の強化」「一人ひとりが活き活きと輝く環境づくり」といった特に重要な自社の成長のための3つの取り組み

(マテリアリティ)を実践していきます。 この価値創造モデルを持続させることで、社会の発展に寄与し、SDGs(持続可能な開発目標)に貢献するとともに、当社の長期的な企業価値の向上を目指します。

包括的で持続可能な社会

マテリアリティ P36–37参照

(2030年に向けた社会への提供価値)

成長領域

誰もがより活き活きと働ける 環境の創造

先進テクノロジーを活かした 楽しく豊かな街づくり

発展する社会の安心安全を 支える万全なサービスの提供

23NECネッツエスアイレポート2019

デジタル

5G

企業価値向上

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Beyond Borders 2021中期経営計画

前中期経営計画の振り返り

 2017年3月期から2019年3月期までの前中期経営計画では、初年度に通信事業者向けや社会インフラ事業が大きく落ち込み、これを企業向けの成長でカバーできず、経営目標は残念ながら未達となりました。 その一方で、新しい中期経営計画に向けて、一定の成果がありました。収益性では売上総利益率が17%台と過去最高水準となるとともに、ROEも2ポイント強改善いたしました。事業基盤の強化としては、DX(デジタルトランスフォーメーション)事業の立ち上げ、パートナーとの共創の加速等成長力、コアコンピタンスの強化に向けてさまざまな打ち手を展開しました。

新しい中期経営計画の位置づけ

 今回の中期経営計画は、持続的に成長する企業を目指して、2030年に向けた当社のありたい姿を描き、そのなかで、この3年間、何を重点的に取り組むのかといった視点で考えました。 2030年までに当社が実現したい社会像は、「コミュニケーションで実現する快適で便利な社会」です。現在、スタートアップ企業等から、新たな技術、サービスが次 に々生まれてきています。当社は、自社の強みを活かしながら、これらスタートアップ企業を含むさまざまなパートナー企業とともに協力して新しい社会価値を生み出す「コミュニケーションサービス・オーケストレーター」を目指します。この方向性のもと、今回の中期経営計画では、5年・10年先の環境変化を見据えて、事業構造と体質の変革を通じた成長力、収益力の強化を行います。

2016 2017 2018 2019 (年3月期)

前中期経営計画

6.5

2,800 2,579 2,679 2,779

7.07.6

5.03.9 4.1

8.7

4.6

実績(億円/%)

売上高  営業利益率  ROE

2020年3月期~2022年3月期の

位置づけ

ありたい姿の実現を通じ、SDGsの達成に貢献(社会価値と経済価値の両立・最大化を目指す)

ありたい姿

実現したい社会像

コミュニケーションで実現する快適で便利な社会

当社の将来像

当社グループの強みを活かし、 パートナーとの共創で、

新しいバリューチェーンをプロデュースする

コミュニケーションサービス・

オーケストレーター

2030

経営目標

売上高 

3,000 億円以上営業利益率

5.5 %以上

営業利益

165 億円以上ROE

10 %以上

5年・10年先の

環境変化を見据え、 事業構造と体質強化による

成長力・収益力強化 既存事業における競争力の強化

新たな事業・収益源の創出

最高業績の更新2019

24 NECネッツエスアイレポート2019

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中長期の環境認識

 現在、世界ではボーダレス化が進行し、そのなかで企業は、国際競争力を高めるために、ビジネスモデルやプロセス、働き方の革新を迫られています。また、テクノロジーの面でも、デジタル技術の進化や5Gと呼ばれるネットワーク技術の高速/高度化等が進み、今までにないサービスが生まれ、世の中を大きく変えていくことが考えられます。加えて、労働力不足についても、当社、お客さま双方にとって重要な課題となると想定されます。これらは当社にとって既存事業の減少という脅威である一方、新しいサービスを生む大きな事業機会にもなると考えています。

中期経営計画 Beyond Borders 2021

 2020年3月期からスタートする中期経営計画「Beyond Borders 2021」では、これまでの成果をベースに、社会課題の解決、技術変革の波を事業拡大のチャンスと捉え、「デジタル」と「5G」を軸に、新しい事業モデルへのシフト、新事業創出を加速していく考えです。デジタルと5Gが融合する将来の「デジタル×5G」時代を見据えた事業構造の変革や、最先端/ベンチャー技術を活用した新しい事業を創出する体制の強化、組織の壁を越えたイノベーションを加速させます。これにより、あらゆる壁を乗り越え、持続的な成長を実現し、事業活動を通じた社会課題の解決に寄与します。

これまでの打ち手

 当社では、これら変革の波に対応すべく、先進企業との協業を推進し、デジタル関連事業の立ち上げや先進サービスの投入、新たなパートナーシップの推進、スタートアップ企業との共創の仕組みづくり等、自社の枠を越えて成長力強化に向けた打ち手を展開してきました。

機会 脅威

新たなビジネス機会の創出

施工事業の縮小5G

(第5世代移動通信システム)

お客さまでの、 生産性向上・運用の外部化ニーズ

人材確保・技術継承人手不足

デジタル化収益機会の多様化・平準化

既存SIモデルの変化

成長力強化に向けて

DX事業立ち上げ、先進サービス投入

新たな事業スキーム/パートナー

シップ推進

5G技術確立への足場づくり

(5G!Pagodaへの参画)

コンピタンス強化に向けて

専門性・競争力発揮のため、3事業

本部に組織再編

先端技術・ビジネス創出機能を集約

し、専門組織化

パートナー共創の加速

スタートアップ企業との事業共創

(先端ソリューション/サービスの

発掘)

25NECネッツエスアイレポート2019

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中期経営計画

組織再編と各セグメントの位置づけ

 このような考えにもとづき、当社では2019年4月に、主に企業向けに業務系ICTプラットフォームのSI・サービスを手掛けるデジタルソリューション事業、通信事業者や官公庁、社会インフラ事業者等の公共性の高いネットワークのSI・サービスを手掛けるネットワークインフラ事業、全社の施工機能や保守、運用・監視といったサポートサービス機能を集約したエンジニアリング&サポートサービス事業の3つに事業領域を再編いたしました。

 デジタルソリューション事業、ネットワークインフラ事業は成長を牽引する事業セグメントとして、売上高、営業利益双方の拡大を図ります。一方、エンジニアリング&サポートサービス事業は、全社の施工・サポートサービスの基盤として効率化を推進し、特に収益力の向上に注力します。

 加えて、経営改革活動の一環として、イノベーション加速に向けた働き方、オフィス改革への取り組みを加速させていきます。今までのオフィスの概念を越えた最先端の働き方に自らチャレンジしノウハウを蓄積、提供することで、「EmpoweredOf�ce」をお客さまのビジネスそのものをより強くイノベーションする事業へと強化していきます。(P 28参照)

デジタル×5G時代に向けて

 「デジタル×5G」時代において、ICT技術とネットワーク技術はより密接に関わり合い、サービス面で革新的な変化を起こすことが想定されます。そのようななか、通信事業者や社会インフラ事業者のミッションクリティカルなネットワークの構築から企業向けICTのサービス提供まで、フルレンジで提供できる事業基盤をコアコンピタンスとし、働き方改革ソリューション「EmpoweredOf�ce」等の時代に先駆けたビジネスを生み出したビジネス創造力を有する当社の役割は飛躍的に拡大すると考えています。 当社では、これらのコアコンピタンスを磨き、専門性を強化することで、コミュニケーションによる快適で便利な社会の実現に貢献していきます。

経営目標

 トップラインは3,000億円を越える水準にシフトさせると同時に、収益性についても業界水準にシフトさせるための通過点として従来レベルを越え、下記の経営目標を目指します。

(億円)

2019年3月期(実績) 2022年3月期(目標) (ご参考)過去最高

売上高 2,779 3,100 2,9222015年3月期

営業利益 (営業利益率)

128(4.6%)

200(6.5%)

1622015年3月期

(5.5%)2015年3月期

ROE (自己資本当期純利益率) 8.7% 10%以上 9.6%

2014年3月期

800

10%

営業利益率(%)

6%

1,000 1,200

19/3期 22/3期

上段:売上高下段:営業利益(円の大きさも)

80459

90472

950105 1,100

11099884 1,050

85

エンジニアリング&サポートサービス デジタルソリューション

ネットワーク インフラ

売上高(億円)

<セグメント別中期目標>

26 NECネッツエスアイレポート2019

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事業戦略

デジタルソリューション事業

エンジニアリング&サポートサービス事業

施工・保守体制の効率化、リソースの育成・高度化 国内外の施工機能、保守体制の集約・一元化により、施工・保守といった全社共通機能の事業力を強化すると同時に、事業運営の効率化を図っていきます。そのため、関連する全社技術者の育成強化を行い、プロジェクト品質、マネジメント力の強化とともに、技術の継承と複数の技術を身に付けるマルチスキル化を推進します。

取締役執行役員常務

エンジニアリング&サポートサービス事業本部長

郷司 昌史

DXによるビジネスの進化 最新デジタル技術を活用することで、今までにない働き方、今までにないビジネスプロセスを創造し、現在の働き方改革関連事業を、イノベーションの創発や、お客さまのビジネスそのものを強くすることができるサービスへと進化させます。そのため、最先端/ベンチャー技術を有する企業との共創と、新技術の自社実践とをさらに推進し、事業化を加速します。

取締役執行役員常務

デジタルソリューション事業本部長兼ビジネスデザイン統括本部長

野田 修

ネットワークインフラ事業

通信事業者向け事業をコアに5Gを全事業へ展開 5G等の通信技術の高度化に向けた技術力の強化と、移動体通信基地局からコアネットワークまでフルレイヤーのSI力を活かし、通信事業者向け事業の拡大を図ります。同時に、5G技術を応用したサービス領域における事業展開を強化するとともに、公共性の高い社会インフラ領域においても5G等の先端技術を組み合わせた独自ソリューションの提供を強化していきます。

執行役員常務

ネットワークインフラ事業本部長

門田 正也

27NECネッツエスアイレポート2019

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中期経営計画

分散型ワークへの挑戦

 当社は、働き方改革のリーディングカンパニーとして、2019年10月より、イノベーション創発に向けたさらに新しい働き方に挑戦します。徹底的な最先端/ベンチャー技術の活用とさまざまなお客さまやスタートアップ企業との共創を通じて新規ビジネスを創出する場をつくるとともに、コーポレートスタッフにおいては、首都圏約10カ所に分散して働くことで、ゼロベースでの業務プロセスの見直しを行い、デジタル技術を徹底的に活用した、革新的な働き方を実践します。この分散オフィスにおいては、通勤に伴う負荷を軽減させることで、モチベーションの向上と自己研鑽による自律成長を促します。 イノベーションを生む働き方を自ら実践し、その成果を新しいサービスとして提供していくことで、お客さま、ひいては日本におけるイノベーション力の向上に貢献するとともに、労働力の減少や首都圏の一極集中という日本の課題解決に貢献します。

新規ビジネス創出

技術力、品質強化サポートサービス

事業推進

イノベーションの実ビジネス展開

イノベーション加速に向けたオフィス再編

分散型ワークの自社実践と改革過程を実ビジネスへ

イノベーション加速による 新ビジネス創出

生産性向上 従業員のモチベーション向上 通勤による時間ロス削減

コストダウン

イノベーションベース

お客さまやスタートアップ企業とのオープンイノベーションによる事業創造と共創の場として、東京都中央区日本橋に設立します。

最先端/ベンチャー技術を徹底的に活用 新しいプロセスでの業務遂行に挑戦

サービスベース

お客さまへのサービス・デリバリーを強化するため、東京都や埼玉県にあるテクニカルサービス基盤に加え、大阪府大阪市に「sDOC※関西センター」を新設(2019年4月)。

全国のお客さまへの対応力強化

※ sDOC:Service Delivery Operation Center

テクニカルベース

技術者の育成や新しい技術の実証・評価検証を行う場として神奈川県川崎市に設立します。

5G技術を実証する「5Gラボ」を設置 お客さまとのフィールド検証 新技術、施工技術習得

ビジネスベース:現本社(東京都文京区)/アクティビティベース:首都圏約10カ所

現在の本社フロアを圧縮し通勤時間約30分以内となる最寄りのオフィスで分散勤務します。

距離にとらわれないコミュニケーションと共創 創造性の高い業務へのシフト 新しい働き方の創造とそのノウハウを新サービスに発展

I N N O V AT I O N

自社実践、共創を通じてイノベーションを加速し新事業創出を強化

オフィス再編の狙い

28 NECネッツエスアイレポート2019

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財務・資本戦略

ROEの改善を軸とした財務的価値の最大化 資本コストを上回るリターンを継続的に実現し、株主価値を高めるために、当社ではROEを経営の重要指標としています。2019年3月期は、コスト効率化や、付加価値の高い案件へのシフト、強化した企業体質の上にトップラインが伸長したこと等により収益力が高まった結果、ROEが8.7%と3

年連続の改善となりました。新しい中期経営計画では、これをさらに改善させ、10%以上にする目標としています。 この目標を、それぞれの事業活動に具体的に落とし込むため、ROEの構成要素である売上高利益率と資産効率性を高めるための施策を、それぞれの事業部門に展開し、PDCAサイクルを回しています。 具体的には、既存事業の深耕や、最先端/ベンチャー技術やパートナーシップを活用した新事業創出による売上高、付加価値の拡大、資材費、外注費の圧縮、内製化、販売費/一般管理費の効率化等による費用構造の強化を通じた収益性の改善、キャッシュコンバージョンサイクルの圧縮による運転資本効率の改善等です。私は、それぞれに目標を設定し、全従業員が一つひとつ改善に取り組んでいくことで、ROEが高まると確信しています。

 当社は、株主・投資家、お客さま、従業員、パートナー企業等さまざまなステークホルダーの期待に応え、株主価値や社会への提供価値を高めていくことが、企業価値の持続的な向上につながると考えています。 そのためには、資本効率性の指標であるROE(自己資本当期純利益率)を高め、資本コストを上回るリターンを継続的に実現し最大化するための活動と、社会課題の解決に貢献するための当社における重要課題、いわゆるマテリアリティを中心とした非財務価値の強化に向けた活動の両輪を回すとともに、それらの価値を正しくステークホルダーに知っていただくことが重要であると認識しています。

 また、中期経営計画では「デジタル×5G」時代に向けた成長戦略の実現のため積極的な事業投資を行っていく考えですが、一方で、ROE向上の観点から、投資の性質に応じた適切な評価項目を設定し、そのうえで、将来キャッシュ・フロー等を用いた定量評価、戦略上の位置づけ等の定性評価、さらには技術変革スピードが速いICT産業における安全性の観点から投資回収までの期間を考慮する等、引き続き適切な判断を心がけていきます。また、投資後においても、定期的な評価・検証を徹底して行い、投資ノウハウの蓄積、レベルアップを図っていきます。 当社は国や自治体、通信事業者等の公共的なインフラ構築をはじめとした信頼性の高いサービスを継続的に提供する責務があり、健全な財務基盤が要求されます。突発的な資金需要等に備え、売上高の2カ月程度は現預金として確保しておきたいと考えています。一方で、今後、事業成長や大きな投資等でさらなる資金需要が出てきた際は、株主価値に配慮し、売上高の2カ月分を超過した現預金に加え、健全性を損なわない範囲での負債の活用を優先していきます。

「ROEの改善を軸とした財務的価値の最大化」、

「マテリアリティに即した非財務的価値の強化」を推進し、

企業価値の持続的な向上を目指します。

取締役執行役員常務

関澤 裕之

29NECネッツエスアイレポート2019

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マテリアリティに即した非財務的価値の強化ならびに

エンゲージメントの強化 企業価値の持続的な向上のためには、その創造の源泉である当社のコアコンピタンスのもとになる人材やサービス基盤等の経営資源やESGといった非財務的な価値の強化にも、目を向けていく必要があると考えています。 当社は2030年のありたい姿を見据えて新たなマテリアリティを特定しました。オープンイノベーションで新しいバリューチェーンをプロデュースする「コミュニケーションサービス・オーケストレーター」を目指す当社にとっては、特に「人材・組織風土」「技術・ノウハウ」が重要な経営資源です。中期経営計画の期間には、事業投資に並行して、技術者育成

や5Gといった新しい技術の検証・評価を行う中核拠点の新設や、従業員の働きやすさやイノベーションの創出力を向上させるインフラ整備等、事業成長を支える人材を育て、活かすための投資等も積極的に行っていく考えです。 今まで述べてきた通り、当社は財務的価値と非財務的価値双方の強化を図っていきますが、同時にこれらの企業価値を見える化し、株主・投資家やお客さま、従業員、パートナー企業といったさまざまなステークホルダーと双方向のコミュニケーションをとることにより、正しく認識いただくことも重要であると考えています。このため、IRや広報、CSR活動等を通じたステークホルダー・エンゲージメントの強化を図っていきます。私も、今まで以上に国内外の投資家をはじ

 持続的なROEの改善と利益成長に向けては、資本効率を意識した事業ポートフォリオの最適化を図ることも経営の重要なテーマです。このため、事業評価に当たっては、利益等のフローによる評価に加え、ROIC(投下資本利益率)

と成長性によるマトリックス等のストック評価も考慮のうえで、事業の選択と集中、入れ替えを検討し、事業ポートフォリオの最適化を図っていきます。

財務的価値の向上 非財務的価値の向上

企業価値の持続的な向上

ポートフォリオマネジメントの

強化

・既存事業の強化・新事業の創出

売上高の伸長

・ 費用構造の強化 (資材費・外注費の効率化、 内製化の推進等)

売上原価率

売上高利益率

・営業費用効率化・スタッフ費用削減

SG&A効率

・ キャッシュコンバージョン サイクルの改善

総資産回転率

ROE改善

財務レバレッジ

・ 投資ガバナンスのさらなる 強化・資産の圧縮

・ 健全性を考慮した負債の 活用 IR、広報等の情報発信強化

人材育成をはじめとしたコアコンピタンスの強化、

ESG強化

エンゲージメントによる価値向上

非財務資本充実による価値向上

運転資本効率

固定資産効率

2022年3月期ROE目標:10%以上

財務・資本戦略

30 NECネッツエスアイレポート2019

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めとしたステークホルダーとのコミュニケーションを積極的に行い、経営に反映させていく考えです。※ 非財務資本の強化については、P36 「マテリアリティ」を参照ください。 ステークホルダー・エンゲージメントの状況については、P41「ステークホルダーとの信頼関係」を参照ください。

2019年3月期の連結業績概要 2019年3月期の連結業績は、増収増益を実現し、親会社株主に帰属する当期純利益については、過去最高益を達成しました。売上高は働き方改革関連分野を軸とした一般企業向けの拡大や通信事業者向けのネットワーク構築分野が堅調に推移したことにより拡大しました。なお、受注高は前期の大型案件受注の反動減やメガソーラープロジェクトの受注取り消しの影響等により、横ばいとなりました。 収益面では、成長に向けた費用が拡大しましたが、増収効果に加えて付加価値が高い案件の売上構成比の増加やコスト効率化等により収益力が大幅に改善したことで増益となりました。

(億円)

2018年3月期 2019年3月期

受注高 2,878 2,847

売上高 2,679 2,779

売上総利益率 16.5% 17.2%

営業利益(営業利益率)

111 (4.1%)

128 (4.6%)

親会社株主に 帰属する当期純利益(当期純利益率)

74 (2.7%)

89(3.2%)

ROE (自己資本 当期純利益率)

7.6% 8.7%

株主還元 健全な財務基盤のもと、成長投資資金を確保したうえで、DOE(自己資本配当率)、連結業績、フリー・キャッシュ・フローを総合的に勘案するとともに、株主の皆さまの期待等も考慮して、継続的、安定的な株主還元を実施して

(年3月期)2020(予想)

2019201820172016201520142013201220112010200920082007

80

78

14

1株当たり年間配当金(円)

安定的に株主還元を拡大13期連続増配を計画

いきます。当社では長期的に当社株式を保有していただいている株主の皆さまに対して、安定的な株主還元を実現すべく、勘案する配当指標として、短期業績に左右される配当性向ではなく、DOEを重視しています。 この方針にもとづき、2019年3月期は1株あたり78円と予想値より2円増配、前期比で4円の増配を実施し、2020

年3月期も80円と13期連続の増配を計画しています。なお、株主還元の1つでもある自己株買いについては、成長への投資や株価の状況、更には資本コストや株主価値向上の観点等を総合的に検討して判断します。

企業価値の持続的な向上を目指して 当社は、「コミュニケーションで創る包括的で持続可能な社会」の実現を目指していますが、それには、株主・投資家、お客さま、従業員、パートナー企業をはじめとした、さまざまなステークホルダーから支持され、選ばれる「強くて魅力的な会社」になる必要があります。その実現に向け、ROEを軸とした財務的価値の最大化とマテリアリティに即した非財務的価値の強化に加え、ステークホルダーの皆さまに当社を正しく知っていただくエンゲージメントが私の役割であると認識して、今後とも企業価値の持続的な向上に努めていきます。

31NECネッツエスアイレポート2019

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共創の現場 01

NECネッツエスアイ 丹波市 地域医療にイノベーション

予防接種における課題認識北野さま 予防接種は健康な生活のために重要な一方、 0~3歳までの間に19回も接種しなければならず、またワクチンによって次の予防接種までの間隔が異なります。市民は間隔を守って漏れなく接種すること、医師もすべての接種対象者に正しく予防接種を実施することが求められます。実施主体である市は、市民への通知、医師への確認に膨大な事務作業を要します。大きな健康被害には至っていないものの、毎年数十件の接種ミスがあり、私は以前より強い問題意識を持っていました。大槻さま 私も同じ問題意識を持っていました。そこで私たちは、予防接種に関する課題解決に着手し、約1年をかけてNECネッツエスアイとともに、システムの導入を進めていきました。

共創の現場吉田 ゼロからのシステム構築ということもあり、当社にとっても大きな挑戦でした。当社にとっての直接のお客さまは

丹波市さまですが、実際にシステムをご利用いただく医師、市民といった「お客さまのお客さま」のご利用を考慮すると、導入する時点で通常以上に完成度の高いシステムが必要なことは明らかでした。企画段階では、朝から晩まで丹波市さまと議論を重ねました。強い課題意識を持っておられたため、丹波市さまは決して妥協されませんでした。北野さま 人の命に関わるシステムですので、確かに、安全性や利便性の追求に妥協はありませんでした。開発期間中は、私が吉田さんにかなり厳しいことを申し上げる場面もありましたし、私も医師会から厳しい指摘をいただく等、出口が見えないこともままありました。吉田 医師にもたびたびヒアリングに行きました。医師は患者一人に対し例えば1分の作業が増えると、100人診たら100

分増えることになりますので、極力時間を短縮するよう要望を受けました。そこで、利便性を左右するユーザーインターフェースには、特にこだわりました。北野さま、大槻さまとも、 何度も議論を重ね、最終的には文字入力を必要とせず、数回のタップだけで操作が終わるシステムを実現しました。

地域医療体制の強化をまちづくりの柱に掲げる兵庫県丹波市さまと当社は、日本初となる「予防接種実施判定支援システム」を共同で開発しました。地域医療に、大きなイノベーションをもたらした同システムの「共創」の現場をご紹介します。

お客さまの課題解決

32 NECネッツエスアイレポート2019

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貢献するSDGs目標

大槻さま 完成したシステムは、医師からはとても良い評判をいただいています。開発段階では難色を示していた医師からも、導入後は便利で良いとのご意見をいただきます。市民の接種実績も向上し、市の事務作業もゼロになっただけでなく、リアルタイムに市民の接種状況を把握できるようになりました。関係するさまざまな人々の役に立っていると強く実感しています。北野さま 振り返ってみると、NECネッツエスアイは粘り強く最後までよく頑張ってくれたなと感じます。立場の異なる者同士が一緒に課題解決に臨む時には、お互いに深い議論ができるレベルまで知識をつけ、意見を戦わせながら試行錯誤を続けることが大切だと、今回のシステム導入を経て感じました。NECネッツエスアイが、私たちの要件に従って漫然とシステムを開発するだけでは、良いものができなかったはずです。

吉田 当社の担当システムエンジニアも、予防接種について相当勉強していました。振り返ってみると、医師や丹波市さまのご要望を聞き、どうしたら使いやすくなるのかを考えている時間は、本当に楽しかったです。最終的に、反対していたお医者さまからお褒めの声をいただいた時は、大きなやりがいを感じました。余談になりますが、丹波市さまで明確な効果が出たことを受けて、このシステムは他の自治体にも導入を検討いただいています。

より安心して暮らせるまちづくりに向けて大槻さま 現在、NECネッツエスアイとは、医療を中心とした市民の生活をサポートする「医療介護情報連携システム」の開発も進めています。予防接種実施判断支援システムが成功したこともあり、関係者は前向きに協力してくれています。北野さま 市民の「管理」ではなく、「ケア」という観点でシステムの活用とさらなる改善を進め、より安心して暮らせるまちづくりにつなげていきたいと思います。吉田 すでに医療機関にタブレット端末を配布しており、容易に機能を追加していくことができるのでさまざまな改善が可能だと思います。当社は、これからも社会が抱える課題に対して、多面的なソリューションでお応えしていきたいと思います。

MEMBERS

「No attack, No chance」をモットーに、地域医療体制の強化を柱の1つに掲げたまちづくりを進めています。

谷口 進一市長

医療機関に専用タブレット端末を、市の接種対象者にICカードを配布し、丹波市と医療機関を完全閉域網のMVNO(仮想移動体通信事業者)回線でセキュアに結ぶことで、予防接種の接種スケジュールの管理や接種実施状況を一元管理・共有するシステム。

システム概要

市民 医師 丹波市

タブレット端末にICカードをかざし、 該当する予防接種を判断

接種実績を登録

専用サーバ

各医療機関の 接種状況を把握

次の予防接種をメールで通知

専用 ICカード

専用タブレット

NECネッツエスアイ

神戸支店

吉田 善崇

丹波市

健康部 健康課

大槻 秀美さま

丹波市

健康部 健康課

北野 博史さま

33NECネッツエスアイレポート2019

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日本初の販売パートナー契約から導入まで野田 当社では新たな商材の発掘を目的に、以前より米国・サンノゼに従業員が常駐しています。ビデオ会議ツールZoomに出会った時は、デバイスを選ばない等の圧倒的な利便性、通信パフォーマンスの良さに加え、空間を越えて緊迫感や空気感まで伝えられる技術に驚きました。当社では働き方改革ソリューションの一環で、他のビデオ会議ソリューションも取り扱っていましたが、それを上回るZoom

の魅力に惹かれ、ぜひ当社で販売したいとアプローチをしました。佐賀さま 実際には、いくつかの日本企業からアプローチを受けていましたが、NECネッツエスアイは早い段階から当社にアプローチしていただき、強い熱意も感じました。さらに、コミュニケーション技術で組織の生産性向上に取り組んでい

るという点に魅力を感じ、NECネッツエスアイとの日本初の販売パートナー契約締結を通じて、当社は日本市場への参入を果たしたと聞いています。野田 ちょうど日本でもテレワークやリモートワークを本格的に検討、導入されるお客さまが増えてきた時期でしたので、日本のお客さまにZoomを紹介できることになった時は大変嬉しく思いました。また、それにあわせて当社の全従業員にZoomのアカウントを付与し、全社を挙げてさまざまな使い方を模索しました。

共創の大きなメリット佐賀さま 実際にNECネッツエスアイ本社のオフィスを見学しましたが、積極的に独自ソリューションの開発を行っておられるということに感動しました。SmoothSpace2のように、

NECネッツエスアイ 「共創ワーク」にイノベーション

共創の現場 02ビジネスパートナーとの事業創造

当社は、米国・シリコンバレーに本社を構えるZoom社のビデオ会議ソリューション「Zoom」の日本市場での販売を2017

年9月に開始しました。時間や場所にとらわれず、簡単な操作で個人や組織、社内外をつなぐことができるZoomは、テレワークや出張先からの社内会議の参加や、海外のビジネスパートナーとのミーティングといった新しい会議のあり方やコラボレーションワークの実現等働き方改革に貢献しています。Zoomとの共創によって生まれる新しいコミュニケーションは、 すでに国内500社以上のお客さまに採用いただいています。

Zoom Video Communications, Inc.のCEOであるEric S. Yuan氏と当社取締役執行役員常務の野田(Zoom社にて)

34 NECネッツエスアイレポート2019

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貢献するSDGs目標

Zoomを使って空間同士を接続し、リアルサイズ、リアルタイムでコミュニケーションを取るという発想や技術は斬新だと思いました。そしてそうした独自開発したソリューションを自分たちで使いながら改善を重ねていくという、会社全体で「ソリューションを創りあげる姿勢」は大変魅力的です。野田 有難うございます。SmoothSpace2は会議室向けのZoom Roomsを複数併用することで、臨場感のある大画面映像による空間接続を常時接続で実現できます。多地点接続や他のZoomユーザーとの接続ができる等、活用の幅も広げることが可能です。当社でも国内外の拠点とのコミュニケーション等に使用しており、実際に使っている様子をご覧いただいたお客さまに同じようにご活用いただくこともあります。他にも、素早いお客さま対応、現場作業の遠隔指示やダブルチェックといった業務効率化の実現を可能にする等、ビデオ会議の進化だけではなく、新しいコミュニケーションを提案することができます。佐賀さま Zoomを1つのツールとして、他のハードウェア等と組み合わせ、手を加えながらお客さま向けのさまざまなソリューションに「仕立てる」ということは当社だけではできなかったことですので、NECネッツエスアイと共創した大きなメリットだと感じています。野田 新しいソリューションを創りあげるにあたり、技術的な観点から「ここは改善できるのでは」と感じた点を米国本社へお伝えしたこともありましたね。佐賀さま そうですね。NECネッツエスアイからのアドバイスを受け、サービスを手直ししたこともあったと聞きます。当社のCEOのEric S. Yuanは長年技術者としてキャリアを築い

てきた人間で、自分たちで提供するサービスを通してすべての人がハッピーになって欲しいと日々思っています。ですから、より良いサービスとなるアドバイスはどんどん取り入れていくのが当社の姿勢です。NECネッツエスアイは販売だけではなく、技術的な協業ができるパートナーとしても高く評価しています。野田 評価いただき大変嬉しく思います。当社にとっては、Zoomを提案することで、ブランド力も高まるという副次的な効果も実感しています。新たな企業にアプローチする際、Zoomの話をするとお客さまの関心が高まるのを幾度も体験しました。この点は当社にとって、想定以上のメリットでした。

共創の力をグローバルに佐賀さま NECネッツエスアイとの日本市場の立ち上げフェーズを経て、働き方改革や新しいコミュニケーションの実現に役立っていることを何より嬉しく思っています。野田 そうですね。今後は日本でのパートナーシップに留まらず、グローバルに新しいソリューションを展開し「世界標準」をつくって、社会のさまざまな課題解決に寄与していきたいですね。佐賀さま NECネッツエスアイとであればそれが実現できると思っています。これからもお互いの価値を高めあいながら、今まで無かった新しいソリューションをともに開発し、世の中に貢献していきましょう。

MEMBERS

Zoom Video Communications Japan カントリーゼネラルマネージャー

佐賀 文宣さま

NECネッツエスアイ 取締役執行役員常務

デジタルソリューション事業本部長兼 ビジネスデザイン統括本部長

野田 修

働き方改革ソリューション「EmpoweredOf�ce」の特長

お客さまの働き方改革を実現

お客さまの課題に応じてさまざまな製品、

技術を組み合わせたご提案

壁に映像を投影することで、離れた空間同士を一体化させ、臨場感のあるコミュニケーションを実現する「SmoothSpace2」

35NECネッツエスアイレポート2019

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 当社では、2019年5月に新たな中期経営計画となる「Beyond Borders 2021」を発表しました。それにあわせ、社会の持続的発展への貢献と自社の持続的な成長の実現のための重要な取り組みをマテリアリティとして6項目特定しました。

マテリアリティ

マテリアリティ特定プロセス 投資家の皆さまとのESGミーティングで得られたご意見をも踏まえ、長期視点や当社らしい取り組みを意識し、検討事務局も企画、IR、CSR部門と組織を横断し、さまざまな角度から検討を重ねました。 また、経営幹部によるディスカッションも回を重ね、社会と自社の持続的な発展のために取り組むべきことを真剣に討議するとともに、社外取締役からの意見も踏まえ、今回の特定に至りました。

社会課題の確認(海外/国内)

SDGsやISO26000、GRI、研究機関のメガトレンド等から世界の課題を確認

自社の重要な取り組みについて

ヒアリング・社内討議

目指す社会や自社の将来像、その実現のために重要な取り組みについて経営幹部へのヒアリングや幹部同士のフリーディスカッションを実施

※ well-being : 身体的・精神的・社会的に良好な状態

コミュニケーションで創る包括的で持続可能な社会

2030年に向けた社会への価値提供の取り組み

誰もがより活き活きと働ける環境の創造 先進テクノロジーを活かした楽しく豊かな街づくり 発展する社会の安心安全を支える万全なサービスの提供

自社の成長のための取り組み

STEP1 STEP 2

健全で透明性の高い経営

あらゆるステークホルダーとの 対話を通じたガバナンスの強化

多様化に応じた コンプライアンスの促進

新たな価値を創出する イノベーション力の強化

変化と挑戦を奨励する 文化の促進

お客さま視点を重視した、 共創と自社実践の加速

一人ひとりが活き活きと 輝く環境づくり

従業員にとっての 「well-being」※ の向上

闊達な議論を促進し、自己成長を実感できる企業風土の強化

目指す社会像

36 NECネッツエスアイレポート2019

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目指す社会像特定にあたっては、長期的な目指す社会像として「コミュニケーションで創る包括的で持続可能な社会」を掲げました。 私たちが目指すのは、コミュニケーション技術により、世界中のすべての人が十分な情報に接し、教育や医療が格差無く受けられる社会です。自由なコミュニケーションにより、世界中の壁が取り払われた平和な社会です。そしてコミュニケーションにより人類が知恵をあわせてあらゆる社会課題を解決する社会です。

これらのマテリアリティに沿って事業活動を推進し、本業を通じて目指す社会像の実現や、SDGsへの貢献を果たしていきます。

マテリアリティ案の

作成・社内討議

STEP1、2で検討した目指す社会像やその実現のための取り組みを整理しマテリアリティ案を作成、幹部ディスカッション実施

社外役員ヒアリング

STEP3で社内で検討したマテリアリティ案について社外取締役に説明、意見をヒアリング

マテリアリティの特定

社内外の意見を踏まえ、マテリアリティを常務会で決定取締役会で報告

自社の成長のための取り組みこのような社会価値を提供する会社として成長し続けるためには、自社の経営基盤をさらに強くすることが必要です。そのために、下記3つの最重要な取り組みを選定しました。自社の成長のためにも共創や対話といった「コミュニケーション」が重要だと考えています。

健全で透明性の高い経営の徹底

あらゆるステークホルダーとの対話を通じたガバナンスの強化

多様化に応じたコンプライアンスの促進

成長を目指す一方で、すべてのステークホルダーから受け入れられる健全な企業であり続けるための基盤がガバナンスおよびコンプライアンスの取り組みです。多様性を推進し、共創やイノベーションを加速させるなかでも、一人ひとりが高い倫理観を持った行動を取り、社会との信頼関係を維持・強化できるよう、さまざまなステークホルダーとの対話を通じたガバナンスの強化とコンプライアンスの促進に関する施策を展開していきます。

新たな価値を創出するイノベーション力の強化

変化と挑戦を奨励する文化の促進

お客さま視点を重視した、 共創と自社実践の加速

社会に価値を提供し続けるための源泉は、イノベーション力です。改善の積み重ねだけでなく、ゼロベースでさまざまな取り組みを見直して新たな変革を起こす、また、そうした挑戦を後押しし、評価するマネジメントに力を入れていきます。そして、常にお客さまの視点に立つために、自社実践を繰り返し、さまざまなステークホルダーとの共創の取り組みを加速させ、より使いやすい、新しい価値を提供していきます。

一人ひとりが活き活きと輝く環境づくり

従業員にとっての「well-being」の向上

闊達な議論を促進し、自己成長を実感できる企業風土の強化

イノベーションを実現するのは人です。働き方のフロントランナーとして、従業員が心身ともに、そして社会的にも充実した状態で、安心して働ける仕組みづくりを進めていきます。そのうえで、やりがいや自己成長を感じ、モチベーションを高く持てるよう、自由闊達な議論が交わされる企業風土を根づかせることで、より一層、一人ひとりが活き活きと輝ける環境を展開していきます。

2030年に向けた社会への価値提供の取り組みそのために、まず2030年に向けて、コミュニケーションにより社会へ価値提供する最重要の取り組みを3つ選定しました。

誰もがより活き活きと働ける

環境の創造年齢や性別、国籍等にかかわらず、また、どんな環境に置かれた人でも平等に、誰もが場所を選ばずに活き活きと働き、自己実現できる環境を提供していきます。

先進テクノロジーを活かした

楽しく豊かな街づくり最先端のモバイル技術等を活用した盤石な通信基盤の上にさまざまな情報サービスが提供され、人 が々、安全で便利かつ、楽しく豊かに暮らせるスマートシティ等の街づくりに貢献していきます。

発展する社会の安心安全を支える

万全なサービスの提供高い品質と全国展開力で、安心安全なサービスを実現し、経済の成長に欠かせないICTの発展・高度化を支えていきます。

STEP 3 STEP 4 STEP 5

37NECネッツエスアイレポート2019

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 当社にとって、最大の経営資源は「人材」です。今回特定したマテリアリティにおいても、「一人ひとりが活き活きと輝く環境づくり」を重要な取り組みの1つとして掲げています。多様な従業員が安心して働き続けられる仕組みをさらに整備していくとともに、従業員一人ひとりが自身の能力を十分に発揮し、共創やイノベーションを加速して新しい価値を生み出すために、自由な議論の場の提供やチャレンジを後押しする、風通しの良い組織風土づくりにも努めています。

基本的な考え方 当社では、人材開発基本方針にもとづき、会社の経営目的を達成するために従業員一人ひとりの資質と能力を最大限に活かし、従業員の人材育成を組織的かつ効果的に推進しています。人材開発基本方針(1) 経営計画の一環としての戦略的・長期的計画に立っ

た人材育成を、継続的・体系的・段階的に実施する。(2) 専門的技術・知識・ノウハウをもった専門家の育成を

積極的に推進する。(3) 自らの能力開発は自ら取り組み、かつ自己革新を進め

る風土づくりを推進する。(4) 人事管理制度と一体となって効果的な人材育成を推

進する。

イノベーションを起こす人材の獲得 採用に関しては、「新卒採用による優秀な人材の安定的確保」ならびに「経験者採用による技術・ビジネスの専門人材の確保」を基本的な考え方として、イノベーションを起こすために、自分の限界を決めずさまざまなことにチャレンジするマインドと実行力を持つ人材を求めています。 また、AIやクラウド、ロボティクスをはじめとする最先端/ベンチャー技術の活用や、スピード感のあるプロセスで新しい事業を創出し続けていくために、当社とは異なる領域で経験を重ね、専門知識や特別な技術を保有する技術者を経験者採用で積極的に獲得する体制も整えています。 こうした採用活動を通じて、多様な人材を確保し、イノベーションマインドの醸成と個性・能力が最大限に発揮できる企業風土を生み出しています。

人材・組織風土

働き続けやすい環境の創造 10年以上にわたって自社で取り組んでいる「働き方改革」においては、テレワーク制度の導入・運用に加え、現在ではさまざまなクラウドツールを組み合わせ、最先端/ベンチャー技術を活用することで、コミュニケーションをはじめとする各課題を解決し、自宅やサテライトオフィス等時間や場所にとらわれずに働ける環境や、組織や企業の壁を越えて1つのチームとして共創できる場の提供に取り組んでいます。 2019年秋からは「分散型ワーク」に取り組みます(P28

参照)。自宅からの通勤が約30分以内になるようサテライトオフィスを首都圏約10カ所に開設することで、通勤に伴う心身の負荷を軽減させ、従業員のワーク・ライフ・バランスを見直します。体力・時間にゆとりを持つことで、モチベーションを向上させ、自己研鑽や啓発による自律成長を促し、イノベーションを自ら生み出す従業員を育てていきます。

テレワーク利用実績(2019年3月期)

2.6日/人・月

パソコン モバイル

最先端/ベンチャー技術の駆使により時間や場所にとらわれない働き方を実現

ビデオ会議ツール コミュニケーション基盤

クラウドストレージ(ファイル共有)

38 NECネッツエスアイレポート2019

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コアコンピタンス強化のための人材戦略事業創出力  中期経営計画「Beyond Borders 2021」の目標達成のためには、共創力を強化し新しい事業を創出し続けていくことが重要です。 コアコンピタンスの1つである「事業創出力」を強化するために、2018年に立ち上げた全社横断型「DX(デジタルトランス

さらなるイノベーション加速のために~米国シリコンバレーのPlug and Play Tech Centerとパートナーシップ契約を締結~ 当社は、技術の大きな変革に対応するため、国内外の最先端/ベンチャー技術の活用を加速しています。特にスタートアップ企業との事業共創に注力しており、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)ファンドの設立や米国のベンチャーファンドへの出資等を実施してきました。2019年7月には、スタートアップ企業との事業共創をさらに強化し、自社の枠を越えた新事業の創出とイノベーションの推進を目指すために、Plug and Play Tech Center(本社:米国カリフォルニア州、創業者兼CEO:Saeed Amidi)とパートナーシップ契約を締結し、先端ソリューション/サービスの発掘に向けた活動を始めました。 今回のパートナーシップ契約締結にあわせ、米国の駐在員の増員と米国Plug and Play Tech Center本社フロアに当社のブースを新設しました。当社のブースと東京都文京区の本社に空間接続ソリューションSmoothSpace2を設置し、あたかも同じオフィスにいるかのような臨場感のある環境で、効率よくコミュニケーションを取ることができます。文化の異なる米国のスタートアップ企業と当社が空間を共有することで、双方が刺激し合い、共創と新しいイノベーションを起こす働き方を実践し、より価値の高いサービスを生み出す従業員の育成を進めていきます。 SmoothSpace2を使い、米国Plug and Play Tech Centerと

NECネッツエスアイ本社を接続

フォーメーション)プロジェクト」をベースに組織化し、「ビジネスデザイン統括本部」としました。 ここでは、DX技術やソフトウェア技術、ビジネス開発、コンサルティングといった専門的な知識、ノウハウを蓄えたスペシャリスト人材を現在の約20名から3年間で3倍に増強し、DXビジネスや働き方改革、映像認識・解析、5Gサービスといった強化領域等で次 と々新規ビジネスを創出できるよう取り組みを進めていきます。

2018年

2019年

全社横断型DXプロジェクト

ビジネスデザイン統括本部最先端/ベンチャー技術の習得者、スペシャリスト人材の強化(DX技術・ビジネス開発・ソフトウェア技術・コンサルティング)

専門組織化

39NECネッツエスアイレポート2019

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技術力 事業を支える幅広い技術力をさらに磨くために、確保すべき資格を「全社重点強化資格」とし、取得のための学習費用の支援や、社内講師による講座を実施し、技術知識の向上を図っています。

全社重点資格 情報処理技術者(ネットワークスペシャリスト、

情報処理安全確保支援士)

プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル

1級電気工事施工管理技士

2019年3月期新規取得実績: 49名

全社重点資格保有者数合計: 1,411名

女性の活躍推進(多様性の促進) イノベーションを加速させるためには、従業員の多様性を推進することが重要であり、女性の活躍推進の取り組みもその1つです。 女性管理職比率の向上に取り組むことはもちろん、各職場で多くの女性が活躍できるよう、さまざまな施策を推進しています。なかでも女性の社外取締役と女性従業員の意見交換会はコミュニケーションを大切にする会社として始めた当社独自のもので、2017年3月期より毎年継続的に開催しています。 2019年3月期は、役員(社長、社外女性取締役2名)と女性従業員12名(女性部長職以上3名、女性新任管理職9名)により意見交換会を実施。女性の活躍推進のため

に当社に何が必要か等を話し合い、次の施策に活かしています。

女性管理職比率目標 ( )内は実績

2021年3月期末までに 5%(2019年3月期末時点:3.7%)

人材・組織風土

自身が成長を感じモチベーションの高まる

キャリアアップ支援 当社では、「人事諸制度・処遇」「計画的な人事ローテーション」「適切な機会を捉えた研修機会」を組み合わせて統合的な人材育成を進めています。従業員は定期的に能力向上の達成状況やキャリア計画について、上司と話し合い、自己のキャリアアップに取り組むとともに人材公募による新たな業務へのチャレンジも可能な仕組みを整えています。

人材公募制度新規事業分野への進出、重点事業の強化等のために生じた人材ニーズに対し、自らの意思により応募することができる制度

ジョブ・チャレンジ制度能力開発やキャリア形成に主体的に 取り組み、新しい業務(部門)にチャレンジしようとする従業員を支援するための制度

ポジション・エントリー制度 希望するポジションに自らチャレンジできる制度

キャリアレビュー業務に対する興味、適性、異動希望等を申告、情報は上司がキャリア開発・人材育成に活用

制度 内容

 また、さまざまな事業領域に取り組む当社にとって、技術者の確保や技術の継承は大きな課題です。 当社では、定年後の継続雇用制度である「シニアパートナー制度」を設け、高齢者の活躍領域の拡大を図っています。 2016年3月期以降は50%以上の定年後雇用継続率を維持しており、各種資格やさまざまな経験を持った技術者の高齢化が進むなか、定年を迎えた従業員の活躍の場を広げることに加えて、若手への技術継承の機会を増やし、技術力の維持・強化に努めています。

40 NECネッツエスアイレポート2019

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人材・組織風土

 お客さまや従業員、株主・投資家、サプライヤーやビジネスパートナー等、当社にとって重要なステークホルダーの皆さまとの信頼関係を維持・強化することは、当社の持続的な成長を支えるうえで欠かすことができません。皆さまからいただいたご意見・ご要望を経営に反映させ前進していきます。

お客さまとのコミュニケーション 当社が創業以来変わらずに大切にしていることは、「お客さまとの信頼関係の構築」です。当社が目指す「強くて魅力的な会社」を実現し、成長し続けるためにも、お客さまにとって価値あるサービスやソリューションを提供し、信頼・支持を得る努力を続けています。

ステークホルダーとの信頼関係

社長と従業員のコミュニケーション 社長が就任以来力を入れているのが、従業員とのコミュニケーションです。本社から離れた地域拠点はもちろん、テレワークの導入等により分散して働く従業員が増えるなか、直接社長の声を届け、意見を吸い上げ、意思を共有することがますます重要となっています。さまざまな手法で工夫を凝らしながら、より活発なコミュニケーションを図っています。

中期経営計画「Beyond Borders 2021」説明会 2020年3月期からスタートした中期経営計画「Beyond Borders 2021」。新しい計画への思いをすべての従業員に届け、自分事として取り組めるよう全国10カ所の拠点で全15回の説明会を実施し、社長自らの言葉で説明を行いました。

ランチミーティング「Ushijima食」 オープンな意見交換の場の1つとして、社長と若手従業員のランチミーティング「Ushijima食」を実施しています。社長の思いを直接対話をもって伝え、若手従業員の日頃の課題や夢について自由闊達に話し合うことで、若手従業員のモチベーション向上にもつながっています。また、2020年3月期から新たに「Ushijima食 事業部長会」も開始しました。

「Ushijimaラジオ」 2019年2月から、社長の生の声をインターネット経由でいつでも聴けるようラジオ放送(音声配信)を開始しました。社長の思いを語るだけではなく、双方向のコミュニケーションによる一層の意思共有を目指しており、番組を聴いた従業員が社内SNSに自由に書きこんだ感想や意見にも答えています。中期経営計画や働き方改革に関する疑問に対する議論や、「はやぶさ2」プロジェクトに関わる若手従業員等さまざまな分野にチャレンジする従業員をゲストに招いてのトーク等、組織や役職の垣根を越えたコミュニケーションを図ってい ます。

社内デジタルサイネージでのメッセージ発信 オフィスの随所に掲示板の代わりに設置したデジタルサイネージに、社長からのさまざまなメッセージを掲載しています。「(未来の創造に向けて)壊そう!」「Challenge!」等端的で印象的な言葉で訴えかけ、従業員の目を引き、心を動かすためのメッセージを伝えています。

Ushijimaラジオ収録風景 社内デジタルサイネージに 表示された社長メッセージ

主な取り組み カスタマーズフェアの開催(お客さま向け展示会・セミナー)

(2019年は東京、大阪で開催)

「お客さまアンケート」を実施、結果の共有、

改善施策の実施(年1回およびプロジェクト完了時)

顧客満足に関する表彰「CS賞」を実施(年1回)

顧客満足に関する外部講師による講演会を実施(年1回)

2019年3月期トピックス お客さまからのアンケートにおいて、顧客満足度指数が2018年3月期の

調査より改善(過去最高値)

お客さまからの表彰例 北海道胆振東部地震発生時の迅速な公共通信設備復旧作業に対する表彰 お客さまの全拠点における電話基盤の刷新を6年間の長期にわたり行い、展

開体制の維持と高い品質レベルでの安全な移行に貢献したことに対する表彰 Wi-FiとGPSを利活用するシステムが地域情報化と観光課題解決に貢献したこ

とに対する表彰

41NECネッツエスアイレポート2019

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株主・投資家とのコミュニケーション 株主をはじめとするステークホルダーに対し経営状況や運営方針を、正確・迅速に説明することを当社のディスクロージャーポリシーとしており、各説明会や面談等、国内外における資本市場との対話を定期的に実施しています。 資本市場との対話については、IR部門とのミーティングに加え、投資家向け説明会や個別面談等、社長をはじめとする経営幹部との対話の場を定期的に設定しています(2019年3月期の社長/執行役員による個別面談:25件)。また、2018年3月期より、ESGを担当する投資家とのミーティングも開始し、2019年3月期には、CSR部門とともに、国内・外資の機関投資家と7件のミーティングを実施しました。これらにより得られたご意見やご要望は、IR部門より独立役員を含む全役員へ生の声を直接報告する等、資本市場との建設的な対話に努めています。

サプライヤーとのコミュニケーション 当社が受注する施工や工事、ネットワーク構築等を請け負う労務系のサプライヤーや、システムインテグレーションに使用する機器等の調達先であるハード系のサプライヤーは、事業遂行に欠かせない重要なステークホルダーです。事業動向説明会や取引先訪問、アンケート等を通したサプライヤーとのコミュニケーションはもとより、2020年3月期からはサプライチェーン全体でのSDGsへの貢献を目指してサプライヤーへの意識浸透と協力体制を強化し、持続可能で倫理的な調達活動を実現していきます。

サプライヤーに対する主な取り組み 事業動向説明会(年1回開催)

安全品質部会(隔月開催)

各種点検・調査の実施(CSR全般に関するアンケート、品質監査、

情報セキュリティ監査)(2019年3月期 のべ281社実施)

サプライヤー向け事業動向説明会の様子

ご意見① ESG観点での投資判断において、長期視点は外すことができない。 3年より先の長期ビジョンの一里塚として中期経営計画を見たい。 重点事業が多すぎて理解しづらい。

ご意見を受けて2020年3月期からスタートした中期経営計画「Beyond Borders 2021」においては、持続的に成長する企業を目指して、2030年に向けた当社のありたい姿を描き、そのなかで、この3

年間、何を重点的に取り組むのかといった視点で検討をすすめ、策定しました。(P24 –27参照)

ご意見② マテリアリティ(経営上の重要課題)は、経営戦略と同様、長期的な視点かつ、NECネッツエスアイならではの社会価値創出視点での重要事項を示して欲しい。

ご意見を受けて中期経営計画の発表とあわせ、マテリアリティについて再度検討、2030

年に向けた社会への価値提供の取り組みと自社の成長のための取り組みの2つの観点から重要事項を特定しました。(P36 –37参照)

ご意見③ 上場子会社として、少数株主保護に加えて、親会社があることによるメリットも知りたい。統合報告書に記載すると良いのではないか。

ご意見を受けて統合報告書(本冊子)において、少数株主保護についての説明に加え、上場子会社であることのメリットについても記載をしました。(P46参照)

投資家とのミーティングで得られたご意見と改善活動の一部

ステークホルダーとの信頼関係

42 NECネッツエスアイレポート2019

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ステークホルダーとの信頼関係

ステークホルダーとの対話を重視し、

さらなるコーポレート・ガバナンスの

強化を図ります。

会長メッセージ

取締役執行役員会長

最適なコーポレート・ガバナンス体制の維持、 向上に努めます

 当社は、NECネッツエスアイグループ宣言に示したように、より快適で便利なコミュニケーションのデザインを通じ、世界中の人 が々安心・安全で豊かな明日を過ごせるように、お客さまの課題や社会課題の解決に取り組んでいます。この事業活動の基盤として、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を支えるのがコーポレート・ガバナンスであると考えています。 当社は、NECグループであるメリットと上場会社であるメリットの双方を活かせる点が特長ですが(P46参照)、だからこそ、より一層、一般株主の権利を保護することが重要と認識し、そのための体制を順次強化しています。一般株主と利益相反の生じるおそれがない独立役員については2006年から選任を開始し、現在は、取締役10名中3名、監査役4名中2名が独立役員と、取締役会構成メンバーの3分の1超を独立役員で構成しています。さらなる経営の透明性確保のため、2016年には独立役員(社外取締役)を中心とした指名・報酬に関わる諮問会議を設置しており、その成果の1つとして、2019年6月には、事業執行取締役と株主との価値共有を進める目的で、譲渡制限付株式報酬制度を導入しました。また、当社はコミュニケーションを軸に事業活動を行っていますが、さまざまなステークホルダーとの対話を非常に重視しています。一般株主・投資家の声については、IR部門より直接レポートし、共有を進め、経営に活かしています。当社は、今後も引き続きコーポレート・ガバナンスの体制を強化し、企業価値の向上と経営の透明性確保に努めていきます。

取締役会の多様性、監督機能の強化

 私は、取締役会の議長として、独立役員も含めた全メンバーが活発に、十分に議論を尽くせるような進行を心掛けています。議論の質を高めるため、独立役員に対しては、当社事業への理解を深めるための現場見学会等を実施しており、また、取締役会の上程議案や会社の重要な事項については、事前に説明と意見交換を行い、社外の声を反映した意思決定を行うように努めています。特に重要な審議については、複数回にわたって取締役会で議論を重ねており、中期経営計画策定においても、活発に議論を行いました。 また、社外取締役の顔ぶれについては、さまざまな知見からご意見をいただくことが重要であると考え、経験や知識、専門性および性別等の多様性を考慮しています。2019年6月には、CSRや企業倫理に関する高い知見を持つ村松邦子氏を社外取締役として新たに迎えました。 昨今は、SDGs(持続可能な開発目標)等、社会課題に対する取り組みがますます重要になっていますし、すべての事業活動の根幹はコンプライアンスであると考えています。当社グループが、社会課題解決に取り組む企業としてお客さまや株主さま、市民をはじめとしたステークホルダーの皆さまから信頼をいただき、受け入れられ続けるよう、「コンプライアンス最優先」の事業遂行のもと、今後とも従業員一人ひとりが高い倫理観を持って事業を遂行し社会に貢献することにより、さらなる企業価値向上に努めていきます。 

43NECネッツエスアイレポート2019

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コーポレート・ガバナンス (2019年6月末現在)

 当社は、活き活きとしたコミュニケーションが行われる豊かな社会の実現と企業価値の持続的な向上のためには、コーポレート・ガバナンスの強化が重要であると考えています。そのために、当社は経営環境の変化に対応して迅速な意思決定を行うことが

できる経営体制をとるとともに、迅速かつ適切な開示を行うことで経営の透明性および健全性の確保に努めています。

コーポレート・ガバナンス強化の主な歴史施策内容 目的

2000年 執行役員制度を導入 監督機能と業務執行機能の分担を明確化

2005年取締役の員数枠を20人以内から10人以内に削減 意思決定の迅速化

取締役の任期を1年に短縮 取締役の経営責任を明確化

2006年 初の独立役員(社外監査役)を選任 経営の透明性向上

2008年 独立役員(社外取締役)を選任し、独立役員を2人に拡充 経営の透明性向上

2012年独立役員(社外取締役)を1人増員し、独立役員を3人に拡充 経営の透明性向上

初の女性取締役を選任 取締役の多様性の向上

2015年 独立役員(社外監査役)を1人増員し、独立役員を4人に拡充 経営の透明性向上

2016年

コーポレートガバナンス・コードへの対応強化:取締役会の実効性評価の開始、取締役・監査役トレーニングの体系化等の実施

経営監督機能の強化

独立役員(社外取締役)に初の企業経営経験者を選任 取締役の多様性の向上

指名・報酬に関わる、独立役員(社外取締役)を中心とした諮問会議を設置 経営の透明性向上

2017年独立役員(社外取締役)を1人(異業種の女性企業経営経験者)増員し、独立役員を5人に拡充株価連動型報酬を導入

経営の透明性向上 取締役の多様性の向上 企業価値向上に連動した報酬制度の強化

2019年 譲渡制限付株式報酬制度を導入 企業価値向上に連動した報酬制度の強化

コーポレート・ガバナンスの体制取締役会 取締役会は取締役10人(男性8人、女性2人。社外取締役3人)で構成されており、任期を1年とすることで取締役の経営責任を明確にする等、経営体質の強化に努めています。

監査役会 監査役会は監査役4人(うち社外監査役2人)で構成されています。業務監査および会計監査を実施し、取締役の職務執行状況を十分に監査する機能を果たしています。

社外監査役社外取締役

44 NECネッツエスアイレポート2019

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当社の業務執行、経営監視の体制および内部統制の仕組み

会計監査人

内部通報相談窓口(企業倫理ホットライン)

当社子会社

コーポレートスタッフ・ 営業部門・事業部門

子会社管理部門

業務執行

経営・監督

選任・解任 選任・解任

監査

(執行役員)

連携

管理・モニタリング

連携

監督

連携

監査

監査

連携

選任・解任

監査役会(監査役)

株主総会

取締役会(取締役)

経営品質向上委員会 経営監査部

常務会 事業執行会議

独立役員の状況 当社は、コーポレート・ガバナンスを一層強化するために、2006年より、一般株主と利益相反の生じるおそれがなく

十分な独立性を有している独立役員を選任しています。 東京証券取引所が定める独立役員の要件を満たす独立役員は、取締役3人、監査役2人の計5人と、全役員の3分の1超まで拡充しています。

 また、独立役員の構成についても、2018年6月には経営管理や会計に関する専門知識を有する取締役を、2019年6月には企業倫理やCSR等に関する高い知見を有する取締役を新たに選任する等多様化を進め、コーポレート・ガバナンス体制の強化を図っています。

氏名 選任理由 重要な兼任状況2019年3月期の出席回数

取締役会 監査役会

不破 久温企業経営経験者としての豊富な経験を当社経営に活かすとともに、業務執行を行う経営陣から独立した立場で当社経営全般に対し適切な助言や提言を行っていただいており、当社の企業価値向上に向けた経営の監督を行っていただくため

- 13/13 -

芦澤 美智子経営管理全般の専門知識と経験を活かし、客観的立場から当社の経営に対する適切な助言や提言を行っていただいており、当社の企業価値向上に向けた経営の監督を行っていただくため

・横浜市立大学 国際商学部 准教授・ 横浜市立大学  国際マネジメント研究科(大学院) 准教授・ 慶應義塾大学大学院  経営管理研究科 非常勤講師・ ネットイヤーグループ(株)  社外取締役(監査等委員)

11/11 -

村松 邦子グローバル感覚やコンプライアンス関連、CSR等の高い知見を活かして、客観的立場から当社の経営に対する適切な助言および監督を行っていただくため

・(株)ウェルネス・システム研究所  代表取締役・ 一般社団法人経営倫理実践研究センター 上席研究員・(株)ヨコオ 社外取締役

- -

菊池 祐司弁護士として会社法やコーポレート・ガバナンスに関する専門知識を有するとともに、これまでの知識と経験を活かし、社外者による公正・客観的な立場から業務執行の監査を行っていただくため

・東京八丁堀法律事務所 弁護士 13/13 15/15

堀江 正之大学教授として主に企業経営における内部統制やITリスクマネジメントに関する深い見識を有するとともに、これまでの知識と経験を活かし、社外者による公正・客観的な立場から取締役の業務執行の監査を行っていただくため

・日本大学 商学部 教授 12/13 14/15

※ 1. 取締役芦澤美智子氏は、2018年6月21日開催の第86期定時株主総会において新たに選任されたため、上記取締役会の開催・出席回数は選任後のものとなっています。 2. 取締役村松邦子氏は、2019年6月21日開催の第87期定時株主総会において新たに選任されました。

45NECネッツエスアイレポート2019

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政策保有株式 当社は、事業提携や取引関係の構築、維持、強化等の目的により、他社の株式を保有することがあります。政策保有株式については、毎年取締役会において、保有の狙いや意義が資本コストに見合っているか等について具体的に検証していま

2019年3月期実績区分 支給人数(名) 支給額(百万円)

取締役 13 185

 うち社外取締役 4 26

監査役 4 44

 うち社外監査役 2 10

※ 1. 使用人兼務取締役に対し、使用人分給与(賞与を含む)は支給していません。 2. 2018年6月21日開催の第86期定時株主総会終結の時をもって退任した取締役3人を

含んでいます。 3. 役員退職慰労金制度は、2007年6月26日開催の第75期定時株主総会終結の時を

もって廃止しています。

コーポレート・ガバナンス

す。なお、議決権行使については、投資先企業および当社グループの中長期的な企業価値の向上に資するものであるかを中心に総合的に検討を行ったうえで、賛否を判断しています。

役員報酬 当社役員の報酬は、業界における競争力を維持するとともに、業績向上のインセンティブとして機能させるため、適正な水準を設定し、会社業績との連動性を確保する等、職責や成果を反映した報酬体系としています。 報酬は、役位別に定めた一定水準での月額報酬と、前期の職務遂行に対する個人業績評価および中長期業績に対するインセンティブで構成されています。中長期業績のインセンティブ報酬については、これまで株価連動報酬としていましたが、取締役と株主の皆さまとの価値共有をさらに進めるために、2019年6月より譲渡制限付株式報酬を導入し、その比率も1

割程度へと増やしました。 なお、業務執行の監督という役割から、業務を執行しない取締役の報酬は、会社業績との連動は行わず一定の金額を支払っています。 取締役の報酬は、株主総会の決議により定められた報酬総額の上限の範囲内において、独立役員(社外取締役)を中心とした諮問会議にて議論を行い、その意見を踏まえた報酬基準にもとづき、取締役会から授権された代表取締役が決定します。

役員報酬構成比

 当社は、NECグループ会社として、NECグループ各社の提供するサービスにおいてシステム構築や保守サービス等を担当できる点やNECの持つブランド力や技術力/人材等の経営資源を活用できる点で大きなメリットを受けています。特に、現在注力している5Gはもちろん、デジタル領域においても、顔認証技術をはじめとしたNECの技術力は卓越しており、これを積極的に利用し、企業価値向上に結びつけていきます。 一方で、当社は独自の経営判断を行いながら事業運営を行っている独立上場会社です。これにより、お客さまやパートナー等社外から上場会社としての信用をいただき、従業員のモラルアップが図れるとともに、優れた人材の確

保が行いやすくなります。また、NEC製品にとらわれない幅広い製品、サービスにより、お客さまや社会のニーズに応じた事業展開が可能になっており、売上高に占める独自事業の割合は70%強を占めています。 特に、NECグループならではの品質へのこだわりを、マルチベンダー・サービスに展開している点は当社ならではの強みの1つとなっています。 このようなNECグループとしてのメリットと上場会社としてのメリットの双方を享受するためには、一般株主の権利をきちんと保護する体制が重要であり、前述の通り、独立取締役、独立監査役の充実をはじめとしたガバナンス体制の強化を進めています。

親会社との関係

譲渡制限付株式報酬約10%

業績連動 報酬(短期)約35%

固定報酬約55%

※基準額から算出した理論値

46 NECネッツエスアイレポート2019

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取締役会の実効性評価 当社では、コーポレートガバナンス・コードに則り、毎年、取締役会の実効性について評価を行い、強化・改善を図っています。

コーポレート・ガバナンス

新任社外取締役からのメッセージ

 私は、外資系半導体メーカーで広報部長、企業倫理室長、ダイバーシティ推進責任者等を務め、その後、「持続的成長可能な組織の基盤づくり」をテーマに、企業倫理、ダイバーシティ、ガバナンス等のアドバイザーを務めています。 当社は、経営トップ自らが「コンプライアンス最優先」をコミットするとともに、中期経営計画において明確に今後の方向性を示す等、攻めと守りのバランスが取れている印象があります。中長期的成長に向けて、イノベーションを加速する考えですが、これにはダイバーシティ&

インクルージョンの浸透が重要です。従業員一人ひとりの多様な視点やスキルを活かしあうことは、個人の生産性向上やチームとしての成長にもつながります。また、当社事業は、社会課題の解決と密接に関わっていますが、多様なステークホルダーとの共創には「コミュニケーション」が鍵となるでしょう。 私は、グローバル企業での実務経験と専門知識を活かし、当社のガバナンスがより実効性の高いものとなるよう、多様な視点を踏まえた助言を行い、当社の企業価値向上に貢献していきたいと考えています。

社外取締役

村松 邦子

さらなる実効性向上に向けた今後の取り組み

中長期の経営戦略等の議論の充実およびそれに向けたフォローアップや意見交換会等の機会の充実 取締役として期待される役割・責務を適切に果たすために必要な知識提供の機会拡充

評価の結果

2019年3月期は、全体として適切に運営されており、取締役会全体の実効性は確保されていると評価しています。

評価方法

取締役会メンバー全員に対し、取締役会全体の実効性等に関するアンケートを毎年実施するとともに、一部、個別インタビューを行いました。

評価の観点(評価項目)

取締役会の構成 取締役会の運営方法 取締役会の役割 役員への支援体制

47NECネッツエスアイレポート2019

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社外取締役が語るNECネッツエスアイ

1年間の取締役会の主な変化

芦澤 この1年を振り返ると、他社との提携を含む新規事業に関する議案が多かった印象があります。例えば、パートナー企業との間で、どのような補完関係が成立し、共通のゴールをどこに置くかといった議論を念入りに行いました。当社が、本格的な進化に向けて動き出したと感じました。不破 当社の取締役会は、時間をかけて議論を尽くそうとしています。新規事業の審議の場では、取締役会の意見に沿って、提案内容が修正される場面もありましたね。

1年間の取締役会の変化や、ガバナンス、戦略の課題を中心に、2人の社外取締役に意見交換していただきました。

芦澤 新規事業を推進していくにあたっては、リスクはきちんと指摘する一方で、取締役会のメンバーには、挑戦する人を応援しようという、「攻めのガバナンス」の姿勢があるとも思います。不破 前年との比較では、取締役会に上程する議案についてより丁寧な事前説明をいただくようになりました。取締役会の効率化と活性化につながっていると評価しています。また、昨年の統合報告書での鼎談で課題として挙げた投資のリスク管理についても、改善が進んできたと思います。社外取締役の立場から、それぞれの案件のリスクを明確にして取締役会で共有できるよう努力してきましたが、案件審議のなかで、リスクマネジメントの具体的課題についても十分に議論されるようになってきました。芦澤 リスクについては、パートナー企業との協業が増えているので、そのリスク負担についてきちんと議論することが今後の課題になってきますね。

社外取締役

不破 久温2011年 JVC・ケンウッド・ホールディングス(株) (現・(株)JVCケンウッド)代表取締役社長(CEO) 日本ビクター(株)代表取締役社長 (株)ケンウッド取締役社長 J&Kカーエレクトロニクス(株)取締役社長 (株)JVCケンウッド代表取締役社長2012年 (株)JVCケンウッド特別顧問2016年 当社社外取締役(現任)

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いて評価することに意義があり、そこから気づきも出てくると考えています。日常の経営では、実際に業務執行する経営陣の状況判断力、行動への決断力、課題取り組みへの断行力が問われますが、これらの力を社外役員が総合的な視野とガバナンスの目線で評価することが、経営に重要な気づきをもたらすのです。芦澤 社外取締役については、取締役会の1/3超とすることは、取締役会の多様性の観点からも重要ですので、検討いただくよう申し上げています。当社の特徴である上場子会社としてのガバナンスに関しては、2つの論点があると思います。1つは「親会社とのシナジーをいかに活かすか」という点です。これにはNECからの取締役が積極的に発言しており、活発な議論がなされています。概案事案に関係して活用の可能性がありそうなNECのアセットの提案や、NECでの最近の取り組み例の紹介等は企業価値向上のために重要だと思います。一方、こうした議論と常にセットで考えるべ

攻めのガバナンスのさらなる強化に向けて

芦澤 当社の取締役会は、マネジメント型から徐 に々モニタリング型に変わりつつあると考えています。「攻めのガバナンス」をより強化するうえでは、戦略の議論により時間を割いて良いのではないかと思います。例えば、個別案件についても、より大局的な戦略のなかでの議論に、もう少し時間を割く必要があるのではないかと思います。リスクとリターンについても、個 の々案件だけで考えるのではなく、他の事業を含めると、どのような評価ができるのか、全社横断的な経営資源の使い方や、管理・財務面での戦略をも踏まえた議論が重要です。すでにこうした私の問題意識は伝えており、取締役会のなかでも共有されています。不破 業務執行役員はそれぞれの専門分野の知識や経験が豊かですが、社外取締役はそれぞれの分野から距離をお

社外取締役

芦澤 美智子1996年 センチュリー監査法人国際部

(現・有限責任あずさ監査法人)入所 ※2001年5月退所2003年 (株)産業再生機構入社2006年 アドバンテッジパートナーズ有限責任事業組合 (現・(株)アドバンテッジパートナーズ)入社2013年 横浜市立大学国際総合科学部(現・国際商学部)

准教授(現任) 横浜市立大学国際マネジメント研究科(大学院)

准教授(現任)2016年 慶應義塾大学大学院経営管理研究科

非常勤講師(現任)2018年 当社社外取締役(現任)

49NECネッツエスアイレポート2019

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性を検討して欲しいということです。その他にも性別、国際経験等の多様性はもう一段高めていただくよう申し上げています。取締役会に限らず、今後、イノベーションを生み出していくうえでは、従業員についても同じことが言えます。当社では、私たち社外役員に事業や議案の事前説明に来るのも男性従業員がほとんどですが、定期的に行っている女性従業員との懇談会等を通じて、女性従業員の皆さんが非常に良い意見を持って活躍していると感じています。まずは、そのようななかから、早く女性の執行役員が出てきて欲しいと考えています。不破 諮問会議では、報酬制度についても議論しました。取締役の報酬は、従前から業績に連動したものでした。今年度は長期ビジョンへの努力と報酬を連動させたいという議論のなかで、私は、譲渡制限付株式を付与することを提案しました。その結果、全体の報酬枠は変わりませんが、一部を株式で付与することが株主総会で可決されました。当社は、公共性・社会性が高い企業ですから、より長期的な視座で、企業価値を高めていく動機づけとして有効だと思っています。

2030年のありたい姿、中期経営計画

Beyond Borders 2021について

芦澤 外部環境が大きく変化するなかで、さまざまな面で既存の枠組みを超えた、まさにBeyond Bordersと言える計画になっていることを高く評価しています。働き方改革に対する提案力や、米国シリコンバレーでの商材発掘基盤等、当社が他社に先駆けて培ってきたものがあり、それらを存分に発揮できる中期経営計画です。ワクワクする計画だと思います。不破 そうですね。当社は現在、事業ポートフォリオをはじめ、事業構造を大きく変えていくべき時期に差しかかっていると思います。今回の計画策定に際してそのことを認識したのではなく、数年前から新たな市場へのアクセスを試みたり、持っている技術をもう少し磨けないかといった検討がなされたりしてきました。「これに取り組もう」という具体的な

きは、「少数株主の保護」というもう1つの視点で、この点は社外取締役の重要な責務として特に意識しています。めったにないことですが、NEC目線の発言と感じる時には、厳しく意見を言うこともありました。不破 取締役会構成1/3超の議論で求められていることは、人数の構成比だけではなく、株主が納得するようなガバナンス体制の構築に、個々の役員がリーダーシップを発揮することだと理解しています。私もこの点に留意しています。NEC

からの取締役も、当社固有のガバナンスに取り組む姿勢で発言しています。さらに社外監査役も取締役会で積極的に意見を述べており、当社のガバナンス体制の維持、向上に努めていると思います。芦澤 諮問会議ではさまざまな議論をしましたが、私は、特に多様性について意見を申し上げました。例えば、取締役の年齢構成が社長と同年代に偏っているため、年齢の多様

社外取締役が語るNECネッツエスアイ

これまで培ってきた

コアコンピタンスを存分に

発揮できる計画として、 ワクワクしています。 芦澤

50 NECネッツエスアイレポート2019

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事業領域とその組み合わせ(ポートフォリオ)を特定したのは2年ほど前で、それが近年の戦略的な提携にもつながり、さらに中期経営計画に落とし込まれたのだと思います。芦澤 中期経営計画の策定に向けて、私たちもさまざまな意見を言いましたね。コアコンピタンスの1つである「事業創出力」という表現は、我々社外取締役が外から見た当社の強みを意見し、特定に行きついた例です。例えば当社の従業員がZoomといった競争力の高いプロダクトを米国で発掘し、それを実際のビジネスにつなげ、日本で広げてきました。これは自社では当たり前のように感じているものの、外部の視点で見て当社ならではの価値創造の源泉であると考えました。このように、自社では気づかない強みや弱みを、指摘することも社外取締役の重要な役割だと思っています。不破 中期経営計画には、そうしたコアコンピタンスを活かし、「こういうことをやろう」というビジョンと、実現に向けた道筋が盛り込めていると思っています。もちろん、さまざまな競合他社が参入してくる新しい領域をターゲットとするなかで、市場の競争要因分析は一層強化しなければなりません。厳しい競争環境のなかで勝ち進んでいくためには、 執行経営陣が、新規、既存を問わず、それぞれの事業で

当社のコアコンピタンスを活かして、当社が提供できる価値は何かを、広い視野をもって、つねに自問し続ける必要があると思います。市場や提携先がいかに魅力的かという

話はよく議論の俎上に上がりますが、ひるがえって当社はそこでどのような価値を提供できるのか、当社を高く評価

してもらえるようなものが必要だと思うのです。先日、EmpoweredOf�ce担当部門の人と話したのですが、彼らがこの事業で蓄積してきた豊富なノウハウは、当社が提供する新しい価値を創造していけると確信しました。芦澤 今後の課題については2点あると思います。1点目は、描いた戦略を着実に推進していくためには、役員だけでなく従業員一人ひとりが今後の方向性について理解することが重要だということです。そのためには、社長が戦略をかみ砕きながら、「壊れたレコード」のように繰り返し語りかけていかねばならないと思いますし、従業員とも何度も議論を積み重ねていくことも必要になります。2点目は、当社の価値をより発信していくこと、特に社会に貢献していることの発信

の重要性です。そのためにはSDGs(持続可能な開発目標)に貢献しているというメッセージをより強く発信していくと

良いと思います。ITサービスの領域は社会への貢献が直感的に分かりにくいので難しい面もありますが、例えばEmpoweredOf�ceは、働きがいと経済成長の両立を支える他、エネルギー負荷低減等の面からもSDGsにとても貢献しています。当社従業員がグローバルプレイヤーということを自覚し、また社外から認知を得るためにも、私たちも取締役会で議論を深めていきたいと思います。不破 そうですね。SDGsに関しては、当社が未来社会から求められている価値は何かについて、現在の市場をはるかに越えて、開かれた社会を視野に思索する姿勢こそ重要だと考えています。まさに、当社の「Beyond Borders」の姿勢です。今後も執行経営陣とともに、経営のなかに、このような姿勢が反映されるよう努力していきたいと思います。

現在、事業構造を

大きく変えていくべき時期に

差しかかっていると思います。  不破

51NECネッツエスアイレポート2019

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取締役・監査役(2019年6月21日現在)

取締役執行役員会長

和田 雅夫取締役執行役員常務

野田 修代表取締役執行役員社長

牛島 祐之

取締役

芦田 潤司取締役

工藤 守彦

取締役執行役員常務

郷司 昌史

社外取締役

不破 久温社外取締役

芦澤 美智子社外取締役

村松 邦子取締役執行役員常務

関澤 裕之

取締役

52 NECネッツエスアイレポート2019

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取締役・監査役(2019年6月21日現在)

監査役(常勤)

坂梨 恒明監査役(常勤)

岩﨑 尚輝

社外監査役

菊池 祐司社外監査役

堀江 正之

企業経営者 経営管理・経営企画 財務・経理 法律 内部統制・

リスク管理 CSR

社外取締役不破 久温 〇 〇 〇

社外取締役芦澤 美智子 〇 〇

社外取締役村松 邦子 〇 〇 〇

社外監査役菊池 祐司 〇

社外監査役堀江 正之 〇

監査役

社外取締役・社外監査役の主なバックグラウンド・専門性

53NECネッツエスアイレポート2019

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主要財務データ(連結)

2010年3月期 2011年3月期 2012年3月期 2013年3月期 2014年3月期 2015年3月期 2016年3月期 2017年3月期 2018年3月期 2019年3月期

経営成績(百万円) (千米ドル)※1

受注高 ¥222,046 ¥212,277 ¥215,373 ¥241,271 ¥280,071 ¥299,097 ¥274,946 ¥279,241 ¥287,831 ¥284,739 $2,565,447

売上高 217,727 217,948 204,658 235,716 270,326 292,164 279,961 257,912 267,939 277,949 2,504,270

売上総利益 32,938 33,132 32,079 37,182 44,690 48,110 45,162 42,585 44,265 47,681 429,597

営業利益 9,867 10,835 9,747 12,483 14,418 16,158 14,111 9,974 11,057 12,774 115,091

売上高営業利益率(%) 4.5 5.0 4.8 5.3 5.3 5.5 5.0 3.9 4.1 4.6 ̶

親会社株主に帰属する当期純利益 5,644 4,660 4,474 7,246 8,257 7,791 5,996 6,549 7,357 8,885 80,052

財政状態(会計年度末)(百万円) (千米ドル)※1

総資産※2 ¥146,543 ¥149,464 ¥149,130 ¥167,472 ¥189,059 ¥201,904 ¥196,505 ¥197,386 ¥207,643 ¥216,171 $1,947,661

純資産 73,849 77,005 80,074 85,974 89,166 94,173 94,397 96,674 101,732 107,608 969,528

自己資本 73,213 76,445 79,503 85,266 87,514 92,559 92,738 94,611 99,473 104,888 945,022

キャッシュ・フロー(百万円) (千米ドル)※1

営業活動によるキャッシュ・フロー ¥16,070 ¥ (1,595) ¥18,595 ¥ (1,723) ¥23,313 ¥ 2,460 ¥ 9,435 ¥22,634 ¥ 4,779 ¥ 8,396 $ 75,646

投資活動によるキャッシュ・フロー (1,885) (1,904) (2,648) (3,429) (5,504) (3,929) (2,822) (2,697) (2,802) (5,604) (50,491)

フリー・キャッシュ・フロー 14,184 (3,499) 15,946 (5,152) 17,809 (1,469) 6,613 19,936 1,976 2,791 25,155

財務活動によるキャッシュ・フロー (1,382) (337) (3,979) (2,066) (3,824) (4,127) (1,402) (4,144) (4,366) (5,615) (50,590)

現金および現金同等物の期末残高 29,514 25,587 37,456 30,315 44,434 38,951 43,889 59,648 57,281 54,354 489,719

1株指標(円) (米ドル)※1

EPS(1株当たり当期純利益) ¥ 113.50 ¥ 93.72 ¥ 89.98 ¥ 145.73 ¥ 166.06 ¥ 156.72 ¥ 120.80 ¥ 131.94 ¥ 148.23 ¥ 179.02 $ 1.61

BPS(1株当たり純資産) 1,472.14 1,537.19 1,598.77 1,714.74 1,760.06 1,864.61 1,868.25 1,906.03 2,004.04 2,113.19 19.04

1株当たり年間配当金 25.00 26.00 28.00 45.00 60.00 64.00 70.00 72.00 74.00 78.00 0.70

主な指標(%)

ROE(自己資本当期純利益率)※3 8.0 6.2 5.7 8.8 9.6 8.7 6.5 7.0 7.6 8.7 ̶

ROA(総資産経常利益率)※4 6.7 7.3 6.3 7.7 8.2 8.3 7.1 5.1 5.4 6.1 ̶

自己資本比率 50.0 51.1 53.3 50.9 46.3 45.8 47.2 47.9 47.8 48.5 ̶

DOE(自己資本配当率) 1.8 1.7 1.8 2.7 3.5 3.5 3.8 3.8 3.8 3.8 ̶

配当性向 22.0 27.7 31.1 30.9 36.1 40.8 57.9 54.6 49.9 43.6 ̶

その他

期末従業員数(名) 5,998 5,939 5,936 6,024 7,164 7,260 7,464 7,572 7,657 7,743 ̶

発行済株式総数(期末:株) 49,773,807 49,773,807 49,773,807 49,773,807 49,773,807 49,773,807 49,773,807 49,773,807 49,773,807 49,773,807 ̶

※1: 便宜上、2019年3月31日の外国為替レート「1米ドル=110.99円(TTM)」で換算しています。※2:「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)を2019年3月期より適用しており、2015年3月期から2018年3月期については、

当該会計基準の遡及適用後の数値です。※3: ROE=親会社株主に帰属する当期純利益/期中平均自己資本(期初自己資本と期末自己資本の平均)×100※4: ROA=経常利益/期中平均総資産(期初総資産と期末総資産の平均)×100

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主要財務データ(連結)

2010年3月期 2011年3月期 2012年3月期 2013年3月期 2014年3月期 2015年3月期 2016年3月期 2017年3月期 2018年3月期 2019年3月期

経営成績(百万円) (千米ドル)※1

受注高 ¥222,046 ¥212,277 ¥215,373 ¥241,271 ¥280,071 ¥299,097 ¥274,946 ¥279,241 ¥287,831 ¥284,739 $2,565,447

売上高 217,727 217,948 204,658 235,716 270,326 292,164 279,961 257,912 267,939 277,949 2,504,270

売上総利益 32,938 33,132 32,079 37,182 44,690 48,110 45,162 42,585 44,265 47,681 429,597

営業利益 9,867 10,835 9,747 12,483 14,418 16,158 14,111 9,974 11,057 12,774 115,091

売上高営業利益率(%) 4.5 5.0 4.8 5.3 5.3 5.5 5.0 3.9 4.1 4.6 ̶

親会社株主に帰属する当期純利益 5,644 4,660 4,474 7,246 8,257 7,791 5,996 6,549 7,357 8,885 80,052

財政状態(会計年度末)(百万円) (千米ドル)※1

総資産※2 ¥146,543 ¥149,464 ¥149,130 ¥167,472 ¥189,059 ¥201,904 ¥196,505 ¥197,386 ¥207,643 ¥216,171 $1,947,661

純資産 73,849 77,005 80,074 85,974 89,166 94,173 94,397 96,674 101,732 107,608 969,528

自己資本 73,213 76,445 79,503 85,266 87,514 92,559 92,738 94,611 99,473 104,888 945,022

キャッシュ・フロー(百万円) (千米ドル)※1

営業活動によるキャッシュ・フロー ¥16,070 ¥ (1,595) ¥18,595 ¥ (1,723) ¥23,313 ¥ 2,460 ¥ 9,435 ¥22,634 ¥ 4,779 ¥ 8,396 $ 75,646

投資活動によるキャッシュ・フロー (1,885) (1,904) (2,648) (3,429) (5,504) (3,929) (2,822) (2,697) (2,802) (5,604) (50,491)

フリー・キャッシュ・フロー 14,184 (3,499) 15,946 (5,152) 17,809 (1,469) 6,613 19,936 1,976 2,791 25,155

財務活動によるキャッシュ・フロー (1,382) (337) (3,979) (2,066) (3,824) (4,127) (1,402) (4,144) (4,366) (5,615) (50,590)

現金および現金同等物の期末残高 29,514 25,587 37,456 30,315 44,434 38,951 43,889 59,648 57,281 54,354 489,719

1株指標(円) (米ドル)※1

EPS(1株当たり当期純利益) ¥ 113.50 ¥ 93.72 ¥ 89.98 ¥ 145.73 ¥ 166.06 ¥ 156.72 ¥ 120.80 ¥ 131.94 ¥ 148.23 ¥ 179.02 $ 1.61

BPS(1株当たり純資産) 1,472.14 1,537.19 1,598.77 1,714.74 1,760.06 1,864.61 1,868.25 1,906.03 2,004.04 2,113.19 19.04

1株当たり年間配当金 25.00 26.00 28.00 45.00 60.00 64.00 70.00 72.00 74.00 78.00 0.70

主な指標(%)

ROE(自己資本当期純利益率)※3 8.0 6.2 5.7 8.8 9.6 8.7 6.5 7.0 7.6 8.7 ̶

ROA(総資産経常利益率)※4 6.7 7.3 6.3 7.7 8.2 8.3 7.1 5.1 5.4 6.1 ̶

自己資本比率 50.0 51.1 53.3 50.9 46.3 45.8 47.2 47.9 47.8 48.5 ̶

DOE(自己資本配当率) 1.8 1.7 1.8 2.7 3.5 3.5 3.8 3.8 3.8 3.8 ̶

配当性向 22.0 27.7 31.1 30.9 36.1 40.8 57.9 54.6 49.9 43.6 ̶

その他

期末従業員数(名) 5,998 5,939 5,936 6,024 7,164 7,260 7,464 7,572 7,657 7,743 ̶

発行済株式総数(期末:株) 49,773,807 49,773,807 49,773,807 49,773,807 49,773,807 49,773,807 49,773,807 49,773,807 49,773,807 49,773,807 ̶

※1: 便宜上、2019年3月31日の外国為替レート「1米ドル=110.99円(TTM)」で換算しています。※2:「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)を2019年3月期より適用しており、2015年3月期から2018年3月期については、

当該会計基準の遡及適用後の数値です。※3: ROE=親会社株主に帰属する当期純利益/期中平均自己資本(期初自己資本と期末自己資本の平均)×100※4: ROA=経常利益/期中平均総資産(期初総資産と期末総資産の平均)×100

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会社概要(2019年3月31日現在)

商号 NECネッツエスアイ株式会社 英文商号

NEC Networks & System Integration Corporation

本社所在地 〒112-8560

東京都文京区後楽2-6-1 飯田橋ファーストタワー URL: https://www.nesic.co.jp/

創立 1953年12月1日設立 1953年11月26日資本金 131億22百万円従業員数 単体:4,841名 連結:7,743名事業年度 毎年4月1日から翌年3月31日まで定時株主総会 毎年6月開催上場証券取引所 東京証券取引所 市場第一部

(証券コード:1973)会計監査人 有限責任あずさ監査法人株主名簿管理人 東京都千代田区丸の内一丁目4番1号

三井住友信託銀行株式会社

SNAMサステナビリティ・インデックス

健康経営優良法人2019 テレワーク先駆者百選 くるみんマーク 「女性活躍推進マークえるぼし」最高ランク

主な外部評価

主要連結子会社

海外 NESIC BRASIL S/A

NESIC (Thailand) Ltd.

NESIC PHILIPPINES, INC.

Networks & System Integration Saudi Arabia Co.Ltd.

ICT Star Group Myanmar Co., Ltd.

国内 NECマグナスコミュニケーションズ株式会社 株式会社ニチワ NECネットイノベーション株式会社 キューアンドエー株式会社 K&Nシステムインテグレーションズ株式会社 NECネッツエスアイ・サービス株式会社

56 NECネッツエスアイレポート2019

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株式情報(2019年3月31日現在)

株主数 7,591名発行可能株式総数 100,000,000株発行済株式総数 49,773,807株単元株式数 100株

大株主(上位10名)

株主名 所有株式数 (千株)

持株比率 (%)

日本電気株式会社 19,106 38.49

日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社 (三井住友信託銀行再信託分・日本電気株式会社退職給付信託口) 6,400 12.89

日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口) 3,852 7.76

日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 2,899 5.84

住友不動産株式会社 1,200 2.42

日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口9) 1,034 2.08

NECネッツエスアイ従業員持株会 697 1.41

GOVERNMENT OF NORWAY 649 1.31

THE BANK OF NEW YORK MELLON 140044 502 1.01

SSBTC CLIENT OMNIBUS ACCOUNT 491 0.99

※ 1. 日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(三井住友信託銀行再信託分・日本電気株式会社退職給付信託口)の持株数は日本電気株式会社が退職給付信託として当社株式を拠出したものであり、実質的には日本電気株式会社の議決権に含まれます。よって、2019年3月31日現在の日本電気株式会社の実質的な議決権保有割合は51.48%です。

 2. 持株比率は、「自己株式(138,615株)」および「株主名簿上当社の名義となっていますが実質的に所有していない株式(100株)」を控除して計算しています。

所有者別状況(株式数比率)(%)

(年3月期末)

80

100

60

40

20

02017

8.60.3

21.2

41.1

1.0

27.8

2016

8.00.3

23.6

41.0

0.6

26.6

2015

7.40.3

17.2

41.1

0.4

33.6

2018

8.20.3

18.7

41.2

0.9

30.7

2019

7.10.3

21.9

41.2

0.7

28.8

金融機関  証券会社  その他法人  外国人(法人、個人)  個人その他  自己株式 

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