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1 Japan Internaonal Cooperaon Agency LAOS UPDATE >>>9 2017| Vol. 20 東西経済回廊を結ぶ 、国道9号線の橋梁改修がいよいよスタートします! 83日(木)、ラオス中部に位置するサバナケット 県ピン郡で無償資金協力「国道9号線橋梁改修計画」の 起工式が行われ、ブンチャン公共事業運輸大臣、引原 在ラオス日本国大使、米山JICAラオス事務所長をはじ め、多くの関係者が参加しました。 今回のプロジェクトは、国道9号線に含まれる「セク ムカーム橋」と「セタームアック橋」の2橋梁の改修を 行うもので、日本の無償資金協力で実施されます。 ラオス中部を横切るように走る国道9号線は、インド シナ半島のラオス、ミャンマー、タイ、ベトナムの4国をつなぐ東西経済回廊の一部です。内陸国であるラ オスにとって道路交通の果たす役割は大きく、周辺国 との関係強化とASEAN統合に向けた域内の経済格差是 正の観点からも重要な道路です。 また同国道は、サバナケット県西部の18万人を超え る人々の中心部へのアクセスにも使用されることから 現地の人々の日常生活を支える重要な役割も担ってい ます。しかし2橋梁を含む同国道は大型車輌の通行量の 増加などにより損傷が拡大し、改修が必要な状態にあ ります。これを受けて、本プロジェクトは安全で円滑 な交通路確保を図ることを目的として2橋梁の架け替え を行うものです。 橋梁の形式には日本の技術が活用され、改修される2 つの橋梁は、ラオスで初めての対候性鋼とコンクリー トの合成床版橋となります。この技術によりライフサ イクルコストの削減と修築期間の短縮が可能になるた め、持続的な維持管理に課題を抱えるラオスに配慮し た改修計画となっています。 本プロジェクトは、20196月末の完工を予定して おり、この2つの橋梁の改修により、ラオスの人々の安 全で安定した交通網の確保、そしてASEAN全体の連結 性向上による社会経済の発展が期待されます。 国道9号線に架かるセタームアック橋(手前は工事中に通行するための仮橋) プロジェクトの詳細はこちらをご覧ください。 hps://www.jica.go.jp/oda/project/1660150/index.html 撮影:㈱安藤・間

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Japan International Cooperation Agency

LAOS UPDATE >>>9 2017| Vol. 20

東西経済回廊を結ぶ 、国道9号線の橋梁改修がいよいよスタートします!

8月3日(木)、ラオス中部に位置するサバナケット

県ピン郡で無償資金協力「国道9号線橋梁改修計画」の

起工式が行われ、ブンチャン公共事業運輸大臣、引原

在ラオス日本国大使、米山JICAラオス事務所長をはじ

め、多くの関係者が参加しました。

今回のプロジェクトは、国道9号線に含まれる「セク

ムカーム橋」と「セタームアック橋」の2橋梁の改修を

行うもので、日本の無償資金協力で実施されます。

ラオス中部を横切るように走る国道9号線は、インド

シナ半島のラオス、ミャンマー、タイ、ベトナムの4か

国をつなぐ東西経済回廊の一部です。内陸国であるラ

オスにとって道路交通の果たす役割は大きく、周辺国

との関係強化とASEAN統合に向けた域内の経済格差是

正の観点からも重要な道路です。

また同国道は、サバナケット県西部の18万人を超え

る人々の中心部へのアクセスにも使用されることから

現地の人々の日常生活を支える重要な役割も担ってい

ます。しかし2橋梁を含む同国道は大型車輌の通行量の

増加などにより損傷が拡大し、改修が必要な状態にあ

ります。これを受けて、本プロジェクトは安全で円滑

な交通路確保を図ることを目的として2橋梁の架け替え

を行うものです。

橋梁の形式には日本の技術が活用され、改修される2

つの橋梁は、ラオスで初めての対候性鋼とコンクリー

トの合成床版橋となります。この技術によりライフサ

イクルコストの削減と修築期間の短縮が可能になるた

め、持続的な維持管理に課題を抱えるラオスに配慮し

た改修計画となっています。

本プロジェクトは、2019年6月末の完工を予定して

おり、この2つの橋梁の改修により、ラオスの人々の安

全で安定した交通網の確保、そしてASEAN全体の連結

性向上による社会経済の発展が期待されます。

国道9号線に架かるセタームアック橋(手前は工事中に通行するための仮橋)

プロジェクトの詳細はこちらをご覧ください。 https://www.jica.go.jp/oda/project/1660150/index.html

撮影:㈱安藤・間

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September 2017 JICA Laos Office

>>>News Update ラオスの子どもたちに学校を!

ラオス南部に「青い屋根・白い壁」の中学校が44校建設されました

NADCで行われた起工式

8月17日(木)、ビエンチャン市にあるナムスワン養殖開発センター

(NADC※1)において、無償資金協力「漁業養殖研究開発強化計画」の起工

式が行われ、プアンパリサック農林副大臣、引原在ラオス日本国大使や米

山JICAラオス事務所長が出席しました。本プロジェクトにおいて、NADC

における養殖関連施設や資器材の整備と水棲生物資源研究センター(LARR

eC※2)の研究用資機材が整備されます。

内陸国であるラオスの国民にとって、淡水魚を主とする水産物は主要な

たんぱく質源であり、一人あたりの年間水産物消費量も年々増加傾向にあ

ります。しかし、国内の漁業生産量のうち、養殖が約70パーセントと大部

分を占めているにも関わらず、国内での稚魚生産量が不十分であることか

ら、タイなど近隣諸国からの輸入に頼っているのが現状です。

本プロジェクトでは、養殖魚の種苗生産増大と研究検査体制の構築を図

り、ラオスの養殖魚生産量の増加及び漁業従事者の生計向上に寄与するこ

とを目的としており、同時に良質なたんぱく質源の国内自給が進むことで

「国民の栄養状態の改善」という重要課題にも貢献することが期待されて

います。

※1 NADC: Namxouang Aquaculture Development Center ※2 LARReC: Living Aquatic Resources Research Center

栄養価の高い淡水魚の養殖に向けて -漁業養殖研究開発強化計画ー

無償資金協力「南部中等教育改善計画」により、南部3県(サラワ

ン県、セコン県、アタプー県)に中学校が44校建設されました。8月

4日(金)にサラワン県にあるノンサイ中学校で行われた引渡し式に

は、センドゥアン教育・スポーツ大臣、プートンサラワン副県知事、

引原在ラオス日本国大使、米山JICAラオス事務所長ら多くの関係者が

出席し、校舎の完成を祝いました。

建設された44校舎には、250教室、21職員室、32トイレ等の施設

が整備され、インクルーシブ教育(障害者を一般的な教育制度から排

除しない教育)に配慮した車いすスロープも併設されています。これ

らの学校が建設されたことにより、今まで中学校に通うことが困難

だった子どもたちの就学が実現します。

2008年から続くJICAによる学校建設支援は本プロジェクトが3件目

となり、これまで建設支援してきた学校は合計で250校を超えまし

た。JICAが建設してきた学校はすべて、青い屋根と白い壁で外観が統

一されており、ラオスの赤土と青空によく映えると好評です。

ラオス政府は第8次社会経済開発計画(2016-2020)において、

2020年までに子どもたちの中等教育就学率85%を目標としており、

本プロジェクトはその目標達成にも大きく貢献しています。

新校舎の前に並ぶ生徒たち

ノンサイ中学校で行われた引渡式

NADC施設の完成予想図

プロジェクトの詳細はこちらをご覧ください。 https://www.jica.go.jp/oda/project/1460580/index.html

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September 2017 JICA Laos Office

東南アジア版オリンピックに協力隊がラオス代表コーチとして参加!

>>>Volunteer’s Eye

右)陸上代表チーム

(後列右から5番目が山田隊員)

8月30日から約2週間、マレーシアのクアラルンプー

ルで第29回東南アジア競技大会(Sea Games)が行われ

ました。東南アジア版オリンピックとも呼ばれる同大会

には、柔道隊員の村山寛隊員と荒田幸里隊員、陸上競技

隊員の山田涼馬隊員が、それぞれの連盟からの要請を受

けてラオス代表チームのコーチとして帯同し、選手の活

躍をサポートしました。

柔道では、国際大会初出場の若い選手が多かったラオ

ス代表ですが、出場した6人全員が「一本勝ちで一勝」

をあげ歓喜に沸き、村山隊員が指導しているラーニャイ

選手が銅メダルを獲得する快挙を成し遂げました!

また陸上でも、山田隊員が普段から指導しているシリ

ナ選手が女子100mと200mでラオス記録を樹立し、大

舞台で日頃の練習の成果を発揮しました!

今回の大会に参加した選手たちは2020年の東京五輪へ

の出場も期待されており、リオ五輪に続き、東京でもラ

オスの協力隊の教え子の雄姿を見ることができるかもし

れません。

今後も彼らの活躍にご注目ください!

左)柔道代表チーム

(右端2人が柔道隊員)

憧れのプロ選手がコーチに! ーシェンクワンでサッカー教室を開催ー

8月5日(土)、ラオスのプロサッカーチームLao

Toyota FCに所属する、山口廉史選手がシェンクワン県

を訪問し、シェンクワン県教育スポーツ局でサッカー隊

員として活動している高尾翼隊員と共にサッカー教室を

開催しました。

Lao Toyota FCは今シーズン、国内リーグを制した

チャンピオンチームで、ラオスでサッカーをしている子

どもたちにとっては憧れの的です。そのチームから選手

が来るということで、プロチームがないシェンクワンの

子どもたちは前日から待ちきれない様子でした。

サッカー教室当日、子どもたちは山口選手からボー

ルを奪おうと果敢に挑戦してみたり、ボールを取られ

てくやしがったりと、とても良い表情をたくさん見せ

てくれました。

最後には山口選手がチームメイトの日本人選手たち

と用意したサッカー用具をプレゼントしてもらって、

子どもたちは大喜び。その後も山口選手にサインをし

てもらったり、写真をたくさん撮ってもらったりと、

サッカーが大好きな子どもたちにとって忘れられない1

日となりました。

選手のみなさん、ありがとう

ございました!!

右)山口選手(右から2番目)

と記念撮影

左)初めてプロ選手と

サッカーをする子どもたち

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September 2017 JICA Laos Office

>>>JICA’s VOICE 発行責任者

JICAラオス事務所広報班

記事へのご意見・ご感想をお寄せください。

2nd Floor,

Sacombank Building,

044 Haengboun Rd,

Ban Haisok,

Chanthabouly District

Vientiane Capital, Lao P.D.R

郵便物宛先:

P.O.Box3933, Vientiane, LAO P.D.R.

Tel:+856-21-241100

Fax:+856-21-241101-2

E-mail: [email protected]

JICA PLAZA LAOS

JICA事業と国際協力の情報窓口とし

て、JICAラオス事務所内に設置され

ています。ご関心のある方は、ぜひ

お立ち寄りください。

場所:JICAラオス事務所 受付横

開館時間:月~金

8:30-12:00、13:30-17:00

◆最新情報はこちらから!

JICA Laos HP

http://www.jica.go.jp/laos/index.html

Facebook

https://m.facebook.com/jicalaos/

YouTube

https://www.youtube.com/user/

【編集後記】

10月14日から22日まで、ビエンチャンのITECC(アイ

テック)というショッピングモールで「ハンディクラフト

フェスティバル」が開催され、ラオス中から素敵なハン

ディクラフトが大集合します。日ごろコミュニティ開発に

携わっている協力隊員もブースを出しますので、お時間の

ある方はぜひ会場に足を運んでみてください!(鈴木も)

JICAエッセイコンテストの受賞者がラオスを訪問

ー学生たちが見て、感じた不発弾処理の現場ー

7月25日から27日まで、「JICA国際協力中学生・高校生エッセイコンテス

ト2016」(テーマ「未来の地球のためにー私たち一人一人にできるこ

とー」)で受賞した学生8名がラオスの古都ルアンパバーンを訪問しまし

た。学生たちはラオスの開発課題である不発弾処理現場の視察や、こども文

化センターでのラオスの子どもたちとの交流、歴史的建造物の見学や伝統儀

式(バーシー)への参加など、3日間で様々な体験をしました。

国際関係に関心の高い学生たちは、特に不発弾問題に高い関心を示してお

り、青年海外協力隊として不発弾除去組織(UXO Lao)で活動する伊藤珠希

隊員(PCインストラクター)とともに、町中から車で20分ほどの場所にある

村の小学校でUXO危険回避教育を見学した後、実際の処理現場も訪問しまし

た。現場までの道の悪さや生活圏と現場の近さを目の当たりにし、テニス

ボールサイズの小さな不発弾の爆破処理の瞬間には、あまりの音と振動の大

きさに全員が固まってしまうほどの衝撃があるのだということを身を以て体

験することになりました。

最終日には「もっと多くの人

にラオスや不発弾のことを知っ

てもらいたい」「ラオスに対し

て何かしたいという気持ちがさ

らに高まった」といった感想が

述べられました。学生のみなさ

んにとって、夏休みの貴重な体

験となったことを願います。

写真)不発弾処理現場での様子

ラオスで農業関連ビジネスを考えている企業様向けに

農業プラットフォームが発足しました!

この度、在ラオス日本国大使館、JETRO、JICAが共同で「ラオス農業ビジネ

スプラットフォーム」を立ち上げました。本プラットフォームは、ラオスに

おける農業関連・食品加工ビジネス等を検討されている日本企業の皆様に向

けた、様々な支援と交流機会などの提供を目指しています。

詳しくは、JICAラオス事務所のHPをご覧ください!

https://www.jica.go.jp/laos/office/others/platform.html