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ASIA PACIFIC JAPAN NOVEMBER 2001 DeviceNetによる クリーンエネルギーの再生 DeviceLogix 最先端の コンポーネント技術 流量制御に適した VF ドライブ FlexArmor 機器搭載型I/O EtherNet/IP対応製品: PanelViewMicroLogix Ethernet for Industry 対談:産業用Ethernetへの提言 see page 6

JAPAN Ethernet for Industry - Rockwell Automation...Automation Today is published by ROCKWELL AUTOMATION ASIA PACIFIC LTD 27/F Citicorp Centre, 18 Whitfield Road, Causeway Bay, Hong

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ASIA PACIFICJAPAN

NOVEMBER 2001

DeviceNetによるクリーンエネルギーの再生

DeviceLogix:最先端の

コンポーネント技術

流量制御に適したVFドライブ

FlexArmor:機器搭載型I/O

EtherNet/IP対応製品:PanelViewとMicroLogix

Ethernet for Industry対談:産業用Ethernetへの提言 see page 6

Ethernet—From Sensors to CEOsEthernet:生産現場のセンサから重役室までを結ぶ

制御には、ビジネスに最良の技術

が求められます。それは、必ずしも

常に最先端の制御機器を導入する

という危険な賭けではありません。

Ethernetのような、プロセス制御とは

一見無関係のネットワークを制御へ

導入することも一つの現実的な提

案です。

ビジネスは日進月歩です。10年前

は、停止ボタンを押す性能が、コン

ピュータからプリンタに文書を送る性能と同じでは問題

だとされ、だれもがEthernetはプロセス制御に適さないと

考えていました。Ethernetのデータ衝突と非定時性も課題

でした。IT部門と制御部門は、制御エンジニアが提供す

る「フック」で接続され、「インターフェイス」という言葉が

使われました。「統合」という言葉は共通のバックプレー

ンを共有するハードウェアのみに使用されました。

現在は違います。「ビジネス・システム・ネットワーク」

により、Ethernetはデータ衝突が起こりやすい10Mbpsから、

高速で低コストの100Mbpsへと進化しました。またもや、

価値ある技術がビジネスに恩恵をもたらしました。

ロックウェル・オートメーションのNetLinx製品は、標準

的なネットワークによるビジネス情報の統合とプロセス

の制御をシームレスに行ない、生産現場から企業情報シ

ステムまでの真の通信リンクを提供します。これにより、

企業情報と生産データの双方を構成、収集するだけで

なく、さらに上の制御を実現します。

また、ロックウェル・オートメーションは、ネットワーク

プロトコルについてもビジネスニーズに適合した最良の

選択を提供します。

今号のAutomation Todayでは、5人のエキスパートの意見

をご紹介します。どのような場合も、自動化のパートナ

ーであるロックウェル・オートメーションは期待を超える

ソリューションを提供できることをご理解いただければ

と願っております。

グレッグ・ガイガーロックウェル・オートメーションアジア・パシフィック地域担当プレジデント

2 • November 2001

Automation Today is published by

ROCKWELL AUTOMATION ASIA PACIFIC LTD

27/F Citicorp Centre, 18 Whitfield Road, Causeway Bay, Hong Kong Tel: (852) 2887 4788 • Fax: (852) 2508 1846

EDITORIAL

Ross Vaughan • Colin Tilley • Debashish Ghosh

Gail Anderson – [email protected]

Cover Story: Putman Publishing Company, USA

ASIA PACIFIC EDITORIAL SERVICES, DESIGN & PRODUCTION

Relate Technical Communications Pty Ltd, Melbourne, Australia

Collis Design, Albury–Wodonga, Australia

ロックウェルインターナショナルジャパン株式会社〒104-0033東京都中央区新川1-3-17 TEL:0-206-2786

Automation Todayに関するお問い合わせ先

大川りつこ E-Mail:[email protected]

©2001 Rockwell Automation. All rights reserved. The contents of this publication may not be reproduced in whole or part without the consent of the copyright owner.

News and Events. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3世界のニュース

Country News . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4石油公団による油田開発プロジェクト

Feature Story . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6産業用Ethernetへの提言

Technology Watch . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 9VFドライブを使用した遠心ポンプのメリット

Application Story—New Zealand. . . . . . . . . . . . 10漁船の情報量と生産性を向上

Technology Watch . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 12DeviceLogixによる次世代制御

Application Story—Australia . . . . . . . . . . . . . . . 14DeviceNetによる家庭ゴミの再利用発電

Product Focus . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 17ロックウェル・オートメーション新製品情報

グレッグ・ガイガー

November 2001 • 3

News and Events

示され、実機の操作や、各業界のエクスパートによるセッションなど楽しみながら学べるクラスが数多く用意されます。生産現場から企業情

報システムまでの統合を行なう、グローバルなソリ

ューションを展示し、e-マニュファクチャリングの実現を提案します。製品を実際に操作されたい方

は、ハンズオンラボにご参加ください。平行して6種類の技術トレーニ

ロックウェル・オートメーションによる Automa tionFai r 2001は、今年は11月14~15日、ジョージア州アトランタ Georgia WorldCongress Centerでの開催です。コンプリート・オートメーションに対応する新製品を多数ご紹介します。今年は、大学をテーマとして、コ

ンプリート・オートメーションのメッセージを提示します。キャンパスを模した会場には、幅広い製品が展

ングも実施されます。また、多くのご要望にお応えし、「製造業におけるEtherNet/IP」、「安全製品の設計と産業アプリケーションへの応用」について、それぞれ2時間のセッションも予定されています。セッションでは、専門家によるデモとプレゼンテーションが行われます。ご来場ご希望の方は下記までお問い合わせください。

ロックウェルオートメーションジャパン TEL : 03-3206-2786(高木、堀田)

「Integrated, Intelligent Motor ControlCenters」と題されたインテリジェント・モータ・コントロール・センタ(MCC)の白書が発行され、幅広い技術分析や、各種アプリケーション事例によるコスト削減例を紹介しています。(英文のみ)Webサイト(www.ab.com/mcc)でご

覧いただくことができますが、印

刷物をご希望の場合は、弊社にお問い合わせください。インテリジェントMCCによる長期コストの削減、リアルタイムプロセス情報による生産性の最大化などが詳しく紹介されています。また、インテリジェントMCCと従来

のMCCの詳しいコスト比較が記載されています。

アトランタでAutomation Fair開催

Smart MCC白書

ロックウェル・ソフトウェアの産業用トランザクションマネージャ「RSSql」がSAP認定を取得。これにより、mySAP.comのe-ビジネス・プラットフォームとシームレスに接続するソフトウェアが推進されます。ロックウェル・ソフトウェアの2種類

のRSBizWareコンポーネント製品(RSSqlとRSBizWare Scheduler)と RS-BizWare Batchパッケージ用に、インターフェイスが開発されています。

SAP認定を取得したRSSql用のインターフェイスは、生産現場のデータと企業情報システムのSAPアプリケーションを連結します。ロックウェル・オートメーションは、

RSSqlをはじめとするインターフェイス製品により、ディスクリート、バッチ、プロセス産業向けにmySAP.comを介した接続を提供すると共に、品質管理や保守などのシステム機能強化を進めていきます。

RSSqlインターフェイスがSAP認定を取得

ロックウェル・オートメーションは、Intel Corporationの業績に貢献するPLCとソフトウェアを提供した 功 績 に より、同 社 の P Q S(Preferred Quality Supplier)賞を2年連続で受賞しました。

Intelの賞を受賞

社名変更のお知らせ

この度、ロックウェル インターナショナル グループの航空/通信部門でありましたコリンズ事業部の分社化に伴い、平成13年6月30日をもって、弊社社名をロックウェル インターナショナル ジャパン株式会社より、ロックウェル オートメーション ジャパン株式会社に変更させて頂くことになりました。これは、今後ロックウェルが、オートメーション業界の専業メーカとして、全世界の市場においてさらに邁進してゆく証です。米国本社共々、日本市場のお客様に対する販売並びに技術サポート活動をより一層充実させ、さらにスケールの大きなソリューションをご提供できるよう、社員一同心を新たにしておりますので、引き続きよろしくお願い致します。尚、社名変更に伴う電話番号、所在地の変更はありません。

Intel社は次のように述べています。「ロックウェル・オートメーションは、1981年からIntelに高品質のPLCを提供し、この激動の1年をサポートしました。」PQS賞は、サプライヤの品質向

上を促進するIntel社の戦略の一環です。受賞には、品質管理システムの評価とレポートで高得点を上げると共に、向上プランの努力目標を達成することが求められます。

の国営企業と日本企業との共同研究プロジェクトです。ここで使われる多相流流量計のデータプロセッシングにロックウェル・オートメーションのControl-Logixが採用されました。採用を決定された経緯、データプ

ロセッシングツールとしてのControl-Logixの魅力について石油公団の石油開発技術センター・不均質炭酸塩岩油層研究プロジェクトチーム、大瀬戸一仁さんにお話を伺いました。

多相流流量計とは油田での油の採集が進むと、地下

の圧力が減少するため地表に油を持ち上げるエネルギーが減少してしまいます。それを補うため、地下に水を圧入する方式をとります。この圧入水の油層内での流動挙動をモニタリングし油内の含水率を測定するわけですが、含水率の測定のずれは油回収

率に大きく影響します。特に、今回のアブダビ洋上油田には炭酸塩岩油層という地質的な特殊性があり、油層が不均質であることから、油層内水流動挙動の把握が困難です。そこで正確な含水率データを集中的、また連続的に取得し、蓄積することを可能にすることを目的として、石油公団で技術開発されたアプリケーションが、タービン型多相流流量計です。このタービン型多相流流量計本体

の開発は既に終わっており、含水率データの測定そのものには問題がありませんが、実用に当たっては、測定後のデータプロセッシングシステム機能を加えることが必要不可欠です。そのソリューションとしてコストの面からも汎用のプロセッサからの選択が求められました。その候補として上がったのがロックウェル・オートメーションのControlLogixでした。

石油公団は、石油・天然ガス自主開発の促進、緊急時のための石油備蓄、石油・天然ガス開発技術の研究促進を主要業務とする、我が国の石油の安定供給を確保するために設立された団体です。石油公団では、油・ガス田採収率向上など産油国側のニーズが高い石油開発技術の研究テーマを、産油国と共同で研究することを積極的に行い、産油国との連携強化を図ることにより、既存の石油権益の維持・確保を図ることに積極的に取り組んでいます。また産油国との共同研究の他、海外で活躍する日本企業との共同研究を通して、間接的に我が国の技術力を原産国にアピールすることにも取り組んでいます。今回この多相流流量計が使われ

るのは、UAE(アラブ首長国連邦)の首都アブダビにある世界屈指の巨大かつ重要な海洋油田における、UAE

4 • November 2001

Country News

ControlLogixとサムモジュールの組み合せによる海洋油田での多相流流量計データプロセッシング

今回の取材でお話しいただいた石油公団石油開発技術センター不均質炭酸塩岩油層プロジェクトチームの大瀬戸一仁さん

多相流流量計のデータプロセッシングに求められたこと多相流流量計のデータプロセッシ

ングに使われるシステムとして①環境条件②演算能力③演算結果記憶容量(データ保存量)という3つの条件が求められ、導入に向けて数社の製品が総合的に比較検討されました。

過酷な環境条件ご想像の通り、アブダビの洋上油

田に照りつける灼熱の太陽には容赦がありません。今回はフローコンピュータ盤の周囲温度上限が50℃であることから盤内部品の温度条件は60℃まで耐えうることが求められましたが、過酷な条件下のソリューションで数々の実績を持つロックウェル・オートメーションのControlLogixはこの条件を満たしました。

高速な演算能力今回のシステムでは、浮動小数点

演算を含む、繰り返し計算が必要な流量演算を高速で実行できるというような、非常に複雑かつ速い演算能力が求められました。今回はロックウェル・オートメーションのControl Logixとサムモジュールとの組み合せというユニークなソリューションによりこの条件を満たしました。サムモジュールは、ControlLogixシャーシの1スロットに収まるフォームファクタで、IBM-ATと機能互換を実現した、耐環境性コン

ピュータモジュールです。1スロットのモジュールでありながら、このモジュール本体には、キーボード、マウスインターフェイス、シリアルポート、ビデオポートはもとより、イーサネット、USB等のポートも標準で実装されています。このサムモジュールでは、MS-DOSやマイクロソフトWindowsが動作します。カスタマーアプリケーションの開発には、Visual C/C++等の汎用のIBM-ATと同じ環境が使用できますので、既存のアプリケーションを流用することが可能です。ControlLogixのバックプレーンでの通信には、APIライブラリが提供されていますので、ControlLogixCPU(PLCモジュール)との通信もカスタムアプリケーションに容易に実装できます。今回要求された演算をサムモジュールがPLCモジュールと並行して高速で実行し、その結果をControlLogixのバックプレーンを介してPLCモジュールへ伝えるという方法で実現しました。

卓越した記憶容量演算結果記憶容量として、長期の

履歴を保存できる記憶容量が求められましたが、ロックウェル・オートメーションのControlLogixには7.5MBの容量があり、今回のプロジェクトで必要とされる約1ヶ月間の演算結果の保存が充分に可能です。この保存能力は今回比較検討された他社のプロセッ

サとは数倍の差があり、ControlLogix以外の製品では実現不可能でした。この能力こそControlLogix採用のキーポイントだったのです。

今後の展望この冬よりロックウェル・オートメー

ションのControlLogixを搭載した多相流流量計2基がアブダビの巨大油田に設置され、来年には測定が開始されます。ControlLogixでのデータプロセッシン

グによる多相流流量計の実験の適用は、従来一般的であった、測定のコストを飛躍的に減少させます。正確な

測定により石油回収率の拡大が可能となれば、今後の油田開発に大きな利益をもたらします。このシステムは、正確かつ低コスト

で、地質的に含水率の測定を必要とする中東一帯にある大油田の油採集のソリューションとして応用が可能であり、油田開発に大きく貢献することが期待されます。

November 2001 • 5

石油公団で技術開発された多相流流量計

今回採用されたモジュラー型高性能コントローラControlLogix

6 • November 2001

ethernetfor industry

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Feature Story

カルディスプレイやデータ収集、時には非常停止すら必要となります。また、ローカルだけでなくユニット間の相互通信が必要な場合は、ほとんどEthernetと連携しています。

CLUCK: その通りです。弊社では、こういったシステムを長期間使用しています。高度なオペレータインターフェイスやデータ収集機器を導入すれば、機器がすべてPCベースであるために、デバイス間の高速通信だけでなく、PLCからの高速情報収集が必要です。現在Ethernetを使用していますが、

I/OレベルではDeviceNetや直配線またはリモートI/Oで通信しています。制御機器とオペレータインターフェイス間でEthernetを使用する場合は、企業情報との分離を原則としています。工場の事務処理は、基本的には生産現場へ移行していますが、現在も、LAN上の情報をセグメント単位に分ける試みを続けています。

私たちは極端から極端へと走りました。以前は、すべてがハード配線されていました。現在は、オペレータ入力の立場から見ると、Ethernetの機能に90%依存しています。もちろん、これは最近5年間に立ち上げた新規プロジェクトのみですが、今後もこの姿勢はくずしません。

Q. Ethernetのメリットとデメリットは何ですか?CARO: メリットは優れた性能と低コストです。また、一般的な意見とは反対に、Ethernetは非常に強力なプロトコルで、基本的な物理層とデータリンク層において産業用ネットワークの特徴をすべて備えていると思います。信頼性低下の原因となるデータ衝突の問題も、現在では低コストのスイッチにより解消されています。3年前に約3,000ドルだった8ポートス

イッチも、現在では300ドルです。このような技術の進歩で、Ethernetの使用について何も迷うことはありません。

Ethernetはオートメーション業界における最重要課題の1つとして、多くの議論がなされています。今回のAutomation Today では、産業用通信を日常的に使用するエンドユーザとコンサルタントの方々にお話しを伺ってみました。彼らの意見は必ずしも一致しませ

んが、すべての意見は「Ethernetは必要」という強い方向性を示しています。

Q. Ethernetは、生産設備にとって有効なオプションですか?CARO: はい。現在は、まだ初期導入システムの段階で、シューボックスPLCあるいはナノPLCと呼ばれるものが生産現場へと移動しています。つまり、小規模アプリケーションで従来の多数のリモートI/Oユニットに代わり、これらのPLCが使用され始めています。その多くは、16点I/Oを1ヶ所に集めたアプリケーションで、単純な製造セルやローディングステーションです。これらの情報を共有するには、ロー

Ethernetは、オフィス用ネットワークから、真の産業用ネットワークへと

本当に進化したのでしょうか?専門家の意見を伺ってみました。

November 2001 • 7

上位層のプロトコルが多すぎることが問題といえますが、これも機能の統合化を図るIAONA (Industrial AutomationOpen Networking Alliance)の活動によって、解決へ向かっています。

VANGOMPEL: 弊社にとってのEthernetの利点は、スピードと高い汎用性です。ここで言う「スピード」とは、スイッチ間の100Mbpsのオプションに加え、多数のノードを処理する帯域幅を持つことです。問題点は、産業用のコネクタがまだ

一般に提供されていないことです。EIA/TIA規格が来年あたりに登場し、解決されることを期待します。(EIA/TIAは、オフィスで一般的に使用されている開放型RJ-45コネクタの規格団体です。)現時点では、空気圧バルブやセンサなど直接接続機器には、接続用に何らかのターミナルエンクロージャが必要です。皮肉なことに、Ethernetが制御で使

用できる主要因の1つであるスイッチが、問題点でもあります。ほとんどの産業用制御ネットワークは、受動的な通信配線を使用していますが、スイッチの使用によってEthernetは能動的なスタートポロジになります。スイッチが故障すると、そのスイッチに接続されているすべてのノードがネットワークから遮断されるだけでなく、下流にあるノード/スイッチも上流のすべてのノード/スイッチから遮断されてしまいます。

WORKMAN: 私が問題だと思うのは、Ethernetに精通しているのが情報システム部門であるため、制御システムのニーズが十分に理解されないことです。そのため、既存のEthernetをそのまま製造現場に導入しようとします。動作環境を理解せず使用すること

は危険です。オフィスのネットワークを

JIM CLUCK : Armstrong World Industries, Inc.で生産管理のシステムを担当するジェネラルマネージャー。1984年に社内の工場ネットワーク接続推進グループを創設。

GARY WORKMAN : 自動車製造の全工程を備えた世界最大の自動車メーカーGeneral Motorsの制御/ロボット/溶接グループのエンジニア。

DICK CARO : ARC Advisory Group副社長。今後のプラントオートメーションの開発、特に産業用データ通信を担当。

DAVE VANGOMPEL : ロックウェル・オートメーションの技術コンサルタント。CIとODVAのTechnical Review Boardのメンバー。

対談者紹介

調査すると、非常に短時間で負荷が最大80%に急上昇することがわかります。ファイル転送やウェブブラウズには大きな影響はありません。しかし、制御システムの場合は、100~200msecの遅延から大問題が発生することがあります。その結果、生産現場のEthernetを

どの部門が管理するかについて、現場と情報システム部門で意見が分かれます。

Q.リソースが無制限で、ゼロからプラントを構築できるとしたら、どのようなネットワークを使用しますか?CARO: 分野を分ける必要があります。物流レベルではEtherNet/IPを、データ収集にはDeviceNetを使用します。モーション制御機器が含まれる場

合は、IDAに注目しなければなりませんが、おそらく大手サプライヤから入手できるSERCOSを使用します。プロセス制御が含まれる場合は、必ずFoundation Fieldbusを使用しています。Foundation Fieldbusはこの分野において圧倒的に優位で、フィールドデバイス用の独自技術だけでなく、高速バックボーンであるFounda t i on

Fieldbus HSE(高速Ethernet)も備えています。

CLUCK: 弊社は当面下位層では直配線、リモートI/O、DeviceNetを使い続け、時期をみてセグメント上のトラフィック分離に、レベル3のスイッチを導入し、Ethernetへ移行しようと考えています。これにより、I/O、制御層とMES層、そしてエンタープライズ層との通信がすべて可能になります。

VANGOMPEL: 上位層では、データの収集/ロギング、プログラムのアップロード/ダウンロード、PCベースのHMI、コントローラのピア調整にEtherNet/IPを使用します。また、HMI、高速コントローラインタロック、安全オプション、高度な定時応答性、スケジュール通信やメディア冗長性を必要とするI/Oアプリケーションには、ControlNetを使用します。産業用デバイスの接続には、DeviceNetを使用します。そして、会議室からデバイスレベルに至るすべてのレベルの構成と診断/モニタが可能なシームレスなルータで接続します。

WORKMAN: つまり EtherNet/IPとDeviceNetですね。

8 • November 2001

アジア・パシフィック地域における産業用Ethernetロックウェル・オートメーション香港の製品担当ディレクターRakeshKhannaが、アジア・パシフィック内の3地域における産業用Ethernetの実状を解説します。

アジア/南アジアアジア/南アジアでは、Ethernetに対するユーザーニーズはまだそれほど高くありません。工場ネットワークの主流が定まるまでは、最小コストで環境規制をクリアしながら様子をみている状況です。ここで求められるのは、長期保守とサポートが得られる技術と、ネットワーク構築ができる多くのベンダーの存在です。一方、企業の経営戦略に関わるエンジニアたちは、サプライチェーンの最適化と顧客対応の向上を重視し、IT部門に注力しています。ここでの意思決定者は、産業用オートメーションエンジニアではなく、IT部門と経営戦略部門です。彼らは、使い慣れたEthernetを生産現場に拡大しようと、技術力を持った制御ベンダーとの作業を試みています。

オーストラリアEthernetは生産現場に幅広く普及し、Ci-Technologies社などではSCADAとHMIアプリケーションでEthernetを効果的に使用しています。しかし、Ethernetを介したI/Oは、クリティカルでないデータの収集にのみ使用されています。Ethernetは長距離の敷設も容易で、光ファイバーにより、他のネットワークにない優れた性能を発揮します。鉱業など大規模な本質安全ネットワークが必要なアプリケーションは、Ethernetの導入が最適です。オーストラリアでは、ゼロからのシステム構築には、依然としてEthernet、

ControlNet、DeviceNetという3段階のネットワークを使用する傾向があります。

日本データ収集には多用されていますが、制御ではあまり使用されていません。採用可否は、産業分野とアプリケーションにより異なります。自動車産業では、車体のアーク溶接機器の近辺は、ノイズ耐性の高いControlNetが好まれます。醸造工程など、情報の速度が重要ではなく通信距離が長い場合は、Ethernetが使用されます。プロセス関連では、DCSベンダーがEthernetベースの制御ネットワークを推奨しています。しかしながら、アプリケーション層のプロトコルとメディア冗長性を実装するための共通の方法がなく、これらはベンダー独自のソリューションとして提供されてきました。IT関係者からの生産現場へのEthernetの敷設の要求はありません。ほぼすべての制御ベンダーは、PLC上にEthernetポートを提供しています。日本では、大規模システムインテグレータによる制御システムを導入する傾向があり、各企業がすべてを統合する「実証済の」アプローチが好まれます。これらのソリューションには、必ずベンダーに依存する専用システムが含まれています。日本で知られているEthernetベースの制御ネットワークには、OPCN-2 (FL Net)と自律分散ネットワーク(ADS Net)があり、どちらも、産業界が支援しています。FLNetは日本自動車工業界が支援し、ADS Netは日立製作所が支援して、日立製作所のインテグレータ部門で幅広く使用されています。どちらのネットワークも、プロトコルのアプリケーション層に関する詳細な仕様がありません。これらのネットワークは、いずれもUDP/IP層を使用し、Control Information Protocol (CIP)のようなネットワークサービスを提供していないため、保守が困難です。Ethernetのアプリケーション層では、CIPが技術的に優れています。

アジア・パシフィック地域についての概説は、ロックウェル・オートメーション・オーストラリアのGordonSenior、ロックウェル・オートメーション香港のPankaj Joshiの協力のもとに作成されました。

Feature Story ...continued

ロックウェル・オートメーション初のEtherNet/IP製品は、1998年に登場したControlLogix用Ethernetモジュールです。その後、PLC-5EとSLC-5/05コントローラにCIPプロトコルが組み込まれ、ControlLogixとの通信が可能となりました。これらのEtherNet/IP製品により、標準的なEthernetメディアを介した明示的メッセージの送信ができ、構成、ステータス、プログラミング情報をデバイス間で共有します。ロックウェル・オートメーションは、本年EtherNet/IPネットワーク用に設計、製造した多数の製品を発表しています(Product Focus参照)。ControlLogix、ProcessLogix、Flex I/O、PanelView用の新製品は、10Mbpsの明示的および暗示的メッセージ送信をサポートし、強力なリアルタイムメッセージとI/O制御を行ないます。また、EtherNet/IP対応のMicroLogixもリリースされました。年末にはEthernet上の制御アプリケーションに、より優れた性能と帯域幅を提供する100MbpsのEtherNet/IP製品の発表を予定しています。100Mbpsの技術は生産現場にとって新しいものではありませんが、この製品により、初めてI/Oやピア・ツー・ピア・インタロックなど時間制約の厳しいアプリケーションでのEthernetの使用が可能となります。スイッチ技術の向上により、100

Mbps製品と10Mbps製品を同一ネットワーク上で使用することができます。また、100Mbps製品は、「Ethernet自動ネゴシエーション」機能を搭載し、各デバイスはネットワーク上の最大動作レベルで通信できます。その結果、既存の10Mbps製品はより高速のデバイスの使用を可能にします。

Ethernetの新製品

November 2001 • 9

Technology Watch

プラント全体の流体制御に遠心ポンプを使用する場合、何らかの流量制御が必要です。しかし、単純な流量調整では最適の動作状態から大きく逸脱し、効率が大幅に低下する可能性があります。従来の制御弁は、その代表的な例で、制御レベルを最大化しつつ効率損失を最小化する調節が課題となっていました。このようなアプリケーションでは、従来の制御弁よりも高機能を提供する可変周波数(VF)ドライブが積極的に導入されるべきです。しかし、このドライブの認知度が低いため、製造業、特にプロセス産業での導入は遅れています。VFドライブを危険な環境で使用することへの抵抗や、コスト高といった認識には、根拠がありません。VFドライブは優れた遠心ポンプを実現するだけでなく、高度の信頼性とエネルギー効率を提供します。

最適のオペレーション遠心ポンプは、システム抵抗とポンプ性能がバランスする点で動作します。これは、システム曲線とポンプ曲線の交点で、システム曲線はシステムの抵抗と損失を表わし、ポンプ曲線はポンプ本体の関数です。両曲線とも、流量と揚程圧力の関数です。いずれかのパラメータが調整されると、システムのオペレーションが変更されますが、この変更は、設計動作状態からの逸脱の度合いに影響を及ぼします(図A、図Bを参照)。定速ポンプの排出側でスロットル弁を使用すると、弁の圧力降下により流量が低下します。このような方法で流量を制御すると、弁を大きく開けた状態にしても、システムに抵抗が伝わりま

す(図A)。最大流量が約5%低下し、モータから送られる電力の約18%が浪費されます。最大流量が2分の1に低下しても、モータは依然として最大容量の約85%を提供します。さらに、高圧と低圧の差によってポンプは最適の揚程/流量状態にならず、スロットル弁のポンプ効率は最大で30%低下します。VFドライブを使用してポンプ速度を調節することで、流量が変更できます。純粋な摩擦システムでは、この関係は直線となり、流量を取得するために必要なエネルギーが正確に供給されると共に、最適の動作状態を保持します (図B)。入力電力は流量の容積に依存すると定めた、遠心ポンプの親和力に関する標準的な法則によると、ポンプの速度、すなわち流量が50%低下すると、静落差のないシステムで、電力出力が12%となります。静落差のあるシステムでも、必要な電力は減少しますが、静落差のないシステムほど顕著ではありません。この制御方法の有効性はポンプ曲線の形により異なり、リサイクル制御を

必要とするポンプに必ずしも役立つとはかぎりませんが、VFドライブを使用すると、排出スロットルと比べて効率損失が大幅に少なくなります。2つの制御方法の違いは、車の運転に例えることができます。排出スロットルは、アクセルの上にレンガを置いて、ブレーキで速度を制御するのに似ています。一方、VFドライブは速度を制御するためにアクセルを押すレベルを調節するのに似ています。

エネルギー節約と正確な制御VFドライブを使用する理由は、エネルギー節約だけではありません。制御精度が大幅に向上することにより、流量が段階的に変化するため「水撃」の影響が減少し、キャビテーション(流体の圧力低下で空洞が発生して泡が形成される現象)による問題が削減します。また、モータ速度の低下という単純なプロセスにより密封装置と軸受の全体的な磨耗が減り、VFドライブのディジタル通信機能によりモータとの間でリアルタイムのデータ交換が実

流量変化に対応するVFドライブVFドライブを使った遠心ポンプは、排気スロットルと比べてエネルギーの節約、制御の

向上、機器寿命の延長を実現します。それでは、製造業界がこのドライブの採用になか

なか踏み切らないのはなぜでしょう。

ポンプ曲線�制御弁を使用した�場合の動作点�

動作点�制御弁を�使用した場合の�システム曲線�

全開時の�損失�

流量50%時の損失�

システム曲線�

ヘッド�

流量�

ヘッド�

流量�

図A:ポンプシステム曲線に対する�   排出スロットルの影響�

ポンプ曲線�

動作点速度100%�

速度75%�

システム曲線�

速度50%�

図B:ポンプシステム曲線に対する�   速度制御の影響�

(P.16へ続く)

Application Story

遠洋航海は、海の男たちにとっても、長く、過酷で孤独な旅です。遠洋漁船にもこの過酷さに耐えうる技術が求められます。漁船の電気系統には、さまざまな負担が強いられています。漁船の電気技術者は、過酷な環境でのテストが必要ならいつでも漁船を使ってくださいと冗談をいうほどです。ニュージーランドの漁業業者Simuno-

vich Fisheries社は、ロックウェル・オートメーションの技術を採用し、最新式漁船Ocean Breeze号にSCADA/分散ヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)システムを導入しました。1960年にニュージーランドに設立された同社は、長年海洋技術革新に取り組み、エビ漁のパイオニアとして知られているほか、日本にも多くの鮮魚を輸出しています。保守的なこの業界では、国際的にみてもPLCやSCADA技術は普及していませんでした。Simunovich Fisheries社はこの慣習を打ち破り、5年前から漁船の監視制御にロックウェル・オートメーションのプログラマブルコントローラSLCシリーズを導入しています。「私たちにとって、ロックウェル・オートメーションのハードウェアとソフトウェアは最高の組み合わせです。SLC制御により、機器の信頼性が向上しました。また、過酷な環境での使用にも

かかわらず、SLCはまったく故障しないのです。」と担当者は語ります。

遠洋航海特有の問題遠洋航海中には、電気システムはさまざまな問題に直面します。例えば、発電機の調整不全、バッテリーに頼る電源の確保、湿度、大きな振動、大波の衝撃などです。長い航海では高度な信頼性が要求されます。Ocean Breeze号のような漁船は、陸から数千キロも離れた場所で数週間から数ヶ月間操業を行ないますが、電気に関する十分な知識を持った乗組員はいません。乗組員にとっての最重要課題は、捕獲した魚やエビの鮮度を保つことです。船蔵には数百万ドル相当の漁獲物が貯蔵されています。これらを完全な状態で目的地に運ぶには、冷凍庫が常に正常に稼動しなければなりません。システム停止をできるだけ防ぐことも大変重要です。Ocean Breeze号の場合、約3週間のサイクルで船倉に800トンの魚類が貯蔵されます。1トン当たりの価格は390USドルから1,300ドルと幅がありますが、平均するとシステムの停止による損失は1日当たり15,000ドルにまでのぼります。このため、システム停止は絶対に避けなければ

なりません。

火災対策Simunovich社が1998年に購入した

Ocean Breeze号は、大きな問題を抱えていました。この全長61メートルの漁船は、購入時、船上火災による破損がひどく、大規模な修理が必要で、修繕には9ヶ月以上をかけ、390万ドルを投入しました。この火災は、海水がV16ディーゼルエ

ンジンの排気システムに浸入したため発生しました。火災は短時間でエンジンルーム全体から船の後部デッキへと広がり、43万ドル相当のナイロン製魚網など、船内のあらゆるものが焼き尽くされました。このため、このような火災が二度と発生しないように、漁船の電気システムに故障の監視と警報システムを取り付けることにしました。海上で使用する情報収集システムと分散HMIシステムの開発は、新たな課題でした。従来、船舶では、ハード配線された旧式のディジタル・アラーム・アナンシエータ・システムが使用されていました。しかし、アナンシエータは多くのスペースを使用する上、1ヶ所からしかモニタできず、アナログ値もモニタできません。排気温度をチェックするには、アナログ値のモニタが不可欠なため、従来のシ

10 • November 2001

遠洋漁業をサポートするDeviceNetベースのSCADAソリューションDeviceNetによるSCADA/分散HMIシステムが、

大型遠洋漁船に大量の情報と高い生産性をもたらしました。

November 2001 • 11

ステムでは不十分でした。また、モニタは操舵室だけでなく複数の場所ですべきであり、エンジンルーム、冷凍システム、火災警報装置などからアナログ、ディジタルの両方にわたる多数のデータを取るべきであると考えました。

分散I/O船舶のケーブル配線は、陸上と比べはるかに高価で困難です。OceanBreeze号で、何百ものI/Oポイントを複数のモニタまで実配線することは、当然のことながら非現実的です。今回のプロジェクトでは、FHE Elec-trical社と共同で、船舶用に分散I/Oネットワークを使った画期的な情報システムを開発しました。8台のFLEX I/Oシャーシを使ったネットワークが装備され、アナログI/Oポイントをローカル接続します。FLEX I/Oシャーシは、船首から船尾までをカバーするDeviceNetシリアルネットワーク上のノードで、制御室に設置されたメインのSLC-500コントローラとも接続しています。これにより、船内のケーブル配線が大幅に簡略化されました。CANベースのDeviceNetには、100点のアナログI/Oと300点のディジタルI/Oが接続され、I/Oポイント間のケーブル配線とハードウェアの費用を大幅に削減しました。これらのI/Oは、漁船の主力エンジン、発電機、冷凍装置、電力、燃料、水、警報システムとつながっています。また、8ヵ所の排気口の温度を、平均値と比較するなど、SLCコントローラが多様な船内データを分析します。温度分析についてエンジニアリング担当者は次のように語ります。「インジェクタが故障すると、シリンダからの排気温度が平均値よりも低くなります。温度の平均値との比較や、熱電対が故障しているかを考察し、エンジン内部で何が起きているか監視します。」船舶でのDe v i c eN e tの構築は、

KwikLink接続システムにより実現しました。KwikLinkは、4線式フラットケーブルと絶縁変位コネクタ(IDC)で、モジュール式のDeviceNetシステムを提供します。このシステムは、配線工程とハードウェアを大幅に減らします。また、DeviceNetネットワーク上のノードの追加や取り外しは、電源を切らずに簡単に

行なえます。

デッキ間のHMIOcean Breeze号のシステムデータは、4台のPanelViewグラフィック・オペレータ・インターフェイスに表示されます。Panel-Viewは、船の操舵室、制御室、エンジニアとアシスタントの船室に各1台配置されます。モニタしたいデータやシステムの状態を総合的に表示できます。予め指定したアラームが発生した場合は、自動的に表示されます。DeviceNetを使用すると、入力モジュールの故障など高性能機器の診断情報がマルチドロップPanelViewネットワークに迅速に送られ、重要な情報を船全体に素早く伝えます。以前は、故障の修理が遅れるどころか、一刻も早く修理しないと船内の機器が損傷してしまうという状況になるまで、情報が把握できませんでした。現在は、アラームを4ヶ所で見ることができ、素早い対応が保証されています。このシステムでは、PanelViewと分散I/Oシステムを使用し、SCADA/HMIシステムをほぼ無制限に拡張、開発できます。船内で必要な情報は、常に変化するので、拡張性は重要なポイントです。1999年12月にシステムが完成して以来、エンジンやシャフトの回転速度など多くのデータポイントを追加していました。簡単なケーブル配線によるI/Oの追加と画面構成に修正を加えるだけで、新しいデータが簡単にモニタできるようになります。情報の共有も簡単です。例えば、主力エンジン用の冷却水吸気口での海水のモニタリングシステムは、エンジンルームだけで表示されていましたが、後に操舵室で行なう漁のポイントを決定する環境データとしても役立つことがわ

かり、簡単な画面構成の変更だけで、操舵室でもデータを共有することができるようになりました。

予測可能な未来修理が完了してから1年以上が経

過した現在も、Ocean Breeze号は順調にエンジン音を響かせています。船内のSCADAシステムは乗組員に情報を提供し、システムの停止時間は最小限に保たれています。担当エンジニアは、次のように述べています。「システムの信頼性が100%であるため、漁に100%の時間がとれ、100%の利益が保証されます。」また、このシステムの導入により、

少なくとも1度の大規模なエンジントラブルを避けられました。荷物の積みすぎにより、主力エンジンからの排気温度が基準よりも高いことがモニタされたのですが、疑う乗組員もいました。しかし、携帯用サーモメータでチェックしてみると明らかな異常が検出され、すばやい対応がとれたのです。これにより、エンジントラブルによる修理費172,000ドルが節約できただけでなく、エンジン自体の寿命も長くなりました。Simunovich社では、今後、これまで

の定期点検と事後保守から、状態ベースの保守(CBM)と在庫管理にまでシステムを拡張していく予定です。Ocean Breeze号の情報システムは、こういった保守システムの構築にとって理想的な基盤となります。システムの状態を刻々と反映するデータにより、今後の予測が可能となります。OceanBreeze号は港に停泊する日数も減り、1年のほとんどの時間を漁のために遠洋で送ることができるようになるでしょう。

Simunovich Fisheries社では、漁船の監視制御にSLCとDeviceNetを使っています。

Technology Watch

12 • November 2001

従来のシステムをより高性能に、より低コストにしたいという要求が製造技術の発展を促してきました。製造プロセスの合理化が一段落すると、機器をより機能的でコンパクトにしたいというニーズが生まれます。以前は中央のメインコントローラが行なっていた操作を高性能かつ低コストなコントローラで、分散処理します。次世代制御システムには、ロジック実行機能をもった小型コンポーネントが求められます。これにより、初めてデバイスレベルでの制御が行なえます。市場の強いニーズにより開発されたロックウェル・オートメーションのDeviceLogix技術に、年内にDeviceNetネットワーク接続機能が搭載される予定です。

意思決定デバイスデバイスレベル制御の基本コンセプトは、分散機器がPLCと通信するだけでなく、ロジック処理機能を持つことです。例えば、センサ、押しボタン、モータスタータ、過負荷リレーなど、リモートI/O関連デバイスは、I/O情報のPLCへの転送に使用されますが、デバイスレベルの制御技術を導入すると、これらの機器は中央のプロセッサから独立してロジックを実行し、多くの機能を提供します。ロジック処理機能を持ったコンポーネントは、これまでネットワーク上の機

器が対応できなかった、即応性が要求されるアプリケーションにも有効です。必要なロジックを保持し、入出力時間を大幅に短縮します。これは、入力信号を中央のマスタPLCに送信後、ラダーロジックとI/Oスキャンを実行し、最後に出力信号をI/Oデバイスに送信するという時間のかかる従来の方法に代わるものです。また、カスタム製品や特殊製品が不要となります。これまで、コンベヤや単純機器の組み立てには、特殊な制御機器を使用していました。ロジック処理機能を持ったコンポーネントは、入出力、診断機能だけでなく、各種ファンクションブロックによる、AND、OR、XOR、NAND、NOR、XNORなどのブール演算機能プログラミング機能があります。また、RSやSRなどのラッチ機能や、アップカウンタ、ダウンカウンタ、パルスタイマ、オン・ディレイ・タイマ、オフ・ディレイ・タイマも使用できます。特殊仕様の製品に合わせ、これらの機能を適切なシーケンスに組み合わせます。デバイス要件が変更された場合も、ネットワークを介し、簡単に再プログラミングできます。また、物理的な入出力、論理的な入出力状況、内部診断情報、ファンクションブロックのステータスをレポートします。この結果は、DeviceNetのチェンジ・オブ・ステート(COS)メッセージ送信によりレポートされるので、マスタコ

ントローラは常にローカル制御の出力状況を把握できます。マスタコントローラはロジック処理機能を持ったコンポーネントにアクセスし、ローカル制御を実行中のコンポーネントの状態をモニタするように、PLCをプログラミングし、ローカルなデバイスの、高速かつリアルタイムな動作に影響を及ぼすことなく、制御システムステータスの「緩く結合された」非同期のビューを提供します。

より高速でスマートにロジック処理機能を持ったコンポーネントには、多くの利点があります。第一に、検出から作動までの時間の短縮です。プロセス内のファクタが少なく、検出から作動までの時間が定時的で反復可能です。デバイス内で多くの機能を実行し、ネットワークの負荷を減

DeviceLogixの優れたコンポーネント技術

ロジック実行機能を搭載した高機能コンポーネントが

デバイスレベルの制御を可能にし、即応性を高めます。

強力なファクション・ブロック・エディタは、すべてのDeviceLogixコンポーネントの柔軟な動作をサポートします。

Novemver 2001 • 13

少します。これにより、使用可能な帯域幅が増加し、ネットワーク全体の性能が向上します。一般に、検出から作動までの時間を短縮するために、ローカルなラックベースのI/Oモジュールを装備した統合プラットフォームPLCが必要です。しかし、物流システムのコンベヤのようにI/Oポイントが広範囲に分散している場合、統合プラットフォームのI/Oシステムは分散I/Oと比べてコスト効果が高くありません。従来のように中央制御システムまで実配線するより、DeviceNetなどのネットワークを使用してI/Oを分散する方が、配線コストを削減できます。しかし、高性能を必要とするI/Oポイントがわずか10%程度の場合に、I/Oのローカルラックを装備した高性能プロセッサを使用すれば、コスト高になってしまいます。ロジック処理機能を持ったコンポーネントは、プログラミング機能があるため、カスタム製品や特殊製品が行なっていた機能を代行します。これまで、コンベヤセクションや単純機器などの

組み立て工程には、特殊な制御機器が使用されていました。カスタム機器の場合、これらの工程あるいはサブシステムをより大きなシステムに統合するのが困難です。組み立て工程や物流システムの性能を最適化するには、システム全体の統合が求められます。ロジック処理機能を持ったコンポーネントは、これらのカスタム機能の多くを実行します。また、デバイスを他のネットワークに接続するだけで、より大きなシステムとも統合します。

システム稼働率の向上ロジック処理機能を持ったI/Oデバ

イスに制御システムの機能を分散すると、システム全体の稼働率が向上します。従来は、マスタコントローラでフォルトが発生すると、各種分散I/Oノードの制御も停止しました。マスタコントローラのフォルト検出時、多くの分散I/Oノードの出力は「最終状態保持」またはユーザ定義の安全状態に構成されていました。ロジック処理機能を持ったコンポーネントを使用した場合は、フォルト検出

時に、より複雑な動作シーケンスが実行でき、制御システムの一部分だけを停止することも可能です。ロボットのアームを最終位置で停止させるのではなく、指定した場所に戻すといったことも可能です。マスタコントローラまたはネットワークのフォルト発生時にローカル制御を実行することで、プロセスのクリティカルな機能が保護され、システムの信頼性が向上します。制御システムの機能は、ローカル制

御を実行できるロジック処理機能を持った制御コンポーネントに移りつつあります。これらの分散コンポーネントを使用すると、従来の中央制御型コントローラと比べて、システムコストが削減し、信頼性と性能が向上します。今後、多くの新しい技術と同様に、

時間の経過とさまざまな実験によって、高性能分散制御コンポーネントについてより多くの利用方法や利点が明らかになることでしょう。第一世代のロジック処理機能を持ったデバイスでは、各種産業分野における利用方法が明らかになり、将来はより高度なデバイスが登場すると思われます。

ロックウェル・オートメーションのDeviceLogix技術は、DeviceNetネットワーク接続機能を持つ

コンポーネントへと発展しました。

家庭ごみを電力に変える…。オーストラリアのWyhtes Gully近郊にあるBrightstar Environment社では、ごみから電力を生成する「SWERF」 (SolidWaste Energy and Recycling Facility)が実際に稼動しています。SWERFは、資源の有効活用と、埋め立てを減らす自然に優しい発電として注目を集めています。この技術は、世界屈指の再生電力会社Energy Developments Ltd.の系列会社である豪Brightstar Environmental社により、開発されました。2001年2月

に操業を開始したWhytes Gullyプラントは世界初のSWERFで、今後はオーストラリア内外での建設が予定されています。Whytes Gullyプラントは、排気、臭気、騒音、外観などあらゆる環境問題に配慮した施設で、年間150,000トンの家庭ごみから、24,000世帯分の電力を生成します。これにより、埋め立てに回るごみの量が90%以上減少します。Brightstar Environmental社は、豪ロ

ックウェル・オートメーションと共同で、高度なプロセス統合性とモジュール性を備えた自動化システムを開発しました。Brightstar Environmental社は、膨大な家庭用ごみ処理を行なうため、耐久性の高いシームレスな制御システムが必要でした。B r i g h t s t a rEnv i ronmen ta l社の親会社EnergyDevelopments Ltd .では、長年、電力生成モジュールにロックウェル・オートメーション製品を使用しており、その実績から今回の導入が決定されました。

プラグ・アンド・プレイモジュール性は、この施設の大きな特徴です。各モジュールの生産、試験はオーストラリア国内で行なわれ、現場では、モジュールをレゴブロックのように組み立てるだけですぐに使用できます。このようなモジュール性は、各モジュールに配線される制御システムにも反映されています。その結果、プラントモジュールごとにSLC-5/05コントローラが設置され、Ethernetを介したピア・ツー・ピア通信を行なう高度な分散システムが実現しました。コントローラと可変速ドライブ、Point I/OはDeviceNetによる通信を行ないます。そのため、各コントローラのプラグを現場のメインEthernetバックボーンに差し込むだけで中央のPCベースのSCADAシステムからすぐに監視が行なえます。高度な分散ネットワークも、DeviceNet

とPoint I/Oを使用することで、敷設が容易となります。モジュールをコンクリー

14 • November 2001

モジュール式分散制御による自然に優しいごみ処理発電

SWERF (Solid Waste Energy and Recycling Facility)は、家庭ごみから電力をつくる自然に優し

いごみ処理発電施設です。世界初のこのプロジェクトでは、ロックウェル・オートメーションによ

り、DeviceNetを採用した高度な分散制御が導入されています。

Application Story

世界初のSWERFは、ロックウェル・オートメーションの高性能分散制御システムによってサポートされています。

November 2001 • 15

ト板に固定するだけで、ガス化装置、水処理エリア、あるいは乾燥プラントの一部として作動します。また、多数のモジュールに複数のI/Oが分散していても、DeviceNetとPoint I/Oを用いることで大幅な省配線が行なえます。DeviceNet上でPoint I/Oを使用するもう1つの利点は、自動デバイス置換機能により、電源を入れたまま新しいモジュールに交換できることです。DeviceNetスキャンがノードアドレスを含むすべてのパラメータをダウンロードすると、モジュールは数スキャンで動作を開始します。

ごみから資源へSWERFは、廃棄物処理、ガス化、電力生成という3段階で発電を行ないます。廃棄物処理では、まず、食べかす、パッケージ、紙などを、殺菌、選別、乾燥します。廃棄シュートから、密閉された作業場に投入されたごみは、加圧滅菌装置で殺菌されます。この作業は15トン単位で行われ、1回の作業に1時間を要します。加圧滅菌後の廃棄物は、布、プラスチック、金属片、家庭用レンガ、木材が混じった堆肥のようになります。ここから金属、プラスチックなどリサイクル可能な素材を取り除き、大きな固形物を砕き、再び混合します。最後に洗浄し、残留ガラスや砂を取り除き、パルプが残ります。この一連の作業は、1台のSLC-

5/05コントローラが監視します。コントローラには、約500台のPoint I/Oと各種ポンプ、ファン、コンベヤと接続する5台の変速ドライブが、7つのDeviceNetネットワークを介して接続されています。発電機の排熱を利用して有機パルプを乾燥する「乾燥セクション」には、別のSLC-5/05コントローラが使用されています。9つのDeviceNetネットワーク上の18台の変速ドライブは、サイクロンのファンとコンベヤを正確に制御し、分散型Point I/Oは乾燥温度、圧力、

します。最後に合成ガスを4台のEDL発電モジュールに送り、各モジュールが1年間に10GWの電力を生成します。

複雑かつ大規模なネットワークWhytes GullyのSWERFは、加圧滅

菌装置、乾燥ユニット各1台、ガス化モジュール2台、発電機4台に加え、「サイトサービス」、「配電」、「水処理」、「埋め立てガス」の各設備から構成されます。「埋め立てガス」は、施設内

の埋め立て地で発生したメタンガスを発電機に引き込み、合成ガスの生成に利用します。「水処理」用のSLCコントローラは、施設全体の水の循環を制御します。合成ガスの冷却により発生する汚水は、ここで処理され、プラントの洗浄など、多目的に再利用されます。Whytes Gullyのシステムには、12台の

SLC-5/05コントローラが使われており、これがEthernetで相互接続され、31のDev i c eNe tネットワーク、約1,100の

濃度などのパラメータを監視し、パルプを乾燥させます。乾燥したパルプは、サイロで保存されます。第2段階のガス化は、有機パルプを、純粋な燃料ガスに変える画期的なプロセスです。高圧高温におかれたパルプは、数秒で水素、メタン、二酸化炭素、一酸化炭素からなる合成ガスに分解されます。反応は全てチューブ内で起こるため、ごみ焼却のような大気汚染の問題がありません。冷却後、合成ガスから不純物を取り除き、純粋

な燃料ガスができあがります。Whytes GullyプラントではSLC -5/05コントローラで制御された2台のガス化モジュールが常時稼動しています。このコントローラには、DeviceNet上の3台のVSDとPoint I/Oに加え、ローカルFlex I/Oが接続されています。SLCベースのガス化制御の中核となるのは、燃焼管理システムです。燃焼炉の圧力と温度、合成ガスの温度、必要な空気の量により変化するファン速度など、非常に多くのパラメータをPID制御

ガス化モジュールには、圧力、温度、ファン速度などのパラメータのPID制御が必要です。

Application Story ...continued

加圧滅菌器の処理が終了した後、リサイクル可能な素材が除去され、自然に優しい電力に変わります。

16 • Novembe 2001

現し、制御機能と診断機能の双方が向上します。VFドライブでは、ファンとドライブの調波から、冷却効果の減少によるモータの加熱を中和する設計上の配慮が必要です。また、発電機セットへのVFドライブの影響、電気ノイズ、閉ループシステムでVFドライブによる相互作用を考慮する必要があり、詳しい

ベンチマークテストが有効です。

価値ある選択肢遠心ポンプの動作を正確に理解す

ると、VFドライブはプロセス産業に最適な制御機器であることがわかります。以前は、制御弁はVFドライブと比べて非常に安価でしたが、現在はそうではありません。閉ループシステムを

含む幅広いアプリケーションに適したシステム設計へと導くドキュメンテーションにより、VFドライブは「価値のある選択肢」を超えて、「最高の選択肢」となりました。

これは、ロックウェル・オートメーション・オーストラリアの鉱業ビジネス・ディベロップメント・マネージャー GeoffIrvineとチーフ・テクニカル・スペシャリストIan Gibsonによる白書『Process and Control Systems with FluorAustralia』の要約です。

流量変化に対応するVFドライブ(P.9からの続き)

す。また、メインサーバに並行して、トレンド兼アラーム検出用のサーバが配置されています。パルプ生成セクション、乾燥セクション、各ガス化モジュールには、それぞれ専用のHMIが設置されています。このように複雑な施設では、プロセス統合、耐熱性素材の選択、モジュール方式に対応する機器設計など多くの技術上の難問に直面しました。同様に、オペレーション全体をシームレスに制御するシステムにも高い技術力が求められました。コントローラには、単なるスイッチのオンオフだけでなく、プロセス全体を制御する非常に複雑な動作が要求されます。また、4000点近くのI/Oと複雑なPIDループの制御というネットワークの規模と複雑さも大きな課題でしたが、ロックウェル・オートメーションのSLCは、小型コントローラとしては並外れた能力を示しました。また、データスループットとI/O更新時間を最適化するために、DeviceNetネットワークの制御が大きく貢献しています。今回のプロジェクトは、オーストラリア最大のPoint I/Oシステムの1つです。

拡張容易なモジュール式の設計これまでにWhytes Gully SWERFに設

置された機器は、設置予定の3分の1にすぎません。最終的にこのプラ

ントには、加圧滅菌装置3台、ガス化モジュール6台、発電機12機により、現在の能力の3倍となる予定です。このような段階的な機器導入はSWERFの通常の手法であり、モジュール設計により計画的な導入が可能となります。豪ロックウェル・オートメーションは、

今後もBrightstar Environmental社と協力し、SWERFに制御システムを提供していきます。これには、Whytes Gully発電所に既に導入されているシステムの最適化も含まれます。今回のプロジェクトを終えたBright-

star Environmental社は、次のように述べています。「制御システムという観点から見ると、Whytes Gullyは実際に稼動しているプロトタイプです。私たちは、約1ヶ月かけて施設全体を調査して、プラントとプロセスの最適化に必要な今後のプランを決定します。これを実施するには、このプロジェクトを私たちと協力して行ったロックウェル・オートメーションの力が必要となります。私たちは、試行錯誤しながら技術を最適化し、迅速に実用化しなければならないため、ロックウェル・オートメーションとの関係はなくてはならないものと考えています。私たちは、ロックウェル・オートメーションとの協力関係により、さらなる前進が望めると信じています。」

DeviceNetノード、約3,600点のI/Oとリンクしています。Ethernetとリンクした監視制御レベルのSCADAシステムは、中央管理室に設置された2台のヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)で監視します。現場のメインI/Oサーバは、プラント内のすべてのI/Oインベントリを構築して、主要なHMIとして機能しま

November 2001 • 17

Product Focus

新製品CompactLogix5330は、メモリ、I/O機能、シリアルポートの増強されたプロセッサで、CompactLogixをさらに強力にします。最新のLogixプラットフォームである

CompactLogixは、Logix制御エンジンを共有するシステム・レベルの構成要素で、この他にControlLogix、FlexLogix、SoftLogixプラットフォームが発売されています。他のLogixプラットフォーム同様、RSLogix 5000プログラミングパッケージを使用し、最小限のトレーニングとプログラム開発で、異なるアプリケーションに対応できます。CompactLogix5330は、ポイントコスト

の低いソリューションや小型モジュールの柔軟性が必要な分散制御またはRTUアプリケーション用に設計され、CompactLogix5320の機能に強力な新

EtherNet/IP接続機能搭載新型PanelView

CompactLogixに新しいコントローラが登場

し、在庫や立ち上げ費用が削減します。また、導入時の組み立ても簡単で、短時間でモジュールの交換が行なえます。

標準的なオペレータインターフェイスであるPanelViewに、EtherNet/IPネットワーク接続機能が追加、産業用EthernetにPanelViewを組み込み、リアルタイム制御、DeviceNet構成、診断情報、マルチベンダ相互運用性が実現します。EtherNet/IPとの接続は、

PanelView標準モジュール(550と550 Touch、600と600 Touch、900、1000、1400)で行なえ、各ターミナルを複数のPLC-5E、SLC-5/05、ControlLogixプロセッサや他のEtherNet/IP対応機 器と接 続 できます。EtherNet/IPのネットワークアドレスは、DHCP/Boot P、DNS、または手動で行ないます。新機能搭載のPanelView

は、オープンなEtherNet/IPプロトコル、のほかにメッセージ送信サービスとI /O 制

御、10/10 0Mbpsツイストペア用RJ- 45メディアコネクタ、10/100オートネゴシエーションなど、コントロール・レベル、デバイス・レベルの主要なネットワークサー

ビスをすべて提供します。現在、製造部門と管理部門の間

の通信を強化する低コストの通信が求められています。このPanelViewは、

柔軟性の高いオープンネットワークを提供し、プラントの内外で、同一ネットワーク上の複数のデバイスやプロセッサとの通信を実現します。PanelBuilder32ソフトウェア

がすべてのPanelView標準ターミナルをサポートするので、既存のアプリケーション再利用が容易です。ターミナルをセットアップし、アプリケーションをDF1、DH-485、DH Plus、Contro l NetからEtherNet/IP簡単に変換します。ネットワークの変換方法や各種サービスコードの使用方法は、PanelBuilder32のオンラインヘルプで参照できます。

機能が追加されています。2つのシリアルポートが使用でき、ロー

カルデバイスとDeviceNetまたはEthernetネットワークにも接続でき、ピア・ツー・ピア通信、データ収集、プログラムのアップロード/ダウンロード/モニタが行なえます。256KBのメモリ容量を必要に応じ増

強できるので、大規模で複雑なシステム構築も可能です。CompactLogixは、Compact I/Oを使

用し、拡張性の高いソリューションを提供します。最大 16個のCompactI/Oモジュールと256点のローカルI/Oポイントをサポートします。また、モジュール式、ラックなしの設計で、前面からの脱着、DINレールやパネルへの取り付けが可能です。高性能シリアルバスと脱着式端子台で、柔軟性が向上

18 • November 2001

Product Focus

MicroLogixがEtherNet/IPに対応MicroLogixとCompactLogixコントローラのすべての機種とEtherNet/IP接続を可能にするインターフェイスモジュール「1761 Ethernet Interface (ENI)」が発売されました。これによりスタンドアロン型のオペレーションを、プラント全体で統合することが可能になりました。Ethe r n e t上でMi c r o L o g i xと

CompactLogixコントローラの接続が可能となるため、迅速なプログラムのアップロードやダウンロード、ネットワーク上のコントローラ間のメッセージの送受信が可能となります。また、SMTP電子メールサーバを利用すれば、電子メールが受信できる他のコンピュータ、携帯電話、またはポケットベルに対し、製造データ、アラームなどのステータス情報が送信できます。

現在、プラントフロアをEthernetに接続した、統合的なプラント構築が求められていますが、Ethernetプロトコルは、

SERCOSディジタルインターフェイスにより、ControlLogixのシーケンス制御とモーション制御が低コストかつ高性能に統合されました。複数のULTRA 3000や1394ディジタル・サーボ・ドライブにも接続でき、包装、マテリアルハンドリング、組み立て、自動車、コンバーティング、印刷などで課題となるシーケンス制御とモーション制御の統合が解決されます。インテグレーションとスタートア

ップ費用の削減:従来のアナログ・ドライブ接続に必要な高価なディスクリート配線に代わり、光ファイバー・ディジタル・ドライブを使用。1本のディジタル光ファイバーで、1軸当たり最大18のディスクリート接続が省略でき、取り付け時間の短縮だけでなく、位相や電気ノイズイミュニティの問題からも開放されます。プログラミングの簡略化:プログ

ラミングにはRSLogix 5000 v9.0ソフトウェアを使用します。ウィザードによるダイアログボックスで、モーション軸やドライブを追加、構成します。高度なグラフィカル・モーション・プロファイル・エディタ機能では、ラダー・プログラムで32のモーション命令を挿入でき、単純なものから複雑なものまで様 な々モーションプロファイルを作成することができます。また、RSLog ix 5000とSERCOSインターフェイスは、サーボドライブに完全なリモート構成と診断サポート機能を提供します。ドライブとモータの接続:モーションソリューションの仕上げは、ULTRA3000単軸サーボドライブと1394多軸サーボドライブです。幅広い機能を提供するこれらの製品は、Control -Logix SERCOSインターフェイス用に最適化されています。高分解能アブソリュートフィードバックをサポートし、サー

ボドライブを柔軟に制御する優れた位置決め機能を搭載しています。

ControlLogix用SERCOSディジタルインターフェイス

使いやすく低コストであり、既存のシステムを製造現場にまで広げることができます。既存のケーブル、ハブ、ルータを利用だけでなく、Ethernet機器に詳しいIT部門のサポートも受けることができます。また、オープンなEtherNet/IPプロトコルが使用されているため、SLC- 5/ 03、SLC - 5/04、PLC - 5、CompactLogix、FlexLogixコントローラなどDF1全二重機器を簡単に追加導入することができます。ENIがMicroLogixに接続されている場合は、RS-232通信ケーブルから電源が供給され、他のDF1全二重機器に接続されている場合は、外部DC24Vから電源が供給されます。小型で耐久性の高いENIは、DINレールにもパネルにも取り付けできます。

November 2001 • 19

Product Focus

スリムなモジュールで信号オプションを拡張50mmのコントロール・タワー・スタック・ライ

トが追加となりました。70mmモデルと同機能でありながら、より小型でスリムな外観と低価格で提供します。効率的な製造プロセスと安全な作業環

境を保持する、取り付け容易な高性能信号ソリューションです。工具なしで簡単に組み立てることがで

き、取り付けコストも低く、保守も容易です。最大5個のモジュールを自由に組み合わせ、可視性を高めることができ、表面取り付け、ポール取り付け、垂直取り付けの3種

類の取り付け台を使用して簡単に配線できます。照明タイプには、白熱電球(点灯)、白熱

電球(点滅)、LED(点灯)、LED(点滅)、ストローブの5種類があります。これらの照明オプションに加え、緑、赤、アンバー、青、透明、黄の6種類の照明色があります。IP65環境保護定格に従って設計され、

汚れ、油、水、腐食にも強い設計です。多様なアプリケーションに対応できる、AC/DC12V、AC/DC24V、AC120V、AC240Vの4種類の電圧レベルを提供しています。

新製品のFlexArmor I/Oは、拡張性の高い強化型分散I/Oプラットフォームです。配線、取り付け時間、エンクロージャ費用の削減を目的に、機器に直接取り付ける設計です。DeviceNet通信の使いやすさと拡張性を低コストのIP65/67産業用強化パッケージとして提供します。通信アダプタ、個別のフィールド端子

プラグ(FTP)を介したネットワーク/電源接続、各種I/Oモジュールタイプに対応した多様な取り付けベースプレートで使用できます。ベースプレートは2、4、6、8スロットから選択でき、アプリケーション要件に合わせた柔軟な構成が実現します。また、FlexArmorはそのユニークな

設計により、ベースプレートを機器に取り付ければ、工具を使用せずにI/Oアダプタとモジュールを簡単に装着できます。モジュール・ロック・クリップとオプションの固定ネジを使用すれば、さらに安全に固定されます。FlexArmorは、その他にもコスト削

減に役立つ多数の機能を搭載しています。配線と取り付け費用の削減:I/Oプラットフォームやフィールドデバイスを

産業用強化型モジュール式I/OシステムFlexArmor

報は、ネットワークを介してレポートされ、フォルト発生時のアラーム、フォルト表示、またはシステムのシャットダウンに使用できます。RIUP機能:RIUP機能により、システム、ネットワーク、またはノードの動作を遮断することなく、実行中に電源を入れたままI/Oプラットフォームの保守が行なえます。また、交換/取り外しも同様に行なえ、他のネットワークやオペレーションに影響を与えません。

機器に直接取り付け省配線を実現します。クイックディスコネクト(QD)コネクタ:シールドQDコネクタは、業界標準のケーブル、コードセット、センサに使用でき、配線ミス防止に役立ちます。診断機能:ネットワーク、モジュール、デバイスレベルの診断情報がわかりやすく表示され、トラブルシューティング時間の削減、システム稼働率の向上に役立ちます。ステータス情報と診断情

産業用オートメーションのリーディングカンパニー、ロックウェル・

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ションを提供する世界的なオートメーションプロバイダーです。あらゆる産業でのコス

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