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IGRT-QA/QC Working group report
推薦の言葉
大阪医科大学附属病院 放射線科 猪俣泰典
科学技術の恩恵は放射線治療の分野においても例外ではない.放射線治療技術の進歩により安全か
つ確実に癌の放射線治療を行うことが可能となり,定位放射線治療や強度変調放射線治療に代表され
る高度な技術に支えられた治療が多くの施設で行われつつある.これらの治療は病巣に対する線量集
中性が最大の特徴で線量勾配も急峻である.いかに厳密な治療計画を立案しても実際の治療が意図し
た通りに行われなければ,せっかくの治療も文字通り「絵に描いた餅」となりかねない.治療対象は
われわれが想像する以上に動いていることが常である.そのため高い精度で正確な場所に放射線を照
射する技術が非常に重要となる.これを実現するためには Image-guided radiotherapy (IGRT)装置が必
須であり,本装置を導入する施設が急増している.
IGRT 装置を用いた放射線治療をより確実に行うためには適切な QA/QC の指針が必要である.そ
のために日本放射線技術学会ほか2学会の主導により IGRT ガイドラインが決められたが,QA/QC を
行うための具体的な方法については言及されていなかった.そのことが QA/QC を実践する上で支障
となっていた.そこで IGRT を行うための具体的な QA/QC の手法を提案する目的で「放射線治療か
たろう会」がワーキンググループを立ち上げ,その成果を「IGRT-QA/QC Working group report」とし
て上梓された.これは高精度放射線治療の時代を迎えた現在にあって誠に時宜を得たものである.本
書は装置ごとにシステムの構成と特徴に始まり,各装置に必要な QA 項目を多くの写真入りで詳細に
解説している.巻末にはチェックすべき QA 項目,QA を行う頻度,許容値がまとめられ,ワークシ
ートが付されていて実践的でただちに役立つ内容となっている.放射線治療が高精度化すればするほ
ど QA/QC の重要性が高くなることはいくら強調しても強調しすぎることはない.各施設が本書に基
づいて QA/QC を行うようになれば,QA/QC の「実践的な標準化」が可能となるという意味でも本書
の意義は大きい.放射線治療に携わる医療従事者必携の書であり,座右において活用されることを強
くお薦めする.
刊行にあたって
未曾有の被害を出した東日本大震災から1年,復興への道はまだまだ険しく,震災の被害に遭われ
た方々にはあらためてお見舞いを申し上げるとともに,1 日でも早く元の生活に戻られることをお祈
りいたします.
大きな被害を出した福島第一原発事故はいまだ問題が山積し,近隣住民のみならず多くの人々が不
安の中で日々を過ごしている.放射線に対してこれまで以上に厳しい目を向けられている中,我々放
射線を取り扱う仕事に携わる者は,信頼を得るために,いかに安全に放射線を用い,最適な医療を提
供していくのかを考え,実践して行かなければならない.
放射線治療の分野においても,誤照射事故を防ぐべく様々な取り組みがなされてきている.これま
で放射線治療かたろう会でも多くの QA/QC にまつわる情報を発信してきた.一昨年には「放射線治
療計画におけるリスクマネジメント」を,放射線治療かたろう会 working group(WG)report 第一弾
として刊行した.今回は,画像誘導放射線治療(IGRT)の QA/QC について WG を発足させた.
IGRT は現在の放射線治療,特に強度変調放射線治療(Intensity modulated radiation therapy: IMRT)や,
体幹部定位放射線治療(Stereotactic body radiotherapy: SBRT)といった高精度放射線治療を行う上で必
要不可欠な技術となっているが,同時にその安全な利用のための QA/QC の指針が待たれていた.本
文に詳しく述べるが,今回 WG では,日本医学物理学会,日本放射線技術学会,日本放射線腫瘍学会
により策定された「画像誘導放射線治療臨床導入のためのガイドライン(略称:IGRT ガイドライン)」
をもとに,AAPM TG-142 を参考に QA/QC の具体的な手法,頻度,許容値の提案を行った.放射線治
療の高精度化に伴い,IGRT は今後ますます広まって行くものと考える.各施設において安全に IGRT
システムを使用するための,QA/QC の実務に関する標準化の一助となれば幸いである.
平成 24 年 3 月
放射線治療かたろう会 IGRT QA/QC Working group
おことわり
本 WG report は,IGRT の QA/QC 実務の手助けとして作成されたものであり,必ずしもここで紹介
する方法に束縛される必要はない.各施設の判断において見直しを含め実施していただきたい.放射
線治療は日々変化しており,今後 WG においても改訂を含めた検討を行っていく予定である.
最後に,本 WG report による安全対策,治療効果に対する責任は各施設の治療担当者に帰するもので
あり,放射線治療かたろう会,Working group メンバーが責任を負うものではない.
IGRT QA/QC WG メンバー
委員長 秋田 和彦 大阪医科大学病院
Elekta 班
班長 辰己 大作 大阪市立大学病院
小田 雅彦 兵庫医科大学病院
SIEMENS 班
班長 太田 誠一 大阪大学病院
山口 肇 NTT 西日本大阪病院
Varian 班
班長 宮崎 正義 大阪府立成人病センター
川守田 龍 多根総合病院
谷 正司 大阪府立母子保健総合医療センター
南部 秀和 近畿大学医学部奈良病院
Novalis 班
班長 高倉 亨 京都大学病院
木下 尚紀 都島放射線科クリニック
吉峰 正 県立奈良医大病院
オブザーバー
奥村 雅彦 近畿大学病院
隅田 伊織 大阪大学歯学部
松本 光弘 大阪大学大学院医学系研究科
班長以下五十音順
サポートメンバー
Elekta 班
兵庫医科大学病院 井上 裕之 田ノ岡 征雄
大阪市立大学病院 中田 良成
SIEMENS 班
NTT 西日本大阪病院 網干 景子 五十野 優 木崎 寿夫
大阪大学大学院医学系研究科 尾方 俊至
Varian 班
大阪府立成人病センター 上田 悦弘
多根総合病院 市岡 可奈子 岡田 亘 中原 隆太
大阪府立母子保健総合医療センター 西尾 牧子
Novalis 班
京都大学病院 鶴田 裕輔
目 次
1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
2.IGRT の役割 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
3.WG のコンセプト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
3-1.目的
3-2.内容についての方針及び解釈
3-2-1.対象装置
3-2-2.IGRT ガイドライン
3-3.IGRT ガイドライン指針の解釈
3-4.頻度,許容値
4.装置別 IGRT QA/QC
4-1.Elekta ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
4-1-1.Elekta IGRT システムの構成と特徴
4-1-2.レーザー照準器の位置精度(項目 a)
4-1-3.位置照合装置の位置精度(項目 b)
4-1-3-1.MV(EPID)imaging
4-1-3-2.kV imaging
4-1-4.位置照合装置と放射線照射装置の両座標系の整合性(項目 c)
4-1-4-1.MV(EPID)imaging
4-1-4-2.kV imaging
4-1-4-3.kV CBCT
4-1-5.位置照合装置の機械的接触防止インターロック(項目 d)
4-1-6.位置照合装置の画質(項目 e)
4-1-6-1.MV(EPID)imaging
4-1-6-2.kV imaging
4-1-6-3.kV CBCT
4-1-6-4.フラットパネルディテクタ(FPD)のキャリブレーション
4-1-7.位置照合解析ソフトウェア(項目 g)
4-1-7-1.kV CBCT の位置検出精度の確認
4-1-7-2.オートマッチングの検出精度の確認
4-1-8.治療寝台移動の位置精度(項目 h)
4-1-9.位置照合装置と放射線治療管理システムとの通信の信頼性(項目 i)
4-1-10.総合的な位置精度の検証
Elekta IGRT QA Table