16
Ⅲ乳幼児期の体づくり ~乳幼児期にしっかりとした体を育てる~ 1 現代 現代 現代 現代の子どもの どもの どもの どもの身体活動 身体活動 身体活動 身体活動の現状 現状 現状 現状と問題点 問題点 問題点 問題点 近年、姿勢保の困難さ、先の不器用さ、バランスの悪さ、動きのぎこちなさなど、各現場では、 子どもたちの体の動きについて、保育者から惑いや疑問、心配する声があがっています。特に、姿勢 保の困難さについては、小・中学校の先生方からも、同様の声が聞かれます。 【子どもの実態】 <気になる子どもの姿> ○体力の低下・・・すぐに「疲れた」という、長距離の歩行をいやがる、等 ○「支する力」の低下・・・立ったまま靴が履けない、いすに座るとすぐにもたれる、肘をつく、 しゃがめない、体操座りが続できない、等 ○運動経験の未熟さ・・・ジャンプして垂直に跳びあがれない、ボールのげ方がわからない、等 ○しなやかさに欠ける体の使い方・・・人をよけて走れずにぶつかる、階段の昇り降りがぎこちない、 ○バランスの悪さ・・・小さな段差でもつまずく、転んだ時にが出ない、等 このような、子どもたちの気になる動きの要因は、子どもたちを取り巻くあらゆる環境の変化である と考えられます。 生活様式の変化では、室内環境の変化により、赤ちゃんが発育発達の中で順番に獲得していくべき身 体機能を経験せず、順番を飛ばして次の段階に進んでいく状況を生み出しています。ボタン一つで様々 な操作ができ、便利になった生活は、ひねる、まわす、ひく、すなど、日常の中で様々に体を動かす 機会を奪っています。 その他、車社会の発展による歩く体験の減少などの生活環境や生活経験の変化、子どもたちが自由に 外を走り回れる環境の減少、子ども同士が群れていろいろな遊びを経験する機会の喪失、スマートフ ォンやゲーム機等、子どもの遊びの内容も大きく変容しています。 そのような中、国の取組みとして文部科学省は、幼児期に主体的に体を動かす遊びを中心とした身体 活動を、生活全体の中で確保していくことを大きな課題と捉え、平24年3月「幼児期運動針」を 策定しました。 健全(丈夫で健康)な体が、生活能力や学ぶ力によい影響を及ぼす 体力・運動能力の基礎を培う丈夫で健康な体になることに加え、意欲的に取組む心が育まれ、協調性 やコミュニケーション能力が育ち、認知的能力の発達にも効果がある。 文部科学省「幼児期運動針」~幼児期における運動の意義~

ê Â £ b /YC~ - 三田市ホームページ L LC L C CC ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > > > > > > > F C C

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: ê Â £ b /YC~ - 三田市ホームページ L LC L C CC ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > > > > > > > F C C

Ⅲ乳幼児期の体づくり

~乳幼児期にしっかりとした体を育てる~

1111 現代現代現代現代のののの子子子子どものどものどものどもの身体活動身体活動身体活動身体活動のののの現状現状現状現状とととと問題点問題点問題点問題点

近年、姿勢保持の困難さ、手先の不器用さ、バランスの悪さ、動きのぎこちなさなど、各現場では、

子どもたちの体の動きについて、保育者から戸惑いや疑問、心配する声があがっています。特に、姿勢

保持の困難さについては、小・中学校の先生方からも、同様の声が聞かれます。

【子どもの実態】

<気になる子どもの姿>

○体力の低下・・・すぐに「疲れた」という、長距離の歩行をいやがる、等

○「支持する力」の低下・・・立ったまま靴が履けない、いすに座るとすぐにもたれる、肘をつく、

しゃがめない、体操座りが持続できない、等

○運動経験の未熟さ・・・ジャンプして垂直に跳びあがれない、ボールの投げ方がわからない、等

○しなやかさに欠ける体の使い方・・・人をよけて走れずにぶつかる、階段の昇り降りがぎこちない、

○バランスの悪さ・・・小さな段差でもつまずく、転んだ時に手が出ない、等

このような、子どもたちの気になる動きの要因は、子どもたちを取り巻くあらゆる環境の変化である

と考えられます。

生活様式の変化では、室内環境の変化により、赤ちゃんが発育発達の中で順番に獲得していくべき身

体機能を経験せず、順番を飛ばして次の段階に進んでいく状況を生み出しています。ボタン一つで様々

な操作ができ、便利になった生活は、ひねる、まわす、ひく、押すなど、日常の中で様々に体を動かす

機会を奪っています。

その他、車社会の発展による歩く体験の減少などの生活環境や生活経験の変化、子どもたちが自由に

戸外を走り回れる環境の減少、子ども同士が群れていろいろな遊びを経験する機会の喪失、スマートフ

ォンやゲーム機等、子どもの遊びの内容も大きく変容しています。

そのような中、国の取組みとして文部科学省は、幼児期に主体的に体を動かす遊びを中心とした身体

活動を、生活全体の中で確保していくことを大きな課題と捉え、平成24年3月「幼児期運動指針」を

策定しました。

健全(丈夫で健康)な体が、生活能力や学ぶ力によい影響を及ぼす

体力・運動能力の基礎を培う丈夫で健康な体になることに加え、意欲的に取組む心が育まれ、協調性

やコミュニケーション能力が育ち、認知的能力の発達にも効果がある。

文部科学省「幼児期運動指針」~幼児期における運動の意義~

Page 2: ê Â £ b /YC~ - 三田市ホームページ L LC L C CC ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > > > > > > > F C C

2222 体体体体づくりづくりづくりづくりのののの取組取組取組取組みみみみについてについてについてについて

三田市立幼稚園では、園庭芝生化をひとつの契機として、10園全園において「幼児期の心と体づく

り」を目標のひとつとし、取組を進めてきました。

その中で、楽しく体を動かす多様な遊び経験により、意欲や達成感など個々の内面の高まりとともに、

異年齢や同年齢の友達と一緒に活動することによる様々な気づきや学びが生まれ、認め合い、伝え合う

経験の積み重ねからコミュニケーション力が育まれていることがわかりました。

さらに、自分の体が心地よく動くようになる実感は、やってみたいという挑戦意欲を高め、自分にも

できるという自信が生まれ、さらなる動きの獲得につながっていくことが明らかになってきました。

このように、動きの基礎となる「体づくり」に取組むことで、自分の体を意識しながら動かすように

なります。さらに、保育者が個々の動きを丁寧に認め、友達から賞賛の声かけを受けることにより、さ

らなる有能感や達成感、意欲、自信といった「心づくり」につながり、さらにそれは、多様な動きを獲

得できる「動きづくり」を意識した日常生活や遊びの工夫により、多様な動きの経験や獲得とともに心

も豊かに育まれていくことを実感しました。心が動くと体が動くことから、心は、体を動かす原動力に

なっています。体が思うように動くと心もいきいきします。このように、心と体には相互の密接な関係

性があり、保育者の環境づくりや関わり方の工夫が大きな役割を果たすことがわかりました。

取組みによる気づきを下記のようにまとめてみました。

体づくり 体幹、肩周囲、腕、股関節周囲、脚等体の動きの基礎となる部位の筋肉へ

の刺激、関節の柔軟性 等 [後述「“わくわく体操”の取組」参照]

動きづくり 多様な動き(バランスをとる動き、移動する動き、操作する動き等)の獲

得 [別表「84の基本的動作とその分類について」参照]

心づくり 意欲に関する心情

興味・関心、繰り返し、めあて、目的、工夫、試行錯誤、

集中、緊張、挑戦、誇らしさ 等

心地よさに関する心情

開放感、高揚感、爽快感、達成感、満足感、自信 等

人とのかかわりに関する心情

イメージ、模倣、なりきる、刺激、あこがれ、共感、共有、

競争(おもしろさ、悔しさ) 等

動き

環境

異年齢や同年齢

の友達

思いきり体を動

かせる場

納得するまで取

組める時間

思わず体を動かし

たくなるしかけ

興味関心が高ま

る用具類

見守り、認めて

くれる保育者

Page 3: ê Â £ b /YC~ - 三田市ホームページ L LC L C CC ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > > > > > > > F C C

(1)姿勢保持の課題

「気をつけ」や「いすに座って姿勢を正す」ことが短時間、または一瞬はできてもその姿勢を保持で

きずにすぐに崩れてしまうことが、保育・教育の現場で保育者や先生方の気になるところです。

姿勢を支える際に中心となっているのが、「抗重力筋」という筋肉です。抗重力筋は、地球の重力に

対して姿勢を保持するために働く筋肉です。抗重力筋の主成分は「緊張筋」です。よい姿勢ができると

いうことは、緊張筋が正しく緊張しているということです。逆に、抗重力筋が弱いと重心を安定させに

くく絶えずガタガタと体を動かす、すぐに何かにもたれたり、机にひじをつけてあごの下に手をやり、

頭部を支えたりするなど、注意集中に影響を及ぼします。

体を使った活動や遊びを大切にし、いろいろな運動に取組み、抗重力筋を強くすることが姿勢をよく

していくことにつながると考えました。

(2)子どもの運動発達に関わる3つの法則

① 上から下へ発達していく

上半身から下半身へ、順序性を飛び越すことなくたどっていくことが大切です。

② 屈曲優位から伸展優位へ

乳児期は、伸ばす力よりも曲げる力が強い時期(屈曲優位)。手足を曲げ伸ばししながら伸筋

を強くしていきます。幼児期以降に姿勢の悪さが気になる場合は、全身の伸筋を強くするよう

な運動の工夫が必要です。

③ 中心から末端へ

体の中心(体幹)がしっかりしなければ、肩や腕、手首、指のコントロールがしっかりしませ

ん。手は、肩・ひじ・手首・小指側から親指へと発達していきます。手の器用さの獲得には、

全身運動が効果的です。

(3)“わくわく体操”の取組みについて

人は誕生してから歩き出すまでの間に、さまざまな身体機能を順に獲得していきます。ところが、先

述のように環境の変化によって、その順番をとばして歩き出してしまう子が増えているそうです。その

ことが、子どもたちが成長する過程の中で、少なからず、影響を及ぼしているようです。

そこで、誕生から 2 足歩行に移るまでのさまざまな動きである寝返りや腹這い、ハイハイや高這いな

ど、子どもたちに経験しておいてほしい基本的な体の動きを、子どもの生活の中で触れ合い、興味を持

っている虫や動物になぞらえ、“わくわく体操”として組み立てました。「さんぽ」をメインテーマに、

ストーリー仕立てに仕上げた運動です。

赤ちゃんの発達過程(寝返りから 2 足歩行まで)の中で、その時その時に発達に必要な動き、いわば、

積み上げながら次の発達過程へと吸収されていった動きや飛び越してきた動きを取り戻すことを目的

としています。例えば、ハイハイを十分に経験せずに歩き始めた子は、わくわく体操の動きを経験する

ことで、その動きで育みきれなかった力を取り返すことができます。その生活年齢で楽しく、しかも効

果的に体を動かす運動として寝返りやハイハイの動きが有効で、その生活年齢において必要な運動を保

障したいと考え、わくわく体操の動きにその必要な動きを盛り込みました。

心地よい音楽に合わせてそれぞれにイメージを広げ、思いきり、しかも楽しく体を動かすこの体操は、

子どもたちにとって、とても魅力的な活動です。毎朝、同年齢や異年齢の友達と一緒に、楽しく体を動

Page 4: ê Â £ b /YC~ - 三田市ホームページ L LC L C CC ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > > > > > > > F C C

かすことで体幹を育て直し、鍛えることができます。成長発達の段階を踏む中で捨てていく動きを呼び

起こし、長い人生を生きていくためのしっかりとした体づくりをめざして取組んでいます。

(4)“わくわく体操”における保育者の援助のポイント

・できれば朝一番に、裸足で取組むことで、脳が覚醒し、活性化につながり、その後の活動への集中

力等に少なからずよい影響があります。

・異年齢での取組みが有効的です。4 歳児は、5 歳児をモデルとし、憧れや意欲を持ちます。5 歳児

は、見られる存在であることを意識し、よりよい自分の姿を意識して動いたり、自分から 4 歳児に

関わろうとしたりする姿が見られます。

・虫や動物などになって楽しく動いていくことからはじめることで、初めて経験する子も取組みやす

いことがわかりました。一人一人の興味関心の違いから、動き出す姿は様々ですが、その子なりの

心の動きを受け止めながら楽しく取組めるよう、保育者が援助していきたいものです。

・人数と場所の関係において、工夫が必要な場合があります。思いきり体を動かせる場、一人一人の

動きが把握できる場等、全体で取り組んだり、グループ化したり、クラスにもどって振り返ったり

しながら、工夫して取組んでいきたいものです。

・活動中の声かけは、肯定的な言葉だけで取組みます。プラスの言葉に置き換えることは、保育者に

とっても学びの一つです。プラス評価や認めは、子どもたちの楽しい気持ちや意欲を高め、自己有

能感へとつながっていきます。

・一つ一つの動きに完成形(こうあらねばならないという動き)はありません。保育者が、一つ一つ

の動きで大切にしたいポイントを理解しておくことで、個々の子どもの動きのよくなったところを

見つけ、具体的に声をかけ、意識化につなげていきます。

・うまく動けていないと気になる動きがある場合は、その動きに焦点をあわせるのではなく、少し前

の動きが獲得できているかを確認することが大切です。発達過程にそって十分に動けるようになれ

ば、次の段階の動きもスムーズになってきます。

・さらに、気になる動きのサポートとして、まだまだ経験が必要な動きがあれば、わくわく体操の場

だけではなく、学級活動の中で遊びとして必要な動きに特化した経験をさせたり、全体の運動遊び

の場で、経験してほしい動きを楽しんでいる時に声かけをしたりすることも動きの獲得に有効です。

・資料として示しているわくわく体操は、基本形です。各現場の子どもの実態や経験値に応じて、わ

くわく体操の動き自体を変化させたり、わくわく体操以外に動きを足して遊びを工夫したりしまし

ょう。わくわく体操の動きを変化させる場合には、基本形の動きを見るポイントを参考に、その動

きで伸ばしたい力を外れないように確認しましょう。

・わくわく体操の一つ一つの動きが、遊びのどの動きにつながっているのかを子どもたちに気づかせ、

価値づけることで意欲が向上します。さらに、自分の体や動きを客観的に捉えることができるよう

になっていきます。

Page 5: ê Â £ b /YC~ - 三田市ホームページ L LC L C CC ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > > > > > > > F C C

歩歩歩歩くくくく

『わくわく体操』の基本的な動きと発育発達につながるポイント『わくわく体操』の基本的な動きと発育発達につながるポイント『わくわく体操』の基本的な動きと発育発達につながるポイント『わくわく体操』の基本的な動きと発育発達につながるポイント

“わくわく体操”は、21の動作からなり、赤ちゃんの寝返りや腹這い、ハイハイや高這いなど、乳

幼児期のうちに経験しておきたい基本的な体の動き(主に安定性や移動動作)が多く組み込まれていま

す。“さんぽ”をテーマにストーリーにそって、友達と一緒にイメージを共有し、体を動かす楽しさを

味わい、さらに、裸足で毎朝継続して取組むことで体幹(体の軸)を育てることをめざしています。

“わくわく体操”は幼児期の子どもたちの動きの保障をめざしたものですが、乳児期の子どもたちに

は、リアルタイムで各々の発達段階における体の動きを、とりこぼすことなく十分に経験できるよう、

援助していきたいものです。

ここでは、幼児期に取り戻したい動きと乳児期に大切にしたい動きを一緒に記載しています。

体操体操体操体操のののの名称名称名称名称とととと写真写真写真写真 動動動動きききき((((動作動作動作動作のののの解説解説解説解説))))

発育発達発育発達発育発達発育発達につながるポイントにつながるポイントにつながるポイントにつながるポイント

動動動動きをみるきをみるきをみるきをみる視点視点視点視点

・膝を上げて歩く。

・目線を上にして歩くこと

で、姿勢が保たれる。

・スクランブル交差点のように身を

かわしながら楽しく歩く。

・左右にフラフラしている子、かか

とを常に上げて歩いている子など

は、体の未発達が考えられる。

・O脚…立つ方に体が倒れる。手の

横振りがみられる。

・X脚…体をねじって歩く

・平均的に3歳児まではO脚傾向、

6歳児まではX脚傾向にあるの

で、歩き方を注意するのではなく、

成長の指標として活用するのが望

ましい。

・手足を伸ばしてお腹をつ

けてゆっくり回る。(ウル

トラマンポーズ)

・縮む動きと真っすぐ伸び

る動きを連動させる。

・左右に行ったり来たりす

る。(右にごろん、左にご

ろん)

・手から回っている子は、足から回

れるように誘導する。

(上半身が先で足がついてくる段階か

ら、先に足を使って回る段階へ)

・うまく回れない子には、体をグー

(上向き時)パー(下向き時)と

伸び縮みしながら回る動きをやっ

てみる。

寝返寝返寝返寝返りりりり

歩歩歩歩くくくく

Page 6: ê Â £ b /YC~ - 三田市ホームページ L LC L C CC ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > > > > > > > F C C

体操体操体操体操のののの名称名称名称名称とととと写真写真写真写真 動動動動きききき((((動作動作動作動作のののの解説解説解説解説))))

発育発達発育発達発育発達発育発達につながるポイントにつながるポイントにつながるポイントにつながるポイント

動動動動きをみるきをみるきをみるきをみる視点視点視点視点

寝返り寝返り寝返り寝返り(5~7ヶ月)(5~7ヶ月)(5~7ヶ月)(5~7ヶ月)

体の真ん中を上下・左右と

もに越える力がつき、寝返

りをするようになる。寝返

りを繰り返しながら背筋力

をつけていき、頭をもちあ

げられるようになる。

寝返りをはじめたら、自由に動ける

空間を保障する。声や音のする方に

顔を向け、興味のあるものには体を

そらしてでも見ようとする。いろい

ろな方向から名前を呼んだり、遊具

を動かして追視を促すことで、寝返

りにつながる。

・手と足を伸ばして転がる。

(「まっすぐピーン」の声掛

け)

(手と足を床から浮かして

勢いよく転がる)

・止まったり、2、3 人つな

がって回ったりする。

・側面(わき腹)を使って回れてい

るか見ていく。

・唯一、体の横から(わき腹)の感

覚入力ができる動作である。

・最初は手のひらを下にし

て床につけ、上半身がブ

レずにおへそから下を左

右に動かすように声をか

ける。

・次のステップとして、手

のひらを前で合わせて足

を左右に振る。

この時に上半身が大きく

ブレるようであれば、手

のひらを下にする動きに

変えて成長を見守る。

・手を動かして、足が動いていない

子は、「足だよ」と声をかけ、まず

は足の動きができるようにする。

足の次は手も意識させる。

・上半身、下半身の分離性が育つ。

足を動かしてもブレない上半身が

理想的である。

・下半身の動きに対して、ブレない

上半身の安定性は視線がブレない

ことにつながり、前方へ移動する。

これ以降の運動発達のスムーズさ

につながる。

えんぴつころころえんぴつころころえんぴつころころえんぴつころころ

金魚金魚金魚金魚((((オットセイのオットセイのオットセイのオットセイの進化進化進化進化))))

Page 7: ê Â £ b /YC~ - 三田市ホームページ L LC L C CC ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > > > > > > > F C C

体操体操体操体操のののの名称名称名称名称とととと写真写真写真写真 動動動動きききき((((動作動作動作動作のののの解説解説解説解説))))

発育発達発育発達発育発達発育発達につにつにつにつながるポイントながるポイントながるポイントながるポイント

動動動動きをみるきをみるきをみるきをみる視点視点視点視点

・床に手をつき、ひじを伸

ばし、手とひじに体重を

のせて上半身を反らす。

・肘で体を支える(on elbow)手(肘)

をしっかり伸ばして体を支える(on

hands)になっているかが大事。

・しっかり体が支えられるようにな

ると、跳び箱や転んだ時に手がつ

く動作につながる。

・足裏と頭をつける(柔軟さを見る)

うつ伏せうつ伏せうつ伏せうつ伏せ(5ヶ月~)(5ヶ月~)(5ヶ月~)(5ヶ月~)

5ヶ月を過ぎる頃になる

と、うつ伏せ姿勢を保って

遊ぶ姿が見られる。首や背

中の筋力の発達に合わせ

て、持続時間が長くなる。

肘で体を支える(on elbow)手(肘)

をしっかり伸ばして体を支える(on

hands)になっていくことにより、

肩甲骨まわりの安定性を獲得し、体

重支持が徐々に下方(骨盤帯)に移

動することで股関節の伸びが促され

る。

・手足を伸ばし、床から上

げてエビ反りで伸びる。

・初めは、足が曲がり肘が

床についているか、手が

曲がっているか。それが、

足が伸び、肘が伸びると

良い。

・手は床につけて体を反らすところ

から始め、出来るようになると手

を床から上げる。

・足は付け根から上げ、太ももが浮

いている状態が良い。(左右に揺れ

ても良い)

・腹筋、背筋を使う動きである。特

に背筋力がないと、静止すること

が難しい。

グライダーポーズグライダーポーズグライダーポーズグライダーポーズ(5ヶ月~)(5ヶ月~)(5ヶ月~)(5ヶ月~) 寝返りが右も左もできるよ

うになると、手も足も宙に

浮かせ、頭をあげてお腹だ

けで体を支え、バランスを

とる姿勢が見られる。

グライダーポーズとうつ伏せを繰り

返し、手のひらのつく位置を変えな

がら方向転換するようになる。体と

手のひらで身体の姿勢を保とうとす

る反応が向上したことで獲得できる

移動の動き。

かめ2かめ2かめ2かめ2((((エビエビエビエビ反反反反りりりり))))

Page 8: ê Â £ b /YC~ - 三田市ホームページ L LC L C CC ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > > > > > > > F C C

体操体操体操体操のののの名称名称名称名称とととと写真写真写真写真 動動動動きききき((((動作動作動作動作のののの解説解説解説解説))))

発育発達発育発達発育発達発育発達につながるポイントにつながるポイントにつながるポイントにつながるポイント

動動動動きをみるきをみるきをみるきをみる視点視点視点視点

・手で足首をもち背中を反

らせ、横や縦に揺れる。

・横や縦に揺れることで、背筋力が

つく。(背筋力がついてくると、縦

揺れができるようになる)

・重たい足が持ち上げられているか

どうかということも大切である。

・胸郭の横への拡がりを促し、背骨

全体で伸展できる脊柱の柔軟性を

高めることにつながる。

・手の平を胸の前で合わせ、

ひじを伸ばし、泳ぐよう

に走る。

・速く、遅く、さまざまな

方向に走る。

・スクランブル交差点のように身を

かわしながら走る。

(走る→かわす→方向転換)

・イメージをもって(お話をつくる

等)すると、より楽しく動くこと

ができる。

・手を前に出すことで視点が定まり、

ブレない体幹を育てる。

・肘をつき、足は動かさず

(伸ばしたまま)腹這い

になって進んでいく。(手

はグーで進む)

・手や肘を使って体をひっぱること

ができているかが大切。

・足の動きが出ても構わない(クモ

の動きにつながる)が、上にあげ

たり、上げたまま揺れたりして前

に進まないのは理想的ではない。

・前に進みにくい子は、金魚の動き

も小さい子なので、金魚に戻って

足を動かす動作に取り組む。

腹這い(ずり這い)腹這い(ずり這い)腹這い(ずり這い)腹這い(ずり這い)前期前期前期前期

((((6~6~6~6~7ヶ月)7ヶ月)7ヶ月)7ヶ月)

うつ伏せで片手を前方に伸

ばすことで、もう他一方の

片肘に体重がかかり、体幹

の下に引き込みながら前に

進む。下肢はほとんど使わ

ない。

片肘に体重が乗る方向(片肘側前・

顔下向き)におもちゃなど興味をも

つものを示し、移動しようとする気

持ちを促す。

メダカメダカメダカメダカ

カメ1カメ1カメ1カメ1((((ゆりかごゆりかごゆりかごゆりかご))))

青虫青虫青虫青虫((((ヤモリヤモリヤモリヤモリ))))

Page 9: ê Â £ b /YC~ - 三田市ホームページ L LC L C CC ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > > > > > > > F C C

体操体操体操体操のののの名称名称名称名称とととと写真写真写真写真 動動動動きききき((((動作動作動作動作のののの解説解説解説解説))))

発育発達発育発達発育発達発育発達につながるポイントにつながるポイントにつながるポイントにつながるポイント

動動動動きをみるきをみるきをみるきをみる視点視点視点視点

・片手ずつ前に出し、足も

引き寄せながら這う。

(右手と右足が縮んだ時に

左手、左足が伸びる)

・手足をしっかりと使いながら、横

腹の部分を伸ばしたり縮めたりし

ながら、這って進む。

・左右の股関節が均等に動いている

か、体幹をくねらせているかを見

る。

腹這い(ずり這い)後期腹這い(ずり這い)後期腹這い(ずり這い)後期腹這い(ずり這い)後期

(7~8ヶ月)(7~8ヶ月)(7~8ヶ月)(7~8ヶ月)

うつ伏せで片手を前方に伸

ばし、もう一方の片肘を体

幹の下に引き込みながら前

に進む。下肢の蹴りも利用

する。

身体をくねらせる動きと股関節の動

きを発達させるために大切な動き。

正中線延長線上、顔の高さに興味の

あるおもちゃを示すことで、手を伸

ばした側の下肢の関節を曲げて引き

込む動きも促せる。

・両手を真横に広げて走る。

・友だちをかわしながら、ぶつから

ないように走る。

・トンボの姿勢のまま、片

足をあげて静止する。

・静止バランスができているか。

・指先で地面をつかめているか、踏

ん張れているか。

・止まる時、足の指先で床をつかむ

ように止まっていれば褒める。

例:「その指最高だね」

・止まることが大事ではなく、止ま

ろうと足指を意識して力を入れて

いることが大事。(褒める)

クモクモクモクモ((((スパイダスパイダスパイダスパイダーマンーマンーマンーマン))))

トンボトンボトンボトンボ

かかしかかしかかしかかし停止停止停止停止

Page 10: ê Â £ b /YC~ - 三田市ホームページ L LC L C CC ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > > > > > > > F C C

体操体操体操体操のののの名称名称名称名称とととと写真写真写真写真 動動動動きききき((((動作動作動作動作のののの解説解説解説解説))))

発育発達発育発達発育発達発育発達につながるポイントにつながるポイントにつながるポイントにつながるポイント

動動動動きをみるきをみるきをみるきをみる視点視点視点視点

・膝の真上に腰がくるよう

な姿勢でハイハイする。

・手と足をしっかりと動か

し、腕で体を支える。

・膝の上に腰がきて、膝が直角に曲

がっていることを確かめ褒める。

・つま先をたてなくても良いが、し

っかりと足で蹴っている子は、立

っているかもしれない。しかし、

足がハの字に開いている状態は良

くないので、垂直を意識させる。

・手と足の使い方で発達段階が分か

る。(①手が先で右手右足、左手左

足と動く②手足が交互に動く)

・バックも取り入れても良い。

(できない子ははさみの使い方も不器

用)

四つ這い(ハイハイ)四つ這い(ハイハイ)四つ這い(ハイハイ)四つ這い(ハイハイ)

(8~9ヶ月)(8~9ヶ月)(8~9ヶ月)(8~9ヶ月)

四つ這いの初期は、上半身

につられ下肢を交互に屈曲

し引き込む。足の甲を床に

つけ、下肢で蹴らない。

徐々に、体幹をねじり、下

肢で蹴りながらハイハイで

きるようになる。

体幹の安定性が高まり、肩甲骨・股

関節が発達していく。

平らな床面以外に、布団や段差など

の上をハイハイさせることで、体幹

のねじりや下肢を使った移動が上手

になる。

・ワンワンの状態から、腰

を上げ、高這いになって勢

いよく前進する。

・つま先でしっかりと地面を蹴るこ

とができているか。

ワンワンワンワンワンワンワンワン((((ハイハイハイハイハイハイハイハイ))))

ワンワンダッシュワンワンダッシュワンワンダッシュワンワンダッシュ

((((スーパースーパースーパースーパー赤赤赤赤ちゃんちゃんちゃんちゃん))))

Page 11: ê Â £ b /YC~ - 三田市ホームページ L LC L C CC ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > > > > > > > F C C

体操体操体操体操のののの名称名称名称名称とととと写真写真写真写真 動動動動きききき((((動作動作動作動作のののの解説解説解説解説))))

発育発達発育発達発育発達発育発達につながるポイントにつながるポイントにつながるポイントにつながるポイント

動動動動きをみるきをみるきをみるきをみる視点視点視点視点

・ひざ裏を伸ばした状態で

床に手をつき四つ這いで

前進する。

・床を蹴り上げた足の膝がしっかり

伸びているか。

(始めは膝がまがっていても良い

が、手はしっかりと伸ばす)

・しっかりとしたつま先立ちを意識

する。

・ひざ裏をしっかり伸ばす感覚を入

力することで、よい立位姿勢へと

つながる。

高這い高這い高這い高這い(9ヶ月~)(9ヶ月~)(9ヶ月~)(9ヶ月~) 両手を広げ、足で床を踏み

しめ、お尻を上げて足裏と

手で移動する。

足の指の動きと股関節を伸ばす筋肉

が発達する。頭をしっかりと持ち上

げ、お尻と頭の位置でバランスをと

る。

<グーチーター>

・手を前につき、足をつけ

て蹴り、前へ進む。

<パーチーター>

・手を前につき、足を開い

て蹴り、前へ進む。

<グーパーチーター>

・足をグーパー交互にして

蹴り、前へ進む。

・(パーチーターで)床についた手の

横にジャンプした後ろの足がきて

いることが理想。できた時には「足

が手のところまできたね」と認め

る。(体幹が曲がっていたり、前の

めりになっていると、きちっと横

に足がこない。)

・足裏を合わせて、股関節

を広げて座る。この時、

座骨を意識して座る。

・左右に揺れる。

・座骨の真上に頭がくることを意識

すると背筋が伸びる。(姿勢保持に

つながる)

・左右の他に前後にも揺れ、バラン

スがとれるところが座骨。

ぞうぞうぞうぞう

チーターチーターチーターチーター

おおおお座座座座りりりり

Page 12: ê Â £ b /YC~ - 三田市ホームページ L LC L C CC ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > > > > > > > F C C

体操体操体操体操のののの名称名称名称名称とととと写真写真写真写真 動動動動きききき((((動作動作動作動作のののの解説解説解説解説))))

発育発達発育発達発育発達発育発達につながるポイントにつながるポイントにつながるポイントにつながるポイント

動動動動きをみるきをみるきをみるきをみる視点視点視点視点

・お座りのまま左右どちら

かに倒れ、転がりながら

一周して起き上がる。

(手は床につかず、足を

もったまま)

・体を丸め、伸びる力をつかって起

き上がる。

・手を広げてしゃがんだ姿

勢(蹲踞

そんきょ

の姿勢)のまま

前進する。

・つま先と膝の向きを合わ

せて歩く。

・まずは、正しく蹲踞の姿勢ができ

ているか。

・つま先が外を向き、膝が中を向い

ている場合は、X脚の傾向がある。

・つま先と膝が同じ方向を向いてい

れば良いが、股関節を開く(足を

広げる)ことで、膝への負担が軽

くなる。

・手を伸ばし、膝を使い、

つま先で床を蹴るように

して軽やかに跳ぶ。

・体の軸をしっかりとさせ

て跳ぶ。

・つま先で軽やかにジャンプできて

いるか。(着地の音を聞く)

・着地よりも、蹴る方に意識を向け

られるようにする。

・かかとを合わせてしゃが

み、蹲踞

そんきょ

の姿勢になる。

頭の上で手を合わせ、合

図で勢いよくジャンプす

る。

・かかとが離れている子は、足裏の

アーチが浅く(偏平足気味)、母指

球にのれていない。しっかりと親

指で支えられることが理想。(なわ

とびやつま先シャンプをすると良

い)

だるまだるまだるまだるま

アヒルアヒルアヒルアヒル

うさぎうさぎうさぎうさぎ

ロケットジャンプロケットジャンプロケットジャンプロケットジャンプ

Page 13: ê Â £ b /YC~ - 三田市ホームページ L LC L C CC ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > > > > > > > F C C

体操体操体操体操のののの名称名称名称名称とととと写真写真写真写真 動動動動きききき((((動作動作動作動作のののの解説解説解説解説))))

発育発達発育発達発育発達発育発達につながるポイントにつながるポイントにつながるポイントにつながるポイント

動動動動きをみるきをみるきをみるきをみる視点視点視点視点

・手を合わせて頭の上で伸

ばして走る。

・ぶつからないように人をよけなが

ら、さまざまな方向に走る。

・ロケットの姿勢のまま、

片足を上げて静止する。

・走っていて止まった一歩先で片足

バランスができるのが理想。

(頭より前に足をつく)

・足でしっかりと踏ん張ってバラン

スをとる。

・両手を伸ばし、片足を後

ろにあげてバランスをと

る。

・足をまっすぐ、おへそが

下になるような姿勢にで

きればなお良い。

・足指が浮かないような足

のつき方をする。

・かかとと指先が床についているか

見る。

・低空飛行や、左右に揺れる等、い

ろいろな動きをとり入れる。

・前に倒れる子は、体幹が弱いこと

が考えられる。

先にも述べたように、様々な社会的状況から子どもたちの体づくりを支えるために、幼児期に乳

児期の動きの経験、再経験することは、今を生きる子どもたちにとって、必要なことだと考えます。

しかし、何より大切なのは、乳児期、特に歩き出すまでの段階において、それぞれの発育発達の

段階を順番に、経験することです。

発達は、直線ではありません。姿勢を保とうとする反応と体を支える位置や力加減が変わること

を繰り返しながら進んでいきます。また、発達による動きが発生する時期と安定する時期が訪れま

す。そのような一つ一つの動きを十分に経験させること、また、それが質の高い動き経験になるよ

うに援助することが必要です。

乳児期は、信頼する大人の声や表情、しぐさに反応しながら、自らかかわりを求め、その心の動

きが体の動きとなって表れます。また、興味関心のあるおもちゃを求め、体を動かします。

自らの心を動かしながら、体の動きを獲得していく乳児期を大切に支えていきたいものです。

ロケットでロケットでロケットでロケットで走走走走るるるる

ロケットバランスロケットバランスロケットバランスロケットバランス

飛行機飛行機飛行機飛行機

Page 14: ê Â £ b /YC~ - 三田市ホームページ L LC L C CC ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > > > > > > > F C C

(5)「多様な動きづくり」の取組みについて

幼児の心と体の育ちを支えるために、楽しく体を動かす多様な遊び経験が何より大切であり、まわり

の人やものとの関わりの中で得られるものは、多様な動きの獲得だけでなく、何事にも積極的に取組む

意欲や自信、達成感、良好な対人関係など、心の発達にも大きく影響します。

そこで、「幼児期までに身につけておくべき84の基本的動作」を資料として、日常生活や遊びの中

での動き経験に着目し、多様な動き経験ができるような保育者の援助や環境構成を工夫することにしま

した。

(6)「多様な動きづくり」の取組みでの気づきについて

・生活の中で、84の基本的動作に意識を向けることで、経験できていない動きがたくさんありまし

た。特に操作系の動作、中でも攻撃的動作については、遊びの中でも、生活の中でも経験する場が

なくなっていることがわかったものの、園生活の場での動きの保障については、さらに工夫が必要

であることが明らかになりました。

・気になる動きやできない動きがある場合は、わくわく体操同様、その時その動きだけに注目するの

ではなく、違う場面での動きにも着目し、今、その子がどの発達段階にいるのかを把握し、その段

階での必要な動きを足していく取組みが必要であることがわかりました。

・「動き」や「動作」となると、「運動」の場面に注目しがちであるが、それだけではなく、日常生活

の中で意識していなかった部分に大切な動きや動作を経験していることがわかり、細かい部分に視

点をあてていく必要性や、手伝いや家事労働の経験の大切さにも気づきました。((7)日常生活の中

の動きにある「84の基本的動作」参照)

・遊びや生活の中で、経験しにくい84の基本的動作(攻撃的動作等)については、意図的に活動に

組み入れたり、家庭でも経験できることを情報発信したりして、保護者と連携を取りながら取組ん

でいく工夫も必要です。

・マットや平均台などの運動遊具を使ったサーキット遊びなど、総合的に体を動かす取組みは有効的

です。ただし、運動が、子どもの自己決定に基づいた自発活動である遊びの形で経験でき、自分か

らやってみたい!やって楽しい!と思えるような取組みこそが有効であることから、共通のイメー

ジをもって進めていくなど、子どもが友達と考え合って主体的に活動できるよう、援助していくこ

とが大切です。

Page 15: ê Â £ b /YC~ - 三田市ホームページ L LC L C CC ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > > > > > > > F C C

(7)日常生活の中の動きにある「84の基本的動作」

幼児の遊びにおける様々な動き、経験と合わせて、日常の生活の中にも様々な動き(動作)があるこ

とに着目しました。園生活の中で経験している日常の動作を、「幼児期までに身に付けておくべき84

の基本動作」に照らし合わせて考えてみることによって、遊びや生活の中に基本動作を意識した活動を

意図的・計画的に取り入れることができると考えました。

平平平平

衡衡衡衡

系系系系

のののの

動動動動

作作作作

<姿勢変化>

○挨拶をする・発表する・歌をうたう ・・・たつ、たちあがる

○掃除でちりとりを使う・靴をはく ・・・かがむ、しゃがむ

移移移移

動動動動

系系系系

のののの

動動動動

作作作作

<上下運動>

○台の上に上がる・階段の上がり

下り ・・・あがる、おりる

○水たまり・ブロック等を越える

・・・とびこす

<水平運動>

○凍った水たまりの上を滑

る ・・・すべる

○氷・土を足で踏む、割る

・・・ふむ

○登降園、散歩・・・あるく

はしる

<回避動作>

○うさぎ小屋に入る

・・・くぐる

くぐりぬける

○部屋の中、テラスを友だち

に当たらないように移動す

る ・・・かわす

操操操操

作作作作

系系系系

のののの

動動動動

作作作作

<荷重動作>

○傘を閉じる・片付ける ・・・ささえる

○給食の食器を運ぶ ・・・はこぶ、はこびいれる

○給食のお椀を配る ・・・ささえる

○バケツを持ち上げる ・・・もつ、もちあげる

○重い物を押して移動させる ・・・うごかす

○椅子を持って運ぶ ・・・はこぶ、はこびいれる

おこす、ひっぱりおこす

<脱荷重動作>

○車や段の上からおりる ・・・おりる

○持っていた椅子を置く ・・・おろす

かかえておろす

<捕捉動作>

○水道の蛇口をまわす ・・・まわす

○うさぎを抱く ・・・つかむ、つかまえる

○畑の土を耕す ・・・ほる

<攻撃的動作>

○縄跳びやこまの紐等を結ぶ ・・・しばる

しばりつける

○畑のさつま芋掘り、玉ねぎ収穫等 ・・・ひく

ひっぱる

○紐を縛る ・・・しばる、しばりつける

(三田市立幼稚園「体づくり」研究グループまとめ)より

まだまだあるかもしれ

ません。生活の中にか

くれている動きを見つ

けてみましょう!

Page 16: ê Â £ b /YC~ - 三田市ホームページ L LC L C CC ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > ê ª ê ªó É Åc ¨ Ã Ë Æ ¿ Å æ / ö E > > > > > > > F C C