12
Instructions for use Title 9.いくつかの形のleaking modeの性質(その2) : いわゆるⅡ群について Author(s) 吉井, 敏尅 Citation 北海道大学地球物理学研究報告, 22, 125-135 Issue Date 1969-08-30 DOI 10.14943/gbhu.22.125 Doc URL http://hdl.handle.net/2115/13967 Type bulletin (article) File Information 22_p125-135.pdf Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP

9.いくつかの形のleaking modeの性質(その2) : いわゆるⅡ …...9. いくつかの形のIeaking modeの性質 (その 2)一一いわゆるII 群についτ一一

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Instructions for use

Title 9.いくつかの形のleaking modeの性質(その2) : いわゆるⅡ群について

Author(s) 吉井, 敏尅

Citation 北海道大学地球物理学研究報告, 22, 125-135

Issue Date 1969-08-30

DOI 10.14943/gbhu.22.125

Doc URL http://hdl.handle.net/2115/13967

Type bulletin (article)

File Information 22_p125-135.pdf

Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP

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9. いくつかの形の Ieakingmodeの性質 (その 2)

一一いわゆる II群についτ一一

吉井敏魁

(北海道大学理学部地球物理学教室)

一昭和44年4月受理一

1. まえがき

小爆破実験で観測される主な波群は,わが国では 1,II, IIIおよび IV群と名付けられ1),

多くの研究者によってその性質が調べられてきた。その結果, 1群, III群および IV群はそれ

ぞれ屈折 P波,高次の M 波, Mll波に対応することはほぼ確かとなったが,Il群については

今だ明確な説明がなされていない。

II群に関する議論の要点は,これを実体波的に見るか表面波的に見るかということであろ

う。表面波的な見方としては,初期の研究で高次の M 波とするものであったが, II群の位相速

度と地下構造を比べるとこれでは不合理である。 1960年頃から始まった leakingmodeの研究

が II群の性質を明らかにするかに思われたが,まだ理論が不完全なこと,および計算が相当難

しいこともあって,なかなかこの問題に応用されるまでにはいたらなかった。一方,実体波説

の支えは,分散性がとぼしく見えること,および振幅が IV群のごとくには深さと共に急激に減

衰しないことであろう。 OKADA2)はごの立場から II群の性質を調べたむ

II群について統ーした意見がなかなか得られなレ 1つの原因は,観測場所によりその性質

が甚だしく異なることであり,これはまた, II群の発生の複雑さを物語るものでもあゐ。前論

文では II群を leakingmodeとして説明しようという立場から leakingmodeの性質を調べ,

ポアソン比が十分大きな場合, II群を圧力波として近似できることを示した。本論文では,さ

らに速度比の異なるモデルについて前回と同様な計算を行なった。また,観測例としては,

1953年,地質調査所の構内で、行なわれた地震探鉱実験グループの協同実験の記録を用いた。

II. 速度比 1.5のモデルの分散曲線

前論文3)では,半無限媒質と表層の速度比が P波, s波とも 2.0の場合について考察した

が,今回はまず速度比1.5のそテ、ルについて数値計算を行なった。計算に使用したよそデ、ルの定

1) K. TAZIME; Wave Groups Generated by a Very Small Explosion, J. Phys. Earth, 4 (1956),

113-126.

2) H. OKADA; Analyses of Seismic Waves Generated by Small Explosions, J. Fac. Sci., Hokkaido Univ., VII., 1 (1962), 460-485.

3) 吉井敏魁;いくつかの形の leakingmodeの性質,北大地球物理学研究報告, 21 (1969), 117-131.

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126 吉井敏魁

第 1表 モデノレの定数(速度比1.5)

Table 1. Constants of models.

model 1

0

/

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-

-日f

Z

H

ーのυ4/

2

ο6 1

0

/

2

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A-ll 1.5 0.577 0.866 1.0

A-12 1.5 0.500 0.750 1.0

A-12A 1.5 0.400 0.600 1.0

A-12B 1.5 0.333 0.500 1.0

A-13 1.5 0.250 。目375 1.0

A-1L 1.5 1.0

0.250

0.333

0.405

0.438

0.467

(0.5)

日 compressionalwave v巴locity.

s; shear wav巴 velocity.

P; density

σPoisson's ratio

数を第 1表に示す。 前回同様,速度比を1.5に保ち全体のポアソン比を 0.250,0.333, 0.405,

0.438, 0.467, 0.5に変えた。計算された分散曲線を第 1図~第 5図に示す。 leakingmodeの領

域では QLIVERand MAJOR4)および Suand DORMAN5

)の方法で分散曲線が計算された。これ

らの図には, leaking modeと圧力波の分散曲線を比較するために, モデル A-ILの)T力波の

分散曲線も点線で万三した。

第 1図はモデノレ A-ll(σ=0.25)の計算例である。 leakingmod巴の分散曲線には M 波との

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MU: Mn

!v111 M2入 Ml~ Mz?-\M~\M,子\M"

0.6 0 0.5 10 15

freqxHt/凶2.0

0.6 2.5 0 0.5 10 15

'r~q 孫 Hl/~I2.0 2.5

第 1図 モデノレ A-l1の分散曲線,点線はそデノレ

A-1Lの圧力波の分散曲線

Fig. 1. Dispersion curves for model A-11.

Dotted lines indicate the disp巴rsioncurves

of pressure waves for model A-1L.

第2図 モデノレ A-12の分散曲線

Fig. 2. Dispersion curves for model A-12.

4) J. QLIVER and M. MAJOR; Leaking modes and the PL Phase, Bull. Seism. Soc. Amer., 50

(1960), 165-180.

5) S. S. Su and J. DORMAN; The Us巴 ofLeaking Modes in Seismogram Interpretation and in

Studies of Crust-Mant1e Structure, Bul1. Seism. Soc. Amer., 55 (1965), 989-1021.

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127

5

:

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3

I

l

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1

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-也、U

いくつかの形の leakingmodeの性質(その 2)

1.5

第 4図 モデノレ A-12Bの分散曲線

Fig. 4. Dispersion curves for model A-12B.

第 3図 モデノレ A-12Aの分散曲線

Fig. 3. Dispersion curves for model A-12A

。も

ー-A-13 ・A-'lL

¥ ¥ d‘ 弓入J式 市

守、"::-.ぃ、、

九七と、 丸守J九

〉 ト司L守、‘ー ー.なー

1.0 1.5 2,0 2.5 freq x Hd氏1

第 5図 モデノレ A-13の分散曲線

Fig. 5. Dispersion curves for model A-13

予、

今〉令、おr:~号、、リ‘、

・号、守夕、・.巴、一、、、-

勺戸、

ミε、ミち

1.5 対応をもとに PL2bPLI2等の名前を付け

た6)。圧力波との関係はほとんど見られな

また, PL1匁のシリーズはいずれも c/α1し、。-》。¥U=1付近から始まる形をしているのが特徴

である。とのととは GILBERTand LASTER7)

0,5 10~ によっても指摘されており,彼らは“疑似

的なカットオブ"と呼んでいる。

モデル A-12(第 2図)では,圧力波と

やや現れ始めている。leaking modeとの関係が,

ここに見らポアソン比が 0.405とやや大きくなったため,モデル A-12A(第 3図)では,

れる leakingmodeをいわゆる PLmodeと呼んで良いものかどうか問題なので,本論文では

単に (21),(12)等でその次数を表わすことにした。

回 治モデ、ル A-12Aでは leakingmodeと圧力波との関係がますますはっきりしてくる。

固体液体モデルについて固体層のポアソン比を大きくしていった時の分散曲米・浜田町は,

線を計算しポアソン比 0.5の極限におし、て圧力波の分散曲線は無数の M波の分散曲線から構

成されることを示した。第 3図の leal王ingmodeと圧力波の関係は,これに大変良く似ている。

これらの leakingmodeは圧力波に近い部分でGLIVER and MAJORの方法で計算すると,

この部分が卓越した波群として観測されるであろうこ特性関数の極小が特に鋭くなっており,

とが期待される。

F. GILBERT and S. J. LASTER; Experimental Investigation of Model Seismograms for a Layer

over a Half-Space, Geophysis, 30 (1965), 571-596.

前出 6).

凶治米おi二・浜111和郎;国体ー流体波から流体一流体波への移り変わり,地震, 14 (1961), 63-76

)

6

7)

8)

Page 5: 9.いくつかの形のleaking modeの性質(その2) : いわゆるⅡ …...9. いくつかの形のIeaking modeの性質 (その 2)一一いわゆるII 群についτ一一

128 吉井敏魁

さらにポアソン比が大きくなってモデル A-12B(第4図)では,上に述べた圧力波との関

係はさらにはっきりしてくる。

ところで,前論文では PL22→圧力波 (1),PL24→圧力波 (2)という対応があるらしいと述べ

たが,第4図からも明らかなように, この考えは改められるべきであろう。ポアソン比が 0.5

に近づくと leakingmodeの間隔がしだいに狭くなり,ついには無数の leakingmodeが圧力

波を構成することを考えると, PL modeと圧力波の次数を対応させることは全く無意味で

ある。

また,第4図にはしばしば dc/df>uの部分が見られる。 この部分では群速度が負となる

はずであるが,物理的な意味は明らかでない。

モデ、ル A-13(第 5図)はさらにポアソン比が大きく, leaking modeの分散曲線はモテ、ル

A-1Lの圧力波に極めて近くなった。モデル A-13の分散曲線も, くわしく見ると A-12Bの

ように多数の分散曲線から構成されているはずであるが,近似法の“分解能"があまり良くな

いために圧力波にそった鋭い極小のみが目立つと考えられる。

III. 速度比 3.0のモデルの分散曲線

数値計算に使用したモデルの定数を第2表に,計ー算結果を第 6図~第 10図に示す。

第 6図はモデル A-21の計算結果である。前と同様にモデル A-2Lの圧力波の分散曲線を

第 2表 モデノレの定数(速度比 3.0)

Table 2. Constants of models

model ー日,,F'

l

ay

-d

/

2

日 ρh j釘ρ

・1

日ju aド σ

A-21 3.0 0.577 1.732 1.0 0.250

A-22 3.0 0.500 1.500 1.0 0.333

A-22A 3.0 0.400 1.200 1.0 0.405

A-23 3.0 0.250 0.750 1.0 0.467

A-24 3.0 0.167 0.500 1.0 0.468

A-2L 3.0 1.0 (0.5)

3 ご土亡で:A-21 ・・・・・ ・A-2L

¥¥¥ 1 乞l¥.¥PL21 ¥PLn 目\~PLll

わト 1 町内¥ ¥ i ul t' L'Z~ (J¥ 、¥

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M" M治、-

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5

2

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1

第 6図 モデノレ A-21の分散曲線,点線はモデノレ A-2Lの圧力波の分散曲線

Fig. 6. Dispersion curves for model A-21. Dotted lines indicate the

dispersion curves of pressure waves for model A-2L

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いくつかの形の leakingmodeの性質(その 2) 129

点線で示した。このモデルでは“疑似的なカットオフ"cjα1勾 1が ん/α1よりも小さいためか

PL1nは一般にあまり明瞭でないが PLI3のみはやや優勢である。

普通,速度比の大きなモデルでは M 波の分散曲線が大変複雑で,一見他のモードに乗りう

つるような形がしばしば見られる。第 6図でも cjα1=1付近で Ml1と M2h および MI2と M22

の聞にこれが見られる。また,PLJ3は c=んで実際は MI3につながっているにもかかわらず,

むしろ M22にスムーズにつながるように見える。 PL22と MJ3についても同様である。このよ

うに leakingmodeもふくめて“乗りうつり"の現象が見られるのは興味深いことである。

τ=A・22 ・一一A・2L

M"

JALJ( 6

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1

L

ー‘.

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且.

• •

1 o

第 7図 モデノレ A-22の分散曲線

Fig. 7. Dispersion curves for model A-22.

トポ2】 ¥¥ -¥ .. 1附

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1ト-.I:l!!...¥M幻 E\\~2' λ肝~ ・ -M~ミ守古t合目~

freq XHdDCI

第 8図 モデノレ A-22Aの分散曲線

Fig. 8. Dispersion curves for model A-22A.

第 7図のモデル A-22の場合も,各モードの間臨が A-21よりは狭くなったが定性的には

ほとんど同じであり,圧力波との関係も明らかでない。また c=ん で PL22→MJ3,PLJ3→M22

とつながっているように見える。

モデル A-22A(第 8図)では leakingmodeと圧力波との関係がやや現れてきた。 ここで

も C=s2で (23)→MJ4,(14)→M23 とつながっているように見えるが,leaking. mode同志でも

(22)と(13)の間,および (24)と(15)の聞にこれに近い現象が見られる。

モデル A-23(第 9図)ではポアソン比が相当大きい (σ=0.467)にもかかわらず A-13や

A-3ほど圧力波に近くならなし、 これはおそらく速度比の違いによるものであろう。 また,

第 9図に示したように, Su and DORMANの方法でスベクトルの上下成分の極大をたどって行

くと (22)と(23)はつながるようである。

さらにポアソン比の大きなモデル A-24(第 10図)では, leaking modeの分散曲線は圧力

波の分散曲線に大変近いにもかかわらず,切れ切れになっている。

'L-2-

AN

一?z、h抗冶

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-A幽内【-

宅2U

10

(21)

('l' 0.25 0.5 0.75

ireqx Hdc(1

1.0

第 9図 モデノレ A-23の分散曲線

Fig. 9. Dispersion curves for model A← 23.

白 ----A-24 ・ ・・ A-2L

2

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E . ・電

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“、虫、、、、-、・、一、、‘ι..・.ー、ー-・.'.、市".一、‘ー日....:'"一、-.,・・均三ー一一ー-...ー

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品、守

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1

0.25 1.0 1.25 0.50.75 freq x H!1(X,

第 10図 モテ、ノレ A-24の分散曲線

Fig. 10. Dispersion curves for model A-24

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130

第 11図にモデル A-24の特性関数の絶

対値の計算例 (c/α]=1.8)を示す。この曲線は

見かけ上2つの波長の曲線が重ね合わさった

形をしているが,長波長のものには P波,短

波長のものには S波が主として寄与している

ことに前論文でも述べた。 leakingmodeの

分散曲線が切れ切れとなるのは,この短波長

の振動が原因なのである。

0LIVER and MAJORの方法では,一般に

c=const.について特性関数の極小をたどるの

であるが,j(周波数)=const.について特性関

数の絶対値を描いたのが第 11図の下である。

吉 井 敏魁

A-24 ノ臥)=1.8

0.5 0.75 freq X H¥ノ氏l

0.400 1 I 0.4251

ト¥ー ¥1<11l¥<11 、ぐ!

1.5 1.5 cノ0(1 CI氏1

1.5 C/CX!

第 11図 特性関数の計算例

上;位相速度一定下;周波数一定

Fig. 11. Example of characteristic function

Upper; c=const. Loweτf=const

上に述べた短波長の極小は,j=const.にほぼ平行な“谷"を形作っているため,これらの図に

は短波長の振動は全く見られない。

fxHdα]=0.400および 0.425は,第 10図の分散曲線のちょうど切れ目にあたるが,f=

const.の図上では鋭い極小が存在する。 これらの極小は,例えばfxH]/α]=0.375の場合等に

比べややその絶対値は大きいのであるが,ともかくこれらをたどって分散曲線を摘くと第 12凶

のようになる。第 11図および第 12図から想像されるように, モデル A-24の leakingmode

の分散曲MRは,実質的にはほとんどモデル A-2Lの圧力波の分散曲線に等しいと考えて良いで

あろう。

今回の計算例でも,ポアソン比が 0.48程度になると leakingmodeの分散曲線は圧力波の

分散曲線にほとんど一致することが確かめられた。一般に,小爆破実験ではポアソン比が 0.48

以上がほとんどで, 0.49あるいはそれ以上

になることも珍らしくない。従って, II群

を近似的に圧力波として解析することはほ遂

とんどの場合許されるであろうし必要な じ2

ら近似法で leakingmodeの計算を行なえ

ばよい。しかしこの種の波群は S波の構 10

造には全く鈍感と思われるので、へより正

確に地下構造を推定するためには, IV群

あるいは III群と合わせて解析することが

望まれる。

ーーー一-A-24 ........A-2L

グ、、べ‘.

、、てb

f町、、二J 、、、.、

九、、、、、‘、一、、ー、、、

ーと』ー、一、ー、ー、、一、ー

0.25 0.5 0.75 treq x H1!CX1

1.0 1.25

第四図 fニ const.の条件で得られたモデノレA-24の分散曲線

Fig. 12. Dispersion curves for model A-24 Minima of the characteristic function were

traced under the condition of freq. = const.

9) 吉井敏魁;東シナ海で観測された水中分散波につLて,北大地球物理学研究報告, 20 (1968), 77-89

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いくつかの形の leakingrnodeの性質(その 2) 131

IV. 近似法についての 1考察

OLIVER and MAJORおよび Suand DORMANの方法で分散曲線を求める際生ずる 1つの

問題は,特性関数の極小,スベクトルの上下・水平面成分の極大が完全には一致しないことで

ある。これら 3つの関数は,それぞれ極値を

中心としてひどく“非対称的"なことが多く,

これが極値の位置を乱す原因となっているの

である。 1例として, モデル A-22Aについ

ての計算例 (c/α1=2.2)を第 13図に示す。と

なり合った極値が,互いに相手の位置を乱

したり,急、な付号の変化がひどく極値をずら

していることが明らかであろう。そこでスベ

クトルの上下・水平両成分を合成した振幅

.j H2+ VZを計算してみると下図のようにな

り,上に述べた欠点がうまく消える。各極大

はほぼ対称的な形をしており ,fxHJIαJ=0.4

および1.0付近のようにかなり接近していて

0.25 0.5 0.75 1.0 125 freq X Ht!OCI

第 13図 上 2つの近似法の計算例

下;合成された振幅のスベクトノレ

Fig. 13. Upper; Calcu!ated exarnp!e of two approxirnate rnethods.

Lower; Spectrurn of synthesized amp!itude.

も,相手の形を乱すようなことは無い。この合成された振幅は,水平成分,上下成分をパラバ

ラに考えるよりはむしろ物理的にも意味があると思われ,今回の解折の 1部にはこの関数も参

考にした。例えば,計算機により自動的に極値を見つけ出して leakingmodeの分散曲線を作

るときには,この方法が大変有力であろう。

V. 解析例

解析の例として, 1953年,地震探鉱実験グループにより地質調査所(JII崎市)の構内で行

なわれた実験問について述べる。記録を第 14図(上下成分)および第 15図(水平成分)に示

す。これらは主として表面波を解析する目的で得られたものであるが,地震探鉱実験グループ

の最初の共同観測にもかかわらず,記録は極めて良好である。この理由の 1つは地下構造が比

較的単純なことであろう。 TAZIMEll

)は,これらの記録に見られるいくつかの波群が表面波と

して説明されうるとし,いわゆる,“4分の 1波長則"を示した。

第 14図に認められる 3つの波群 (II群, III群, IV群)を図のように U(群速度)=90.8m/s

および 60.1m/sの線で分けると,各波群の特徴が良くわかる。また, IV群の終りと思われる

ところに U=37.5m/sの線をヲI¥,、た。

10) この実験のくわしい内容については,地震探鉱実験グノレープ会報,第 1号 (1954).

11) 前出 1).

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132 吉井敏匙

第 14図 地質調査所構内での小爆破実験で得られた上下成分記録

Fig. 14. Records of vertical component obtained from small explosion seismology experiment in the ground of Geological Survey of Japan.

Rαdial cotnp

Distance(m)

16.25ト

17.25ト

18.25ト

0.1 。2 0.3 0.55

第 15図 水平成分記録

Fig. 15. Records of horizontal component.

第 15図は水平成分の記録であるが,上下成分に比べ II

群の振l隔が大変小さく, III群は周期が約2倍ほど長くなっ

ている。また, IV群も上下成分とは異なった種類の波ら

しい。

第 16図は上下成分の記録から得られた山谷の走時図

である。従来小爆破実験の解析では,記録上の山谷そのま

まの位置をプロットしてこの程の走時図を作るのが普通で

ある。しかし,第 14図の IV群のようにやや周期の長い波

では,短周期の波が重って山谷の位置が乱されることが多

いので,今回は記録をある程度スムーズィングしてから第

16図を作成した。この図から位相速度と群速度が算出さ

れた。

0.5

0.4

。10 15 20 DISTANCE (m)

第 16図 上下成分記録から得ら

れた山谷の走時図

Fig. 16. Travel time diagram obtained from the records of vertical component.

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いくつかの形の Jeakingmodeの性質(その 2)

第 17図は今回分散曲線を計算した地下構造モデ‘ルの

例である。 CASEIは太田・他12)が 1966年, 同じ場所で

行なった屈折法の解折結果をもとにしたモデルで、ある。後

に述ぐくるように,このモデ、ルは観測された表面波をかなり

良く説明できることがわかった。 CASE11はこれを少し変

形してさらに良く実測値を説明できるように改めたモデノレ

である。

第 18図は 11群の分散と理論曲線との比較である。太

田・他のモデ‘ル (CASE1)から計算した圧力波の分散曲線

でもかなり良く実測値を説明できるが 1層目の速度を少

133

。CASE 1 P 5

CASEII P 5

250 60 200 60

Rd

{E)ヱト仏凶ロ

1300115 1300115

10トー一一一一ー 一一一ー一2000 350 2000 350

(unit: m/s)

第 17図 2つの地下構造モデノレ。

Fig. 17. Two stracturaJ modeJs.

し小さくした CASE11の方がより実測値と合う。また,破線で CASE11の leakingmodeの

位相速度を示したが,圧力波とほとんど一致する。群速度についても同様である。

これらのモデ、ノレの欠点は,実測値の短周期の部分をうまく説明できないことである。しか

し前論文の例のように地近表くに速度勾配を持たせることによって,かなりこの欠点を改め

ることができょう。

第四図は IV群についての実測値と理論曲線との比較である。 CASEIは群速度の実測値

と良く合うが,位相速度は長周期の方にずれる。試みに位相速度の実測値を数値微分して灯速

度を計算してみると,図中のA.印のようになり,直接求めた群速度(・印)と合わない。従っ

2000 100

Group lV

" 、、E

20

Group II

1500

observe o phαse v. • group v.

pressure Wave 戸... phase v. ..... group v.

leaking mode (CASE 1l ) ,--phaso v.

80

{

6々0E

と1000u D -' w 〉

〉・・トー

巴JO J

ど40

500

0 0.01

-・・..・ CA里E1l i ..~、、・.. ・官 、、以".・.・『.・・-........ ・・'.・....

..‘, ・.‘ ・ー.observe .......... }

o phase杭 CASE1 • group v. ~ groupv. (obtαined from 。bservedphase恕)

theory (Ml1) /phロse机

....• group v.

0.02 0.03 PERIOD (soc)

0.04 。 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0.07 PERIOD (sec)

第 18図 II群の分散

Fig. 18. Dispersion of the wave group ll.

第四図 IV群の分散

Fig. 19. Dispersion of the wave group IV.

12) 太田 裕・他;地質調査所構内における S波速度の測定,地質調査所月報, 18 (1967), 43-48

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134 吉井敏魁

て,位相速度,群速度の実誤IJ{[立を同時に説明できるよ

うなモテ‘ルは存在しないと考えられる。この原因は,

主として水平方向の構造の変化であろう。 CASEIIで

は 1周目の厚さを小さくしたので,位相速度の実測値

と良く合う。

ここで特筆すべきなのは,太田・他の求めた 1層

自の S波の速度 (60m/s)が, IV群の分散を説明する

うえで極めて都合が良いことである。

300

守 200宍;E

>-.... 8 J

w ,.. 100

Group 1II

。。。。。

。observe o phαsev. • groupv.

Iheory(CASE I) ~ pha5ev. / 4・.group V.j

iMZZ

M2I

./'¥.... .......-.:....・句

ぷ・グド:-=:¥ :¥¥ ーで:3;'~" ,,,竺)./ -, ¥ノーι

radial comp.

III群の解折結果を第20図に示す。図から明らか

なように,上下成分の記録に見られる III群は非常に

o D 001002003004005D 06D D7 PERIOD (5ec)

第 20図 III群の分散

高次の M波と思われ,これから信頼できる情報を得る Fig. 20. Dispersion of the wave

ことは不可能であろう。従って,計算は CASEIの group II1.

M22波までで打ち切ったが,ここに観測された III群の周期は主として 2層日の厚さに大きく

左右されるようである。第 15図に見られる III'群は周期がこれより 2倍ほど長いが,やはり

高次の M 波と思われる。

III群は M21波と考えられていることが多いが,今回のように非常に高次の M波が卓越す

ることもあるらしく解析には注意が必要である。この原因は単に計訴の特性のためだけで、はな

いらしい。今回計算したような地下構造モデ、ルで、は,圧力波の分散曲線のうち位相速度の小さ

な部分は M 波の領域に入ってくる。あるいは,ポアソン比の大きな場合,M 波も圧力波に近

い部分で振幅が卓越するのかもしれない。この問題は,理論的に M波の excitationfunction13)

を計算することによりある程度解決されるであろう。

VI.あ とがき

本論文では, II群を leakingmodeとして説明するという立場から,様々な速度比,ポア

ソン比を持ったモデルについて分散曲線を計算した。その結果,ポアソ γ比が 0.5に近い場合,

leaking modeの分散曲線が圧力波の分散曲線に極めて近くなることが確かめられた。しかし

実際に観測される II群については不可解なことが少なくない。 laterarrivalがあからさまにパ

ルス状の形で重なり,分散波とはみなせないような波形となることもしばしばある。 II群の性

質をよりくわしく調べるには,分散のみでなく振幅の深度分布,スペクトラム等を合わせて考

察することが必要である。 KUBOTERAand OHT A 14)によれば, II群の振幅の深度分布は,圧力

13) D. G. HARKRIDER; Surface Waves in Multilayered Elastic Media 1. Rayleigh and Love waves

from Buried Sources in a Mu¥tilayered Elastic Ha¥f-Space. Bull. Seism. Soc. Amer., 54 (1964),

627-679.

14) A. KUBOTERA and Y. OHTA; On Seismic Waves Generated by SmaII Explosions [IIJ, Spec

Contr., Geophys. Inst. Kyoto Univ., 7 (1967), 169-179.

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いくつかの形の leakingmodeの性質(その 2) 135

波のそれに大変良く似ているという。

謝辞

有益な助言をいただいた田治米鏡三教授に深く感謝する。

数値計算には北大計算センター, NEAC 2203Gおよび東大大型計算機センター, HITAC

5020を使用した。老大な計算結果のプロットを,三津谷洋子嬢と柳原佑子嬢にしていただいた。

また,解析の一部に,地震探鉱実験ク守ルーフ。による記録を使わせていただし、た。

9. Characteristics of Some Types of Leaking Mode (II)

on the Wave Group 11-

By Toshikatsu YOSHII

(Department of Geophysics, Faculty of Science, Hokkaido University)

The wave group II observed in the experiment of small explosion seismology were

considered. The dispersion curves for rather simple models shown in Table 1 and

Table 2 were calculated by GLIVER and MAJOR'S and Su and DORMAN'S approximate

methods. These curves are shown in Fig. l-Fig. 10. When POISSON'S ratio of the model

is near1y 0.5, the dispersion curves of the leaking mode are almost same to those of the

pressure waves. It is immediately recognized from above result that the wave group II

can be approximately analyzed as the pressure wave

Some actural examples of analyses were shown in Fig. 14-Fig. 20.