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1. 4月のポイント
2015年第1四半期の国内総生産(GDP)伸び率は、前年同期比7.0%増と、需要の低迷が響き6年ぶりの低成長だった。
工業、投資、消費、輸出入の伸びも軒並み減速し、中国人民銀行は預金準備率を1%引き下げる追加金融緩和を決めた。
一方、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)には57ヵ国の創設メンバーが集まった。経済圏の拡大を目論む中国が同銀行で国際社会の懸念を払拭できるかが注目される。
中国マクロ経済動向分析4月 2
3.生産 第1四半期中国GDP、6年ぶりの低成長
中国マクロ経済動向分析4月 4
中国は、成長がゆるやかに鈍化することを「新常態」 として許容し、長期的には、新設するAIIBなどを通じた 周辺国への投資で新たな需要を掘り起こしたい構えだ。
⇒中国は4月30日に政治局会議を開き、景気刺激策を示唆
• 伸び率は前年同期比で7.0%増 • 2014年第4四半期の7.3%から減速
• 6年ぶりの低成長 第1四半期GDP
• 年間成長目標を7%に設定
• 主要国では最大の部類だが、近年の中国では最低水準
年間成長目標
中国マクロ経済動向分析4月
(出所)国家統計局より作成
図表1:工業付加価値生産伸び率(単位:%)
3.生産 第1四半期中国GDP、6年ぶりの低成長
5
第1四半期の工業付加価値生産の伸び率は前年同期比6.4%増と前年同期の8.7%増から大きく減速。不動産価格の低迷や、政府に
よる公共投資の抑制策で投資が鈍ったことなどが要因である。
8.6 8.8 8.7 8.8 9.2 9.0
6.9
6.9 7.7
7.2
7.2
6.8 5.6
5.5 6.0 6.5 7.0 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0
前月から1.2%減と伸び率の低下に歯止めかからず
50.2 50.3 50.4 50.8
51.0
51.7
51.1 51.1
50.8 50.3 50.1 49.8
49.9 50.1
47.5 48.5 49.5 50.5 51.5 52.5
政府による公共投資の抑制策で 投資が鈍ったことなどが要因
3.生産 第1四半期中国GDP、6年ぶりの低成長
中国マクロ経済動向分析4月
(出所)国家統計局より作成
6
図表2:製造業購買担当者景気指数(PMI)
3月の製造業PMI改定値は49.6と、 3ヵ月ぶりに低下し、2月の50.7から大幅に悪化した。
前月より0.2ポイント上昇
4.固定資産投資 FDIや対外投資の伸び続くも、
不動産低迷で国内投資は停滞
中国マクロ経済動向分析4月
(出所)国家統計局より作成
7
図表3:固定資産投資伸び率(単位:%)
17.6 17.3 17.2 17.3 17.0 16.5 16.1 15.9 15.8 15.7
13.9 13.5
13.0 14.0 15.0 16.0 17.0 18.0 19.0
3月の固定資産投資は前年同期比13.5%増と前年同期の17.6%に比べ伸び減速、第1四半期の住宅販売額は前年同期比9.1%減。
不動産が値下がりしても買い控えが続き、不動産市場は低迷
5.物価・消費 「消費主導」に影、ネットショッピングは引き続き好調
第1四半期の社会消費品小売り総額は前年同期比10.6%増となり、2014年通年の伸びを下回った。海外での「爆買い」は大都市の富裕層に限られており、消費は新たな成長の柱になりきれていない。
(出所)国家統計局より作成
図表4:社会消費品小売総額(単位:%)
中国マクロ経済動向分析4月 8
12.2
11.9
12.5
12.4 12.2
11.9 11.6 11.5
11.7
11.9 10.7
10.6 10.5
11
11.5
12
12.5
13 3月の社会消費品小売品総額は、前年同月比10.6%増
2.0 2.4
1.8
2.5
2.3 2.3
2.0 1.6 1.6 1.4 1.5
0.8
1.4 1.4
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
3.5
5.物価・消費 「消費主導」に影、ネットショッピングは引き続き好調
図表5:消費者物価指数(CPI)(単位:%)
2015年の公式目標⇒3% これを達成できる確率は低い
中国マクロ経済動向分析4月 9
(出所)国家統計局より作成
3月のCPI、前年同月比1.4%上昇と、前月から横ばい
2015年の中国におけるネットサービスなどの「情報消費」市場は2014年に比べて20%以上伸びる見込み ⇒消費のトレンドは、 ネットショッピング
2月の春節(旧正月)後、食品などへの需要が減り、価格が下がった。2015年3月CPIは前年同月比1.4%上昇と、前月から横ばい。
6.金融・財政 預金準備率1%引き下げ、景気テコ入れへ
図表6:通貨供給量(M2)の伸び率(単位:%)
中国マクロ経済動向分析4月 10
(出所)国家統計局より作成
13.3
12.1
13.2 13.4
14.7
13.5 12.8
12.9
12.6 12.3 12.2
10.8
12.5
11.6 10 11 12 13 14 15 16
2015年3月のマネーサプライM2伸び率は前年同月
比11.6%増であった。
3月のマネーサプライM2伸び率は前月に比べ0.9ポイント低下、 政府が今年の目標とした「12%前後の伸び」も下回った 。
7.預金準備率 預金準備率1%引き下げ、景気テコ入れへ
中国マクロ経済動向分析4月 11
2015年4月19日 人民銀行は銀行など金融機関から預金の一定割合を強制的に預かる預金準備率1%引き下げを発表
2015年5月10日 人民銀行は金融機関の 貸出金利(期間1年)と預金金利を0.25%引き下げ
金融機関は貸し倒れのリスクを厳しく評価する一方で 地方や中小企業の救済に熱心である。
8.貿易 第1四半期輸出入総額6%減、元高や外需の低下が要因
3月の輸出入は2ヶ月ぶりに前年同期水準を下回る。 不動産の低迷を背景とする内需の落ち込みと元高が要因である。
図表7: 輸出の伸び推移(単位:%) 図表8: 輸入の伸び推移(単位:%)
中国マクロ経済動向分析4月 12
(出所)海関総署より作成 (出所)海関総署より作成
10.1
-‐11.3
0.8
-‐1.6
5.5
-‐1.6 -‐2.4
7.0 4.6
-‐6.7
-‐2.4
-‐19.9
-‐20.5 -‐12.7
-‐25.0
-‐20.0
-‐15.0
-‐10.0
-‐5.0
0.0
5.0
10.0
15.0
-‐18.1
-‐6.6
0.9 7.0 7.2
14.5 9.4
15.3
11.6
4.7 9.7
-‐3.3
48.3
-‐15.0
-‐30.0
-‐20.0
-‐10.0
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
60.0
9.AIIB AIIB創設メンバー57ヵ国で確定、
中国の更なる経済圏の拡大目指す
中国マクロ経済動向分析4月 13
AIIBの狙い 貧困の撲滅や減災に重点。既存の国際金融機関の補完 日米の反応 中国の影響力の増大や情報の不透明性を懸念し不参加
中国はAIIBと並行してシルクロード基金(両者の資金源は別)を設立し、アジアのインフラ整備を進めている。
インフラ整備を通じて新経済圏を整備していく 中国の狙いが鮮明に
10.株 4月の中国株は、規制緩和期待による
投資家増加に伴い大幅上昇
14
(出所)SearchinaファイナンスHPより作成
4月上旬 中国の製造業PMIを手がかりに上昇、9日は
一部資金の香港株シフトなどの影響で反落
4月中旬 弱い貿易統計が逆に景気刺激して続伸、15日は1-‐3月期のGDP発
表で反落
4月下旬 預金準備率の引き下
げと信用売り規制の緩和の影響で乱高下を
繰り返す
中国マクロ経済動向分析4月
図表:9 上海総合指数(終値)(2015/3/23-‐2015/4/23)
3600 3700 3800 3900 4000 4100 4200 4300 4400 4500
3/23 3/26 3/29 4/1 4/4 4/7 4/10 4/13 4/16 4/19 4/22
(出所)SearchinaファイナンスHPより作成
15
4月上旬 本土の投資信託による香港株投資規制の
緩和を受け上昇
4月中旬 滬港通を通じたマネー流入の期待感で続伸、その後ギリシャ情勢の
悪化で反落
4月下旬 海外マネーの香港流入の観測から上昇、そのことで高値警戒感が強まり小幅下落
中国マクロ経済動向分析4月
図表10: ハンセン指数(終値)(2015/3/23-‐2015/4/23)
24000
25000
26000
27000
28000
29000
3/23 3/26 3/29 4/1 4/4 4/7 4/10 4/13 4/16 4/19 4/22
10.株 4月の中国株は、規制緩和期待による
投資家増加に伴い大幅上昇
4月のまとめ • 2015年第1四半期のGDP伸び率は6年ぶりの低成長。しか
し、中国はこれを「新常態」として許容し、AIIBなどの投資で新たな需要を掘り起こす構え。
生産 • 不動産市場の低迷が原因で、3月の固定資産投資は前年
同期比13.5%増で前年同期の17.6%増に比べ減速。 固定資産投資
• 2月の春節(旧正月)が終わり、食品などへの需要が減って価格が下がった事で3月のCPIは前月から横ばい。 消費
• 中国人民銀行は景気の減速を受け、預金準備率を異例の1%引き下げへ。 財政
• 第1四半期輸出入総額6%減、輸出入ともに前年同期水準を下回るのは2ヵ月ぶり。元高や外需の低下が原因。 貿易
• 4月の本土市場は規制緩和期待による投資家増加に伴い大幅上昇。香港市場も本土の投資信託による香港株投資規制の緩和を受け続伸、また本土・海外からのマネー流入で大幅上昇。 株価
16 中国マクロ経済動向分析4月