30
地下埋設物対策部会 2019 年中における建設工事に伴う 地下埋設物・架空線事故の発生状況 2020 年 6 月 (一社)日本建設業連合会 公衆災害対策委員会

2019 年中における建設工事に伴う 地下埋設物・架空線事故 …...(24件) 18% 歩道 (17件) 13% その他 (19件) 14% 図1事故発生場所(埋設管) 事故発生件数

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Page 1: 2019 年中における建設工事に伴う 地下埋設物・架空線事故 …...(24件) 18% 歩道 (17件) 13% その他 (19件) 14% 図1事故発生場所(埋設管) 事故発生件数

地 下 埋 設 物 対 策 部 会

2019 年中における建設工事に伴う

地下埋設物・架空線事故の発生状況

2020 年 6 月

(一社 )日本建設業連合会公 衆 災 害 対 策 委 員 会

Page 2: 2019 年中における建設工事に伴う 地下埋設物・架空線事故 …...(24件) 18% 歩道 (17件) 13% その他 (19件) 14% 図1事故発生場所(埋設管) 事故発生件数

は じ め に

1.調査方法

  この調査は、関東地区ならびに各支部の管轄区域ごとに会員会社に調査

 を依頼し、2019年1月から12月までの事故の発生状況について集計したも

 のです。

2.調査結果の概要

(1)回答状況

  回答会社は79社で、206件(埋設管134件および架空線72件)の事故が

 報告されました。

当対策部会は、発足以来関係各位のご協力を得て、建設工事に伴う地下

埋設物の事故防止に必要な各種の施策を推進しておりますが、その基礎資

料とするため、会員会社にお願いして年間の地下埋設物事故発生状況の調

査を毎年実施しております。

2019年中の事故発生状況につきましては、先般全国の会員会社141社に調

査を依頼し、79社から回答をいただきました。この資料は、その調査結果

をまとめたものです。

また、平成24年から架空線事故についても調査を実施しています。

統計の内容は発生した事故のすべてを反映しているとはいえませんが、

傾向は十分把握できると思われます。会員会社が今後、埋設物および架空

線の事故防止対策を進めるにあたり、参考資料としてご利用いただければ

幸いです。

-1-

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中 部

5

北海道

東 北

関 西

中 国

13 13

3 9

51 32

94

19

2

九 州

4四 国

計 150

10

70

134125

3

3

3

134 134

(2)事故発生状況(埋設管)

2016年

表 1 本・支部管内別事故発生件数

2017年2015年

   2019年中の埋設管の全事故件数は134件で、前年と同数であった。

2018年  年

 管内2019年

  150件となったが、2018年と2019年は134件と若干減少している。

  過去最少件数は、2012年の92件で、その後増加傾向が続き2017年に

  (表 3)

   また、地域別では、東北で前年より13件減少しているが、関東では

  前年より14件も増加している。

1616

5751

11

52

18

9 2011

31 3

関 東 43

北 陸

2

41

8

47

104

1930

69 4 5

-2-

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管種別

0 0.0 6 2.9 1 0.4

0 0.0 1 0.5 0 0.0

0 0.0 7 3.4 1 0.4

1 1 2 2 3 3 1.5 4 1.9 7 3.0

1 1 1 2 1 1 3 1.5 2 1.0 4 1.7

1 1 1 2 3 1 5 1 1 6 2.9 6 2.9 11 4.7

1 1 1 1 1 2 3 1 6 6 2.9 2 1.0 5 2.2

0 0.0 2 1.0 1 0.4

1 1 1 1 1 2 3 1 6 6 2.9 4 1.9 6 2.6

1 1 1 3 4 1 6 1 3 1 5 11 5.3 10 4.9 7 3.0

3 3 1 3 7 3 1 4 11 5.3 7 3.4 8 3.4

3 4 7 1 1 1 10 2 4 1 7 17 8.3 14 6.8 27 11.6

2 2 2 1.0 8 3.9 7 3.0

3 3 1 1 5 3 3 8 3.9 17 8.3 23 9.9

1 1 4 13 17 2 2 2 4 28 5 13 1 2 21 49 23.8 56 27.2 72 31.0

0 0.0 0 0.0 5 2.2

0 0.0 3 1.5 0 0.0

0 0.0 3 1.5 5 2.2

1 5 6 2 2 3 15 18 5 4 2 1 6 44 3 7 2 1 4 17 61 29.6 53 25.7 57 24.6

2 7 9 2 1 1 13 13 6.3 12 5.8 14 6.0

2 1 3 9 9 1 1 1 1 16 2 6 1 1 10 26 12.6 12 5.8 17 7.3

1 1 2 0 0 0 0 3 3 1 1 0 0 3 10 2 3 0 0 0 5 15 7.3 13 6.3 8 3.4

4 4 1 4 1 2 12 5 11 2 18 30 14.6 40 19.4 41 17.7

2 8 10 3 4 7 11 55 66 12 13 7 4 15 134 17 41 2 3 9 72 206 100.0

1.5 6.0 7.5 2.2 3.0 5.2 8.2 41.0 49.3 9.0 9.7 5.2 3.0 11.2 100 23.6 56.9 2.8 4.2 12.5 100

3 3 6 2 3 5 9 59 68 14 19 5 4 13 134 19 44 4 2 3 72 206 100 232 100

2.2 2.2 4.5 1.5 2.2 3.7 6.7 44.0 50.7 10.4 14.2 3.7 3.0 9.7 100 26.4 61.1 5.6 2.8 4.2 100

3 7 10 3 6 9 9 58 67 12 22 10 9 11 150 20 49 1 7 5 82 232 100

2.0 4.7 6.7 2.0 4.0 6.0 6.0 38.7 44.7 8.0 14.7 6.7 6.0 7.3 100 24.4 59.8 1.2 8.5 6.1 100

H そ の 他

埋設管計

I 電気

J 通信

埋設管 架空線

Aガス管 K 照明

L 信号1

 本 管

小 計

G 信号ケー

ブル

2017年

件   数

構 成 比

2019年

表 2 工事種別・管種別事故件数集計表

小 計

D 電力ケー

ブル

2018年

件   数

構 成 比

件   数

構 成 比

19年

件 数

H 付帯工事・仮設工事等

J その他

I 構造物解体

17年

件 数

構成比

18年

件 数

構成比

G 管路埋設工事

D道路及び橋

1 街路構築

2 舗  装

3 道路改良

4 橋梁工事

5 その他

小 計

E共同溝

1 開 削

小 計

M その他

架空線 計

E 通信ケー

ブル

F 照明ケー

ブル

1 本 管

1 本 管

2 取付管

2 供給管

2 供給管

小 計

B下水道管 C水道管

構成比

工事種別

小 計

A地下鉄

1 開 削

2 シールド

2 シールド

小 計

F 建築工事

B下水道

1 開 削

2 シールド

小 計

C水道

1 開 削

2 シールド

-3-

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-4-

表 3 会員会社の地下埋設物の事故発生件数の推移(埋設管)

335

286

258

241

269

196

213 212

192

209

236

194

259

179170

194

170

143

172 176

134

161 157

137

116

135

119 123

95

137

119

92

123

138125

134

150

134 134

0

50

100

150

200

250

300

350

400

81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19

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ア) 事故発生場所と工事種別事故発生状況

 事故発生場所で最も多いのは、民有地(74件)で、全体の5割以上を占めている。

「その他」の内訳としては、官有地が半数近くを占めている。 (図1)

  工事種別事故発生状況では、「道路及び橋梁工事」と「建築工事」で全体の半数以上

を占めている。次に「付帯工事・仮設工事等」と「管路埋設」での事故が続いている。 (図 2、3)

民有地

(74件) 55%

車道

(24件) 18%

歩道

(17件) 13%

その他

(19件) 14%

図 1 事故発生場所(埋設管)

事故発生件数134件

建築

(44件)33%

道路及び橋梁

(28件)21%

付帯工事・

仮設工事等

(16件)12%

管路埋設

(13件)10%

構造物等解体

(10件)7%

水道

(6件)4%

下水道

(5件)4%

その他

(12件)9%

図 2 工事種別事故発生状況(埋設管)

工事種別件数

134件

-5-

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図 3 工事種別構成比(%)の推移(埋設管)

8.0

1.6

7.2

4.0

10.4

0.8

8.0

8.8

30.4

20.8

16.4

1.5

6.0

7.5

4.5

0.0

7.5

10.4

21.6

24.6

14.0

2.7

3.3

3.3

4.7

0.7

8.0

7.3

30.7

25.3

17.9

0.7

1.5

3.7

4.5

5.2

7.5

6.7

22.4

29.9

9.0

0.0

4.5

3.7

7.5

0.0

9.7

11.9

20.9

32.8

0 5 10 15 20 25 30 35

そ の 他

共 同 溝

水 道

下 水 道

構造物等解体

地下鉄

管路埋設

付帯工事

仮設工事等

道路及び橋梁

建 築

(%)

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

-6-

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イ) 管種別事故発生状況

していて、慎重な対応が必要である。 (図 4、5)

 管種別の事故件数は、「水道管」が66件(49%)で、依然として突出しており、「通信ケー

 重大事故につながりやすい「ガス管」の事故は10件(7%)発生しており、昨年より4件増加

ブル」、「電力ケーブル」、「ガス管」、「照明ケーブル」がそれに続いている。

図 4 管種別事故発生状況(埋設管)

水道管

(66件)49%

通信ケーブル

(13件)10%

電力ケーブル

(12件)9%

ガス管

(10件)8%

照明ケーブル

(7件)5%

下水道

(7件)5%

信号ケーブル

(4件)3%

その他

(15件)11%管種別件数

134件

-7-

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図 5 管種別構成比(%)の推移(埋設管)

4.8

1.6

10.4

4.0

7.2

9.6

12.0

50.4

5.2

0.7

3.7

3.0

13.4

13.4

8.2

52.2

7.3

6.0

6.0

6.7

6.7

8.0

14.7

44.7

9.7

3.0

3.7

3.7

4.5

10.4

14.2

50.7

11.2

3.0

5.2

5.2

7.5

9.0

9.7

49.3

0 10 20 30 40 50 60

そ の 他

信号ケーブル

(破損)

下水道管

(破損、漏水)

照明ケーブル

(破損)

ガ ス 管

(破損、ガス漏)

電力ケーブル

(破損)

通信ケーブル

(破損)

水道管

(破損、漏水)

(%)

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

-8-

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 「その他」の内容は「仮囲い等の支柱の打ち込み」、「カッター入れ」、

ウ)工程種別事故発生状況

 工程別では「掘削」、「試掘・布掘」の掘削関連が合わせて約5割以上を

「建物解体」等多岐にわたっている。(図 6、7)

占めている。

図 6 工程種別事故発生状況(埋設管)

掘削

(路面掘削を含む)

(51件) 38%

支障物等撤去

(25件) 19%

試掘・布掘

(20件) 15%

杭打、杭抜

(連壁等を含む)

(9件) 7%

薬注・ボーリング

(7件) 5%

埋設物復旧・埋戻し

(1件) 1%

その他

(21件) 16% 工程種別件数

134件

-9-

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図 7 工程別構成比(%)の推移(埋設管)

12.8

1.6

5.6

8.0

10.4

24.8

36.8

19.4

3.7

9.0

11.9

11.9

18.7

25.4

20.7

2.7

3.3

9.3

10.0

17.3

36.7

14.9

0.7

3.0

14.2

15.7

18.7

32.8

15.7

0.7

5.2

6.7

14.9

18.7

38.1

0 5 10 15 20 25 30 35 40

その他

(仮囲い支柱

打込み等)

埋設物復旧

埋戻し

薬注

(ボーリング)

杭打・杭抜

試掘・布掘り

支障物等撤去

掘 削

(%)

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

-10-

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   また、                            

            があげられ、施工時の基本的な遵守事項の欠如による事

  故が依然として減らない状況である。

   「埋設管の位置と図面で相違あり」が挙げられているが、埋設物は図面通り

  には埋設されていないことを前提に計画を立てるべきである。(図 8、9)

              

                  が全体の27%を占めている。

(3) 事故原因

 ア)起因別

   事故の起因は、1事故当り複数の回答があり、134件の事故に対し287件で

  あった。原因は多岐に亘るが、

        

「試掘なし又は不十分」「台帳の事前確認が不足」「路上マーキングなし」

「作業打合せで埋設物対応の指示なし」、「埋設物

の位置、掘削方法の指示の不徹底」「埋設物の周囲50cm以内の手掘りの指示なし」

図 8 起因別事故発生状況(埋設管)

等施工前の対応不足

指示の不徹底

(77件)27%

試掘なし

又は不十分

(45件)16%

埋設管の位置と

図面とで相違あり

(31件)11%

台帳などの事前

確認が不足

(26件)9%

道路台帳に記載なし

(18件)6%

浅層埋設であった

(16件)6%

路上マー

キングなし

(15件)5%

埋設物管理者

の立会なし

(12件)4%

配管の形状の

確認なし

(9件)3%

刃先監視人

の配置なし

(9件)3%

その他

(29件)10%

起因別件数287件

「手はつりの指示なし」等指示の不徹底

-11-

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19.1

0.8

3.9

3.1

4.3

3.9

5.8

12.1

11.7

8.9

26.5

14.7

0.4

4.2

5.3

4.6

4.2

7.7

10.9

10.5

13.3

24.2

13.7

1.4

3.1

6.1

2.7

3.4

3.4

7.5

11.9

15.7

31.1

16.7

2.6

4.3

3.0

3.0

3.4

8.1

10.3

10.7

15.4

22.6

10.1

3.1

3.1

4.2

5.2

5.6

6.3

9.1

10.8

15.7

26.8

0 5 10 15 20 25 30 35

そ の 他

(防護の検討なし等)

刃先監視人の配置なし

配管の形状の確認なし

(曲がり、立ち上がり)

埋設物管理者の

立会なし

路上マーキングなし

浅層埋設であった

道路台帳に記載なし

台帳などの事前

確認が不足

埋設管の位置と

図面とで相違あり

試掘なし、

又は不十分

指示の不徹底

(%)

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

図 9 起因別構成比(%)の推移(埋設管)

指示の不徹底

台帳などの事前

確認が不足

試掘なし

又は不十分

路上マーキングなし

-12-

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 イ) 形態別

    形態別では、「機械掘削」による事故が毎年大半を占めており、全体の7割以上を占め

  

   (図 10、11)

   ている。その内訳をみると依然として「バックホウ」によるものが90件と多い。

バックホウ

(90件)94%

カッター

(5件)5%

その他

(1件)1%

機械等

(96件)72%杭打・杭抜

(11件)8%

人力堀削

(9件)7%

薬注(ボーリング)

(9件)7%

支障物等撤去

に伴うもの

(3件)2%

その他

(6件)4%

形態別件数134件

機械等の内訳

図 10 形態別事故発生状況(埋設管)

-13-

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図 11 形態別構成比(%)の推移 (埋設管)

6.4

6.4

7.2

8.8

7.2

64.0

10.4

3.0

10.4

5.2

11.2

59.7

8.0

5.3

6.0

7.3

9.3

64.0

2.2

3.7

10.4

9.0

13.4

61.2

4.5

2.2

6.7

6.7

8.2

71.6

0 10 20 30 40 50 60 70 80

そ の 他

(接触その他)

支障物等撤去

に伴うもの

薬注(ボーリング)

によるもの

人力掘削に

よるもの

杭打・杭抜作業

によるもの

機械掘削に

よるもの

(%)

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

-14-

Page 16: 2019 年中における建設工事に伴う 地下埋設物・架空線事故 …...(24件) 18% 歩道 (17件) 13% その他 (19件) 14% 図1事故発生場所(埋設管) 事故発生件数

 今回の調査で事故のペナルティの有無を確認したところ、4件の報告があった。

ペナルティの内訳として、文書注意が2件、始末書の提出が1件、工事一時中止

が1件となっている。

管種 事 故 の 概 要

ガス管簡易ウェルを施工するためライザー管を挿入した際、ガス供給管を損傷し、

地域へのガス供給に影響が出た。(文書注意)

下水道土留鋼矢板を建て込むためのオーガー削孔中、下水管(φ250)を損傷し

汚水管を閉塞させた。。(文書注意)

通信ケーブル立坑をバックホウで掘削中、NTT管(φ75)を破損。破損した管は空管

であり、通信影響はなし。(始末書提出)

水道管民有地で管路埋設のための掘削工事を施工中、埋設図に記入されていなかっ

た水道管を損傷した。(工事一時中止)

(4) 地下埋設物事故のペナルティ

(5) 主なペナルティを受けた事故例

- 15 -

Page 17: 2019 年中における建設工事に伴う 地下埋設物・架空線事故 …...(24件) 18% 歩道 (17件) 13% その他 (19件) 14% 図1事故発生場所(埋設管) 事故発生件数

(6)架空線事故について

年管内

計 96 82 82 72 72

1

関 西 6 4 8 9 11

中 国 3 1 3 3

2

四 国 3 1 0 1 3

九 州 2 3 2 4

2

東 北 43 38 34 27 25

北 陸 3 3 3 3

6

関 東 22 22 23 16 18

中 部 10 7 5 4

   2019年中の架空線の全事故件数は72件で、前年と同じ過去最少件数と

  なった。

ア)事故発生状況

4

表 4 本・支部管内別事故発生件数

2015年 2016年 2017年 2018年 2019年

北海道 4 3 4 5

   架空線の事故については、2012年より調査を実施している。

   調査を開始した2012年は35件と最少だったが、2013年には91件と増加

  し、2017年まではほぼ横ばいで推移し、2018年、2019年と減少傾向となっ

  ている。(表 4、5)

-16-

Page 18: 2019 年中における建設工事に伴う 地下埋設物・架空線事故 …...(24件) 18% 歩道 (17件) 13% その他 (19件) 14% 図1事故発生場所(埋設管) 事故発生件数

-17

-

表 5 会員会社の地下埋設物の事故発生件数の推移(架空線)

35

91

82

96

82 82

72 72

0

20

40

60

80

100

120

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 (年)

Page 19: 2019 年中における建設工事に伴う 地下埋設物・架空線事故 …...(24件) 18% 歩道 (17件) 13% その他 (19件) 14% 図1事故発生場所(埋設管) 事故発生件数

イ)事故発生場所と工事種別事故発生状況

                         

ウ)工事種別事故発生状況

 工事種別事故では、「道路及び橋梁工事」と「建築工事」で全体の約5割

以上を占めている。(図 13、14)

発生場所は、車道と民有地

で全体の8割近くを占めてい

る。

その他は、作業用地、鉄道

用地、公有地等である。

(図 12)

(平成28年)

道路及び橋梁

(21件) 29%

建築

(17件) 24%付帯工事・仮設

工事等

(10件) 14%

構造物等解体

(5件) 7%

下水道

(1件) 1%

その他

(18件) 25%

図 13 工事種別事故発生状況(架空線)

工事種別件数

72件

民有地

(37件)51%

車道

(20件)28%

歩道

(3件)4%

その他

(12件)17%

図 12 事故発生場所(架空線)

事故発生件数

72件

-18-

Page 20: 2019 年中における建設工事に伴う 地下埋設物・架空線事故 …...(24件) 18% 歩道 (17件) 13% その他 (19件) 14% 図1事故発生場所(埋設管) 事故発生件数

21.9

0

1.0

0

3.1

4.2

4.2

21.9

43.8

32.9

1.2

0.0

1.2

1.2

2.4

8.5

9.8

42.7

24.4

2.4

1.2

0

6.1

2.4

7.3

23.2

32.9

22.2

2.8

2.8

2.8

1.4

9.7

4.2

18.1

36.1

25.0

0

0

0

1.4

6.9

13.9

23.6

29.2

0 10 20 30 40 50

その他

管路埋設工事

水道

共同溝工事

下水道

構造物等解体

付帯工事・仮

設工事等

建築

道路及び橋梁

(%)

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

図 14 工事種別構成比(%)の推移(架空線)

-19-

Page 21: 2019 年中における建設工事に伴う 地下埋設物・架空線事故 …...(24件) 18% 歩道 (17件) 13% その他 (19件) 14% 図1事故発生場所(埋設管) 事故発生件数

 ケーブル種別事故では、「通信ケーブル」と「電気ケーブル」で全体の8割

エ)ケーブル種別事故発生状況

以上を占めている。

 電気ケーブルの事故は、感電等により重大な災害を引き起こす可能性が

 通信ケーブルの事故は全体の半数以上を占めているが、通信には人命に

高いため、特に慎重な対応を求められる。

関わる重要な情報も入っており、社会的な影響が大となる。(図 15、16)

図 15 ケーブル種別事故発生状況(架空線)

通信ケーブル

(41件) 57%

電気ケーブル

(17件) 24%

信号ケーブル

(3件) 4%

照明ケーブル

(2件) 3%

その他

(9件) 12%ケーブル種別件数

72件

-20-

Page 22: 2019 年中における建設工事に伴う 地下埋設物・架空線事故 …...(24件) 18% 歩道 (17件) 13% その他 (19件) 14% 図1事故発生場所(埋設管) 事故発生件数

図 16 ケーブル種別構成比(%)の推移(架空線)

13.5

1.0

0.0

22.9

62.5

12.2

2.4

3.7

20.7

61.0

6.1

1.2

8.5

24.4

59.8

4.2

5.6

2.8

26.4

61.1

12.5

2.8

4.2

23.6

56.9

0 10 20 30 40 50 60 70

その他

照明ケーブル

信号ケーブル

電気ケーブル

通信ケーブル

(%)

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

-21-

Page 23: 2019 年中における建設工事に伴う 地下埋設物・架空線事故 …...(24件) 18% 歩道 (17件) 13% その他 (19件) 14% 図1事故発生場所(埋設管) 事故発生件数

オ)工程種別事故発生状況

 工程種別の事故では、「移動時・運搬時」が5割を占め、「掘削」「埋設物

復旧・埋戻し」「支障物等撤去」がそれに続いている。

 「移動時・運搬時」の事故原因は、ユニック車のクレーンブームを収

納しないまま走行したり、バックホウのアームを上げたまま移動したこ

とによるものが多い。また、トラックに重機を積載して移動する際の事

故も多い。(図 17、18)

移動時、運搬時

(42件)58%

掘削

(路面掘削を含む)

(8件)11%

揚重時

(6件)8%

支障物等撤去

(3件)4%

試掘・布掘

(1件)2%

埋設物復旧

・埋戻し

(1件)2%

覆工

(路面掘削を除く)

(1件)1%その他

(10件)14%

図 17 工程種別事故発生状況(架空線)

工程種別件数

72件

-22-

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図 18 工程種別構成比(%)の推移(架空線)

15.6

0.0

10.4

1.0

2.1

7.3

9.4

53.1

14.6

0.0

2.4

0.0

4.9

6.1

9.8

62.2

19.5

0.0

4.9

0.0

2.4

13.4

6.1

53.7

20.8

1.4

6.9

0.0

6.9

2.8

6.9

54.2

13.9

1.4

1.4

1.4

4.2

8.3

11.1

58.3

0 10 20 30 40 50 60 70

その他

試掘・布掘

埋設物復旧

・埋戻し

覆工

(路面掘削を除く)

支障物等撤去

揚重時

掘削

(路面掘削を含む)

移動時、運搬時

(%)

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

-23-

Page 25: 2019 年中における建設工事に伴う 地下埋設物・架空線事故 …...(24件) 18% 歩道 (17件) 13% その他 (19件) 14% 図1事故発生場所(埋設管) 事故発生件数

カ)事故原因

の作業をしていて事故を起こしている。

 事故原因は、1事故当たり複数の回答があり、151件の報告がされている。

最も多い事故原因が「運転者等の判断ミス(うっかり)」であり、全体の3

割以上を占めている。次に多いのが「重機等の誘導なし」で、対応策なし

合せで架空線対応の指示なし」と準備、計画段階での不備が続いている。

 その他「架空線防護の検討なし」「架空線の高さの確認なし」「作業打

(図 19、20)

運転者等の判断ミ

ス(うっかり)

(51件) 34%

重機等の誘導なし

(27件) 18%

架空線防護の

検討なし

(17件) 11%

架空線の高さの

確認なし

(15件) 10%

作業打合せで

架空線対応の

指示なし

(14件) 9%

ハザードマップ

の作成なし

(8件) 5%

ブーム等のリミッ

ターの設定なし

(4件) 3%その他

(15件) 10%

図 19 起因別事故発生状況(架空線)

起因別件数

151件

-24-

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図 20 起因別構成比(%)の推移(架空線)

6.6

2.1

3.7

12.4

11.2

13.7

18.7

31.5

6.7

1.2

3.7

6.7

17.2

11.7

16.0

36.8

4.3

1.8

3.7

8.5

15.9

12.8

15.9

37.2

7.8

3.1

1.6

9.3

9.3

12.4

15.5

41.1

9.9

2.6

5.3

9.3

9.9

11.3

17.9

33.8

0 10 20 30 40 50

その他

ブーム等のリミッター

の設定なし

ハザードマップ

の作成なし

作業打合せで

架空線対応の

指示なし

架空線の高さの確認なし

架空線防護の検討なし

重機等の誘導なし

運転者等の判断

ミス(うっかり)

(%)

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

-25-

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せずに移動したり、トラックに重機を積載して走行したことにより事故を

発生させた「移動・運搬時」が21件となっている。(図 21、22)

キ)事故原因(形態別事故発生状況)

 形態別事故では、「機械掘削時」にバックホウで架空線に接触した事故が

全体72件のうち40件と半数以上を占めている。次にクレーンブームを収納

(2019年)

機械掘削

(40件) 56%

移動・運搬

(21件) 29%

揚重作業

(6件) 8%

薬注・ボーリング

等削孔作業

(1件) 1%

その他

(4件) 6%

図 21 形態別事故発生状況(架空線)

形態別件数

72件

-26-

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図 22 形態別構成比(%)の推移(架空線)

7.3

2.1

4.2

33.3

53.1

7.3

1.2

6.1

45.1

40.2

8.5

3.7

15.9

36.6

35.4

12.5

1.4

4.2

40.3

41.7

5.6

1.4

8.3

29.2

55.6

0 10 20 30 40 50 60

その他

薬注・ボーリング

等削孔作業

揚重作業

移動・運搬作業

機械掘削

(%)

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

-27

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通信ケーブル資材をユニック車に載せ移動中、ブームをあげたままで走行し、道路を横断しているN

TT線を切断した。(工事一時中止)

電気ケーブルクローラークレーンの組み立て作業中、クレーンブームを高圧線に接近させたため、空

中放電が発生した。(工事一時中止)

信号ケーブルクレーン付きトラックのクレーンブームをあげたまま走行し、工場内の赤外線センサー

の架空線を損傷させた。(口頭注意)

電気ケーブル仮回し道路の施工中、バックホウのアームをあげたまま走行し、現場内の上空を通過す

る電力架空線を切断した。(工事一時中止)

(8)主なペナルティを受けた事故例

(7)架空線事故のペナルティ

 今回の調査で事故のペナルティの有無を確認したところ、4件の報告があった。

ペナルティの内訳として、口頭注意が1件、工事一時中止が3件となっている。

-28-

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あ と が き

日建連の会員を対象に調査した地下埋設物に関する事故報告件数は、長期

的には右肩下がりの傾向にあるが、ここ10年間は130件前後でほぼ横ばいで

推移している。特に2012年は過去最少の92件であったが、2013年以降は増加

の傾向にあり、2017年は150件となったが、2018年は前年より16件減少とな

り134件が報告されている。

今回の調査では、埋設管事故は、道路工事・建築工事・管路埋設工事での

掘削・試掘に絡むものが多い。管種別事故発生状況では水道管が約50%と依然

多く、通信ケーブル、電力ケーブルがそれに続いている。重大事故につなが

りかねないガス管の事故は、10件あり前年より増加しているため、引き続き注

意が必要である。

掘削以外の原因としては、支障物撤去、試掘・布掘り、杭打・杭抜となって

おり、埋設物を視認しにくい工種で、現認しないで施工して事故が発生して

いる。

形態別では、機械掘削が7割を占め、バックホウによる損傷がほとんどで

ある。日建連では、「埋設物回り50cmは人力掘削」を提唱しているが、今後も

「刃先監視員の配置」と共に徹底が必要である。事故原因として、台帳の確

認不足、埋設位置と図面との相違、浅層埋設が挙げられているが、埋設物

は、図面通りに埋設されていないことが多い。また、水道管の立ち上り部の

損傷事故が散見されるように、試掘で埋設物を確認しないで重機で掘削する

ことは避ける必要がある。掘削箇所には必ず埋設物があるという認識が必要

である。

架空線の事故報告件数は、72件で昨年と同数が報告されている。通信ケー

ブルの損傷事故が一番多いが、たくさんの情報量を持つため、損傷を与える

と、大きな影響を与えることになるので、特に対応が必要である。

架空線の事故原因として、運転者等の判断ミスが挙げられているが、うっ

かりミスは注意喚起だけでは防げないので、重機の旋回時、移動時において

は誘導員の配置やゲート等の物理的な接触防止措置が必要である。

-29-