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平成16年度文部科学省委託事業

平成16年度教育用コンテンツの活用・高度化事業報告書

教育用コンテンツ活用事例の検討・収集,普及による「わかる授業の実現」に関する

研究

平成17年3月

岐阜デジタル教材活用協議会

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目 次

I. 研究の内容.........................................................................................2

1. 研究の基本的なねらい...........................................................................................2(a) 研究の基本的な考え方.....................................................................................2(b) 研究の主題.....................................................................................................3

2. 研究の内容・方法..................................................................................................3(a) 研究の対象等..................................................................................................3(b) 研究の場面,背景,位置づけ...........................................................................4

3. 研究の組織・経緯..................................................................................................5(a) 研究組織の概要...............................................................................................5(b) 研究活動の実施・運営の流れ...........................................................................6

4. 研究の成果等.........................................................................................................8(a) 実証方法........................................................................................................8(b) 教育用コンテンツ活用に対する姿勢.................................................................8(c) 校内研修や協力体制........................................................................................9(d) 情報機器の活用...............................................................................................9(e) 一人一人に応じた指導...................................................................................10(f) 課題別学習での利用......................................................................................11

5. 意識調査から.......................................................................................................12(a) 教育用コンテンツの活用...............................................................................12

II. システム設計..................................................................................18

1. 教育用コンテンツ活用事例の収集・公開の概要.....................................................18(a) 活用事例の収集・公開...................................................................................18(b) 運営方法......................................................................................................18(c) 活用事例登録・公開システム.........................................................................19(d) 活用事例の収集・公開の構想.........................................................................25

III. 教育用コンテンツを利用した授業活用事例........................................................27

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平成16年度教育用コンテンツの活用・高度化事業報告書

岐阜デジタル教材活用協議会

教育用コンテンツ活用事例の検討・収集,普及による「わかる授業の実現」に関する研究

I. 研究の内容

1. 研究の基本的なねらい

(a) 研究の基本的な考え方

岐阜県は,校内LANや学校間を結ぶ高速なネットワーク等のインフラの整備を進め,各学校からネットワーク等を快適に利用できる環境が整ってきた(図I-1)。また,本県は,小中高等学校,盲・聾・養護学校の授業や家庭学習等で活用できる教育用コンテンツを開発・収集している。本県は,これらの教育用コンテンツを本県が運営する Web ページ(学習室)で公開し,全ての学校から Web 上で活用できるよう整備を進めてきた(図I-2)。その結果,学校は,ほとんどの教科で,学習室の教育用コンテンツを含めて,広くインターネット上にある教育用コンテンツを活用した授業を実施するようになってきた。

教育用コンテンツは,県,教育機関等様々なところで開発が進められており,発達段階,教科,活用場面等の目的に応じて,静止画集,動画集,シミュレーション,e-Learning 等様々なものが提供されだした。それぞれの教育用コンテンツは,教科内容,授業形態,発達段階等を考慮し,授業で効果的に活用できるよう設計・開発されている。しかし,指導計画,学習内容,活用場面,児童生徒の発達段階,児童生徒の実態,ネットワーク環境等は,学級・学校により異なっており,様々な活用方法が存在する。教員がこれら多種・多量の教育用コンテンツを効果的に活用できるよう,教育用コンテンツの活用事例を教員が利活用しやすい方法で,提供する必要が生じている。

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図 I-1 学校間総合ネット        図 I-2 学習室の小学校用コンテンツ

 

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そこで,岐阜デジタル教材活用協議会(以下、本協議会)は,本研究において教育用コンテンツを活用した活用事例の収集方法と,授業での有効的な活用につながる提供方法等についての調査研究を行うことにした。さらに, 小中高等学校,盲・聾・養護学校における実証実験を通して,教育用コンテンツの効果的な活用方法の検討を行い,報告する。

(b) 研究の主題

本研究では,教育用コンテンツを活用した小中高等学校,盲・聾・養護学校における実証実験を通して,授業での教育用コンテンツの効果的な活用方法の検討及び調査研究を実施し,活用事例を収集するとともに,活用事例の普及についての検討を行うこととし,次の研究の主題を設定した。

教育用コンテンツ活用事例の検討・収集と,収集した活用事例の普及による「わかる授業の実現」に関する研究

2. 研究の内容・方法

(a) 研究の対象等

本県は,平成13年度より小中高等学校,盲・聾・養護学校の全教科の授業で活用できる教育用コンテンツの開発・収集を行っている(図 I-3)。教育用コンテンツの開発は,指導主事と教員で構成する各教科の教育用コンテンツ開発部会によって行われている。開発する教育用コンテンツは,今までに開発・公開・提供されていないもので,授業での活用効果が期待されるものであり,教育現場の教員のアイデアを生かす形で開発している。小中高等学校,盲・聾・養護学校の全教科で教育用コンテンツ開発を行っているため,一つ一つのコンテンツは活用目的,活用場面,対象等が異なっており,蓄積・公開している教育用コンテンツの種類は,シミュレーション,動画クリップ等多岐にわたっている。これらの教育用コンテンツの大半は,学校や家庭から利用できる

図 I3  本県の教育用コンテンツ開発

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ようインターネット上に公開している。一方,コンピュータを使って指導できる教員が8割(平成15年度末)となり,

教員は教育用コンテンツの活用が有効な場合,教育用コンテンツを授業で積極的に活用しようとしてきた。しかし,提供される教育用コンテンツの数が多くなるにつれ,教員は全ての教育用コンテンツの内容や目的,活用方法を把握することが難しくなっている。現在,活用目的別の教育用コンテンツの提供とともに教育用コンテンツの活用事例の提供が必要となっている(図I-4)。

図 I-4 教育用コンテンツ等を活用したつけたい情報を活用する能力

教育用コンテンツ開発にあたっているコンテンツ開発部会は,実証実験を通して教育用コンテンツの設計を行ったり,教育用コンテンツの改善を行ったりしている。そこで,コンテンツ開発部会で検討された教育用コンテンツの活用事例を公開することで,教育用コンテンツの活用が一層推進されると期待された。

本研究の対象等①校種  県内の小中高等学校,盲・聾・養護学校②教科  全教科③活用する教育用コンテンツ

本県が開発・収集している教育用コンテンツを中心に広くWeb上にある教育用コンテンツ

④実証実験教育用コンテンツを活用した授業実施校

⑤調査事業に参加した教員へのアンケートを実施し,利用評価委員会で検討

⑥収集物コンテンツ開発部会を中心に実施,検討された活用事例

(b) 研究の場面,背景,位置づけ

本県は,平成16年度には県内全ての学校が高速・安全・快適な環境でネットワークが活用できるように全ての学校を結ぶイントラネットの整備を進めている 。また,本県は,教育用コンテンツ部会による教育用コンテンツの開発・収集だけ

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でなく,県内の教育機関等と連携して,教育用コンテンツの開発・収集を計画的に進めている。これらの教育用コンテンツはデータセンタに蓄積され,各学校からいつでも利用できるようになっている。一方,県内の小中高等学校,盲・聾・養護学校では校内LANやコンピュータ,プロジェクタ等の整備が進められ,普通教室や特別教室等においていつでも教育用コンテンツを活用できる環境が整ってきた。

各学校の情報インフラ整備が進むにつれ,各学校では県内外の教育用コンテンツを活用する機会が増えている。しかし,整備状況は学校によって異なっており,これから教育用コンテンツの活用を本格的に始める学校もある。これらの学校では,活用事例や学習の効果を高めるためのノウハウ等の蓄積が少なく,これらの収集・提供が早急に求められている。また,本県の開発・収集・提供している教育用コンテンツを含めて,広くネット上にある教育用コンテンツの数は年々多くなってきている。これらの教育用コンテンツの授業での有効活用を進めるために,教員の必要とする教育用コンテンツを素早く手軽に提供する仕組みとともに,効果的な活用事例や学習の効果を高めるためのノウハウ等の蓄積・提供が必要である。そこで、本協議会は,活用事例の収集を行うとともに教育用コンテンツを開発している岐阜県教育委員会と協力して実証実験を行う。このようにして収集した活用事例等はWeb上に公開して,県内の学校での教育用コンテンツを活用した「わかる授業」の普及を促す。さらに,アンケート調査を行い,教育用コンテンツの活用を進めるための条件や課題をはっきりさせる。

3. 研究の組織・経緯

(a) 研究組織の概要

本研究を実施するメンバー下表に示す。

氏 名 所  属 職  名

○ 小 山   徹 岐阜県総合教育センター 総合教育センター長

中 馬 悟 朗 福井大学教育地域科学部 教授

服 部   晃 岐阜女子大学 教授

村瀬康一郎 岐阜大学総合情報メディアセンター 教授

加 藤 直 樹 岐阜大学総合情報メディアセンター 教授

益 子 典 文 岐阜大学総合情報メディアセンター 助教授

興 戸 律 子 岐阜大学総合情報メディアセンター 助手

横 山 隆 光 岐阜県教育委員会研修管理課 課長補佐

大 槻 治 雄 岐阜県教育委員会研修管理課 課長補佐

岩 田 諦 慧 安八郡輪之内町教育委員会 主任指導主事

新 田   直 坂内村立坂内小学校 教頭

埴 岡 靖 司 山県市立富岡小学校 教諭

宇 野 芳 彦 大垣市立静里小学校 教諭○代表者

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本県の教育用コンテンツの開発・収集における本研究の位置付け図I-5に示す

図 I-5 本県の教育用コンテンツにおける位置づけ

(b) 研究活動の実施・運営の流れ

岐阜県の全ての小中高等学校・盲・聾・養護学校はインターネットに接続されており,ほとんどの学校は学校間総合ネットに接続されている。これらの学校では,昨年度までに整備された校内LANを利用してネットワーク上にあるコンテンツを活用した授業実践を行ってきている。また,コンテンツ活用部会に参加した教員は,教育用コンテンツを開発するだけでなく,所属する学校で教育用コンテンツを活用した授業を行っている。これらの実践は,各学校の職員会や研究会で紹介されたり,各学校や総合教育センターの研修を通して広められたりしている。しかし,これらの研究会や研修等に参加できる教員数は限られているため,本協議会はコンテンツ開発部員の実践を収集・検討し,Web 上で公開して,授業における効果的な教育用コンテンツ活用を支援する。

上記のことを実現するために次の委員会を設置する。a)企画検討委員会

運営・推進を円滑に行うため,学識経験者・教育機関・コンテンツ制作企業等からなる企画検討委員会を設置し,実施内容・実施方法・運用体制・今後の推進方策等について協議する。b)利用評価委員会

コンテンツの有効活用および利用体制の在り方に関する調査研究を実施するために,実践協力校を指定し,コンテンツが有効に利用される方策を探る。この事業を推進するために,学識経験者,実践協力校の責任者,事務担当者等からなる委員会を設置し,授業実践の方法等について調査研究する。

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実施スケジュールを下表に示す。

7月 8月 9月10月

11月

12月

1月 2月 3月

実践計画の検討

授業実践

実践結果の検討

サーバへのアップロード

事業報告等

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4. 研究の成果等

(a) 実証方法

本報告書は各教科の活用事例を掲載している。これらの活用事例は,小中高等学校,盲・聾・養護学校において,整備されたネットワーク環境や教育用コンテンツを有効に活用した授業等を実施するときの手助けになるよう収集しているものである。活用事例は,教育用コンテンツ開発事業において教育用コンテンツの開発・収集に携わった教員に依頼して収集した。教育用コンテンツ開発事業に携わった教員は,開発段階からカリキュラムに位置づけた教育用コンテンツの活用を考慮して開発・収集を行っただけでなく,学校現場において教育用コンテンツを活用した授業を実施している。従って,教育用コンテンツを活用した授業のノウハウや改善点等について詳しいのは,教育用コンテンツ開発事業に携わった教員である。そこで,教育用コンテンツ開発事業に携わった教員に依頼して,教育用コンテンツを授業で活用し,効果が高いと思われる活用事例を提供していただくことにした。これらの教員は平成16年度の教育用コンテンツ活用実践部会に参加した。教育用コンテンツ活用実践部会では,教育用コンテンツを活用した活用事例を,1人1事例ずつ作成している。授業の実践や活用事例の作成にあたっては,指導主事が参加して教育用コンテンツ活用実践部会で検討を加えている。このように収集した活用事例は今後随時Web 上で公開していく予定である。平成16年度末には教育用コンテンツ開発事業によるコンテンツ開発が全ての教科で終了する。そこで,平成16年度以降に開発する教育用コンテンツを活用した活用事例は,平成17年以降に収集し,Web 上で公開する予定である。教育用コンテンツを活用した活用事例は,小中高等学校・盲・聾・養護学校の教員が教育用コンテンツを活用して授業を実施しようとするときの参考となるよう,利用者の利便性を考慮して記入フォーマットを統一した。記入フォーマットは,概要,指導計画等の他,教育用コンテンツの URL,メディアの利用環境を記入することとした。また,このフォーマットは全国規模で活用事例等を収集・公開している教育情報ナショナルセンターの eCase とも共通化することにした。このことにより広くネットワーク上にある教育用コンテンツを活用した活用事例を調べるときの利便性を高めることにした。

利用評価委員会は,活用事例の検討にあたって,授業展開の基本的な考え方,学習目標,メディア活用の意義,メディアの利用環境,学習展開,指導計画,学習活動の実際,学習者の反応・学習者からの質問,学習評価の方法とその結果,授業の成果,今後の課題の各項目について調査し,検証を行った。利用評価委員会は,検証結果を「教育用コンテンツ活用に対する姿勢」「実践から得られた児童生徒の姿」「情報機器の活用」「一人一人に応じた指導」「課題別学習での利用」の観点で整理し,まとめた。次にこれらの各観点について述べる。

(b) 教育用コンテンツ活用に対する姿勢

今回の実証実験は教育用コンテンツ開発に携わった教員が行っている。これらの教員は,教育用コンテンツ開発の計画段階から関わっており,教育用コンテンツ開発の意図,目的,活用方法,評価等を熟知している教員である。また,学習室で公開された教育用コンテンツを活用した授業実践を行い,児童計画の改善を行ってきている。従って,今回の実践に見られる児童生徒の姿は,教育用コンテンツの効果

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的な活用事例としての成果が予想されているものである。収集した活用事例から分かる教育用コンテンツ活用に対する児童生徒・教員の姿勢は次のものである。なお ,教育用コンテンツを活用した場所は校種,教科により特別教室,普通教室等様々であり,活用方法もプロジェクタによる提示,一人一台のパソコン利用,必要な児童生徒のみが調べ学習で利用等目的にあわせて利用している。

教員は 授業で積極的に教育用コンテンツを活用している。 教育用コンテンツの活用が効果的だと感じている。 校内にある情報機器を目的に応じて効果的に活用している。 授業の目的にあわせてTTや少人数指導等を行い,授業形態,活動場所を工夫している。

教育用コンテンツの活用を含めて授業の評価を行っている。 教育用コンテンツを活用した授業の評価を次時の授業に生かそうとして,

指導計画の改善を行っている。

児童生徒は コンピュータや教育用コンテンツの活用に慣れており,効果的に利用して

いる。 資料,ドリル教材,シミュレーション,動画クリップ,e-Learning 等の教

育用コンテンツの活用を好意的に受け止め,もっと使いたいと感じている。 教育用コンテンツを学校だけでなく,家庭から利用している児童生徒もい

る。

(c) 校内研修や協力体制

コンテンツ部会で教育用コンテンツ開発に携わった教員へのアンケートによるとほとんどの教員は,所属校において積極的に授業における教育用コンテンツの活用を他の教員に働きかけている。他の教員へ働きかける方法は,職員会での提案,資料の配付,公開授業,研修会の実施等である。これらの働きかけにより,コンテンツ開発部員の所属する学校を中心に授業における教育用コンテンツ活用が広がっていることが明らかになってきた。また,教科研究会や研究会で紹介されたり,公開されたりしており,算数・数学のドリル教材や e-Learning 等は10,000 人規模で活用されており,活用が広がっていることが明らかになってきた。今回実践を行った学校では次のような校内研修や協力体制がとられていることが明らかになってきた。

教育用コンテンツ活用について,職員会での提案,資料の配付,公開授業,研修会の実施等が行われた。

任意の研究団体である教科研究会で紹介したり,公開授業で積極的に活用したりした。

すべての教員に教育用コンテンツを活用した授業を実施するように働きかけた。

教育用コンテンツの活用にあたって,情報教育担当の教諭がサポートに入って授業を実施した。

学習指導案を作成する際,教員同士が相談して検討を行った。 情報機器のセッティング,操作等を教員同士が協力して実施した。

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(d) 情報機器の活用

教育用コンテンツは,その目的により資料,ドリル教材,シミュレーション,動画クリップ,e-Learning 等様々なものが開発・提供されている。また,教育用コンテンツのみを活用する授業は少なく,実験・観察,実習等を行ったり,話し合いを行ったりする際の資料の一つとして活用されている事例が多い。教育用コンテンツの活用場面も様々で,前時の復習,導入時の提示資料,課題づくりのための資料,調べ学習の資料,実験結果の処理,モデル化,本時の確認,復習等授業で効果的に活用できるよう工夫して活用している。

このような活用を行うため,学校にある様々な情報機器が活用されている。今回の実証実験で用いられた機器は次のものである。

情報機器 サーバ(校内LAN用ファイルサーバ) 生徒用コンピュータ プリンタ タブレット,タッチパネル 液晶プロジェクタ スクリーン ホワイトボード 電子ペン スピーカ ヘッドフォン ネットワーク(無線LAN,有線LAN) マルチメディアボード

ソフトウェア ワープロソフト 表計算ソフト ブラウザ 動画再生ソフト プレゼンテーションソフト 画像処理ソフト イラスト作成ソフト 動画編集ソフト 特殊効果映像作成ソフト アニメーション作成ソフト ホームページ作成ソフト

(e) 一人一人に応じた指導

教育用コンテンツは,授業の目的に応じて様々なものを開発・提供されている 。これらの教育用コンテンツを活用する授業形態も様々であり,コンピュータ室だけでなく,普通教室やオープンスペースで児童生徒1人に1台のコンピュータを使って行った活用事例が報告された。また,少人数でコンピュータやプロジェクタを利用したり,タブレットを利用して児童生徒が入力を行ったりする活用事例も報告された。

これらの事例は一人一人の児童生徒に応じた学習過程で教育用コンテンツやコ

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ンピュータを活用したものである。一人一人が教育用コンテンツを活用する例としては次のものがある。 調べ学習でのブラウザの利用 ドリル教材の活用 シミュレーション等によるモデルの確認 学習のまとめ等でのワープロソフトの利用 実験結果集計等の表計算ソフトの利用 発表資料作成等のプレゼンテーションソフトの利用 画像処理ソフトの利用 イラスト作成ソフトの利用 動画編集ソフトの利用 特殊効果映像作成ソフトの利用 アニメーション作成ソフトの利用 ホームページ作成ソフトの利用

(f) 課題別学習での利用

教育用コンテンツは課題別学習においても活用されている。算数数学の確かめやまとめとして,児童生徒の実態に応じて,児童生徒が必要な問題を選んで利用している。課題別学習にコンピュータを利用したことで,児童生徒が必要としている問題をコンピュータで取り出して印刷して利用したり,コンピュータから回答を取り出して答え合わせをしたりして,児童のやりたい問題を児童のスピードに合わせて実施することができた。この実践では,毎時間の児童の実態をきめ細かく記録し,児童の進度やつまずきをとらえ,個に応じた指導への指導と組み合わせることで,意欲的に取り組む児童の姿を生み出すことができた。児童は,自分の実態に合わせて基礎的・基本的な問題だけでなく発展的な問題もどんどん解いていくことで充実感や満足感を抱いた児童,分からなかった問題に時間をかけて解き,必要に応じて教員の指導を得て,解けることができるようになったことで満足感を得た児童等の姿が報告された。

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5. 意識調査から

教育用コンテンツは,授業では,予習,授業の導入,調べ学習の資料,まとめ発展学習,確かめ,復習等の場面で用いられている。教育用コンテンツの活用について教員へのアンケートを実施した。

(a) 教育用コンテンツの活用

平成14年5月には,県内全ての県立校が学校間総合ネットに接続された。県内の私立学校,市町村立学校,専修学校,大学の接続を進めており,平成16年度中にほぼ全ての県内学校が接続される予定である。そこで,平成16年3月に教育用コンテンツの活用状況調査を行った。調査対象は学校間総合ネットに接続されている県立学校所属の教育用コンテンツ開発部会員である。

アンケートの実施時期:平成16年3月調査対象:コンテンツ開発部会員有効回答数:75名

問1では,学校における教育用コンテンツの活用状況についてたずねた。問1

次の①~④について,あなたの学校における活用状況を a)~d)から一つ選んで回答欄に記入してください。① 岐阜県教育用コンテンツ開発協議会が開発・収集している教育用コンテンツ

(「岐阜県まるごと学園」の「学習室」 http://gakuen.gifu-net.ed.jp/gakusyu/gakusyu.html)

② 教育情報ナショナルセンターホームページ (http://www.nicer.go.jp/)③ 上記①②以外のWeb上のコンテンツ④ 市販のソフトウエア

a)よく活用する  b)少し活用する  c)あまり活用しない  d)全く活用しない

アンケートの結果から,教育用コンテンツを授業で全く使用しないと回答した教員は,①20%, ②49%,③20%,④23%である(図I-6)。岐阜県教育用コンテンツ開発事業による開発・収集は,平成16年3月現在,全教科の全単元・領域の教育用コンテンツで完了しているわけではないため,授業で教育用コンテンツを利用できない教科,単元・領域がある。従って,80%という数字は高い割合で教育用コンテンツを利用していることになる。今回のアンケートは教育用コンテンツ開発・収集に関わった教員に対するアンケートである。従って,教育用コンテンツ開発・収集に関わった教員では高い割合で教育用コンテンツを活用していることがわかる。また,これらの教員はWeb 上のコンテンツや市販のコンテンツも高い割合で利用している。

教育情報ナショナルセンター(NICER)は,我が国におけるあらゆる教育情報を扱う中核的な Webサイトであるが,全く使わないとする回答は49%である。教育情報ナショナルセンターに登録されている教育用コンテンツを全く使わないと回答した教員は,教育情報ナショナルセンターについて知らない教員が多いことが理由だと思われる。

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80%

51%

80%

77%

20%

49%

20%

23%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

岐阜県教育用コンテンツ

教育情報ナショナルセンター

Web上のコンテンツ

市販のソフトウエア

活用する 活用しない

図 I-6 教育用コンテンツの活用

問2では,問1の①~④について,a),b)のいずれかを回答した教員にたずねた。

問2教育用コンテンツをカリキュラムに位置づけて活用していますか。 a)~c)から一つ選んで回答欄に記入してください。

a)全単元で位置づけている b)一部の単元で位置づけている c)位置づけていない

教育用コンテンツを全て,または,一部のカリキュラムに位置づけて活用している教員は,①38%, ②5%,③50%,④52%である(図 I-7)。教育用コンテンツをカリキュラムに位置づけて活用している教員の割合は半数しかいないことがわかる。また,岐阜県教育用コンテンツ開発事業による開発・収集は,全教科,全単元・領域の教育用コンテンツで完了しているわけではないため ,Web 上のコンテンツや市販のコンテンツに比べて,教育用コンテンツをカリキュラムに位置づけて活用している教員の割合が少なくなっている。教育情報ナショナルセンターの教育用コンテンツのカリキュラムへの位置づけの割合が少ないのは,問1と同じく知られていないことが原因であると思われる。

3%

0%

8%

6%

35%

5%

43%

45%

62%

95%

50%

48%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

岐阜県教育用コンテンツ

教育情報ナショナルセンター

Web上のコンテンツ

市販のソフトウエア

a)全単元で位置づけているb)一部の単元で位置づけているc)位置づけていない

図 I-7 カリキュラムへの位置づけ

問3では,教育用コンテンツ開発部員が所属する学校における実態についてたずねた。

問3上記の①②について,あなたの学校の教職員は①②のコンテンツを知っています

か。a)~c)から一つ選んで回答欄に記入してください。

a)ほとんどが知っている  b)半数ぐらいが知っている  c)ほとんどが知らない

岐阜県教育用コンテンツについて,学校の教職員のほとんどが知っていると回答しているのは8%である。また,半数が知っていると回答しているのは61%である(図I-8)。従って,ほとんどの教科で教育用コンテンツが公開される平

14

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成16年度末に向けて,次のことを実施する必要がある。・教育用コンテンツの広報(教育広報,学園新聞等)・夏期特別フォーラム等による教育用コンテンツ活用の成果等の報告・広報・教育用コンテンツを活用した活用事例の収集・公開・全ての教室で教育用コンテンツがいつでも利用できるように機器等整備(全

ての教室に校内 LAN に接続されたコンピュータ,プロジェクタ,ディジタルホワイトボード等の整備)

8%

1%

61%

19%

31%

80%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

岐阜県教育用コンテンツ

教育情報ナショナルセンター

a)ほとんどが知っている b)半数ぐらいが知っているc)ほとんどが知らない

図 I-8 教育用コンテンツの学校での認知

問4では,各学校における教育用コンテンツの活用例や活用事例の蓄積または収集についてたずねた。

問4岐阜県教育用コンテンツ開発協議会では,来年度,教育用コンテンツを活用した活

用事例の収集と活用に向けた取り組みを行います。そこで,あなた,または,あなたの学校は,現在,上記①~④の教育用コンテンツの活用例や活用事例を蓄積または収集していますか。a),b)のいずれかを回答欄に記入してください。

a)収集している    b)収集していない

教育用コンテンツの活用例や活用事例の蓄積または収集していると回答したのは,①7%,②1%,③5%,④4%である(図 I-9)。活用例や活用事例の蓄積・収集の割合が少ないのは,学校単位で活用例や活用事例の蓄積・収集することには限界があるからだと思われる。活用例や活用事例の蓄積・収集して活用するためには,ある程度まとまった数の活用例や活用事例を組織的に蓄積・収集し,各学校の教員が利用しやすいよう Web 上で公開することが望ましい。また,活用例や活用事例の入力フォーマットを統一して,利用者の利便性を図る必要がある。これらのことができるのは総合教育センター,または,教育情報ナショナルセンター等の公的な機関である。

現在,教育情報ナショナルセンター等では教育用コンテンツの活用例や活用事例を蓄積と公開を行っている。今後,総合教育センターではこれらの機関と連携して活用事例を蓄積と公開を進めていく必要がある。

93%

99%

95%

96%

7%

4%

5%

1%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

岐阜県教育用コンテンツ

教育情報ナショナルセンター

Web上のコンテンツ

市販のソフトウエア

a)収集している b)収集していない

図 I-9 活用例や活用事例の蓄積・収集

教育用コンテンツ開発部員は岐阜県教育用コンテンツの開発・収集に関わった教員である。そこで,問5では,学校における教育用コンテンツ活用の啓発方法についてたずねた。

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問5学校で教育用コンテンツの活用をどのように推進されていますか。a)~e)の回答欄に○印を記入してください。また,e) その他の場合は(   )内に具体的に記入してください。a)教育用コンテンツの活用等の校内研修を実施するb)職員会議等で教育用コンテンツの説明会を行うc)教育用コンテンツに関するPR用広報紙を発行するd)教育用コンテンツを活用した研究授業を実施するe)その他

計画的に教育用コンテンツを活用した研究授業を実施して啓蒙を図っているのが19名,校内研修が15名,職員会議等で説明が15名となっている(図 I-1

0)。

図 I-10 活用例や活用事例の蓄積・収集

同じ教科の教員に啓蒙するために,研究授業で教育用コンテンツを活用して,その有効性を他の教員に広めている教員が多いことがわかる。一方,PR用広報はまるごと学園の学習室にも用意したり,教育広報「ぎふ today」にも掲載したりしているため,PR用広報誌を発行は2名と少ない。

問6では,今後,学校における教育用コンテンツの活用をさらに推進する方法についてたずねた。

問6教育用コンテンツが学校で活用されるための要件としてどのようなことが考えられますか。(  )内に,必要な要件には◎,やや必要なものには○,必要ないものには×を( )の中に記入してください。

a)全ての教科・単元を網羅した教育用コンテンツが整備されている。b)教育用コンテンツの活用を位置づけた年間指導計画が整備されている。c)教育用コンテンツの概要・活用法を記載したパンフレットが全ての学校に配布さ

れる。d)教育用コンテンツの概要・活用法を記載したWebページが整備される。e)教育用コンテンツが無償で利用できる。f)全ての教育用コンテンツを著作権法に違反することなくプレゼンテーション資料

等に利用・公開できる。g)全ての教室にネットワークに接続されたコンピュータが設置されている。h)全ての教室にプロジェクタが設置されている。i)全ての教室から 1.5Mbps 以上の回線速度でインターネットに接続できる。j)全ての教員がコンピュータの操作をすることができる。k)全ての教員がコンピュータを使って指導できる。

1515

21919

0 5 10 15 20

校内研修

職員会議等で説明

PR用広報紙を発行

研究授業を実施

その他

( )人

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「全ての教育用コンテンツを著作権法に違反することなくプレゼンテーション資料等に利用・公開できる」は99%,「教育用コンテンツが無償で利用できる」は98%と,ほぼ全ての教員が教育用コンテンツ活用推進のための必要な要件として取り上げている(図 I-11)。このこことから,ほとんどの教員は教育利用に限っての著作権法の例外として無償で利用できることを望んでいることが

わかる。「全ての教員がコンピュータの操作をすることができる」は93%,「全ての

教室から 1.5Mbps 以上の回線速度でインターネットに接続できる」は90%,「全ての教室にネットワークに接続されたコンピュータが設置されている」87%,「全ての教室にプロジェクタが設置されている」は86%である。ほとんどの教員が,全ての教室にコンピュータやプロジェクタが設置され,ネットワークに接続されているといった,ハードウェアおよびネットワークの整備を必要な要件として取り上げている。

「全ての教員がコンピュータを使って指導できる」は84%であり,コンピュータを使って指導できる教員も多くの教員が必要な要件として取り上げている。

「教育用コンテンツの概要・活用法を記載したWebページが整備される」は84%,「教育用コンテンツの概要・活用法を記載したパンフレットが全ての学校に配布される」は82%であり,今後の広報の方向を示唆している。

「全ての教科・単元を網羅した教育用コンテンツが整備されている」は74%「教育用コンテンツの活用を位置づけた年間指導計画が整備されている」は70%となっており,必要な要件と捉えていない教員がいることがわかる。

これらの実証実験や意識調査等から次のことがわかった。○コンテンツ開発に携わった教員はほとんどが作成したコンテンツを授業等で活

用しているだけでなく,多くの教員が校内での啓発に努めている。○教育用コンテンツの活用を位置づけたカリキュラムの作成は,最近公開された

教育用コンテンツもあるため現状では多くないが,今後進めていく必要がある。○コンテンツ開発に携わっていない教員では教育用コンテンツについて知ってい

ない教員がいたり,教育用コンテンツの活用に積極的でない教員もいたりするため,次のことが必要である。

・教育用コンテンツの広報(教育広報,学園新聞等)

74%

70%

82%

84%

98%

99%

87%

86%

90%

93%

84%

26%

30%

18%

16%

13%

14%

10%

7%

16%

1%

2%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

全ての教科・単元を網羅した教育用コンテンツ

教育用コンテンツの活用を位置づけた年間指導計画

教育用コンテンツの概要・活用法を記載したパンフレット

教育用コンテンツの概要・活用法を記載したWebページ

教育用コンテンツが無償で利用

著作権法に違反することなくプレゼンテーション資料等に利用・公開

全ての教室にネットワークに接続されたコンピュータが設置

全ての教室にプロジェクターが設置

1.5Mbps全ての教室から 以上の回線速度でインターネットに接続

全ての教員がコンピュータの操作ができる

全ての教員がコンピュータを使って指導

必要 必要ない

図 I 11 教育用コンテンツの活用推進

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・夏期特別フォーラム等による教育用コンテンツ活用の成果等の報告・広報・教育用コンテンツを活用した活用事例の収集・公開・全ての教室で教育用コンテンツがいつでも利用できる機器等の整備(全ての教

室に校内 LAN に接続されたコンピュータ,プロジェクタ,ディジタルホワイトボード等の整備)

○教育用コンテンツを活用した活用事例の収集は教育委員会等が進めていく必要がある。

○教育用コンテンツ活用推進において次のことが必要な要件として意識されている。

・教育利用に限って著作権法の例外として,無償で利用できること・全ての教室にネットワークに接続されたコンピュータやプロジェクタが設置

されていること・コンピュータを使って指導できる教員を増やすこと・全ての教員に印刷物配布等の方法で教育用コンテンツ活用の広報がなされるこ

なお,今回の意識調査は教育用コンテンツ開発に携わった高等学校教員へのアンケート結果であり,今後,学校間総合ネットへの接続が進められている小中学校の教員や教育用コンテンツ開発に携わっていない教員へのアンケート等を実施する予定である。

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II. システム設計

1. 教育用コンテンツ活用事例の収集・公開の概要

(a) 活用事例の収集・公開

収集した教育用コンテンツ活用事例は,教育用コンテンツを開発した教員が作成したものであり,指導計画の中での教育用コンテンツの位置づけや活用場面,指導形態,利用する機器,評価等,教育用コンテンツを活用した授業経験の少ない教員にとって参考となるものである。事例の収集にあたっては,授業の準備や進め方,評価等か他の教員にもわかりやすいよう,具体的な児童生徒の姿の記述や授業の写真等を収集し,公開することにした。教育用コンテンツ活用事例が,いつでも Web上から利用できることで,教育用コンテンツを効果的に活用した授業が多くの学校で行われるようになると期待された。

教育用コンテンツ活用事例の収集は,コンテンツ開発部会に参加した教員が作成し,教育委員会に提出し,各教科や特別支援教育担当の指導主事による確認,情報教育担当の指導主事による確認を経て,インターネット上で公開される。この収集・公開の仕組みは,活用事例を多くの教員や指導主事の目で見て,改善し,より効果的な教育用コンテンツ活用の事例として Web 上で提供するには適している。本協議会は,この仕組みを Web 上で実現できる教育用コンテンツ活用事例収集・提供するシステムを開発した。このシステムは,教育用コンテンツを Web 上で登録・確認・修正・公開するシステムと運用方法から成り立っている。

(b) 運用方法

岐阜県総合教育センターは県内の教員を対象とした研修講座を実施している。研修講座は,受講が義務づけられている基本研修(悉皆研修)と希望者が参加する専門研修がある。研修内容は,教科指導,生徒指導,道徳,情報教育等がある。教育用コンテンツ活用事例は教科教育に係る基本研修や専門研修,各学校で授業を行うために活用される。

本県ではコンピュータを活用して授業ができる教員の割合は8割を超えている。これらの教員は,情報機器が整っており,授業に活用できる教育用コンテンツを探すことができ,教育用コンテンツの適切な活用方法を熟知していれば,授業で教育用コンテンツを積極的に活用するはずである。しかし,県の整備した教育用コンテンツの活用は多いとは言えない。その原因は,校内LANの未整備や教室にコンピュータやプロジェクタが整っていないこと等ハード面の他,収集された教育用コンテンツ活用事例が少ないことも一因である。特に,本県の自然,社会,産業,文化等を対象とした,生活科,社会,地歴公民,理科,生物,地学等の教育用コンテンツは本県で開発しており,活用事例も本県で作成・収集・公開する必要がある。

県内すべての教員に行った調査では,教員経験の少ない教員ほど,教育用コンテンツを活用した授業や情報モラルの指導の経験が少なく,教育用コンテンツ活用事例や情報モラルの活用事例を参考にして授業の計画を立案する機会が多いことがわかっている。そこで,教育用コンテンツ活用事例の収集・公開は,岐阜県教育用コンテンツ開発協議会による教育用コンテンツの開発・収集や研修講座と連携して進め,県内の教員の協力を得ながら,教育委員会,大学等と連携して進めることにした。教育用コンテンツ活用の啓発はマスメディア,インターネット上の新聞である

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「まるごと学園新聞」,各学校へ配布するポスター,研修講座等によって行い,活用事例の収集・公開も教育用コンテンツ活用の啓発とともに,研修講座と連携して実施することにした。今年,収集した教育用コンテンツ活用事例は,小・中・高等学校,盲・聾・養護

学校のすべての教科の活用事例である。その数は100を超えるが,すべての単元・小単元,領域にわたって収集できてはいない。もちろんすべての教科にわたって,毎時間利用できるだけの教育用コンテンツが整備されているわけではないが,本協議会は,現在ある教育用コンテンツについては活用事例を収集し,提供していく必要があると考えている。そして,本協議会は,現在提供されている教育用コンテンツやこれからさらに増える教育用コンテンツについても,教育用コンテンツ活用事例を収集・公開する仕組みが必要であると考えた。

そこで,本協議会は,基本研修の中の初任者研修に教育用コンテンツを活用した授業実践と教育用コンテンツ活用事例収集を位置づけ,教育現場での実践と事例の収集,収集した事例を使った研修,研修の成果を生かした活用事例の改善と活用事例の登録・公開を行えるよう運用面での整備を行った。初任者研修における教育用コンテンツ活用は,本県の今後の研修計画に位置づけられ,来年度より実施する。なお,初任者の作成する教育用コンテンツ活用事例は,各学校で実施されるベテラン教員による初心者への指導の中で検討され,提出されるものである。

(c) 活用事例登録・公開システム

本協議会は,上記の運用を支え,教育現場での実践や計画段階での教育用コンテンツ活用事例を Web 上で登録でき,教科指導担当主事による閲覧・指導を可能とし,確認後初めて公開できるシステムの開発を行った。このシステムは県教育委員会のデータセンタに置かれ,活用事例や個人情報は県が管理する。登録・閲覧はインターネット上から行い,登録を行えるのは初任者研修やコンテンツ活用研修(専門研修)の受講者である。県は,これらの受講者にID,パスワードを発行し,ID,パスワードが有効な期間(受講期間)は,受講者は活用事例を登録したり,受講者の活用事例を訂正したりすることができる。

図 II-1は,教育用コンテンツ活用事例の検索・閲覧画面である。教育用コンテンツ活用事例はインターネットで公開している。活用事例は,表示された活用事例一覧の右にある表示欄のボタンをクリックして,閲覧する。

図 II-1 条件検索・閲覧画面

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閲覧者は,条件検索で,小学校,中学校,高等学校,盲・聾・養護学校の校種,キーワードにより絞り込みを行い,表示された一覧から閲覧したい活用事例の表示欄をクリックし て 活 用 事 例 を閲覧す る ( 図II-2)。

平成17年3月現在,閲覧できる教育用コンテンツ活用事例は,コンテンツ開発部会で教育用コンテンツの開発と活用事例の開発・作成を行った,いわゆるベテラン教員により作成された事例と,「平成 14 年度デジタルコンテンツの活用高度化事業」により岐阜県教育用コンテンツ活用コンソーシアムが収集した事例である。

図 II-2 校種→学年→教科の順で絞り込み

岐阜県教育用コンテンツ活用コンソーシアムは,一昨年,活用事例を収集し,手作業でインターネット上に公開した。コンソーシアムの収集した活用事例は県内の教員が利用しており,本協議会はこれらの活用事例を利用している教員から寄せられた意見を参考に活用事例の表示形式等を次のように決めた。

・活用事例は教員が教育現場で印刷・利用しやすいよう表形式とする

・印刷利用の機会が多く,ネットワークや回線スピードの遅い環境もあるため,画像等はリンクとする

・一度登録された活用事例を教材等の改善・変更や実践を通して改善したいという要望等に応じるため,登録者が訂正・追加できる

図 II-3 教育用コンテンツ活用事例

図 II-3 は教育用コンテンツ活用事例の表示画面である。活用事例の項目,書式等は学習指導案を収集している NICER の eCase と共通にした。来年度の初任者研修は教育用コンテンツ活用について実施する。そのため,活用

事例表示画面は,初任者が教育用コンテンツ活用の授業を実践するとき,また,学

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習指導案を作成するときの参考となるよう,印刷して利用できるようにした。

活用事例の登録は活用事例入力画面から,活用事例入力画面にIDとパスワードを入力し,活用事例登録画面を開いて行う(図II-4)。IDとパスワードは,システムの管理者が発行する。管理者は県教育委員会であり,管理者は研修講座や教育用コンテンツ開発に関わる教員らにIDとパスワードを発行する。

図 II-4 ログイン画面

コンテンツ一覧のページは,これまでにその教員が登録したコンテンツのタイトル,学校名,氏名,日時の一覧が表示される(図 II-5)。一覧の左にある「編集」「削除」ボタンで登録されたコンテンツの編集や削除を行うことができる。新規に登録する場合は「新規コンテンツを登録する」ボタンをクリックする。このページからパスワードの変更ができる。

図 II-5 コンテンツ一覧画面

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教育用コンテンツ活用事例の登録は,「新規コンテンツ登録」ページから行う(図II-6)。このページに登録した「学校名」「氏名」「タイトル(表題)」はコンテンツ一覧画面に反映する。「タイトル」「概要」「キーワード」「校種」等は必須入力項目である。

図 II-6 新規コンテンツ登録画面

授業の様子の静止画(jpg・gif・png)やドキュメント(doc・xls・pdf)は参照ボタンをクリックしてファイルを指定する(図II-7)。画像の場合は縦横の幅が250px より大きな画像は縮小して表示される。また,別ウィンドウにて拡大表示可能である。文章中の URL(http://...)は自動的にリンク表示となる。

図 II-7 ファイルの参照

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管理者は,管理画面で,「ログイン設定」「公開チェック」「校種設定」「教科設定」を行う(図II-8)。

図 II-8 管理者画面

管理者は,ログイン設定画面で職員番号,教員名の登録を行うことができる。また,登録された職員番号,教員名の編集や削除を行うことができる(図II-9)。

図 II-9 ログイン設定画面

管理者は,公開チェック画面で登録された教育用コンテンツ活用実践を閲覧でき,公開することができる(図II-10)。管理者は,この仕組みを使って初任者研修の受講者が登録した教育用コンテンツ活用事例を生かした研修講座を計画したり,必要な教育用コンテンツ活用事例を公開したりして,教育用コンテンツを活用した教育現場の実践の支援を行うことができる。

図 II-20 公開チェック画面

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管理者は,「特殊」→「盲・聾・養護学校」といった名称変更を行う校種設定を行うことができる(図II-11)。管理者は,同様に,学年設定(図II-12),教科設定(図II-13)を行うことができる。

図 II-11 校種変更

図 II-12 学年設定

図 II-13 教科設定

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(d) 活用事例の収集・公開の構想

教育用コンテンツ活用事例は本協議会の Web ページ(図 II-14)と岐阜県総合教育センターの Web ページから利用することができる。岐阜県総合教育センターのWeb ページは,研修講座のページへのリンクや県が開発・収集した教育用コンテンツの掲載ページである「学習室」へのリンクが張ってある。本協議会は,岐阜県総合教育センターの Web ページにより,研修講座と教育用コンテンツと教育用コンテンツ活用事例との連携を図っている。また,本協議会は,初任者研修の内1日を教育用コンテンツ活用に位置づけ,初任者が教育現場で実践を行う際の参考として教育用コンテンツ活用事例を閲覧したり,教育用コンテンツを活用した学習指導案を登録して受講者同士が教育現場にいながら互いの実践の交流ができたりするようにしている。初任者研修である教育用コンテンツ活用の講座は夏季休業中に設定してある。初任者は,事前に教育用コンテンツを活用した学習指導案を立案し,可能であれば1学期に実践を行い,その事例をメールで管理者に送付する。事例は,本協議会のWeb ページにある書式に従って記述され,管理者は必要に応じて事例を活用事例登録・閲覧システムに登録して,初任者の研修の利便性を図る。研修後,初任者は,研修で学んだことを参考にし,所属校での指導を受けて,事例を活用事例登録・閲覧システムに登録する。

研修講座に岐阜県総合教育センターや本協議会,活用事例登録・閲覧システムのWeb ページを利用することで,初任者は,必要に応じて事例を閲覧して実践に役立てたり,新たな実践を登録したりすることができ,教育用コンテンツを活用した効果的な授業実践が多くの学校で実施されるようになると期待される。このため,初任者に配付されたID,バスワードはその後も継続される。

図 II-14

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本県で開発した教育用コンテンツは,静止画,動画,シミュレーション, e-Learning 等がある。教育用コンテンツの中には,各学校の実践や教材を登録できる仕組みを持つものがある。総合教育センターは,教員が学校の周りで撮影・収集した身近な生き物の静止画や動画といった各学校で開発されている生活科の教材を登録して各学校から利用できるといった仕組み(データベース蓄積型)の教育用コンテンツを複数運営している。教員は現場にていつでも,教育用コンテンツの登録・利用,教育用コンテンツ活用事例の登録・利用,研修講座への参加,授業での活用を行うことができる。

総合教育センターでは,初任者研修の他に,希望者が参加できる各教科での教育用コンテンツ活用に関わる講座を実施しており,教育用コンテンツの活用方法や活用事例の交流についての研修を総合的に進めている。今後も継続して,教育用コンテンツの開発・収集と教育用コンテンツ活用事例の収集・公開,研修講座を連携させながら実施することで,教育用コンテンツ活用事例は毎年増え続け,教育用コンテンツを活用した様々な実践が多くの学校で実施されることが期待される。

図 II-15 研修講座・教育用コンテンツ活用・教育用コンテンツ活用事例収集との連携

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III.教育用コンテンツを利用した授業活用事例

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