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TX テクノロジー・ショーケース in つくば 2010
■ はじめに
従来より人々は、これまでにない色や形などを持つ魅
力的な花を作り出すために、交配や選抜を繰り返し行って
きました。近年では遺伝子組換え技術により、従来育種で
は得ることのできなかった新しい形質を持つ花を作り出せ
るようになりました。シロイヌナズナのようなモデル植物の
研究から解明された遺伝子の情報を利用することで、狙
い通りの形質を持つ花を作ることも可能です。一方で最近
の研究では、基礎研究で得られた情報から予想されるより
も遙かに実用的かつ多彩な花の形質変化がもたらされる
ことがわかってきました。そこで、どの遺伝子がより商品性
の高い花の形質を付与するのかを、効率的にスクリーニン
グする手法を開発しました。
■ 本システムのポイント
植物材料には、園芸植物であるトレニア (Torenia fournieri)を用いました。トレニアは花の構造がシンプルで、
培養や形質転換も容易であることなどから、遺伝子組換え
研究の新たなモデル植物として注目されています。遺伝
子情報の整備が進んでいるシロイヌナズナの遺伝子を用
いることで、遺伝子単離のための時間と労力を大幅に削
減しました。遺伝子の働きをオン・オフするスイッチとして、
多くの花の形質に関わっている「転写因子」を利用したこと
も効率化のポイントの一つです。シロイヌナズナの転写因
子を改変し、これを導入した植物が持つ遺伝子の働きを
抑えて新たな形質を引き出す手法(CRES-T法)を用いて、
トレニアの遺伝子組換えを行いました。50種類程度の遺
伝子を同時に導入(バルク導入)し、花の色や形が変わっ
たものを一度に選抜することで、新しい花を作るために有
効な遺伝子を効率よく選び出すことを試みました。
■ 新しい花の誕生
バルク導入による遺伝子組換えを2回行った結果、合計
72種類の遺伝子が導入され、750個体の遺伝子組換えト
レニアが得られました。花弁の縁が白いものや筋ができる
など配色パターンが美しいものや、花弁がフリル化したり
内巻きに形態が変化したものなど、様々な興味深い形質
が花に現れ、効率良く数多くの新しい花を得ることができ
ました。
■ 今後の展望
花に有用な形質を付与する遺伝子セットを作り、バラや
カーネーションなどに適用することで、新しい魅力あふれ
る花を効率的に作り出すことができると期待されます。さら
に、本手法で得られた遺伝子組換えトレニアには、シロイ
ヌナズナのようなモデル植物では見られないような花の形
質も含まれており、転写因子の新たな機能解明のための
材料としても有効だと考えられます。
農林水産
遺伝子組換えで新しい花を 効率よく作り出すシステムの開発
代表発表者 �� ������ ����� 所 属 (独) 農業・食品産業技術総合研究機構
花き研究所 新形質花き開発研究チーム
問合せ先 〒305-8519 茨城県つくば市藤本 2-1 TEL: 029-838-6822, FAX: 029-838-6822 [email protected]
■ キーワード: (1) 遺伝子組換え (2) 花 (3) 転写因子
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