鷹揚会書道展第32回

日展会員・青潮書道会会長

岡　田　契　雪先生

副理事長　佐々木　彩　苑

会　長　古　川　暁　洲

理事長　對　馬　聖　峰

1

常任理事　種　市　萩　径

常任理事　菅　野　華　翠

常任理事　津　島　春　汀

常任理事　佐々木　茜　峰

2

楷書臨書課題（漢字半紙部） 對 馬 聖 峰 臨７月号

※出品段級位（漢字半紙部 新級〜八段）

使用筆（花林）・使用紙（無罫半紙・桐）・使用墨（黒耀）

※弘前の部分には支部名を書く

3

曲線で内に強く入れ込む

画と画はぶつからないように

やや幅広く

打ち込みの角度に注意

角度に注意

筆圧強く

①

②

③

止める

中に

位置する

〔巨〕

〔川〕

〔分〕

〔流〕

〔赴〕

〔渤〕

１画目の縦画はしだいに筆圧を加え、曲線で強く入れ込む。

２・３・４画目の始筆の位置に留意する。

３つの画の方向・長さ・始筆の打ち込む角度に留意する。

１画目は内に入れてから左へはらう。２・３画目の終筆は

軽くはねる。

筆順に注意し（骨法参照）、各画の方向や位置をよく見て書

く。１画目は入筆の角度に注意し、鋭くはらう。２画目は

転折でしっかりと方向を変える。

氵は左に寄せて、各画の位置・方向に留意する。偏と旁の

間を広くあける。最終画終筆ははねないで横で止める。

　の最終画右はらいは方向に注意してゆったりと払う。卜

の部分は太めの線で、中に位置して右側に余白を残す。

縦に３つの部分に分けて配置するが、画と画がぶつからな

いように配慮する。力はやや幅広く。

楷書臨書課題解説

楷書臨書課題解説

孟法師碑（褚遂良）

もうほう

し

ひ

ちょすいりょう

〔巨川分流赴渤〕巨き

ょ

川せん

分流して、渤ぼ

っ（澥か

い

）に赴お

もむ

きて（息や

まず）。

原　

帖

4

行書臨書課題（漢字半紙部） 古 川 暁 洲 臨７月号

※出品段級位（漢字半紙部 新級〜八段）

使用筆（花林）・使用紙（無罫半紙・桐）・使用墨（黒耀）

※弘前の部分には支部名を書く

5

筆を開く感じに

方向に注意

長くうねりを

つけて

太くどっしりと

うねりをつけて

立てぎみに太く

〔同〕

〔當〕

〔其〕

〔欣〕

〔於〕

〔所〕

原帖では１画目縦画が割れて、２つにささくれ、細い白い

線が残っている（破鋒ともいう）。　は中心より右側に寄せ

るのがポイント。

　は１画目を中心に、４画目は立てぎみに太くどっしりと。

横画の方向と位置に留意し、余白を残す工夫をしてほしい。

２画目はふくらみをつけ、３画目は直線にして方向に変化

をつけている。６画目はうねりをつけて十分に長く。

全体に横広にまとめる。偏と旁が互いに向かい合う感じに

なり、支え合ってバランスを保つ。最終画右はらいの終筆

は筆を開くイメージで。

1画目横画を短く太めに、その右側を縦画が通る。旁の2

つの点は大きさに注意してリズミカルに。

上部横画はうねりをつけて、太細もはっきりと。下部は線

の太細に配慮し、中央部に余白を作る。

行書臨書課題解説

行書臨書課題解説

蘭亭叙（王羲之）

らんていじょ

おう

ぎ

し

原　

帖

〔同當其欣於所〕同お

な

じからずと（雖い

えど

も）、其そ

の（遇あ

う）所と

ころ

を欣よ

ろこ

びて……當あ

た

りては、

6

草書臨書課題（漢字半紙部） 對 馬 聖 峰 臨７月号

※出品段級位（漢字半紙部 新級〜八段）

使用筆（旭水）・使用紙（無罫半紙・桐）・使用墨（黒耀）

※弘前の部分には支部名を書く

7

落ち着けて

中心

折り返す

安定させる

右上がり強く

太↓細↓太↓細の動きを出して

太

太細

細ここでバランスをとる

徐々に筆圧を

加えながら節を

つけて

下部に

筆圧かける

しっかり強く

当たる

〔勞〕

〔心〕

〔賢〕

〔妹〕

〔大〕

〔都〕

中心に気を配り、左側は転折部分でしっかりと折り返す。

力は下の部分に筆圧をかけて、ゆったりとはらう。

やや流した感じの形なので、筆圧を変化させてスムーズな

運筆を心がける。右下がりに見えやすいが太細の変化でバ

ランスをとる。

この字は縦長にまとめる。太細の変化を意識して、転折部

分ではしっかりと方向を変える。

中の空間を広くとり、横広な形にまとめる。偏細く、旁を

太くする。旁下部の回転をスムーズに。

太めの線で力強く。２画目はうねりながら終筆は止める。

３画目で安定させ、方向に注意してしだいに太くする。

上部は右上がりを強くし、下部は右へ寄せて阝を重厚にし

てバランスをとっている。

※１行目は中心のとり方を考慮して、行を通すように工夫する。

草書臨書課題解説

草書臨書課題解説

王羲之尺牘集〈宋拓王右軍帖〉

◆想小大皆佳帖

おう

ぎ

し

せきとくしゅう

〔勞心賢妹大都〕（君の）労心を（念お

も

う）。賢け

ん

姉し

も大だ

い

都と

…。

原　

帖

※釈文では姉だが妹になっている。

（姉）

8

漢字条幅漢詩課題

漢字条幅漢詩課題

漢字条幅部

※出品段級位（新級〜八段）

書き出し含墨十分に

ダイナミックに

淡々と

リズミカルに

重　厚　に

静かに収める

落ち着けて

◎

◎

◎

漢字半紙部門と段級位は異なりますので漢字条幅

部門の段級位をご記入下さい。なお、初めて出品

の人は新とお書き下さい。

支部名・段級位・氏名は鉛筆で左下に記入下さい。

注　意

岡 田 契 雪 先生 書

半　切（約136×約35センチ）半切検定課題原寸大手本500円で販売しております。

使用筆（白神）・使用紙（漢字条幅用紙半切・梅ば

い

花か

箋せん

）・使用墨（頂煙翰墨自在〈固型〉）

富む魅力ある線の実現に向けて、日々鍛錬を重ねてまいりましょう。

　『文字の大小・組み合わせ等、そして文字群での処し方については既

略心得て頂いているかと存じますが、今月号１行目下部では、画数の少

ない文字が重なりましたがこの場合、墨量を多くして下部の安定を図る

よう留意して頂きたいと思います。』　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　（『　

』内は岡田契雪先生より）

　

毛筆は、柔軟性と弾力性の開閉機能を備えています。この機能を十分

に理解し、活用することができれば、筆を自在に操る事ができます。筆

を紙の上に立て、鋒尖に心を集中し、筆と紙との摩擦を利用して、鋒尖

を屈折・屈曲・捻転させることによって筆毛を開閉させると、筆は活躍

し、様々な表現の線を描き出すことがで

きます。平面的な左右前後の運動と、立

体的な上下の抑揚の運動と、筆毛の活躍

とが復雑に絡み合うと、変化に富む多彩

な線が生まれるのです。この筆の動きを

体得する事が、用筆の技術向上には不可

欠です。

　

書は線の芸術とも言われます。変化に

〔燕

◎

子戯還簷　

花飛落枕歬

◎

　

寸心君不見　

拭

◎

淚坐調絃〕何か　

遜そん

読み︱燕え

ん

子し

戯たわむ

れて簷え

ん

に還か

え

り、花は

な

飛と

びて枕ち

ん

前ぜん

に落お

つ。寸す

ん

心しん

君きみ

見み

ず、涙な

みだ

を拭ぬ

ぐ

いて坐ざ

して絃げ

ん

を調ち

ょう

す。

意味︱燕が戯れて簷の

きば

に帰り、花は飛んで枕元に落ちる。私の胸の中を君は見ない、涙を拭って坐ったまま琴の絃を調す。

13

漢字条幅臨書課題

漢字条幅臨書課題

漢字条幅部

※出品段級位（新級〜八段）

漢字半紙部門と段級位は異なりますので漢字条幅

部門の段級位をご記入下さい。なお、初めて出品

の人は新とお書き下さい。

支部名・段級位・氏名は鉛筆で左下に記入下さい。

注　意

對 馬 聖 峰 臨

半　切（約136×約35センチ）半切検定課題原寸大手本500円で販売しております。

〔紛

◎

紛夸俗勞　

坦坦忘懷

◎

易　

浩浩將我行

◎

　

蠢蠢須公起〕（◎印は墨つぎ）　

読み︱紛ふ

ん

紛ぷんとして俗に夸ほ

こるは労ろ

うし、坦た

ん

々たんとして懐か

いを忘るは易や

すし。浩こ

う

々こうとして将ま

さに我れ行かんとす、蠢し

ゅん

々しゅん

として公こ

うの起た

つを須ま

たん。

意味︱ごてごてと俗人に自慢するのは疲れるだけ、ひろびろと煩わしい思いを忘れるのはたやすい。はるばると私は行こうとして、公あ

なた

がごそごそ起きあがるのを待っている。

使用筆（神技北斗）・使用紙（漢字条幅用紙半切・華心箋）・使用墨（黒耀〈固型〉）

りですが、原帖ではもっとはっきり変化を見てとれます。一見無

造作に書いているようですが、２つの点の大小、太細はもちろん

のこと、点の間隔や下へ移動する方向など微妙な変化は心憎いほ

どです。さすがの米芾。このような細かい形や用筆を発見するに

つけ、米芾がどんな気持ちで書いたのか、往時を追想するのは楽

しい気分にさせてくれます。

　

文字の気脈を切らさぬよう注意して下さい。

夸＝　　　　　　　　　　　　

易＝

　　

◆蜀し

ょく 素そ

帖ちょう

（米べ

い

芾ふつ

）

　

今月号で「和林公峴山之作」（林り

ん

公こう

が峴け

ん

山ざん

の作に和す）と題した

五言句が終了しますので、前月と同様に四句をまとめ切りよく20

字にしました。

　

ご覧の通り々（作品では

）が４箇所もあるので、前月と同じ

字数ながら小さく書けたし、余裕をもって収めることができまし

た。皆さんも書きやすいはずです。

　

ところで「々・

・〳〵」などのことを踊お

どり

字じ

と言います。同じ

単語を重ねた複合語（例えば木木・泣く泣く・ぴいぴいなど）、つ

まり畳語があった場合、上と同字を書くことを避けるための符号

のことを踊字と呼びます。

　

しっかり

のところを見て下さい。私も気をつけて書いたつも

〔燕

◎

子戯還簷　

花飛落枕歬

◎

　

寸心君不見　

拭

◎

淚坐調絃〕何か　

遜そん

読み︱燕え

ん

子し

戯たわむ

れて簷え

ん

に還か

え

り、花は

な

飛と

びて枕ち

ん

前ぜん

に落お

つ。寸す

ん

心しん

君きみ

見み

ず、涙な

みだ

を拭ぬ

ぐ

いて坐ざ

して絃げ

ん

を調ち

ょう

す。

意味︱燕が戯れて簷の

きば

に帰り、花は飛んで枕元に落ちる。私の胸の中を君は見ない、涙を拭って坐ったまま琴の絃を調す。

14

か　な　課　題（かな半紙部） 湯川三壽先生書７月号

注意→支部名・段級位・氏名は

　　　

鉛筆で左下に記入下さい。

使用筆（南風）・使用紙（かな用料紙）・使用墨（天衣無縫〈固型〉）

※19ページに解説があります。

読み︱都み

やこ

だにさびしかりしを雲く

も

はれぬ吉よ

し

野の

の奥お

く

のさみだれのころ（後醍醐天皇）

意味︱都にいるときでさえさびしかったのに、今ここ吉野の奥での雨雲のとざす梅雨時のさびしさよ。

みやこ多た

二に

さひし可か

利り

四し

を雲者は

れぬ吉野のおくの佐さ

三み

多た

連れ

のこ路ろ

（◎は墨つぎ）

◎

◎

※出品段級位（かな半紙部 新級〜八段）　 　 　 　 　 　 《 短 歌 課 題 》

17

逆筆

逆筆に

２行目上部でかすれを表現する

のびやかに 太

太

細

太

細

細

遅

速

狭

狭

広

広

中心移動

筆を開いて太く

墨量を変化

させる

逆筆に

逆筆に

大

小◎

◎

かな半紙部門と段級位は異なりますのでかな条幅部門の

段級位をご記入下さい。なお、初めて出品の人は新とお

書き下さい。

支部名・段級位・氏名は鉛筆で左下に記入下さい。

注　意

湯 川 三 壽 先生 書

半　切（約136×約35センチ）半切検定課題原寸大手本500円で販売しております。

　

行の流れは、川の水が上から下へ流れるように自然でなくてはなりません。

一行の中でそれぞれの転折が正しくできているか、行の流れがなめらかに出来

ているか、墨量は紙に合っているか、一行の中の間のとり方、行間の響き合い等、

多くの要素がからみ合って、美しい自然な流れ

の作品になるのです。

　

頭ではわかっていますが、なかなかこの自然

さが難しいものです。繰り返し練習することで、

手がおのずからリズムをつかみ、行の表現を出

してくれます。とにかく何枚も書くこと、それ

しかありません。

　『墨は大別して油煙墨と松煙墨があります。小字仮名で料紙に書く時は油煙

墨を使いましょう。大字仮名では、両方使うことが出来ますが、紙によって色

が変わります。磨る濃さ、書く速度変化でも変わります。「墨に五彩あり」色々

試みてまいりましょう。』　　　　　　　　　　（『　

』内は湯川三壽先生より）

使用筆（雅）・使用紙（かな条幅用紙半切・桂風）・使用墨（天衣無縫〈固型〉）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（◎印は墨つぎ）

〔三み

やこ多た

二に

さひしか利り

しを雲八は

連れ

ぬ吉野のおくの五さ

みだれ

月雨のころ〕　

読み︱都み

やこ

だにさびしかりしを雲く

も

はれぬ吉よ

し

野の

の奥お

く

のさみだれのころ（後醍醐天皇）

意味︱都にいるときでさえさびしかったのに、今ここ吉野の奥での雨雲のとざす梅雨時のさびしさよ。

◎

◎

読み︱都み

やこ

だにさびしかりしを雲く

も

はれぬ吉よ

し

野の

の奥お

く

のさみだれのころ（後醍醐天皇）

意味︱都にいるときでさえさびしかったのに、今ここ吉野の奥での雨雲のとざす梅雨時のさびしさよ。

18

ペン楷書課題（ペン部）７月号

初めての人は新と書く

※課題執筆と同じペンを本会で取扱っております定価１０８円

（ボールペン0.7・硬筆用紙６行使用）

※出品段級位（ペン部 新級～八段）

支　部　名学　　　年

段　級　位

氏　　　名

ペン行 書 課題（ペン部）７月号

※課題執筆と同じペンを本会で取扱っております定価１０８円

（ボールペン0.7・硬筆用紙６行使用）

※出品段級位（ペン部 新級～八段）

初めての人は新と書く

支　部　名学　　　年

段　級　位

氏　　　名

※ジョン・スローン・ディッキー（１９０７〜１９９１）…アメリカの外交官・学者。

23

ペン行書課題（ペン部）７月号

※課題執筆と同じペンを本会で取扱っております定価１０８円

（ボールペン0.7・硬筆用紙６行使用）

※出品段級位（ペン部 新級～八段）

初めての人は新と書く

支　部　名学　　　年

段　級　位

氏　　　名

※ジョン・スローン・ディッキー（１９０７〜１９９１）…アメリカの外交官・学者。

24

支 部 名

段 級 位

氏　　名

※課題執筆と同じペンを本会で取扱っております定価１０８円

（ボールペン0.7・硬筆用紙８行使用）

ペン横書課 題（ペン部）７月号

※出品段級位（ペン部 新級～八段）

初めての人は新と書く

支部名・段級位・氏名は横書きでお書き下さい。

※ブーテルウェク（１７６６〜１８２８）…ドイツの哲学者。

25

ペン部課題解説

ペン部課題解説

楷書課題

行書課題

横書課題

偏は右側・旁は左側を

揃える

方向を変えて

引きしめて

長く

のびのびと

長く

方向に注意

位置注意

位置に注意

長く

中心

行の始めを揃える

長く

左を長く

※漢字は大きく、かなは小さく

中心

中心

26