あなたが知らないかもしれない受託開発の基礎知識

@araipiyo

受託開発って何?

• お客様から依頼を受けて、システムを開発するお仕事

• 単品の完全受注生産(注文を受けてから設計を開始する)

• プラントエンジニアリング(日揮, IHI)などに近い

受託開発の特徴

• 依頼を受けた時点では、設計が終わっていない= 費用が確定しない

• ソフトウェアでは、設計が終わった時点で作業の80%は終わっている。– 最初には分からない、細かい作業が非常に多い

– どこまで細かく仕上げるの?

• すなわち本質的に費用が不明確

受託開発の契約

• 準委任ないし派遣契約

• 費用増大リスクはすべて発注者が負うTime & Material

• 請負契約

• 費用増大リスクはすべて受注側が負うFixed fee

• コスト償還契約

• リスクは負うが、インセンティブ関係が正常

Cost Reimbursement

• 納期遵守等に報酬を支払う(plus Incentive)

Fixed fee (請負契約)

• 定められた内容の役務や製品を提供する– 完成に責任がある

– 契約書に定めがない場合、失敗したとき損害賠償を受注者が負う

• 客との力関係で全てが決まる。仕様の綱引き

• 逆に言うと、発注仕様に書かれてないことには責任がない？

Time and Material (準委任契約)

• 定められた作業内容を提供することに責任を負う– 完成の責任は負わない

• 人月で課金されるので、費用や時間が伸びるほど、儲かる

• 発注者からするとすごく怖い契約– いくらかかるか分からない、水増しされるかも

Cost Reimbursement (実費償還契約)

• 実際にかかったコスト(人件費、家賃等)に定額の報酬を加えて支払う

• T&Mのように、受注側にコストを水増しするメリットがないし、Fixed feeのように、発注側に仕様をふくらませたり、無理難題を言うメリットがない

仕様書と見積

• 当初から仕様書に仕様を書ききれますか?– 細かい動作や、使い勝手なども表現できる?

• ソフトウェアの見積って経験と統計ですよね– ボトムアップで全行程を計算するとかできます？

• 最終的には直感と交渉(事後の綱引き)になりがち– 予実管理をフィードバック

鉄の三角形

納期

費用仕様

鉄の直線?

納期

仕様

© 角谷信太郎

アジャイル？

• アジャイルとはスコープ(仕様)が柔軟に変化する開発形態

• スコープが変化するので、T&M以外の契約は無理っぽい

• まだ読んでないけど「アジャイルな見積もりと計画づくり」などの本もあり

受託開発の悩み?

• 利益率が低い– 人件費で飛んでしまう

• 案件を次から次へ綱渡り– 要員に空き時間があるとやばい

• たまに炎上する– 請負契約だと超やばい

• 燃え尽きる– タフな仕事の繰り返し

受託マーケティング

• いかに差別化するか

– ブランディング

– 業界特化

– 特徴的な手法・技術

• 技術力で低コスト化???

– 無理じゃね？

• コンサルティングの世界と似てくる

– コンサルタント養成講座

一言言いたい

• 「早く金を儲けて受託開発やめたいよ！」とか言うな！– 嫌々やられたらお客さんにも迷惑だ

– 自社製品を作りたいなら、今すぐ作れ！

– 受託開発が嫌ならやめちまえ！

– 嫌々適当にやってて儲かるわけがあるか！

– やるからには勉強して、しっかりやれ！

• 技術力もいいけど、営業、契約、見積などの勉強も必須ですよ、みなさん！– PMPとかCMMとかも？